JPH11325407A - 蒸気発生器の水位制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 相対的に大容量の大変動用給水弁と相対的に
小容量の小変動用給水弁とを使って制御性を改善させる
蒸気発生器の水位制御装置を提供する。 【解決手段】 水位制御装置は、蒸気発生器９の実際水
位ｈと基準水位ｒとの偏差に基づいて比例ー積分動作す
る水位制御器１３と、蒸気発生器に供給される給水を制
御するため、水位制御器１３によって開度が制御される
相対的に小容量の小変動用給水弁８と、蒸気発生器に給
水を供給するための相対的に大容量の大変動用給水弁７
とを備え、この大変動用給水弁の開度は、蒸気発生器に
より発生した蒸気の流量に基づいて開度設定器１２によ
り行われる。流量変動の小さい例えば定常運転時には、
大変動用給水弁の開度が実質的に固定されるので、小変
動用給水弁により給水量が制御され、該小変動用給水弁
は小容量であるため、微小調整が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には原子力
プラントに関し、特に、その蒸気発生器の水位制御装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般的に、蒸気発生器の水位は、１つの
制御系を用いて、蒸気として該蒸気発生器から流出する
量を蒸気発生器に新たに供給する給水量で補うと共に、
蒸気発生器の実際の水位と設定基準水位との偏差に基づ
く水位信号で制御しようとするものである。従来、図２
に示すように、蒸気発生器９への給水は、図示しない給
水ポンプに連絡する給水管１０に設けられた高出力用の
主給水弁７と低出力用のバイパス給水弁８とを用いて行
われ、高出力用の主給水弁７は、特に定常運転時に用い
られる。そして、給水量の制御は、これらの給水弁をあ
る出力で切り換えて行っていた。

【０００３】即ち、図２において、主給水弁７は比例ー
積分動作の流量制御器２に電気的に連絡し、この流量制
御器２は、同様に比例ー積分動作の水位制御器１に連絡
している。水位制御器１には、蒸気発生器９の予め設定
した基準水位信号ｒと蒸気発生器９に設けられた水位検
出器５から出力される実際の水位信号ｈとが入力され、
同水位制御器１がその偏差に基づいて比例ー積分動作を
行い制御信号を出力する。流量制御器２には、この制御
信号に加えて、図示しないタービンに連絡する主蒸気管
１１に設けられた流量検出器４からの蒸気流量信号ｓ
と、上記給水管１０に設けられた流量検出器６からの給
水流量信号ｗとが入力し、これらの入力信号に基づいて
比例ー積分制御を行い主給水弁７を開閉する。

【０００４】一方、上記偏差は、同様に比例ー積分動作
する別の水位制御器３に印加され、その出力に各原子炉
出力での弁開度設定をする一次冷却材温度差（原子炉出
力）の信号を加えてバイパス給水弁８に入力され、その
開閉を制御する。一次冷却材は図示しない閉ループの冷
却系から蒸気発生器に供給され、給水管１０から供給さ
れる給水を加熱して蒸気に変換する。給水弁７，８の切
り換えは、図示しない手段を操作して手動で行ってもよ
いし、自動で行ってもよい。給水弁自動切換装置による
切り換えについては、例えば、本出願人の特願平９ー５
９２９１号明細書を参照されたい。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の水
位制御装置では、給水弁の切り換え操作が必要であるた
め、手動でその操作を行う場合には、運転員の負担とな
り、また、給水弁自動切換装置が設置されている場合に
は、同給水弁自動切り換え装置の保修員の負担になる。

【０００６】また、高出力用の主給水弁は、容量が大き
く、微小調整ができないことから、定常運転時の水位変
動が大きく、改善が望まれていた。更に、水位の大変動
時に必要となるパラメータ（蒸気流量，給水流量）と小
変動時に必要となるパラメータ（蒸気発生器水位）とが
組み合わされ１つの制御系となっているため、大変動時
にはあまり反応する必要はない蒸気発生器水位変動の影
響を受け、各パラメータの変動が大きくなる望ましくな
い結果となっていた。

【０００７】換言すれば、タービン負荷変動などにより
蒸気発生器に外乱が入った場合、蒸気発生器水位は急激
に変化するが、この変化は蒸気発生器の状態変化による
もので、変動が収束し状態が戻れば蒸気発生器水位も戻
ると考えられることから、このような場合、制御系は反
応する必要がないし、追従しようとしても困難である。

【０００８】従って、本発明の一般的な目的は、相対的
に大容量の大変動用給水弁と相対的に小容量の小変動用
給水弁とを使って制御性を改善させる蒸気発生器の水位
制御装置を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明による蒸気発生器の水位制御装置は、蒸気発
生器の実際水位と該蒸気発生器の基準水位との偏差に基
づいて比例ー積分動作する水位制御器と、前記蒸気発生
器に供給される給水を制御するため、前記水位制御器に
よって開度が制御される相対的に小容量の小変動用給水
弁と、前記蒸気発生器に給水を供給するための相対的に
大容量の大変動用給水弁と、前記蒸気発生器により発生
した蒸気の流量に基づいて前記大変動用給水弁の開度を
設定する開度設定器とを備えている。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に、本発明の好適な実施形態に
ついて添付図面を参照して詳細に説明するが、図中、同
一符号は同一又は相当部分を示すものとする。図１にお
いて、蒸気発生器９には、給水管１０と主蒸気管１１と
が接続されると共に、図示しない閉ループの一次冷却材
系が接続されている。給水管１０には主給水弁（大容量
の大変動用給水弁）７が設けられており、また、この主
給水弁７を側路するようにバイパス給水弁（小容量の小
変動用給水弁）８が設けられている。一次冷却材系を介
して蒸気発生器９内に入った高温高圧の冷却材により、
給水管１０から流入した給水が加熱されて蒸気に変換さ
れ、この蒸気が主蒸気管１１を経て図示しないタービン
に導かれ、同タービンを駆動する。

【００１１】このように、給水が蒸気となって流出する
ため、蒸気発生器内の給水の水位を基準水位に維持する
ためには、蒸気として流出する量を新たに供給する給水
量で補うように、実際の水位と予め設定された基準水位
との偏差に基づいて給水弁７，８の開閉を制御する必要
がある。これは、いわゆる３要素制御であり、蒸気発生
器の水位制御において通常行われている。

【００１２】かかる水位制御を行う本発明の制御系即ち
水位制御装置は、主給水弁７に電気的に接続された開度
設定器１２と、バイパス給水弁８に電気的に接続された
比例ー積分動作の水位制御器１３とを含み、開度設定器
１２には、主蒸気管１１に設けられた蒸気流量検出器４
からの蒸気流量信号ｓが供給され、水位制御器１３に
は、図示の非線形ゲイン１４を介して、基準水位信号ｒ
と、蒸気発生器９の水位検出器５からの蒸気発生器水位
信号ｈの偏差が供給されるようになっている。

【００１３】かかる水位制御装置において、定常運転時
には、蒸気発生器の水位検出器５からの蒸気発生器水位
信号ｈと基準水位信号ｒとの偏差を比例ー積分動作する
水位制御器１３に入力し、この水位制御器１３によりバ
イパス給水弁８を制御する。バイパス給水弁８は、相対
的に小容量であって、小流量の調整もしくは小変動に対
する補償が可能であるから、精度の高い蒸気発生器水位
の制御ができる。この定常運転時の際、主給水弁７は、
実質的に一定となっている蒸気流量に基づいて開度設定
器１２により決められる固定開度となっているため、水
位変動に影響を与えることはない。

【００１４】次に、負荷変動時には、蒸気流量が比較的
に大きく変動するため、蒸気発生器の水量の収支バラン
スを取るように、蒸気流量の変動に給水流量を追従させ
る必要がある。これは、蒸気流量検出器４からの蒸気流
量信号ｓに基づいて開度設定器１２で水量の収支バラン
スを取りうるような主給水弁７の開度を決め、この開度
となるように主給水弁７を制御すればよい。

【００１５】負荷変動により蒸気発生器水位は変動する
が、この変動は、通常、状態変化による一時的なもの
で、状態変化が収まれば回復するため、制御系は水位変
動に必ずしも正確に追従する必要はない。そのため、本
発明の実施形態に係る制御系では、図に示すように非線
形ゲイン１４により水位制御器１３への入力信号を抑制
すると共に、小容量のため水位変動に殆ど寄与しないバ
イパス給水弁８を用いている。

【００１６】以上、本発明の好適な実施形態について説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例
えば、バイパス給水弁は主給水弁とは別の給水管に設置
するなど、様々な改変が可能である。また、主給水弁及
びバイパス給水弁の容量については、具体的なデータの
記載を省略したが、これは、本発明が適用される例えば
原子力プラントの出力等のパラメータに応じて適宜設定
しうる。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、水位制
御装置は、蒸気発生器の実際水位と該蒸気発生器の基準
水位との偏差に基づいて比例ー積分動作する水位制御器
と、前記蒸気発生器に供給される給水を制御するため、
前記水位制御器によって開度が制御される相対的に小容
量の小変動用給水弁と、前記蒸気発生器に給水を供給す
るための相対的に大容量の大変動用給水弁と、前記蒸気
発生器により発生した蒸気の流量に基づいて前記大変動
用給水弁の開度を設定する開度設定器とを備えているた
め、流量変動の小さい例えば定常運転時には、大変動用
給水弁の開度を実質的に固定して、小変動用給水弁によ
り給水量を制御すれば、該小変動用給水弁は小容量であ
るため、微小調整が可能であり、蒸気発生器の水位変動
を小さくすることができ、制御性の改善になる。

【００１８】また、負荷変動時には、蒸気流量の変動に
追従するように大変動用給水弁の開度が制御され、一
方、小変動用給水弁の開度も蒸気発生器の水位変化に応
じて変動するが、この小変動用給水弁は小容量であり、
制御量が小さいので、水位変動に影響を与えない。

【００１９】更に、本発明によれば、大変動用給水弁と
小変動用給水弁を同時に制御するため、従来では負担に
なっていた給水弁の切り換え操作も不要になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による蒸気発生器の水位制御系の一実
施形態を示す概要図である。

【図２】 従来の水位制御系を示す概要図である。

【符号の説明】

７…主給水弁（大容量の大変動用給水弁）、８…バイパ
ス給水弁（小容量の小変動用給水弁）、９…蒸気発生
器、１０…給水管、１１…主蒸気管、１２…開度設定
器、１３…水位制御器、１４…非線形ゲイン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 蒸気発生器の実際水位と該蒸気発生器の
   基準水位との偏差に基づいて比例ー積分動作する水位制
   御器と、前記蒸気発生器に供給される給水を制御するた
   め、前記水位制御器によって開度が制御される相対的に
   小容量の小変動用給水弁と、前記蒸気発生器に給水を供
   給するための相対的に大容量の大変動用給水弁と、前記
   蒸気発生器により発生した蒸気の流量に基づいて前記大
   変動用給水弁の開度を設定する開度設定器とを備える蒸
   気発生器の水位制御装置。