JPH06281106A - 蒸気発生プラントの給水制御装置 - Google Patents

蒸気発生プラントの給水制御装置

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JPH06281106A
JPH06281106A JP5067866A JP6786693A JPH06281106A JP H06281106 A JPH06281106 A JP H06281106A JP 5067866 A JP5067866 A JP 5067866A JP 6786693 A JP6786693 A JP 6786693A JP H06281106 A JPH06281106 A JP H06281106A
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water supply
water
pump
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Junichi Tanji
順一 丹治
Katsuyuki Suzuki
勝幸 鈴木
Yoshifumi Nagata
好文 永田
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】給水流量制御器12は、流量制御器22,信号
切換器23及び補償制御器24を備える。流量制御器2
2は、原子炉水位の目標値との偏差(水位偏差)と切替
ポンプの流量変化率目標値に応じて、切替されようとし
ている各給水ポンプの流量増減する各流量制御信号を出
力する。補償制御器24は、入力した制御システム信号
を用いて制御システムの非線形特性による給水流量の変
動外乱を予測し、これらを補償するように上記各流量制
御信号を修正する。 【効果】起動または停止される切替ポンプの流量変化率
を制御する機能を有しているので、給水流量および原子
炉水位の変動を少なくできる。また数十分以内に給水ポ
ンプ切替可能となり、大幅に所要時間が短縮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸気発生プラントの給
水制御装置に係り、特に沸騰水型原子炉プラント(以
下、BWRプラントという)に適用するのに好適な給水
制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】BWRプラントの給水制御装置であっ
て、特に複数の給水ポンプ群の運転を切替る場合に原子
炉水位の変動を少なくしたものとしては、例えば特開昭
61−246502号公報に記述されたものが知られている。こ
の給水制御装置は、原子炉水位の目標値との偏差(水位
偏差)を取り込み、原子炉水位が一定となるように給水
流量を制御する給水主制御器に加えて、これと並列に、
水位偏差を取り込み目標値に等しく一定となるように起
動/停止される給水ポンプの流量を制御する起動/停止
給水ポンプ流量制御器を設置している。
【0003】複数の給水ポンプ群の運転を切替る給水制
御装置の他の構成例として、日本原子力学会「昭和61
年会」予稿集E36に示されているBWRプラントの給
水ポンプ切替の制御構成がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭61−246502号公
報に記述された給水制御装置は、給水主制御器により流
量制御される自動運転中の給水ポンプと同様に、起動/
停止される給水ポンプの流量も原子炉水位が一定になる
ように流量制御されるので、起動/停止給水ポンプ流量
制御器がない場合に比べて、原子炉水位を安定に保つ制
御性能はより向上する。しかしながら、自動運転中の給
水ポンプ及び起動/停止される給水ポンプはそれぞれ相
異なる制御器により流量制御されるので、各給水ポンプ
流量ついての制御応答差が生じて、給水流量に変動を生
じることも考えられる。
【0005】予稿集E36の例では、原子炉水位と給水
ポンプ群の流量、及び各給水ポンプ群の流量指令を取り
込み、原子炉水位を一定に保ちつつ、給水ポンプ切替の
ために各給水ポンプよる給水流量と給水ポンプ再循環流
量を制御するI−PD制御器を設置した構成が示されて
いる。この構成例によれば、各給水ポンプ流量が同一の
制御器により制御されることに加えて、給水流量への外
乱となる給水ポンプ再循環流量も制御されるので、原子
炉水位を安定に保つ制御性能はより向上している。しか
しながら、各給水ポンプ流量を制御器に取り込むこのよ
うな制御構成は、流量検出精度が悪く流量信号を制御に
使用できないような原子炉低出力時の給水ポンプ切替に
対して、採用できないと考えられる。
【0006】本発明が解決しようとする第1の課題は、
自動運転中の給水ポンプと起動/停止される給水ポンプ
を共に流量制御する制御器を有し、かつ流量検出精度が
悪く流量信号を制御に使用できないような原子炉低出力
時のポンプ切替にも適用が可能な制御構成を実現するこ
とである。また、本発明が解決しようとする第2の課題
は、ポンプ再循環流量の変動や、給水タービンガバナ特
性、ポンプ流量−吐出圧特性等の制御システムの非線形
特性による給水流量への変動外乱を補償し、原子炉水位
を安定に保つ制御性能をさらに向上させることである。
【0007】本発明の目的は、上記課題を解決するよう
なポンプ群切替のための給水流量制御装置を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、まず第1の
課題に対して、原子炉水位の目標値との偏差(水位偏
差)と切替ポンプの流量変化率目標値に応じて、切替さ
れようとしている各ポンプの流量増減をそれぞれ制御
し、水位偏差が零の場合には各ポンプの流量総和を一定
に保つ流量制御器を設置する構成とすることにより達成
される。また第2の課題に対しては、上記流量制御器に
加えて、ポンプ再循環弁開度や給水タービン加減弁開度
を取り込み、又は制御システム信号を用いてこれらの値
を推定して、制御システムの非線形特性による給水流量
の変動外乱を予測し、これらを補償するように各ポンプ
の流量制御信号を修正する補償制御器を設置する構成と
することにより達成される。
【0009】なお本発明は、原子力発電プラントおよび
火力発電プラントを問わず、給水流量制御装置を有する
蒸気ドラム設置の発電プラントに採用可能である。
【0010】
【作用】本発明の作用を説明する。
【0011】原子炉水位の変動の原因としては、主蒸気
流量と給水流量のミスマッチに加えて、沸騰水型原子炉
では更に原子炉圧力変動による炉内ボイドの変動が考え
られるが、給水ポンプ切替時の原子炉水位変動は給水ポ
ンプの変動によるところが大きいことから、給水流量の
みに着目し上記のような制御構成としたものである。水
位偏差が零の場合、流量制御器は、切替されようとして
いる各ポンプの流量増減をそれぞれ切替ポンプの流量変
化率目標値に合わせて決定し、各ポンプの流量総和を主
蒸気流量に見合って必要な給水流量に等しく一定に保つ
ように制御する。水位偏差が生じた場合には、各ポンプ
の流量要求変化率を修正して水位偏差が減少するように
流量総和を変化させる。
【0012】一方、制御システムの非線形特性による給
水流量の変動外乱に対して水位偏差をフィードバックす
る上記の制御構成では、制御装置の応答遅れが無視でき
なく、水位変動が大きくなる。これに対しては、ポンプ
再循環弁開度や給水タービン加減弁開度を取り込み、給
水流量の変動外乱を予測することが可能であるので、制
御装置の応答遅れを考慮して外乱を補償するように各ポ
ンプの流量制御信号を修正すれば、水位変動を少なくす
ることができる。もしも、弁開度の信号が得られない場
合は、他の制御システム信号とシステムモデルを用いて
その値を推定すればよい。
【0013】
【実施例】以下、本発明の蒸気発生プラントの給水制御
装置の好適な一実施例であるBWRプラントの給水制御装
置の基本的な構成を図1を用いて以下に説明する。
【0014】本実施例の給水制御装置は、給水主制御器
14及び給水流量制御器12を有する。
【0015】原子炉圧力容器1内で発生した蒸気は、蒸
気加減弁5を設けた主蒸気管を介してタービン2に導か
れる。この蒸気により発電機3が回転駆動される。一
方、タービン2から復水器4に吐出された蒸気およびバ
イパス弁6が設けられたバイパス配管から復水器4に吐
出された蒸気は、復水器4で凝縮された後、給水ポンプ
7,8の駆動により給水管を介して再び原子炉圧力容器
1内に供給される。給水ポンプとして、タービン駆動の
給水ポンプ(以下、TDRFPと称す)7とモータ駆動
の給水ポンプ(以下、MDRFPと称す)8がある。M
DRFP8からTDRFP7への切替(原子炉出力上昇
時)及びTDRFP7からMDRFP8への切替(原子
炉出力下降時)を行う給水ポンプの切替モ−ドにおい
て、TDRFP7及びMDRFP8による給水流量は、
給水流量制御器12によって制御される。すなわち給水
流量制御器12から出力された給水調整弁開度要求信号
18により、MDRFP8の吐出側に設けられた給水調
整弁10の開度を調整することによって、給水流量が制
御される。給水流量制御器12から出力された給水ター
ビン速度要求信号19を入力したタービンガバナ(EH
G)20によって加減弁21の開度を調節して給水ター
ビン9の回転数を制御し、TDRFP7から吐出される
給水流量を制御する。なお、図1は、通常、BWRプラ
ントでA/B2台あるTDRFPおよびMDRFP8
を、それぞれ1台省略している。
【0016】給水ポンプの役割分担について説明する。
原子炉出力20%までは2台のMDRFP8うちの1台
が駆動され、20%出力から40%出力までは2台のT
DRFP7のうちの1台が駆動され、40%出力以上で
は2台のTDRFP7が駆動される。これらの給水ポン
プの切替操作は、原子炉出力上昇時、または原子炉出力
下降時において、原子炉出力が20%および40%に達
した時点で原子炉出力一定の条件下で行われる。なお、
給水主制御器14は、原子炉出力約30%までは原子炉
水位信号15に基づいた単要素制御モードにより給水流
量制御信号を出力し、それを超える原子炉出力では原子
炉水位信号に計測された給水流量と計測された主蒸気流
量とのミスマッチ信号を加えた三要素制御モードにより
給水流量制御信号を出力する。給水流量制御器12は、
以下に述べるように、原子炉出力20%におけるMDR
FPとTDRFPとの給水ポンプの切替モードを実行す
るために設けられているので、単要素制御が行われるよ
うに構成されている。
【0017】さて、給水ポンプの切替モードを実行する
ときに、給水主制御器14は、水位偏差16を取り込ん
で比例・積分演算を行い給水主制御器出力17を出力す
る。水位偏差16は、水位検出器11の出力である原子
炉水位信号15と水位目標設定器13の水位設定信号と
の偏差である。
【0018】給水流量制御器12は、流量制御器22,
信号切替器23及び補償制御器24を備える。
【0019】給水流量制御器12の作用を以下に説明す
る。流量制御器22が原子炉水位信号15と水位目標設
定器13の出力である目標値との偏差、すなわち水位偏
差16と、切替給水ポンプの流量変化率目標値25とを
取り込み、流量変化率目標値25から各給水ポンプの流
量要求変化分を決定すると共に、水位偏差16の絶対値
が減少するように流量要求変化分を修正し、これを時間
積分してMDRFP流量要求、すなわち給水調整弁開度
要求信号18、およびTDRFP流量要求、すなわち給
水タービン速度要求信号19として出力する。これらの
給水流量制御信号は、給水ポンプ切替モードにおける給
水ポンプ切替運転に入ると信号切換器23により給水主
制御器出力17の代わりに選択されて、給水調節弁10
の開度制御及びガバナ20による加減弁21の開度制御
に用いられる。給水ポンプ切替モードにおいては、ポン
プ切替モード信号が信号切換器23に入力される。この
信号により、信号切換器23は、給水ポンプ切替モード
以外の単要素制御モード及び三要素制御モードによる制
御時には、給水主制御器14に接続される。このとき、
信号切換器23は、流量制御器22に接続されない。
【0020】流量制御器22は、補償制御器24の出力
であるMDRFP流量要求変化修正分31およびTDR
FP流量要求変化修正分32を取り込んで流量要求変化
分を更に修正し、修正された給水調整弁開度要求信号1
8および給水タービン速度要求信号19を出力する。
【0021】ここで、流量制御器22の具体的な制御ア
ルゴリズムとして、運転員の制御ノウハウの活用が容易
なファジィ制御の適用例を述べる。しかしながら、特に
これに限定されるものではない。ファジィ制御は、例え
ば下記のようなIF−THEN形式の定性的な表現の制御ル
ールを用いる。このような制御ル−ルは、流量制御器2
2に記憶されている。
【0022】制御ルールの例: IF [{流量変化率目標値 is 中(M)}AND{水位偏差
is 負で中(NM)}] THEN [{MDRFP流量要求変化分 is 負で大(NB)} {TDRFP流量要求変化分 is 正で小(PS)}] この制御ルールは、水位偏差が零で流量変化率目標値が
中位の場合には、MDRFP流量要求変化分は負で中
位、およびTDRFP流量要求変化分は正で中位とすべ
きであるが、水位偏差が負で中位、すなわち原子炉水位
が目標値よりも高いので、各ポンプ流量の総和である給
水流量が減少するように各ポンプの流量要求変化分を修
正する制御ノウハウの例を表わしている。ファジィ制御
は、上記のような制御ルールの条件部(IF)および結
論部(THEN)の定性的表現が異なる多数の制御ルー
ルを用いた推論によりMDRFP流量要求およびTDRFP
流量要求の各変化分を決定し、これらを時間積分して、
MDRFP流量要求である給水調整弁開度要求信号18
およびTDRFP流量要求である給水タービン速度要求
信号19として出力する。上記の推論には、水位偏差1
6も用いられる。次に、給水流量制御器12の補償制御
器24における制御動作を述べる。補償制御器24は、
測定された給水調整弁開度28,給水タービン加減弁開
度29およびポンプ再循環弁開度30等の制御システム
信号を取り込み、制御システムの非線形性や外乱入力に
よるMDRFP8およびTDRFP7の各給水ポンプ流
量の変動を予測し、それらの流量変動を補償するための
MDRFP流量要求変化修正分31およびTDRFP流
量要求変化修正分32を出力する。制御システムの非線
形性の例としては、例えばタービンガバナ20によって
操作されるタービン加減弁21の、開度に対する蒸気圧
力の変化がある。通常、給水タービンでは主タービン2
からの抽気蒸気を使用するが、原子炉低出力時のように
抽気蒸気のみでは十分な蒸気エネルギが得られない場合
は、加減弁開度がある値以上になって主蒸気管からの高
圧蒸気を使用する。この際、蒸気エネルギが上昇するた
め給水タービンの速度が増加し、結果的にTDRFP7
の流量も急増する。このような非線形特性を補償する補
償制御器24の制御アルゴリズムとして、流量制御器2
2と同様にファジィ制御を適用すると、次のような補償
ルールを用いることができる。このような補償ルール
は、補償制御器23に記憶されている。
【0023】補償ルールの例: IF [{給水タ−ビン加減弁開度 is 高圧蒸気加減弁開
位置にやや近い(SN)}] THEN [{TDRFP流量要求変化修正分 is 負で中(NM)} {MDRFP流量要求変化修正分 is 負で小(NS)}] 上記の補償ルールは、タービン加減弁21の高圧蒸気加
減弁が開くと予想される場合には、TDRFP流量要求
の変化率をあらかじめ小さくしておき、TDRFP流量の過
増加を防止するいう制御ノウハウにもとづくが、同時に
MDRFP流量要求変化分を大きくするという協調制御
を含んでいる。
【0024】さて、給水流量制御器12によるポンプ切
替制御について説明すれば、ポンプ切替制御開始の前提
条件として、給水調整弁開度要求信号18としては信号
切換器23により給水主制御器出力17が選択されMD
RFPの流量は自動で制御されている一方、TDRFP
は手動または計算機制御により給水タービン速度要求信
号19が操作されて給水タービン9が昇速され、そのポ
ンプ吐出圧力は給水ポンプ出口側のヘッダ圧力に近い値
まで上げられて、最小流量運転状態となっている。この
状態から流量制御器22の積分器を調整してその出力が
給水調整弁開度要求信号18および給水タービン速度要
求信号19に等しくなるように設定し、信号切換器23
により流量制御器22の出力が選択されるように切り換
える。流量制御器22は、前述したその制御動作のよう
に、給水タービン速度要求信号19を増加させるので、
TDRFPの吐出圧が増して出口逆止弁が開き原子炉側
への給水が増加する一方、給水調整弁開度要求信号18
を減少させてMDRFPの流量を減少させ、原子炉水位
を目標値に保つように給水流量を制御する。やがてMD
RFPの流量が零となった時点でポンプを停止させて待
機状態にしておき、信号切換器23を給水主制御器出力
17を選択するように切換してポンプ切替制御は終了す
るものである。
【0025】以上は原子炉出力20%時での切替制御で
あるが、原子炉出力が40%であって、TDRFP1台
が運転中にTDRFPの2台目を追加運転する給水ポン
プ切替モードの場合も、同様に各TDRFP7の給水流
量を給水流量制御器12により減少および増加制御させ
ればよい。このとき、当然のことながら信号切換器23
は、流量制御器22に接続されている。各TDRFPの
給水流量が一致した時点で、信号切換器23は流量制御
器22から切り離されて給水主制御器14に接続される
ので、以後の給水制御は給水主制御器出力17に基づい
て制御される。また、原子炉出力降下時でのTDRFP
2台運転からその1台運転への移行およびTDRFPか
らMDRFPへの切替制御は、原子炉出力上昇時と逆の
操作で行える。
【0026】図2はBWRプラントの動特性シミュレー
タを用い従来方式による給水ポンプ切替操作のシミュレ
ーションを実施した結果を示したものである。従来方式
では、切替のために起動する給水ポンプについては、計
算機から流量増加要求信号を入力するのみであり、原子
炉水位の変動をみて給水ポンプ流量を制御する、いわゆ
るフィードバック制御は行っていない。このため長時間
にわたって緩やかに給水ポンプ切替操作を行うことによ
って、原子炉水位の変動を少なくしている。しかし、こ
こでは本実施例による場合と比較するために短時間での
給水ポンプ切替制御特性がシミュレーション結果として
示されている。図示のごとくTDRFP7による流量がMDR
FP8による流量の減少によって急激に増加する結果、
及び給水タービンの高圧蒸気加減弁21の開の影響を受
けて変動する結果、原子炉水位が大きく上昇する。給水
主制御器によってMDRFP8による流量が減少させら
れるが、制御効果が遅れて発生するので、応答は全体的
に変動し原子炉水位の変動も大きくなる。
【0027】図3は本実施例において、流量制御器22
だけが作用する場合に対して、同様な給水ポンプ切替制
御シミュレーションの結果を示したものである。流量制
御器22からの給水タービン速度要求信号19の増加に
よりTDRFP7による流量が増加するが、同時に給水
調整弁開度要求信号18が減少されるのでMDRFP8による
流量は減少し、これらのポンプ流量の総和に等しい給水
流量はほぼ一定に保たれて、原子炉水位の変動も小さ
い。しかし、給水ポンプ切替途中で給水タービンの高圧
蒸気加減弁開の影響でTDRFP7による流量が急増
し、原子炉水位が変動している。
【0028】図4は本実施例において、流量制御器22
及び補償制御器24が作用する場合に対して、同様な給
水ポンプ切替制御シミュレーションの結果を示したもの
である。補償制御器24により給水ポンプ切替途中での
給水タービン9の高圧蒸気加減弁開を予測して、TDR
FP7の流量要求変化分を少なく修正して制御信号とし
て出力しているので、高圧蒸気加減弁開の影響によるT
DRFP7の流量増加も少なく、給水流量はほぼ一定に
保たれて原子炉水位の変動も小さい。
【0029】本実施例によれば、切替に長時間を要した
従来方式よりも大幅に短縮された切替時間(数十分以
内)で、原子炉水位を安定に制御しつつポンプ切替を行
うことが可能となる。
【0030】本実施例の給水制御装置は、沸騰水型原子
炉以外の蒸気発生器に対しても適用できる。すなわち、
BWRプラントの原子炉は蒸気発生器である。従って、
本実施例の給水制御装置は、火力プラントのボイラ,加
圧水型原子炉の蒸気発生器及び高速増殖炉の蒸気発生器
に対する給水制御装置に適用できる。
【0031】本発明の他の実施例であるBWRプラント
の給水制御装置を図5に基づいて説明する。本実施例
は、図1の実施例とは、給水流量制御器12の構成が異
なっているだけである。本実施例における給水流量制御
器12Aは、流量制御器22,信号切換器23,補償制
御器24及び信号推定器35を有する。給水流量制御器
12Aは、給水流量制御器12の構成に信号推定器35
を付加したものである。給水流量制御器12Aの補償制
御器24は、図1の実施例で補償制御器24の入力であ
る制御システム信号を、信号推定器35の出力である推
定信号で代用している。図1の実施例における補償制御
器24は、前述のごとく制御システム信号を取り込み、
制御システムの非線形性や外乱入力によるMDRFP8
およびTDRFP7の各給水ポンプ流量の変動を予測
し、それらの流量変動を補償するために各給水ポンプの
流量要求変化率を修正する機能を有している。しかし、
システム構成の簡単化および信頼性向上の観点から、検
出器が必要な給水調整弁開度28,給水タービン加減弁
開度29、及びポンプ再循環弁開度30等の弁開度の信
号を用いたくない場合もありえる。信号推定器35は、
このような場合に対応するために設けられたものであ
り、信号切換器23の出力である給水調整弁開度要求信
号18及び給水タービン速度要求信号19を取り込み、
内蔵した制御システムモデルを用いて上記の各弁開度信
号の値を推定する機能を有する。ここで、給水調整弁開
度要求信号18と給水調整弁開度28の関係についての
静特性および、給水タービン速度要求信号19と給水タ
ービン加減弁開度29の関係についてTDRFP流量推
定値を用いて静特性が得られており、かつ各給水ポンプ
流量と給水ポンプ再循環弁開度30の値も推定できる。
従って、一次遅れで応答の動特性を近似すれば、上記制
御システムモデルとしては比較的簡単なものでよい。本
実施例のように信号推定器35を用いた場合でも、補償
制御器24が作用する部分は制御システムの非線形特性
や外乱発生の部分に限られるので、推定信号に大きな誤
差がない限り、基本的な制御特性に大きな変化はないと
考えられる。本実施例も、図1の実施例と同じ効果を得
ることができる。
【0032】図6は、本発明の他の実施例であるBWR
プラントの給水制御装置の給水流量制御器12Bを示
す。本実施例に用いられる給水流量制御器12Bは、流
量制御器22の出力である給水タービン速度要求信号1
9を応答遅れ補償器40に通して給水タービン速度要求
信号19Aを得ている点である。ガバナ20は、給水タ
ービン速度要求信号19Aに基づいて加減弁21を制御
する。応答遅れ補償器40は、給水調整弁10によるM
DRFP流量制御とタービンガバナ20での給水タービ
ン速度制御によるTDRFP流量制御との応答速度の相
違を補償する目的で付加したものであり、TDRFP流
量制御の応答を速めるように信号の進み/遅れ補償を行
う。本実施例においても、図1の実施例と基本的な制御
特性には大きな変化はなく、図1の実施例と同じ効果を
得ることができる。更に、本実施例は、切替える各給水
ポンプの制御応答をそろえる効果により給水流量の変動
がより少なくなり、原子炉水位制御特性の向上が期待で
きる。
【0033】本発明の他の実施例であるBWRプラント
の給水制御装置を図7に示す。本実施例は、図1の実施
例の構成に切替指令器50を付加したものである。切替
指令器50は、給水主制御器14の出力と流量制御器2
2の出力を信号切換器23によって切替える場合に切替
えの前後で制御信号が連続的になるような、いわゆるバ
ンプレス切替えを自動的に行うものである。切替指令器
50は、給水ポンプ切替開始/終了の指令信号51を受
けて、給水調整弁開度要求信号18および給水タービン
速度要求信号19を取り込み、流量制御器22の出力で
あるそれらの要求信号が取り込んだそれらの信号に等し
くなるように流量制御器出力調整信号54により流量制
御器22の出力を調整した後、信号切換器23により流
量制御器22の出力が選択されるように制御信号を切り
換える。次に、切替給水ポンプの流量変化率目標値25
を流量制御器22に出力する。また、切替制御終了の指
令信号51を受けて、同様に各ポンプ流量の制御信号を
流量制御器22の出力から給水主制御器14の出力へ切
り換えることを自動的に行う。本実施例の制御構成にお
いては、切替の制御特性については図1の実施例と何ら
変わるところがないが、切替制御の運用自動化に寄与す
るところが大と考えられる
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、切替ポンプの流量変化
率目標値に基づき、原子炉水位の変動を監視して各ポン
プの流量要求信号を調節し、起動または停止されるポン
プの流量変化率を制御する機能を有していることから、
給水流量および原子炉水位の変動を少なくできる。ま
た、本発明によれば、給水ポンプ切替に要する時間が大
幅に短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるBWRプラントの給水
制御装置の構成図である。
【図2】従来制御方式による給水ポンプ切替制御のシミ
ュレーション結果を示す説明図である。
【図3】図1の実施例における流量制御器のみを用いた
制御構成における給水ポンプ切替制御のシミュレーショ
ン結果を示す説明図である。
【図4】図1の実施例におけるポンプ切替制御のシミュ
レーション結果を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施例であるBWRプラントの給
水制御装置の構成図である。
【図6】本発明の他の実施例であるBWRプラントの給
水制御装置の構成図である。
【図7】本発明の他の実施例であるBWRプラントの給
水制御装置の構成図である。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…タービン、7…タービン駆動
給水ポンプ、8…モータ駆動給水ポンプ、9…給水ター
ビン、10…給水調整弁、11…水位検出器、12…給
水流量制御器、13…水位目標設定器、14…給水主制
御器、15…原子炉水位信号、16…水位偏差、17…
給水主制御器出力、18…給水調整弁開度要求信号、1
9…給水タービン速度要求信号、20…タービンガバ
ナ、21…タービン加減弁、22…流量制御器、23…
信号切換器、24…補償制御器、25…流量変化率目標
値、26…MDRFP流量要求、27…TDRFP流量
要求、28…給水調整弁開度、29…給水タービン加減
弁開度、30…ポンプ再循環弁開度、31…MDRFP
流量要求変化修正分、32…TDRFP流量要求変化修
正分、35…信号推定器、36…給水調整弁開度推定
値、37…給水タービン加減弁開度推定値、38…ポン
プ再循環弁開度推定値、40…応答遅れ補償器、41…
遅れ補償器出力、50…切替指令器、51…指令信号、
52…切換指令信号、53…給水主制御器出力調整信
号、54…流量制御器出力調整信号。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸気発生器へ給水を行うべく設けられた複
    数の給水ポンプによる給水流量を制御する蒸気発生プラ
    ントの給水制御装置において、 測定された原子炉水位とこの目標値との偏差である水位
    偏差と、給水ポンプの流量変化率目標値とを取り込み、
    該流量変化率目標値から各給水ポンプの流量要求変化分
    を決定すると共に、水位偏差の絶対値が減少するように
    該流量要求変化分を修正し、各給水ポンプの流量要求信
    号を出力する流量制御器を有することを特徴とする蒸気
    発生プラントの給水制御装置。
  2. 【請求項2】測定された制御システム信号を取り込み、
    制御システムの非線形性や外乱入力による各給水ポンプ
    流量の変動を予測し、該各給水ポンプ流量の変動を補償
    するように各給水ポンプの流量要求変化分の修正信号を
    前記流量制御器に出力する補償制御器を設けた請求項1
    の蒸気発生プラントの給水制御装置。
  3. 【請求項3】前記流量制御器に加えて、各給水ポンプの
    流量要求信号を取り込み、制御システムモデルを用いて
    給水調整弁開度,給水タービン加減弁開度,ポンプ再循
    環弁開度を推定し、制御システムの非線形性や外乱入力
    による各給水ポンプ流量の変動を予測し、該各給水ポン
    プ流量の変動を補償するように各給水ポンプの流量要求
    変化分を修正する補償制御器を設けた請求項1の蒸気発
    生プラントの給水制御装置。
  4. 【請求項4】各給水ポンプの流量要求信号を出力する前
    記流量制御器に加えて、該流量要求信号を給水タービン
    ガバナユニットの応答遅れを補償する補償要素を通して
    タービン駆動給水ポンプの流量要求信号とする請求項1
    の蒸気発生プラントの給水制御装置。
  5. 【請求項5】各給水ポンプの流量要求信号を出力する前
    記流量制御器に加えて、原子炉水位の目標値との偏差で
    ある水位偏差にもとづき給水流量を制御する給水主制御
    器と、ポンプ切替指令を受けて各給水ポンプの流量要求
    信号を給水主制御器の出力から流量制御器へバンプレス
    に切替、かつ給水ポンプの流量変化率目標値を出力する
    切替指令器を有する請求項1の蒸気発生プラントの給水
    制御装置。
  6. 【請求項6】原子炉へ給水を行うべく設けられている複
    数の給水ポンプの流量を制御する給水流量制御装置であ
    って、原子炉水位の目標値との偏差である水位偏差と、
    給水ポンプの流量変化率目標値とを取り込み、水位偏差
    の絶対値が減少するように各給水ポンプの流量要求変化
    分を決定すると共に、給水ポンプの流量変化率目標値に
    一致するように該流量要求変化分を修正し、各給水ポン
    プの流量要求信号を出力する流量制御器を有することを
    特徴とする蒸気発生プラントの給水制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102543235A (zh) * 2010-12-30 2012-07-04 韩国电力技术株式会社 核电站主给水控制阀转移期间控制蒸汽发生器水位的系统

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WO2012091202A1 (en) * 2010-12-30 2012-07-05 Kepco Engineering & Construction Company System of controlling steam generator level during main feed-water control valve transfer for nuclear power plant
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