JPH11310408A - 機能性炭素材料薄膜の製造方法 - Google Patents

機能性炭素材料薄膜の製造方法

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JPH11310408A
JPH11310408A JP10121002A JP12100298A JPH11310408A JP H11310408 A JPH11310408 A JP H11310408A JP 10121002 A JP10121002 A JP 10121002A JP 12100298 A JP12100298 A JP 12100298A JP H11310408 A JPH11310408 A JP H11310408A
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Japan
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thin film
carbon material
producing
torr
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JP10121002A
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Hisaji Matsui
久次 松井
Chiharu Yamaguchi
千春 山口
Ayumi Yasuda
歩 安田
Noboru Kawase
昇 川瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高収率かつ高純度でダイヤモンド薄膜およびカ
ーボンナノチューブ薄膜を形成すること、さらに、基板
上に結晶化度の高いダイヤモンド薄膜或いは配向性の高
いカーボンナノチューブ薄膜を形成すること。 【解決手段】機能性炭素材料薄膜の製造方法において、
(1)基板表面にハロゲン化ハイドロカーボンを蒸着させ
るか、或いはアルコキシシリル基を末端に持つフルオロ
ハイドロカーボンを基板表面に反応・固定させる工程、
(2)形成されたハロゲン化ハイドロカーボン層を化学還
元することにより、ポリイン(-(C≡C)n-)層を合成する
工程、および(3)ポリイン層に光、電子線およびイオン
ビームの少なくとも1種を照射するか、あるいはポリイ
ン層を加熱するか、或いはポリイン層を照射および加熱
することにより、ダイヤモンド薄膜および/またはカー
ボンナノチューブ薄膜を基板上に形成する工程を備えた
ことを特徴とする機能性炭素材料薄膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンド、カ
ーボンナノチューブあるいは両者を含む薄膜を基板上に
形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在研究されているダイヤモンドの合成
方法は、高圧法と気相成長法とに大別され、一部は実用
化されている。
【0003】高圧法では、原料ダイヤモンドを温度1300
-1500℃、圧力5-6気圧の高温高圧の下で溶解し、再結晶
させることにより、5-6μmの単結晶が育成されている。
【0004】気相成長法では、基板上へのエピタキシャ
ル成長によるダイヤモンド合成は、メタンガスなどの炭
化水素と水素との混合ガスを原料として、温度1000℃以
下で、低圧でダイヤモンド薄膜を形成させることにより
行われている(N.Fujimori et al. Vacuum, 6(1986)9
9)。気相成長法は、薄膜ダイヤモンドの合成法として
期待されているが、反応のメカニズム上、生成物は、核
を中心に成長した粒子状ダイヤモンドの集積体であり、
単結晶ダイヤモンドは、未だ合成されていない。
【0005】一方、カーボンナノチューブ(以下単に
「ナノチューブ」ということがある)は、非晶カーボ
ン、あるいは、グラファイトなどの炭素材料を原料に用
い、触媒金属の存在下にカーボンアーク法、スパッター
法、レーザー光照射法などの気相法により合成されてい
る。しかしながら、この方法では、生成物中にナノチュ
ーブ以外の黒鉛、非晶カーボンなどが混在ので、収率が
低いのみならず、ナノチューブ中への触媒金属の混入が
避けられなかった。また、発生するすす中に混在してナ
ノチューブが生成するために、基板上に薄膜を形成する
ことは難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、高
収率かつ高純度でダイヤモンド薄膜および/またはカー
ボンナノチューブ薄膜を形成することを目的とする。
【0007】さらに、本発明は、基板上に結晶化度の高
い、或いは配向性の高い、これらの薄膜を形成すること
をも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に鑑みて、研究を進めた結果、基板上に、必
要に応じてパターニングした、ダイヤモンド薄膜および
/またはカーボンナノチューブ薄膜を形成する新規な技
術を完成するにいたった。
【0009】すなわち、本発明は、下記に示す機能性炭
素材料の製造方法を提供するものである; 1.機能性炭素材料薄膜の製造方法において、(1)基板
表面にハロゲン化ハイドロカーボンを蒸着させるか、或
いはアルコキシシリル基を末端に持つフルオロハイドロ
カーボンを基板表面に反応・固定させる工程、(2)形成
されたハロゲン化ハイドロカーボン層を化学還元するこ
とにより、ポリイン(-(C≡C)n-)層を合成する工程、お
よび(3)ポリイン層に光、電子線およびイオンビームの
少なくとも1種を照射するか、あるいはポリイン層を加
熱するか、或いはポリイン層を照射および加熱すること
により、ダイヤモンド薄膜および/またはカーボンナノ
チューブ薄膜を基板上に形成する工程を備えたことを特
徴とする機能性炭素材料薄膜の製造方法。
【0010】2.照射光として、波長300〜1200nm、出
力0.1〜10mJ/cm2のレーザー光を用いる上記項1に記載
の機能性炭素材料の製造法。
【0011】3.照射光として、波長400〜800nm、出力
0.5〜5mJ/cm2のレーザー光を用いる上記項2に記載の機
能性炭素材料の製造法。
【0012】4.電子線照射を10-2〜10-7torrの減圧下
に、加速電圧1〜2000KVで行う上記項1に記載の機能性
炭素材料の製造法。
【0013】5.電子線照射を10-3〜10-5torrの減圧下
に、加速電圧1〜2000KVで行う上記項4に記載の機能性
炭素材料の製造法。
【0014】6.電子線照射を10-2〜10-7torrの減圧下
に、加速電圧50〜1000KVで行う上記項4に記載の機能性
炭素材料の製造法。
【0015】7.電子線照射を10-3〜10-5torrの減圧下
に、加速電圧50〜1000KVで行う上記項4に記載の機能性
炭素材料の製造法 8.イオンビーム照射を100〜10-4torrの減圧下に電離
させたHeイオン或いはArイオンを用いて、加速電圧100V
〜10kVおよびイオン電流0.01〜100mA/cm2の条件下に行
う上記項1に記載の機能性炭素材料の製造法。
【0016】9.イオンビーム照射を10-1〜10-3torrの
減圧下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用いて、
加速電圧100V〜10kVおよびイオン電流0.01〜100mA/cm2
の条件下に行う上記項8に記載の機能性炭素材料の製造
法。
【0017】10.イオンビーム照射を100〜10-4torr
の減圧下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用い
て、加速電圧200V〜1kVおよびイオン電流0.01〜100mA/c
m2の条件下に行う上記項8に記載の機能性炭素材料の製
造法。
【0018】11.イオンビーム照射を10-1〜10-3torr
の減圧下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用い
て、加速電圧200V〜1kVおよびイオン電流0.1〜10mA/cm2
の条件下に行う上記項8に記載の機能性炭素材料の製造
法。
【0019】12.加熱を圧力760〜10-6torrおよび温
度100〜2000℃の条件下に行う上記項1に記載の機能性
炭素材料の製造法。
【0020】13.加熱を圧力10-1〜10-3torrおよび20
0〜1500℃の条件下に行う上記項12に記載の機能性炭
素材料の製造法。
【0021】14.加熱を圧力760〜10-4torrのHeまた
はAr雰囲気中温度100〜2000℃の条件下に行う上記項1
に記載の機能性炭素材料の製造法。
【0022】15.加熱を圧力760〜10-4torrのHeまた
はAr雰囲気中温度200〜1500℃の条件下に行う上記項1
4に記載の機能性炭素材料の製造法。
【0023】16.ハロゲン化ハイドロカーボンが、フ
ルオロハイドロカーボンである上記項1に記載の機能性
炭素材料の製造法。
【0024】
【発明の実施の形態】反応性の三重結合(-C≡C-)を含む
炭素材料およびその合成法は、公知である(特開平3-44
582号公報、特開昭63-199726号公報などを参照)。ま
た、ハロゲン化炭化水素、ポリテトラフルオロエチレン
から反応性の三重結合(-C≡C-)を含む炭素材料を合成す
る方法も、公知である(本出願人による特開平9-249404
号公報、特開平9-249405号公報を参照)。さらに、ポリ
インの応用についても、光画像書き込み素子への応用
(特開平5-30252号公報)、電子写真感光体への応用
(特開平7-181709号公報)、アルカリ蓄電池用ニッケル
正極板への応用(特開平2-33853号公報)、電池正極物
質への応用(特開昭56-71277号公報)、液晶配向膜への
応用(特開平2-33127号公報)、導電性樹脂混合物への
応用(特開平4-234459)などの多くの提案がされてい
る。
【0025】しかしながら、基板上にハロゲン化ハイド
ロカーボン層を形成し、これを還元してポリイン薄膜を
形成し、さらにこれを原料として、ダイヤモンド薄膜お
よび/またはカーボンナノチューブ薄膜を合成する試み
は、従来なされていない。
【0026】本発明においては、シリコン、無アルカリ
ガラス、ポリエチレンフタレート、ポリカーボネートな
どの基板(好ましくはシリコン、無アルカリガラス)上
にポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン
などのハロゲン化ハイドロカーボン(フルオロハイドロ
カーボンがより好ましく、例えば、分子量200〜3000程
度の低分子量ポリテトラフルオロエチレンが好適であ
る)を蒸着させた後、ハロゲン化ハイドロカーボン層を
化学還元して、生成したポリイン(-(C≡C)n-)層をプリ
カーサーとして、これに電子線、イオンビームおよびレ
ーザー光の少なくとも1種を照射することにより、或い
はポリイン層を加熱処理することにより、或いはポリイ
ン層を照射処理および加熱処理(両処理の順序は問わな
い)に供することにより、反応を行わせ、ダイヤモンド
薄膜、カーボンナノチューブ薄膜或いは両者の混在物を
得る。
【0027】或いは、シリコンなどの基板上に末端にア
ルコキシシリル基を有するフルオロハイドロカーボン層
を形成した後、この塗布層を化学還元して、以後上記と
同様にして、生成したポリイン層をプリカーサーとし
て、これに電子線、イオンビームおよびレーザー光の少
なくとも1種を照射することにより、或いはポリイン層
を加熱処理することにより、或いはポリイン層を照射処
理および加熱処理(両処理の順序は問わない)に供するこ
とにより、反応を行わせ、ダイヤモンド薄膜、カーボン
ナノチューブ薄膜或いは両者の混在物を得る。末端にア
ルコキシシリル基を有するフルオロハイドロカーボンと
しては、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデ
シルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ-1,1,2,2-
テトラヒドロオクチルトリエトキシシランなどが例示さ
れる。
【0028】ポリイン(-(C≡C)n-)におけるnの数は、
特に限定されるものではないが、通常2〜256程度であ
り、より好ましくは、2〜32程度である。
【0029】基板表面にフルオロハイドロカーボン蒸着
層或いは末端にアルコキシシリル基を有するフルオロハ
イドロカーボン塗布層を形成するに際しては、常法に従
って、例えば、予め基板表面の所定部分をメタルマスク
でマスキングしておき、蒸着層または塗布層の形成後に
マスキングを除去することが出来る。この場合には、最
終的に非マスキング部分に対応する所定のパターンを有
するダイヤモンド薄膜或いはカーボンナノチューブ薄膜
を得ることが出来る。
【0030】なお、本発明におけるポリイン層の形成ま
での手法は、公知の手法によることが出来る。すなわ
ち、この様なポリイン層形成には、例えば、特開平9-24
9404号公報、特開平9-249405号公報、特開平3-44582号
公報、特開昭63-199726号公報、M.Kijima et al. Synth
etic Metals, 86(1997)2279などに開示されている手法
を採用することが出来る。
【0031】ポリイン層に対し光照射を行う場合には、
通常波長300〜1200nm程度、出力0.1〜10mJ/cm2程度、よ
り好ましくは波長400〜800nm程度、出力0.5〜5mJ/cm2
度のレーザー光を使用する。レーザー光の種類は、通常
使用されているものが使用でき、特に制限されるもので
はないが、例えば、Nd:YAGレーザー、Ti:Saレーザー、D
yeレーザー、Dye+SHGレーザー、Ar+レーザー、Kr+レー
ザーなどが挙げられる。
【0032】ポリイン層に対し電子線照射を行う場合に
は、通常10-2〜10-7torr程度の減圧下に、加速電圧1〜2
000kV程度(より好ましくは50〜1000kV程度)で照射を行
う。
【0033】イオンビーム照射を行う場合には、ポリイ
ン層を形成した材料を減圧チェンバー(通常100〜10-4t
orr程度)内に配置し、電離させたHeイオン或いはArイオ
ンを用いて、加速電圧100V〜10kV程度(より好ましくは2
00V〜1kV程度)およびイオン電流0.01〜100mA/cm2程度
(より好ましくは0.1〜10mA/cm2程度)の条件下に照射を
行う。
【0034】ポリイン層に反応エネルギーを付与するた
めに照射を行う場合には、照射源として、レーザー光を
使用することがより好ましい。
【0035】ポリイン層を設けた材料を加熱する場合に
は、通常10-1〜10-6torr程度の減圧下(より好ましくは7
60〜10-3torr程度の圧力下)に100〜2000℃程度(より好
ましくは、200〜1500℃程度)で加熱する。或いは、760
〜10-4torr程度のHe或いはAr雰囲気中100〜2000℃程度
(より好ましくは、200〜1500℃程度)でポリイン層形成
材料の加熱を行っても良い。
【0036】さらに、ポリイン層の処理に際しては、上
記の照射処理の少なくとも1種と加熱処理とを併用して
も良い。
【0037】反応エネルギー供給のために、照射を行う
場合には、レーザー光照射を行うことが好ましい。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、以下のような顕著な効
果が達成される。
【0039】(1)シリコン基板上に薄膜を作りやすいハ
ロゲン化ハイドロカーボンで薄膜を作製し、これを化学
還元して得られるポリイン薄膜を経て、ダイヤモンド薄
膜および/またはカーボンナノチューブ薄膜を作製する
ので、従来にない高結晶性のダイヤモンド薄膜および/
または高配向性のカーボンナノチューブ薄膜が得られ
る。
【0040】(2)ハロゲン化ハイドロカーボンを還元し
てなるポリインを原料として用いることにより、従来技
術とは異なり、金属触媒を用いることなく、カーボンナ
ノチューブを合成できるので、金属を含まない純粋なカ
ーボンナノチューブ薄膜が得られる。
【0041】(3)この様に得られたダイヤモンド薄膜お
よびカーボンナノチューブ薄膜は、理論的に予測される
電子的物性および化学的特性を発揮する。
【0042】(4)得られたダイヤモンド薄膜およびカー
ボンナノチューブ薄膜は、耐磨耗性材料、電子線放出用
エミッター、高指向性放射源、軟X線源、一次元伝導
材、高熱伝導材、その他の電子材料などとしても有用で
ある。
【0043】
【実施例】実施例1 真空蒸着装置において、シリコン基板(1cm×1cm)上にポ
リテトラフルオロエチレンエチレン薄膜を作製した。す
なわち、ポリテトラフルオロエチレンオリゴマー(Mw=10
00-2000)をタングステン加熱ボートにいれ、10-6torrで
ボートを加熱し、蒸着薄膜サンプルを作製した。触針法
による測定で、膜厚は0.2mmであった。
【0044】次いで、ポリテトラフルオロエチレン薄膜
を2電極法で電解還元した。電解還元には、2電極法
(陽極:マグネシウム、陰極:ステンレス鋼)により、
溶媒として支持塩を溶解したテトラヒドロフラン溶液
(LiCl:0.8g,FeCl2:0.48g,THF:30ml)を用いた。すなわ
ち、陽極および陰極を設置したフラスコ内に、上記のポ
リテトラフルオロエチレンを蒸着したシリコン基板サン
プルを溶媒とともに仕込み、攪拌しながら、アルゴン雰
囲気下、0℃で15時間電解還元した。反応中、陽極-陰極
間に25Vの電位を印加した。反応終了後、サンプルをテ
トラヒドロフランで超音波洗浄し、次いで真空乾燥し
た。これにより、ポリテトラフルオロエチレン薄膜は、
ポリインに還元された。ポリインの生成は、ラマンスペ
クトルでカーボン三重結合に起因するバンド(2100cm-1)
が観測されたことにより、確認された。
【0045】次いで、真空電子線照射装置を用いてサン
プルに対し、電子線照射した。すなわち、10-4torrに減
圧した真空チェインバー中で、サンプルを200℃に加熱
しながら、100kVに加速した電子線を20分間照射した。
透過電子顕微鏡により観察した結果、高度に配列したカ
ーボンナノチューブ薄膜の形成が確認できた。
【0046】実施例2 実施例1と同様にして、シリコン基板サンプル表面に形
成されたポリテトラフルオロエチレン薄膜をポリインに
還元した。次いで、このサンプル表面のポリイン薄膜に
減圧下(10-5torr)にレーザー光(Nd:YAG Laser:266nm)を
照射した。透過電子顕微鏡による観察の結果、高度に配
列したカーボンナノチューブ薄膜の形成が確認された。
【0047】本実施例では、レーザー光照射時にサンプ
ルを加熱していないが、実際には、レーザー光照射時に
サンプルの温度は上昇していると推定される。
【0048】実施例3 実施例1と同様にして、シリコン基板サンプル表面に形
成されたポリテトラフルオロエチレン薄膜をポリインに
還元した。次いで、このサンプル表面のポリイン薄膜に
減圧下(10-5torr)にイオンビーム(カウフマン型イオ
ンソース:アルゴンイオンビーム、加速電圧:500 V、イ
オン電流密度:1mA/cm2)を照射した。透過電子顕微鏡に
よる観察の結果、高度に配列したカーボンナノチューブ
薄膜の形成が確認された。
【0049】本実施例では、イオンビーム照射時にサン
プルを加熱していないが、実際には、イオンビーム照射
時にサンプルの温度は上昇していると推定される。
【0050】実施例4 実施例1と同様にして、シリコン基板サンプル表面に形
成されたポリテトラフルオロエチレン薄膜をポリインに
還元した。次いで、このサンプル表面のポリイン薄膜を
アルゴン気流下常圧でゴールドイメージ炉(ULVAC:MR39
H/D)において1700℃で2分間加熱した。透過電子顕微鏡
による観察の結果、高度に配列したカーボンナノチュー
ブ薄膜の形成が確認された。
【0051】実施例5 ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリ
エトキシシランをテトラヒドフランに溶解し、計算量で
単分子層ができる量をシリコン基板(1cm×1cm)上にキ
ャストした。溶媒を乾燥し、除去した後、150℃で1時間
加熱し、反応させて、上記シラン化合物をシリコン基板
表面に固定した。
【0052】次いで、形成されたヘプタデカフルオロ-
1,1,2,2-テトラヒドロデシルシラン薄膜を2電極法で電
解還元した。電解還元には、2電極法(陽極:マグネシ
ウム、陰極:ステンレススチール)により、溶媒として
支持塩を溶解したテトラヒドロフラン溶液(LiCl:0.8g,
FeCl2:0.48g,THF:30ml)を用いた。すなわち、陽極およ
び陰極を設置したフラスコ内に、上記のヘプタデカフル
オロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリエトキシシラン
を固着したシリコン基板サンプルを溶媒とともに仕込
み、攪拌しながら、アルゴン雰囲気下、0℃で15時間電
解還元した。反応中、陽極−陰極間に25Vの電位を印加
した。反応終了後、サンプルをテトラヒドロフランで超
音波洗浄し、次いで真空乾燥した。これにより、ヘプタ
デカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリエトキ
シシラン薄膜は、ポリインに還元された。ポリインの生
成は、ラマンスペクトルでカーボン三重結合に起因する
バンド(2100cm-1)が観測されたことにより、確認され
た。
【0053】次いで、真空電子線照射装置を用いてサン
プルに対し、電子線を照射した。すなわち、10-4torrに
減圧した真空チェインバー中で、サンプルを200℃に加
熱しながら、100kVに加速した電子線を20分間照射し
た。透過電子顕微鏡により観察した結果、高度に配列し
たカーボンナノチューブ薄膜の形成が確認できた。
【0054】実施例6 実施例5と同様にして、シリコン基板サンプル表面のヘ
プタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリエ
トキシシラン薄膜をポリインに還元した。次いで、この
サンプルを減圧下(10-5torr)にレーザー光(Nd:YAG L
aser:266 nm)を照射した。透過電子顕微鏡による観察
により、高度に配列したカーボンナノチューブ薄膜が形
成されたことが確認された。本実施例では、レーザー光
照射時にサンプルを加熱していないが、実際には、レー
ザー光照射時にサンプルの温度は上昇していると推定さ
れる。
【0055】実施例7 実施例5と同様にして、シリコン基板サンプル表面のヘ
プタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリエ
トキシシラン薄膜をポリインに還元した。次いで、この
サンプルを減圧下(10-2torr)にイオンビーム(カウフ
マン型イオンソース: アルゴンイオンビーム、加速電
圧:500V、イオン電流密度:1mA/cm2)を照射した。透過
電子顕微鏡による観察により、高度に配列したカーボン
ナノチューブ薄膜が得られたことが確認された。本実施
例では、イオンビーム照射時にサンプルを加熱していな
いが、実際には、イオンビーム照射時にサンプルの温度
は上昇していると推定される。
【0056】実施例8 実施例5と同様にして、シリコン基板サンプル表面のヘ
プタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシルトリエ
トキシシラン薄膜をポリインに還元した。次いで、この
サンプルをアルゴン気流下常圧でゴールドイメージ炉
( ULVAC: MR39H/D )において1700℃で2分間加熱し
た。透過電子顕微鏡による観察により、高度に配列した
カーボンナノチューブ薄膜が得られたことが確認され
た。また、電子線回折では、ダイヤモンド構造の存在も
認められ、微粒子状のダイヤモンドも同時に生成してい
るものと考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川瀬 昇 京都府京都市下京区中堂寺南町17 関西新 技術研究所材料組織化研究部内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機能性炭素材料薄膜の製造方法において、
    (1)基板表面にハロゲン化ハイドロカーボンを蒸着させ
    るか、或いはアルコキシシリル基を末端に持つフルオロ
    ハイドロカーボンを基板表面に反応・固定させる工程、
    (2)形成されたハロゲン化ハイドロカーボン層を化学還
    元することにより、ポリイン(-(C≡C)n-)層を合成する
    工程、および(3)ポリイン層に光、電子線およびイオン
    ビームの少なくとも1種を照射するか、あるいはポリイ
    ン層を加熱するか、或いはポリイン層を照射および加熱
    することにより、ダイヤモンド薄膜および/またはカー
    ボンナノチューブ薄膜を基板上に形成する工程を備えた
    ことを特徴とする機能性炭素材料薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】照射光として、波長300〜1200nm、出力0.1
    〜10mJ/cm2のレーザー光を用いる請求項1に記載の機能
    性炭素材料の製造法。
  3. 【請求項3】照射光として、波長400〜800nm、出力0.5
    〜5mJ/cm2のレーザー光を用いる請求項2に記載の機能
    性炭素材料の製造法。
  4. 【請求項4】電子線照射を10-2〜10-7torrの減圧下に、
    加速電圧1〜2000KVで行う請求項1に記載の機能性炭素
    材料の製造法。
  5. 【請求項5】電子線照射を10-3〜10-5torrの減圧下に、
    加速電圧1〜2000KVで行う請求項4に記載の機能性炭素
    材料の製造法。
  6. 【請求項6】電子線照射を10-2〜10-7torrの減圧下に、
    加速電圧50〜1000KVで行う請求項4に記載の機能性炭素
    材料の製造法。
  7. 【請求項7】電子線照射を10-3〜10-5torrの減圧下に、
    加速電圧50〜1000KVで行う請求項4に記載の機能性炭素
    材料の製造法
  8. 【請求項8】イオンビーム照射を100〜10-4torrの減圧
    下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用いて、加速
    電圧100V〜10kVおよびイオン電流0.01〜100mA/cm2の条
    件下に行う請求項1に記載の機能性炭素材料の製造法。
  9. 【請求項9】イオンビーム照射を10-1〜10-3torrの減圧
    下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用いて、加速
    電圧100V〜10kVおよびイオン電流0.01〜100mA/cm2の条
    件下に行う請求項8に記載の機能性炭素材料の製造法。
  10. 【請求項10】イオンビーム照射を100〜10-4torrの減
    圧下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用いて、加
    速電圧200V〜1kVおよびイオン電流0.01〜100mA/cm2の条
    件下に行う請求項8に記載の機能性炭素材料の製造法。
  11. 【請求項11】イオンビーム照射を10-1〜10-3torrの減
    圧下に電離させたHeイオン或いはArイオンを用いて、加
    速電圧200V〜1kVおよびイオン電流0.1〜10mA/cm2の条件
    下に行う請求項8に記載の機能性炭素材料の製造法。
  12. 【請求項12】加熱を圧力760〜10-6torrおよび温度100
    〜2000℃の条件下に行う請求項1に記載の機能性炭素材
    料の製造法。
  13. 【請求項13】加熱を圧力10-1〜10-3torrおよび200〜1
    500℃の条件下に行う請求項12に記載の機能性炭素材
    料の製造法。
  14. 【請求項14】加熱を圧力760〜10-4torrのHeまたはAr
    雰囲気中温度100〜2000℃の条件下に行う請求項1に記
    載の機能性炭素材料の製造法。
  15. 【請求項15】加熱を圧力760〜10-4torrのHeまたはAr
    雰囲気中温度200〜1500℃の条件下に行う請求項14に
    記載の機能性炭素材料の製造法。
  16. 【請求項16】ハロゲン化ハイドロカーボンが、フルオ
    ロハイドロカーボンである請求項1に記載の機能性炭素
    材料の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001061719A1 (en) * 2000-02-16 2001-08-23 Fullerene International Corporation Diamond/carbon nanotube structures for efficient electron field emission
GB2384008B (en) * 2001-12-12 2005-07-20 Electrovac Method of synthesising carbon nano tubes

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