JPH11322697A - N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕−l−バリンベンジルエステルの製造法および該化合物の新規塩 - Google Patents

N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕−l−バリンベンジルエステルの製造法および該化合物の新規塩

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JPH11322697A
JPH11322697A JP12885798A JP12885798A JPH11322697A JP H11322697 A JPH11322697 A JP H11322697A JP 12885798 A JP12885798 A JP 12885798A JP 12885798 A JP12885798 A JP 12885798A JP H11322697 A JPH11322697 A JP H11322697A
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cyanobiphenyl
valine benzyl
methyl
valine
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JP12885798A
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Yayoi Tagami
弥生 田上
Hiroshi Shiratani
比呂志 白谷
Tadashi Katsura
正 桂
Nobushige Itaya
信重 板谷
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Sumika Fine Chemicals Co Ltd
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Sumika Fine Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−[(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル]−L−バリンベンジルエステルおよびその
塩を経済的、簡便、かつ工業的に製造しうる方法を提供
すること、および特に取扱いの容易な新規塩を提供する
こと。 【解決手段】 4−ブロモメチル−2’−シアノビフェ
ニルとL−バリンベンジルエステルとを縮合反応に付す
ことによるN−〔(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルまたはその
塩の製造法であって、脱酸剤としても機能する量のL−
バリンベンジルエステルを使用することによる製造法お
よび4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルとL−
バリンベンジルエステルのp−トルエンスルホン酸塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血圧降下剤として
有用な医薬品、たとえば、パルサルタンの中間体である
N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕
−L−バリンベンジルエステルおよびその塩の製造法、
さらには新規化合物であるN−〔(2’−シアノビフェ
ニル−4−イル)メチル〕−L−バリンベンジルエステ
ルのp−トルエンスルホン酸塩に関する。
【0002】
【従来の技術】N−〔(2’−シアノビフェニル−4−
イル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルまたはそ
の塩の製造法としては、たとえば、特開平4−2351
49号公報に、溶媒としてジメチルホルムアミド(DM
F)を、脱酸剤としてヒュニッヒ塩基(N,N−ジイソ
プロピルエチルアミン)を用い、L−バリンベンジルエ
ステルのp−トルエンスルホン酸(トシル酸)塩と4−
ブロモメチル−2’−シアノビフェニルとを反応させる
方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載の方法
によれば、反応終了後、水を加えて目的物を抽出する
が、残ったDMFを含む水溶液からDMFを回収するこ
とが極めて困難である。すなわち比較的高価な溶媒であ
るDMFを使用すること自体、経済的負担であるばかり
でなく、排水処理の費用負担も大きいという問題点があ
る。さらに脱酸剤として使用されるヒュニッヒ塩基も高
価であることから、反応後に回収することが必要であ
る。しかし該塩基は無水の状態で回収することが必要
で、したがって、回収操作が煩雑となり、負担が大き
い。また沸点127℃と揮発性が高いことから回収時の
損失がおきやすく、強いアミン臭を発するため防臭対策
も必要であるという問題点がある。また、例えば既知の
N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕
−L−バリンベンジルエステルの塩酸塩は比較的結晶性
が良くなく、帯電性が比較的大きいのでより取り扱いの
容易な塩が待望されている。本発明はこのような従来技
術の問題点の解決を課題としてなされたものであり、N
−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕−
L−バリンベンジルエステルおよびその塩を経済的、簡
便、かつ工業的に製造しうる方法を提供することを目的
とする。また、本発明は取り扱いの容易なN−〔(2’
−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕−L−バリン
ベンジルエステルの新規塩を提供することをも目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、L−バリンベンジル
エステルと4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニル
との縮合反応において、遊離の形態のL−バリンベンジ
ルエステルが目的化合物の出発原料としてばかりでな
く、脱酸剤としても機能することを初めて見出したこ
と、およびN−〔(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルのp−トル
エンスルホン酸塩が結晶性が良く、帯電性が小さいので
より取り扱いが容易であることを見いだして、本発明を
完成するに至った。すなわち本発明は、4−ブロモメチ
ル−2’−シアノビフェニルとL−バリンベンジルエス
テルとを縮合反応に付すことによるN−〔(2’−シア
ノビフェニル−4−イル)メチル〕−L−バリンベンジ
ルエステルまたはその塩の製造法であって、脱酸剤とし
ても機能する量のL−バリンベンジルエステルを使用す
ることを特徴とする製造法である。また、別の本発明は
N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル〕
−L−バリンベンジルエステルのp−トルエンスルホン
酸塩〔以下、N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルトシレート
ともいうこともある〕である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の縮合反応で用いられる4
−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルは既知の化合
物であり、たとえば、特開平8−127562号公報に
記載の方法などにより得ることができる。本発明の反応
では、当該化合物は結晶として単離したものが使用でき
ることはもちろんであるが、4−ブロモメチル−2’−
シアノビフェニルを含む反応液を精製など行わずそのま
ま用いることもできる。たとえば該反応液には、4−ブ
ロモメチル−2’−シアノビフェニルに加えて4−メチ
ル−2’−シアノビフェニルや4−ジブロモメチル−
2’−シアノビフェニルが含まれているが、かかる混合
物の態様で本発明の縮合反応に供してもよい。
【0006】4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニ
ルを結晶として用いる場合、縮合反応に使用する溶媒と
しては、たとえば特開平4−235149号公報に記載
のDMFなどの極性溶媒、トルエン、モノクロルベンゼ
ンなどの芳香族系溶媒、ジクロルエタンなどのハロゲン
系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒などが挙げら
れる。これらは単独または混合溶媒として用いることが
できる。また、4−メチル−2’−シアノビフェニルか
ら4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルに変換さ
せた際の反応液をそのまま用いる場合の溶媒としては、
その際に用いられた溶媒であるジクロルエタンなどのハ
ロゲン系溶媒、モノクロルベンゼンなどの芳香族系溶媒
などが挙げられ、これらも単独または混合溶媒として用
いることができる。上記した溶媒の中でも、回収が容易
であること、漏洩した場合環境への影響が小さいこと、
求める反応に対して十分な反応速度が得られることなど
から、モノクロルベンゼンが好ましい。
【0007】本発明の製造法によれば、L−バリンベン
ジルエステルを遊離塩基の形で用いる。L−バリンベン
ジルエステルを溶媒に溶解させた状態で用いる場合は、
4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルの調製で使
用した反応溶媒と同一の溶媒を用いるのが好ましい。た
とえば特開平10−66725号公報に記載の方法によ
って、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの溶媒
を用いてL−バリンベンジルエステルトシル酸塩を調製
した場合は、該トシル酸塩を含む反応液を、たとえば塩
酸、臭化水素酸などの酸性の水を含む相(pH3以下)
に抽出し、得られる酸性の水層をたとえば炭酸ナトリウ
ム水溶液、炭酸カリウム水溶液、重曹水溶液、苛性ソー
ダ水溶液などのアルカリを使用して塩基性(pH8〜1
2)としてモノクロルベンゼン、トルエンなどの有機溶
媒で抽出して、L−バリンベンジルエステルを得る。こ
の抽出溶媒は上記の反応溶媒と同一であることが望まし
い。従って上記の反応溶媒のうちDMFを除く溶媒を用
いることができる。
【0008】本発明の方法によれば、L−バリンベンジ
ルエステルは、目的化合物の出発原料としてばかりでは
なく、縮合反応における脱酸剤としても機能する必要が
あるので、4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニル
に対して過剰量用いられる必要がある。好ましいL−バ
リンベンジルエステルの使用量は、4−ブロモメチル−
2’−シアノビフェニルに対して2倍モル以上であり、
さらに好ましくは4−ブロモメチル−2’−シアノビフ
ェニルとL−バリンベンジルエステルとの使用モル比が
1:2〜1:4、最も好ましくは1:2.5〜1:3.
5である。
【0009】本発明の製造法で使用される溶媒として、
たとえば、DMFなどの極性溶媒、トルエン、モノクロ
ルベンゼンなどの芳香族系溶媒、ジクロルエタンなどの
ハロゲン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒など
が挙げられる。これらは単独または混合溶媒として用い
ることができる。溶媒の使用量は特に限定されないが、
好適には4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルに
対して5〜7倍V/Wである。
【0010】ところで、上記した4−ブロモメチル−
2’−シアノビフェニルやL−バリンベンジルエステル
の製造で使用される溶媒のうち、4−ブロモメチル−
2’−シアノビフェニルの調製を、たとえば特開平8−
127562号公報に従ってモノクロルベンゼン中で行
い、L−バリンベンジルエステルトシル酸塩の調製を、
たとえば特開平10−66725号公報に従って、モノ
クロルベンゼン中で行い、L−バリンベンジルエステル
を酸性の水層に抽出した後、該水層を塩基性として溶媒
抽出する際に使用する溶媒としてモノクロルベンゼンを
選べば、4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルの
製造、L−バリンベンジルエステル遊離塩基の製造、こ
れらを使用したN−〔(2’−シアノビフェニル−4−
イル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルの製造と
いう一連の反応に使用される反応溶媒としてモノクロル
ベンゼンに統一することが可能となり、溶媒の回収使用
を考えた場合、好適な反応系となる。
【0011】反応温度は、DMFを用いた場合には反応
速度が速いので常温から100℃とすることができる
が、他の溶媒の場合も例えば50℃から110℃の範囲
で行うことができる。
【0012】反応終了の確認は液体クロマトグラフィー
で追跡することによって行うことができ、4−ブロモメ
チル−2’−シアノビフェニルが反応により消失、また
は十分に反応が進行したと認められた時点で反応終了と
する。
【0013】反応が終了すると、過剰に用いたL−バリ
ンベンジルエステルと目的物であるN−〔(2’−シア
ノビフェニル−4−イル)メチル〕−L−バリンベンジ
ルエステルとを分離する必要がある。当該分離は、例え
ばL−バリンベンジルエステルを反応液から酸性の水相
に抽出し、ついで該水相を塩基性とし、溶媒により抽出
し回収することによって行われる。より詳しくは、次の
ようにして分離される。即ち、両者は共にアミノ酸エス
テルであるにもかかわらず、L−バリンベンジルエステ
ルは酸性の水層に優先的に抽出させることができる。一
方目的化合物であるN−〔(2’−シアノビフェニル−
4−イル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルは脂
溶性が高く、有機溶媒層に残すことができる。
【0014】L−バリンベンジルエステルを水層に抽出
する酸としては塩酸、硫酸、臭化水素酸等の鉱酸が用い
られる。このうち、塩酸が特に好ましい。使用量は反応
で生成する臭化水素酸と合わせて、残L−バリンベンジ
ルエステルに対して、1.0〜6.0倍モル量、好まし
くは1.1〜1.5倍モル量、酸の濃度は特に限定され
ないが、5〜0.2%、好適には3〜0.5%が望まし
い。
【0015】L−バリンベンジルエステルを含む水層を
重曹、炭酸ソーダや苛性ソーダなどのアルカリで塩基性
とした後、モノクロルベンゼンなどの溶媒で抽出して、
L−バリンベンジルエステルを回収することができる。
アルカリの使用量は、L−バリンベンジルエステルの安
定性から、炭酸ソーダの場合、5〜25%水溶液が好ま
しい。また塩基性はpHが8〜12の範囲が好ましい。
【0016】本発明において、N−〔(2’−シアノビ
フェニル−4−イル)メチル〕−L−バリンベンジルエ
ステルの塩としては、例えば塩酸などの鉱酸塩、p−ト
ルエンスルホン酸等の有機酸塩があげられ、特に、p−
トルエンスルホン酸塩は新規な化合物であり、結晶性が
良く、帯電性が小さいなどの理由から取り扱いが容易で
あり、極めて好ましい塩の形態である。当該塩は自体既
知の手段にて調製することができる。
【0017】N−〔(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル〕−L−バリンベンジルエステル、およびそ
の塩は自体既知の手段にて単離することができる。
【0018】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものでは
ない。
【0019】実施例1 温度計、攪拌装置、共沸脱水装置を取り付けた四つ口フ
ラスコにL−バリン35.0g(299ミリモル)、ベ
ンジルアルコ−ル129.2g(1.195モル)、p
−トルエンスルホン酸1水和物62.5g(329ミリ
モル)およびトルエン437.5gを仕込み、混合した
後加熱した。内温104℃付近で水を含むトルエンが留
出しはじめた。115℃まで加熱した。6時間反応を続
けた後反応液を室温(20℃)まで冷却するとL−バリ
ンベンジルエステルトシル酸塩が析出した。9.2%炭
酸ナトリュウム水溶液550.8g(478ミリモル)
を流入して攪拌すると結晶は溶解した。静置分液してL
−バリンベンジルエステルを含む有機層を分離した。得
られた有機層に攪拌下、1.7%塩酸690.6g(3
29ミリモル)を流入した。静置分液後、下層の水層に
L−バリンベンジルエステルを抽出した。このL−バリ
ンベンジルエステル塩酸塩を含む水層に攪拌下、20%
炭酸ナトリュウム水溶液253.3g(478ミリモ
ル)とモノクロルベンゼン400gを流入して抽出し
た。有機層を分液し、水200gで洗浄した後減圧下8
0℃で濃縮した。L−バリンベンジルエステル遊離塩基
54.39g(262ミリモル)を含むモノクロルベン
ゼン溶液159.3gを得た。収率はL−バリンに対し
て87.8%であった。この反応液はそのまま、次の縮
合反応に使用した。
【0020】実施例2 温度計、攪拌装置、冷却管を取り付けた300mlの四
つ口フラスコに、特開平8−127562記載の方法に
より合成した4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニ
ル33.6g(123ミリモル)を含む反応液で、不純
物として4−メチル−2’−シアノビフェニルと4−ジ
ブロムメチル−2’−シアノビフェニルを含むモノクロ
ルベンゼン溶液93.6gとL−バリンベンジルエステ
ル遊離塩基64.9g(309ミリモル)を含むモノク
ロルベンゼン溶液122.7g、およびモノクロルベン
ゼン103gを仕込み、混合した後85℃まで昇温し、
1時間保温した。液体クロマトグラフィ−による分析に
よれば、4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルは
消費され、N−[(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル]−L−バリンベンジルエステルの生成は4
−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルに対して93
%であった。残ったL−バリンベンジルエステル遊離塩
基は38.7g(187ミリモル)で、仕込んだL−バ
リンベンジルエステルの60.4%であった。
【0021】反応終了後、反応液を20℃まで冷却した
後2.1%塩酸128.7g(74.1ミリモル)を流
入し攪拌した。静置分液し、水層に反応液に残存するL
−バリンベンジルエステルを、有機層にN−[(2’−
シアノビフェニル−4−イル)メチル]−L−バリンベ
ンジルエステルをそれぞれ抽出した。得られた有機層を
0.8%塩酸56.1g(12.4ミリモル)で洗浄
し、さらに20%炭酸ナトリュウム水溶液78.7g
(148ミリモル)で洗浄した。得られた有機層にp−
トルエンスルホン酸1水和物28.2g(148ミリモ
ル)を添加し、攪拌するとN−[(2’−シアノビフェ
ニル−4−イル)−L−バリンベンジルエステルトシレ
−トの結晶が析出した。75℃まで昇温し、N−
[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル]−L
−バリンベンジルエステルトシレ−トを溶解させ、65
℃でN−[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチ
ル]−L−バリンベンジルエステルトシレ−トの種晶を
接種し、0℃まで徐冷却した。ろ過し、少量のモノクロ
ルベンゼンおよび酢酸エチルで洗浄した後乾燥させる
と、白色のN−[(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル]−L−バリンベンジルエステルトシレ−ト
61.8g(108ミリモル)を得た。 収率:4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルに対
して87.7% 融点:173.9℃ IR(KBr、cm-1)2225、1735、158
8、1478、1456、1200、1156、112
5、1036、1013 N−[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル]
−L−バリンベンジルエステルの塩酸塩とトシル酸塩の
結晶のろ過時間を比較すると、塩酸塩はトシル酸塩より
5倍時間を要した。また、塩酸塩は乾燥するとき、結晶
がフラスコに付着して乾燥が困難であり、フラスコから
取り出す際、高い帯電性のため結晶が飛散して取り扱い
が極めて困難であった。しかし、トシル酸塩は乾燥時に
フラスコに付着せず容易に乾燥でき、ほとんど帯電性が
ないため取り扱いが極めて容易であった。
【0022】1回目の水層には過剰分のL−バリンベン
ジルエステルの塩と少量のN−[(2’−シアノビフェ
ニル−4−イル)メチル]−L−バリンベンジルエステ
ルの塩が含まれていた。20%炭酸ナトリュウム水溶液
131.4g(248ミリモル)とモノクロルベンゼン
114gを流入し攪拌した。静置分液し、水層を再度モ
ノクロルベンゼン70gで抽出した。有機層を合一し液
体クロマトグラフィ−により分析するとL−バリンベン
ジルエステルが37.5g(181ミリモル)含まれ、
過剰分の96.9%が回収された。また、N−[(2’
−シアノビフェニル−4−イル)メチル]−L−バリン
ベンジルエステル1.0g(2.5ミリモル)は4−ブ
ロモメチル−2’−シアノビフェニルに対して2.0%
回収できた。
【0023】実施例3 温度計、攪拌装置、冷却器を取り付けた300mlの四
つ口フラスコに4−ブロモメチル−2’−シアノビフェ
ニルの結晶22.06g(81ミリモル)、L−バリン
ベンジルエステル50.4g(243ミリモル)を含む
モノクロルベンゼン溶液180gおよびモノクロルベン
ゼン2gを仕込み、混合した後85℃まで昇温し、1時
間保温した。液体クロマトグラフィ−による分析では4
−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルは消費され、
目的のN−[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メ
チル]−L−バリンベンジルエステルは28.9g(7
3ミリモル)含まれ、その生成率は4−ブロモメチル−
2’−シアノビフェニルに対して89.5%であった。
残ったL−バリンベンジルエステルは34.1g(16
5ミリモル)で、仕込みに対して67.9%であった。
反応液を20℃まで冷却し、1.8%の塩酸を346.
5g(171ミリモル)を流入し攪拌した。静置分液
し、水層に過剰分のL−バリンベンジルエステル、有機
層に目的のN−[(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル]−L−バリンベンジルエステルを分離し
た。この有機層を0.7%塩酸133.5g(27ミリ
モル)で洗浄した。得られた有機層を液体クロマトグラ
フィ−で分析するとN−[(2’−シアノビフェニル−
4−イル)メチル]−L−バリンベンジルエステルは2
5.25g(63.4ミリモル)含まれていた。この有
機層に35%塩酸10.0g(96ミリモル)を滴下す
るとN−[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチ
ル]−L−バリンベンジルエステル塩酸塩の結晶が析出
した。これを80℃まで加熱溶解し、60℃でN−
[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル]−L
−バリンベンジルエステル塩酸塩の種晶を入れ5℃まで
徐冷却する。ろ過し少量のモノクロルベンゼンで洗浄し
た後乾燥させると白色のN−[(2’−シアノビフェニ
ル−4−イル)メチル]−L−バリンベンジルエステル
塩酸塩24.8g(56.9ミリモル)を得た。融点は
175.4℃で文献値(特開平4−235149、17
2〜173℃)と一致した。収率は4−ブロモメチル−
2’−シアノビフェニルに対して70.2%、反応液分
液後の有機層中のN−[(2’−シアノビフェニル−4
−イル)メチル]−L−バリンベンジルエステルに対し
て89.8%であった。1回目と2回目の分液の水層に
は過剰分のL−バリンベンジルエステルの塩と少量のN
−[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル]−
L−バリンベンジルエステルの塩がある。この2つの水
層を合一し、20%炭酸ナトリュウム132g(249
ミリモル)とモノクロルベンゼン100gを流入し攪拌
した後、静置分液した。水層を再度モノクロルベンゼン
50gで抽出した。有機層を合一し液体クロマトグラフ
ィ−で分析するとL−バリンベンジルエステルは29.
4g(142ミリモル)で、反応終了液中のL−バリン
ベンジルエステルに対して86.1%の回収率であっ
た。また、N−[(2’−シアノビフェニル−4−イ
ル)メチル]−L−バリンベンジルエステルは1.36
g(3.4ミリモル)で4−ブロモメチル−2’−シア
ノビフェニルに対して4.2%、反応終了液中のN−
[(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチル]−L
−バリンベンジルエステルに対して4.7%の回収であ
った。
【0024】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、出発化合物で
あるL−バリンベンジルエステルを遊離塩基として用い
ることによって、高価な脱酸剤を使用することなく、さ
らに過剰に用いたL−バリンベンジルエステルも容易に
回収することができるので、経済的、簡便、かつ工業的
にN−〔(2’−シアノビフェニル−4−イル)メチ
ル〕−L−バリンベンジルエステルまたはその塩を提供
できる。また、N−〔(2’−シアノビフェニル−4−
イル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルトシレー
トは結晶性が良く、帯電性が小さいので、取り扱いが容
易であり、たとえば、パルサルタンなど医薬品の製造が
容易に行える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板谷 信重 大阪市西淀川区歌島3丁目1番21号 住化 ファインケム株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−ブロモメチル−2’−シアノビフェ
    ニルとL−バリンベンジルエステルとを縮合反応に付す
    ことによるN−〔(2’−シアノビフェニル−4−イ
    ル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルまたはその
    塩の製造法であって、脱酸剤としても機能する量のL−
    バリンベンジルエステルを使用することを特徴とする製
    造法。
  2. 【請求項2】 L−バリンベンジルエステルの使用量
    が、4−ブロモメチル−2’−シアノビフェニルに対し
    て2倍モル以上である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 L−バリンベンジルエステルと4−ブロ
    モメチル−2’−シアノビフェニルの使用モル比が、
    2:1〜4:1である請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 4−ブロモメチル−2’−シアノビフェ
    ニルが、4−メチル−2’−シアノビフェニルおよび4
    −ジブロモメチル−2’−シアノビフェニルを含む混合
    物の態様で縮合反応に供されることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 【請求項5】 縮合反応の反応溶媒がモノクロルベンゼ
    ンである請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. 【請求項6】 L−バリンベンジルエステルが、L−バ
    リンとベンジルアルコールとを酸触媒存在下で反応さ
    せ、得られた反応液からL−バリンベンジルエステルを
    酸性の水相に抽出し、該水相を塩基性とし、溶媒により
    抽出し脱水することによって得られるL−バリンベンジ
    ルエステルであることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の製造法。
  7. 【請求項7】 縮合反応終了後の反応系に残留するL−
    バリンベンジルエステルを反応液から酸性の水相に抽出
    し、ついで該水相を塩基性とし、溶媒により抽出し回収
    することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    製造法。
  8. 【請求項8】 N−〔(2’−シアノビフェニル−4−
    イル)メチル〕−L−バリンベンジルエステルのp−ト
    ルエンスルホン酸塩。
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