JPH11333622A - 剪断機 - Google Patents

剪断機

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JPH11333622A
JPH11333622A JP14707198A JP14707198A JPH11333622A JP H11333622 A JPH11333622 A JP H11333622A JP 14707198 A JP14707198 A JP 14707198A JP 14707198 A JP14707198 A JP 14707198A JP H11333622 A JPH11333622 A JP H11333622A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ネジ山を潰すことなくボルトのネジ部を剪断
できるようにすることを課題とする 【解決手段】 ボルトの軸方向の位置を決めるための位
置決め手段16が設けられてなり、しかも、ボルトが位
置決め手段16によって位置決めされた際に、ポンチ1
は、ボルトのネジ部の谷底部Q若しくはフランク部Rを
剪断するよう構成されてなることを解決手段とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺状のボルトの
ネジ部を剪断するための剪断機、及び該剪断機に使用さ
れるポンチとダイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の剪断機としては、例え
ば、特開平6−218619号公報所載のものがある。
【0003】該公報所載の剪断機は、図9に示す如く、
ボルトPを剪断するためのポンチ51とダイス52とが
対向して設けられ、ポンチ51は、ピストンロッド53
の先端に取り付けられて出退自在になっており、ダイス
52は、剪断機本体54に固定されてなる。
【0004】ダイス52は、ポンチ51の先端が挿入さ
れるスリット55と、ボルトPを軸方向に二点支持すべ
くスリット55の両端の円弧状の凹溝56,56とを有
してなる。つまり、ダイス52の各々の凹溝56のスリ
ット55側端部が受け側の支持刃部となり、ポンチ51
の先端の両端部57,57が押圧側の剪断刃部となる。
また、ダイス52の凹溝56には、ボルトPと対応する
雌ネジ58が形成されてなる。
【0005】そして、ダイス52の凹溝56にボルトP
を載置し、ピストンロッド53を作動させると、ポンチ
51がダイス52に向かって下降してボルトPをダイス
52側に押圧し、ポンチ51の剪断刃部とダイス52の
支持刃部とで、ボルトPを軸方向の二箇所で剪断する。
【0006】該剪断によってボルトPは軸方向に分断さ
れると共に、剪断刃部間に相当する長さ分が剪断カスと
なって排出される。
【0007】また、分断された左右のボルトPは、剪断
箇所からナットが螺入されて締結具として使用される。
従って、この種の剪断機には、ボルトPのネジ山を潰さ
ずに剪断できる性能が求められる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来の
剪断機では、ダイス52側ではなく、ポンチ51の剪断
位置、即ち、ポンチ51の剪断刃部とボルトPのネジ山
との関係が定まっていないために、剪断されたボルトP
の剪断端部において、ネジ山の頂部が隣のネジ山側に曲
がったり、周方向に沿って湾曲したりする場合があっ
た。
【0009】即ち、上記剪断機でボルトPを剪断する
と、ポンチ51の剪断刃部がボルトPのネジ山の頂部を
押圧剪断する場合があり、該場合に、上述の如きネジ山
の頂部がボルトPの軸方向に折れ曲がったりして、ナッ
トを螺入できない場合が生じたのである。
【0010】また、受け側であるダイス52の方に着目
すれば、ネジ山の保護を目的として凹溝56に雌ネジ5
8が設けられているが、凹溝56に雌ネジ58を高精度
に形成することは加工上極めて困難である。そのうえ、
長期間の繰り返し剪断によっては、雌ネジ58の一部に
カケが生じたり摩耗したりすることがある。その結果、
ボルトPのネジ山が剪断時に部分的に潰れるおそれもあ
った。
【0011】何れにしても、上記従来の剪断機では、ボ
ルトPのネジ部をネジ山を潰さずに剪断することに関し
て必ずしも最適な構成になっていなかったのである。
【0012】そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み
てなされたもので、ネジ山を潰すことなくボルトのネジ
部を剪断できるようにすることを課題とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の剪断機は、ボル
トのネジ部を剪断するためのポンチ1とダイス2とが設
けられてなる剪断機であって、ボルトの軸方向の位置を
決めるための位置決め手段16が設けられてなり、しか
も、ボルトが位置決め手段16によって位置決めされた
際に、ポンチ1は、ボルトのネジ部の谷底部Q若しくは
フランク部Rを剪断するよう構成されてなることを特徴
とする。
【0014】該構成の剪断機では、剪断されるボルトが
位置決め手段16によって軸方向に位置決められ、位置
決めされた状態でポンチ1がボルトのネジ部のネジ山の
頂部以外の箇所を剪断する。従って、ポンチ1がネジ山
の頂部を剪断しないので、該頂部が隣のネジ山側に曲が
ったりすることなくネジ部を確実に剪断することができ
る。しかも、位置決め手段16が設けられてなるので、
ポンチ1による剪断位置は常に一定の位置に定まり、常
にポンチ1がネジ山の頂部以外の箇所を剪断することと
なる。
【0015】また、請求項2記載のポンチは、ボルトの
ネジ部を剪断するための剪断刃部17と、ボルトの軸方
向の位置を決めるための位置決め手段16とが設けら
れ、且つ、位置決め手段16がボルトを位置決めした際
に、剪断刃部17は、ボルトのネジ部の谷底部Q若しく
はフランク部Rを剪断する位置になるよう構成されてな
ることを特徴とする。
【0016】該ポンチを剪断機に用いると、位置決め手
段16によってボルトの軸方向の位置が決まり、この状
態で、剪断刃部17がボルトのネジ部のネジ山の頂部以
外の部分を剪断する位置になるので、ネジ山の頂部を剪
断刃部17が剪断するおそれがない。従って、ネジ山の
頂部が隣のネジ山側に曲がったりすることなくネジ部を
確実に剪断することができる。
【0017】また、請求項3記載のダイスは、ボルトの
ネジ部の外周を支持するための支持部20を有してな
り、支持部20は、ボルトのネジ部の外周と係合可能な
ように円弧状に形成され、しかも、支持部20は、実質
的に平滑に形成されてなることを特徴とする。
【0018】該ダイスを剪断機に用いると、支持部20
によって支持されたボルトは、ネジ部の外周が支持部2
0と係合する。従って、ボルトのネジ部の外周が支持部
20に確実に支持されてガタつきが抑制された状態で、
ボルトのネジ部を剪断することが可能となる。
【0019】しかも、支持部20には雌ネジが形成され
ずに平滑であるので、ボルトのネジ部のネジ山の頂部が
均等に受け止められ、剪断時の押圧力が各頂部に分散す
るので、剪断による頂部の折れ曲がりが抑制される。
【0020】更に、支持部20に雌ネジが形成されてい
ないので、剪断作業を繰り返しても支持部20は使用初
期の状態に維持される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参酌しつつ説明する。本実施形態における剪断
機は、手持ち式電動油圧パンチャー等の公知の孔あけ工
具のパンチャー部分に、図1の如く、ボルトPのネジ部
を剪断するためのポンチ1とダイス2を取り付けること
により、ボルトPを剪断できるようにした剪断機であ
る。即ち、該剪断機には、ポンチ1とダイス2が対向し
て取り付けれられてなり、ポンチ1は、油圧ピストン3
の先端に取付ネジ4で取り付けられてダイス2側に向か
って出退自在になっており、一方、ダイス2は剪断機本
体5に取付ネジ6にて固定されてなる。以下、ポンチ1
とダイス2の構成について順に説明する。
【0022】まず、ポンチ1は、図2に示す如く、基端
部が前記油圧ピストン3に取り付けられる取付部7で、
先端部がダイス2と協動してボルトPを剪断するための
剪断部8となっており、全体として円柱形状を基調とし
た形状になっている。
【0023】取付部7は、図2及び図4に示す如く、取
付ネジ4の先端と係合する凹溝9が周設された円筒部1
0と、円筒部10の剪断部8側に位置する横長の矩形部
11とからなり、該矩形部11の長手方向に沿った側面
12,12は、互いに平行に且つ中心から同寸法に形成
されてなり、油圧ピストン3に取り付ける際の取付位置
と取付角度を決めるガイド面となっている。以下、詳細
な説明において、図4に示す矩形部11の長手方向の中
心線を横中心線A、短手方向の中心線を縦中心線Bと呼
ぶこととする。
【0024】剪断部8は、図2及び図3に示す如く、前
記取付部7の矩形部11と同様に、一対の凸円弧状の剪
断壁13,13と前記横中心線Aと平行な一対の平側壁
14,14とから、ポンチ1の中心軸方向に沿って断面
積が一定の形状になっている。更に、その先端は、ボル
トPのネジ部の外周を押圧剪断するための押圧剪断面1
5であり、該押圧剪断面15は、ポンチ1の軸中心と直
交してなり、その中心には、断面視三角形状の位置決め
突起16が両平側壁14,14間に直線的に形成されて
なる。該位置決め突起16の長手方向は、縦中心線Bに
対して僅かに傾斜してなり、その傾斜角αは、剪断する
ボルトPのネジ山のリード角に対応した角度に設定され
てなる。また、押圧剪断面15の横中心線A上の両端部
がポンチ1の剪断刃部17,17であり、位置決め突起
16がボルトPのネジ部と係合してボルトPの軸方向の
位置が決まると、剪断刃部17,17は、ボルトPのネ
ジ部のフランク部Rを剪断する位置になるようになって
いる。(図5参照)
【0025】ここで、具体的な寸法関係を例示して説明
する。本実施形態のポンチは、主に3/8インチのウィ
ットネジを剪断できるように設計されたものである。従
って、3/8インチネジの規格、即ち、ネジ外径9.5
25mm、ネジピッチ1.5875mm、ネジ山の高さ
1.016mm、ネジ山の頂角55°に基づいた形状と
なっている。
【0026】まず、両剪断刃部17,17間の距離、即
ち剪断幅Wを15.3mmに設定している。従って、位
置決め突起16の中心から各剪断刃部17までの距離
は、7.65mmとなる。
【0027】そこで、図5に示す如く、位置決め突起1
6がボルトPのネジ山と係合した際に、剪断刃部17
は、位置決め突起16側(排出される剪断カス側)のフ
ランク部Rと対向する位置になり、その剪断位置は、谷
底部Qから約1/3の所になる。
【0028】また、位置決め突起16の頂角を60°
に、押圧剪断面15からの突出量を1mmに設定してい
る。頂角がボルトPのネジ山の頂角よりも若干大きいの
で、位置決め突起16がネジ山に係合しても、位置決め
突起16の斜面はネジ山のフランク部Rに面接触せず、
且つ、押圧剪断面15もボルトPのネジ山の頂部Tには
当接しない。しかし、頂角の差が5°と小さいことか
ら、剪断時の押圧力で位置決め突起16が係合部分のネ
ジ山を左右に押し広げて剪断していくので問題はない。
尚、該位置決め突起16の寸法については後述する。
【0029】更に、両平側壁14,14間の距離は、ネ
ジ外径9.525mmよりも幅広にするため11.5m
mに設定している。また、位置決め突起16の傾斜角α
は3°に設定している。
【0030】次に、ダイス2について図5及び図6を用
いて説明する。ダイス2は、取付ネジ6の先端と係合す
る凹溝18が周設された円柱状の取付部19と、ボルト
Pのネジ部の外周を支持するための支持部20と、ポン
チ1の剪断部8が挿入可能な挿入部としての挿入孔23
とを有してなる。また、支持部20が形成された支持ベ
ース21の側面22は、剪断機本体5の取付側壁と当接
してダイス2の角度と位置を決めるためのガイド面であ
る。
【0031】支持部20は、ダイス2の中心に位置する
挿入孔23の両側に左右一対形成されてなり、ボルトP
のネジ部の外周と係合可能なように円弧状に形成されて
なる。より具体的には、支持部20は、剪断するボルト
Pのネジ外径と同一若しくは僅かに大きい半円状に形成
されて、剪断するボルトPの外周の半周と係合するよう
になっている。更に、該凹状に形成された両支持部2
0,20は、高さと半径が同一に形成されて、ボルトP
を軸方向に沿って二点で平行に支持するようになってお
り、且つ、挿入孔23側の端部がボルトPを剪断する箇
所、即ち、ダイス2側の支持刃部24,24となってい
る。また、該支持部20には雌ネジが形成されておら
ず、実質的に平滑に形成されてなる。
【0032】挿入孔23は、剪断時のボルトPの剪断カ
スを排出するために、ダイス2の中心軸(取付部19の
中心軸)に沿って貫通してなり、ポンチ1の剪断部8よ
りも僅かに大きく設定されてなる。
【0033】更に、支持ベース21の支持部20が形成
された面には、支持部20と直交するスリット25が形
成されてなる。該スリット25の幅は、ポンチ1の剪断
部8の両平側壁14,14間の距離よりも大きくなって
おり、ダイス2を剪断機本体5に取り付けた後、ポンチ
1を油圧ピストン3に取り付ける際の取付性を考慮した
ものである。つまり、取付時にポンチ2の剪断部8の一
方の剪断壁13をスリット25に挿入し、その後180
°回転させて取り付けることができるようにしているの
である。油圧ピストン3と剪断機本体5との間の離間距
離が小さい場合の挿入取付性が良くなる。
【0034】ここで、具体的な寸法を例示すると、支持
部20の半径は、3/8インチのネジ外径に対応すべく
5mmに、また、挿入孔23の直径は、剪断幅Wに対し
て所定のクリアランスを持たせるために16mmに設定
されてなる。
【0035】以上の構成からなるポンチ1とダイス2
は、取付部7,19を取付ネジ4,6にて取り付けるこ
とにより、図1のように各々油圧ピストン3と剪断機本
体5とに固定でき、該固定状態では、ポンチ1の剪断部
8の横中心線Aと、ダイス2の支持部20の中心線とが
一致し、剪断するボルトPの軸方向とも一致するように
なる。
【0036】そして、図8のようにダイス2の支持部2
0に剪断するボルトPを載置したり、若しくは、剪断機
を横向きに使用する場合には剪断機を横方向に移動させ
てボルトPを支持部20に係合当接させた後、油圧ピス
トン3を油圧によって作動させてポンチ1をダイス2側
に前進させる。
【0037】ポンチ1が前進していくと、まず位置決め
突起16の中心がボルトPの外周に点接触する。該突起
16が接触すると、ボルトPが軸方向に微動し、ボルト
Pのネジ山と位置決め突起16とが自動的に係合する。
この際、位置決め突起16が縦中心軸Bから傾斜してな
るので容易に係合させることができる。
【0038】このように、位置決め突起16がボルトP
のネジ山に係合することにより、ボルトPの軸方向の位
置が決められ、上述したように、ポンチ1の両剪断刃部
17,17は、ボルトPのネジ部の剪断カス側のフラン
ク部Rを剪断する位置になる。つまり、ポンチ1を前進
させることで、自動的に且つ常に一定に剪断刃部17の
剪断位置が定まることになる。
【0039】更に、油圧を作動させてポンチ1をダイス
2側に前進させることにより、位置決め突起16がネジ
山を僅かに押し広げて完全に係合すると共に、押圧剪断
面15がボルトPのネジ山の頂部Tと当接する。そし
て、ボルトPはポンチ1の両剪断刃部17,17とダイ
ス2の両支持刃部24,24によって二箇所で剪断さ
れ、ポンチ1の剪断部8がダイス2の挿入孔23に挿入
して剪断が完了する。この剪断によって発生する剪断カ
スは、ダイス2の挿入孔23から剪断機本体5のカス排
出孔を通過して剪断機本体5の前方から排出される。
【0040】このようにして剪断されたボルトPは、第
一に、ポンチ1による剪断位置がフランク部Rであって
ネジ山の頂部Tではないので、剪断端部のネジ山の頂部
Tが左右に折れ曲がらずに、その形状が維持されるので
ある。特に、剪断位置がフランク部Rのうちでも谷底部
Qに近い所であるため、確実にネジ山を維持できるので
ある。
【0041】また、第二に、ダイス2に支持された側で
は、支持部20と半周に亘って係合し且つ支持部20が
平滑であるので、剪断時の押圧力によって一部分が変形
したりすることがない。従って、押圧力がネジ山の頂部
Tに分散されてネジ山の頂部Tが僅かに丸みを帯びる
が、左右への折れ曲がりは抑制される。
【0042】以上のように剪断後のボルトPの剪断端部
は、そのネジ山が潰れていないので、剪断端部からナッ
トを確実に螺入することができるのである。
【0043】更に、上記構成では、ポンチ1やダイス2
に雌ネジを設けていないので、長期間の使用によって雌
ネジのネジ山にカケが生じたりすることがなく、長期間
使用しても良好な剪断状態を得ることができる。そのう
え、雌ネジを加工する手間が省けるので、極めて容易に
且つ安価に製造することができるという利点がある。
【0044】また、このポンチ1とダイス2を使用する
と、M10のボルトPも良好に剪断することができる。
M10のメートル並目ネジの規格は、ネジ外径10m
m、ネジピッチ1.5mm、ネジ山の高さ0.812m
m、ネジ山の頂角60°だからである。
【0045】つまり、ダイス2の支持部20はM10と
も係合でき、ポンチ1も、位置決め突起16がネジ山と
係合でき且つ、該係合状態で剪断刃部17,17が外側
のフランク部R(剪断後使用する側のフランク部R)を
剪断する位置になって、具体的には、谷底部Qから1/
5の所を剪断することができるのである。かかる場合の
剪断位置も谷底部Qに極めて近いので確実にネジ山を維
持できるのである。
【0046】このように、ボルトPのネジの種類が異な
っても、ネジ外径やネジピッチがポンチ1とダイス2に
対応可能であれば、同一のポンチ1とダイス2とで良好
に剪断できる。また、無論、所望のボルトPのネジ外径
に合ったダイス2に取り替える、例えば、M8用のダイ
ス2に取り替えることで、ポンチ1を取り替えずに良好
に剪断できる。M8以外にも多種のボルトPが同様にし
て良好に剪断でき、何れにしても、ポンチ1の剪断刃部
17が谷底部Q若しくはフランク部Rを剪断すれば、剪
断後にナットが螺入できるのである。
【0047】但し、該剪断位置は、谷底部Qが最適位置
であり、フランク部Rを剪断する位置となる場合でも、
剪断端部のネジ山の保護の観点から、上記のように谷底
部Qに近い箇所が好ましい。
【0048】更に、フランク部Rを剪断する場合、具体
的には、特に、剪断カス側では谷底部Qから2/3ま
で、剪断後に使用する側では谷底部Qから1/2までを
剪断するようにすることが好ましく、該範囲内では、ネ
ジ山をより確実に保護できる。また、この範囲からもわ
かるように、フランク部Rであっても剪断カス側に剪断
位置がくるようにすることがより好ましいものである。
【0049】尚、上記実施形態では、ダイス2の支持部
20が半円に形成されていたが、例えばボルトPの外周
の1/4と係合するもの等、180°未満の係合であっ
てもよい。但し、上記の如く、ボルトPの外周の半周と
係合させることで、剪断時の押圧による部分的なネジ山
の頂部Tの膨らみ等の変形を確実に抑制できる利点があ
る。
【0050】また、ポンチ1も形状等を特に限定するも
のではなく、剪断刃部17がネジ山の頂部T以外を剪断
するよう構成されている範囲内で適宜設計変更可能であ
る。
【0051】例えば、位置決め突起16を縦中心軸Bか
ら傾斜させていないものや、また、位置決め突起16を
複数設けてもよい。但し、複数設けた場合には、良好に
剪断しうるボルトPの種類が減少することになるので、
上記実施形態のように、一箇所設けることが好ましい。
【0052】また、位置決め突起16以外の位置決め手
段を用いてもよく、剪断部8と離間したり、剪断部8か
ら独立して回動等させた構成でもよい。但し、上記の如
く、剪断刃部17と一体的に構成することにより、油圧
ピストン3による前進時に自動的にボルトPの軸方向を
維持決めできるという利点がある。尚、位置決め手段を
ダイス2に設けたり剪断機の別の部位に設けてもよい。
【0053】更に、押圧剪断面15も略平坦に形成せず
に両端部のみを突出させた形状であってもよく、また、
剪断壁13も凸状でなくても平坦等の種々の形状を採用
できる。即ち、剪断刃部17の形状は特に限定されるも
のではない。
【0054】何れにしても、剪断刃部17がネジ山の頂
部T以外を剪断するように形成されていればよく、これ
により、支持部20に雌ネジを有するダイス2も使用可
能となる。但し、かかる場合には、ダイス2の雌ネジに
よってボルトPの軸方向が位置決めされるので、雌ネジ
のネジ山と剪断刃部17との位置関係を合わせる必要が
ある。また、雌ネジの形成は加工上困難を伴ううえにカ
ケ等も生じるので、上記のように支持部20を実質的に
平滑に形成することが、製造上、剪断性能上からも好ま
しい。
【0055】尚、上記実施形態では、ボルトPをダイス
2の支持部20で二点支持し、ダイス2の支持刃部2
4,24とポンチ1の剪断刃部17,17とでボルトP
を所定長さ打ち抜く構成について説明したが、剪断カス
が発生しない構成、即ち、ポンチ1とダイス2に各々刃
部を一箇所設けた構成でもよい。更に、剪断機は、電動
に限らず手動であってもよい。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る剪断機にあ
っては、位置決め手段が設けられてなるので、剪断する
ボルトの軸方向の位置を確実に決めて剪断することがで
きる。しかも、位置決めされた状態でポンチがボルトの
ネジ山の頂部以外の箇所を剪断するので、ネジ山が剪断
によって潰れるおそれがないのである。
【0057】従って、剪断されたボルトのネジ部に、雌
ネジを有するナット等の螺合体を確実に螺入することが
できるのである。
【0058】このように、本発明に係る剪断機にあって
は、ポンチの剪断位置を位置決め手段による位置決めと
の関係において特定することにより、ポンチによる剪断
位置を常に最適な状態とすることができ、ボルトのネジ
山を潰すことなく剪断することができるという従来には
ない格別の効果を奏するのである。
【0059】また、請求項2記載のポンチにあっては、
位置決め手段がボルトを位置決めした際に、剪断刃部
は、ボルトのネジ部の谷底部若しくはフランク部を剪断
する位置になるよう構成されてなるので、剪断刃部がボ
ルトのネジ部のネジ山の頂部以外の部分を剪断すること
となり、ネジ山を押しつぶすことなく剪断できるという
効果を奏する。また、位置決め手段がポンチ自体に設け
られてなるので、剪断機に別途位置決め手段を設ける必
要もなくなる。
【0060】また、請求項3記載のダイスにあっては、
ボルトのネジ部の外周を支持するための支持部を有し、
該支持部がネジ部の外周と係合可能なように円弧状に形
成されてなるので、ボルトのネジ部の外周をガタつきな
く確実に支持することができる。しかも、支持部には雌
ネジが形成されずに平滑であるので、ネジ山の頂部を均
等に支持することができ、また、ネジ山の頂部は左右に
折れ曲がらずに丸みを帯びるので、ナット等も確実に螺
入できるのである。更に、雌ネジが使用途中にかけたり
するおそれがないので、長期間一定の剪断状態を得るこ
とができる。
【0061】特に、雌ネジを形成せずに済むので、支持
部の加工が極めて容易で且つ高精度に加工できるので、
係合状態が良好になるうえに、低コストにできるという
従来にはない特有の効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における剪断機の要部を示
し、(イ)は正面図、(ロ)は側面図。
【図2】一実施形態の剪断機のポンチを示す正面図。
【図3】同底面図。
【図4】同平面図。
【図5】同要部拡大図。
【図6】一実施形態の剪断機のダイスを示す平面図。
【図7】同側面図。
【図8】一実施形態の剪断機の使用状態を要部正面図。
【図9】従来の剪断機の要部を示す正面図。
【符号の説明】
1…ポンチ、2…ダイス、16…位置決め突起(位置決
め手段)、17…剪断刃部、20…支持部、Q…谷底
部、R…フランク部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 剪断機
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺状のボルトの
ネジ部を剪断するための剪断機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の剪断機としては、例え
ば、特開平6−218619号公報所載のものがある。
【0003】該公報所載の剪断機は、図9に示す如く、
ボルトPを剪断するためのポンチ51とダイス52とが
対向して設けられ、ポンチ51は、ピストンロッド53
の先端に取り付けられて出退自在になっており、ダイス
52は、剪断機本体54に固定されてなる。
【0004】ダイス52は、ポンチ51の先端が挿入さ
れるスリット55と、ボルトPを軸方向に二点支持すべ
くスリット55の両端の円弧状の凹溝56,56とを有
してなる。つまり、ダイス52の各々の凹溝56のスリ
ット55側端部が受け側の支持刃部となり、ポンチ51
の先端の両端部57,57が押圧側の剪断刃部となる。
また、ダイス52の凹溝56には、ボルトPと対応する
雌ネジ58が形成されてなる。
【0005】そして、ダイス52の凹溝56にボルトP
を載置し、ピストンロッド53を作動させると、ポンチ
51がダイス52に向かって下降してボルトPをダイス
52側に押圧し、ポンチ51の剪断刃部とダイス52の
支持刃部とで、ボルトPを軸方向の二箇所で剪断する。
【0006】該剪断によってボルトPは軸方向に分断さ
れると共に、剪断刃部間に相当する長さ分が剪断カスと
なって排出される。
【0007】また、分断された左右のボルトPは、剪断
箇所からナットが螺入されて締結具として使用される。
従って、この種の剪断機には、ボルトPのネジ山を潰さ
ずに剪断できる性能が求められる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来の
剪断機では、ダイス52側ではなく、ポンチ51の剪断
位置、即ち、ポンチ51の剪断刃部とボルトPのネジ山
との関係が定まっていないために、剪断されたボルトP
の剪断端部において、ネジ山の頂部が隣のネジ山側に曲
がったり、周方向に沿って湾曲したりする場合があっ
た。
【0009】即ち、上記剪断機でボルトPを剪断する
と、ポンチ51の剪断刃部がボルトPのネジ山の頂部を
押圧剪断する場合があり、該場合に、上述の如きネジ山
の頂部がボルトPの軸方向に折れ曲がったりして、ナッ
トを螺入できない場合が生じたのである。
【0010】また、受け側であるダイス52の方に着目
すれば、ネジ山の保護を目的として凹溝56に雌ネジ5
8が設けられているが、凹溝56に雌ネジ58を高精度
に形成することは加工上極めて困難である。そのうえ、
長期間の繰り返し剪断によっては、雌ネジ58の一部に
カケが生じたり摩耗したりすることがある。その結果、
ボルトPのネジ山が剪断時に部分的に潰れるおそれもあ
った。
【0011】何れにしても、上記従来の剪断機では、ボ
ルトPのネジ部をネジ山を潰さずに剪断することに関し
て必ずしも最適な構成になっていなかったのである。
【0012】そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み
てなされたもので、ネジ山を潰すことなくボルトのネジ
部を剪断できるようにすることを課題とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の剪断機は、ボル
トのネジ部を剪断すべく、剪断機本体5に固定され且つ
ボルトのネジ部の外周と係合してその外周を支持する円
弧状の支持部20が形成されたダイス2と、該ダイス2
側に向かって出退自在で且つボルトを押圧剪断するため
の剪断刃部17が先端に形成されたポンチ1とを備え
なる剪断機であって、前記ポンチの前進時にボルトの軸
方向の位置を自動的に決めて前記剪断刃部17がボルト
のネジ部の谷底部Q若しくはフランク部Rを剪断するよ
う、ポンチ1の先端には、雌ネジが形成されずに、ボル
トのネジ山と係合可能な位置決め突起16が一箇所形成
され、且つ、ダイス2の支持部20は、雌ネジが形成さ
れずに実質的に平滑に形成されてなることを特徴とす
る。
【0014】該構成の剪断機では、剪断されるボルトが
位置決め突起16によって軸方向に位置決められ、位置
決めされた状態でポンチ1がボルトのネジ部のネジ山の
頂部以外の箇所を剪断する。従って、ポンチ1がネジ山
の頂部を剪断しないので、該頂部が隣のネジ山側に曲が
ったりすることなくネジ部を確実に剪断することができ
る。しかも、位置決め突起16が設けられてなるので、
ポンチ1による剪断位置は常に一定の位置に定まり、常
にポンチ1がネジ山の頂部以外の箇所を剪断することと
なる。
【0015】また、支持部20によって支持されたボル
トは、ネジ部の外周が支持部20と係合する。従って、
ボルトのネジ部の外周が支持部20に確実に支持されて
ガタつきが抑制された状態で、ボルトのネジ部を剪断す
ることが可能となる。
【0016】しかも、支持部20には雌ネジが形成され
ずに平滑であるので、ボルトのネジ部のネジ山の頂部が
均等に受け止められ、剪断時の押圧力が各頂部に分散す
るので、剪断による頂部の折れ曲がりが抑制される。
【0017】更に、支持部20に雌ネジが形成されてい
ないので、剪断作業を繰り返しても支持部20は使用初
期の状態に維持される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参酌しつつ説明する。本実施形態における剪断
機は、手持ち式電動油圧パンチャー等の公知の孔あけ工
具のパンチャー部分に、図1の如く、ボルトPのネジ部
を剪断するためのポンチ1とダイス2を取り付けること
により、ボルトPを剪断できるようにした剪断機であ
る。即ち、該剪断機には、ポンチ1とダイス2が対向し
て取り付けれられてなり、ポンチ1は、油圧ピストン3
の先端に取付ネジ4で取り付けられてダイス2側に向か
って出退自在になっており、一方、ダイス2は剪断機本
体5に取付ネジ6にて固定されてなる。以下、ポンチ1
とダイス2の構成について順に説明する。
【0019】まず、ポンチ1は、図2に示す如く、基端
部が前記油圧ピストン3に取り付けられる取付部7で、
先端部がダイス2と協動してボルトPを剪断するための
剪断部8となっており、全体として円柱形状を基調とし
た形状になっている。
【0020】取付部7は、図2及び図4に示す如く、取
付ネジ4の先端と係合する凹溝9が周設された円筒部1
0と、円筒部10の剪断部8側に位置する横長の矩形部
11とからなり、該矩形部11の長手方向に沿った側面
12,12は、互いに平行に且つ中心から同寸法に形成
されてなり、油圧ピストン3に取り付ける際の取付位置
と取付角度を決めるガイド面となっている。以下、詳細
な説明において、図4に示す矩形部11の長手方向の中
心線を横中心線A、短手方向の中心線を縦中心線Bと呼
ぶこととする。
【0021】剪断部8は、図2及び図3に示す如く、前
記取付部7の矩形部11と同様に、一対の凸円弧状の剪
断壁13,13と前記横中心線Aと平行な一対の平側壁
14,14とから、ポンチ1の中心軸方向に沿って断面
積が一定の形状になっている。更に、その先端は、ボル
トPのネジ部の外周を押圧剪断するための押圧剪断面1
5であり、該押圧剪断面15は、ポンチ1の軸中心と直
交してなり、その中心には、断面視三角形状の位置決め
突起16が両平側壁14,14間に直線的に形成されて
なる。該位置決め突起16の長手方向は、縦中心線Bに
対して僅かに傾斜してなり、その傾斜角αは、剪断する
ボルトPのネジ山のリード角に対応した角度に設定され
てなる。また、押圧剪断面15の横中心線A上の両端部
がポンチ1の剪断刃部17,17であり、位置決め突起
16がボルトPのネジ部と係合してボルトPの軸方向の
位置が決まると、剪断刃部17,17は、ボルトPのネ
ジ部のフランク部Rを剪断する位置になるようになって
いる。(図5参照)
【0022】ここで、具体的な寸法関係を例示して説明
する。本実施形態のポンチは、主に3/8インチのウィ
ットネジを剪断できるように設計されたものである。従
って、3/8インチネジの規格、即ち、ネジ外径9.5
25mm、ネジピッチ1.5875mm、ネジ山の高さ
1.016mm、ネジ山の頂角55°に基づいた形状と
なっている。
【0023】まず、両剪断刃部17,17間の距離、即
ち剪断幅Wを15.3mmに設定している。従って、位
置決め突起16の中心から各剪断刃部17までの距離
は、7.65mmとなる。
【0024】そこで、図5に示す如く、位置決め突起1
6がボルトPのネジ山と係合した際に、剪断刃部17
は、位置決め突起16側(排出される剪断カス側)のフ
ランク部Rと対向する位置になり、その剪断位置は、谷
底部Qから約1/3の所になる。
【0025】また、位置決め突起16の頂角を60°
に、押圧剪断面15からの突出量を1mmに設定してい
る。頂角がボルトPのネジ山の頂角よりも若干大きいの
で、位置決め突起16がネジ山に係合しても、位置決め
突起16の斜面はネジ山のフランク部Rに面接触せず、
且つ、押圧剪断面15もボルトPのネジ山の頂部Tには
当接しない。しかし、頂角の差が5°と小さいことか
ら、剪断時の押圧力で位置決め突起16が係合部分のネ
ジ山を左右に押し広げて剪断していくので問題はない。
尚、該位置決め突起16の寸法については後述する。
【0026】更に、両平側壁14,14間の距離は、ネ
ジ外径9.525mmよりも幅広にするため11.5m
mに設定している。また、位置決め突起16の傾斜角α
は3°に設定している。
【0027】次に、ダイス2について図5及び図6を用
いて説明する。ダイス2は、取付ネジ6の先端と係合す
る凹溝18が周設された円柱状の取付部19と、ボルト
Pのネジ部の外周を支持するための支持部20と、ポン
チ1の剪断部8が挿入可能な挿入部としての挿入孔23
とを有してなる。また、支持部20が形成された支持ベ
ース21の側面22は、剪断機本体5の取付側壁と当接
してダイス2の角度と位置を決めるためのガイド面であ
る。
【0028】支持部20は、ダイス2の中心に位置する
挿入孔23の両側に左右一対形成されてなり、ボルトP
のネジ部の外周と係合可能なように円弧状に形成されて
なる。より具体的には、支持部20は、剪断するボルト
Pのネジ外径と同一若しくは僅かに大きい半円状に形成
されて、剪断するボルトPの外周の半周と係合するよう
になっている。更に、該凹状に形成された両支持部2
0,20は、高さと半径が同一に形成されて、ボルトP
を軸方向に沿って二点で平行に支持するようになってお
り、且つ、挿入孔23側の端部がボルトPを剪断する箇
所、即ち、ダイス2側の支持刃部24,24となってい
る。また、該支持部20には雌ネジが形成されておら
ず、実質的に平滑に形成されてなる。
【0029】挿入孔23は、剪断時のボルトPの剪断カ
スを排出するために、ダイス2の中心軸(取付部19の
中心軸)に沿って貫通してなり、ポンチ1の剪断部8よ
りも僅かに大きく設定されてなる。
【0030】更に、支持ベース21の支持部20が形成
された面には、支持部20と直交するスリット25が形
成されてなる。該スリット25の幅は、ポンチ1の剪断
部8の両平側壁14,14間の距離よりも大きくなって
おり、ダイス2を剪断機本体5に取り付けた後、ポンチ
1を油圧ピストン3に取り付ける際の取付性を考慮した
ものである。つまり、取付時にポンチ2の剪断部8の一
方の剪断壁13をスリット25に挿入し、その後180
°回転させて取り付けることができるようにしているの
である。油圧ピストン3と剪断機本体5との間の離間距
離が小さい場合の挿入取付性が良くなる。
【0031】ここで、具体的な寸法を例示すると、支持
部20の半径は、3/8インチのネジ外径に対応すべく
5mmに、また、挿入孔23の直径は、剪断幅Wに対し
て所定のクリアランスを持たせるために16mmに設定
されてなる。
【0032】以上の構成からなるポンチ1とダイス2
は、取付部7,19を取付ネジ4,6にて取り付けるこ
とにより、図1のように各々油圧ピストン3と剪断機本
体5とに固定でき、該固定状態では、ポンチ1の剪断部
8の横中心線Aと、ダイス2の支持部20の中心線とが
一致し、剪断するボルトPの軸方向とも一致するように
なる。
【0033】そして、図8のようにダイス2の支持部2
0に剪断するボルトPを載置したり、若しくは、剪断機
を横向きに使用する場合には剪断機を横方向に移動させ
てボルトPを支持部20に係合当接させた後、油圧ピス
トン3を油圧によって作動させてポンチ1をダイス2側
に前進させる。
【0034】ポンチ1が前進していくと、まず位置決め
突起16の中心がボルトPの外周に点接触する。該突起
16が接触すると、ボルトPが軸方向に微動し、ボルト
Pのネジ山と位置決め突起16とが自動的に係合する。
この際、位置決め突起16が縦中心軸Bから傾斜してな
るので容易に係合させることができる。
【0035】このように、位置決め突起16がボルトP
のネジ山に係合することにより、ボルトPの軸方向の位
置が決められ、上述したように、ポンチ1の両剪断刃部
17,17は、ボルトPのネジ部の剪断カス側のフラン
ク部Rを剪断する位置になる。つまり、ポンチ1を前進
させることで、自動的に且つ常に一定に剪断刃部17の
剪断位置が定まることになる。
【0036】更に、油圧を作動させてポンチ1をダイス
2側に前進させることにより、位置決め突起16がネジ
山を僅かに押し広げて完全に係合すると共に、押圧剪断
面15がボルトPのネジ山の頂部Tと当接する。そし
て、ボルトPはポンチ1の両剪断刃部17,17とダイ
ス2の両支持刃部24,24によって二箇所で剪断さ
れ、ポンチ1の剪断部8がダイス2の挿入孔23に挿入
して剪断が完了する。この剪断によって発生する剪断カ
スは、ダイス2の挿入孔23から剪断機本体5のカス排
出孔を通過して剪断機本体5の前方から排出される。
【0037】このようにして剪断されたボルトPは、第
一に、ポンチ1による剪断位置がフランク部Rであって
ネジ山の頂部Tではないので、剪断端部のネジ山の頂部
Tが左右に折れ曲がらずに、その形状が維持されるので
ある。特に、剪断位置がフランク部Rのうちでも谷底部
Qに近い所であるため、確実にネジ山を維持できるので
ある。
【0038】また、第二に、ダイス2に支持された側で
は、支持部20と半周に亘って係合し且つ支持部20が
平滑であるので、剪断時の押圧力によって一部分が変形
したりすることがない。従って、押圧力がネジ山の頂部
Tに分散されてネジ山の頂部Tが僅かに丸みを帯びる
が、左右への折れ曲がりは抑制される。
【0039】以上のように剪断後のボルトPの剪断端部
は、そのネジ山が潰れていないので、剪断端部からナッ
トを確実に螺入することができるのである。
【0040】更に、上記構成では、ポンチ1やダイス2
に雌ネジを設けていないので、長期間の使用によって雌
ネジのネジ山にカケが生じたりすることがなく、長期間
使用しても良好な剪断状態を得ることができる。そのう
え、雌ネジを加工する手間が省けるので、極めて容易に
且つ安価に製造することができるという利点がある。
【0041】また、このポンチ1とダイス2を使用する
と、M10のボルトPも良好に剪断することができる。
M10のメートル並目ネジの規格は、ネジ外径10m
m、ネジピッチ1.5mm、ネジ山の高さ0.812m
m、ネジ山の頂角60°だからである。
【0042】つまり、ダイス2の支持部20はM10と
も係合でき、ポンチ1も、位置決め突起16がネジ山と
係合でき且つ、該係合状態で剪断刃部17,17が外側
のフランク部R(剪断後使用する側のフランク部R)を
剪断する位置になって、具体的には、谷底部Qから1/
5の所を剪断することができるのである。かかる場合の
剪断位置も谷底部Qに極めて近いので確実にネジ山を維
持できるのである。
【0043】このように、ボルトPのネジの種類が異な
っても、ネジ外径やネジピッチがポンチ1とダイス2に
対応可能であれば、同一のポンチ1とダイス2とで良好
に剪断できる。また、無論、所望のボルトPのネジ外径
に合ったダイス2に取り替える、例えば、M8用のダイ
ス2に取り替えることで、ポンチ1を取り替えずに良好
に剪断できる。M8以外にも多種のボルトPが同様にし
て良好に剪断でき、何れにしても、ポンチ1の剪断刃部
17が谷底部Q若しくはフランク部Rを剪断すれば、剪
断後にナットが螺入できるのである。
【0044】但し、該剪断位置は、谷底部Qが最適位置
であり、フランク部Rを剪断する位置となる場合でも、
剪断端部のネジ山の保護の観点から、上記のように谷底
部Qに近い箇所が好ましい。
【0045】更に、フランク部Rを剪断する場合、具体
的には、特に、剪断カス側では谷底部Qから2/3ま
で、剪断後に使用する側では谷底部Qから1/2までを
剪断するようにすることが好ましく、該範囲内では、ネ
ジ山をより確実に保護できる。また、この範囲からもわ
かるように、フランク部Rであっても剪断カス側に剪断
位置がくるようにすることがより好ましいものである。
【0046】尚、上記実施形態では、ダイス2の支持部
20が半円に形成されていたが、例えばボルトPの外周
の1/4と係合するもの等、180°未満の係合であっ
てもよい。但し、上記の如く、ボルトPの外周の半周と
係合させることで、剪断時の押圧による部分的なネジ山
の頂部Tの膨らみ等の変形を確実に抑制できる利点があ
る。
【0047】また、ポンチ1も形状等を特に限定するも
のではなく、剪断刃部17がネジ山の頂部T以外を剪断
するよう構成されている範囲内で適宜設計変更可能であ
る。
【0048】例えば、位置決め突起16を縦中心軸Bか
ら傾斜させなくてもよい。但し、位置決め突起16を
数設けた場合には、良好に剪断しうるボルトPの種類が
減少することになるので、上記実施形態のように、一箇
所設けることが好ましい。
【0049】また、剪断刃部17と一体的に構成するこ
とにより、油圧ピストン3による前進時に自動的にボル
トPの軸方向を維持決めできるという利点がある。
【0050】更に、押圧剪断面15も略平坦に形成せず
に両端部のみを突出させた形状であってもよく、また、
剪断壁13も凸状でなくても平坦等の種々の形状を採用
できる。即ち、剪断刃部17の形状は特に限定されるも
のではない。
【0051】何れにしても、剪断刃部17がネジ山の頂
部T以外を剪断するように形成されていればよい。
【0052】尚、上記実施形態では、ボルトPをダイス
2の支持部20で二点支持し、ダイス2の支持刃部2
4,24とポンチ1の剪断刃部17,17とでボルトP
を所定長さ打ち抜く構成について説明したが、剪断カス
が発生しない構成、即ち、ポンチ1とダイス2に各々刃
部を一箇所設けた構成でもよい。更に、剪断機は、電動
に限らず手動であってもよい。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る剪断機にあ
っては、位置決め突起が設けられてなるので、剪断する
ボルトの軸方向の位置を確実に決めて剪断することがで
きる。しかも、位置決めされた状態でポンチがボルトの
ネジ山の頂部以外の箇所を剪断するので、ネジ山が剪断
によって潰れるおそれがないのである。
【0054】従って、剪断されたボルトのネジ部に、雌
ネジを有するナット等の螺合体を確実に螺入することが
できるのである。
【0055】このように、本発明に係る剪断機にあって
は、ポンチの剪断位置を位置決め突起による位置決めと
の関係において特定することにより、ポンチによる剪断
位置を常に最適な状態とすることができ、ボルトのネジ
山を潰すことなく剪断することができるという従来には
ない格別の効果を奏するのである。特に、ポンチとダイ
スに雌ネジを設けずに、ポンチに位置決め突起を一箇所
設けることにより、ボルトのネジの種類が異なっても、
例えば、3/8インチのウィットネジとM10のメート
ル並目ネジのようにネジ外径やネジピッチがポンチとダ
イスに対応可能であれば、同一のポンチとダイスで良好
に剪断でき、また、所望のボルトのネジ外径に合ったダ
イスに取り替えることでポンチを取り替えずに良好に剪
断でき、多種のボルトが良好に剪断できる。
【0056】また、位置決め突起がポンチ自体に設けら
れてなるので、剪断機に別途位置決め手段を設ける必要
もなく、ポンチを前進させることで、ネジ山に位置決め
突起が係合し、自動的に且つ常に一定に剪断刃部の剪断
位置が定まる。更に、ダイスの支持部に雌ネジが設けら
れていないので、ボルトが軸方向に微動してネジ山と位
置決め突起とが自動的に係合する。
【0057】また、ボルトのネジ部の外周を支持するた
めの支持部を有し、該支持部がネジ部の外周と係合可能
なように円弧状に形成されてなるので、ボルトのネジ部
の外周をガタつきなく確実に支持することができる。し
かも、支持部には雌ネジが形成されずに平滑であるの
で、ネジ山の頂部を均等に支持することができ、また、
ネジ山の頂部は左右に折れ曲がらずに丸みを帯びるの
で、ナット等も確実に螺入できるのである。更に、雌ネ
ジが使用途中にかけたりするおそれがないので、長期間
一定の剪断状態を得ることができる。
【0058】特に、雌ネジを形成せずに済むので、支持
部の加工が極めて容易で且つ高精度に加工できるので、
係合状態が良好になるうえに、低コストにできるという
従来にはない特有の効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における剪断機の要部を示
し、(イ)は正面図、(ロ)は側面図。
【図2】一実施形態の剪断機のポンチを示す正面図。
【図3】同底面図。
【図4】同平面図。
【図5】同要部拡大図。
【図6】一実施形態の剪断機のダイスを示す平面図。
【図7】同側面図。
【図8】一実施形態の剪断機の使用状態を要部正面図。
【図9】従来の剪断機の要部を示す正面図。
【符号の説明】 1…ポンチ、2…ダイス、16…位置決め突起(位置決
め手段)、17…剪断刃部、20…支持部、Q…谷底
部、R…フランク部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボルトのネジ部を剪断するためのポンチ
    (1)とダイス(2)とが設けられてなる剪断機であっ
    て、ボルトの軸方向の位置を決めるための位置決め手段
    (16)が設けられてなり、しかも、ボルトが位置決め
    手段(16)によって位置決めされた際に、ポンチ
    (1)は、ボルトのネジ部の谷底部(Q)若しくはフラ
    ンク部(R)を剪断するよう構成されてなることを特徴
    とする剪断機。
  2. 【請求項2】 ボルトのネジ部を剪断するための剪断刃
    部(17)と、ボルトの軸方向の位置を決めるための位
    置決め手段(16)とが設けられ、且つ、位置決め手段
    (16)がボルトを位置決めした際に、剪断刃部(1
    7)は、ボルトのネジ部の谷底部(Q)若しくはフラン
    ク部(R)を剪断する位置になるよう構成されてなるこ
    とを特徴とするポンチ。
  3. 【請求項3】 ボルトのネジ部の外周を支持するための
    支持部(20)を有してなり、支持部(20)は、ボル
    トのネジ部の外周と係合可能なように円弧状に形成さ
    れ、しかも、支持部(20)は、実質的に平滑に形成さ
    れてなることを特徴とするダイス。
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CN102601448A (zh) * 2011-12-09 2012-07-25 太原矿山机器集团有限公司 飞剪刀片防松机构
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