JPH11323492A - 耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Info

Publication number
JPH11323492A
JPH11323492A JP12904498A JP12904498A JPH11323492A JP H11323492 A JPH11323492 A JP H11323492A JP 12904498 A JP12904498 A JP 12904498A JP 12904498 A JP12904498 A JP 12904498A JP H11323492 A JPH11323492 A JP H11323492A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
plating
alloying
grain size
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12904498A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukiaki Tamura
享昭 田村
Yoshinobu Omiya
良信 大宮
Ichiro Tsukatani
一郎 塚谷
Takayuki Yamamoto
貴之 山本
Masaaki Urai
正章 浦井
Masabumi Shimizu
正文 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP12904498A priority Critical patent/JPH11323492A/ja
Publication of JPH11323492A publication Critical patent/JPH11323492A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐めっき剥離性、更には摺動性にも優れた高
強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板の平均結晶粒径が、JIS G05
52の結晶粒度比較法で粒度番号11以上を満足する高
強度溶融亜鉛めっき鋼板である。上記鋼板において、め
っき層中のFe濃度を8〜17%(mass%,以下同
じ)に制御したり、Al濃度が0.1〜0.5%に制御
すれば、耐めっき剥離性に加えて更に摺動性も向上され
た高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐めっき剥離性に
優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関するもので
ある。本発明鋼板は、上記耐めっき剥離性に加え更に優
れた摺動性も付与することができるので、自動車部品な
どを加工する際、摺動性やパウダリングが問題となる分
野に広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の安全性を高め車体の軽量
化を図るという観点から、鋼板の高強度化が強く求めら
れている。一方、自動車の寿命向上という観点からめっ
き鋼板が使用されており、なかでも合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、耐食性、塗装性、塗料密着性、溶接性等の諸
特性に優れていることから汎用されている。
【0003】一般に、連続溶融亜鉛めっきラインにて合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は、焼鈍後に約
430〜520℃の溶融亜鉛浴中に浸漬した後、再加熱
して合金化する、といった熱履歴を経るため、急速冷却
等による焼入れ性により強度を高めることはできない。
そこで、鋼板の強度を高める為に、焼入れ向上元素を多
量添加して鋼中の組織を強化したり、或いは、固溶化元
素を多量添加して強度上昇を図る等の方法が採用されて
いる。ところが、焼入れ向上元素や固溶化元素を多量に
添加すると、焼鈍時に、鋼板表面に酸化皮膜等が生成さ
れ易くなり、その結果、不めっきや合金化ムラ等といっ
た表面欠陥が生じ、めっき品質に悪影響を及ぼす様にな
る。
【0004】そこで、この様な不めっきや合金化ムラ等
を防止してめっき密着性を改善すべく、下記〜に示
す種々の方法が提案されている。
【0005】連続溶融亜鉛めっきラインにおける焼鈍
の際に、酸化炉で鋼板表面に酸化皮膜を形成させた後、
後続の還元炉で、形成させた酸化皮膜を還元除去する方
法が提案されている。例えば特開平4−202633に
は、鋼中のSi濃度が0.3%以上の高張力溶融亜鉛め
っき鋼板を製造するに際し、焼鈍炉の酸化帯で生成した
鉄酸化膜厚を酸化膜厚計にて実測し、一方還元帯での酸
化膜還元能力を操業条件に基づいて計算し、酸化帯での
鉄酸化膜厚が還元帯能力を上回らないように焼鈍条件を
制御する方法が開示されている。この焼鈍条件は、還元
時における鋼中のSi量によっても変化する。しかしな
がら、一般的に焼鈍時の酸化帯では、FeよりもSiの
方が酸化され易い為、Fe酸化皮膜を還元したとしても
Si酸化皮膜が残留してしまい、不めっきの問題は依然
として解決し得ない。また、酸化皮膜厚に基づいてライ
ン通板中における焼鈍条件を制御している為、刻々と変
化する鋼板表面状態を、計算通りに制御するのは工業的
に極めて困難である。
【0006】鋼板表面の粗度を機械的に粗くすること
により、めっき密着性を向上させる方法が提案されてい
る。例えば特開平6−41707号に記載の方法は、め
っき層を除去した後の鋼板表面粗さが10点平均粗さR
zで6.5μm以上で、且つめっき層の平均Fe濃度が
7〜11重量%に制御するものである。しかしながら、
この方法によれば、めっき原板の粗度を適正に制御する
必要がある為、作業性が著しく劣化し、生産性や量産性
に劣るという問題がある。また特開平3−285056
号は、表面に多数ピットを形成した鋼板を溶融亜鉛めっ
きした後、加熱合金化するものであるが、所望のピット
を形成させる為に、化学的溶解若しくは電解処理的溶解
を別途施す必要が生じ、生産工程が増え、大量量産には
不向きである。
【0007】鋼板表面を研削する方法であり、例えば
特開平5−132749号には、鋼中のSi量やP量に
よって特定される量だけ酸洗板の表面を研削する方法が
開示されている。ところがこの方法を採用しようとする
と、通常の場合であれば、熱延板を酸洗後直ちに冷間圧
延すれば良いにもかかわらず、上記方法では、酸洗後に
表面研削する工程を別途追加しなければならず、作業性
の悪化に加え、コストアップを余儀なくされる。
【0008】溶融亜鉛浴に浸漬する前に鋼板表面にプ
レめっきを施すことにより酸化皮膜の表面濃化を防止す
る方法がある。具体的には、特開昭57−70268
号、特開昭58−120772号、特開平4−3335
52号公報、特開平5−59513号等に記載の如く、
溶融亜鉛めっき浴に浸漬する前にFeやNi等を予め鋼
板表面にめっきし、次いで焼鈍した後、溶融亜鉛めっき
および合金化処理する方法であり、これにより焼鈍時に
おける酸化皮膜の濃化に伴うめっき品質の劣化を防止す
るものである。しかしながら、これらの方法を実用化す
るに当たっては、プレめっきの為にFeやNi等を多量
に使用しなければならず、設備コスト及びランニングコ
ストの双方が上昇する。
【0009】特開昭61−223174号には、鋼板
を溶融亜鉛めっき浴に通過させた後、550〜700℃
の温度まで急速加熱してめっき層表面に液相が残存する
状態にしてから、次に530℃以下に急速冷却した後、
更に450〜530℃の範囲に保持する方法が開示され
ている。この方法によれば、めっき表面まで合金化が完
了する前に鋼板を急冷し、更に一定の温度範囲に保持す
るといった厳格な温度制御を余儀なくされるため、量産
する際には、ラインスピード等の変化に応じた温度制御
が難しい;高強度化のために低温変態相を活用しようと
しても、一定の温度範囲に保持する間に、目的としない
相変態が進んでしまう可能性がある等の不具合が生じ
る。
【0010】特開昭62−4860号には、鋼板に溶
融亜鉛めっきを施した後、650〜850℃の温度に加
熱して1秒以上保持してから急冷し、200〜500℃
の温度で5秒以上保持する方法が開示されている。この
方法は、溶融めっき前に通常実施されている焼鈍を不要
にし得る点に特徴がある。しかし、溶融亜鉛めっき浴中
に、鋼板を常温のまま浸漬すると、鋼板成分とは無関係
にめっきの濡れ性に悪影響を及ぼす他、めっき後650
〜850℃に加熱すると合金化が過度に進む恐れがあ
る。
【0011】特開平7−126822号には、鋼板を
焼鈍後圧延して転位を導入した後、溶融亜鉛めっき、合
金化処理する方法が開示されている。この方法の特徴
は、焼鈍後の鋼板に圧延による転位を導入することによ
り、結晶粒界のみならず結晶粒内からもアウトバースト
を発生させ、めっき層における合金化反応の不均一性を
軽減しようとする点にある。ここで「アウトバースト」
とは、溶融亜鉛めっき鋼板の合金化反応時に、Fe−Z
n界面で、結晶粒界から合金化反応が優先的に起こる現
象をいう。しかしながら、焼鈍後に転位を導入すること
により耐パウダリング性が高められたとしても、合金化
処理の際に加熱される為、固溶C,N等により該転位が
再び固着される結果、降伏点伸びが発生する様になる。
この降伏点伸びは、加工時におけるストレッチャースト
レインの発生原因になる為、合金化後にスキンパス圧延
を新たに行う必要がある。その結果、焼鈍後の鋼板に二
度転位を導入することになるので、必然的に伸びの低下
は避けられない。
【0012】特開平7−173595号には、所定量
のAl含有亜鉛浴中に鋼板を500〜600℃の温度範
囲で浸漬した後、480〜600℃の範囲で合金化処理
する方法が開示されている。この方法は、Fe−Al合
金層によるFe−Zn反応抑制作用と上記アウトバース
ト現象を組合わせることにより、合金化処理後のめっき
表面に微細な凹部を形成させ、その凹部内に潤滑油を保
持させることによってプレス成形性の改善を図るもので
ある。この方法によれば、潤滑油の濡れ性上昇によるプ
レス成形性向上は得られるものの、摺動性或いはパウダ
リング性についても向上される訳ではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
着目してなされたものであり、その目的は、不めっきや
合金化ムラがなくめっきの表面性状が良好であり、耐め
っき剥離性、更には摺動性にも優れた高強度合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛め
っき鋼板とは、鋼板の平均結晶粒径が、JIS G05
52の結晶粒度比較法で粒度番号11以上であるところ
に要旨を有する。
【0015】本発明鋼板において、めっき層中のFe濃
度を8〜17%(mass%,以下同じ)に制御した
り、Al濃度が0.1〜0.5%に制御すれば、耐めっ
き剥離性に加えて更に摺動性も向上された高強度合金化
溶融亜鉛めっき鋼板が得られるので非常に有用である。
【0016】更に本発明鋼板における鋼板中の化学成分
が、C:0.05〜0.20%,Si:0.5%以下,
Mn:0.5〜3.0%,P:0.12%以下(0%を
含む),S:0.01%以下(0%を含む),残部:鉄
および不可避不純物を満足するものや、更にNb,Ti
およびVよりなる群から選択される少なくとも1種の元
素を合計で0.01〜0.05%を含有するものは本発
明の好ましい態様である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、耐めっき剥離性の
みならず好ましくは摺動性に優れた高強度合金か溶融亜
鉛めっき鋼板を提供すべく、該めっき鋼板のめっき層構
造、特にめっき断面の性状を詳細に観察して検討した。
その結果、Fe−Zn合金化反応は、主に結晶粒界から
優先的に発生する前記アウトバースト現象によって起こ
るが、結晶粒径が大きいと、Fe−Zn界面では、粒界
付近及び粒内表面で合金化度がムラになり易いことが分
かった。
【0018】本発明は、このアウトバースト現象と鋼板
の結晶粒径との関係に着目してなされたものであり、め
っき原板の結晶粒径を小さくして粒界からのアウトバー
ストを鋼板表面から微細且つ均一に生じさせることによ
り、Fe−Zn界面において、均一な合金化を促進させ
ることができれば所期の目的が達成し得ることを見出
し、本発明を完成したのである。
【0019】この様に本発明では、鋼板の結晶粒径を所
定範囲に制御したところに最大の特徴を有する。具体的
には、JIS G0552の結晶粒度比較法において粒
度番号11以上であることが必要である。好ましくは粒
度番号12以上である。この様に鋼板の結晶粒径を小さ
くすれば、合金化反応が均一且つ微細にめっき層表面ま
で進行するのみならず、Fe−Zn界面に硬くて脆い
(従って、めっき剥離の原因になる)Γ相が成長するの
を抑制することもできることが分かった。その理由は、
詳細には不明であるが、鋼板表面では合金化が均一に生
じるのに対し、アウトバーストはFe−Zn界面からめ
っき表面に向かって進行する為、Fe−Zn界面からめ
っき最表面までのめっき厚さに対するFe濃度の勾配が
小さくなる為と考えられる。
【0020】更に本発明では、合金化反応を均一に進行
させる為に、めっき層中のFe及びAl濃度にも留意す
ることが推奨される。Al濃度を制御することにより耐
めっき剥離性を向上させることができ、また、Fe濃度
を制御することにより耐めっき剥離性のみならず摺動性
も向上させることができる。
【0021】まず、めっき層中のFe含有量は8〜17
%にすることが好ましい。一般的に、めっき層のFe濃
度が高い程めっき層の硬さが高くなる為、プレス等の加
工時における摺動性は良くなる。Fe濃度が8%未満で
は、めっき層の硬度が低く、プレス等の加工時に型かじ
り等を起こし易くなる。好ましくは10%以上である。
一方、Fe濃度が17%を超えると、めっき層の硬度が
高くなる為、加工性には優れる反面、Fe−Zn界面の
Γ相が厚くなり過ぎ、耐めっき剥離性が低下してしま
う。好ましくは15%以下である。
【0022】また、めっき層中のAl濃度は0.1〜
0.5%に制御することが好ましい。Alは一般に合金
化抑制元素として知られており、Alを含む溶融亜鉛め
っき浴中に鋼板を浸漬するとFe−Zn界面にFe−A
l合金層が形成される。このFe−Al合金層は、Fe
−Znの合金化反応に大きな影響を及ぼすことが知られ
ている。即ち、めっき層中のAl濃度が0.1%未満に
なると、形成されるFe−Al合金層は薄くなるが、特
に本発明の如く結晶粒径が非常に小さい鋼板を使用する
場合は、上記合金化の反応性に富む為、溶融亜鉛浴に鋼
板を浸漬すると直ちに合金化が進み、めっき表面まで合
金化が完了する前にΓ相が大きく成長してしまい、耐め
っき剥離性が低下してしまう。従って、Al濃度を0.
1%以上にする。より好ましくは0.2%以上である。
一方、めっき層中のAl濃度が0.5%を超えると、F
e−Al合金層がFe−Zn界面に厚く成長し、Fe−
Znの合金化反応を阻害する為、めっき層の合金化が著
しく遅延する。その結果、所望の合金化反応を進行させ
る為の手段として、非常に長い合金化ラインが別途必要
になったり、高温下での合金化処理を新たに行う必要が
生じる等、不経済である。より好ましくは0.4%以下
である。
【0023】更に本発明では、一層優れた特性を得るこ
とを目的として、鋼板の化学成分を以下の様に制御する
ことが推奨される。
【0024】C:0.05〜0.20% Cは、高強度化のために最も重要な元素である。パーラ
イト、ベイナイト、マルテンサイト等の組織を強化する
ことによって高強度化を図る場合、所望の強度を得る為
には0.05%以上添加する必要がある。一方、0.2
0%を超えると溶接性に悪影響を及ぼすので、上限を
0.20%にする。より好ましくは0.07%以上、
0.18%以下である。
【0025】Si:0.5%以下 Siは、置換型固溶元素で清浄なポリゴナルフェライト
を形成する為、高強度且つ高延性を得るうえで有効な元
素であり、目的とする引張強度に応じて添加することが
できる。しかし、0.5%を超えると焼鈍時に生成され
る酸化皮膜によって溶融亜鉛との濡れ性が悪くなるの
で、0.50%を上限とする。より好ましくは0.30
%以下である。
【0026】Mn:0.5〜3.0% Mnは、固溶強化することにより、強度を確保し且つ焼
入れ性の向上に寄与することができるので、所望の組織
を効率良く得る為に有用な元素である。この様な作用を
有効に発揮させる為には0.5%以上添加する必要があ
る。より好ましくは0.7%以上である。一方、3.0
%を超えて添加しても上記作用が飽和して経済的に無駄
であり、更にMnの多量添加に伴う酸化皮膜の形成によ
り溶融亜鉛めっきとの濡れ性が悪くなる為、その上限を
3.0%にした。より好ましくは2.8%以下である。
【0027】P:0.12%以下 Pは、Siと同様、固溶強化能に優れた元素である。し
かし、0.12%を超えて添加すると、粒界偏析による
粒界脆化および溶接性の低下が生じる他、めっき層の合
金化速度が遅くなる為、完全に合金化するために通板速
度を遅くしたり高温まで加熱する等の必要が新たに生
じ、生産性が著しく阻害する。より好ましくは0.10
%以下である。
【0028】S:0.01%以下 Sは、成形性に悪影響を及ぼす為、できるだけ少ない方
が好ましいが、生産性等を考慮して、その上限を0.0
1%にした。
【0029】Nb,TiおよびVよりなる群から選択さ
れる少なくとも1種:0.01〜0.05% Nb,TiおよびVは、いずれも炭窒化物を形成し易
く、該析出物によって再結晶が妨げられて結晶粒が微細
化するので、本発明においては特に有効な元素である。
この様な作用を有効に発揮させる為には、これら元素の
1種または2種以上を合計で0.01%以上添加する必
要がある。但し、0.05%を超えて添加しても、その
効果は飽和し、逆に加工性に悪影響を及ぼす様になる。
【0030】上述した本発明鋼板を製造するに当たって
は、特に焼鈍温度、めっき前板温(Zn浴浸漬前保持温
度)などを下記の如く制御することが推奨され、これに
より、鋼板の平均結晶粒径を所定範囲内に小さくするこ
とができる。
【0031】まず、焼鈍温度については、組織強化を図
る為にAc1 以上に昇温することが推奨される。より好
ましくは二相域上部(Ac1 〜Ac3 )の高温部若しく
はAc3 以上である。尚、その上限は特に限定されない
が、鋼板の昇温に必要な熱量などを考慮すれば、900
℃以下にすることが推奨される。
【0032】次にめっき前板温については、ベイナイト
変態を促進させるという観点から430〜500℃付近
に保持することが推奨される。430℃未満になると、
Znの濡れ性が悪くなり、合金化も遅くなる。一方、5
00℃を超えるとベイナイト変態が困難になり、必要以
上に強度が高くなるという不具合が生じる。尚、保持時
間は100秒以内にすることが推奨される。
【0033】また、二次冷却速度については10℃/s
以上にすることが好ましく、これにより、合金化後に残
留するオーステナイトが全てマルテンサイトに変態し、
所望の優れた強度を得ることができる。その他、パーラ
イトへの変態を防止する為に一次冷却速度を1℃/s以
上にすることが推奨される。尚、合金化温度は組織に及
ぼす影響は小さいが、合金化度を制御するという観点か
ら、板温で概ね500〜650℃に制御することが推奨
される。
【0034】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
【0035】
【実施例】実施例1 表1に示す化学成分を有する鋼(40kg)を真空溶製
し、20mm厚のスラブに成形した後、1200℃に加
熱し、仕上げ温度:880℃、巻き取り温度:550℃
で熱間圧延することにより2.6mm厚の熱延鋼板を得
た。この様にして得られた鋼板を酸洗した後、冷間圧延
して1.2mm厚(圧下率54%)の冷延鋼板を得た。
【0036】
【表1】
【0037】上記の冷延鋼板を用い、表2に示す条件で
連続亜鉛めっき、次いで合金化処理することにより合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。尚、一次冷却速度は20
℃/s,最終(二次)冷却速度は35℃/sとした。
【0038】
【表2】
【0039】この様にして得られた合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を用いて、下記の評価方法でめっき層中の各相比
率、摺動性および耐めっき剥離性を調べた。
【0040】(めっき層中の各相比率)定電流アノード
電解法により、めっき層中の各相比率を算出した。実験
条件は、以下の通りである。 電解液:ZnSO4 ・7H2 O(200g/L)及びN
aCl(100g/L) 電流密度:20mA/cm2 温 度:室温
【0041】(摺動性)20mm角の平面工具を用い、
両側から面圧:約30N/mm2 で試験片を押しつけ、
荷重(P)と試験片の引抜き荷重(F)に基づいて摩擦
係数(μ=F/2P)を算出し、これを摺動性評価の指
標にした。
【0042】(耐めっき剥離性)曲げ角:60°,曲げ
半径:1mmのV型パンチを用いてV曲げ試験を実施
し、曲げ内側のめっき剥離量を測定した。
【0043】(結晶粒度)鋼板中の組織を光学顕微鏡で
観察し、JIS G0552の結晶粒度比較法により結
晶粒度を測定した。これらの結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】実施例2 表4に示す化学成分を有する鋼(40kg)を真空溶解
し、20mm厚のスラブに成形した後、表5に示す条件
で熱間圧延し、2.6mm厚の熱延鋼板を得た。この様
にして得られた鋼板を酸洗した後、表6に示す条件で連
続溶融亜鉛めっき、次いで合金化処理することにより合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。尚、一次冷却速度は1
0℃/s,二次冷却速度は20℃/sとした。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用い
て、実施例1と同様の方法でめっき層中の各相比率、摺
動性および耐めっき剥離性を調べた。得られた結果を表
3に併記する。
【0050】表より以下の様に考察することができる。
No.1,3,5,8,12,13はいずれも本発明の要
件を満足する実施例であり、摺動性および耐めっき剥離
性の両方に優れている。なかでもNo.1,5,12は、
結晶粒度番号が12以上と本発明のより好ましい要件を
満足している為、これらの特性が格段に優れていること
が分かる。
【0051】これに対して本発明の要件を満足しない他
の例は、夫々以下の不具合を有している。
【0052】まず、No.2は、めっきラインにおける焼
鈍温度がAc1点以下と低い為、結晶粒度が本発明の要件
を外れている。その為、Γ相が厚く生成され、めっき剥
離量が多くなっている。一方、No.4は、めっきライン
における焼鈍温度が高い為、析出物の形成による細粒効
果が得られず、結晶粒度が本発明の要件を外れる例であ
り、やはりめっき剥離量が多くなっている。
【0053】また、No.6は、めっき前の板温が溶融亜
鉛浴の温度に比べて低い為、めっき層中のAl量が本発
明の好ましい要件を超えてしまい、合金化が遅くなり、
合金化ムラが見られ、摺動性が低下している。一方、N
o.7は、めっき前の板温が高い為、めっき層中のAl量
が少なくなって合金化が過度に進行し、Γ相が厚く成長
し、めっき剥離量が多くなっている。
【0054】No.9は、鋼中のC量及びMn量が少ない
為、焼鈍後の結晶粒径が大きくなり、めっき剥離量が多
くなっている。
【0055】No.10は、鋼中のSi量が多い為、Si
酸化皮膜の形成によって不めっきが表面に発生し、摺動
性が低下している。
【0056】No.11は、鋼中のP量が多い為、合金化
反応が遅くなり、摺動性が低下している。
【0057】No.14は、鋼中のMn量が多い為、Mn
酸化皮膜の形成によって不めっきが発生し、やはり摺動
性が低下している。
【0058】
【発明の効果】本発明の鋼板は以上の様に構成されてい
るので、耐めっき剥離性を向上させることができ、更に
は摺動性も高められた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を効率よく提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 貴之 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 浦井 正章 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 清水 正文 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の平均結晶粒径が、JIS G05
    52の結晶粒度比較法で粒度番号11以上であることを
    特徴とする耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜
    鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 めっき層中のFe濃度を8〜17%(m
    ass%,以下同じ)にすることにより摺動性が向上さ
    れたものである請求項1に記載の高強度合金化溶融亜鉛
    めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 めっき層中のAl濃度が0.1〜0.5
    %である請求項1または2に記載の高強度合金化溶融亜
    鉛めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 鋼板中の化学成分が、C:0.05〜
    0.20%,Si:0.5%以下,Mn:0.5〜3.
    0%,P:0.12%以下(0%を含む),S:0.0
    1%以下(0%を含む),残部:鉄および不可避不純物
    を満足するものである請求項1〜3のいずれかに記載の
    高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 【請求項5】 更に、Nb,TiおよびVよりなる群か
    ら選択される少なくとも1種の元素を合計で0.01〜
    0.05%を含有する請求項4に記載の高強度合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板。
JP12904498A 1998-05-12 1998-05-12 耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Pending JPH11323492A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12904498A JPH11323492A (ja) 1998-05-12 1998-05-12 耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12904498A JPH11323492A (ja) 1998-05-12 1998-05-12 耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11323492A true JPH11323492A (ja) 1999-11-26

Family

ID=14999710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12904498A Pending JPH11323492A (ja) 1998-05-12 1998-05-12 耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11323492A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004061137A1 (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Nippon Steel Corporation 加工性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
WO2014103279A1 (ja) * 2012-12-27 2014-07-03 Jfeスチール株式会社 溶融亜鉛めっき鋼板

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004061137A1 (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Nippon Steel Corporation 加工性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
WO2014103279A1 (ja) * 2012-12-27 2014-07-03 Jfeスチール株式会社 溶融亜鉛めっき鋼板
JP2014125672A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 Jfe Steel Corp 溶融亜鉛めっき鋼板
KR20150096513A (ko) * 2012-12-27 2015-08-24 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 용융 아연 도금 강판
CN104968824A (zh) * 2012-12-27 2015-10-07 杰富意钢铁株式会社 热镀锌钢板
US9476111B2 (en) 2012-12-27 2016-10-25 Jfe Steel Corporation Hot dip galvanized steel sheet

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2742671C (en) High-strength cold-rolled steel sheet having excellent formability, high-strength galvanized steel sheet, and methods for manufacturing the same
CA2751414C (en) High-strength galvanized steel sheet having excellent formability and method for manufacturing the same
JP4781836B2 (ja) 耐水素脆性に優れた超高強度鋼板とその製造方法及び超高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法並びに超高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3527092B2 (ja) 加工性の良い高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP5983896B2 (ja) 高強度鋼板およびその製造方法、ならびに高強度亜鉛めっき鋼板の製造方法
CN110291217B (zh) 高强度钢板及其制造方法
JP6009438B2 (ja) オーステナイト鋼の製造方法
JP4837604B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板
WO2005068676A1 (ja) めっき密着性および穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度鋼板とその製造方法
WO2013034317A1 (en) Low density high strength steel and method for producing said steel
HUE029890T2 (en) Cold-rolled steel sheet, which hardens hard when burning paint coating and is resistant to aging at room temperature, and a method for producing such a sheet
JP2009235532A (ja) 深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP2004323944A (ja) 焼入用溶融亜鉛系めっき鋼板とその製造方法及び用途
JP3882679B2 (ja) めっき外観の良好な深絞り性に優れた複合組織型高張力溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法
JP4320913B2 (ja) 成形性に優れた高張力溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP3912181B2 (ja) 深絞り性と伸びフランジ性に優れた複合組織型高張力溶融亜鉛めっき冷延鋼板およびその製造方法
JP5212056B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
CN113166837B (zh) 高强度钢板及其制造方法
JP4140962B2 (ja) 低降伏比型高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH11323492A (ja) 耐めっき剥離性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP2001262271A (ja) 電気めっき密着性および延性に優れた高張力鋼板およびその製造方法
JP3875958B2 (ja) 加工性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
KR102484978B1 (ko) 내파우더링성이 우수한 고강도 합금화 용융아연도금강판 및 그 제조방법
JP5092858B2 (ja) 溶融亜鉛めっき用鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP5251206B2 (ja) 深絞り性、耐時効性及び焼き付け硬化性に優れた高強度鋼板並びにその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030722