JPH11322633A - 一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子と超音波とを組み合わせた薬物作用の増強方法 - Google Patents

一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子と超音波とを組み合わせた薬物作用の増強方法

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JPH11322633A
JPH11322633A JP10164110A JP16411098A JPH11322633A JP H11322633 A JPH11322633 A JP H11322633A JP 10164110 A JP10164110 A JP 10164110A JP 16411098 A JP16411098 A JP 16411098A JP H11322633 A JPH11322633 A JP H11322633A
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plasmid
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Yasuhiko Tabata
泰彦 田畑
Yoshito Ikada
義人 筏
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体内で不安定な薬物を一枚膜中空構造をも
つ高分子微粒子と超音波とを組み合わせて用いることに
よって、その薬物作用の増強させる方法を提供する。 【効果】 生体内で不安定な薬物を高分子からなる一枚
膜中空構造をもつ高分子微粒子に固定化させ、投与した
後、薬物の標的作用部位に超音波照射を行うことによ
り、その部位での薬物活性を増強させ、薬効発現が極め
て顕著である。この方法は、薬物の分子量ならびにその
種類に関係なく、いずれの薬物にも適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一枚膜中空構造をもつ
高分子微粒子と超音波照射とを組み合わせることによる
薬物の作用の増強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】患者への薬物の投与においては、服用と
か注射などの方法によるのが一般的である。投与された
薬物は、その生体内における濃度が一定以下ではその薬
効は発揮されず、また、逆に、高すぎる場合には、その
副作用の影響を無視できない。現在、用いられている薬
物の生体内での生物学的寿命は短く、さらにその標的作
用部位への指向性も低いため、薬物の効果を発現させる
方法として多量の薬物投与が行われている。このことが
薬物の副作用を助長している原因の一つであると考えら
れる。
【0003】いずれにしても、生体内に投与された薬物
のうち、活性を保持したまま標的作用部位に到達した薬
物のみが治療効果を示し、残りの部分は無効となるか、
あるいは場合によっては不必要な部位に作用して副作用
の原因となる。従って、薬物を標的部位に選択的に作用
させることが、薬物療法を有効に行うための必須条件で
ある。生体内で標的部位を指向する性質を薬物に与える
ことを標的指向化(ターゲティング)というが、このタ
ーゲティング性を薬物に付与することができるならば、
薬効を発現させるための投与薬物量を低下できるととも
に、大量投与による薬物の副作用の低減も期待できる。
【0004】もう一つの方法は、標的作用部位において
薬物の作用を増強させることである。薬物作用を高める
ことができれば、投与薬物量を低下させることが可能と
なり、結果として薬物の副作用も低減できるであろう。
標的作用部位における薬物作用の増強は、薬物治療にお
いて基本となる考え方であり、ある意味では、薬物作用
のターゲティングである。、特に、抗がん剤、抗菌剤、
循環器用薬、抗炎症薬などの細胞毒性と副作用が強く、
治療係数が小さい薬は、その研究開発の対象である。し
かし、低分子量の有機薬品や抗生物質は生体からの排泄
が速く、その作用部位での移行量は少なく、作用増強法
がなければその薬効は期待できない。
【0005】また、近年の遺伝子工学の進歩により、医
薬品の候補物質となってきた種々の生理活性ペプチド、
タンパク質薬物、および遺伝子治療に用いられる遺伝子
(例えばアンチセンスDNA、プラスミド)なども、そ
の生体内での寿命は短く、ターゲティングが必要とな
る。薬物をそのままの形で投与すると、生体内環境で不
活性化されたり、目的外の部位へ移行するため、標的に
到達せずに副作用を生じる。このような薬物に対して
は、標的作用部位に何らかの親和性を有する物質を運搬
体に用いて、薬物を作用部位へ到達させるとともに、そ
の部位における薬物作用を増強することが、それらを用
いた薬物治療には必要である。
【0006】これまで、薬物運搬体としての水溶性高分
子あるいは高分子微粒子の体内動態に関する研究(例え
ば、Hashida,M.等、J.Controlle
dRelease,31巻、p163、1994、Ya
maoka,T.等、J.Pharm.Pharmac
ol.,47巻、p479、1995、Yamaok
a,T.等、J.Bioactive Biocomp
atible Polym.,8巻、p220、199
3、など)が行われ、これらの研究成果を基に、運搬体
を用いた薬物のターゲティングが行われている。
【0007】例えば、薬物の肝臓へのターゲティングに
関しては、正電荷をもつデキストラン(Takakur
a,Y.等、Pharm.Res,7巻、p339、1
990)などの水溶性高分子、あるいはリポソーム(S
cherphof,G.L.等、Biochem.So
c.Trans.,15巻、p345、1987)、ア
ルブミン微粒子(Sugibayashi,K等、Ch
em.Pharm.Bull.,27巻、p204、1
979)などの微粒子を運搬体に用いた受動的ターゲテ
ィング、ならびにアシアロフェチン(Fiume,L.
等、FEBSLetter,116巻、p185、19
80)、ガラクトシル化アルブミン(Fiume,L.
等、FEBS Letter,146巻、p42、19
82)、ガラクトース修飾リポソーム(Das,P.
K.等、Biochem.Med.,33巻、p12
4、1985)、プルラン(Xi,K.等、Phar
m.Res.,13巻、p1846、1996)などを
用いた能動的ターゲティングなどの多くの研究がこれま
でに報告されている。
【0008】薬物作用のターゲティングの試みとして
は、薬物の標的作用部位における、外部からの物理的刺
激を用いた薬効の増強がこれまでに報告されている。そ
の一例に、がんの光線力学治療法がある。光照射により
活性酸素を生成するような薬物を予め投与しておく。一
定時間経過後、がん部位へ光照射を行う。光照射によっ
て励起された薬物は、がん局所で活性酸素を発生、がん
組織が選択的に破壊される。また、光ではなく、X線照
射によって同様の効果を示す薬物も報告されている(例
えば、特集・光線力学的治療法、癌と化学療法、23
巻、1996)。
【0009】超音波照射を利用することによって薬物の
作用部位での効果を高めようという試みがある(例え
ば、Kost,Y.等、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA.,86巻、p7663、198
9)。薬物を包含した高分子製剤を体内に埋入し、必要
な時に体外からその部位を超音波照射する。製剤からの
薬物の徐放は超音波照射によって促進され、この方法で
は、薬物徐放を外部からの超音波照射のON/OFFに
よりコントロールできる。しかしながら、この報告に
は、超音波照射が薬物作用を増強させることについては
記載されていない。
【0010】医療分野においては、超音波は主に画像診
断手段としての利用が行われてきた。この際に用いられ
るのが、液体中に分散された微小な気泡、すなわちマイ
クロバルブ(超音波造影剤)であり、超音波診断あるい
は検査のためには非常に効果的な超音波リフレクターで
ある。種々の超音波造影剤が研究開発されている。しか
しながら、これらの超音波造影剤は画像診断の目的での
み使用され、治療、つまり超音波造影剤を用いることに
よって、薬物作用を増強させる試みはない。
【0011】超音波が薬物作用を増強することが記載さ
れている(例えば、Akimoto,R.等、J.Jp
n.Soc.Cancer Ther.,20巻、p5
62、1985、Umemura,S.等、Ultra
sonics Sonochemistry,3巻、p
187、1996、Tachibana,K.等、)
が、これらの研究は、薬物と超音波照射との2種類を組
み合わせた薬物作用の増強であり、超音波造影剤を用い
ることについては記載されていない。
【0012】超音波照射が遺伝子の細胞内への導入効率
を高めることが報告されている(例えば、Kim.H.
J.等、Human Gene Therapy,7
巻、p1339、1996)。しかしながら、この報告
も、遺伝子と超音波照射との併用であり、超音波造影剤
の存在が、遺伝子導入を高めることについては記載され
ていない。
【0013】Unger,E.C.は、脂質二重層によ
って微小気泡を安定化した超音波造影剤と遺伝子との共
在下、超音波照射を行うことによって遺伝子導入が増強
される現象を報告している(例えば、Kim.E.C.
等、Investigative Radiolog
y,12巻、p723、1997)。しかしながら、用
いられている薬物が遺伝子であり、その他の薬物につい
ても同様の効果があるかどうかについては記載されてい
ない。また、一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子からな
る超音波造影剤の使用については示唆されていない。
【0014】特開平8−151335号公報には、一枚
膜中空構造をもつ高分子微粒子の製造法とその超音波造
影効果について記載されている。しかしながら、その中
には、この高分子微粒子、薬物、および超音波照射とを
組み合わせることによる、薬物作用の増強については記
載されていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、一枚膜中空
構造をもつ高分子微粒子、つまり超音波造影剤と超音波
照射とを組み合わせるて用いることによって、生体内で
不安定な薬物をその標的作用部位においてのみでその薬
効を増強させようというものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するために鋭意検討した結果、一枚膜中空構造
をもつ高分子微粒子へ薬物を固定化した後、生体内に投
与、薬物の標的作用部位局所で超音波照射を行うことに
より、その部位における薬物の薬効発現が極めて有利と
なることを見出し、本発明を完成した。
【0017】以下、本発明の技術的構成を説明する。本
発明に用いる薬物を固定化した一枚膜中空構造をもつ高
分子微粒子は以下の方法によって得ることができる。低
分子の薬物の一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子への固
定化方法の一つは、微粒子の作製時に薬物を存在させる
ことによって、微粒子内に薬物を包含固定化する。ある
いは水溶性高分子およびタンパク質へ化学的に薬物を固
定化した後、微粒子と単純に混合することによって薬物
を微粒子に吸着固定化する。生理活性ペプチドあるいは
タンパク質薬物は、前述のように、微粒子内へ包含させ
ることも可能ではあるが、それらの水溶液中に、一枚膜
中空構造をもつ高分子微粒子を一定条件下、分散させる
ことによって、薬物を微粒子へ吸着固定化することがで
きる。遺伝子あるいはプラスミドにおいては、まず、こ
れらをそのままあるいはカチオン性の水溶性高分子ある
いはカチオン性のタンパク質などとコンプレックスを形
成させた後、上述と同じ方法によって、一枚膜中空構造
をもつ高分子微粒子へ吸着固定化する。コンプレックス
形成を行うか行わないかにかかわらず、遺伝子あるいは
プラスミドを高分子微粒子の作製時に共存させることに
よって、一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子に包含固定
することも可能である。以上のように作製した薬物固定
化一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子を体内へ投与す
る。その後、それらの薬物標的作用部位への超音波照射
を行うことによって薬物作用の増強が得られる。
【0018】薬物の分子量ならびにその種類に関係な
く、いずれの薬物も本研究に用いることができる。例え
ば、抗がん剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗循環器病薬、
抗炎症剤などの低分子治療薬、インターフェロン、イン
ターロイキン、種々の酵素薬物、種々の分化因子、およ
び増殖因子などのペプチドおよびタンパク質薬物、ムラ
ミルジペプチドあるいはポリI−Cなどの免疫を賦活す
る作用をもつ薬物、インターフェロン誘導用RNA、さ
らにプラスミドおよびアンチセンスDNAなどの遺伝子
治療に用いられる核酸薬物などを用いることができる。
【0019】本発明に用いる一枚膜中空構造をもつ高分
子微粒子としては、特に限定されるものではないが、そ
の高分子としては生体内で分解吸収されていく性質をも
つものが好ましい。例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール
酸、乳酸とグルコール酸との共重合体、ポリ−ε−カプ
ロラクトン、ε−カプロラクトンと乳酸あるいはグリコ
ール酸との共重合体、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポ
リ−α−シアノアクリレート、ポリ−β−ヒドロキシ酪
酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレ
ンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカー
ボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレン
カーボネート、ポリーγ−ベンジル−L−グルタメー
ト、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート、ポリ−L−
アラニン、あるいはキチンおよびその誘導体などが挙げ
られる。これらのうち、本発明では、特に、ポリ乳酸、
ポリグリコール酸、乳酸とグルコール酸との共重合体、
ポリ−ε−カプロラクトン、ε−カプロラクトンと乳酸
あるいはグリコール酸との共重合体、あるいはそれらの
混合物が望ましい。共重合体中の乳酸/グリコール酸の
比は約100/0〜0/100であり、好ましくは乳酸
が約50〜96重量%、グリコール酸が約50〜5重量
%がよく、さらに好ましくは乳酸約60〜85重量%、
グリコール酸約40〜15重量%がよい。
【0020】本発明に使用されるこれらの生体分解吸収
性高分子の重量平均分子量は約1、000〜800、0
00、好ましくは約2、000から10、000の範囲
がよい。乳酸とグルコール酸との共重合体を使用する場
合には、その共重合体比に関係なく、重量平均分子量が
約3、000〜30、000のものを用いるのが好まし
い。
【0021】本発明に用いる一枚膜中空構造をもつ高分
子微粒子のサイズとしては、注射投与が可能な150μ
m直径以下であれば、特に限定されるものではないが、
血管内投与を目的とする場合には、0.01〜20μm
直径が好ましい。
【0022】一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子に薬物
を固定する条件は、特に限定されるものではないが、薬
物の濃度として、1x10−4〜1x10−1重量%が
望ましい。薬物を溶解する液としては、緩衝液、生理食
塩水、注射用溶媒などが用いられる。微粒子を薬物の水
溶液に分散させ、20〜35℃にて、30分〜2時間、
放置する。その後、微粒子を遠心回収し、さらに緩衝
液、生理食塩水、および注射用溶媒などに分散する。薬
物の固定操作で用いる高分子微粒子の濃度としては0.
1〜10重量%がよい。以上のようにして得られた薬物
を固定した一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子は、緩衝
液、生理食塩水、および注射用溶媒などでさらに希釈
し、注射などによって体内へ投与される。投与時におけ
る微粒子の濃度としては0.05〜5重量%が望まし
い。
【0023】薬物を固定した一枚膜中空構造をもつ高分
子微粒子を体内へ投与した後の、超音波照射の条件につ
いては、特に限定されるものではないが、周波数として
0.05〜10MHzが望ましい。
【0024】本発明の薬物固定化一枚膜中空構造をもつ
高分子微粒子は、調製後、緩衝液、生理食塩水、および
注射用溶媒などの希釈剤に分散して用いることができ
る。さらに、凍結乾燥後、使用時に希釈剤に分散してか
ら用いてもよい。
【0025】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明について説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0026】
【実施例1】プラスミドとコンプレックスを形成させる
材料として、カチオン性のアミノ化ゼラチンを作製し
た。用いたゼラチンは、牛骨コラーゲンのアルカリ処理
によって得られた等電点5.0、重量平均分子量99、
000のもの((株)新田ゼラチン社製)である。40
0mgのゼラチンを溶解した1/15Mリン酸緩衝溶液
(pH5.0)20mlへ、79.0、237.1、3
95.1、および790.2mgのヘキサメチレンジア
ミン((株)和光純薬社製)を加え、溶液のpHを5.
0に調製した。これらの溶液へ1−エチル−3−(3−
ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩
((株)同仁化学研究所製)を391.1mg加え、2
5℃、12時間撹拌し、ゼラチンのアミノ化反応を行っ
た。トリニトロトルエンスルホン酸ナトリウムを用いた
呈色反応(Habeeb,A.F.S.A.Anal.
Biochem.,14巻、p328,1966)によ
り定量したところ、ゼラチンへのアミノ基の導入率は、
試薬の添加量の増加の順に、8.4、11.4、および
25.6%であった。
【0027】プラスミドとして、SRαプロモーターの
下流に、c−myc遺伝子を連結させた環状プラスミド
を作製した。このプラスミドと作製したアミノ化ゼラチ
ンとのコンプレックス形成について調べた。1μgのプ
ラスミドを溶解した0.05Mリン酸緩衝生理食塩水溶
液(PBS、pH7.4)15μlと2.5μgのアミ
ノ化ゼラチン(アミノ基の導入率11.4%)を溶解し
た15μlのPBSと混合した。25℃にて30分間放
置した後、0.75%のアガロースゲルにて電気泳動を
行った。その結果、アミノ化ゼラチンと混合処理するこ
とによってプラスミドのバンドの移動が抑制され、アミ
ノ化ゼラチンとプラスミドとの間でコンプレックスの形
成されていることがわかった。
【0028】
【実施例2】実施例1において作製したアミノ化ゼラチ
ン(アミノ基の導入率11.4%)とプラスミドとのコ
ンプレックスの一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子への
吸着について調べた。用いた一枚膜中空構造をもつ高分
子微粒子は乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコ
ール酸モル比=75/25、重量平均分子量6、20
0)から作製された。その平均粒子直径は5.5μm
で、内部空洞はパーフルオロプロパンで満たされてい
る。5μlのNa125I(3.7GBq/ml0.1
M NaOH solution,NEN Resea
rch Products社製)に0.3mM濃度のN
SO水溶液2μlを加えた。25℃にて30分
間、放置した後、この水溶液をプラスミドの0.1Mの
CHCOONaと1.0mMの酢酸混合水溶液(pH
4.0)5μl(1mg/ml濃度)とTlCl
0.2MのCHCOONaと1.0Mの酢酸混合水溶
液(pH5.0)300μl(4mM)との混合溶液に
加えた。60℃で40分間反応させた後、0.1M濃度
のNaSO水溶液を0.1mlと1mMのEDTA
を含む0.1MNaCL、50mMトリス−HCl緩衝
溶液(pH7.0)を加えた。さらに、60℃にて30
分間反応させた後、冷却した。この反応物をゲル濾過
(カラムPD−10,Sephadex G−25G)
を通過させ、ラベル化されていない125Iを分離除去
した。このようにして得られた放射ラベル化プラスミド
を50μgを溶解した0.5mlのPBSと125μg
のアミノ化ゼラチンを溶解した0.5mlのPBSとを
混合、25℃にて30分間放置することによって両者の
間にコンプレックスを形成させた。この溶液の中に50
mgの一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子を分散させ
た。25℃、所定時間の放置した後、上清中の放射活性
を測定した。その結果を図1に示す。
【0029】アミノ化ゼラチンとプラスミドとからなる
コンプレックスは時間とともに高分子微粒子に吸着さ
れ、1時間後には仕込み量の約50%が一枚膜中空構造
をもつ高分子微粒子に吸着固定された。
【0030】
【実施例3】実施例2の条件で作製した放射ラベルした
アミノ化ゼラチン−プラスミドコンプレックスを固定し
た一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子の体内分布を調べ
た。実施例2と同じ条件で、コンプレックスと高分子微
粒子とを1時間処理した後、微粒子を遠心沈降(100
0rpm、5分間)させた。PBSを加え、分散させた
後、Balb/cマウス(9週齢、メス、3匹/グルー
プ)の尾静脈内へ投与した。投与1、6、および30時
間後に、血液、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、胃腸管、
それ以外の部位(残骸)、および尿、糞などを回収し、
それぞれの臓器の放射活性をガンマカウンターにて計測
した。コントロールとして、プラスミドおよびアミノ化
ゼラチン−プラスミドコンプレックスを用いた。投与時
における、プラスミド、アミノ化ゼラチン、および高分
子微粒子の濃度は、それぞれ、25.0、62.5μg
/ml、および2.5mg/mlである。結果を表1に
示す。
【0031】
【表1】
【0032】アミノ化ゼラチンとコンプレックスさせる
ことにより、遊離プラスミドに比較して、肝臓でのプラ
スミドの蓄積量が有意に高くなっている。また、その蓄
積量はコンプレックスを一枚膜中空構造をもつ高分子微
粒子に吸着固定させることによって、より高くなってい
る。さらにこの場合には、プラスミドの高い肝臓での蓄
積は、投与30時間後においても認められた。なお、そ
れ以外の臓器に関しては、遊離プラスミドとプラスミド
とアミノ化ゼラチンとのコンプレックス、およびその微
粒子固定化物との間に大きな差は認められなかった。こ
れらの結果は、プラスミドをアミノ化ゼラチンとコンプ
レックスさせ、さらに微粒子へ固定させることによっ
て、プラスミドを肝臓へターゲティングできたことを示
している。
【0033】
【実施例4】放射性ラベル化していない元のc−myc
を含むプラスミドを用いる以外は、実施例2と同様の方
法でアミノ化ゼラチン−プラスミドコンプレックスおよ
びそのコンプレックスを固定化した一枚膜中空構造をも
つ高分子微粒子を作製した。これらのサンプルをBal
b/cマウス(9週齢、メス、3匹/グループ)の尾静
脈内へ投与した。投与量は実施例3と同じである。投与
30分後に、経皮的に肝臓を超音波照射した。照射条件
は、周波数3.75MHzで、照射時間は30および1
20秒間である。照射後、肝臓を摘出、切片を作製、c
−mycタンパク質に対する抗体を用いて免疫染色し
た。100個の肝細胞を観察し、細胞の核が染まってい
る割合を算出した。なお、コントロールとして、PB
S、アミノ化ゼラチン、一枚膜中空構造をもつ高分子微
粒子、およびプラスミドを用いた。図2はその結果であ
る。
【0034】プラスミド−アミノ化ゼラチンコンプレッ
クスを固定化した微粒子を静脈内投与することによっ
て、肝臓におけるc−mycタンパク質の産生が、わず
かながら増加している。しかしながら、それに超音波照
射を加えることによって、そのタンパク質産生は有意に
増強された(図2)。また、その増強効果は超音波の照
射時間とともに増加した(図3)。プラスミドとアミノ
化ゼラチンとのコンプレックスを投与するだけでも、肝
臓におけるc−mycタンパク質の産生が超音波照射時
間とともに増加されたが、この増加は、プラスミド−ア
ミノ化ゼラチンコンプレックスを固定化した微粒子に比
較して、少ないものであった。
【0035】
【実施例5】マウス遺伝子組み替え型インターフェロン
β(IFN,2x10国際単位(IU)/100μg
protein/ml)を用いる以外は実験例2と同
様に、IFNの一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子への
吸着について調べた。放射性ラベル化したIFNの溶液
中に、一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子を分散させた
後、溶液中の放射活性の時間変化を調べた。20mg/
ml濃度のIFNのPBS100μlと200μlの
0.5M濃度のリン酸緩衝溶液(pH7.5)とを混合
した。この溶液中へ4μlのNa125I(3.7GB
q/ml0.1MNaOH solution,NEN
Research Products社製)を加え
た。0.2mg/ml濃度のクロラミンTの0.05M
リン酸緩衝溶液(pH7.2)を200μl加えた後、
室温にて2分間、IFNの放射ラベル化反応を行った。
次に、200μlの4mg/ml二亜硫酸ナトリウムの
リン酸緩衝溶液を加えて放射化反応を停止させた。陰イ
オン交換樹脂(Dowex1−X8)を詰めたカラムに
反応物を通過させ、ラベル化されていない125Iを分
離除去した。このようにして得られた放射ラベル化IF
Nを50μgを溶解した0.6mlのPBSに1mgの
一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子(平均粒子直径5.
5μm、内部空洞はパーフルオロプロパンで満たされて
いる。乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸/グリコール
酸モル比=75/25、重量平均分子量6、200)を
分散させた。25℃、所定時間の放置した後、上清中の
放射活性を測定したところ、IFNは時間とともに高分
子微粒子へ吸着し、実験開始1時間後には添加IFN量
の約75%が高分子微粒子へ吸着した。
【0036】
【実施例6】実施例5で作製した放射ラベル化IFNを
固定化した一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子の体内分
布を調べた。実施例5と同じ条件で、IFNを高分子微
粒子と固定化処理を行った後、高分子微粒子を1000
rpm、5分間で遠心沈降させた。次に、高分子微粒子
をPBSに分散させた後、Balb/cマウス(9週
齢、メス、3匹/グループ)の尾静脈内へ投与した。投
与15分、3、および6時間後に、血液、心臓、肺、肝
臓、脾臓、腎臓、胃腸管、それ以外の部位(残骸)、お
よび尿、糞などを回収し、それぞれの臓器の放射活性を
ガンマカウンターにて計測した。コントロールとして、
遊離IFNを用いた。投与15分、3、および6時間後
における肝臓の蓄積量は、IFNを固定した高分子微粒
子では38.9、24.5、および26.3%、遊離I
FNでは1.20、0.78、および0.32%であ
り、IFNを一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子に固定
することによって、IFNの肝臓における蓄積を高める
ことができた。その他の臓器のIFNの蓄積は、高分子
微粒子の使用の有無に関係なく同じレベルであった。
【0037】
【実施例7】放射性ラベル化していないIFNを用いる
以外は、実施例6と同様の方法でIFNを固定化した一
枚膜中空構造をもつ高分子微粒子を作製した。これらの
サンプルをBalb/cマウス(9週齢、メス、3匹/
グループ)の尾静脈内へ投与した後の、肝臓におけるI
FN活性を調べた。コントロールとして投与したもの
は、投与量が10、10IU/マウスの遊離IF
N、PBS、および一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子
のみである。なお、微粒子固定化IFNの投与量は10
、10IU/マウスである。超音波照射は、それぞ
れのサンプルの投与30分後に、経皮的に肝臓を周波数
3.75MHz、照射時間30秒間の条件で行った。投
与1日後、マウスの肝臓を摘出し、臓器をIFN活性測
定時まで−85℃にて保存した。IFN活性は、IFN
に特異的に誘導される酵素である2′,5′−Olig
oadenylate Synthetase(2−5
AS)の肝臓における誘導酵素量をWestern B
lotting法(Sokawa,Y.,等、J.In
terferon Res.,14巻、p121,19
94)によって評価した。結果を図4に示す。
【0038】IFN固定化一枚膜中空構造をもつ高分子
微粒子を投与されたマウスの肝臓における2−5AS活
性は、遊離IFN投与マウスに比較して、より少ないI
FN投与量で、より強く増強されていることがわかる。
さらに、超音波照射が、IFNの2−5AS活性をより
強く誘導した。このように、高分子微粒子を用いること
によるIFNの肝臓へターゲティングに加えて、超音波
照射がIFNの生物活性の発現を増強することがわかっ
た。また、遊離IFNの投与においても、超音波照射が
その作用を高めていることがわかる。なお、超音波照射
の有無に関係なく、一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子
あるいはPBSのみの投与では活性の増強は認められな
かった。
【0039】
【発明の効果】本発明は、生体内で不安定な薬物を高分
子からなる超音波造影剤に固定化させ、投与した後、薬
物の標的作用部位に超音波照射を行い、その部位での薬
物活性を増強させることを特徴とする、新規な薬物作用
の増強方法である。この方法は、薬物の分子量ならびに
その種類に関係なく、いずれの薬物にも適用でき、本発
明の産業利用性は非常に大きいといえる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】 一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子へのプラ
スミド−アミノ化ゼラチンコンプレックスの吸着の時間
変化を示す図である。
【図2】 プラスミド−アミノ化ゼラチンコンプレック
スを固定化した一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子をマ
ウス静脈内に投与した後の、肝臓における核内c−my
cタンパク質の発現に対する超音波照射の効果を示す図
である。
【図3】 プラスミド−アミノ化ゼラチンコンプレック
スを固定化した一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子をマ
ウス静脈内に投与した後の、肝臓における核内c−my
cタンパク質の発現に対する超音波照射の照射時間の影
響を示す図である。
【図4】 プラスミド−アミノ化ゼラチンコンプレック
スを固定化した一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子をマ
ウス静脈内に投与した後の肝臓における2−5AS活性
を示す図である。(1、2)PBS、(3、4)10
IUのIFNを固定した一枚膜中空構造をもつ高分子微
粒子、(5、6)10IUのIFNを固定した一枚膜
中空構造をもつ高分子微粒子、(7、8)10IUの
遊離IFN、(9、10)10IUの遊離IFN、お
よび(11、12)一枚膜中空構造をもつ高分子微粒
子。(1、3、5、8、10、12)超音波照射群、
(2、4、6、7、9、11)超音波非照射群。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子と超
    音波とを組み合わせて用いることを特徴する、薬物作用
    の増強方法。
  2. 【請求項2】 対象となる薬物が高分子量の生理活性物
    質である請求項1に記載の一枚膜中空構造をもつ高分子
    微粒子と超音波とを組み合わせて用いることを特徴とす
    る薬物作用の増強方法。
  3. 【請求項3】 対象となる薬物が遺伝子である請求項1
    に記載の一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子と超音波と
    を組み合わせて用いることを特徴をする薬物作用の増強
    方法。
JP10164110A 1998-05-08 1998-05-08 一枚膜中空構造をもつ高分子微粒子と超音波とを組み合わせた薬物作用の増強方法 Withdrawn JPH11322633A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7074427B2 (en) 2002-01-30 2006-07-11 Hitachi, Ltd. Medicine, carrier for medicine, method of producing medicine, and method of tumor treatment

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