JPH11318211A - 植物の栽培方法 - Google Patents

植物の栽培方法

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JPH11318211A
JPH11318211A JP14833398A JP14833398A JPH11318211A JP H11318211 A JPH11318211 A JP H11318211A JP 14833398 A JP14833398 A JP 14833398A JP 14833398 A JP14833398 A JP 14833398A JP H11318211 A JPH11318211 A JP H11318211A
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JP
Japan
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water
sheet
water retention
plant
area
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Application number
JP14833398A
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English (en)
Inventor
Yoshinari Yamadera
喜成 山寺
Naohiko Shimono
直彦 下野
Takeo Fushiki
武男 伏木
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Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保水性の低い土地、特に乾燥地において、土
壌の保水量を適度に維持することができ、しかも、根腐
れが生じにくく、収穫作業性に優れた植物栽培方法を提
供する。 【解決手段】 保水性シート1を埋設する保水性領域1
1と、保水性シートを埋設していない通水領域12とを
設け、前記保水性領域において保水性シートを設ける面
が、栽培対象植物3の各根系の最大占有空間31よりも
下で、地表面と実質的に平行な面であり、保水性シート
と各根系との距離が、保水性シートの水分を各根系へ供
給することのできる距離である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の栽培方法に
関する。本発明方法は、例えば、保水性の低い土地、特
に乾燥地において有用である。
【0002】
【従来の技術】乾燥地(例えば、砂地、砂丘、又は砂漠
など)で農業を行なうためには、灌漑などの手段により
充分量の水の供給を行なうことが必要である。しかしな
がら、乾燥地では、一般に、土壌の保水性が劣ってお
り、しかも、水分の蒸発も著しいので、充分量の水を供
給するためには多大の費用を必要とする。この問題を解
決するために、供給した水を有効に活用する方法とし
て、土壌の保水性を高める種々の方法が開発されてい
る。例えば、特開平7−322777号公報には、吸水
性繊維を含む繊維布と透水防塩シートとを積層してなる
シート材、及びその使用方法が開示されている。この方
法は、作付け区域の全域にわたって、前記シート材を地
表から5〜30cmの深さに埋設することにより、土壌
の塩類集積の防止効果と共に、灌漑水量の節約効果及び
灌漑頻度の低減効果を得ることを目的としている。ま
た、特開平6−197626号公報には、保水性と通気
性とを有する構造体(例えば、板状物の重合体、シート
状物の巻装体、繊維若しくは植物茎などの結束体、又は
間伐材若しくは廃材などの木材など)を、砂中に部分的
に造成する緑化基礎工法が開示されている。
【0003】しかしながら、前記の特開平7−3227
77号公報に開示されている方法では、土壌の塩類集積
を防止することをその主たる目的としているので、作付
け区域の全域にわたって前記シート材を埋設する必要が
あり、その結果、農作物の根と水分とが常時接触して、
根腐れを起こしやすいという欠点があった。
【0004】また、前記の特開平6−197626号公
報に開示されている工法では、その主な育成対象が樹木
であるため、根系を地中深くまで伸長させることができ
るように、柱状の構造体を砂中に埋設しており、従っ
て、前記工法を通常の農作物の栽培に適用するには、収
穫作業性の点で難点がある。なぜなら、前記工法におい
ては、根系が前記柱状構造体の表面に沿って伸長した
り、柱状構造体の中に侵入したりするので、栽培した農
作物を収穫する際に、柱状構造体も一緒に地中から取り
出す必要があるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、保水性の低い土地、特に乾燥地において、土壌の保
水量を適度に維持することができ、しかも、根腐れが生
じにくく、収穫作業性に優れた植物栽培方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
よる、(1)保水性シートを埋設する保水性領域と、
(2)保水性シートを埋設していない通水領域とを設け
ること、及び、前記保水性領域において保水性シートを
設ける面が、栽培対象植物群の各根系の最大占有空間よ
りも下で、地表面と実質的に平行な面であり、保水性シ
ートと各根系との距離が、保水性シートの水分を各根系
へ供給することのできる距離であることを特徴とする、
植物の栽培方法によって解決することができる。
【0007】本明細書において、「植物の根系の最大占
有空間」とは、植物の根系が占有する予定の地中空間で
あって、その容積が栽培期間中に最大になった時点の前
記地中空間を意味し、一般には、植物の根系が将来の収
穫時に占有する予定の地中空間を意味する。前記最大占
有空間は、例えば、植物の種類、土壌の性状(すなわ
ち、性質又は状態)、気候(風土)、栽培方法、又は収
穫時期などによって変化するが、当業者であれば、例え
ば、経験的に、あるいは、予備栽培を実施することによ
り、前記最大占有空間を予測することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明方法に用いる保水性シート
は、吸水性層を含むシート形状体であって、前記吸水性
層が吸水することができ、且つ吸水性層に蓄えられた水
分を栽培対象植物の各根系へ供給することができる限
り、特に限定されるものではなく、例えば、単層の吸水
性層のみからなる単層型保水性シート、複数の吸水性層
からなる積層型保水性シート、又は単層若しくは複数の
吸水性層と非吸水性層(例えば、非通水性層又は通水性
層)とからなる複合型保水性シートなどを挙げることが
できる。本発明方法に用いる保水性シートとしては、そ
の少なくとも一方の表面に吸水性層が露出していること
が好ましいが、その少なくとも一方の表面に吸水性層が
必ずしも露出している必要はない。このような保水性シ
ートとしては、例えば、両面に非吸水性層が露出する
(但し、少なくとも一方の表面には通水性層が露出する
ものとする)複合型保水性シートを挙げることができ
る。
【0009】前記吸水性層は、例えば、吸水性繊維布及
び/又は吸水性成形体から構成することができ、これら
を単独で、又は組合わせて使用することができる。前記
吸水性繊維布としては、例えば、高吸水性繊維のみから
なる繊維布(織布、編布、及び不織布、並びにこれらの
複合体を含む)、又は高吸水性繊維とそれ以外の低吸水
性繊維とからなる繊維布などを挙げることができる。前
記高吸水性繊維としては、吸水倍率(乾燥繊維重量に対
する、吸水平衡に達したときの吸収水分重量の倍率)が
約20〜300倍であって、布に加工することのできる
強度を有する繊維を用いることが好ましく、市販品とし
ては、例えば、ランシール(日本エクスラン工業)又は
ベルオアシス(鐘紡)などを挙げることができる。前記
低吸水性繊維としては、例えば、化学繊維(例えば、ポ
リエステル繊維、ポリアミド繊維、レーヨン繊維、アク
リル繊維、又はポリプロピレン繊維など)又は天然繊維
(例えば、綿、麻、又は羊毛など)を挙げることができ
る。前記高吸水性繊維を単独で、あるいは、前記高吸水
性繊維と前記低吸水性繊維とを混合して用いて、前記吸
水性繊維布を常法により製造することができる。例え
ば、吸水性不織布の場合には、ケミカルボンド法、サー
マルボンド法、ニードルパンチ法、又はステッチボンド
法などを用いて製造することができる。
【0010】前記の吸水性成形体としては、例えば、熱
可塑性の吸水性樹脂を、単独で又は混合した後に、例え
ば、押出成形、射出成形、熱成形、又はラミネートなど
によって成形した、例えば、フィルム状、ストランド
状、又は立体成形状の成形体を使用することができる。
前記吸水性樹脂としては、例えば、吸水倍率が約3〜5
0倍の吸水性樹脂を用いることができ、このような吸水
性樹脂としては、例えば、アクアコーク(住友精化)な
どを挙げることができる。
【0011】前記保水性シートの吸水能力としては、約
1〜100リットル/m2 であることが好ましい。保水
性シートの保水性は、その形状若しくは性状又は使用形
態(例えば、吸水性繊維布の場合には、繊維布の厚み、
目付、高吸水性繊維の混合率、土質、使用時の埋設の深
さ等)の違いにより変化するので、本明細書において、
前記「吸水能力」とは、水を吸収させた一定面積の保水
性シートを、その保水性シートと同じ大きさ及び形状の
樹脂板で挟み、荷重10g/cm2 を10分間かけた後
の保水量を意味する。前記吸水能力が1リットル/m2
未満であると、充分な保水効率が得られないことがあ
り、また、100リットル/m2 を越えると、根腐れが
発生しやすくなるだけでなく、保水性シートそれ自体の
製造コストが高くなるので不経済である。
【0012】本発明方法においては、前記保水性シート
を、栽培対象植物群の各根系の最大占有空間よりも下
で、地表面と実質的に平行に埋設する。保水性シートと
各根系との距離は、保水性シートの水分を各根系へ供給
することのできる距離、すなわち、保水性シートに蓄え
られている水分を直接に、あるいは、前記保水性シート
から土壌中に移行した水分を、栽培対象植物の各根系が
吸収・利用することのできる距離である限り、特に限定
されるものではなく、例えば、植物の種類、土壌の性
状、気候(風土)、又は栽培方法などに応じて適宜決定
することができる。充分な水分供給が可能な点で、各根
系の最大占有空間の地中最下部にほぼ接するように、保
水性シートを埋設することが好ましい。
【0013】本発明方法において、保水性シートと地表
面との距離は、栽培対象植物の各根系が充分に生育する
ことができる距離であって、しかも、保水性シートと各
根系との距離が前記の条件を満足する限り、特に限定さ
れるものではなく、主に栽培対象植物の種類に応じて適
宜決定することができる。
【0014】本発明方法において、保水性領域及び通水
領域の配置パターンは、栽培対象植物の栽培条件、例え
ば、栽培対象植物の配置パターン、土壌の性状、気候
(風土)、又は栽培方法など(特には栽培対象植物の配
置パターン)に応じて適宜決定することができる。本発
明方法においては、例えば、帯状の保水性領域と帯状の
通水領域とが、相互に平行に且つ交互に繰り返すように
配置することもできるし、あるいは、保水性領域と通水
領域とを海島状に配置、すなわち、保水性領域又は通水
領域のいずれか一方の領域(「海」に相当する)中に、
残る一方の領域(「島」に相当する)を島状に分散して
配置することもできる。なお、保水性領域と通水領域と
を配置する場合には、規則的(例えば、格子状パターン
又は縞状パターン)に配置することもできるし、不規則
に配置することもできる。
【0015】本発明方法において、保水性領域が「海」
に相当し、通水領域が「島」に相当するように、保水性
領域及び通水領域を配置する場合には、根腐れが生じな
い程度に、適当な大きさの通水領域を適当な間隔をあけ
て分散配置することが好ましい。前記通水領域の大きさ
及びそれらの間隔は、当業者であれば、例えば、経験的
に、あるいは、予備栽培を実施することにより、適宜決
定することができる。
【0016】本発明方法において、保水性領域が「島」
に相当し、通水領域が「海」に相当するように、保水性
領域及び通水領域を配置する場合には、充分な水分供給
が可能な程度に、適当な大きさの保水性領域を適当な間
隔をあけて分散配置することが好ましい。前記保水性領
域の大きさ及びそれらの間隔は、当業者であれば、例え
ば、経験的に、あるいは、予備栽培を実施することによ
り、適宜決定することができる。
【0017】保水性領域が「海」に相当し、通水領域が
「島」に相当するように、保水性領域及び通水領域を配
置し、しかも、保水性シートとして、単層の吸水性層の
みからなる単層型保水性シートを用いる本発明方法の一
態様を図1及び図2に示す。図1は、本発明方法の一態
様を実施している土中の状態を模式的に説明する断面図
であり、図2は、図1に示す状態を模式的に説明する平
面図である。図1及び図2に示す態様では、地表面方向
から見て格子状パターンを形成し、しかも、地表面2と
実質的に平行になるように、複数本の長尺状保水性シー
ト1を地中に埋設する。すなわち、互いに平行に、且つ
一定の間隔をあけて配置した複数本の長尺状保水性シー
ト1aの上に、更に、それらと垂直に交わるように、互
いに平行に且つ一定の間隔をあけて複数本の長尺状保水
性シート1bを配置する。栽培対象植物3は、長尺状保
水性シート1a,1bが形成する前記格子状パターンの
交点の位置に配置されている。
【0018】図1及び図2に示す態様においては、長尺
状保水性シート1を埋設した領域が、保水性領域11と
して機能し、長尺状保水性シート1を埋設していない領
域が通水領域12として機能する。前記長尺状保水性シ
ート1aの幅(Wa)及び相互の間隔(Sa)、並びに
長尺状保水性シート1bの幅(Wb)及び相互の間隔
(Sb)は、種々の栽培条件(例えば、栽培対象植物3
の間隔、根系最大占有空間31の大きさ、保水性シート
1の保水能力若しくは水分供給能力、又は土壌の性状な
ど)に応じて適宜決定することができる。なお、長尺状
保水性シート1aの幅(Wa)と長尺状保水性シート1
bの幅(Wb)とは、同じ値であることもできるし、異
なる値であることもできるが、幅が異なる2種類の長尺
状シートを用意する必要がない点で、同じ値であること
が好ましい。
【0019】図1及び図2に示す態様では、地表面方向
から見て格子状パターンを形成するように、異なる2方
向に配置した長尺状保水性シート1a及び長尺状保水性
シート1bを埋設しているが、本発明方法においては、
長尺状保水性シート1a又は長尺状保水性シート1bの
いずれか一方のみを埋設(すなわち、長尺状保水性シー
トを同一方向にのみ平行に配置して埋設)することもで
きる。この場合には、保水性領域と通水領域とが、相互
に平行に且つ交互に繰り返すように配置される。
【0020】また、図1及び図2に示すように、複数本
の長尺状保水性シート1a及び長尺状保水性シート1b
を配置して格子状パターンを形成する代わりに、本発明
方法においては、格子形状の保水性シートを予め作製
し、それをそのまま埋設することもできる。本発明方法
に用いることのできるこのような格子形状保水性シート
の部分平面図を図3に示す。格子形状保水性シート1c
は、多数の貫通孔4を有する。前記貫通孔4は、互いに
直交する2方向に、所定の間隔をあけて設けられてい
る。すなわち、貫通孔4は、或る方向[例えば、縦方向
(図3における紙面の上下方向)]に沿って、所定の間
隔をあけて配置されていると同時に、それと直交する方
向[例えば、横方向(図3における紙面の左右方向)]
に沿っても、所定の間隔をあけて配置されている。
【0021】図3に示す貫通孔4の形状は、正方形であ
るが、本発明方法においては、貫通孔の形状はこれに限
定されるものではなく、その他の形状、例えば、円形若
しくは楕円形、多角形、又はそれらの一部若しくは組合
せであることもできる。また、保水性シートに複数の貫
通孔を設ける場合には、貫通孔の形状及び/又は大きさ
に関して、すべて同一の貫通孔(すなわち、1種類の貫
通孔)であることもできるし、2種類以上の貫通孔から
なることもできる。図3に示す格子形状保水性シート1
cを用いた本発明方法においては、格子形状保水性シー
ト1cの貫通孔4に対応する領域(格子形状保水性シー
ト1cが地中に埋設された場合に、貫通孔4の直上の領
域)が、通水領域として機能し、それ以外の領域が保水
性領域として機能する。
【0022】保水性領域が「島」に相当し、通水領域が
「海」に相当するように、保水性領域及び通水領域を配
置し、しかも、保水性シートとして、単層の吸水性層の
みからなる単層型保水性シートを用いる本発明方法の別
の一態様を図4に示す。図4は、本発明方法の一態様を
実施している土中の状態を模式的に説明する平面図であ
る。図4に示す態様では、複数枚の正方形状保水性シー
ト1dを、直交する2方向に、且つ一定の間隔をあけて
配置した状態で、地中に埋設している。栽培対象植物3
は、前記の正方形状保水性シート1d上に配置されてい
る。本態様においては、正方形状保水性シート1dを埋
設した領域が、保水性領域として機能し、正方形状保水
性シート1dを埋設していない領域が通水領域として機
能する。
【0023】前記正方形状保水性シート1dの幅(W
c)及び相互の間隔(Sc)は、種々の栽培条件(例え
ば、栽培対象植物3の間隔、根系最大占有空間31の大
きさ、保水性シート1の保水能力若しくは水分供給能
力、又は土壌の性状など)に応じて適宜決定することが
できる。なお、図4に示す態様では、保水性シートとし
て正方形状である保水性シート1dを用いているが、本
発明方法においては、保水性シートの形状はこれに限定
されるものではなく、その他の形状、例えば、円形若し
くは楕円形、多角形、又はそれらの一部若しくは組合せ
であることもできる。
【0024】本発明方法においては、保水性シートの水
分を各根系へ供給することができるように保水性シート
を埋設するので、保水性の低い土地(特には乾燥地)で
あっても、土壌の保水量を適度に維持することができ
る。しかも、本発明方法においては、栽培地域に、前記
保水性シートを埋設する領域(すなわち、保水性領域)
と、前記保水性シートを埋設しない領域(すなわち、通
水領域)とを設けるので、栽培対象植物の各根系が常に
水分と接触している状態を避けることができ、根腐れが
生じにくい。更には、地表面と実質的に平行に前記保水
性シートを埋設するので、栽培対象植物の各根系が地中
深くまで伸長することを防止することができ、収穫作業
性にも優れている。
【0025】本発明方法において保水性シートとして、
複数の吸水性層を含む保水性シート、例えば、複数の吸
水性層からなる積層型保水性シート[例えば、高吸水性
繊維を含む吸水性繊維布と、フィルム状吸水性成形体
(吸水性フィルム)とからなる積層型保水性シート]、
又は複数の吸水性層と非通水性層とからなる複合型保水
性シートを使用する場合には、吸水性のより高い吸水性
層が地表面側となるように、前記保水性シートを埋設す
ることが好ましい。吸水性のより高い吸水性層が地表面
側にあると、水分の蒸発が起こりやすく、水不足が生じ
にくいからである。
【0026】本発明方法において保水性シートとして、
単層若しくは複数の吸水性層と非通水性層とからなる複
合型保水性シートを使用する場合には、前記非通水性層
として、例えば、非通水性フィルムを使用することがで
きる。前記複合型保水性シートとしては、一方の表面に
単層若しくは複数の吸水性層を有し、その反対側表面に
非通水性層を有する複合型保水性シートが好ましい。こ
のような複合型保水性シートを、吸水性層が地表面側と
なり、非通水性層が地中側となるように埋設すると、非
通水性層を有する表面からの水分の蒸発が抑制されるの
で、吸水性層を有する表面からの水分の蒸発が促進さ
れ、その結果、水不足が生じにくい。
【0027】本発明方法においては、保水性シートの下
に、所定の強度を有するネット(以下、強化ネットと称
する)を、前記保水性シートと実質的に平行に、更に埋
設することができる。前記強化ネットとしては、栽培対
象植物の収穫時に、地中に埋設した状態の強化ネットを
持ち上げることにより、保水性シートや土壌と一緒に栽
培対象植物を収穫することができる程度の充分な強度を
有しているネットであれば特に限定されるものではな
く、例えば、鉄製ネット又は合成樹脂製ネットなどを挙
げることができる。本発明方法においては、前記のよう
に、保水性シートと、その保水性シートの下に埋設する
ことのできる強化ネットとを別々に埋設することもでき
るし、あるいは、保水性シートと強化ネットとを一体化
させた状態で埋設することもできる。保水性シートと強
化ネットとの組合せは、栽培対象植物単位に分散して配
置される複数の保水性シートに対して、個々の保水性シ
ート毎に、その各保水性シートの寸法と同程度、又は少
なくとも若干大きめの寸法を有する強化ネットを設ける
こともできるし、あるいは、栽培対象植物単位に分散し
て配置される複数の保水性シート群の下に1枚の強化ネ
ットを設けることもできる。
【0028】前記強化ネットを保水性シートの下に埋設
すると、収穫作業性を向上させることができる。すなわ
ち、収穫対象の植物及び保水性シートの下に強化ネット
が埋設されていると、植物を収穫する際に、強化ネット
の一端若しくは多端、又は強化ネットの一端若しくは多
端に取り付けた引抜き片を持ち上げることによって、強
化ネットを埋設した範囲内の直上の地中に存在するすべ
ての植物及び保水性シートを一度に地中から取り出すこ
とができる。なお、強化ネットを埋設する際には、その
すべてを地中に埋設することもできるが、強化ネットの
一端若しくは多端、又は強化ネットの一端若しくは多端
に取り付けた引抜き片を予め地表に露出させておくと、
収穫時の作業を効率的に実施することができるので好ま
しい。
【0029】本発明方法においては、保水性シートを埋
設する際に、立体状の保水性シート担持用枠を用いるこ
ともできる。前記保水性シート担持用枠は、その底面に
保水性シートを地表面と実質的に平行に担持した状態で
地中に埋設することのできる枠である限り特に限定され
るものではない。例えば、保水性シートを担持すること
のできる底面が多角形である角柱形状、前記底面が円若
しくは楕円である円柱形状、又は前記底面が円若しくは
楕円の一部(例えば、半円、半楕円、又は扇形)である
柱状体形状などを挙げることができる。保水性シート担
持用枠は、栽培対象植物の栽培期間中、地中に埋設して
もその枠構造を維持することのできる材質であれば特に
限定されるものではなく、例えば、合成樹脂又は金属か
らなることができる。なお、保水性シート担持用枠の一
部に、保水性シート担持用枠を引き抜きやすいように、
引抜片を取り付けることもできる。
【0030】本発明方法に用いることのできる六面体形
状の保水性シート担持用枠を図5に示す。図5に示す保
水性シート担持用枠5は、六面体の各辺(稜線)に相当
する位置に配置した枠棒6と、それらの枠棒6に四周を
囲まれ、六面体の各面(すなわち、上面、側面、及び下
面)に相当する開放窓7と、枠内空間8とからなる。図
5に示す保水性シート担持用枠5の枠棒6は、断面形状
がL字形の材料からなるが、本発明方法においては、そ
れ以外にも、例えば、断面形状が多角形(特には四角
形)、円形若しくはその一部(例えば、半円又は扇
形)、楕円形若しくはその一部(例えば、半楕円)、又
はそれらの組合せである材料からなることもできる。前
記枠棒6は、保水性シートを担持させる際に、保水性シ
ートを保水性シート担持用枠に固定するために使用する
固定・接続具の取付領域や、保水性シートの載置領域を
提供することができる。
【0031】前記の保水性シート担持用枠は、地中の枠
内空間の内部で、栽培対象植物の栽培を行なうように使
用することが好ましい。例えば、保水性シート担持用枠
の上部を地表面から露出させて用いる場合は、地中に埋
まっている枠内空間、あるいは、保水性シート担持用枠
全体を地中内部に埋設して用いる場合は、枠内空間の全
体と、その枠内空間の上部の空間とが、栽培対象植物の
根系最大占有空間と実質的に一致する大きさであること
が好ましい。従って、保水性シート担持用枠の大きさ
は、その保水性シート担持用枠の使用態様(完全地中埋
設又は一部地中埋設)や栽培対象植物の根系最大占有空
間によって適宜決定することが好ましい。
【0032】本発明方法において保水性シート担持用枠
を用いる場合には、保水性シートを保水性シート担持用
枠に担持させた状態で地中に埋設する。保水性シートを
保水性シート担持用枠に担持させる場合には、例えば、
保水性シートを保水性シート担持用枠に固定することも
できるし、あるいは、単に載せただけの状態で使用する
こともできる。例えば、図5に示す六面体形状の保水性
シート用担持枠を用いる場合には、少なくとも、保水性
シート担持用枠5の底面を取り囲む枠棒6aに保水性シ
ートを担持(例えば、固定又は載置)させる。この場合
には、保水性シートが、枠棒6aの表面と底面に位置す
る開放窓7aの全面とを覆うように保水性シート担持用
枠5に担持させることもできるし、あるいは、枠棒6a
の表面と前記底面開放窓7aの一部とを覆うように担持
させることもできる。また、枠棒6aの表面のみを保水
性シートで覆い、底面開放窓7aの全面を開放したまま
の状態で、保水性シート担持用枠5に担持させることも
できる。
【0033】また、図5に示すように、保水性シート担
持用枠5の前記底面枠棒6aに加えて、更に、保水性シ
ート担持用枠5の側面を取り囲む枠棒6bにも保水性シ
ートを担持(例えば、固定)させることができる。この
場合には、保水性シートが、枠棒6bの表面と、側面に
位置する4つの開放窓7bの少なくとも1つ(好ましく
は4つ)の全面又はその一部とを覆うように、あるい
は、枠棒6bの表面のみを覆い、側面開放窓7bの全面
を開放したままの状態で、保水性シート担持用枠5に担
持させることができる。また、この場合には、底面開放
窓7aと側面開放窓7bとを連続して覆うことのできる
単独の保水性シートを設けることもできるし、底面枠棒
6aと側面枠棒6bとに、別々の保水性シートを独立し
て設けることもできる。なお、後者の場合には、同じ種
類の保水性シートをそれぞれ独立して設けることもでき
るし、異なる種類の保水性シートをそれぞれ独立して設
けることもできる。
【0034】本発明方法においては、前記保水性シート
担持用枠の配置パターンは、特に限定されるものではな
いが、例えば、図4に示す正方形状保水性シート1dの
代わりに、前記保水性シート担持用枠を用いて、海島状
(保水性シート担持用枠が「島」に相当する)に配置す
ることができる。また、本発明方法においては、保水性
シート担持用枠の下に、前記の強化ネットを更に埋設し
たり、あるいは、保水性シート担持用枠の底面開放窓に
強化ネットを設置することができる。この場合には、保
水性シート担持用枠の枠内空間に根系が伸長し、その中
で根系の大部分が生育するように、栽培対象植物を栽培
すると、収穫の際に保水性シート担持用枠と一緒に栽培
対象植物を収穫することができ、収穫作業性を向上させ
ることができる。あるいは、保水性シート担持用枠の下
に強化ネットを埋設する代わりに、保水性シートと強化
ネットとを一体化させた状態で保水性シート担持用枠に
担持させ、埋設することもできる。この場合には、保水
性シート担持用枠に担持させる保水性シートのすべてを
強化ネットと一体化させた状態で担持させることもでき
るし、保水性シートの一部のみを強化ネットと一体化さ
せることもできる。
【0035】本発明方法において前記保水性シート担持
用枠を用いる場合には、一般に、複数個の保水性シート
担持用枠を用いる。この場合には、複数個の保水性シー
ト担持用枠をそれぞれ独立に使用することもできるし、
あるいは、複数個の保水性シート担持用枠を連結具によ
り連結した状態で使用することもできる。また、複数個
の保水性シート担持用枠を用いる場合には、通常、地表
面から一定の深さの位置に単層となるように(すなわ
ち、地中で水平方向に)複数個の保水性シート担持用枠
を埋設することが一般的であるが、本発明方法において
は、単層(すなわち、一層)に限定されるわけではな
く、保水性シート担持用枠を、地表から地中への垂直方
向に、多層に(すなわち、積層状に)配置することもで
きる。
【0036】本発明方法は、根系が地中深くまで(例え
ば、約1m以上)伸長することのない植物に適用するこ
とが好ましく、根系の伸長範囲が地表から約5〜60c
mである植物に適用することが更に好ましい。本発明方
法を適用することのできる栽培対象植物としては、例え
ば、食用作物(例えば、かんしょ、ばれいしょ、又は大
豆)、工芸作物(例えば、きく、ひまわり、ポップ、又
は茶)、野菜(例えば、にんじん、ごぼう、らっきょ
う、だいこん、又はかぶ)、果樹(例えば、ぶどう、柑
橘類、もも、又はりんご)、飼料作物(例えば、オーチ
ャードグラス、ライダラス、又はトールフェスタ)、草
花類(例えば、きく、カーネーション、又はゆり)、鑑
賞樹、又は湿潤植物(例えば、長いも又は里いも)など
を挙げることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、保水性の低い土地、特
に乾燥地においても、土壌の保水量を適度に維持するこ
とができることはもちろんのこと、根腐れを有効に防止
することができる。しかも、地表面と実質的に平行に保
水性シートを埋設するので、栽培対象植物の各根系が地
中深くまで伸長することを防止することができ、収穫作
業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一態様を実施している土中の状態
を模式的に説明する断面図である。
【図2】図1に示す状態を模式的に説明する平面図であ
る。
【図3】本発明方法に用いることのできる格子形状保水
性シートの部分平面図である。
【図4】本発明方法の別の態様を実施している土中の状
態を模式的に説明する平面図である。
【図5】本発明方法に用いることのできる保水性シート
担持用枠の斜視図である。
【符号の説明】
1・・保水性シート;2・・地表面;3・・栽培対象植
物;4・・貫通孔;5・・保水性シート担持用枠;6・
・枠棒;7・・開放窓;8・・枠内空間;31・・根系
最大占有空間。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)保水性シートを埋設する保水性領
    域と、(2)保水性シートを埋設していない通水領域と
    を設けること、及び、前記保水性領域において保水性シ
    ートを設ける面が、栽培対象植物群の各根系の最大占有
    空間よりも下で、地表面と実質的に平行な面であり、保
    水性シートと各根系との距離が、保水性シートの水分を
    各根系へ供給することのできる距離であることを特徴と
    する、植物の栽培方法。
  2. 【請求項2】 保水性シートを保水性シート担持用枠に
    担持させて埋設する、請求項1に記載の方法。
JP14833398A 1998-05-13 1998-05-13 植物の栽培方法 Pending JPH11318211A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007006847A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Erumu:Kk 農作物の栽培、収穫、調整方法
JP2016032455A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 ユニチカ株式会社 緑化シート

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JP2007006847A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Erumu:Kk 農作物の栽培、収穫、調整方法
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