JPH11330505A - 半導体光電変換装置とその製造方法 - Google Patents

半導体光電変換装置とその製造方法

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JPH11330505A
JPH11330505A JP10138447A JP13844798A JPH11330505A JP H11330505 A JPH11330505 A JP H11330505A JP 10138447 A JP10138447 A JP 10138447A JP 13844798 A JP13844798 A JP 13844798A JP H11330505 A JPH11330505 A JP H11330505A
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JP
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layer
carbon
concentration
light receiving
receiving layer
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JP10138447A
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English (en)
Inventor
Keitaro Shigenaka
圭太郎 重中
Keiichi Matsushita
景一 松下
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保護層の比抵抗値が低く、ダイオード特性の抵
抗面積値積が低く、高品質の半導体光電変換装置を形成
することが困難であった。 【解決手段】単結晶CdZnTeからなる基板11上に
は化学気相成長法により、HgCdTeからなる受光層
12が形成される。この受光層12と連続してCdTe
からなる保護層13が形成される。受光層12内の導電
領域14にはインジウム電極15が接続される。保護層
13には炭素が例えば2×1019cm-3の濃度で添加さ
れ、高比抵抗とされている。したがって、ダイオード特
性の抵抗面積値積を高くでき、高品質の半導体光電変換
装置を形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化合物半導体装置に
係り、特に赤外線を受光する半導体光電変換装置とその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来の半導体光電変換装置を示
すものであり、最も代表的なHgCdTeを材料として
用いた赤外線受光素子の一例を示している。図9におい
て、例えばCdZnTeからなる基板101の上にはH
1-x Cdx Te(0≦x<1)からなる受光層102
が形成されている。この受光層102の表面にはCd
1-y Zny Te(0≦y≦1)からなる保護層103が
形成され、受光層102の内部には不純物が導入された
導電領域104が形成され、この導電領域104に電極
105が形成されている。
【0003】図9に示す赤外線受光素子は、Hg1-x
x Te(0≦x<1)102の表面に、表面再結合密
度を減少させるため、禁制帯幅の広いCd1-y Zny
e(0≦y≦1)を保護層103として形成している。
しかし、このCd1-y ZnyTe(0≦y≦1)からな
る保護層103は不純物を導入しない無添加層である。
このため、保護層103の比抵抗値が低く、ダイオード
特性の抵抗面積値積(R0 A)が低く、赤外線受光素子
として十分な特性が得られなかった。
【0004】一方、図10は、Hg1-x Cdx Teを材
料として用いた従来の他の赤外線受光素子を示すもので
あり、図9と同一部分には同一符号を付す。図10に示
すように、Cd1-y Zny Teからなる基板101上
に、格子定数の等しいHgCdTeを例えばエピタキシ
ャル成長して受光層102が形成され、この受光層10
2にイオン注入等の手法を用いて、受光層102と異な
る導電型の導電領域104が形成されている。受光層1
02の表面にはCd1-y Zny Te(0≦y≦1)から
なる保護層103が形成され、前記導電領域104に電
極105が形成されている。上記受光層102での光電
変換効率を向上させるため、受光層102としてのHg
1-x Cdx Te中の転位密度を減少する必要があること
が一般的に知られている。そのため、受光層(Hg1-x
Cdx Te)102と基板(Cd1-y Zny Te)10
1の格子定数を±0.1%以内で一致させることが必要
である。
【0005】図11は、さらに別の従来例を示すもので
あり、図10と同一部分には同一符号を付す。この例
は、Hg1-x Cdx Teからなる受光層102と格子定
数が一致しないCd1-y Zny TeやCdTeからなる
基板101をやむを得ず使用する場合を示している。こ
の場合、基板101と受光層102との間にCd1-y
y Teからなる緩衝層106が例えばエピタキシャル
成長によって形成されている。しかし、このCd1-y
y Teの緩衝層106は結晶の品質が悪く、基板10
1と比較して2倍以上の転位密度を有している。したが
って、その緩衝層106上に成長したHgCdTeから
なる受光層102の転位密度は、格子定数の異なったC
1-y Zny TeやCdTe基板上に直接成長したHg
CdTe層のそれより多く、赤外線素子特性を比較した
場合においても、緩衝層106上に成長したHgCdT
eウェハに形成した素子のほうが、格子定数の異なった
Cd1-y Zny TeやCdTe基板上に直接成長したH
gCdTe層に素子を形成した場合に比べて劣ってい
た。
【0006】また、Cd1-y Zny Teからなる緩衝層
106のキャリア濃度は、基板101のそれより高いた
め比抵抗が低く、基板101の底面から入射した赤外線
によって基板101中で生成されたキャリアが導電領域
104に達したり、受光層102中で再結合することに
よって雑音を発生する原因となっていた。したがって、
受光層102と格子定数の差を±0.1%以内に設定し
たCd1-y Zny Teからなる緩衝層を積層して赤外線
受光素子を製造することはなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来は
有機化合物を原料に用いる化学気相成長法で成長したH
gCdTe層をウェハとして用いた場合、保護層の比抵
抗値が低く、ダイオード特性の抵抗面積値積(R0 A)
が低く、高品質の赤外線受光素子を形成することが困難
であった。
【0008】さらに、緩衝層を有する構成の場合、高比
抵抗の緩衝層を形成することが困難であり、感度が高い
赤外線受光素子を形成することが困難であった。本発明
は、上記課題を解決するためになされたものであり、そ
の目的とするところは、高比抵抗値の保護層を形成する
ことができ、ダイオード特性の抵抗面積値積(R0 A)
を向上し得るとともに、緩衝層を有する構成の場合、高
抵抗の緩衝層を形成することができ、感度を向上するこ
とが可能な半導体光電変換装置とその製造方法を提供し
ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、第1の化合物半導体からなる基板と、前記基
板上に形成される第2の化合物半導体からなる受光層
と、前記受光層の表面領域内に形成され、受光層と異な
る導電型の導電領域と、前記導電領域に接続された電極
と、前記受光層上に形成され、前記受光層内の炭素濃度
より高い濃度の炭素が添加された保護層とを具備してい
る。
【0010】また、本発明は、第1の化合物半導体から
なる基板と、前記基板上に形成され、前記第1の化合物
半導体と格子定数がほぼ等しい第2の化合物半導体から
なる受光層と、前記受光層上に形成され、前記受光層に
含まれる炭素濃度より高い濃度の炭素を含み、この炭素
の濃度が表面に近接するに従い高くされた前記第2の化
合物半導体からなる中間層と、前記中間層の表面領域内
に形成され、受光層と異なる導電型の導電領域と、前記
導電領域に接続された電極と、前記受光層上に形成さ
れ、少なくとも前記中間層内の炭素濃度とより高い濃度
の炭素が添加された保護層とを具備している。
【0011】前記受光層に含まれる炭素の濃度はほぼ5
×1017cm-3以下であり、前記保護層に含まれる炭素
の濃度はほぼ1×1919cm-3以上である。前記中間層
の禁制帯幅は、前記炭素濃度の変化に従って増加する。
【0012】また、本発明は、受光層を禁制帯幅の広い
半導体基板上に形成する半導体光電変換装置であって、
前記半導体基板と前記受光層の相互間に、前記受光層に
含まれる炭素の濃度より高い濃度の炭素を含む緩衝層を
具備している。
【0013】前記受光層中に含まれる炭素の濃度は、ほ
ぼ5×1017cm-3以下であり、前記緩衝層中に含まれ
る炭素の濃度は1×1019cm-3以上である。前記受光
層と前記緩衝層の相互間に形成された中間層をさらに含
み、前記中間層中に含まれる炭素の濃度は半導体基板側
が1×1019cm-3以上で、受光層側が5×1017cm
-3以下であり、前記緩衝層側から受光層側に徐々に濃度
が変化している。
【0014】前記緩衝層は、格子定数がほぼ等しい半導
体基板上に形成される。前記緩衝層は、格子定数が異な
る半導体基板上に形成される。さらに本発明は、禁制帯
幅の広い半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、
前記半導体基板に含まれる炭素の濃度より高い濃度の炭
素を含む緩衝層と、前記緩衝層上に形成され、前記半導
体基板に含まれる炭素の濃度より高く前記緩衝層に含ま
れる炭素の濃度より低い濃度の炭素を含む第1の中間層
と、前記第1の中間層上に形成され、前記第1の中間層
と格子定数がほぼ等しい受光層と、前記受光層上に形成
され、前記受光層に含まれる炭素濃度より高い濃度の炭
素を含み、この炭素の濃度が表面に近接するに従い高く
された前記第2の中間層と、前記第2の中間層の表面領
域内に形成され、受光層と異なる導電型の導電領域と、
前記導電領域に接続された電極と、前記第2の中間層上
に形成され、少なくとも前記第2の中間層内の炭素濃度
より高い濃度の炭素が添加された保護層とを具備してい
る。
【0015】本発明の方法は、有機化合物を原料とした
化学気相成長法により、基板上に受光層を成長する工程
と、前記有機化合物に炭素を含むガスを供給し、前記受
光層上に前記受光層内の炭素濃度より高い濃度の炭素が
添加された保護層を形成する工程と、前記保護膜の一部
を除去し、前記受光層の表面領域を露出させる工程と、
前記受光層の表面領域内に不純物を導入し、前記受光層
と異なる導電型の導電領域を形成する工程と、前記導電
領域に接続された電極を形成する工程とを具備してい
る。
【0016】また、本発明の方法は、有機化合物を原料
とした化学気相成長法により、基板上に受光層を成長す
る工程と、前記受光層上に前記受光層内の炭素濃度より
高く、膜の成長に従って高い濃度の炭素が添加された中
間層を形成する工程と、前記中間層の上に少なくとも前
記中間層内より高い濃度の炭素を含む保護膜を形成する
工程と、前記保護膜の一部を除去し、前記受光層の表面
領域を露出させる工程と、前記受光層の表面領域内に不
純物を導入し、前記受光層と異なる導電型の導電領域を
形成する工程と、前記導電領域に接続された電極を形成
する工程とを具備している。
【0017】前記中間層を形成する工程は、前記受光層
の成長終了前に、前記有機化合物に炭素を含むガスを徐
々に供給する。前記中間層を形成する工程は、前記受光
層の成長終了前に、前記受光層の成長温度を低下する。
【0018】また、本発明の方法は、有機化合物を原料
とした化学気相成長法により、基板上に第1の化合物半
導体からなり、基板より濃度の高い炭素を含む緩衝層を
成長する工程と、前記緩衝層上に第2の化合物半導体か
らなり、前記緩衝層内の炭素濃度より低い濃度の炭素が
添加された受光層を形成する工程と、前記受光層の表面
領域内に不純物を導入し、前記受光層と異なる導電型の
導電領域を形成する工程と、前記受光層の上に少なくと
も前記受光層内より高い濃度の炭素を含む保護膜を形成
する工程と、前記保護膜の一部を除去し、前記導電領域
を露出させる工程と、前記導電領域に接続された電極を
形成する工程とを具備している。
【0019】前記有機化合物は、炭素を含むガスを有す
ることを特徴とする。前記緩衝層を形成する工程は、正
規の成長温度より低い温度に設定され、前記緩衝層を形
成した後、正規の成長温度を設定して前記緩衝層の上に
緩衝層より濃度の低い炭素を含む中間層を形成する工程
を含むことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。有機化合物を原料に用いた
化学気相成長法で成長した化合物半導体中には有機化合
物原料から炭素が混入することが知られている(G.B.St
ringfellow ORGANOMETALLIC VAPOR −PHASE EPITAXY p
.22,Academic Press 1989 )。図10(a)、図1
1(a)に示す構成の場合にも、図10(b)、図11
(b)に実線で示すように各層に炭素が混入している。
しかし、この各層の炭素濃度は意識に制御されたもので
はなく、膜の成長に伴って任意に混入したものであり、
従来、この炭素を低滅しなければ良好な半導体素子を形
成することができないと考えられていた。これに対し
て、本発明は、受光層や保護層に濃度が制御された炭素
を意識的に添加することにより、高品質の赤外線受光素
子を形成可能としている。
【0021】先ず、図12を参照して本発明の原理につ
いて説明する。n型HgCdTe層、及びCdZnTe
層に炭素を添加する実験を行った。炭素濃度が5×10
17cm-3以下の場合、n型HgCdTe層の比抵抗(図
12に破線で示す)は1×10-1Ω・cmであり、イン
ジウム電極を接触させると電気的なバリア層が形成され
る場合がある。また、CdZnTe層の比抵抗(図12
に実線で示す)は1×1019cm-3以下の濃度で炭素を
添加した場合、比抵抗が1×104 Ω・cm以上になら
ず、保譲膜として不十分である。この実験よりn型Hg
CdTe層に対する良好なオーミック接触と十分高抵抗
なCdZnTe保護層を得るための条件が判明した。す
なわち、CdZnTe層に1×1019cm-3以上の濃度
で炭素を添加し、n型HgCdTe層に5×1017cm
-3以下の濃度で炭素を添加する必要がある。CdZnT
e層に添加する炭素濃度の上限は、例えば1×1020
-3程度であり、n型HgCdTe層に添加する炭素濃
度の下限は、図12に示す場合1×1016cm-3である
が、ゼロでなければ、1×1016cm-3より低い濃度で
もよい。
【0022】図1(a)は、上記原理に基づく本発明の
第1の実施の形態に係わる赤外線受光素子を示してい
る。図1(a)に示すように、単結晶CdZnTe(Z
n:4%)からなる基板11上には有機化合物を原料と
する化学気相成長法により、例えばHg0.77Cd0.23
eからなる受光層12が形成される。さらに、この受光
層12と連続して例えばCdTeからなる保護層13が
形成される。この保護層13を形成する際、CdTeに
メタンガスを原料として炭素が例えば2×1019cm-3
の濃度で添加される。この時のメタンガスの供給量は、
反応管内の分圧として例えば1×10-4 Torr である。
その他の成長条件は、原料ガスとして金属水銀、ジメチ
ルカドミウム、ジイソプロピルテルルを用い、成長温度
360℃で、受光層12、保護層13をそれぞれ成長す
る。受光層(HgCdTe)12の膜厚は約10μm、
保護層(CdTe)13の膜厚は約0.3μmである。
この後、フォトリソグラフ技術を用いて保護層13の一
部をエッチング除去し、一辺が20μmの正方形状の開
口部を形成する。この開口部から前記受光層12内に、
例えばホウ素をイオン注入することにより、n+ の導電
領域14が形成される。この導電領域14にインジウム
電極15が形成され完成される。
【0023】図1(b)は、炭素濃度(実線で示す)
と、混晶組成比(破線で示す)とを概略的に示してい
る。ここで、受光層12の炭素濃度は、例えば5×10
17cm-3であり、保護層13の炭素濃度は、例えば1×
1019cm-3である。
【0024】上記のようにして製造された赤外線受光素
子のダイオード特性を液体窒素温度(77K)の下で測
定した。炭素が無添加のCdTeからなる保護層を用い
た従来の構成の場合、同一面積のダイオードの抵抗面積
値積は約0.1Ω・cm2 であった。これに対して、本
発明による炭素を添加したCdTeからなる保護層13
を用いた場合、ダイオードの抵抗面積値積は約200Ω
・cm2 に向上した。
【0025】この炭素を添加した保護層13の材質は、
CdTeに限らず、禁制帯幅の大きいZnTeやZnT
eとの化合物であるCdZnTeとしてもよい。この場
合、さらにダイオード特性を改善できる。例えば亜鉛原
料としてジメチル亜鉛を用いて第1の実施の形態と同様
にして、受光層(HgCdTe)12の成長と連続して
保護層(Cd1-y Zny Te(y=0.04))を成
長させる。そのウェハを用いて、上記と同様にイオン注
入を行って導電領域14を形成し、さらに、電極15を
形成してダイオードを作製してダイオード特性を測定し
た。この場合、ダイオードの抵抗面積値積は約240Ω
・cm2 とさらに向上した。
【0026】上記第1の実施の形態によれば、保護層
(CdTe)13に炭素を例えば2×1019cm-3の濃
度で添加することにより、保護層13の抵抗面積値積を
大幅に向上することができ、赤外線受光素子の特性を改
善できる。
【0027】次に、図2(a)(b)を参照して本発明
の第2の実施の形態について説明する。図2(a)
(b)において、図1(a)(b)と同一部分には同一
符号を付す。
【0028】図2(a)において、単結晶CdZnTe
(Zn:4%)の基板11上に有機化合物を原料とする
化学気相成長法でHg0.77Cd0.23Teからなる受光層
12が形成される。この受光層12の成長終了3分前
に、原料ガスとしてメタンガスが加える。この時のメタ
ンガスの供給量は、反応管内の分圧として例えば1×1
-5 Torr である。この後、メタンガスの添加量を時間
と共に増加し、3分後のメタンガスの分圧を1×10-4
Torr とする。このようにして炭素がドープされたHg
CdTeからなる中間層16が形成される。図2(b)
に示すように、中間層16の炭素濃度は、HgCdTe
の成長に従って高くなる。中間層16を成長した時点で
水銀の供給を止め、連続してCdTeからなる保護層1
3が成長される。この保護層13には炭素が例えば2×
1019cm-3添加される。
【0029】第2の実施の形態における成長条件は、原
料ガスとして金属水銀、ジメチルカドミウム、ジイソプ
ロピルテルルを用い、成長温度360℃で各層をそれぞ
れ成長した。各層の膜厚はそれぞれ受光層12が約10
μm、炭素が添加された中間層16が約0.2μm、保
護層13が約0.3μmである。保護層13を形成後、
フォトリソグラフ技術を用いて、例えば一辺が20μm
の正方形状に保護層13をエッチングして除去し、開口
部を形成する。この開口部から中間層16とp型の受光
層12に例えばホウ素をイオン注入し、n+ の導電領域
14が形成される。この後、導電領域14上に例えばイ
ンジウムの電極15が形成される。炭素がドープされた
中間層16にホウ素をイオン注入すると、インジウムと
の接触抵抗が低減され、液体窒素温度(77K)でのオ
ーミック性が改善される。
【0030】上記のようにして赤外線受光素子を形成し
た後、液体窒素温度( 77K) でダイオード特性を測定
した。無添加CdTeからなる従来の保護層を用いた場
合、本発明と同一面積のダイオードの抵抗面積値積が約
0.1Ω・cm2 であった。これに対して、本発明によ
る炭素添加CdTeからなる保護層13を用いた場合、
ダイオードの抵抗面積値積が約220Ω・cm2 と大幅
に向上した。
【0031】炭素が添加された保護層はCdTeに限ら
ず、禁制帯幅の大きい例えばZnTeや、ZnTeとの
化合物であるCdZnTeを使用することにより一層ダ
イオード特性を改善できる。例えば亜鉛原料としてジメ
チル亜鉛を用いて同様にHgCdTeからなる受光層1
2と連続してCd1-y Zny Te(y=0.04)層を
成長した。この後、導電領域を形成する部分に前述した
ようにホウ素イオンを注入し、赤外線受光素子を作製し
たところ、ダイオードの抵抗面積値積が約260Ω・c
2 と向上した。
【0032】次に、図3(a)(b)を参照して本発明
の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形
態において、第2の実施の形態と同一部分には同一符号
を付す。
【0033】図3(a)において、単結晶CdZnTe
(Zn:4%)基板11上に有機化合物を原料とする化
学気相成長法でHg0.77Cd0.23Teからなる受光層1
2が成長される。この受光層12の成長終了時、全ての
原料を供給しながら成長温度を320℃まで下げる。温
度を320℃まで降下するのに約3分間を必要とする。
この温度の低下に伴い、受光層12上に炭素がドープさ
れたHgCdTeからなる中間層17が形成される。そ
の後、水銀の供給を停止することでCdTeからなる保
護層13が中間層17上に成長される。この際、特に炭
素添加用の原料を供給する必要はなく、成長温度を低下
するに従い中間層17内の炭素混入量が増加する。これ
は反応炉内の原料としての有機化合物に含まれる炭素が
中間層17内に混入するためである。また、受光層(H
gCdTe)12の成長において、原料の供給量を一定
とし、成長温度を下げると、HgCdTeの混晶組成比
が増加する。換言すると、禁制帯幅を受光層12の表面
に向かって広くすることができる。したがって、上記方
法によれば、成長温度を低下するだけで禁制帯幅を徐々
に広くできると共に、炭素濃度を増加することができ
る。
【0034】図3(b)に示すように、受光層(HgC
dTe)12に対する炭素の添加量は約1×1017cm
-3であり、保護層(CdTe)13に対する炭素の添加
量は約2×1019cm-3である。受光層12と保護層1
3の間の中間層17における炭素濃度は、1×1017
-3から2×1019cm-3まで徐々に変化している。ま
た、中間層17における混晶組成比が徐々に増加してい
ることが分かる。
【0035】受光層12、中間層17としてのHgCd
Te層の成長条件は、原料ガスとして金属水銀、ジメチ
ルカドミウム、ジイソプロピルテルルを用い、成長温度
は360℃である。受光層12の膜厚は約10μm、中
間層17の膜厚は約0.2μmであり、CdTeからな
る保護層13の膜厚は約0.3μmである。中間層(H
gCdTe)17を形成することにより、中間層17と
保護層13との界面のトラップ密度が減少し、ダイオー
ドの暗電流を低減できる。
【0036】上記保護層13を形成した後、第1、第2
の実施の形態と同様に、中間層17とp型の受光層12
にホウ素イオンを注入してn+ の導電領域14が形成さ
れ、この導電領域14にインジウム電極15が形成され
る。
【0037】上記のようにして赤外線受光素子を形成し
た後、液体窒素温度(77K)でダイオード特性を測定
した。無添加CdTeからなる従来の保護層を用いた場
合、本発明と同一面積のダイオードの抵抗面積値積が約
0.1Ω・cm2 であった。これに対して、本発明の場
合、炭素が添加された高抵抗の保護層13と禁制帯幅が
変化する中間層17と、ホウ素がイオン注入された中間
層17の効果により、ダイオードの抵抗面積値積が約2
30Ω・cm2 に向上した。
【0038】この炭素が添加された保護層13はCdT
eに限らず、禁制帯幅の大きいZnTeや、ZnTeと
の化合物であるCdZnTeを使用した場合、さらにダ
イオード特性を改善できる。例えば亜鉛原料としてジメ
チル亜鉛を用いて、HgCdTeからなる受光層12と
連続してCd1-y Zny Te(y=0.04)層を成長
した。この後、導電領域を形成する部分に前述したよう
にホウ素イオンを注入し、赤外線受光素子を作製したと
ころ、ダイオードの抵抗面積値積が約280に向上し
た。
【0039】また、第3の実施例によれば、中間層17
を形成することにより、中間層17と保護層13との界
面のトラップ密度を減少でき、ダイオードの暗電流を低
減できる利点を有している。
【0040】次に、図4(a)(b)を参照して本発明
の第4の実施の形態について説明する。図4(a)に示
すように、この実施の形態では、単結晶CdZnTe
(Zn:4%)基板11上に、有機化合物を原料とする
化学気相成長法で炭素が添加されたCdTeからなる緩
衝層18が約3μmの膜厚で成長され、続けて、p型H
0.77Cd0.23Teからなる受光層12が約10μmの
膜厚で成長される。前記炭素添加CdTeからなる緩衝
層18の炭素濃度は約2×1019cm-3である。緩衝層
18の形成条件は、原料としてジメチルカドミウム、ジ
イソプロピルテルル、メタンガスを用い、成長温度は3
60℃である。メタンガスの供給量は反応管内の分圧と
して1×10-4 Torr である。受光層(HgCdTe)
12の成長条件は、原料ガスとして金属水銀、ジメチル
カドミウム、ジイソプロピルテルルを用い、成長温度は
360℃である。
【0041】この後、フォトリソグラフ技術を用いて図
示せぬレジストマスクを形成し、このマスクを用いて受
光層12内に例えばホウ素をイオン注入等により導入
し、1辺20μmの正方形状のn+ 導電領域14を形成
する。さらに、その上に硫化亜鉛薄膜からなる保護層1
9が300nmの膜厚で形成される。この後、保護層1
9をエッチングして導電領域14を露出させ、この導電
領域14にインジウム電極15が形成される。
【0042】上記のようにして形成された赤外線受光素
子のダイオード特性を液体窒素温度(77K)で測定し
た。その結果、単結晶CdZnTe(Zn:4%)基板
上に直接HgCdTe層を成長したウェハを用いた従来
構成の場合、本発明と同一面積のダイオードの抵抗面積
値積が約10Ω・cm2 であり、無添加CdTeからな
る従来の緩衝層を用いた場合のダイオードの抵抗面積値
積が約2Ω・cm2 であったのに対して、本発明による
炭素添加CdTeからなる緩衝層18を用いた場合、ダ
イオードの抵抗面積値積が約100Ω・cm2 に向上し
た。また、上記二つの従来構成と本発明の受光層(Hg
CdTe)12の転位密度を測定した結果、それぞれ2
×105 cm-2、8×105 cm-2、7×104 cm-2
であった。したがって、本発明は転位密度が少ないこと
が分かる。
【0043】このように、緩衝層を形成するタイプの赤
外線受光素子において、緩衝層に濃度が約2×1019
-3の炭素を添加することにより、ダイオードの抵抗面
積値積を向上することができる。したがって、感度を向
上でき高品質の赤外線受光素子を形成することができ
る。
【0044】図5(a)(b)は、本発明の第5の実施
の形態を示している。図5(a)において、CdTe基
板11A上には、通常のHgCdTe層を成長する原
料、及び供給量条件で、成長温度だけを320℃と通常
の360℃より40℃低い温度として、Hgの含有率が
0.1%以下のほぼCdTe層と言って差し支えないC
dTeからなる緩衝層20が約100nmの膜厚で成長
される。この緩衝層20の炭素濃度は、図5(b)に示
すように、約2×1019cm-3である。引き続き成長温
度が例えば1分間に10℃の割合で360℃まで上昇さ
れ、Hg1-x Cdx Teの混晶組成比(X)が1から
0.23まで連続的に変化したHgCdTeからなる中
間層21が緩衝層20の上に成長される。この混晶組成
比が連続的に変化された中間層21の炭素濃度は、混晶
組成比が1から0.23になるに従って、2×1019
-3から5×1017cm-3以下まで変化している。成長
温度が360℃に達したところで、温度上昇を停止し、
成長温度を360℃で約3時間維持する。この状態で、
中間層21の上にp型Hg0.77Cd0.23Teからなる受
光層12が約10μmの膜厚で成長される。
【0045】この後、フォトリソグラフ技術を用いて図
示せぬレジストマスクを形成し、このマスクを用いて受
光層12内に例えばホウ素をイオン注入等により導入
し、1辺20μmの正方形状のn+ 導電領域14を形成
する。さらに、その上に硫化亜鉛薄膜からなる保護層1
9が300nmの膜厚で形成される。この後、保護層1
9をエッチングして導電領域14を露出させ、この導電
領域14にインジウム電極15が形成される。
【0046】上記のようにして形成された赤外線受光素
子のダイオード特性を液体窒素温度(77K)で測定し
た結果、ダイオードの抵抗面積値積は約280Ω・cm
2 であり、HgCdTe層の転位密度は3×104 cm
-2であった。
【0047】第5の実施の形態によれば、CdTe基板
11A上に炭素添加CdTeからなる緩衝層20と、緩
衝層20(CdTe基板)からHgCdTeからなる受
光層12まで混晶組成比を変化させた中間層21を形成
することにより、ダイオードの抵抗面積値積を向上する
ことができ、高品質の赤外線受光素子を形成することが
できる。
【0048】図6(a)(b)は本発明の第6の実施の
形態を示すものであり、図5と同一部分には同一符号を
付す。この実施の形態では、HgCdTeと格子定数の
全く異なる例えばSi基板22上に、上記第5の実施の
形態と同様に、通常のHgCdTe層を成長する原料及
び供給量の条件で、成長条件だけを320℃と通常の3
60℃より40℃低い温度で層を成長する。この条件に
より、基板22上に、Hgの含有率が0.1%以下のほ
ぼCdTe層と言って差し支えないCdTeからなる緩
衝層20が成長される。この緩衝層20の膜厚は例えば
約100nmであり、炭素濃度は2×1019cm-3であ
る。特に、Si基板22上では、基板22上に直接成長
する緩衝層20に炭素を添加しないと、緩衝層20上に
成長するHgCdTeからなる中間層は多結晶になる。
これに対して、炭素を添加した場合、緩衝層20上に単
結晶のHgCdTe層を成長させることができる。この
HgCdTe層は単結晶の品質を示すX線半値幅も30
秒前後の良好な値を示す。このため、CdZnTe基板
上に成長され、CdZnTe基板と格子定数差が0.1
%以内に抑えられたHgCdTe層と遜色ないHgCd
Te層を、Si基板22上に形成することができる。
【0049】すなわち、上記CdTeからなる緩衝層2
0の成長に引き続き、成長温度を1分間に10℃の割合
で360℃まで上昇させながら緩衝層20上にHgCd
Te層を成長することにより、Hg1-x Cdx Teの混
晶組成比が1から0.23まで連続的に変化した中間層
21が形成される。この混晶組成比を連続的に変化した
HgCdTeからなる中間層21の炭素濃度は、混晶組
成比が1から0.23になるに従って、2×1019cm
-3から5×1017cm-3以下まで変化している。成長温
度が360℃に達したところで、温度上昇が停止され、
成長温度を360℃で約3時間維持することにより、p
型Hg0.77Cd0.23Teからなる受光層12が成長され
る。この受光層12の膜厚は例えば約10μmである。
この後、上述した各実施の形態と同様にして、n+ の導
電領域14、硫化亜鉛薄膜からなり、膜厚300nmの
保護層19、インジウム電極15が形成され、赤外線受
光素子が製作される。
【0050】また、上記Si基板に代えてGaAs基板
を使用することも可能である。この場合において、Ga
As基板上に炭素を添加しないCdTeからなる緩衝層
を形成し、この緩衝層上に成長したHgCdTe層のX
線半値幅は150秒前後の値である。これに対して、炭
素を添加したCdTeからなる緩衝層を形成した場合、
30秒前後の良好な値を示した。X線半値幅と転位密度
の関係は正の相関を持っており、X線半値幅の小さいも
のは転位密度が少ないことが良く知られている。したが
って、このようにして製作されたウェハを用いて形成さ
れた赤外線受光素子も良好な特性を得ることができる。
【0051】上記第6の実施の形態により製作された赤
外線受光素子について、液体窒素温度(77K)でダイ
オード特性を測定した。その結果、炭素添加CdTeか
らなる緩衝層20と、混晶組成比を変化させて格子定数
をCdTeからHgCdTeまで徐々に変化させたHg
CdTe中間層21をSi基板上に形成した層構造のウ
ェハを用いた場合、ダイオードの抵抗面積値積が約17
0Ω・cm2 であり、GaAs基板上に形成した層構造
のウェハを用いた場合、約200Ω・cm2 であった。
HgCdTe層の転位密度はSi基板の場合、2×10
5 cm-2であり、GaAs基板の場合、9×104 cm
-2であった。
【0052】図7は、本発明の第7の実施の形態を示す
ものであり、図4、図6と同一部分には同一符号を付
す。図7において、単結晶Si基板22上には有機化合
物を原料とする化学気相成長法により炭素添加CdTe
からなる緩衝層20が約100nmの膜厚で成長され、
続けて、p型Hg0.77Cd0.23Teからなる受光層12
が約10μmの膜厚で成長される。炭素添加CdTeか
らなる緩衝層20の炭素濃度は、図7(a)に示すよう
に、約2×1019cm-3である。形成条件は原料として
ジメチルカドミウム、ジイソプロピルテルル、メタンガ
スを用い、成長温度360℃、メタンガスの供給量は反
応管内の分圧として1×10-4 Torr である。HgCd
Teの成長条件は、原料ガスとして金属水銀、ジメチル
カドミウム、ジイソプロピルテルルを用い、成長温度3
60℃で成長した。この後、上述した各実施の形態と同
様にして、n+ の導電領域14、硫化亜鉛薄膜からな
り、膜厚300nmの保護層19、インジウム電極15
が形成され、赤外線受光素子が製作される。
【0053】上記第7の実施の形態により製作された赤
外線受光素子について、液体窒素温度(77K)でダイ
オード特性を測定した。単結晶CdZnTe(Zn:4
%)基板上に直接HgCdTe層を成長したウェハを用
いた従来の層構造の場合、本発明と同一面積のダイオー
ドの抵抗面積値積が約10Ω・cm2 、無添加CdTe
緩衝層を用いた従来の層場合、約2Ω・cm2 であっ
た。これに対して、本発明による炭素添加CdTeの緩
衝層20をSi基板22上に形成した場合、ダイオード
の抵抗面積値積が約80Ω・cm2 に向上した。また、
HgCdTe層の転位密度を測定すると従来の構造の場
合、それぞれ2×105 cm-2、8×105 cm-2が、
本発明の場合、1×105 cm-2であった。このよう
に、この実施の形態によっても、赤外線受光素子の性能
を向上できる。
【0054】尚、炭素添加CdTeからなる緩衝層20
の厚さは基板と受光層の格子定数差によって調整すべき
ものであり、格子定数差が少ない場合は厚く、格子定数
差が大きい場合は薄くする必要がある。
【0055】図8(a)(b)は、本発明の第8の実施
の形態を示すものである。この第8の実施の形態は、上
記第3の実施の形態と第5の実施の形態とを組合わせた
ものであり、図3、図5と同一部分には同一符号を付
す。この実施の形態の場合、CdTe基板11上には、
通常のHgCdTe層を成長する原料、及び供給量条件
により、成長温度だけを320℃と通常の360℃より
40℃低い温度で成長することによって、Hgの含有率
が0.1%以下のCdTeからなる緩衝層20が約10
0nmの膜厚で成長される。この緩衝層20の炭素濃度
は、図8(b)に示すように、約2×1019cm-3であ
る。引き続き成長温度が例えば1分間に10℃の割合で
360℃まで上昇され、Hg1-x Cdx Teの混晶組成
比(X)が1から0.23まで連続的に変化したHgC
dTeからなる中間層21が緩衝層20の上に成長され
る。この混晶組成比が連続的に変化された中間層21の
炭素濃度は、2×1019cm-3から5×1017cm-3
下まで変化している。成長温度が360℃に達したとこ
ろで、温度上昇を停止し、成長温度を360℃で約3時
間維持することにより、中間層21の上にp型Hg0.77
Cd0.23Teからなる受光層12が成長される。この受
光層12の膜厚は約10μmである。受光層12の成長
終了時、全ての原料を供給しながら成長温度を320℃
まで下げる。温度を320℃まで降下するのに約3分間
を必要とする。この温度の低下に伴い、受光層12上に
炭素がドープされたHgCdTeからなる中間層17が
形成される。その後、水銀の供給を停止することでCd
Teからなる保護層13が成長される。この際、特に炭
素添加用の原料を供給する必要はなく、成長温度を低下
するに従い保護層13内の炭素混入量が増加する。
【0056】HgCdTeからなる受光層12の炭素の
添加量は約5×1017cm-3、CdTeからなる保護層
13の炭素の添加量は約2×1019cm-3である。受光
層12と保護層13の間の中間層17における炭素濃度
は、5×1017cm-3から2×1019cm-3まで徐々に
変化している。また、中間層17における混晶組成比が
徐々に増加している。上記保護層13を形成した後、中
間層17とp型の受光層12にホウ素イオンを注入して
+ の導電領域14が形成され、この導電領域14にイ
ンジウム電極15が形成される。
【0057】第8の実施の形態によれば、炭素を含む緩
衝層20と炭素濃度が表面に近接するに従い徐々に低下
した中間層21を有すると共に、炭素濃度が表面に近接
するに従い徐々に増加した中間層17と炭素を含む保護
層13とを有している。したがって、基板と格子定数差
が大きい材料を使用する場合においても、受光層中の転
位密度の少なく、感度を向上することが可能であり、赤
外線受光素子の性能を向上できる。尚、本発明は、上記
実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変
えない範囲において種々変形可能なことは勿論である。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、禁
制帯幅の狭い受光層より禁制帯幅の広い保護層に高濃度
の炭素を添加することにより高比抵抗の保護層を形成す
ることができる。したがって、ダイオードの抵抗面積値
積を向上できるため、雑音の少ない高品質の半導体光電
変換装置を形成できる。
【0059】しかも、受光層上の中間層の炭素濃度を禁
制帯幅の狭い側から禁制帯幅の広い側に従って高くする
ことにより、電極との接触抵抗が低減され、オーミック
性を改善できる。
【0060】また、本発明によれば、格子定数の異なっ
た基板上に転位密度が少なく、しかも、高比抵抗の緩衝
層を形成することができるため、高品質の半導体光電変
換装置を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施の形態を示す
断面図、図1(b)は図1(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図2】図2(a)は本発明の第2の実施の形態を示す
断面図、図2(b)は図2(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図3】図3(a)は本発明の第3の実施の形態を示す
断面図、図3(b)は図3(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図4】図4(a)は本発明の第4の実施の形態を示す
断面図、図4(b)は図4(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図5】図5(a)は本発明の第5の実施の形態を示す
断面図、図5(b)は図5(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図6】図6(a)は本発明の第6の実施の形態を示す
断面図、図6(b)は図6(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図7】図7(a)は本発明の第7の実施の形態を示す
断面図、図7(b)は図7(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図8】図8(a)は本発明の第8の実施の形態を示す
断面図、図8(b)は図8(a)の混晶組成比、炭素濃
度の関係を示す図。
【図9】従来の赤外線受光素子の一例を示す断面図。
【図10】図10(a)は従来の赤外線受光素子の他の
例を示す断面図、図10(b)は図10(a)の混晶組
成比、炭素濃度の関係を示す図。
【図11】図11(a)は従来の赤外線受光素子の他の
例を示す断面図、図11(b)は図11(a)の混晶組
成比、炭素濃度の関係を示す図。
【図12】本発明の原理を説明するために示す図。
【符号の説明】
11…基板(CdZnTe)、 11A…基板(CdTe)、 12…受光層(HgCdTe)、 13、19…保護層、 14…導電領域、 15…電極、 16、17、21…中間層、 18、20…緩衝層、 22…基板(Si又はGaAs)。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の化合物半導体からなる基板と、 前記基板上に形成される第2の化合物半導体からなる受
    光層と、 前記受光層の表面領域内に形成され、受光層と異なる導
    電型の導電領域と、 前記導電領域に接続された電極と、 前記受光層上に形成され、前記受光層内の炭素濃度より
    高い濃度の炭素が添加された保護層とを具備することを
    特徴とする半導体光電変換装置。
  2. 【請求項2】 第1の化合物半導体からなる基板と、 前記基板上に形成され、前記第1の化合物半導体と格子
    定数がほぼ等しい第2の化合物半導体からなる受光層
    と、 前記受光層上に形成され、前記受光層に含まれる炭素濃
    度より高い濃度の炭素を含み、この炭素の濃度が表面に
    近接するに従い高くされた前記第2の化合物半導体から
    なる中間層と、 前記中間層の表面領域内に形成され、受光層と異なる導
    電型の導電領域と、 前記導電領域に接続された電極と、 前記受光層上に形成され、少なくとも前記中間層内の炭
    素濃度より高い濃度の炭素が添加された保護層とを具備
    することを特徴とする半導体光電変換装置。
  3. 【請求項3】 前記受光層に含まれる炭素の濃度はほぼ
    5×1017cm-3以下であり、前記保護層に含まれる炭
    素の濃度はほぼ1×1919cm-3以上であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の半導体光電変換装置。
  4. 【請求項4】 前記中間層の禁制帯幅は、前記炭素濃度
    の変化に従って増加することを特徴とする請求項2記載
    の半導体光電変換装置。
  5. 【請求項5】 受光層を禁制帯幅の広い半導体基板上に
    形成する半導体光電変換装置であって、 前記半導体基板と前記受光層の相互間に、前記受光層に
    含まれる炭素の濃度より高い濃度の炭素を含む緩衝層を
    具備することを特徴とする半導体光電変換装置。
  6. 【請求項6】 前記受光層中に含まれる炭素の濃度はほ
    ぼ5×1017cm-3以下であり、前記緩衝層中に含まれ
    る炭素の濃度は1×1019cm-3以上であることを特徴
    とする請求項5記載の半導体光電変換装置。
  7. 【請求項7】 前記受光層と前記緩衝層の相互間に形成
    された中間層をさらに含み、前記中間層中に含まれる炭
    素の濃度は半導体基板側が1×1019cm-3以上で、受
    光層側が5×1017cm-3以下であり、前記緩衝層側か
    ら受光層側に徐々に濃度が変化していることを特徴とす
    る請求項5記載の半導体光電変換素子。
  8. 【請求項8】 前記緩衝層は、格子定数がほぼ等しい半
    導体基板上に形成されることを特徴とする請求項6又は
    7記載の半導体光電変換素子。
  9. 【請求項9】 前記緩衝層は、格子定数が異なる半導体
    基板上に形成されることを特徴とする請求項6又は7記
    載の半導体光電変換素子。
  10. 【請求項10】 禁制帯幅の広い半導体基板と、 前記半導体基板上に形成され、前記半導体基板に含まれ
    る炭素の濃度より高い濃度の炭素を含む緩衝層と、 前記緩衝層上に形成され、前記半導体基板に含まれる炭
    素の濃度より高く前記緩衝層に含まれる炭素の濃度より
    低い濃度の炭素を含む第1の中間層と、 前記第1の中間層上に形成され、前記第1の中間層と格
    子定数がほぼ等しい受光層と、 前記受光層上に形成され、前記受光層に含まれる炭素濃
    度より高い濃度の炭素を含み、この炭素の濃度が表面に
    近接するに従い高くされた前記第2の中間層と、 前記第2の中間層の表面領域内に形成され、受光層と異
    なる導電型の導電領域と、 前記導電領域に接続された電極と、 前記第2の中間層上に形成され、少なくとも前記第2の
    中間層内の炭素濃度より高い濃度の炭素が添加された保
    護層とを具備することを特徴とする半導体光電変換装
    置。
  11. 【請求項11】 有機化合物を原料とした化学気相成長
    法により、基板上に受光層を成長する工程と、 前記有機化合物に炭素を含むガスを供給し、前記受光層
    上に前記受光層内の炭素濃度より高い濃度の炭素が添加
    された保護層を形成する工程と、 前記保護膜の一部を除去し、前記受光層の表面領域を露
    出させる工程と、 前記受光層の表面領域内に不純物を導入し、前記受光層
    と異なる導電型の導電領域を形成する工程と、 前記導電領域に接続された電極を形成する工程とを具備
    することを特徴とする半導体光電変換装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 有機化合物を原料とした化学気相成長
    法により、基板上に受光層を成長する工程と、 前記受光層上に前記受光層内の炭素濃度より高く、膜の
    成長に従って高い濃度の炭素が添加された中間層を形成
    する工程と、 前記中間層の上に少なくとも前記中間層内より高い濃度
    の炭素を含む保護膜を形成する工程と、 前記保護膜の一部を除去し、前記受光層の表面領域を露
    出させる工程と、 前記受光層の表面領域内に不純物を導入し、前記受光層
    と異なる導電型の導電領域を形成する工程と、 前記導電領域に接続された電極を形成する工程とを具備
    することを特徴とする半導体光電変換装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記中間層を形成する工程は、前記受
    光層の成長終了前に、前記有機化合物に炭素を含むガス
    を徐々に供給することを特徴とする請求項12記載の半
    導体光電変換装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記中間層を形成する工程は、前記受
    光層の成長終了前に、前記受光層の成長温度を低下する
    ことを特徴とする請求項12記載の半導体光電変換装置
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 有機化合物を原料とした化学気相成長
    法により、基板上に第1の化合物半導体からなり、基板
    より濃度の高い炭素を含む緩衝層を成長する工程と、 前記緩衝層上に第2の化合物半導体からなり、前記緩衝
    層内の炭素濃度より低い濃度の炭素が添加された受光層
    を形成する工程と、 前記受光層の表面領域内に不純物を導入し、前記受光層
    と異なる導電型の導電領域を形成する工程と、 前記受光層の上に少なくとも前記受光層内より高い濃度
    の炭素を含む保護膜を形成する工程と、 前記保護膜の一部を除去し、前記導電領域を露出させる
    工程と、 前記導電領域に接続された電極を形成する工程とを具備
    することを特徴とする半導体光電変換装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記有機化合物は、炭素を含むガスを
    有することを特徴とする請求項15記載の半導体光電変
    換装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記緩衝層を形成する工程は、正規の
    成長温度より低い温度に設定され、前記緩衝層を形成し
    た後、正規の成長温度を設定して前記緩衝層の上に緩衝
    層より濃度の低い炭素を含む中間層を形成する工程を含
    むことを特徴とする請求項15記載の半導体光電変換装
    置の製造方法。
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