JPH11317203A - 誘電体バリア放電ランプ光源装置 - Google Patents

誘電体バリア放電ランプ光源装置

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JPH11317203A
JPH11317203A JP12033698A JP12033698A JPH11317203A JP H11317203 A JPH11317203 A JP H11317203A JP 12033698 A JP12033698 A JP 12033698A JP 12033698 A JP12033698 A JP 12033698A JP H11317203 A JPH11317203 A JP H11317203A
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barrier discharge
lamp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エキシマ分子を効率的に生成し、真空紫外光
源として効率的に動作できる誘電体バリア放電ランプ光
源装置を提供すること。 【解決手段】 ブリッジ方式、プッシュプル方式、フラ
イバック方式の高周波電源9とトランスTrから構成さ
れる給電装置8から高周波交流電圧を印加して誘電体バ
リア放電ランプ1を点灯させる。その際、誘電体バリア
放電ランプ1に、誘電体バリア放電を開始する電圧値に
達した時点経過後、最大の極大値に達してから次の極大
値に達するまでの時間が3μs以下となるような電圧を
印加する。また、誘電体バリア放電ランプ1に、誘電体
バリア放電を開始する電圧値に達してから、次に新たな
ランプ電圧が印加されるまでの期間における最大の電圧
値になるまでの時間が2.1μs以下となるような電圧
を印加するようにしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、光化学反
応用の紫外線光源として使用される放電ランプの一種
で、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成し、
前記エキシマ分子から放射される光を利用するいわゆる
誘電体バリア放電ランプを含む光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連した誘電体バリア放電ラン
プに関する技術を開示した技術文献として、例えば特開
平2−7353号公報がある。該公報には、放電容器に
エキシマ分子を形成する放電用ガスを充填し、誘電体バ
リア放電によってエキシマ分子を形成せしめ、前記エキ
シマ分子から放射される光を取り出す放射器が記載され
ている(誘電体バリア放電:別名オゾナイザ放電あるい
は無声放電、電気学会発行改定新版「放電ハンドブッ
ク」平成1年6月再販7刷発行第263ページ参照)。
誘電体バリア放電ランプには、放電プラズマ空間を挟ん
で電極の間に、1枚または2枚の誘電体が存在する。図
19(a)は、2枚の誘電体5,6が存在する誘電体バ
リア放電ランプ1を示している。因みに、図19(a)
ではランプ封体7が、誘電体5,6を兼ねている。
【0003】誘電体バリア放電ランプ1を点灯させる際
は、その両極の電極3,4に、例えば、10kHz〜2
00kHz、2kV〜10kVの高周波の交流電圧を印
加する。ところが放電プラズマ空間2と電極3,4の間
に介在する誘電体5,6のため、電極3,4から放電プ
ラズマ空間2に直接に電流が流れるのではなく、誘電体
5,6がコンデンサの働きをすることによって電流が流
れる。すなわち、各誘電体5,6の放電プラズマ空間2
側の面には、各電極3,4側の面と等量逆符号の電荷が
誘電体の分極により誘起され、放電プラズマ空間2を挟
んで対向する誘電体5,6の面の間で放電する。
【0004】誘電体5,6の放電プラズマ空間2側の面
に沿っては電流があまり流れず、放電が生じた部分で
は、誘電体5,6の放電プラズマ空間2側の面に誘起さ
れた電荷は、放電により移動した電荷により中和され、
放電プラズマ空間2の電界が減少する。このため、電極
3,4への電圧印加が継続されていても、放電電流はや
がて停止してしまう。ただし、電極3,4への印加電圧
がさらに上昇する場合は、放電電流は持続する。1度放
電が生じた後、放電が停止した場合は、電極3,4に印
加される電圧の極性が反転するまで、再放電しない。例
えばキセノンガスを封入した誘電体バリア放電ランプの
場合、キセノンガスは、放電によりイオンと電子に分離
し、キセノンプラズマとなる。このプラズマ中で、特定
のエネルギー準位に励起されたキセノンが結合し、エキ
シマ分子が形成される。キセノンエキシマは、ある寿命
時間を経過すると解離してしまうが、このときに開放さ
れるエネルギーが真空紫外波長の光子として放出され
る。誘電体バリア放電ランプを真空紫外光源として効率
的に動作させるためには、このエキシマ分子形成を効率
的にする必要がある。
【0005】ここで、放電時に効率的なエキシマ分子形
成を阻害する大きな要因は、放電プラズマをエキシマ分
子形成に寄与しないエネルギー準位へ励起してしまうこ
とである。放電開始直後の放電プラズマの電子運動は集
団的であり、エネルギーは高いが温度は低い状態にあ
る。この状態では、放電プラズマは、エキシマ分子を形
成するために必要な、共鳴状態に遷移する確率が高い。
しかし放電時間が長くなると、プラズマの電子運動は次
第に熱的、すなわち、マックスウェル−ボルツマン分布
と呼ばれる熱平衡状態になり、プラズマ温度が上昇し、
エキシマ分子を形成できないような、より高い励起状態
に遷移する確率が上昇してしまう。
【0006】さらに、エキシマ分子が形成された場合で
も、寿命時間の経過を待って所期の光子を放出して自然
に解離する前に、後続の放電により、エキシマ分子が破
壊される場合もある。実際、キセノンエキシマの例で
は、放電開始から真空紫外波長の光子放出まで、1μs
程度の期間を要し、この期間内の後続の放電や再放電
は、エキシマ発光の効率を低下させる。すなわち、一度
放電が開始したならば、後続する放電のエネルギーはで
きるだけ小さくすることが最も重要であることがわか
る。
【0007】放電時間が短い場合であっても、その放電
期間に注入されるエネルギーが大き過ぎると、同様に高
い励起状態に遷移する確率が上昇してしまう。高い励起
状態に遷移したプラズマは、赤外線を放射して緩和し、
ランプの温度を上昇させるだけで、エキシマ発光に寄与
しない。すなわち、エキシマ分子形成に寄与しないエネ
ルギー準位への放電プラズマの励起を抑制するような放
電駆動を行わなければならないのである。この点で、従
来の誘電体バリア放電ランプ光源装置は満足できるもの
ではかった。
【0008】誘電体バリア放電を含む、全てのパルス放
電によるエキシマ発光の高効率化を達成しようとする提
案として、特開平1−243363号公報がある。これ
は、一度放電が開始したならば、後続する放電のエネル
ギーはできるだけ小さくすること、という前記の条件に
沿うものである。しかし、この提案に記載されているも
のは、どういうパラメータを調整すればエキシマ発光が
高効率化できるか、についてであって、そのパラメータ
値の効果的な条件については、具体的には何ら示されて
いない。とりわけ、誘電体バリア放電の場合は、放電プ
ラズマ空間への電圧印加や電流注入は誘電体を介して行
わなければならないため、この電圧や電流の制御の自由
度が低く、最適条件を見出すことは非常に困難である。
【0009】誘電体バリア放電ランプの効率を改善しよ
うとする提案として、例えば、特表平8−508363
公報がある。しかし、この提案においては、前記のエキ
シマ分子形成を効率的にするための、エキシマ分子形成
に寄与しないエネルギー準位への放電プラズマの励起を
抑制することの達成に真に効果的な、具体的な事項は何
ら述べられていない。また、誘電体バリア放電を利用し
た蛍光灯の駆動波形に関する改善提案として、例えば、
特開平6−163006号公報がある。これによると、
正負極性の矩形パルス列や交流の矩形波で駆動すること
により、蛍光灯の輝度が向上するということが述べられ
ている。この中では、矩形パルス列や矩形波について、
周波数やデューティ比に関連して、印加電圧の変化に対
する輝度の変化の実験結果が記載されており、従来の正
弦波駆動と比較した効率の向上の説明がなされている。
【0010】しかし、現実の給電装置においては、高電
圧トランスなどが含まれ、理想的な矩形パルス列や矩形
波を印加することは不可能であり、給電装置の出力イン
ピーダンスとランプのインピーダンスの相互作用によ
り、波形は鈍化するし、また、部分的には共振により正
弦波的電圧が印加されてしまう。このような現実の給電
装置における、理想的な矩形的波形からのズレがあった
場合に、ズレのなかの如何なる成分は有害で、どの程度
のズレまで許容できるかを明確にしない限り、経済的に
見合う実用的な光源装置を設計、製作することはできな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した事情
に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、エキシマ分子を効率的に生成し、真空紫外光源とし
て効率的に動作できる誘電体バリア放電ランプ光源装置
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明の課題であるエ
キシマ分子を効率的に形成するためには、エキシマ分子
の形成に寄与しないエネルギー準位への放電プラズマの
励起を抑制することである。そして、このためには、ラ
ンプ印加電圧が有限の増加率で上昇し、放電開始電圧に
達して放電が開始されれば、できるだけ速やかに放電を
終了させればよい。誘電体バリア放電ランプ1の電気回
路的な動作を図19(b)で説明する。図19(b)に
示すように、放電プラズマ空間2の放電路は、抵抗10
とスイッチ11を直列に接続したものとなる。また、誘
電体バリア放電ランプ1には、電極3,4と放電プラズ
マ空間2の間に誘電体5,6があり、これは電気回路的
にはコンデンサとして働く。ただし、誘電体が2枚の場
合は、それぞれのコンデンサを直列合成した1個のコン
デンサ13と考えられる。
【0013】このコンデンサが放電プラズマ空間2に対
して直列に挿入された構造であるため、誘電体バリア放
電ランプ1にはランプ印加電圧の極性が変化した直後の
ある期間内にのみ放電電流が流れ、ランプ印加電圧を実
質的に零とした休止期間を有するパルス電圧を印加せず
とも、自然に放電の休止期間が生ずる。また、放電プラ
ズマ空間2の電圧が放電開始電圧に達しない限り、放電
は生じない。放電プラズマ空間2自体もコンデンサ12
を形成しており、放電が開始されれば、このコンデンサ
に充電されたエネルギーのほとんどが放電に費やされる
ため、給電装置は、放電開始以降に誘電体バリア放電ラ
ンプ1に必要以上の電流を追加して流さないようなもの
とすればよいことがわかる。
【0014】次に、ランプ壁面の単位面積あたりについ
て考える。放電開始電圧は、ガス圧と放電ギャップの間
隔が決まればほとんど自動的に決まる。また、放電プラ
ズマ空間が形成するコンデンサ12の静電容量C1は、
放電ギャップ間隔により決まるため、1発の放電が開始
してから終了するまでの期間にプラズマに与えられる最
小エネルギーは、放電プラズマ空間が形成するコンデン
サ12に充電された電荷が全て放電するエネルギーであ
り、これはランプの構造により決まってしまう。前記の
エキシマ分子形成を効率的にするための、エキシマ分子
形成に寄与しないエネルギー準位への放電プラズマの励
起を抑制することは、この最小エネルギーの放電の条件
において、最も良く達成されることになる。
【0015】ところが、この最小エネルギーの放電の条
件とは、極めて大きな出力インピーダンスを有する給電
装置を用いて、ランプ印加電圧を極めてゆっくりと上昇
させ、放電させることにより、原理的には実現可能であ
る。しかし、このような給電装置は、実際の光源装置と
して応用する場合には問題がある。第1の問題は、出力
インピーダンスが大きいと、周期的な繰返し放電のため
の、高速の動作速度が得られないことである。第2の問
題は、この最小エネルギーの放電の条件では、放電ギャ
ップ間隔のランプ内の位置的不均一の影響による1個の
ランプ内での放電の不均一が生じることがある点であ
る。従って、必要な光量を実現可能なような小さい出力
インピーダンスを有する給電装置を使用し、かつ、誘電
体バリア放電ランプの全壁面において均一に放電を生じ
せしめる余裕を持たせた実用的な光源装置とする等のた
めに、前記最小エネルギーの放電の条件よりもランプ印
加電圧を高くする必要がある。ただし、ランプ印加電圧
を高くする程度については、それによるエキシマ発光の
効率低下が容認可能な範囲に抑えておくべきである。
【0016】すなわち、ランプ印加電圧のピーク値は、
放電不均一が実用上無視できるための下限値を基準とし
て、その2倍以下、望ましくは1.5倍以下に抑えるべ
きである。または放電が維持できるための下限値を基準
として、その3倍以下、望ましくは2.5倍以下に抑え
るべきである。なお、ランプ電力を増加する場合は、ラ
ンプ印加電圧を上げるのではなく、ランプ電源の駆動周
波数を上げることにより行うべきである。ランプ電流
は、ランプ印加電圧の反転の度毎に一定量が流れるた
め、ランプ電力は駆動周波数に比例することになる。よ
って、上記駆動周波数を上げることにより、ランプ印加
電圧上昇による効率の悪化を伴わずにランプ電力を増加
することができる。
【0017】誘電体バリア放電ランプ光源装置の基本構
成を図1に示す。同図において、1は前記した誘電体バ
リア放電ランプ、8は給電装置であり、給電装置8は、
ブリッジ方式、プッシュプル方式、もしくは、フライバ
ック方式等の高周波交流電源9と、昇圧トランスTrか
ら構成される。実用的な給電装置における、ランプ印加
電圧E(t) 、放電ギャップ電圧(すなわち放電プラズマ
空間2の電圧)V1(t)、ランプ電流Is(t)、および、放
電電流Id(t)の典型的な波形を図2に示す(同図はフル
ブリッジ方式の給電装置を基本に、回路とランプをモデ
ル化して計算機シミュレーションにより求めた波形であ
り、ハーフブリッジやプッシュプル方式の給電装置にお
いても基本的に同様である)。なお、放電電流Id(t)に
ついては、前記図19(b)の抵抗10に流れるランプ
内電流であるため、その波形を直接測定するこはできな
いが、ランプ印加電圧E(t) とランプ電流Is(t)の波形
データを測定することができれば、前記図19(b)に
示した放電プラズマ空間2のコンデンサ12の静電容量
C1、誘電体5,6のコンデンサ13の静電容量C2、
誘電体バリア放電ランプに並列的に存在する浮遊静電容
量C3から算出することができる。
【0018】すなわち、放電プラズマ空間2のコンデン
サ12の静電容量C1、誘電体5,6のコンデンサ13
の静電容量C2、それに誘電体バリア放電ランプに並列
的に存在する浮遊静電容量C3により決まる、2個の係
数F=1+C1/C2およびCv=C1+C3・Fを用
いれば、放電電流波形Id(t)は次式(1)により求める
ことができる。 Id(t)=F・Is(t)−Cv・dE(t) /dt (1) この方法は、数値微分を使用するため、得られた結果の
波形のなかの電流値の小さい領域における精度はあまり
良くないが、放電開始時は速い立上がりを示すため、こ
れを見出す目的で使用する限り問題はない。
【0019】図2において、ランプ印加電圧E(t) の極
性が急変すると、放電ギャップ電圧V1(t)も急変し、こ
れが放電開始電圧に達した点G1で放電が開始する。放
電が開始すると、放電電流波形J1(図2の放電電流I
d(t)波形参照)が急激に現われ、その結果、放電ギャッ
プ電圧V1(t)は急激に低下する。この放電ギャップ電圧
V1(t)(すなわち放電プラズマ空間の電圧)の急激な低
下分に応じて、ランプ印加電圧E(t) も低下し、屈曲点
Kが生ずる。放電電流が停止する点J2に対応するラン
プ印加電圧波形上の点は、その絶対値の極大点P1、ま
たはそれを少し過ぎたあたりに存在する。実際の光源装
置に対する評価においては、上記点は前記絶対値の極大
点P1に存在するものとできる。以降、屈曲点Kまでの
ランプ印加電圧波形の変化は、C2/(C1+C2) 倍に
縮小されて、放電ギャップ電圧V1(t)波形にそのまま現
れる。ここで、C1とC2は、前記した放電プラズマ空
間2のコンデンサ12の静電容量C1と、誘電体5,6
のコンデンサ13の静電容量C2である。電極3,4の
両方に誘電体5,6が存在する誘電体バリア放電ランプ
の場合は、C2は、それぞれの誘電体の単独の静電容量
が直列合成されたものと考えられる。
【0020】ここで、実用的な給電装置において、ラン
プ印加電圧に図2のような屈曲点Kが生ずる理由は次の
通りである。上記した放電ギャップ電圧V1(t)(すなわ
ち放電プラズマ空間の電圧)の急激な低下分に応じて、
ランプ印加電圧E(t) も低下しようとする。このランプ
印加電圧E(t) 低下分は給電装置8が補償しようとする
が、昇圧トランスTrの磁束漏洩やケーブルのインダク
タンスに起因する、誘導性の出力インピーダンスが存在
するため、ランプ印加電圧低下分の補償が遅れ、その結
果として、絶対値の大きい方向に凸の屈曲点Kが生ず
る。また、この誘導性の出力インピーダンスと誘電体バ
リア放電ランプ1の静電容量との共振により、屈曲点K
の後にランプ印加電圧に対する振動成分が混入する。そ
の結果、ランプ印加電圧波形上に絶対値の極小点や絶対
値の極大点が生じることがある。以下、上記屈曲点Kの
後に生ずる振動をリンギングといい、その周波数をリン
ギング周波数Frという。また、上記屈曲点Kで放電が
開始してから印加電圧E(t) がピークにいたるまでの時
間をτとし、屈曲点Kの次に現れるピークP1から次の
ピークP2までの時間をT12とする。
【0021】本発明は、上記屈曲点K以後のランプ印加
電圧波形の変化に着目し、紫外線発光効率を低下させる
ことなく、誘電体バリア放電ランプに有効に電力を投入
するようにしたものである。すなわち、前記したように
ランプ印加電圧E(t) 波形が急激な上昇または下降をす
ることにより放電が発生したときエキシマ分子が生成さ
れ、生成されたエキシマ分子が解離して紫外線が発生す
るまでの期間に、更なる放電電流の追加があると、エキ
シマ分子が破壊する。したがって、放電電流を速やかに
切断することが紫外線発光効率の点から望ましい。
【0022】しかしながら、図2に示したように上記屈
曲点Kで放電が開始してから、ランプ印加電圧E(t) が
第1のピークにいたるまでは放電電流が持続してしま
う。このため、放電が開始してから印加電圧がピークに
達するまでの時間τが長い場合には、結果的に紫外線発
生効率が低下する。また、屈曲点Kの後にリンギングが
発生する状態では、その電圧ピークにいたるまでは放電
電流が持続してしまう。そして、このリンギング周波数
が低い場合には、放電電流が停止するまでに時間を要
し、結果的に紫外線発光効率が低下する。すなわち、上
記した放電が開始してから印加電圧がピークに達するま
での時間τを短くするか、もしくは、リンギング周波数
Frを高くすることにより、紫外線発光効率を低下させ
ることなく、誘電体バリア放電ランプを放電させること
ができる。
【0023】ここで、上記放電が開始してから印加電圧
E(t) がピークに達するまでの時間τおよびリンギング
周波数Frは、概ね給電装置8と誘電体バリア放電ラン
プ1から構成される回路のインダクタンスLと静電容量
Cにより定まり、これらの値小さくすることにより、時
間τを短くすることができ、また、リンギング周波数が
高くすることができる。ここで、第1のピークP1を過
ぎたあたりで放電は終了しているので(即ち、この時点
では前記図19(b)におけるスイッチ11は開いてい
る)、第1のピークP1を過ぎると、前記図19(b)
に示したコンデンサ12,13の静電容量と浮遊容量、
および回路のインダクタンスLできまる振動周波数で印
加電圧波形E(t) は振動的に変化する。上記のように第
1のピークP1を過ぎた直後で放電は終了しているた
め、上記第1のピークP1〜第2のピークP2までの時
間T12は、概ね上記したコンデンサ12,13の静電
容量と浮遊容量、および回路のインダクタンスLできま
る振動周波数の周期に相当する。
【0024】一般にLC共振回路の共振周波数は次の式
で計算できる。 LC=1/(2πf)2 したがって、上記回路のインダクタンスをL、静電容量
をCとすると、上記リンギング周波数Frは、概ね、1
/{2π×√(LC)}で定まり、静電容量Cの値は誘
電体バリア放電ランプ1の静電容量に依存するので、リ
ンギング周波数Frを高くする(時間τを短くする)に
は、上記インダクタンスLの値を小さくすればよい。具
体的には、昇圧トランスTrの結合インピーダンスを小
さくすることにより、リンギング周波数Frは高くする
ことができる。上記考察に基づき、本発明者等は、上記
時間τ、ピークP1〜P2までの時間T12と紫外線発
光効率との関係、およびリンギング周波数と紫外線発光
効率との関係を調べた。その結果、後述する図8,9,
10に示すように、上記時間τをτ≦2.1μs、上記
時間T12をT12≦3μs、もしくは、リンギング周
波数FrをFr≧300kHzとすれば、紫外線発光効
率を低下させることなく、誘電体バリア放電ランプを放
電させることができることがわかった。
【0025】ここで、前記したようにリンギング周波数
Frは、概ね、1/{2π×√(LC)}で定まるの
で、上記LCの値を、LC≦2.8×10-13 〔Cの単
位はF(ファラッド)、Lの単位はH(ヘンリー)〕と
すればよい。上記LCの値は、概ねランプ1の静電容量
とトランスTrのインダクタンスで定まるので、LCの
値が上記条件を満たすようにランプ1の静電容量に応じ
て、トランスTrのインダクタンスを選定すればよい。
上記静電容量Cの測定は、消灯状態のランプ単体の静電
容量をインピーダンスメータ等により測定すればよい。
また、Lの測定については、点灯時の放電が終了した直
後の状態に準じて、トランスTrの一次側の状態を模擬
的に再現した上で、2次側のインダクタンスをインピー
ダンスメータ等によって測定すればよい。
【0026】例えば、フルブリッジ方式もしくはハーフ
ブリッジ方式の高周波交流電源を用いる場合には、トラ
ンスの一次側を短絡した状態で、2次側のインダクタン
スを測定すればよい。また、プッシュプル方式の場合に
は、トランスTrの一次側の中点と一端を短絡し、他端
は開放した状態で、2次側のインダクタンスを測定すれ
ばよい。さらに、フライバック方式の場合には、トラン
スTrの一次側を開放した状態で、2次側のインダクタ
ンスを測定すればよい。なお、使用する給電装置8によ
っては、前記した屈曲点Kが印加電圧波形上に明確に現
れない場合がある。特にフライバック方式の電源を用い
た場合には、印加電圧波形上に上記屈曲点が明確に現れ
ない場合が多い。この場合には、前記したように放電電
流波形Id(t)を算出し、その立ち上がりの急峻な部分に
屈曲点があると推定すればよい。
【0027】本発明請求項1〜3に記載された発明は、
上記に基づき、誘電体バリア放電ランプを効率良く放電
させるための実用的な条件を規定したものであり、以下
のいずれかの条件を満たすことにより、誘電体バリア放
電ランプを効率良く放電させることができる。 (1)誘電体バリア放電を開始する電圧値に達した時点
経過後、最大の電圧値に達してから次の最大電圧値に達
するまでの時間が3μs以下となる電圧を誘電体バリア
放電ランプに印加する。 (2)誘電体バリア放電を開始する電圧値に達してか
ら、次に新たなランプ電圧が印加されるまでの期間にお
ける最大の電圧値になるまでの時間が2.1μs以下と
なる電圧を誘電体バリア放電ランプに印加する。 (3)給電装置と誘電体バリア放電ランプから構成され
る回路のインダクタンスをL、静電容量をCとしたと
き、該インダクタンスL、静電容量Cが下記の式を満た
すように選定する。 LC≦2.8×10-13
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図3は本発明の実施例の誘電体バリア放電
ランプ点灯回路の一例を示す図であり、同図はフルブリ
ッジ方式のインバータ回路を用いた誘電体バリア放電ラ
ンプ点灯回路の概略構成を示している。図4は上記点灯
回路の動作を説明するための波形図であり、同図は例え
ばトランスの1次、2次間漏洩インダクタンスが無く放
電現象が生じない容量性の負荷が接続された場合の波形
を模式的に示している。同図において、Q1〜Q4はス
イッチング素子(例えばFET)、G1〜G4はスイッ
チング素子Q1〜Q4のゲート信号、Vpは昇圧トラン
スTr(以下、トランスTrと略記する)の一次側電
圧、VsはトランスTrの二次側電圧である。
【0029】図3の点灯回路の動作を図4により説明す
る。 (a) 第1ゲート信号G1、第4のゲート信号G4がオン
になると、ゲート駆動回路GD1,GD4により第1の
スイッチング素子Ql、第4のスイッチング素子Q4が
導通状態になり(同図)、トランスTrの1次側に直
流電源DCより直流電圧が印加され(同図)、トラン
スTrの2次側に電圧が発生し、誘電体バリア放電ラン
プ1に電圧が印加される(同図)。 (b) 第1ゲート信号G1、第4のゲート信号G4がオフ
になると(同図)、第1のスイッチング素子Ql、第
4のスイッチング素子Q4が遮断状態となり、トランス
Trの1次側電圧Vp,トランスTrの2次側電圧Vs
は、トランスTrの漏洩インダクタンスと、トランスT
rの2次側静電容量とから決まる共振周波数に関連した
速さで不安定的変動を始める(同図,)。 (c) 第2ゲート信号G2、第3のゲート信号G3がオン
になると、ゲート駆動回路GD2,GD3により第2の
スイッチング素子Q2、第3のスイッチング素子Q3が
導通状態になり(同図)、トランスTrの1次側に上
記(a) とは逆向きの直流電圧が印加され、トランスTr
の2次側に上記(a) とは逆向きの電圧が発生し、誘電体
バリア放電ランプ1に逆向きの電圧が印加される(同図
)。 (d) 第2ゲート信号G2、第3のゲート信号G3がオフ
になると(同図丸数字10)、第2のスイッチング素子Q
2、第3のスイッチング素子Q3が遮断状態となり、ト
ランスTrの1次側電圧Vp,トランスTrの2次側電
圧Vsは、トランスTrの漏洩インダクタンスと、トラ
ンスTrの2次側静電容量とから決まる共振周波数に関
連した速さで不安定的変動を始める(同図丸数字11,12
)。 (e) 以下、(a) 〜(d) の動作を繰り返す。
【0030】図5、図6上記点灯回路における印加電圧
波形E(t) 、電流波形I(t) の実測データである。図6
は図5の区間Y1部分を拡大したものであり、上記波形
は、下記の条件で測定したものである。なお、この条件
は、図3の点灯回路を最も効率よく点灯させることがで
きる条件である。 ・周波数:33.9kHz ・トランスTr 1次側インダクタンス:1.42mH 2次側インダクタンス:204mH 結合インピーダンス:0.99955 ・誘電体バリア放電ランプ 誘電体:石英ガラス−厚さ1mm 放電ガス:キセノン−圧力33kPa 放電ギャップ:4.3mm 非放電時のランプ静電容量:84pF
【0031】また、図7は図5、図6において、放電電
流波形Id(t)を解析計算し、印加電圧波形E(t) 、電流
波形I(t) に加えて放電電流波形Id(t)を示したもので
あり、図6の区間Y2部分を拡大して示している。上記
解析計算の条件は次の通りである。 ・放電プラズマ空間の静電容量:C1:97.2pF ・誘電体の静電容量:C2:607pF ・浮遊静電容量:C3:70pF 図7においては屈曲点Kが明確に現れており、この点T
dで放電電流波形Id(t)が急速に立ち上がっていること
からから屈曲点Kが放電開始時点であることが分かる。
また、屈曲点Kから次の第1のピークP1に達するまの
での時間が前記した時間τであり、第1のピークP1か
ら第2のピークに達するまのでの時間が前記した時間T
12であり、上記第1のピークP1以降、印加電圧波形
E(t) は振動的に変化している。
【0032】図3の点灯回路において、トランスTr の
2次側にインダクタンスを追加してリンギング周波数
(時間τもしくは時間T12)を調整して点灯させ、発
光効率を求めた。図8、図9、図10に上記のようにし
て求めた、発光効率と、時間τ、時間T12、および、
リンギング周波数Frの関係を示す。また、図11にリ
ンギング周波数を250Hzに低下させたときの印加電
圧波形E(t) 、電流波形I(t) を示す。図8、図9、図
10から明らかなように、時間τが2.1μs以下、時
間T12が3μs以下、もしくは、リンギング周波数F
rが300Hz以上とすることが、効率を高くする観点
から効果的であることがわかる。なお、図8、図9、図
10における曲線a,b,cはランプ印加電圧を変えた
場合の効率を示しており、ランプ印加電圧は曲線aの印
加電圧をV1,曲線bの印加電圧をV2、曲線cの印加
電圧をV3としたときV1<V2<V3である。また、
その時の相対光量は曲線aは1、曲線bは1.33、曲
線cは1.67であった。
【0033】図12は他のランプ印加電圧E(t) 波形、
電流Is(t)波形の実測データであり、同図は、放電開始
を示す電圧の屈曲点Kが明確に現れない場合の一例を示
している。上記のように屈曲点Kが明確に現れない場合
には、前記したように放電プラズマ空間2のコンデンサ
12の静電容量C1、誘電体5,6のコンデンサ13の
静電容量C2、それに誘電体バリア放電ランプに並列的
に存在する浮遊静電容量C3より前記(1)式により放
電電流波形Id(t)を求めることにより放電開始時点を知
ることができる。
【0034】図13は上記のように放電電流波形Id(t)
を解析計算し、上記印加電圧E(t)波形、電流Is(t)波
形とともに示した図である。なお、同図の実験条件およ
び上記放電電流波形Id(t)の解析条件は次の通りであ
る。 ・給電装置のインバータ方式:プッシュプル方式 ・解析条件 放電プラズマ空間の静電容量:C1:8.7pF 誘電体の静電容量:C2:140pF 浮遊静電容量:C3:10pF 図13を見ると時間Tdで放電電流波形Id(t)が急激に
立ち上がっており、この時点が放電開始時点であること
がわかる。したがって、この時点Tdに対応した印加電
圧E(t) 波形上の点が屈曲点Kに相当し、時間τはこの
屈曲点Kから次のピークP1までの時間を計ることによ
り求めることができる。なお、この例では第1のピーク
P1、第2のピークP2は明瞭に現れており、時間T1
2は印加電圧波形E(t) から直ちに求めることができ
る。
【0035】図14は、プッシュプル方式のインバータ
回路を点灯回路に用いた構成例を示す図である。また、
図15は上記点灯回路の動作を説明するための波形図で
あり、同図は前記と同様、例えばトランスの1次、2次
間漏洩インダクタンスが無く放電現象が生じない容量性
の負荷が接続された場合の波形を模式的に示している。
同図において、G1,G2はスイッチング素子Q1〜Q
2のゲート信号、V1,V2はトランスTrの一次側電
圧、VsはトランスTrの二次側電圧である。図3の点
灯回路の動作を図4により説明する。
【0036】(a) 第1ゲート信号G1がオンになると、
ゲート駆動回路GD1により第1のスイッチング素子Q
lが導通状態になり(同図)、トランスTrの1次側
第1コイルL1に直流電源DCより直流電圧が印加され
る(同図)。トランス1次側第1コイルL1とトラン
ス2次側コイルLsは向きが逆であるから、トランス2
次側コイルLsにはトランス1次側第1コイルL1と逆
向きの電圧が発生し、誘電体バリア放電ランプ1に電圧
が印加される(同図)。 (b) 第1ゲート信号G1がオフになると、第1のスイッ
チング素子Q1が遮断状態になり、トランス1次側第1
コイル電圧V1、トランス1次側第2コイル電圧V2、
トランス2次側電圧Vsは、トランスTrの漏洩インダ
クタンスと、トランスTrの2次側静電容量とから決ま
る共振周波数に関連した速さで不安定的変動を始める
(同図,)。 (c) 第2ゲート信号G2がオンになると、第2のスイッ
チング素子Q2が導通状態になり(同図)、トランス
1次側第2コイルL2に直流電源DCより直流電圧が印
加される(同図)。トランス1次側第2コイルL2と
トランス2次側コイルLsは向きが同じであるから、ト
ランス2次側コイルLsにはトランス1次側第2コイル
L2と同じ向きの電圧が発生し、誘電体バリア放電ラン
プ1に電圧が印加される(同図)。 (d) 第2ゲート信号G2がオフになると、第2のスイッ
チング素子Q2が遮断状態になり(同図丸数字10)、ト
ランス1次側第1コイル電圧V1、トランス1次側第2
コイル電圧V2、トランス2次側電圧Vsは、トランス
Trの漏洩インダクタンスと、トランスTrの2次側静
電容量とから決まる共振周波数に関連した速さで不安定
的変動を始める(同図丸数字11,12 )。 (e) 以下、上記(a) 〜(d) の動作を繰り返す。
【0037】以上の説明から明らかなように、点灯回路
としてプッシュプル方式のインバータ回路を用いた場
合、誘電体バリア放電ランプへ印加される電圧波形は前
記したフルブリッジ方式のインバータ回路を用いた場合
とほぼ同様であり、前記と同様に時間τ、時間T12、
および、リンギング周波数Frを求めることができる。
また、図示しないが、ハーフブリッジ方式のインバータ
回路を用いた場合も同様である。
【0038】図16はフライバック方式のインバータ回
路を用いた点灯回路の構成例を示す図、図17はフライ
バック方式のインバータ回路を用いた点灯回路を用いた
場合の誘電体バリア放電ランプへの印加電圧E(t) 波
形、電流Is(t)波形の実測データである。図17に示す
ように、点灯回路としてフライバック方式のインバータ
回路を用いた場合には、誘電体バリア放電ランプへの印
加電圧E(t) 波形、電流Is(t)波形は、前記したフルブ
リッジ、ハーフブリッジ、プッシュプル方式のインバー
タ回路を用いた場合とは大きく異なる。しかしながらフ
ライバック方式のインバータ回路を用いた場合であって
も、屈曲点K以後のランプ印加電圧波形の変化に着目す
ることにより、前記と同様に効率良くランプを点灯させ
ることができる。
【0039】以下、フライバック方式のインバータ回路
を用いた点灯回路により誘電体バリア放電ランプを点灯
させる場合について説明する。図18は、図17の波形
および回路各部の波形をシミュレーションにより求めて
模式的に示した図である。同図において、E(t) は図1
6においてトランスTrの2次側電圧波形(誘電体バリ
ア放電ランプ印加電圧波形)、Is(t)はランプ電流波
形、Id(t)は前記した解析計算により求めた放電電流波
形、Vq(t) はスイッチング素子(例えばFET)Qに
加わる電圧波形、Iq(t)はスイッチング素子Qに流れる
電流波形、Ir(t)はダイオードD1に流れる電流波形、
G(t) はゲート駆動回路GDに入力されるゲート信号で
ある。
【0040】図17に示す点灯回路の動作を図18によ
り説明する。 (a) ゲート信号G(t) が時間t1〜t2の間だけオンに
なると、スイッチング素子Qに流れる電流Iq(t)がぼぼ
直線的に増加して、時間t2で突然遮断される。電流I
q(t)が切断される直前の電流に対応して、トランスTr
のコアに蓄えられていた磁気的エネルギーは、トランス
Trの一次、2次側に電圧の形で現れ、トランスTrの
2次側には、トランスTrの巻比に応じて昇圧された高
電圧が現れ、誘電体バリア放電ランプ1に印加される。 (b) ランプ1に高電圧が印加されると、時刻taでラン
プが放電し、印加電圧E (c) の波形に屈曲点K1が生ずる。但し、図18では屈
曲点K1は明瞭に現れていない。放電が生ずると、放電
空間の電圧は急速に中和され、ほとんど零になる。 (d) ランプ1の静電容量とトランスTrの2次側インダ
クタンスとで概ね定まる共振周波数にて、ランプ印加電
圧E(t) は共振振動を生ずる。 (e) ランプ印加電圧E(t) が低い電圧になると、時刻t
aにおける放電によってと放電空間の電圧が中和された
ことに起因して、放電空間には逆方向の高電圧が発生す
る。これにより、時刻Tbにおいて、再放電が発生し、
屈曲点K2が生ずる。但し、図18では屈曲点K2は明
瞭に現れていない。 (f) ランプ印加電圧E(t) の共振振動は、トランスTr
の一次側にも現れるため、スイッチング素子Qの電圧V
q(t)は、図18に示すように変動する。
【0041】(g) 上記電圧Vq(t)が正である期間は実質
的にはトランスTrの一次側には電流が流れない。しか
し、スイッチング素子Qに並列にダイオードD1が接続
されている場合には、上記電圧Vq(t)が負になろうとす
るt3〜t4の期間Tzにおいては、ダイオードD1に
電流が流れる。これは、トランスの1次側のインピーダ
ンスが大きかったものが急に小さくなるものと解釈する
ことができる。このため、ランプ印加電圧E(t) の自由
な共振振動が阻害され、それに対応して、電圧E(t) に
電圧変化の停止した期間Trが生ずる。
【0042】以上のように、フライバック方式の点灯回
路の場合、ランプ印加電圧E(t) 波形上では比較的わか
りにくいが、放電電流Id(t)の立ち上がりが急峻な時間
Ta,Tbで放電が開始しており、この点から屈曲点K
を判別することができる。すなわち、フライバック方式
のインバータ回路を用いた場合であっても、放電開始を
表す屈曲点Kから次のピークまでの時間τを求めことが
でき、上記時間τを前記したように2.1μs以下とな
るように、トランスTrのインダクタンスを選定するこ
とにより、効率良くランプを点灯させることができる。
【0043】なお、上記したように、逆並列ダイオード
が接続されている(もしくは逆並列ダイオードを内蔵し
ている)スイッチング素子Qを用いたフライバック方式
の点灯回路の場合には、上記したように第1のピークP
1と第2のピークP2に間に本質的な重要性のない電圧
変化が停止した期間Tsが生ずる。このため、前記した
第1、第2のピーク間の時間T12は意味をもたず、前
記した図9の関係は成立しない。以上のように、動作の
途中で回路のインピーダンスが変化する場合には、本発
明の適用に注意を要する。なお、逆並列ダイオードが付
加された(若しくは内蔵された)スイッチング素子を用
いたフルブリッジ方式、ハーフブリッジ方式、もくはプ
ッシュプル方式によるインバータ回路の場合には、トラ
ンスの1次側は、常に低いインピーダンスで電源に接続
されているため、上記問題はおこらない。しかしなが
ら、ゲート信号がオフになって、やがて、逆並列ダイオ
ードに流れていた電流が停止すると、その後はインピー
ダンスが大きくなるため、ランプの静電容量と2次側イ
ンダクタンスで概ね決まる低い共振周波数でランプ印加
電圧E(t) は共振振動を始め、リンギングが消失するこ
ととなる。なお、第1ピークを過ぎても放電が終了しな
い場合もあり得るが、このときには、T12は、それ以
降のリンギング周期より若干長くなる。長くなる程度
は、ランプの構造、すなわち放電プラズマ空間2のコン
デンサ12の静電容量C1、誘電体5,6のコンデンサ
13の静電容量C2の大きさの配分により異なる。も
し、このような場合ですら、T12≦3μsが維持され
るように光源装置が構成できているならば、それは望ま
しいことである。逆に、このような場合にT12≦3μ
sが満たされないものであっても、第1のピークを過ぎ
た後の放電は一般に弱く、紫外線発光効率に与える影響
は小さいため、LC≦2.8×10-13 、または、τ≦
2.1μsのいずれかを満足するように光源装置を構成
すればよい。なお、本発明は、放電容器の内面に蛍光体
を塗布していない紫外線を放射する誘電体バリア放電ラ
ンプおよび放電容器の内面に蛍光体を塗布した可視光を
放射する誘電体バリア放電ランプのいずれにも適用する
ことができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
誘電体バリア放電を開始する電圧値に達した時点経過
後、最大の電圧値に達してから次の最大電圧値に達する
までの時間が3μs以下となる電圧を誘電体バリア放電
ランプに印加する、誘電体バリア放電を開始する電圧
値に達してから、次に新たなランプ電圧が印加されるま
での期間における最大の電圧値になるまでの時間が2.
1μs以下となる電圧を誘電体バリア放電ランプに印加
する、給電装置と誘電体バリア放電ランプから構成さ
れる回路のインダクタンスをL、静電容量をCとしたと
き、該インダクタンスL、静電容量CがLC≦2.8×
10-13 を満たすように選定したので、エキシマ分子を
破壊する放電電流を速やかに切断することができ、実現
可能な給電装置を使用して誘電体バリア放電ランプの発
光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体バリア放電ランプ光源装置の基本構成を
示す図である。
【図2】実用的な給電装置におけるランプ印加電圧E
(t) 、放電ギャップ電圧V1(t)、電流Is(t)、放電電流
Id(t)の典型的な波形を示す図である。
【図3】本発明の実施例の誘電体バリア放電ランプ点灯
回路(フルブリッジ方式)の一例を示す図である。
【図4】図3の点灯回路の動作を説明するための波形図
である。
【図5】図3の点灯回路における印加電圧波形E(t) 、
電流波形I(t) の実測データを示す図である。
【図6】図3の点灯回路における印加電圧波形E(t) 、
電流波形I(t) の実測データを示す図(拡大図)であ
る。
【図7】図6のY2部分を拡大し、計算により求めた放
電電流波形Id(t)を追加した図である。
【図8】時間τと発光効率ηの関係を示す図である。
【図9】時間T12と発光効率ηの関係を示す図であ
る。
【図10】リンギング周波数Frと発光効率ηの関係を
示す図である。
【図11】図3の点灯回路において、リンギング周波数
を250Hzに低下させたときの印加電圧波形E(t) 、
電流波形I(t) を示す図である。
【図12】他のランプの点灯波形を示す図である。
【図13】図12のZの部分を拡大し、計算により求め
た放電電流波形Id(t)を追加した図である。
【図14】他の点灯回路の構成例(プッシュプル方式)
を示す図である。
【図15】図14の点灯回路の動作を説明するための波
形図である。
【図16】フライバック方式の点灯回路の構成例を示す
図である。
【図17】フライバック方式の点灯回路を用いた場合の
印加電圧波形E(t) 、電流波形I(t) の実測データを示
す図である。
【図18】フライバック方式の点灯回路を用いた場合の
各部の波形を示す図である。
【図19】2枚の誘電体が存在する誘電体バリア放電ラ
ンプおよびその電気的な動作を表す等価回路を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 誘電体バリア放電ランプ 2 放電プラズマ空間 3,4 電極 5,6 誘電体 7 ランプ封体 8 給電装置 9 高周波交流電源 Tr 昇圧トランス Q1〜Q4 スイッチング素子(FET) GD ゲート駆動回路 GD1〜GD4 ゲート駆動回路 D1〜D4 ダイオード DC 電源

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体バリア放電によってエキシマ分子
    を生成する放電用ガスが充填された放電プラズマ空間が
    あって、この放電用ガスに放電現象を誘起せしめるため
    の両極の電極のうち少なくとも一方と前記放電用ガスの
    間に誘電体が介在する構造を有する誘電体バリア放電ラ
    ンプと、この誘電体バリア放電ランプの前記電極に高電
    圧を印加するための給電装置とを有する誘電体バリア放
    電ランプ光源装置において、 前記給電装置は昇圧トランスを介して前記誘電体バリア
    放電ランプに概略周期的な波形の高電圧を印加するもの
    であって、 この印加された電圧波形は、誘電体バリア放電を開始す
    る電圧値に達した後に、最大の極大値に達してから次の
    極大値に達するまでの時間が3μs以下であることを特
    徴とする誘電体バリア放電ランプ光源装置。
  2. 【請求項2】 誘電体バリア放電によってエキシマ分子
    を生成する放電用ガスが充填された放電プラズマ空間が
    あって、この放電用ガスに放電現象を誘起せしめるため
    の両極の電極のうち少なくとも一方と前記放電用ガスの
    間に誘電体が介在する構造を有する誘電体バリア放電ラ
    ンプと、この誘電体バリア放電ランプの前記電極に高電
    圧を印加するための給電装置とを有する誘電体バリア放
    電ランプ光源装置において、 上記給電装置は昇圧トランスを介して前記誘電体バリア
    放電ランプに概略周期的な波形の高電圧を印加するもの
    であって、 この印加された電圧波形が、誘電体バリア放電を開始す
    る電圧値に達してから、次に新たなランプ電圧が印加さ
    れるまでの期間における最大の電圧値になるまでの時間
    が2.1μs以下であることを特徴とする誘電体バリア
    放電ランプ光源装置。
  3. 【請求項3】 誘電体バリア放電によってエキシマ分子
    を生成する放電用ガスが充填された放電プラズマ空間が
    あって、この放電用ガスに放電現象を誘起せしめるため
    の両極の電極のうち少なくとも一方と前記放電用ガスの
    間に誘電体が介在する構造を有する誘電体バリア放電ラ
    ンプと、この誘電体バリア放電ランプの前記電極に高電
    圧を印加するための給電装置とを有する誘電体バリア放
    電ランプ光源装置において、 前記給電装置は昇圧トランスを介して前記誘電体バリア
    放電ランプに概略周期的な波形の高電圧を印加するもの
    であって、 上記給電装置と誘電体バリア放電ランプから構成される
    回路のインダクタンスをL、静電容量をCとしたとき、
    該インダクタンスL、静電容量Cが下記の式を満たすよ
    うに選定されている LC≦2.8×10-13 ことを特徴とする誘電体バリア放電ランプ光源装置。
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