JPH11334305A - 物品支持移動用車輪及びその製造方法 - Google Patents

物品支持移動用車輪及びその製造方法

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JPH11334305A
JPH11334305A JP10144275A JP14427598A JPH11334305A JP H11334305 A JPH11334305 A JP H11334305A JP 10144275 A JP10144275 A JP 10144275A JP 14427598 A JP14427598 A JP 14427598A JP H11334305 A JPH11334305 A JP H11334305A
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Japan
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moving
roller
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JP10144275A
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English (en)
Inventor
Takahiro Nakahigashi
孝浩 中東
Norio Asagi
典生 浅儀
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物品の支持及び移動のために物品に付設使用
される車輪であって、車輪コストを著しく増大させた
り、車輪構造を複雑化したりすることなく、それが取り
付けられた物品を車輪の回転軸線方向へ容易に横滑りさ
せることができる車輪及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 掃除機100の吸込端部材(物品)10
4の支持及び移動のために吸込端部材104に付設使用
されるローラ(物品支持移動用車輪)105であり、吸
込端部材104の支持及び移動に供される外周面がロー
ラ回転軸線の方向に所定の幅eを有しているとともに、
潤滑性を有する炭素膜Fで形成されている吸込端部材支
持移動用ローラ105、及び、ローラ105の製造方法
であって、ローラ105の周面基体Sを形成する工程
と、ローラ周面基体Sの少なくとも外周面S1に潤滑性
のある炭素膜Fを形成する工程とを含むローラ105の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物品の支持及び移
動のために物品に付設使用される車輪及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】物品の支持、移動のための車輪として
は、電気掃除機のゴミ吸込端部材の床面に向けられる面
に配設された車輪、各種家具(例えば椅子、テーブル、
テレビ台)下端に設けられたキャスターの車輪など枚挙
にいとまがない。このような車輪は、球体のものもある
が、球体は床面に点接触するので、その接触点に集中荷
重が加わり、転動し難い面があることや、集中荷重のた
めに床面が損傷し易いことなどの理由で、一般的には、
車輪外周面が床面に線接触したり、その外周面の柔軟性
の程度に応じて線状に面接触するものが採用されてい
る。
【0003】このような車輪は、外周面が床面に線接触
或いは線状に面接触するので、物品を移動させるとき、
物品荷重がその接触領域に分散され、そのため、転動し
易く、また、床面を損傷し難い。さらに、物品の移動に
方向性を与えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな車輪は、物品を車輪の回転軸線方向に沿って横移動
させるには不向きである。ところが実際には、物品を車
輪回転軸線方向又は略その方向に横滑りさせたい場合が
多々ある。
【0005】例えば掃除機を例にとると、掃除機は通常
掃除機本体からフレキシブルパイプで接続されたアーム
部があり、その先端にゴミ吸込口を有する吸込端部材が
設けられている。使用者はこのアーム部の上端部を持
ち、吸込端部材をそれに設けられた車輪を利用して床面
上に移動させて掃除を行う。そのとき、その車輪により
誘導される所定ライン方向に移動させて、そのライン領
域を掃除したのち、隣のライン領域を掃除するために該
アーム部を持ち上げて、その隣ラインへ移動させるので
あるが、その移動作業を手軽に行い難い。
【0006】特に、吸込端部材に自走用モータが内蔵さ
れていて重い場合には、その移動作業は困難となる。ま
た、椅子、テーブル等の家具においても、床面の掃除等
のために、それを横滑りさせようとするとき、それを手
軽に行い難い。そこで本発明は、物品の支持及び移動の
ために物品に付設使用される車輪であって、車輪コスト
を著しく増大させたり、車輪構造を複雑化したりするこ
となく、それが取り付けられた物品を車輪の回転軸線方
向へ容易に横滑りさせることができる車輪及びその製造
方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、物品の支持及び移動のために物品に付設使
用される車輪であり、物品の支持及び移動に供される外
周面が車輪回転軸線の方向に所定の幅を有しているとと
もに、潤滑性を有する炭素膜で形成されていることを特
徴とする物品支持移動用車輪を提供する。
【0008】また本発明は、物品の支持及び移動のため
に物品に付設使用される車輪の製造方法であって、該物
品支持移動用車輪の周面基体(車輪外周面を形成するた
めの基体)を形成する工程と、該物品支持移動用車輪周
面基体の少なくとも物品の支持及び移動に供される外周
面に潤滑性のある炭素膜を形成する工程とを含むことを
特徴とする物品支持移動用車輪の製造方法を提供する。
【0009】本発明に係る物品支持移動用車輪は、物品
の支持及び移動に供される外周面が車輪回転軸線の方向
に所定の幅を有しているとともに、潤滑性を有する炭素
膜で形成されているため、物品を移動させるとき、物品
荷重が車輪と床面との接触領域に分散されるので、転動
し易く、物品の移動に方向性を与えることができるとと
もに、その部分の摩擦係数は小さく、床面との滑りが良
いので、物品を車輪回転軸線方向又は略その方向へ容易
に横滑りさせることができる。
【0010】また、前記物品支持移動用車輪の炭素膜は
容易に形成できるので、車輪コストを著しく増大させた
り、車輪構造を複雑化したりすることはない。本発明に
おける物品支持移動用車輪の周面基体は、少なくとも炭
素膜形成面或いは炭素膜形成対象面が、ゴム及び樹脂か
ら選ばれた少なくとも1種の材料からなっているものと
することができる。なお、ゴム及び樹脂の他、物品支持
移動用車輪として物品を支持及び移動させる機能を発揮
できる材料であれば、特に限定されない。
【0011】前記ゴムとしては天然ゴム、ブチルゴム、
エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポ
リエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴ
ム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フ
ッ素ゴム等を例示できる。また、樹脂としては熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも採用でき、熱硬化性樹
脂としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素
樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹
脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を例示
できる。
【0012】熱可塑性樹脂では、ビニル系樹脂(ポリ塩
化ビニル、ポリビニルブチレート、ポリビニルアルコー
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリ2塩
化ビニル等)、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエーテ
ル、ポリエステル系樹脂(ポリスチレン、スチレン・ア
クリロニトリル共重合体等)、ABS、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリル系樹脂(ポ
リメチルメタクリレート、変性アクリル等)、ポリアミ
ド系樹脂(ナイロン6、66、610、11等)、セル
ロース系樹脂(エチルセルロース、酢酸セルロース、プ
ロピルセルロース、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロ
ース等)、ポリカーボネート、フェノキシ系樹脂、フッ
素系樹脂(3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン、
4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン、フッ化ビニリ
デン等の樹脂)、ポリウレタン等を例示できる。
【0013】本発明における炭素膜は、前記物品支持移
動用車輪が物品を支持及び移動させる機能を発揮するた
めに柔軟な特性を要求されることがあり、その場合に
は、該車輪の変形に追随できる硬度を有することが望ま
しい。このような炭素膜としては、代表例としてDLC
(Diamond Like Carbon、ダイヤモンド状炭素)膜を挙げ
ることができる。DLC膜は、潤滑性良好であり、ま
た、他物品との摩擦により摩耗し難く、且つ、その厚さ
を調整することにより、基体本来の柔軟性を損なわない
程度にすることができる適度な硬度を有する炭素膜であ
る。また、比較的低温で形成できる等、成膜を容易に行
うことができる。
【0014】また、DLC膜は潤滑性を有するだけでな
く、車輪周面基体がゴム、樹脂等であってクッション性
を与えるためにある程度柔らかい材料から形成されてい
るときでも、その柔軟性を損なうことのない可撓性のあ
る薄膜に形成できる。いずれにしても前記炭素膜の膜厚
は、基体上に密着性良好に形成でき、さらに基体が柔軟
性を有するものであるときは、その柔軟性を損なわない
程度であればよい。
【0015】また、本発明における炭素膜形成方法とし
ては、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法等を挙げることができるが、特にプラズ
マCVD法を用いる場合は、後述するプラズマによる前
処理と炭素膜形成とを同一の装置を用いて行うことがで
きる。プラズマCVD、スパッタリング、イオンプレー
ティング等の膜形成方法は、車輪周面基体の膜形成対象
面の材料としてゴム、樹脂等の比較的耐熱性に劣る材料
を用いた場合にそれに熱的損傷を与えない温度範囲で膜
形成できる利点がある。
【0016】プラズマCVD法により炭素膜を形成する
場合のプラズマ原料ガスとしては、炭素膜形成に一般に
用いられるメタン(CH4 )、エタン(C2 6 )、プ
ロパン(C3 8 )、ブタン(C4 10)、アセチレン
(C2 2 )、ベンゼン(C 6 6 )等の炭化水素化合
物ガス及び必要に応じて、これらの炭化水素化合物ガス
にキャリアガスとして水素ガス、不活性ガス等を混合し
たものを用いることができる。
【0017】なお、いずれにしても炭素膜は物品支持移
動用車輪の物品の支持及び移動に供される部分以外にも
形成されてもよい。また、本発明に係る物品支持移動用
車輪の製造方法において、前記炭素膜形成に先立ち、前
処理として前記物品支持移動用車輪周面基体の膜形成対
象面を前処理用ガス、例えばフッ素(F)含有ガス、水
素(H2 )ガス及び酸素(O2 )ガスから選ばれた少な
くとも1種の前処理用ガスのプラズマに曝すことができ
る。
【0018】前記フッ素含有ガスとしては、フッ素(F
2 )ガス、3フッ化窒素(NF3 )ガス、6フッ化硫黄
(SF6 )ガス、4フッ化炭素(CF4 )ガス、4フッ
化ケイ素(SiF4 )ガス、6フッ化2ケイ素(Si2
6 )ガス、3フッ化塩素(ClF3 )ガス、フッ化水
素(HF)ガス等を挙げることができる。物品支持移動
用車輪の周面基体を前記前処理用ガスのプラズマに曝す
ことにより、基体の表面が清浄化され、又はさらに基体
の表面粗度が向上する。これらは、炭素膜の密着性向上
に寄与し、高密着性炭素膜を得ることができる。
【0019】また、物品支持移動用車輪周面基体の膜形
成対象面がゴム、樹脂等の有機材料からなる場合、フッ
素含有ガスプラズマを採用するときは、これによって基
体表面がフッ素終端され、水素ガスプラズマを採用する
ときはこれによって基体表面が水素終端される。フッ素
−炭素結合及び水素−炭素結合は安定であるため、この
ような終端処理を施した面上に炭素膜を形成する場合
は、膜中の炭素原子が基体表面部分のフッ素原子又は水
素原子と安定に結合を形成する。そしてこれらのことか
ら、その後形成する炭素膜と前記基体との密着性を向上
させることができる。
【0020】また、酸素ガスプラズマを採用するとき
は、基体表面に付着した有機物等の汚れを特に効率良く
除去でき、これらのことからその後形成する炭素膜の密
着性を向上させることができる。本発明方法において、
プラズマによる前処理は同種類のプラズマを用いて或い
は異なる種類のプラズマを用いて複数回行っても構わな
い。例えば、物品支持移動用車輪の周面基体を酸素ガス
プラズマに曝した後、フッ素含有ガスプラズマ又は水素
ガスプラズマに曝し、その上に炭素膜を形成するときに
は、基体表面がクリーニングされた後、該面がフッ素終
端又は水素終端されて、その後形成する炭素膜と該基体
表面との密着性は非常に良好なものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明に係る物品支持移動
用車輪の製造に用いることができる成膜装置の1例の概
略構成を示す図である。また、図2(A)は本発明に係
る物品支持移動用車輪の1例(吸込端部材支持移動用ロ
ーラ)を備えた掃除機の構成図であり、図2(B)は図
2(A)に示す吸込端部材の底面図であり、図2(C)
は図2(B)に示す吸込端部材支持移動用ローラの斜視
図である。
【0022】図1の装置は、排気装置11が付設された
真空チャンバ1を有し、チャンバ1内には電極2及びこ
れに対向する位置に電極3が設置されている。電極3は
接地され、電極2にはマッチングボックス22を介して
高周波電源23が接続されている。また、電極2にはそ
の上に支持される被成膜基体を成膜温度に加熱するため
のヒータ21が付設されている。また、チャンバ1には
ガス供給部4が付設されて、内部にプラズマ原料ガスを
導入できるようになっている。ガス供給部4には、マス
フローコントローラ411、412・・・及び弁42
1、422・・・を介して接続された1又は2以上のプ
ラズマ原料ガスのガス源431、432・・・が含まれ
る。
【0023】この装置を用いて本発明に係る物品支持移
動用車輪(ここでは掃除機100の吸込端部材支持移動
用ローラ105)を製造する方法の1例について説明す
る。先ず、ここでは別途に予め形成しておいたウレタン
ゴムからなっている吸込端部材支持移動用ローラの円筒
形の周面基体Sを、物品の支持及び移動に供される外周
面S1の一部を電極3の方に向けて、チャンバ1内の接
地電極2上に設置し、排気装置11の運転にてチャンバ
1内部を所定の圧力まで減圧する。また、ガス供給部4
からチャンバ1内にフッ素含有ガス、水素ガス及び酸素
ガスのうち1種以上のガスを前処理用ガスとして導入す
るとともに高周波電源23からマッチングボックス22
を介して電極2に高周波電力を供給し、これにより前記
導入した前処理用ガスをプラズマ化し、該プラズマの下
で基体Sの外周面S1の前処理を行う。なお、この表面
処理(前処理)は行うことが望ましいが、必ずしも要し
ない。
【0024】次いで、必要に応じてチャンバ1内を再び
排気し、さらに圧力を再調整してガス供給部4からチャ
ンバ1内に成膜用原料ガスとして炭化水素化合物ガスを
導入するとともに高周波電源23からマッチングボック
ス22を介して電極2に高周波電力を供給し、これによ
り前記導入した炭化水素化合物ガスをプラズマ化し、該
プラズマの下で基体Sの外周面S1に炭素膜を形成す
る。
【0025】ローラ周面基体Sの前記表面処理及び成膜
を行う間、図1に示すように、例えば図示を省略した摺
動駆動手段に接続されている駆動板Kを、その中央部に
設けられた周面基体Sのローラ軸方向の寸法より少し大
きい寸法の孔K1に基体Sがはまるように設け、外周面
S1の一部を電極2に接触させながら、駆動板Kを図中
X方向に移動させることで基体Sを回転させ、基体Sの
外周面S1全面に表面処理及び成膜が行われるようにす
る。また、このような駆動板Kを用いないで基体Sを回
転させずに電極2に固定し、外周面S1の半周面に表面
処理及び成膜を行った後、基体Sを裏返し、同様にして
残りの半周面に表面処理及び成膜を行って、基体Sの外
周面S1全面に表面処理及び成膜が行われるようにして
もよい。
【0026】このようにして、図2(C)に示すよう
に、ローラ周面基体Sの物品の支持及び移動に供される
外周面S1が炭素膜Fで形成された部材が得られ、それ
にローラ軸106を嵌めて吸込端部材支持移動用ローラ
105が得られる。このローラ105は、図2(A)に
示す掃除機100の吸込端部材104に取り付け使用さ
れる。
【0027】この掃除機100は、掃除機本体101、
フレキシブルパイプ102、アーム部103、吸込端部
材104から構成されている。掃除機本体101からフ
レキシブルパイプ102で接続されたアーム部103に
は、その先端にゴミ吸込口を有する吸込端部材104が
設けられている。使用者はこのアーム部103の上端部
を持ち、吸込端部材104をそれに設けられたローラ1
05(図2(A)では図示せず、図2(B)、(C)参
照)を利用して床面上に移動させて掃除を行う。
【0028】吸込端部材104は図2(B)に示すよう
にローラ105及び底板107を含んでいる。底板10
7は中央部に吸込口P及び四隅にローラ用穴P1が設け
られている。ローラ105は図2(C)に示すように金
属からなるローラ軸106及び外周面に炭素膜Fを形成
したローラ周面基体Sで構成されており、図2(B)の
ローラ用穴P1に回転可能に配置されている。ローラ周
面基体Sはローラ回転軸線の方向に所定の幅eを有して
いる。
【0029】この吸込端部材支持移動用ローラ105
は、外周面S1がローラ回転軸線の方向に所定の幅eを
有しているとともに、潤滑性を有する炭素膜Fで形成さ
れているため、吸込端部材104を移動させるとき、そ
の荷重が床面との接触領域に分散されるので、転動し易
く、吸込端部材104の移動に方向性を与えることがで
きるとともに、その部分の摩擦係数は小さく、床面との
滑りが良いので、吸込端部材104をローラ回転軸線方
向又は略その方向へ容易に横滑りさせることができる。
【0030】また、このローラ105の炭素膜Fは容易
に形成できるので、ローラコストを著しく増大させた
り、ローラ構造を複雑化したりすることはない。図3に
図1に示す成膜装置の変形例の概略構成図を示す。図3
に示す成膜装置は、図1に示す成膜装置において電極3
を除去し、容器1壁を電極3の代わりに用いるように
し、電極2及びヒータ21に代えて電極2’及びヒータ
21’を設けてある。他の点は図1の装置と同様であ
り、同じ構成、作用を有する部品には同じ参照符号を付
してある。以下に図1の装置と異なる点について説明す
る。
【0031】図3の装置は、排気装置11が付設された
真空チャンバ1を有し、チャンバ1内には電極2’が設
置されている。チャンバ1は接地されており、これによ
り、図1に示す電極3の機能を兼ねることができる。電
極2’にはマッチングボックス22を介して高周波電源
23が接続されている。また、電極2’にはその上に支
持される被成膜基体を成膜温度に加熱するためのヒータ
21’が付設されている。
【0032】この成膜装置では、ローラ周面基体Sに表
面処理及び成膜を行うにあたり、ローラ軸106の一方
の側端面を電極2’に接触させてローラ105を電極
2’に立設する。従って、図1の装置のようなローラ1
05の外周面S1全面に表面処理及び成膜が行われるよ
うにする手段(駆動板K等)は設けていない。次に、図
1の装置を用いて、ローラ105のウレタンゴムからな
っている周面基体Sの外周面S1にDLC膜を形成した
実験例1及びプラズマによる前処理を施した後DLC膜
を形成した実験例2〜5について説明する。実験例1前
述の図1の装置を用いた成膜方法において、前処理用ガ
スプラズマによるローラ周面基体の前処理を行わず、チ
ャンバ1内でローラ周面基体Sの物品の支持及び移動に
供される外周面S1に直接DLC膜を形成した。 被成膜基体S 材質 軟質ウレタンゴム サイズ 外径D 60mm 内径d 50mm ローラ回転軸線方向の幅e 10mm 高周波電極サイズ 40cm×40cmの正方形 DLC膜形成の成膜条件 成膜用原料ガス メタン(CH4 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 成膜圧力 0.1Torr 成膜速度 200Å/min 成膜時間 60min 実験例2 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、ローラ
周面基体に次の条件で水素ガスプラズマによる前処理を
施した。成膜条件は前記実験例1と同様とした。 前処理条件 前処理用ガス 水素(H2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 実験例3 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、ローラ
周面基体に次の条件でフッ素化合物ガスプラズマによる
前処理を施した。成膜条件は前記実験例1と同様とし
た。 前処理条件 前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 実験例4 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、ローラ
周面基体に次の条件で酸素ガスプラズマによる第1の前
処理を施し、さらに水素ガスプラズマによる第2の前処
理を施した。成膜条件は前記実験例1と同様とした。 第1前処理条件 前処理用ガス 酸素(O2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 第2前処理条件 前処理用ガス 水素(H2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 実験例5 前記実験例1において、DLC膜形成に先立ち、ローラ
周面基体に次の条件で酸素ガスプラズマによる第1の前
処理を施し、さらにフッ素化合物ガスプラズマによる第
2の前処理を施した。成膜条件は前記実験例1と同様と
した。 第1前処理条件 前処理用ガス 酸素(O2 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 第2前処理条件 前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )、100sccm 高周波電力 13.56MHz、300W 処理圧力 0.1Torr 処理時間 5min 次に、前記実験例1〜5により得られた各DLC膜被覆
ローラ周面基体について該膜の密着性を測定した。膜密
着性は、基体上の膜表面に円柱状の部材(直径5mm)
を接着剤を用いて接合させ垂直方向に引っ張り、膜の剥
離に要した引っ張り力を測定した。結果を次表に示す。
【0033】 このように、DLC膜形成に先立ちウレタンゴムからな
っているローラ周面基体の物品の支持及び移動に供され
る外周面にプラズマによる前処理を施すことで膜密着性
が向上したことが分かる。
【0034】また、前記実験例1〜5により得られた各
DLC膜被覆ローラ周面基体、膜形成していないローラ
周面基体にポリテトラフルオロエチレンからなるシート
状の樹脂を貼付けたもの(比較例1)及び未処理のロー
ラ周面基体(比較例2)について、耐摩耗性を評価し
た。耐摩耗性は、3/8インチのSUJ−2(JISG
4805 高炭素クロム軸受鋼鋼材)からなるボールを
用い、荷重50gf、速度0.1m/secの条件で1
km走行後の膜被覆基体又は基体の摩耗深さを測定する
ボールオンディスク法で評価した。結果を次表に示す。
【0035】 このように、ウレタンゴムからなっているローラ周面基
体にDLC膜を被覆することで、実験例2〜5ではシー
ト状樹脂を張り付けたローラ周面基体(比較例1)に比
べ9倍、未処理のローラ周面基体(比較例2)に比べ5
0倍、摩耗を低減できた。なお、前処理を行わずにDL
C膜を被覆した実験例1ではDLC膜が若干剥離し、前
処理を行なった実験例2〜5に比べ摩耗深さが少し大き
くなった。
【0036】また、前記実験例1〜5により得られた各
DLC膜被覆ローラ周面基体、膜形成していないローラ
周面基体にポリテトラフルオロエチレンからなるシート
状の樹脂を貼付けたもの(比較例1)及び未処理のロー
ラ周面基体(比較例2)について、潤滑性を評価した。
潤滑性は、3/8インチのSUJ−2(JIS G48
05 高炭素クロム軸受鋼鋼材)からなるボールを用
い、荷重50gf、速度0.1m/secの条件で走行
開始直後及び1km走行終了直前の膜被覆基体又は基体
との摩擦係数を測定するボールオンディスク法で評価し
た。結果を次表に示す。
【0037】 このように、ウレタンゴムからなっているローラ周面基
体にDLC膜を被覆することで、実験例1〜5では若干
の摩擦係数変化にとどまったことが分かる。これに対
し、シート状樹脂を張り付けたローラ周面基体(比較例
1)では走行初期は摩擦係数が小さいが、摩耗が始まる
と摩擦係数が大きく増加した。未処理のローラ周面基体
(比較例2)では走行終了直前での測定で測定用のボー
ルが固着し、測定不能となった。
【0038】以上のことから、物品の支持及び移動に供
される外周面を炭素膜(特にDLC膜)で形成した本発
明の物品支持移動用車輪は耐摩耗性及び潤滑性に優れる
ことが分かる。なお、以上の説明は掃除機の吸込端部材
支持移動用ローラについてのものであるが、本発明は種
々の物品支持移動用車輪について適用できる。例えば、
図4に示す椅子200に設けられているキャスタのタイ
ヤ201(図中Sはタイヤ周面基体、Fは炭素膜)等に
も適用できる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、物
品の支持及び移動のために物品に付設使用される車輪で
あって、車輪コストを著しく増大させたり、車輪構造を
複雑化したりすることなく、それが取り付けられた物品
を車輪の回転軸線方向へ容易に横滑りさせることができ
る車輪及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物品支持移動用車輪の製造に用い
ることができる成膜装置の1例の概略構成を示す図であ
る。
【図2】図(A)は本発明に係る物品支持移動用車輪の
1例を備えた掃除機の構成図であり、図(B)は図
(A)に示す吸込端部材の底面図であり、図(C)は図
(B)に示す吸込端部材の支持移動用ローラの斜視図で
ある。
【図3】図1に示す成膜装置の変形例の概略構成を示す
図である。
【図4】本発明に係る物品支持移動用車輪の他の例を備
えた椅子の側面図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 11 排気装置 2、2’ 高周波電極 21、21’ ヒータ 22 マッチングボックス 23 高周波電源 3 接地電極 4 プラズマ原料ガス供給部 S ローラ周面基体、タイヤ周面基体 S1 物品の支持及び移動に供される基体Sの外周面 K 駆動板 K1 孔 F 炭素膜 100 掃除機 101 掃除機本体 102 フレキシブルパイプ 103 アーム部 104 吸込端部材 105 吸込端部材支持移動用ローラ 106 ローラ軸 107 底板 200 椅子 201 タイヤ P 吸込口 P1 ローラ用穴

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物品の支持及び移動のために物品に付設使
    用される車輪であり、物品の支持及び移動に供される外
    周面が車輪回転軸線の方向に所定の幅を有しているとと
    もに、潤滑性を有する炭素膜で形成されていることを特
    徴とする物品支持移動用車輪。
  2. 【請求項2】前記炭素膜がDLC膜である請求項1記載
    の物品支持移動用車輪。
  3. 【請求項3】前記物品支持移動用車輪の周面基体の炭素
    膜形成面がゴム又は樹脂からなっている請求項1又は2
    記載の物品支持移動用車輪。
  4. 【請求項4】物品の支持及び移動のために物品に付設使
    用される車輪の製造方法であって、該物品支持移動用車
    輪の周面基体を形成する工程と、該物品支持移動用車輪
    周面基体の少なくとも物品の支持及び移動に供される外
    周面に潤滑性のある炭素膜を形成する工程とを含むこと
    を特徴とする物品支持移動用車輪の製造方法。
  5. 【請求項5】前記炭素膜をDLC膜とする請求項4記載
    の物品支持移動用車輪の製造方法。
  6. 【請求項6】前記炭素膜をプラズマCVD法により形成
    する請求項4又は5記載の物品支持移動用車輪の製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記物品支持移動用車輪の周面基体の炭素
    膜形成対象面をゴム又は樹脂で形成する請求項4、5又
    は6記載の物品支持移動用車輪の製造方法。
  8. 【請求項8】前記炭素膜形成に先立ち、前処理として前
    記物品支持移動用車輪周面基体の膜形成対象面をフッ素
    (F)含有ガス、水素(H2 )ガス及び酸素(O2 )ガ
    スから選ばれた少なくとも1種のガスのプラズマに曝す
    請求項4から7のいずれかに記載の物品支持移動用車輪
    の製造方法。
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