JPH11335315A - ケトンの製造方法とこの方法に使用する触媒 - Google Patents

ケトンの製造方法とこの方法に使用する触媒

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JPH11335315A
JPH11335315A JP14424198A JP14424198A JPH11335315A JP H11335315 A JPH11335315 A JP H11335315A JP 14424198 A JP14424198 A JP 14424198A JP 14424198 A JP14424198 A JP 14424198A JP H11335315 A JPH11335315 A JP H11335315A
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ketone
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weight
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JP14424198A
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Isamu Maeda
勇 前田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/002Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by dehydrogenation

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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液相中で2級アルコールを脱水素反応させる
際に用いられ、助触媒を含まなくてもケトンを高収率で
得させる製造コストの低いケトン製造用触媒と、これを
用いた工業的に有利なケトンの製造方法とを提供するこ
とにある。 【解決手段】 ケトン製造用触媒は、液相中で2級アル
コールを脱水素反応させてケトンを製造する方法に使用
する触媒であって、前記触媒は塩素含有量が0.02重
量%以下の酸化銅および/または還元銅からなる。ケト
ンの製造方法は、2級アルコールを液相中で脱水素反応
させてケトンを製造する方法において、上記触媒を用い
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高級2級アルコー
ルを原料としてケトンを高収率で得させるケトンの製造
方法とこの方法に使用する触媒に関する。本発明は、ま
た、原料としての高級2級アルコールの品質により生じ
ることがある不純物やにごりの少ないケトンを高収率で
得させるケトンの製造方法とこの方法に使用する触媒に
関する。
【0002】
【従来の技術】ケトンは各種ポリマーや界面活性剤の原
料などとして用いられている。このケトンは、これま
で、カルボン酸の脱炭酸二量化反応や2級アルコールの
脱水素反応等の方法が知られていた。例えば、2級アル
コールを原料として液相でケトンを製造する場合、固体
触媒としては、一般に、銅系多成分触媒が使用されてい
る(Neftekhimiya,4巻2号,298−3
00頁、特開平5−168928号、特開平7−534
33号、特開平8−53386号など)。これは、銅の
みでは原料の転化率が上がらないので、助触媒としてク
ロム、マンガン、鉄、アルミニウム、亜鉛、アルカリ金
属、アルカリ土類金属等の酸化物を酸化銅や還元銅に添
加することで、触媒の耐熱性を向上させ、反応温度を高
めて、転化率を上げる必要があったからである。
【0003】しかし、多成分触媒は、含浸法、共沈法、
合金法、混練法等の方法によって製造する必要があり、
製造工程が複雑となるため、製造コストが高く、また、
固体触媒を使用する反応では触媒の使用量が多くなるた
め、触媒の製造原価が高いことは、工業的に不利であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、液相中で2級アルコールを脱水素反応させる際に用
いられ、助触媒を含まなくてもケトンを高収率で得させ
る製造コストの低いケトン製造用触媒と、これを用いた
工業的に有利なケトンの製造方法とを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は、銅系多成分触媒の主成分となっていた
酸化銅や還元銅につき、これらが高い収率を示さない原
因を追求した。その結果、酸化銅や還元銅に含まれてい
る極く微量の塩素が収率を低下させる原因となっている
ことを確認した。酸化銅は、種々の銅塩から得られる
が、この原料に起因して極く微量の塩素が酸化銅に混入
することになる。還元銅は、酸化銅を還元することによ
り得られるが、酸化銅に含まれていた塩素がそのまま還
元銅に持ち込まれることから、極く微量の塩素が混入す
ることになるのである。
【0006】本発明者が実験により確認した結果では、
塩素を0.04重量%程度含む酸化銅や還元銅は、もは
や活性を示さない。本発明者は、また、本発明を完成す
る過程で、従来の銅系多成分触媒には、以下のような問
題のあることも知った。すなわち、高級2級アルコール
は高級パラフィンをホウ酸存在下空気酸化して得ること
もできるが、このようにして得られた高級2級アルコー
ルを原料として、上記従来の銅系多成分触媒を用い、ケ
トンを製造したときに、得られたケトン溶液に、にごり
等の不純物が発生することが分かった。このにごり等の
不純物は、ケトンや触媒との分離に多大な時間と労力を
要するものであった。この不純物の発生原因は明らかで
はないが、たとえば、次のようにして生じると考えられ
る。すなわち、上記製造方法で得られた高級2級アルコ
ール中に不純物として含まれていた高級1級アルコール
がアルデヒトを経てカルボン酸になり、このカルボン酸
が、塩基性である助触媒と反応してカルボン酸塩とな
り、にごり等の原因となっていると考えられる。
【0007】助触媒を含まない酸化銅や還元銅は、上述
のような高級2級アルコールを原料としてケトンを製造
するときに、上述の不純物を生成させない上でも有利で
ある。したがって、本発明にかかるケトンの製造方法
は、触媒の存在下、液相中で2級アルコールを脱水素反
応させてケトンを製造する方法において、前記触媒とし
て、塩素含有量が0.02重量%以下の酸化銅および/
または還元銅を用いることを特徴とする。
【0008】本発明にかかるケトン製造用触媒は、液相
中で2級アルコールを脱水素反応させてケトンを製造す
る方法に使用する触媒であって、前記触媒は塩素含有量
が0.02重量%以下の酸化銅および/または還元銅か
らなる。
【0009】
【発明の実施の形態】〔ケトン製造用触媒〕本発明にか
かるケトン製造用触媒は、酸化銅および/または還元銅
からなる固体触媒である。このケトン製造用触媒では、
2級アルコールが酸化銅を還元し、得られた還元銅が活
性な脱水素触媒として作用するため、ケトン製造用触媒
として、酸化銅を予め水素等で還元した還元銅を用いる
こともできるが、実用面からは酸化銅が好ましい。
【0010】本発明にかかるケトン製造用触媒の塩素含
有量は0.02重量%以下であることが必要であり、好
ましくは0.01重量%以下、さらに好ましくは塩素が
全く検出されないことである。ケトン製造用触媒の塩素
含有量が0.02重量%を超えると、ケトンの収率が低
下し、0.04重量%を超えると、もはや脱水素反応が
進行しなくなる。
【0011】本発明のケトン製造用触媒に用いられる酸
化銅としては、酸化第2銅(CuO)が好ましい。酸化
第2銅は、たとえば、硝酸銅、硫酸銅、水酸化銅、炭酸
銅等を熱分解することにより、容易に得ることができ
る。本発明にかかるケトン製造用触媒の形状について
は、特に限定はない。ケトン製造用触媒のメジアン径
は、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜3
0μmである。ケトン製造用触媒の表面積は、好ましく
は0.1〜100m2/g、さらに好ましくは0.5〜
50m2/gである。
【0012】本発明のケトン製造用触媒は、本発明の効
果をそこなわない範囲で、酸化銅および/または還元銅
以外の物質を含んでいてもよいが、塩基性物質の含有量
は1重量%未満であることが好ましく、塩基性物質を実
質的に含まないことがさらに好ましい。塩基性物質は、
ケトン製造の原料として用いられる2級アルコール中に
含まれる不純物である1級アルコール由来のカルボン酸
と反応してカルボン酸塩を生成し、にごり等の原因にな
るからである。塩基性物質としては、たとえば、亜鉛、
クロム、バリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、コ
バルト、ニッケル、マンガン、アルミニウム、ジルコニ
ウム等の金属の塩基性酸化物等を挙げることができる。
なお、前記塩基性酸化物は、従来公知の触媒において、
通常、助触媒として用いられる成分である。 〔ケトンの製造方法〕本発明にかかるケトンの製造方法
は、2級アルコールを液相中で脱水素反応させてケトン
を製造する方法である。この脱水素反応は、本発明のケ
トン製造用触媒を用いて行われる。
【0013】上記2級アルコールとしては、たとえば、
2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノー
ル、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−オクタ
ノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−ノ
ナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナ
ノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノ
ール、5−デカノール、2−ウンデカノール、3−ウン
デカノール、4−ウンデカノール、5−ウンデカノー
ル、6−ウンデカノール、2−ドデカノール、3−ドデ
カノール、4−ドデカノール、5−ドデカノール、6−
ドデカノール、2−トリデカノール、3−トリデカノー
ル、4−トリデカノール、5−トリデカノール、6−ト
リデカノール、7−トリデカノール、2−テトラデカノ
ール、3−テトラデカノール、4−テトラデカノール、
5−テトラデカノール、6−テトラデカノール、7−テ
トラデカノール、2−ペンタデカノール、3−ペンタデ
カノール、4−ペンタデカノール、5−ペンタデカノー
ル、6−ペンタデカノール、7−ペンタデカノール、8
−ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、3−ヘキ
サデカノール、4−ヘキサデカノール、5−ヘキサデカ
ノール、6−ヘキサデカノール、7−ヘキサデカノー
ル、8−ヘキサデカノール、2−ヘプタデカノール、3
−ヘプタデカノール、4−ヘプタデカノール、5−ヘプ
タデカノール、6−ヘプタデカノール、7−ヘプタデカ
ノール、8−ヘプタデカノール、9−ヘプタデカノー
ル、2−オクタデカノール、3−オクタデカノール、4
−オクタデカノール、5−オクタデカノール、6−オク
タデカノール、7−オクタデカノール、8−オクタデカ
ノール、9−オクタデカノール等の脂肪族2級アルコー
ル;シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロ
ヘプタノール、シクロオクタノール、シクロドデカノー
ル等の脂環式2級アルコール;1−フェニルエタノー
ル、1−フェニルプロパノール等の芳香族2級アルコー
ル等を挙げることができ、1種または2種以上使用され
る。
【0014】本発明のケトンの製造方法では、上記触媒
が、本発明の効果をそこなわない範囲で酸化銅および/
または還元銅以外の物質を含んでいてもよいが、塩基性
物質の含有量は1重量%未満であることが好ましく、塩
基性物質を実質的に含まないことがさらに好ましく、2
級アルコールとともに、この2級アルコールとの精製分
離が困難な不純物である1級アルコールをさらに含むア
ルコール混合物を、容易に脱水素反応させることができ
る。本発明の製造方法では、2級アルコールがケトンに
変換されるのに対して、1級アルコールもアルデヒドに
変換されるが、このアルデヒドからのカニッツァロー反
応、また、ゲルベ反応による不純物も生成しない。
【0015】2級アルコールの不純物となる1級アルコ
ールとしては、たとえば、1−オクタノール、1−ノナ
ノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ド
デカノール、1−テトラデカノール等の炭素数8〜18
の高級1級アルコール等を挙げることができ、1種また
は2種以上使用される。1級アルコールの重量割合につ
いては、特に限定はないが、好ましくは、アルコール混
合物全体の10重量%以下、さらに好ましくは5重量%
以下である。
【0016】上記アルコール混合物としては、たとえ
ば、各種2級ドデカノール(2〜6位に水酸基が置換し
たドデカン)と、1−オクタノール、1−ノナノール、
1−デカノール、1−ウンデカノールおよび1−ドデカ
ノールから選ばれた少なくとも1種の1級アルコールA
とを含み、1級アルコールAの重量割合が全体の10重
量%以下(好ましくは5重量%以下)であるアルコール
混合物A;各種2級ドデカノール(2〜6位に水酸基が
置換したn−ドデカン)、2級トリデカノール(2〜7
位に水酸基が置換したn−トリデカン)および2級テト
ラデカノール(2〜7位に水酸基が置換したn−テトラ
デカン)から選ばれた少なくとも1種の2級アルコール
Bと、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノ
ール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−ト
リデカノールおよび1−テトラデカノールから選ばれた
少なくとも1種の1級アルコールBとを含み、1級アル
コールBの重量割合が全体の10重量%以下(好ましく
は5重量%以下)であるアルコール混合物B等を挙げる
ことができる。
【0017】アルコール混合物Aは、たとえば、ドデカ
ンを液相ホウ酸酸化することによって得られる。アルコ
ール混合物Bは、たとえば、炭素数12〜14のノルマ
ルパラフィンを液相ホウ酸酸化することによって得られ
る。本発明で用いられるケトン製造用触媒の使用量につ
いては、特に限定はないが、好ましくは2級アルコール
の0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10
重量%、最も好ましくは1〜5重量%である。ケトン製
造用触媒の使用量が0.1重量%未満であると、反応速
度が遅くなるおそれがある。他方、ケトン製造用触媒の
使用量が20重量%を超えると、使用量に見合った反応
速度や、収率が得られず、経済的に不利になるおそれが
ある。
【0018】本発明の製造方法では、溶媒を用いて脱水
素反応を行ってもよいが、無溶媒で反応を行うと、反応
後の溶媒留去等の操作が不要であり、工業的に有利であ
る。但し、2級アルコールの融点が高い場合は、溶媒を
用いるのが好ましい。上記溶媒としては、たとえば、デ
カン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカ
ンおよびこれらの異性体等を挙げることができ、これら
が1種または2種以上使用される。
【0019】本発明の製造方法では、ろ過助剤を添加し
て脱水素反応させることもできる。ろ過助剤を添加する
ことによって、脱水素反応終了後に反応混合物から触媒
を容易に沈降させることができ、触媒の回収が容易にな
る。すなわち、脱水素反応で得られたケトンと沈降した
触媒とを静置分離することによって、前記触媒は容易に
回収することができるのである。回収された触媒は、劣
化せず、そのまま脱水素反応に再使用することができ
る。触媒の回収、再使用は2回以上繰り返し行ってもよ
い。
【0020】ろ過助剤としては、たとえば、ケイソウ土
やパーライト等の二酸化ケイ素を主成分とするろ過助剤
を挙げることができ、これらは入手し易い。ろ過助剤の
使用量については、特に限定はないが、好ましくは2級
アルコールの0.1〜20重量%、さらに好ましくは
0.5〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%であ
る。ろ過助剤の使用量が0.1重量%未満であると、触
媒の沈降性が低下するおそれがある。他方、ろ過助剤の
使用量が20重量%を超えると、ろ過助剤の使用量に見
合った沈降性の向上が見られず、経済的に不利になるお
それがある。
【0021】脱水素反応は、回分式や連続式等の反応形
式で行うことができる。回分式の場合には、たとえば、
ケトンと触媒を含む反応混合物から上澄み層(ケトンを
主に含む層)を抜き出す静置分離を行い、沈降した残り
の触媒を含む下層に2級アルコールを追加して脱水素反
応させるという操作を繰り返すことによって、触媒を何
回も使用し、ワンポットで、かつ、簡便な工程で、効率
良く脱水素反応を行うことができる。このため、ケトン
が工業的に有利な方法で製造されるようになる。
【0022】脱水素反応を行う際の反応温度は、通常、
160〜260℃、好ましくは180〜255℃、さら
に好ましくは200〜250℃、最も好ましくは230
〜250℃である。反応温度が160℃未満では、脱水
素反応は進行するが反応速度が遅くなるおそれがある。
他方、反応温度が260℃を超えると活性が低下し、脱
水素反応が生起しなくなるおそれがある。
【0023】脱水素反応の反応圧力は特に限定がない。
反応圧力は通常、反応温度に依存するが、好ましくは1
〜10kg/cm2である。脱水素反応の反応時間は、
上記反応温度および触媒量等の反応条件に依存するが、
好ましくは0.5〜20時間である。本発明の製造方法
では、脱水素反応によって水素が生成するが、窒素等の
不活性ガスを反応系のキャリヤーガスとして用いて反応
系から水素を除去するようにすれば、平衡がケトンの方
にかたより、ケトンの収率が高まる。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の実施例と比較例とを示す
が、本発明は以下の実施例に限定されない。以下で、
「部」は「重量部」を示す。 −実施例1− 平均炭素数13のノルマルパラフィン混合物(ドデカ
ン、トリデカン、テトラデカン等の炭素数12〜14か
らなるノルマルパラフィン)を液相ホウ酸酸化して製造
した高級2級アルコール(ソフタノール−A、日本触媒
社製)を用意した。この高級2級アルコールは、炭素数
12〜14の2級アルコールの各種異性体と、炭素数8
〜14の1級アルコールからなり、ガスクロマトグラフ
ィーによる1級アルコール含有量は約2重量%、水酸基
価289.5であった。
【0025】電磁攪拌機、温度計、窒素導入管、およ
び、凝縮器とガス排出管とを備えた水分離器を装着した
200mlの四ツ口フラスコに、上記高級2級アルコー
ル80g、ケトン製造用触媒としての市販の酸化第2銅
粉末A(塩素含有量:0.002重量%、表面積:5
3.4m2/g)1.6gおよびろ過助剤としての市販
のケイソウ土(セライト505、表面積:3.8m2
g)1.6gを仕込んだ。四ツ口フラスコ内を窒素置換
し、仕込み物を攪拌しながら、常圧下で四ツ口フラスコ
を徐々に加熱して90分間かけて245℃に昇温し、さ
らに245℃で90分間反応させた。反応終了後、攪拌
を停止すると、触媒がろ過助剤とともに直ちに沈降し始
め、反応混合物は1分以内で、ケトンを主に含む清澄層
と、触媒およびろ過助剤を主に含む沈降層とに分離し
た。反応混合物の液温度が100℃であっても同様に清
澄層と沈降層とに分離することが確認された。反応混合
物から清澄層を抜き出して分析したところ、清澄層に含
まれる淡黄色の液は、水酸基価10.5およびカルボニ
ル価263.6であり、高級2級アルコールの転化率9
6.4%、ケトン収率91.1%であった。
【0026】以上の結果から、ケトンがワンポットで、
かつ、簡便な工程で、高収率、高純度で得られることが
分かる。 −実施例2− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の酸化第
2銅粉末B(塩素含有量:0.001重量%、表面積:
0.5m2/g)2.0gを用いた以外は、実施例1と
同様にして、ケトンを製造した。反応混合物から清澄層
を抜き出して分析したところ、清澄層に含まれる淡黄色
の液は、水酸基価10.6およびカルボニル価263.
0であり、高級2級アルコールの転化率96.3%、ケ
トン収率90.8%であった。
【0027】以上の結果から、ケトン製造用触媒の表面
積が狭い場合でも、原料転化率およびケトン収率の低下
はみられないことが分かる。 −実施例3− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の酸化第
2銅粉末C(塩素含有量:0.002重量%、表面積:
0.6m2/g)2.0gを用い、常圧下で四ツ口フラ
スコを徐々に加熱して180分間かけて245℃に昇温
し、さらに245℃で90分間反応させる以外は、実施
例1と同様にして、ケトンを製造した。反応混合物から
清澄層を抜き出して分析したところ、清澄層に含まれる
淡黄色の液は、水酸基価10.6およびカルボニル価2
63.0であり、高級2級アルコールの転化率96.3
%、ケトン収率90.8%であった。
【0028】−比較例1− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の酸化第
2銅粉末D(塩素含有量:0.025重量%、表面積:
0.2m2/g)4.0gを用いた以外は、実施例1と
同様にして、ケトンを製造した。反応混合物から清澄層
を抜き出して分析したところ、清澄層に含まれる淡黄色
の液は、水酸基価44.6およびカルボニル価234.
8であり、高級2級アルコールの転化率84.6%、ケ
トン収率81.1%であった。
【0029】以上の結果から、塩素含有量0.02重量
%を超えた酸化第2銅粉末Dでは、原料転化率およびケ
トン収率が低下することが分かる。 −比較例2− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の酸化第
2銅粉末E(塩素含有量:0.045重量%、表面積:
8.0m2/g)4.0gを用いた以外は、実施例1と
同様にして、反応させたが、ケトン生成に伴って生成す
る水素は少量であり(反応開始60分間で0.29リッ
トル)、ケトンはほとんど得られなかった。
【0030】以上の結果から、塩素含有量0.02重量
%を超えた酸化第2銅粉末Eは、ケトン製造用触媒とし
て用いられないことが分かる。 −比較例3− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の酸化第
2銅粉末F(塩素含有量:0.112重量%、表面積:
0.4m2/g)4.0gを用いた以外は、実施例1と
同様にして、反応させたが、ケトン生成に伴って生成す
る水素は微量であり(反応開始60分間で0.08リッ
トル)、ケトンはほとんど得られなかった。
【0031】以上の結果から、塩素含有量0.02重量
%をはるかに超えた酸化第2銅粉末Fは、ケトン製造用
触媒として用いられないことが分かる。 −比較例4− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の酸化第
1銅粉末G(塩素含有量:0.042重量%、表面積:
0.5m2/g)4.0gを用いた以外は、実施例1と
同様にして、反応させたが、ケトン生成に伴って生成す
る水素は少量であり、ケトンはほとんど得られなかっ
た。
【0032】以上の結果から、塩素含有量0.02重量
%を超えた酸化第1銅粉末Gは、ケトン製造用触媒とし
て用いられないことが分かる。 −比較例5− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の銅−亜
鉛触媒粉末H(酸化第2銅:50重量%、酸化亜鉛:4
5重量%、その他:5重量%)4.0gを用いた以外
は、実施例1と同様にして反応させた。高級2級アルコ
ールの転化率およびケトン収率については、実施例1と
同様の結果が得られたが、反応混合物を放冷すると、金
属石鹸であるカルボン酸亜鉛の生成が見られ、反応混合
物は白濁した。このカルボン酸亜鉛は沈降しにくく、静
置分離によるケトンの単離は困難であり、ろ過等の操作
が必要であった。
【0033】−比較例6− 実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに市販の銅・ク
ロム・マンガン・バリウム触媒粉末I(酸化第2銅:4
2重量%、酸化クロム:41重量%、酸化マンガン:2
重量%、酸化バリウム:6重量%、その他:9重量%)
4.0gを用いた以外は、実施例1と同様にして2時間
反応させた。高級2級アルコールの転化率およびケトン
収率については、実施例1と同様の結果が得られたが、
反応混合物を放冷すると、金属石鹸であるカルボン酸バ
リウムの生成が見られ、反応混合物は白濁した。このカ
ルボン酸バリウムは沈降しにくく、静置分離によるケト
ンの単離は困難であり、ろ過等の操作が必要であった。
【0034】−実施例4− 比較例2で用いた酸化第2銅粉末E10gを蒸留水90
gに混合し、攪拌しながら加熱して、7時間、水を還流
させた後、ろ過、水洗して酸化第2銅粉末J(塩素含有
量:0.019重量%、表面積:9.1m2/g)を得
た。実施例1で、酸化第2銅粉末Aの代わりに上記で得
た酸化第2銅粉末J4.0gを用い、反応時間を2時間
に変更する以外は、実施例1と同様にして、ケトンを製
造した。高級2級アルコールの転化率およびケトン収率
は、実施例1と同様の結果であった。
【0035】−実施例5− 実施例1で、高級2級アルコールをシクロドデカノール
37g(0.2モル)、溶媒をn−テトラデカン37g
に変更し、反応時間を2時間に変更する以外は、実施例
1と同様にして、ケトンを含む反応混合物を得た。この
反応混合物から清澄層を抜き出して分析したところ、清
澄層に含まれる淡黄色の液は、水酸基価2.0およびカ
ルボニル価147.6であり、シクロドデカノールの転
化率98.7%、ケトン収率97.7%であった。
【0036】−実施例6− 実施例1の反応後の沈降層に高級2級アルコールを加
え、触媒を再使用して8時間反応させた。この操作を1
00回繰り返した。10回目、25回目、50回目、7
5回目および100回目において、昇温時(30分後、
60分後および90分後)の反応温度および生成水素量
は、表1に示すとおりであり、触媒の劣化は見られなか
った。また、触媒およびろ過助剤の沈降性は、いずれの
回でも良好であり、反応混合物から抜き出した清澄層の
カルボニル価は260〜265で、実施例1と同様であ
った。
【0037】
【表1】
【0038】以上の結果から、触媒を再使用しても、触
媒の劣化は見らず、ケトンを高収率および高純度で製造
することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明にかかるケトン製造用触媒は、助
触媒を含まず、多成分系でないため、簡便に低コストで
得られる。この触媒を用いると、2級アルコールを液相
中で脱水素反応させてケトンを高収率で製造できる。こ
の触媒は繰り返し使用することも可能である。
【0040】本発明にかかるケトンの製造方法は、上記
触媒を用いるため、ケトンを工業的に有利に製造するこ
とができる。1級アルコールを含む2級アルコールを原
料として用いても、不純物やにごりの生成が少なく、ケ
トンを高収率で得させることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒の存在下、液相中で2級アルコールを
    脱水素反応させてケトンを製造する方法において、前記
    触媒として、塩素含有量が0.02重量%以下の酸化銅
    および/または還元銅を用いることを特徴とする、ケト
    ンの製造方法。
  2. 【請求項2】前記2級アルコールが不純物として1級ア
    ルコールを含む、請求項1に記載のケトンの製造方法。
  3. 【請求項3】二酸化ケイ素を主成分とするろ過助剤を添
    加して脱水素反応させる、請求項1または2に記載のケ
    トンの製造方法。
  4. 【請求項4】前記脱水素反応後にケトンと触媒とを分離
    し、得られた触媒を再使用してさらに脱水素反応を行
    う、請求項1から3までのいずれかに記載のケトンの製
    造方法。
  5. 【請求項5】液相中で2級アルコールを脱水素反応させ
    てケトンを製造する方法に使用する触媒であって、前記
    触媒は塩素含有量が0.02重量%以下の酸化銅および
    /または還元銅からなる、ケトン製造用触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012020833A1 (ja) 2010-08-12 2012-02-16 三井化学株式会社 gntRを破壊することによって生産性が向上したイソプロピルアルコール生産細菌

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WO2012020833A1 (ja) 2010-08-12 2012-02-16 三井化学株式会社 gntRを破壊することによって生産性が向上したイソプロピルアルコール生産細菌
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