JPH11309935A - 印刷装置 - Google Patents

印刷装置

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JPH11309935A
JPH11309935A JP5149199A JP5149199A JPH11309935A JP H11309935 A JPH11309935 A JP H11309935A JP 5149199 A JP5149199 A JP 5149199A JP 5149199 A JP5149199 A JP 5149199A JP H11309935 A JPH11309935 A JP H11309935A
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roller
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JP5149199A
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English (en)
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Hideki Asai
英樹 浅井
Hiromi Omura
広見 大村
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷速度設定キーにより設定された設定印刷
速度ごとにたわみ量が違ったものとなってしまうことに
よる、たわみ量不足でスキューが発生したり、不送りが
発生したり、たわみ量過大で騒音が発生したりする問題
点を解消する。 【解決手段】 版胴1と、版胴1に対して用紙3を介し
て相対的に押し付けられる圧胴20と、版胴1と圧胴2
0との間に用紙3の先端を送り出すレジストローラ対3
3a,33bと、用紙3を1枚ずつ分離してレジストロ
ーラ対33a,33bに向けて用紙3の先端を給送する
給紙ローラ32等を備えた給紙手段と、この給紙ローラ
32を回転するステッピングモータからなる給紙モータ
100と、複数の印刷速度のうちの設定印刷速度に対応
して版胴1を回転するように印刷速度を設定する印刷速
度設定キー96を有し、給紙モータ100は、印刷速度
設定キー96による設定印刷速度値にかかわらず、単一
の回転速度で給紙ローラ32を駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷装置に関し、
マスタを版胴に巻装し、用紙を押圧手段または版胴で押
圧手段または版胴の何れか他方に押し付けて印刷を行う
孔版印刷装置等の印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷装置における給紙機構およびそ
れを用いた用紙の搬送方法の一例について、図24ない
し図29を参照しながら説明する。図24に示すよう
に、孔版印刷装置における給紙装置29’は、エレベー
タ方式の給紙台31と、側板(図示せず)に回転自在に
支持された呼出しローラ30および給紙ローラ32と、
給紙ローラ32に圧接し重送を防止する分離ローラ34
と、用紙3の先端を、多孔性円筒状の版胴1の外周面と
押圧手段としてのプレスローラ40との間へ所定のタイ
ミングで送るレジストローラ対33a,33bと、用紙
3の先端をレジストローラ対33a,33bのニップ部
および版胴1の外周面とプレスローラ40の外周面との
間へ案内する一対のガイド板38’,38’とを有して
いる。なお、給紙ローラ32と分離ローラ34とを総称
して分離ローラ対というときもある。
【0003】給紙台31は、駆動装置(図示せず)によ
り、積載された用紙3の最上位が、常に呼出しローラ3
0に所定の押圧力(用紙3が搬送可能な押圧力)をもっ
て接触するように昇降される。給紙台31の左側には、
給紙台31上に積載された用紙3の先端を突き当て揃え
る給紙前面板35が配設されている。
【0004】給紙ローラ32は、版胴1と同期して回転
するカム(図示せず)と、このカムに係合するカムフォ
ロアを有するセクタギアと、ワンウェイクラッチが組み
込まれ上記セクタギアと噛合する給紙ローラギアとによ
り、時計回り方向に回転される。呼出しローラ30と給
紙ローラ32とは無端ベルト37により連結されてい
て、駆動力伝達関係にある。版胴1は、複数の印刷速度
に対応してその回転速度を変えることが可能なメインモ
ータ(図示せず)により回転されるようになっている。
そして、通常の装置では、複数の印刷速度のうちから印
刷速度を選択して設定する印刷速度設定キー(図示せ
ず)を操作パネル(図示せず)に有していて、上記印刷
速度設定キーにより設定された設定印刷速度に対応して
版胴1等の回転速度を変えて印刷を行うようになってい
る。
【0005】レジストローラ対33a,33bは、分離
ローラ34よりも用紙搬送方向X前方の上記側板に回転
自在に支持されている。レジストローラ対33a,33
bも給紙ローラ32と同様に、版胴1と同期して回転す
る図28および図29に示すカム50と、支軸部51b
の周りに揺動するセクタ51と、セクタ51の一端部に
配設されカム50に係合するカムフォロア53と、セク
タ51の他端部に形成されたセクタギヤ51aと、ワン
ウェイクラッチ52が組み込まれセクタギヤ51aと噛
合するレジストローラギア54とにより、レジストロー
ラ対33a,33bの下方側のレジストローラ33bが
反時計回り方向に回転される。レジストローラ対33
a,33bの用紙送り速度は、版胴1の周速度と同じに
設定されている。以下、上記したようなセクタギヤ51
a等を用いて給紙する方式をセクタギヤ方式という。
【0006】版胴1の下方近傍には、マスタ2を介して
版胴1に接離自在な押圧手段としてのプレスローラ40
が一対のローラアーム41,41の自由端に回転可能に
配設されている。ローラアーム対41,41は、上記側
板に回転可能に支持された支軸42にその基端部を固定
されていて、支軸42端部に取付けられたカム(図示せ
ず)等の駆動部材により版胴1の回転に合わせて自由端
部を揺動されるようになっている。
【0007】版胴1の左下方には、排紙装置43’が配
設されている。排紙装置43’は、インキの付着力によ
り版胴1上のマスタ2に貼り付いた用紙3の先端部を版
胴1の外周面から剥離する揺動自在な剥離爪49と、剥
離爪49により剥離された印刷済みの用紙3を排紙台
(図示せず)に吸着・搬送するための搬送ベルト48
と、搬送ローラ前46等を具備している。
【0008】続いて用紙3の搬送手順について説明す
る。図24に示すように、呼出しローラ30により用紙
3が給送され、給紙ローラ32と分離ローラ34とで用
紙3の重送が防止されて、最上位の1枚の用紙3だけが
レジストローラ対33a,33bに送られる。用紙3の
先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部に衝
突し、さらに搬送されて、図25に示すように上方に所
定量の湾曲たわみ3Aが形成された時点で、給紙ローラ
32と呼出しローラ30との回転が停止する。その後、
図28および図29に示すカム50の作動によって所定
タイミングでレジストローラ対33a,33bが回転
し、図26に示すように用紙3の湾曲たわみ3A(破線
で示す)が消滅する。そして、ワンウェイクラッチ56
の作用により給紙ローラ32と呼出しローラ30とが用
紙3の搬送によって従動回転しながら、用紙3は版胴1
の外周面とプレスローラ40の外周面との間に搬送され
る。レジストローラ対33a,33bの回転によって、
図27に示すように、用紙3の先端部が版胴1の外周面
とプレスローラ40の外周面との間に搬送されると同時
に、プレスローラ40が上昇してきて、プレスローラ4
0が用紙3を版胴1の外周面に押圧することで、周知の
孔版印刷が行われていた。
【0009】また、孔版印刷工程において、用紙の先端
部が版胴に貼り付いたまま剥離爪で剥離できずジャムに
なる、いわゆる「排紙(用紙)の巻き上がり」を防止し
たり、騒音の低減を図ったり、用紙の用紙搬送方向に対
する印刷画像の位置精度(レジスト精度)の向上を図る
目的で、プレスローラに代えて版胴の外径と略同径で、
用紙の先端を挾持しながら版胴と反対方向に版胴の周速
度と略同周速度で回転するいわゆる「紙くわえ圧胴」を
用いて、用紙の先端部を強制的に版胴より剥離しながら
印刷を行なう方式(以下、「紙くわえ圧胴方式」とい
う)も試されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、給紙ロ
ーラ32は、版胴1を回転させる上記メインモータによ
ってベルトやギヤやクラッチ等を介して回転されていた
ので、給紙ローラ32の回転周速度(以下、「送り速
度」というときがある)は、上記印刷速度設定キーによ
り設定された設定印刷速度により、あるいは上記ベルト
の経時変化による伸びや上記ギヤのバックラッシュ等に
より、絶えず変動する印刷速度に依存していたことにな
り、その変動する印刷速度ごとに上記した湾曲たわみ3
Aのたわみ量が違ったものとなってしまう。これによっ
て、従来装置ではたわみ量不足でスキューが発生した
り、不送りが発生したり、あるいはたわみ量過大で騒音
が発生したりするという問題点があった。
【0011】したがって、本発明は上述したような問題
点を解決するためになされたものであり、請求項ごとの
目的を挙げれば次のとおりである。請求項1記載の発明
の目的は、印刷速度設定手段による印刷速度の設定値に
かかわらず、あるいはベルトの経時変化による伸びやギ
ヤのバックラッシュ等により絶えず変動する印刷速度に
依存することなく、単一の回転速度で給紙ローラ等の給
紙手段を駆動することによって、安定したたわみ量を形
成して、スキューや不送りを低減すると共に静音化を図
ることにある。
【0012】請求項2記載の発明の目的は、請求項1記
載の発明の目的に加えて、給紙駆動手段をステッピング
モータで構成することにより、給紙ローラ等の給紙手段
の回転方向を規制する機械式部品を不要として安価です
み、給紙手段を駆動する駆動系を版胴と押圧手段(プレ
スローラや圧胴等)とを駆動するメインモータに対して
独立させて駆動系の負荷を低減すると共に、メインモー
タのパワーをさらに小さくして安価に製作できる印刷装
置を提供することにある。
【0013】請求項3記載の発明の目的は、請求項1ま
たは2記載の発明の目的に加えて、レジストローラと給
紙手段との間の用紙搬送路に用紙の先端を検知する用紙
先端検知手段を配設すると共に、その用紙先端検知手段
からの信号に基づき、用紙の先端をレジストローラに突
き当てて所定のたわみを形成するように給紙駆動手段を
制御する給紙駆動制御手段を備えることにより、紙質や
紙厚等が相違するものを使用することにより給紙手段に
対する用紙の摩擦係数が異なったり、あるいはたとえ紙
質や紙厚等が同じ紙種のものを使用していても、温・湿
度等の環境条件の変化に伴う搬送条件の変化(例えば給
紙ローラと用紙との間の摩擦係数の変化や用紙の変形状
態)により、あるいは給紙ローラが摩耗・消耗したり紙
粉等により汚れたり経時的に劣化することによって、用
紙のスリップ量等が大きくなった時における用紙の先端
位置の認識を用紙先端検知手段で検知することによっ
て、さらに安定したたわみ量を形成して、スキューや不
送りの発生を防止すると共にさらなる静音化を図ること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、請求項1記載の発明は、製版されたマスタを外
周面に巻き付け複数の印刷速度に対応してその回転速度
が可変な版胴と、この版胴に対して用紙を介して相対的
に押し付けられる押圧手段と、上記版胴と上記押圧手段
との間に上記用紙の先端を送り出すレジストローラと、
上記レジストローラに向けて上記用紙の先端を給送する
給紙手段と、この給紙手段を回転する給紙駆動手段とを
具備する印刷装置において、上記複数の印刷速度のうち
の設定印刷速度に対応して上記版胴を回転するように印
刷速度を設定する印刷速度設定手段を有し、上記給紙駆
動手段は、上記印刷速度設定手段による印刷速度の設定
値にかかわらず、単一の回転速度で上記給紙手段を駆動
することを特徴とする。
【0015】押圧手段としては、版胴よりもその外径が
小さく版胴の外周面に対して接離自在なプレスローラ、
および版胴の外径と略同径の圧胴により版胴に対して圧
胴を相対的に押し付けて印刷を行う手段等が挙げられ
る。ここで、「版胴の外径と略同径の圧胴」とは、版胴
の外径寸法が圧胴の外径寸法と同じであるものの他、設
計上の寸法公差範囲内にある場合も含む。「版胴に対し
て圧胴を相対的に押し付けて印刷を行う」方式には、版
胴に対して圧胴を押し付けて印刷を行う圧胴接離方式
と、圧胴に対して版胴を押し付けて印刷を行う版胴接離
方式と、それらの併用方式とがある。圧胴接離方式の具
体例としては、後述する発明の実施の形態における圧胴
およびその接離手段が挙げられる。一方、版胴接離方式
には、版胴が圧胴側へ移動(版胴内部のインキローラが
圧胴側へ突出するタイプも含む)して印刷を行う周知の
ものが挙げられる。
【0016】給紙手段としては、後述する実施形態で説
明する呼出しローラ、給紙ローラおよび分離ローラから
なるものの他、例えば特公平5−32296号公報記載
の紙捌きローラ(分離コロを兼ねる給紙コロに相当)、
あるいは呼出しローラ、分離ローラおよび分離パッドか
らなるもの等を含む。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の印
刷装置において、上記給紙駆動手段がステッピングモー
タからなることを特徴とする。
【0018】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の印刷装置において、上記レジストローラと上記給
紙手段との間の用紙搬送路に配設され、上記用紙の先端
を検知する用紙先端検知手段と、上記用紙先端検知手段
からの信号に基づき、上記用紙の先端を上記レジストロ
ーラに突き当てて所定のたわみを形成するように上記給
紙駆動手段を制御する給紙駆動制御手段とを有すること
を特徴とする。用紙先端検知手段の具体例としては、必
要な検知動作の安定化を図れ、安価であるという点から
反射型の光学センサが好ましく用いられ、さらなる検知
動作の安定化および信頼性向上(誤動作の防止)という
点からは透過型の光学センサ(フォトインタラプタ型の
フォトセンサ)および遮光部材を用いてもよい。検知動
作の安定化および信頼性をそれ程望まなくてもよいので
あれば、機械的接点を有するマイクロスイッチ等を用い
てもよい。給紙駆動制御手段の具体例としては、マイク
ロコンピュータやマイクロプロセッサ等が好ましく用い
られるが、電気・電子回路等からなる制御回路のような
ものであってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、本発明の課
題および上記諸不具合を解決することができる実施例を
含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」とい
う)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能およ
び形状等を有する構成部品等については、同一符号を付
すことによりその説明をできるだけ省略する。図におい
て一対で構成されていて特別に区別して説明する必要が
ない構成部品は、説明の簡明化を図る上から、その片方
を適宜記載することでその説明に代えるものとする。
【0020】なお、後述する実施形態には、従来から存
在していた次に述べるような不具合を解消するための新
規な技術が含まれているので、ここで、その主要な不具
合内容を述べておく。 (1)用紙3が、図26に示す状態から図27に示す状
態に搬送される際、ワンウェイクラッチ56の作用によ
り給紙ローラ32と呼出しローラ30とが用紙3の搬送
によって従動回転しているとはいえ、用紙3への負荷と
なる。さらには、分離ローラ34は回転しないため、こ
れも用紙3への負荷となり、用紙3の搬送に対する負荷
が大きくなってしまう。この結果、用紙3の先端が自由
なので、用紙3はレジストローラ対33a,33bのニ
ップ部の間で滑ってしまい、用紙搬送方向Xの位置精度
(レジスト精度ともいう)がばらついてしまうという不
具合があった。 (2)用紙3の搬送の際には、図24に示したように、
用紙3の先端をレジストローラ対33a,33bのニッ
プ部で一度停止させるために、レジストローラ対33
a,33bの間には図示を省略したスプリングにより圧
をかけてある。そして、次の用紙3が搬送されてくるま
で、レジストローラ対33a,33bの回転を停止させ
ておかなければならないため、セクタギヤ51aが往復
運動後にレジストローラ対33a,33bがすぐ回転停
止するように、駆動側である下方のレジストローラ33
bの駆動機構にブレーキをかけるようになっている。セ
クタギヤ51aを動かすカム50は、版胴1側のメイン
モータから駆動力を得ており、上記したようにレジスト
ローラ対33a,33bには常にブレーキがかかってい
る状態なので、メインモータへの負荷が増大してしま
い、メインモータのパワーを大きいものにしなくてはい
けないという不具合があった。
【0021】(3)紙くわえ圧胴方式を用いた従来の印
刷装置においては、例えば本願出願人が提案した特開平
9−216448号公報の図1ないし図5等に示した孔
版印刷装置のように、版胴と圧胴との間の回転駆動伝達
系が多くの構成部品からなる天地調整機構を介している
こと、およびメインモータに連結された長い経路の回転
駆動伝達系となっていることのために、せっかく紙くわ
え圧胴方式を採用しても、天地調整機構のギヤ列のバッ
クラッシュあるいはタイミングベルトの緩みや伸びによ
って、紙くわえクランパ(用紙クランパあるいはくわえ
爪とも呼ばれており、以下、「用紙クランパ」という)
に対するレジストローラ対33a,33bからの用紙3
の搬送タイミングが若干ずれてしまい、用紙3の巻き上
がりとなってしまう不具合があった。
【0022】上述した不具合を解消する新規な技術に
は、次の技術構成を有するものが含まれている。第1の
技術構成は、製版されたマスタを外周面に巻き付ける版
胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段
を備え上記版胴の外径と略同径の圧胴と、該保持手段に
向けて上記用紙の先端を送り出すレジストローラとを有
し、上記版胴に対して上記圧胴を相対的に押し付けて印
刷を行う印刷装置において、上記保持手段に対して上記
用紙の先端を給送するタイミングを制御するための、上
記圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するエン
コーダセンサを備えたパルスエンコーダと、上記レジス
トローラを回転するレジストローラ駆動手段と、上記圧
胴と上記レジストローラとの間の用紙搬送路に配設さ
れ、上記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段と、上
記用紙先端検知手段からの信号に基づき、上記レジスト
ローラにおける上記用紙の滑りを補償すべく上記レジス
トローラ駆動手段を制御した後、上記エンコーダセンサ
からの出力パルス信号に基づき、上記保持手段の回転位
置にタイミングを合わせて上記用紙の先端を給送すべく
上記レジストローラ駆動手段を制御するレジストローラ
駆動制御手段とを具備するものである。パルスエンコー
ダとしては、回転速度変動の検出が可能な相対的な回転
量を検出するインクリメンタル型と、回転速度変動の検
出と位置の検出とが可能な絶対的な回転量を検出するア
ブソリュート型とがある。請求項1記載のパルスエンコ
ーダは、圧胴における少なくとも回転速度変動を検知す
るので、インクリメンタル型およびアブソリュート型の
両方を含む。また、パルスエンコーダとしては、その検
出性能の安定化および信頼性を上げるという点からはフ
ォトエンコーダが好ましいが、これを望まなくてもよい
のであれば磁気式エンコーダ等であってもよい。なお、
上記パルスエンコーダは、上記圧胴側に配設することが
より好ましく、この場合の「圧胴側」とは、圧胴接離方
式にあっては、圧胴自体もしくは版胴に対しての圧胴の
変位動作と共に実質的に同期して変位する部材も含む圧
胴の側をいう。また、版胴接離方式にあっては、圧胴自
体もしくは圧胴近傍の装置本体側をも含む圧胴側をい
う。また、上記パルスエンコーダは、圧胴と同期回転さ
れる版胴を回転駆動するメインモータや版胴側に配設し
てもよい。
【0023】第2の技術構成は、上記第1の技術構成に
おいて、上記レジストローラ駆動手段が、ステッピング
モータからなり、上記レジストローラ駆動制御手段は、
上記レジストローラ駆動手段へ出力される少なくとも駆
動パルス数を変えることにより上記レジストローラ駆動
手段を制御するものである。第3の技術構成は、上記第
2の技術構成において、上記レジストローラ駆動制御手
段は、上記用紙の滑り補償後、上記エンコーダセンサか
らの出力パルス信号に応じながら、さらに上記パルス幅
を変えることにより、上記レジストローラ駆動手段をフ
ィードバック制御するものである。
【0024】第4の技術構成は、上記第1または2の技
術構成において、上記エンコーダセンサからの出力パル
ス信号の出力開始時点と、上記レジストローラ駆動手段
が駆動開始される駆動開始時点との間に遅れ時間を設
け、上記用紙の種類に応じて上記遅れ時間を変えるべく
上記駆動開始時点を可変するレジストローラ駆動開始可
変手段を具備するものである。第5の技術構成は、上記
第1,2または3の技術構成において、上記保持手段に
対して上記用紙の先端を給送するタイミングをとるため
のタイミング検知手段を上記圧胴側に配設したものであ
る。第6の技術構成は、上記第5の技術構成において、
上記タイミング検知手段からのオン出力信号の出力開始
時点と、上記レジストローラ駆動手段が駆動開始される
駆動開始時点との間に遅れ時間を設け、上記用紙の種類
に応じて上記遅れ時間を変えるべく上記駆動開始時点を
可変するレジストローラ駆動開始可変手段を具備するも
のである。第7の技術構成は、上記第4または6の技術
構成において、上記レジストローラ駆動制御手段は、上
記レジストローラ駆動開始可変手段の機能を具備するも
のである。ここで、上記第4または6の技術構成におい
て、遅れ時間の設定方式には、時間による設定方式やエ
ンコーダセンサを備えたエンコーダによる圧胴の回転位
置検知を利用した設定方式がある。レジストローラ駆動
制御手段をマイクロコンピュータで構成したような場合
には、そのマイクロコンピュータに内蔵されているタイ
マにより遅れ時間を設定・計時することもできる。それ
故に、レジストローラ駆動制御手段をマイクロコンピュ
ータで構成したような場合には、そのマイクロコンピュ
ータに内蔵されているROM(読み出し専用記憶装置)
あるいは外部記憶装置に予め記憶されている用紙の種類
に応じた遅れ時間をCPU(中央処理装置)が適宜選択
・抽出することにより、レジストローラ駆動開始可変手
段の機能構成を兼ねることが可能となる。
【0025】第8の技術構成は、上記第4,6または7
の技術構成において、上記用紙の種類を設定する用紙種
類設定手段を具備するものである。第9の技術構成は、
上記第4,6または7の技術構成において、上記用紙の
種類を検知する用紙種類検知手段を具備するものであ
る。第10の技術構成は、上記第1ないし9の何れか一
つに記載の技術構成において、上記圧胴側に配設され、
上記レジストローラに対して上記用紙の先端を給送する
タイミングをとるための給紙タイミング検知手段を具備
するものである。第11の技術構成は、上記第10の技
術構成において、上記用紙を1枚ずつ分離して上記レジ
ストローラに向けて上記用紙の先端を給送する給紙手段
と、上記給紙手段を回転する給紙駆動手段と、上記給紙
タイミング検知手段からの信号に基づき、上記用紙の先
端を上記レジストローラに対して給送すべく上記給紙駆
動手段を制御する給紙駆動制御手段とを具備するもので
ある。
【0026】(実施形態1)以下、本発明の第1の実施
形態(以下、単に「実施形態1」という)について説明
する。図1に印刷装置の一例としての孔版印刷装置を示
す。この孔版印刷装置は、製版されたマスタ2を外周面
に巻き付ける円筒状の版胴1と、版胴1の右方に配設さ
れマスタ2を製版し搬送する製版書込み装置19と、版
胴1の内部に配設され版胴1上のマスタ2にインキを供
給するインキ供給装置22と、版胴1の下方に配設され
給送されて来た用紙3の先端部を挾持・保持する保持手
段としての用紙クランパ21を備え、版胴1の外周面上
のマスタ2に用紙3を押し付ける押圧手段としての圧胴
20と、圧胴20の右方に配設され用紙3の先端を圧胴
20の用紙クランパ21に向けて給送する給紙装置29
と、圧胴20の左方に配設された排紙装置43とを具備
している。
【0027】版胴1は、図1、図4および図9に示すよ
うに、多孔構造の円筒体とその外周面に巻装された複数
層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、軸パイ
プ11の周りに回転可能に支持されている。版胴1は、
複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが
可能なようにメインモータ60を含む駆動系を介して回
転される。このメインモータ60は、例えばDCモータ
からなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達し
ないようになされているので従来のメインモータよりも
小型化されている。
【0028】図1において、メインモータ60の出力軸
60aには、エンコーダ61が取り付けられている。エ
ンコーダ61は、インクリメンタル型のフォトロータリ
エンコーダからなる。エンコーダ61近傍の装置本体に
は、エンコーダ61を所定の間隔をもって挾み付ける発
光部および受光部を具備した透過型の光学センサからな
るセンサ62が配設されている。メインモータ60の回
転駆動によるエンコーダ61の回転動作に協働して発生
された所定のパルスをセンサ62で検出することによ
り、版胴1の回転速度が検出されるようになっている。
これにより、メインモータ60を介して版胴1の回転速
度の制御がなされるようになっている。
【0029】版胴1の外周面には、製版書込み装置19
で穿孔・製版されたマスタ2の先端部を挾持するマスタ
クランパ12が配置されている。マスタクランパ12
は、円筒体の外周面の母線に沿って設けられた強磁性体
よりなるステージ(図示せず)に対向し、マスタクラン
パ軸12aを介して回動可能に支持されていて、上記ス
テージと対向する面に磁石を貼着されて構成されてい
る。マスタクランパ12は、版胴1が所定の回転位置を
占めたときに、開閉装置(図示せず)により駆動力を伝
達されて開閉される。
【0030】版胴1における図4の奥側の端板1aに対
向した装置本体側の所定位置には、版胴1のマスタクラ
ンパ軸12aが真下に位置する図10(a)に示すホー
ムポジション(同図にH・Pの略称を付してある)を占
めたときに、そのホームポジションを検知するためのホ
ームポジションセンサ72が設けられている。ホームポ
ジションセンサ72は、発光部および受光部を具備した
透過型の光学センサからなる。版胴1の奥側の端板1a
には、ホームポジションセンサ72と選択的に係合する
遮光板73が外側に突出して設けられている。
【0031】製版書込み装置19は、芯管10aにロー
ル状に巻かれて形成されたマスタロール10からマスタ
2を繰り出し可能に支持する支持軸10bと、マスタ2
を搬送するプラテンローラ9と、プラテンローラ9に対
して接離自在に設けられたサーマルヘッド17と、プラ
テンローラ9の下流側に設けられ、マスタ2を切断する
上下一対のカッタ部材4と、マスタ2の先端をマスタク
ランパ12へ向けて送り出す給版ローラ対5a,5bと
から主に構成されている。
【0032】プラテンローラ9は、その軸を回転自在に
支持されており、パルスモータ6により所定の周速度で
回転駆動され、マスタ2をサーマルヘッド17に押圧し
ながら搬送する。サーマルヘッド17は、マスタ2の幅
方向に1列に配列された複数の発熱素子を有し、周知の
接離機構(図示せず)によって、プラテンローラ9に接
離自在に設けられている。サーマルヘッド17は、図示
しない原稿を読み取る原稿読み取り部のA/D変換部お
よび製版制御部で処理されて送出されるデジタル画像信
号に基づきマスタ2を選択的に加熱穿孔し、穿孔画像を
形成する機能を有する。上方のカッタ部材4は、カッタ
駆動モータ7で回転される偏心カム8により上下動さ
れ、マスタ2を切断する。
【0033】インキ供給装置22は、版胴1と同方向に
同期して回転し、版胴1の内周面にインキを供給するイ
ンキローラ13と、インキローラ13と僅かな間隙を置
いて平行に配置され、インキローラ13との間にインキ
溜り16を形成するドクターローラ15と、インキ溜り
16へインキを供給する軸パイプ11とを有している。
インキローラ13、ドクターローラ15は、軸パイプ1
1に固定された側板にそれぞれ回転自在に支持されてい
る。インキ溜り16からインキローラ13の外周面に供
給されたインキは、版胴1とインキローラ13の外周面
とに僅かに隙間を設けているために、版胴1の内周面に
供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキ
パックからインキポンプにより圧送され、軸パイプ11
の供給穴よりインキ溜り16へ供給される。
【0034】本実施形態1では、従来の技術でも述べた
ように、用紙3に対する印刷レジスト精度の向上、画像
濃度の安定および印刷時の静音化を図る目的で押圧手段
として用紙クランパ21を備えた圧胴20を用いてい
る。圧胴20は、図9に示すように、その外径寸法D
(直径)を版胴1の外径寸法D(直径)と等しく形成さ
れていて、版胴1が1回転したとき、圧胴20も1回転
する。このため、図9に示すように、給送されて来た用
紙3の先端部を挾持する用紙クランパ21を圧胴20上
に設けることができ、用紙3の先端を用紙クランパ21
に突き当てながら給紙することで、用紙3に対する印刷
レジスト精度を向上することができる。圧胴20の大き
さは、実施例的にいうと外径寸法D=180mm、その
長さ300mmのものを採用している。
【0035】また、図9にで示す圧胴20における用
紙クランパ21の回転位置(以下、「用紙くわえ位置」
というときがある)で、用紙3の先端を用紙クランパ2
1に突き当てた後、用紙クランパ21が閉じることで、
用紙3の先端部が用紙クランパ21により挾持・保持さ
れる。次いで、圧胴20における用紙クランパ21の回
転位置が、→→へと順次推移することで、の回
転位置(以下、「用紙排出位置」というときがある)で
用紙クランパ21が開き、インキが用紙3に転写される
の回転位置よりすぎた位置で用紙3の先端部が排出さ
れるので、用紙3がインキの粘着力により版胴1に巻き
上がらないという利点もある。
【0036】圧胴20の両端部の端板20bは、図1、
図2および図6等に示すように、圧胴軸23に固定支持
されている。圧胴20の両端板20bの外側には、軸受
支持部25cおよびベアリングからなるカムフォロア2
7をそれぞれ有する一対のアーム25a,25bが配設
されている。これらのアーム対25a、25bには、圧
胴軸23が圧胴軸23の両端部に装着された軸受23A
を介してそれぞれ回転可能に支持されている。これによ
り、圧胴20は、その圧胴軸23の両端部が各軸受23
Aを介して軸受支持部25cにそれぞれ回転可能に支持
されていることにより、回転自在となっている。アーム
対25a,25bの一方のアーム25aの一端は、装置
本体に配設された一対の片方の側板(図示せず)に固定
された支点軸24aに軸受(図示せず)を介して支持さ
れており、他方のアーム25bの一端は、上記他方の側
板に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持された支
点軸24bにより支持されている。両支点軸24a,2
4bは、アーム対25a,25bに対して同軸上に配設
されている。
【0037】他方のアーム25bに回転可能に支持され
た支点軸24bの内側端部側には、圧胴20に回転を伝
える駆動ギア(図示せず)が固定されていて、アーム2
5b側の圧胴軸23には上記駆動ギアに噛み合う圧胴ギ
ア(図示せず)が固定されている。支点軸24bの外側
端部側には、版胴1の回転力を伝える歯付の圧胴側プー
リ(図示せず)が固定されていて、この圧胴側プーリと
版胴1の奥側の端板1aに取付けられた歯付の版胴側プ
ーリとの間には、歯付ベルト(図示せず)が巻き掛けら
れている。一方、版胴1の奥側の端板1aには、上記版
胴側プーリと同軸的に別のプーリが取付けられている。
これにより、メインモータ60の回転力が上記歯付ベル
トを介して上記別のプーリに伝達され、順次、上記版胴
側プーリ、上記歯付ベルト、上記圧胴側プーリ、上記駆
動ギヤ、上記圧胴ギヤと伝達されることによって、圧胴
20は、版胴1との押圧位置が同じとなるように、か
つ、版胴1の周速度と同じ周速度で反時計回り方向に回
転される。
【0038】圧胴20の外周部には、版胴1の外周面に
接触する円筒部と、版胴1におけるマスタクランパ12
との衝突を避けるためにD字状にくぼんだ凹部20aと
が形成されている。圧胴20は実施例的にいうと、その
本体部分には合成樹脂が使用されていて軽量化を図って
いると共に、上記円筒部の外周にはニトリルゴムが巻着
されていて圧胴20の回転ムラを低減している。圧胴2
0の凹部20aには、用紙3の先端部を挾持・保持する
用紙クランパ21が設けられている。用紙クランパ21
にはマグネットを用いたクランプ方式が採用されている
と共に、用紙クランパ21は、凹部20aに配置された
用紙クランパ軸21aにその基端部を固定されていて、
スプリング21Aにより常に閉じる向きに付勢されてい
る。用紙クランパ21は、図示を省略したカムにより所
定のタイミングで開き、用紙3の先端部をくわえた後閉
じることで、圧胴20の外周面上に用紙3が保持され
る。用紙3が普通紙や薄紙等の場合には、用紙クランパ
21によりその用紙3の先端から約2mm位までの用紙
2の先端部がくわえられることによって、用紙3が圧胴
20の外周面上に保持される。一方、用紙3が厚紙等の
場合には、クランプ時における用紙3の腰の強さが大き
いことに伴うクランプ反力によって用紙クランパ21が
完全に閉じられずに、その用紙クランパ21の先端部が
版胴1の外周面上のマスタ2や上記メッシュスクリーン
に当たってインキが飛び散ったりすることを防止するた
めに、用紙3の先端部をくわえないで用紙3を回転搬送
するように制御される。
【0039】圧胴20は、後述する接離手段により、版
胴1の外周面に対して接離自在に構成されている。接離
手段は、支点軸24a、24bを中心として圧胴20を
搖動するアーム対25a,25bと、アーム対25a,
25bの他端にそれぞれ回転自在に支持された一対のカ
ムフォロア27,27と、アーム対25a,25bを版
胴1に向けて付勢する一対の印圧スプリング26a,2
6bと、一対のカムフォロア27,27に選択的にそれ
ぞれ当接する一対のカム(図示せず)とから主に構成さ
れる。
【0040】上記一対のカムは、図示を省略した歯付ベ
ルトで版胴1とメインモータ60とに連結されていて、
版胴1の回転と同期して回転するようになされている。
上記一対のカムは、版胴1におけるマスタクランパ12
配設部位を除く所定の印刷開孔領域に対して圧胴20に
おける凹部20aを除く外周部が押圧するように、その
輪郭周面が一対のカムフォロア27,27に摺接するよ
うに形成されている。用紙3の搬送ミス時や製版時にお
いては、圧胴20側の装置本体に配設された圧解除ソレ
ノイド(図示せず)等を具備した印圧解除機構の作動に
よって、上記一対のカムと一対のカムフォロア27,2
7とが摺接しないように印圧解除をすることで、版胴1
と圧胴20とが押圧されずに圧胴20が版胴1から離間
するようになされており、搬送ミス等がない時に用紙3
を保持した圧胴20が一対の印圧スプリング26a,2
6bにより版胴1の外周面に押圧されるようになってい
る。上記のとおり、圧胴20は、上記印圧解除機構の作
動および上記一対のカムの回転動作によって、支点軸2
4a、24bを中心として、版胴1に押圧した位置と、
版胴1から離間した位置とに接離される。
【0041】印圧スプリング26a,26bは、圧胴2
0を版胴1に押圧する印圧力を発生させている。圧胴2
0の版胴1に対する押圧力を均一に働かせるために、圧
胴20の両端にあるアーム対25a,25bの1つ1つ
に印圧スプリング26a,26bをそれぞれ取り付けて
ある。なお、上記したメインモータ60を備えた駆動系
および上記接離手段等の詳細構成は、例えば特開平9−
216448号公報の図1ないし図5等に示されている
ものと同じものを用いている。
【0042】版胴1の左側には排版装置18が配設され
ており、この排版装置18は、すでに版胴1に巻装され
ている使用済みのマスタ2を版胴1の外周面から剥離
し、収納する。圧胴20の左側近傍には、排紙装置43
が配置されている。排紙装置43は、図24等に示した
従来の排紙装置43’に対して、剥離爪49に代えて、
印刷された用紙3を剥離・案内する排紙爪44を有する
ことのみ相違する。排紙装置43は、排紙爪44と、排
紙爪44で剥離・案内された用紙3を搬送する、搬送ロ
ーラ前46と搬送ローラ後47との間に張設された搬送
ベルト48と、吸引ファン(図示せず)とから構成され
ている。搬送ベルト48は、モータ等により版胴1の周
速度よりも速い搬送速度で駆動されるように設定されて
いる。排紙装置43の左側には、排出された用紙3を積
載する排紙台45が設けられている。
【0043】圧胴20の右方には、給紙装置29が配置
されている。給紙装置29は、図24等に示した従来の
給紙装置29’に対して、図1および図5に示すよう
に、従来の給紙ローラ32の駆動方式であるセクタギヤ
方式に代えて、メインモータ60の回転駆動力とは独立
した給紙モータ100で回転される給紙ローラ独立駆動
方式としたこと、レジストローラ対33a,33bの従
来の駆動方式であるセクタギヤ方式に代えて、メインモ
ータ60の回転駆動力とは独立したレジストモータ10
2で回転されるレジストローラ独立駆動方式としたこ
と、一対のガイド板38’,38’に代えて、圧胴20
の用紙クランパ21に用紙3の先端を案内する一対のガ
イド板38,38を有すること、給紙ローラ32とレジ
ストローラ対33a,33bとの間の用紙搬送路Rに配
設され、用紙3の先端を検知する用紙先端検知手段とし
ての用紙先端センサ70を有すること、および圧胴20
とレジストローラ対33a,33bとの間の用紙搬送路
Rに配設され、用紙3の先端を検知する用紙先端検知手
段としてのレジストセンサ71を有することが主に相違
する。
【0044】用紙3を1枚ずつ分離してレジストローラ
対33a,33bに向けて用紙3の先端を給送する給紙
手段は、ピックアップローラあるいはピックアップコロ
とも呼ばれている上記した呼出しローラ30、給紙ロー
ラ32および分離ローラ34から構成されている。
【0045】給紙モータ100は、ステッピングモータ
からなり、図7に示す印刷速度設定キー96により選択
・設定された印刷速度の設定値にかかわらず、単一の回
転速度で給紙ローラ32を回転駆動する給紙駆動手段と
しての機能を有する。給紙モータ100は、実施例的に
言うと、後述する制御装置110により、最高速の印刷
速度である120枚/min:120rpmに対応した
一定の送り速度で呼出しローラ30および給紙ローラ3
2を回転するように回転駆動される。給紙モータ100
は、給紙モータ100の出力軸に設けられた駆動プーリ
と給紙ローラ32の軸に設けられた給紙プーリとの間に
掛け渡された歯付の無端ベルト101を介して、給紙ロ
ーラ32に連結されている。これにより、給紙ローラ3
2は、給紙モータ100の回転駆動によって、時計回り
方向に回転される。給紙ローラ32および呼出しローラ
30の各軸には、ワンウェイクラッチ(図示せず)がそ
れぞれ組み込まれていて、給紙ローラ32および呼出し
ローラ30は時計回り方向のみに回転するようになって
いる。
【0046】レジストモータ102は、ステッピングモ
ータからなり、レジストローラ33bを回転するレジス
トローラ駆動手段としての機能を有する。レジストモー
タ102は、レジストモータ102の出力軸に設けられ
た駆動プーリとレジストローラ33bの軸に設けられた
レジストプーリとの間に掛け渡された歯付の無端ベルト
103を介して、レジストローラ33bに連結されてい
る。
【0047】図5に示すように、上側のレジストローラ
33aは、薄紙のシワを低減する目的でローラ軸33c
に一体的に取り付けられた3個のこま切れ状ローラから
なり、上方のガイド板38に形成された5つの開口部3
8aのうちの中央部の3つの開口部38aに適宜の隙間
をもって挿入されている。レジストローラ33aは、図
示を省略したレジストローラ上下機構を介して5個のこ
ま切れ状ローラからなるレジストローラ33b(図5に
は図示せず)に接離自在に配設されている。
【0048】用紙先端センサ70は、実施例的にいう
と、図1および図5に示すように、ローラ軸33cの中
心から用紙搬送方向Xの上流側に19mm遡った位置の
上側のガイド板38に取り付けられている。同様に、レ
ジストセンサ71は、実施例的にいうと、ローラ軸33
cの中心から用紙搬送方向Xの下流側に19mm下った
位置の上側のガイド板38に取り付けられている。これ
らのセンサ70,71は、発光部および受光部を具備し
た反射型の光学センサからなる。上側のガイド板38に
は上記発光部からの出射光および用紙3の先端表面から
の反射光を通す開口部(図示せず)が開けられている。
【0049】用紙先端センサ70は、用紙3の先端を検
知することにより、上記給紙手段を含む用紙搬送方向X
の上流側で発生した用紙3のジャムを検知するジャム検
知機能を有する他、レジストローラ対33a,33bの
ニップ部に用紙3の先端を突き当てて湾曲たわみを形成
する時のたわみ量調整の一部の機能を有している。
【0050】レジストセンサ71は、用紙3の先端を検
知することにより、レジストローラ対33a,33bを
含む用紙搬送方向Xの上流側で発生した用紙3のジャム
を検知するジャム検知機能を有する。
【0051】上記レジストローラ上下機構は、その一端
がローラ軸33cの両端に取り付けられローラ軸33c
を揺動自在に支持する一対のローラアーム33d,33
dと、各ローラアーム33d,33dの他端に取り付け
られ所定角度回動自在な揺動支軸36と、揺動支軸36
の奥側端部に取り付けられたベアリングを備えた圧解除
カムフォロア(図示せず)と、装置本体側に設けられ上
記圧解除カムフォロアに摺接するレジストローラ開閉カ
ム(図示せず)と、上側のレジストローラ33aを下側
のレジストローラ33bに圧接する向きに付勢するスプ
リング(図示せず)とから構成されている。なお、レジ
ストローラ開閉カムの回転駆動力は、版胴1を回転する
メインモータ60の回転駆動力からギヤ等の回転伝達部
材を介して得ているが、従来の技術で述べたようにメイ
ンモータ60の負荷をさらに減らしたいのであれば、機
械式の上記レジストローラ上下機構に代えてソレノイド
やステッピングモータ等の電気式駆動力により制御する
ようにしてもよい。
【0052】ここで、用紙3の搬送時(給紙工程時)に
おいて、版胴1および圧胴20の各回転位置を次のとお
り表すものとする。すなわち、図10(a),(b)に
おいて、版胴1の回転位置を、図10(a)に示す版胴
1のホームポジションから版胴1の時計回り方向に回転
したときのなす角度θをもって表し、圧胴20の回転位
置を、図10(a)に示すように、版胴20の凹部20
aが版胴1のマスタクランパ12と対向して直上に位置
する圧胴20のホームポジションから圧胴20の反時計
回り方向に回転したときになす角度θ’をもって表わす
ものとする。なお、版胴1および圧胴20は、各ホーム
ポジションを占めたときに装置本体から着脱可能となっ
ている。
【0053】上記レジストローラ上下機構の動作を前も
って説明しておく。上側のレジストローラ33aが下側
のレジストローラ33bに圧接するレジスト圧オンのタ
イミングは、実施例的にいうと、版胴1が回転位置θ=
257.5°を占めたときにオンし、版胴1が回転位置
θ=57.5°(417.5°)を占めたときにオンか
らオフ(レジスト圧解除)に切り替えられるようになっ
ている。用紙3の先端部が圧胴20の用紙クランパ21
にくわえられた後、上記レジストローラ開閉カムが回転
して同開閉カムの凸部に上記圧解除カムフォロアの上記
ベアリングが摺接・位置することとなり、これにより上
記スプリングの付勢力に抗して上側のレジストローラ3
3aを持ち上げ、上側のレジストローラ33aを下側の
レジストローラ33bから離間させる。この離間動作
は、上記レジストローラ開閉カムの凸部と上記圧解除カ
ムフォロアの上記ベアリングとの摺接係合時間によっ
て、用紙3の後端がレジストローラ対33a,33bの
隙間を完全に抜けるまで継続するように設定されてい
る。
【0054】図1ないし図8を参照して、本実施形態1
における孔版印刷装置の給紙制御に係る制御構成を説明
する。図1および図2に示すように、圧胴20における
奥側の端板20bの外側壁には、遮光板105と遮光板
106とが圧胴20の同周方向に所定の間隔をおいてそ
れぞれネジで取り付けられている。各遮光板105,1
06は、例えばステンレススチール等の板金や適宜の合
成樹脂でできていて、正面視および側面視でL字形をな
し、その先端が奥側に突出して成形されている。
【0055】一方、アーム25bの内側には、図1、図
2および図6に示すように、遮光板105および遮光板
106が取り付けられている圧胴20の同円周上に対向
して給紙開始センサ104がセンサブラケット107を
介してネジ124で取り付けられている。給紙開始セン
サ104は、発光部および受光部を具備する周知の透過
型の光学センサである。
【0056】遮光板105と給紙開始センサ104と
は、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位
置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられて
いて、レジストローラ対33a,33bに対して用紙3
の先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミン
グ検知手段としての機能を有する。圧胴20の上記所定
の回転位置は、換言すれば遮光板105の圧胴20の端
板20bへの取り付け位置は、実施例的にいうと、図1
0(b)に示すように、圧胴20が反時計回り方向に
θ’=194°に回転した位置で給紙開始センサ104
がオンするように設定されている。この時には、前述し
たように、上記レジストローラ上下機構が離間動作する
ことにより、上側のレジストローラ33aが下側のレジ
ストローラ33bから離間されレジストローラ対33
a,33bの間に上記隙間が形成されている状態にあ
り、上記スプリングの付勢力によるレジストローラ対3
3a,33bの圧接力が用紙3にかからないようになっ
ている。
【0057】遮光板106と給紙開始センサ104と
は、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位
置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられて
いて、圧胴20の用紙クランパ21に向けて用紙3の先
端の給送を開始するタイミングをとるためのタイミング
検知手段としての機能を有する。圧胴20の上記所定の
回転位置は、換言すれば遮光板106の圧胴20の端板
20bへの取り付け位置は、実施例的にいうと、圧胴2
0が反時計回り方向にθ’=307°に回転した位置で
給紙開始センサ104がオンするように設定されてい
る。
【0058】図1ないし図3等に示すように、圧胴20
における奥側の端板20bには、2個のスペーサ123
を介して、エンコーダ120がネジ124で取り付けら
れている。エンコーダ120は、本実施形態1ではイン
クリメンタル型のフォトエンコーダであり、多数のスリ
ットが外周部に放射状に並べられた1チャンネルのフォ
トエンコーダである。一方、エンコーダ120の近傍に
おけるアーム25bの内側には、図1、図3および図6
に示すように、エンコーダセンサ121がエンコーダ1
20の外周部を所定の間隔をもって挟むようにしてセン
サブラケット107を介してネジ124で取り付けられ
ている。これらのエンコーダ120とエンコーダセンサ
121とは、圧胴20の用紙クランパ21に対して用紙
3の先端を給送するタイミングを制御するための、圧胴
20における回転速度変動を検知するパルスエンコーダ
の機能を有している。なお、エンコーダ120の外径の
大きさは、図2および図3に示すように圧胴20の外径
と同じであり、図1および図13ないし図17等では図
を見やすくするために小さ目に描いている。また、エン
コーダセンサ121の図示は、上記と同様の趣旨から図
2では省略すると共に、図1、図3および図13ないし
図17等ではセンサブラケット107を省略して簡略的
に描いている。
【0059】次に、図7を参照して操作パネル90の細
部構成を説明する。この操作パネル90上には、原稿画
像の画像読み取りから給版に至る各動作の起動を設定・
入力する製版スタートキー91と、印刷枚数等を設定・
入力するテンキー93と、このテンキー93で設定・入
力された印刷枚数の印刷動作の起動を行う印刷スタート
キー92と、用紙3の種類を設定するための用紙種類設
定手段としての紙種入力キー94と、紙種入力キー94
で選択的に設定された用紙3の種類(以下、「紙種」と
いうときがある)または後述する用紙3の種類を自動的
に検知するための用紙種類検知手段としての紙種検知セ
ンサ75(図19に示す)により検出された紙種を表示
するための紙種表示用のLED(発光ダイオード)から
なるランプ群95と、印刷速度の設定値としての印刷速
度レベル1〜5の5段階の印刷速度の中から1つの印刷
速度を選択的に設定するための印刷速度設定手段として
の速度ダウンキー96aおよび速度アップキー96bか
らなる印刷速度設定キー96と、速度ダウンキー96a
または速度アップキー96bにより設定された設定印刷
速度を表示するためのLEDランプ群からなる速度表示
器97等が配置されている。
【0060】ランプ群95は、この例では3グループの
うちの何れか一つの紙種が選択されていることを表示す
る3つのランプ、すなわち、普通紙が選択されているこ
とを表示するランプ95a、厚紙が選択されていること
を表示するランプ95b、および薄紙が選択されている
ことを表示するランプ95cからなる。紙種入力キー9
4を1回押すとランプ95aが点灯し、同キー94を2
回押すとランプ95bが、同キー94を3回押すとラン
プ95cが点灯するというように、紙種入力キー94を
1回押すごとに順次ランプの点灯が切り替わり、ユーザ
やオペレータが設定した紙種がまたは紙種検知センサ7
5により検知された紙種が選択されていることを表示す
るようになっている。
【0061】ハッチングを施した「設定印刷速度:3
速」は、通常使用される印刷速度に対応した標準印刷速
度であって、速度ダウンキー96aまたは速度アップキ
ー96bを押下しなかった場合に自動的に設定されるよ
うになっている。ここで、例えば「設定印刷速度:1
速」は印刷速度が最低速の60枚/min:60rpm
に、「設定印刷速度:2速」は印刷速度が75枚/mi
n:75rpmに、「設定印刷速度:3速」は印刷速度
が90枚/min:90rpmに、「設定印刷速度:4
速」は印刷速度が105枚/min:105rpmに、
「設定印刷速度:5速」は印刷速度が最高速の120枚
/min:120rpmにそれぞれ対応して設定されて
いる。
【0062】速度表示器97は、速度ダウンキー96a
または速度アップキー96bの1回ごとの押下により、
上記印刷速度を1から5までの5段階の設定印刷速度
(以下単に「設定印刷速度:1速〜5速」というときが
ある)に、切り換えられる印刷速度を点灯表示する。速
度ダウンキー96aまたは速度アップキー96bは、速
度表示器97の近傍に配置されていて、1回押下するご
とに、設定印刷速度:1速〜5速の何れか1つの設定印
刷速度に対応した各LEDランプの点灯を順次切り換え
る機能も有しており、これにより、オペレータが選択し
た設定印刷速度が速度表示器97にて目視確認できるよ
うになっている。
【0063】図8において、符号110は、本実施形態
1における孔版印刷装置の給紙制御を行うための制御装
置を示す。制御装置110は、図示を省略した、CPU
(中央処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM
(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記
憶装置)およびタイマ等を備え、それらが信号バスによ
って接続された構成を有するマイクロコンピュータを具
備している。
【0064】制御装置110の上記CPU(以下、説明
の簡明化を図るため、単に「制御装置110」というと
きがある)は、上記入力ポートを介して、用紙先端セン
サ70と電気的に接続されていて、用紙先端センサ70
から給紙モータ100を回転させて所定の湾曲たわみを
作るための出力信号を受信する。
【0065】制御装置110は、上記入力ポートを介し
て、レジストセンサ71と電気的に接続されていて、レ
ジストセンサ71からレジストローラ対33a,33b
における用紙3の滑り補償のための出力信号を受信す
る。
【0066】制御装置110は、上記入力ポートを介し
て、給紙開始センサ104と電気的に接続されていて、
給紙開始センサ104から給紙モータ100およびレジ
ストモータ102を回転駆動するための出力信号(スタ
ート信号)を受信する。
【0067】制御装置110は、上記入力ポートを介し
て、エンコーダセンサ121と電気的に接続されてい
て、エンコーダセンサ121から圧胴20の回転速度変
動に係る出力パルス信号を受信する。
【0068】制御装置110は、上記出力ポートを介し
て、給紙モータ100に電気的に接続されていて、遮光
板105と給紙開始センサ104との係合による給紙開
始センサ104からの出力信号(スタート信号)に基づ
き、用紙3の先端をレジストローラ対33a,33bに
対して給送すべく、印刷速度設定キー96による設定印
刷速度値にかかわらず、単一の回転速度で給紙ローラ3
2を駆動するように給紙モータ100を起動制御すると
共に、用紙先端センサ70からの信号に基づき、用紙3
の先端をレジストローラ対33a,33bのニップ部に
突き当てて所定のたわみを形成するように給紙モータ1
00を制御する給紙駆動制御手段としての機能を有す
る。制御装置110は、実施例的に言うと、単一の回転
速度として、最高速の印刷速度である120枚/mi
n:120rpmに対応した用紙送り速度で呼出しロー
ラ30および給紙ローラ32を駆動するように給紙モー
タ100を制御する。
【0069】制御装置110は、上記出力ポートを介し
て、レジストモータ102に電気的に接続されていて、
遮光板106と給紙開始センサ104との係合による給
紙開始センサ104からのオン出力信号(スタート信
号)に基づき、用紙クランパ21の用紙くわえ位置にタ
イミングを合わせて用紙3の先端を給送すべくレジスト
モータ102を起動制御した後、レジストセンサ71か
らの出力信号に基づき、レジストローラ対33a,33
bにおける用紙3の滑りを補償(以下、単に「スリップ
量補正」というときがある)すべくレジストローラ対3
3a,33bの回転速度を速めると共に回転量を増加す
るようにレジストモータ102を制御するレジストロー
ラ駆動制御手段としての機能を有する。この時、制御装
置110は、レジストモータ102へ出力される駆動パ
ルス数およびそのパルス幅を変えることにより、レジス
トモータ102を制御する。さらに、制御装置110
は、用紙3のスリップ量補正後、エンコーダセンサ12
1からの出力パルス信号に応じながら、さらに駆動パル
ス幅を変えることにより、レジストモータ102をフィ
ードバック制御するレジストローラ駆動制御手段として
の機能を有する。
【0070】制御装置110内の上記ROMには、前も
って実験等により求められた図11に示すタイミングチ
ャートの制御動作内容および図12に示すレジストモー
タ102に出力する駆動パルスの可変制御内容が予め記
憶されている。上記ROMには、用紙先端センサ70か
らレジストローラ対33a,33bのニップ部までの一
定の距離を給紙モータ100のパルス数に換算した値が
データとして予め記憶されている。また、レジストロー
ラ対33a,33bのニップ部から圧胴20と版胴1と
のニップ部までの一定の距離をレジストモータ102の
パルス数に換算した値がデータとして予め記憶されてい
る。
【0071】制御装置110内の上記RAMは、上記C
PUでの計算結果を一時記憶したり、各センサ70,7
1,104あるいはエンコーダセンサ121からの出力
信号や出力パルス信号を随時記憶したりしてこれら信号
の入出力を行う。制御装置110内の上記タイマは、図
11に示す各遅れ時間Da,Dbを設定したり計時・可
変する機能を有する。なお、図8に示した制御ブロック
図には、操作パネル90に設けられている各種キー9
1,92,93,96等の制御構成要素や上記した各装
置駆動部の制御対象構成要素は省略しており、本実施形
態1の給紙制御に係る主要な制御構成要素および制御対
象構成要素を図示している。
【0072】上述のように構成された孔版印刷装置の動
作について説明する。原稿読み取り部に原稿がセットさ
れ、製版スタートキー91が押されることにより、ホー
ムポジションを占めていた版胴1が回転し、使用済みの
マスタが版胴1の外周面から排版装置18により剥離さ
れ廃棄される。その後、版胴1は、マスタクランパ12
が図1において略右横に位置する給版位置を占めた位置
で停止し、マスタクランパ軸12aが回動されて、マス
タクランパ12が開かれ、給版待機状態となる。
【0073】次いで、製版書込み装置19のパルスモー
タ6が駆動されることにより、プラテンローラ9が回転
され始め、マスタ2が繰り出されつつ搬送される。一
方、原稿読み取り部においてスキャナ(図示せず)が作
動することにより、原稿の画像が読み取られ、上記A/
D変換部および上記製版制御部で処理されて送出される
デジタル画像信号によって、サーマルヘッド17の発熱
素子が選択的に発熱され、マスタ2が画像情報に応じて
選択的に加熱穿孔され始める。
【0074】マスタ2が、プラテンローラ9の回転によ
り搬送され、マスタ2の先端部が、給版待機状態で拡開
しているマスタクランパ12へ向けて送出される。パル
スモータ6のステップ数がある設定値に達すると、マス
タクランパ軸12aが回動されることでマスタクランパ
12が閉じられて、製版済みのマスタ2の先端部がマス
タクランパ12に挾持される。
【0075】このクランプ動作と同時に版胴1と圧胴2
0とが、マスタ2の搬送速度と略同じ周速度で回転さ
れ、版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が巻装されて
いく。版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が所定長さ
巻装されると、版胴1、圧胴20、プラテンローラ9の
回転が停止する。この停止動作と同時に、カッタ駆動モ
ータ7が回転されて偏心カム8が上方のカッタ部材4を
下降させ、マスタ2を切断する。そして版胴1が再び時
計回り方向に回転され、切断されたマスタ2の後端(図
示せず)が、製版書込み装置19から引き出され、版胴
1の外周面に製版済みのマスタ2が完全に巻き取られ
る。
【0076】続いて、図1ないし図20を参照して用紙
3の搬送手順について説明する。まず、図18のステッ
プS1で、給紙開始可能状態であるか否かが判断され
る。すなわち、図1において、版胴1内のインキ供給装
置22により印刷が可能となる適度なインキ溜り16が
形成され、製版スタートキー91を押下することで、印
刷可能状態にあるかどうかが判断される。ここで、印刷
可能状態となっていれば、ステップS2に進む。
【0077】圧胴20が、図11(a)および図13に
示すように、反時計回り方向に回転し、その圧胴20の
回転位置でθ’=194°を占めたとき、遮光板105
が給紙開始センサ104を通過することにより、そのオ
ン出力信号が制御装置110に入力され、このオン出力
信号入力時から一定の遅れ時間(以下、「ディレイ」と
言い替えるときがある)Daを経過した後、給紙モータ
100が回転駆動される。これにより、給紙ローラ32
は単一の一定の回転速度に対応する駆動パルスによって
時計回り方向に回転されると同時に、呼出しローラ30
の同方向の回転により用紙3が給送され、給紙ローラ3
2と分離ローラ34とで用紙3の重送が防止されて、最
上位の1枚の用紙3だけがレジストローラ対33a,3
3bに向けて送られる。この時、給紙モータ100は、
実施例的に言うと、制御装置110からの指令により、
呼出しローラ30および給紙ローラ32が最高速の印刷
速度である120枚/min:120rpmに対応した
一定の送り速度(搬送速度一定)で用紙3の先端を搬送
するように制御される(ステップ2〜ステップ4参
照)。
【0078】そして、図11(b)に示すように、給紙
ローラ32から用紙搬送方向Xの下流側にXamm下っ
た部位に位置する用紙先端センサ70によって、用紙3
の先端が検知されると、用紙先端センサ70がオンし、
そのオン出力信号が制御装置110に入力される。
【0079】このときの用紙3の送り量は、図14に示
すように、用紙3の先端がレジストローラ対33a,3
3bのニップ部(正確に言うとニップ部直前の部位であ
る)に衝突して所定量の湾曲たわみ3Aが形成されるよ
うに、制御装置110からの指令により、所定の駆動パ
ルスが上記モータ駆動回路を介して給紙モータ100に
出力されることによってXcmmだけ用紙3を送り出す
ようになっている(たわみ量調整)。これにより、用紙
3の先端が図14に示すように上方に所定量の湾曲たわ
み3Aが形成された時点で、給紙モータ100の回転が
停止されることにより、給紙ローラ32と呼出しローラ
30とが停止する。この所定量の湾曲たわみ3Aは、レ
ジストローラ対33a,33bの回転による用紙3のス
キュー、不送りを発生することなく、かつ、たわみ量が
適正で静音化を図れる一定の範囲内に予め実験等で設定
されている。
【0080】用紙3の送り量Xcは、実施例的にいう
と、レジストローラ対33a,33bのニップ部と用紙
先端センサ70との間の用紙搬送路R上の距離19mm
に+6mmを加えた送り量(給紙モータ100のパルス
数に換算すると、給紙モータ100が回転し始めてから
322パルスに相当し、用紙先端センサ70がオン後、
80パルスに相当する。但し、1パルス当たりその送り
量が0.314mmに相当する。)となるように設定さ
れている。制御装置110では、上記送り量に対応して
給紙モータ100を制御するように、上記送り量に対応
したステップ数に変換する計算を行い、給紙モータ10
0に指令信号を送出することで、所定の湾曲たわみ3A
が形成されるだけ用紙3が給紙ローラ32の回転により
送られる(図18のステップS5、図19のステップS
7、ステップS8参照)。一方、ステップS5において
用紙先端センサ70がオンせず、給紙モータ100が回
転し始めてから400パルスに相当する分以上回転した
ときには、制御装置110は給紙不送り等のジャムが発
生したと判断し、用紙搬送動作を終了する(図8のステ
ップS5およびステップS6参照)。
【0081】このような制御装置110による特有のた
わみ量調整によって、用紙3の先端が一定の送り速度で
レジストローラ対33a,33bのニップ部に衝突し、
かつ、所定量の湾曲たわみ3Aを形成する一定の用紙3
の送り量となるように給紙モータ100が制御されるの
で、印刷速度設定キー96による設定印刷速度値に関係
なく安定したたわみ量調整を行うことができる。
【0082】ここで、上記一定のディレイDaとして
は、最大用紙長さ447mmの後端が給紙前面板35を
抜け切るのが圧胴20の回転位置でθ’=約200°で
あり、このときの余裕度を考慮して圧胴20の回転角度
で約10°以上に設定することが望ましい。このよう
に、遮光板105との係合による給紙開始センサ104
のオン出力信号の出力開始時点と、給紙モータ100が
駆動開始される駆動開始時点との間に所定のディレイD
aを設けたことにより、マシン間のバラツキの補正をし
やすくしたり、ソフトウェア的に制御をしやすい利点が
ある。また、ディレイDaは、圧胴20の回転位置θ’
=194°における給紙開始センサ104のオンをトリ
ガにして、給紙モータ100の動作タイミングを作る上
で有益である。
【0083】次いで、図11(a)および図15に示す
ように、圧胴20がさらに反時計回り方向に回転し、そ
の回転位置θ’=307°を占めたとき、遮光板106
が給紙開始センサ104を通過することにより、そのオ
ン出力信号が制御装置110に入力され、このオン出力
信号入力時から一定のディレイDbを経過した後、レジ
ストモータ102と同時に給紙モータ100がそれぞれ
回転駆動される。これにより、レジストローラ33bが
反時計回り方向に回転され、圧胴20の用紙クランパ2
1に向けて用紙3の先端の給送を開始し、給紙ローラ3
2を同時に低速で少しの間回転させる(給紙モータ10
0の回転数で30パルスの駆動パルス分に相当する)こ
とで用紙3の湾曲たわみ3Aが急激に消滅するときに生
じる騒音を低減している(図19のフローチャートでは
(レジストローラ部のタワミ張音消し)と記載してい
る)。給紙モータ100は、30パルス回転した後、停
止する。この時、制御装置110からの指令により、図
19のステップS11に示すように、レジストローラ対
33a,33bから送り出された用紙3の先端がレジス
トセンサ71がオンし、用紙3のスリップ量を補正する
までは、レジストモータ102が理論値で回転駆動、す
なわち、レジストローラ33bが圧胴20の周速度va
よりも大きい圧胴20の周速度va(もしくは線速度v
a)の1.4倍の用紙搬送速度で用紙3の先端を送り出
すようにレジストモータ102が制御される(ステップ
S9〜ステップS14参照)。上記したディレイDb
は、圧胴20の回転位置θ’=307°における給紙開
始センサ104のオンをトリガにして、レジストモータ
102の動作タイミングを作る上で有益である。
【0084】レジストローラ対33a,33bの回転に
より、図11(c)に示すように、用紙3の先端がレジ
ストローラ対33a,33bのニップ部に突き当たって
いる位置から、Xbmm(実施例的には19mmに相当
する)分だけ用紙搬送方向Xの下流側に搬送されると、
レジストセンサ71がオンし、そのオン出力信号が制御
装置110に入力される(図20のステップ15参
照)。この時、レジストローラ対33a,33bのニッ
プにおける用紙3の突き当て位置からレジストセンサ7
1取り付け位置までの距離は一定であるため、レジスト
モータ102の駆動パルスカウントは一定のはずである
が、特にレジストローラ対33a,33bの回転初期は
用紙3のスリップ(以下、単に「スリップ」というとき
がある)が発生しやすい。このため、レジストセンサ7
1がオンするまでの駆動パルスカウントは、1枚ごとに
変わる可能性がある。そこで、制御装置110は、レジ
ストセンサ71がオンするまでの駆動パルスカウントか
ら、用紙3の遅れを判断し、その後のレジストモータ1
02の回転速度を速めると共にその回転量を増加させて
スリップ量補正をしている。
【0085】換言すれば、制御装置110は、レジスト
モータ102の回転駆動により用紙3を搬送してレジス
トセンサ71をオンさせるのに要した駆動パルス数のカ
ウントを行い、レジストモータ102に対して、用紙3
の先端をXdmm相当搬送させるための駆動パルスを上
記モータ駆動回路を介して出力するように制御したもの
として、レジストローラ対33a,33bにおける用紙
3のスリップ量=(Xd−Xb)mmに応じて、レジス
トモータ102の回転量を増加させるべく駆動パルス数
を増加させる共に、併せてレジストモータ102の回転
速度(pps)を速めるべく駆動パルス幅を狭くするよ
うに調節するスリップ量補正を行う。
【0086】これをさらに例示的に説明すると以下のと
おりである。上記したように、レジストセンサ71とレ
ジストローラ対33a,33bのニップ部までの用紙搬
送路R上の距離は、一定で予め決めらている。よって、
この距離に対応した分用紙3を搬送すべくレジストロー
ラ33bを回転させるためのレジストモータ102の駆
動パルス数も一定である。しかしながら、レジストロー
ラ33bが回転し始めるときは、図15に示すように、
レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位
に用紙3の先端を突き当てているだけで、きちんと用紙
3の先端部をくわえ込んでいないため、その回転初期時
にはスリップが発生しやすくなる。そこで、そのスリッ
プ分を補償するために、用紙3のスリップした分だけ、
圧胴20の用紙クランパ21に対して用紙3の送り量を
多くしてやったり、またスリップの大きさによってはそ
の送り速度を速めたりする。また例えば、紙質を変える
ことで、レジストローラ33bが回転してから所定の駆
動パルス数になっても、レジストセンサ71がオンせ
ず、用紙3がスリップした場合には、制御装置110で
は、レジストセンサ71が実際にオンした駆動パルス数
から所定の駆動パルス数のその差分だけ多く送るように
レジストモータ102に指令信号を送出するのである。
これと併せて、レジストモータ102の回転速度を速め
るべく駆動パルス幅を狭くするのである。
【0087】このスリップ量補正の制御は、図12に示
すように、制御装置110は、レジストモータ102へ
出力される駆動パルス数(p1〜p4)およびそのパルス
幅(t1〜t4)を共に変えることにより、レジストモー
タ102を制御することで行われる(図20のステップ
S15およびステップS17参照)。一方、ステップS
15において、制御装置110は、レジストセンサ71
がオンせず、レジストモータ102が回転駆動し始めて
から駆動パルス数80に相当する80ステップ以上回転
したと認識したときには、圧胴20の用紙クランパ21
に用紙3の先端が届かずジャムしたと判断して、用紙搬
送動作を終了するようになっている(ステップS16参
照)。
【0088】上記したスリップ量補正終了後、制御装置
110は、エンコーダセンサ121からの出力パルス信
号を取り込みつつこれに応じながら、用紙クランパ21
の用紙くわえ位置にタイミングを合わせて用紙3の先端
を給送すべくレジストモータ102を制御する、いわゆ
るフィードバック制御(図11(a)では符号FBCで
表されている)を行う。
【0089】上述したように、レジストモータ102が
1パルスで用紙3を送る用紙送り量と、エンコーダ12
0の1パルス幅に対応する圧胴20の外周移動量とは、
同じに設定されている。これにより、例えば、制御装置
110は、圧胴20に固定されたエンコーダ120の1
パルス幅に要する時間を制御装置110内の上記タイマ
で検出し、圧胴20側の負荷変動等によりレジストモー
タ102の1パルスに要する時間が長くなった場合、レ
ジストモータ102を減速する。これと反対に、制御装
置110は、レジストモータ102の1パルスに要する
時間が短くなった場合、レジストモータ102を増速し
てやるというフィードバック制御FBCを行っている。
【0090】換言すれば、制御装置110は、圧胴20
の負荷変動等に伴う回転ムラとして圧胴20の周速度v
aをエンコーダセンサ121で検知されるパルス変動で
常に追跡し、このパルス変動に追従して、レジストモー
タ102の回転速度を可変制御するという上記パルスエ
ンコーダを用いたフィードバック制御FBCを行ってい
る。この時、圧胴20の回転位置の検出は、エンコーダ
センサ121で検知されるパルス数で検出し、圧胴20
の周速度vaの検出は、エンコーダセンサ121で検知
される周期時間tで検出する。制御装置110は、図1
2に示すように、レジストモータ102へ出力される駆
動パルス幅(t1〜t4)をさらに変えることにより、レ
ジストモータ102をフィードバック制御FBCし、レ
ジストずれを少なくして印刷レジスト精度の向上を図っ
ている。なお、圧胴20は、メインモータ60からの駆
動によって設定印刷速度値に応じた回転速度(周速度)
で回転している。用紙3は、圧胴20の周速度vaの
1.4倍の送り速度で搬送され、圧胴20の用紙クラン
パ21が閉じようとしたとき、用紙クランパ21に追い
つく(ステップ18参照)。
【0091】用紙3の先端の位置は、レジストローラ対
33a,33bでの回転初期のスリップも考慮してレジ
ストセンサ102がオンすることで把握することがで
き、また圧胴20の用紙クランパ21の位置は、圧胴2
0がその回転位置θ’=307°を占めたときに、圧胴
20の端板20bに固定されている遮光板106が給紙
開始センサ104を通過することによりオンしたところ
からエンコーダ120をエンコーダセンサ121でオン
信号を読み込むことで把握することができる。これらの
2つの位置を制御装置110が把握し、認識すること
で、用紙3の先端が圧胴20の用紙クランパ21に追い
ついたかどうかが分かる。
【0092】圧胴20の用紙クランパ21は、図11
(a)に示す所定のタイミング(実施例的には圧胴20
が回転位置θ’=350.5°を占めたとき)で開く。
上記したような制御装置110によるエンコーダ・フィ
ードバック制御FBC下において、レジストローラ33
bが反時計回り方向に回転されることにより、上のレジ
ストローラ33aが用紙3を介して時計回り方向に従動
回転されることによって、図16に示すように、用紙3
の湾曲たわみ3A(破線で示す)が消滅する。このと
き、各ワンウェイクラッチの作用により、給紙ローラ3
2と呼出しローラ30とが用紙3の搬送によって従動回
転しながら、用紙3の先端が圧胴20の用紙クランパ2
1に向けて搬送され、用紙クランパ21に突き当たり衝
突する。
【0093】このタイミングに合わせ、圧胴20の用紙
クランパ21は、図11(a)および図16ないし図1
7に示すように、用紙3の先端部をくわえ・挾持した
後、用紙クランパ21は閉じられる(実施例的にいう
と、圧胴20が回転位置10°(370°)を占めたと
き)。用紙クランパ21が搬送されて来た用紙3の先端
部をくわえてからは、圧胴20における用紙クランパ2
1が図16に示す位置よりも少し反時計回り方向に回転
した位置において、上方に湾曲したたわみ(図示せず)
が生成されるように、レジストモータ102の回転速度
が制御される。上記たわみは、圧胴20の用紙クランパ
21が閉じる前にレジストモータ102が必要以上に回
転した時のステップ数と、用紙クランパ21が閉じた後
にレジストモータ102の回転速度が1.4×vaから
1.03×vaにスローダウンした時のレジストモータ
102のステップ数とで生成される。用紙3の先端部の
上記たわみは、大きすぎると用紙3の先端部に折れが発
生したり、これとは逆に上記たわみが全然ないと用紙3
への負荷となることにより、用紙クランパ21から用紙
3の先端が抜けてしまうことがある。したがって、用紙
クランパ21により用紙3の先端部がくわえられた後に
おいて、用紙3の確実な搬送をするためにはある程度の
上記たわみが必要となる。そして、用紙3の先端部の上
記たわみの大きさをばらつかないようにするために、用
紙3の先端が圧胴20の用紙クランパ21に追いつく直
前に理論値(=線速×1.4であり、va×1.4でも
ある)に戻してから追いつかせるようにして、それから
レジストモータ102の回転速度をスローダウンする。
このようにすることで、レジストモータ102の回転速
度をいつも同じ速度からスローダウンするので、上記た
わみの大きさを毎回の通紙毎に同じ大きさに維持するこ
とができる。
【0094】用紙クランパ21により用紙3の先端部が
くわえられた後から印圧開始以降においては、制御装置
110からの指令により、用紙3の先端が用紙クランパ
21に当接・保持されてから用紙クランパ21とレジス
トローラ対33a,33bとの間に形成される用紙3の
先端部の上記たわみが版胴1上のマスタ2に接触しない
程度となるように、かつ、用紙3の先端部が用紙クラン
パ21から抜けないようにするために、圧胴20の周速
度vaよりもやや大きく、かつ、va×1.4よりも小
さい用紙搬送速度である1.03×va(mm/s)で
用紙3を送り出すようにレジストモータ102を制御す
る。この時、制御装置110は、自身内の上記タイマに
よりエンコーダセンサ121で検知された1スリット当
たりの時間を測定し、次の(1)式を用いてレジストモ
ータ102の駆動パルス数に変換する。
【0095】tx/4×1.03…(1) txは上記タイマにより測定される1スリット当たりの
時間である。こうして圧胴20は、用紙3を圧胴20の
外周面に保持したまま回転し、用紙3の先端部が版胴1
の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送される。版胴
1の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送された用紙
3に対して、図17に示すように、上記接離手段の印圧
スプリング26a,26bにより圧胴20が版胴1の外
周面に押圧する上向きに揺動変位されることでニップ部
が形成されると共に、圧胴20の外周面が用紙3を版胴
1の外周面に対して押圧(図11(a)では圧胴20の
印圧オンで示されている)する。
【0096】こうして、圧胴20の外周面の押圧によっ
て、回転する版胴1の外周面に巻装された製版済みのマ
スタ2に用紙3が連続的に押圧されることにより、製版
済みのマスタ2が版胴1の外周面に密着すると共に、版
胴1の開孔部分から製版済みのマスタ2の穿孔部分へと
インキが滲み出てきて用紙3の表面に転移され、孔版印
刷が行われる。
【0097】このとき、インキローラ13も版胴1の回
転方向と同一方向に回転する。インキ溜り16のインキ
は、インキローラ13の回転によりインキローラ13の
表面に付着され、インキローラ13とドクターローラ1
5との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の
内周面に供給される。
【0098】この間も、制御装置110により、上記し
たパルスエンコーダ・フィードバック制御FBCが行わ
れている。そして、制御装置110により、上記ROM
に記憶された分だけレジストモータ102が回転駆動さ
れた(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=75°
(435°)を占めるまで)と判断されると、レジスト
モータ102の回転が停止し、制御装置110によるフ
ィードバック制御FBCが終了する(図20のステップ
S19〜ステップS21参照)。
【0099】圧胴20がさらに回転し、排紙爪44の手
前の用紙排出位置(実施例的には圧胴20が回転位置
θ’=81.2°(441.2°)を占める位置であ
り、図11(a)には図示せず)で用紙クランパ21が
開放されると、印刷された用紙3が排紙爪44により剥
離され、搬送ベルト48で搬送されて排紙台45上に排
出積載される。こうして、製版済みのマスタ2にインキ
を充填する所謂版付けが行われると共に、版胴1が圧胴
20から離間して初期状態に復帰し、印刷待機状態とな
る。
【0100】印刷終了後、オペレーターは排出された印
刷物を目視して、印刷画像品質の確認や印刷画像位置の
確認等を行い、これらがオーケーであれば、テンキー9
3で印刷枚数を設定し、印刷スタートキー92を押下す
ることにより、給紙、印刷および排紙の各工程が設定し
た印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が
終了する。
【0101】ここで、上記したように遮光板106と給
紙開始センサ104とが係合することにより生じるオン
出力信号の出力開始時点と、レジストモータ102が駆
動開始される駆動開始時点との間に設けた一定のディレ
イDbは、後述する変形例1,2で利用されるものの
他、マシン間のバラツキの補正をしやすくしたり、ソフ
トウェア的に制御をしやすくしたりするのに利用するこ
とができる。
【0102】したがって、本実施形態1によれば、上述
したことから下記の諸利点を得ることができる。第1
に、レジストローラ対33a,33bに対して用紙3の
先端を給送するタイミングをとるための遮光板105お
よび給紙開始センサ104を圧胴20側に配設し、制御
装置110のメインモータ60とは独立して配設された
ステッピングモータからなる給紙モータ100により給
紙ローラ32を一定の回転速度で回転させながら、用紙
先端センサ70を用いたたわみ量調整を行うことによっ
て、印刷速度設定キー96による設定印刷速度値に関係
なく安定したたわみ量を調整することができる。これに
より、スキューおよび不送りの低減、ならびに静音化が
図れる。
【0103】第2に、紙質や紙厚等が相違するものを使
用することによりレジストローラ対33a,33bに対
する用紙3の摩擦係数が異なったり、あるいはたとえ紙
質や紙厚等が同じ紙種のものを使用していても、温・湿
度等の環境条件の変化に伴う搬送条件の変化(例えばレ
ジストローラ対33a,33bと用紙3との間の摩擦係
数の変化や用紙3の変形状態)により、あるいはレジス
トローラ対33a,33bが摩耗・消耗したり紙粉等に
より汚れたり経時的に劣化することによって、用紙3の
スリップ量が大きくなった時(この用紙3のスリップは
レジストローラ対33a,33bの回転により用紙3の
先端部が搬送され始める時が最も大きい)における用紙
3の先端位置の認識をレジストセンサ71で検知するこ
とができる。用紙クランパ21に対して用紙3の先端を
給送するタイミングをとるための遮光板106および給
紙開始センサ104を圧胴20側に配設すると共に、制
御装置110がレジストセンサ71からの信号に基づき
スリップ量補正を行うと共に、パルスエンコーダ(エン
コーダ120およびエンコーダセンサ121)によりレ
ジストモータ102をフィードバック制御FBCするこ
とによって、用紙3の先端部が用紙クランパ21に正確
かつ確実に挾持されるような安定した紙くわえを実現
し、用紙3の巻き上がり等をさらに確実に防止すると共
に、用紙クランパ21に対して給送するタイミングの安
定化および信頼性の向上を図ることができ、ひいてはレ
ジスト精度を一層向上することができる。
【0104】第3に、レジストローラ対33a,33b
を駆動する駆動系を版胴1と圧胴20とを駆動する上記
メインモータ60に対して独立させて駆動系の負荷を低
減すると共に、上記メインモータ60のパワーを小さく
して安価に製作できる。
【0105】第4に、レジストローラ駆動手段をステッ
ピングモータからなるレジストモータ102で構成した
ことにより、レジストローラ対33a,33bのブレー
キや回転方向を規制する機械式部品を不要として安価で
すみ、制御装置のプログラムが簡素化できると共に、演
算処理を速くしてフィードバック制御FBCの追従精度
を高くすることができる。
【0106】第5に、給紙駆動手段をステッピングモー
タからなる給紙モータ100で構成したことにより、給
紙ローラ32の回転方向を規制する機械式部品を不要と
して安価ですみ、また給紙ローラ32および呼出しロー
ラ30を駆動する駆動系を版胴1と圧胴20とを駆動す
る上記メインモータ60に対して独立させて駆動系の負
荷を低減すると共に、上記メインモータ60のパワーを
さらに小さくして安価に製作できる。
【0107】第6に、用紙3の先端部を用紙クランパ2
1によりくわえ(クランプし)ながら搬送印刷する時
に、適正かつ最小の上記たわみを形成できるので、クラ
ンプ抜けを生じたり、レジスト精度が悪くなったりする
ことを防止できると共に、上記たわみが過大となって生
じる画像ダブリ(版胴1上のマスタ2に用紙3が接触す
ることによって生じるマスタ2からの用紙3へのインキ
画像の転移現象不良を指す)等の不具合発生を防止でき
る利点がある。
【0108】また、上記した技術構成に対応した利点を
述べれば以下のとおりである。第1の技術構成によれ
ば、保持手段に対して用紙の先端を給送するタイミング
を制御するための、圧胴における少なくとも回転速度変
動を検知するエンコーダセンサを備えたパルスエンコー
ダを配設すると共に、用紙の先端を検知する用紙先端検
知手段を圧胴とレジストローラとの間の用紙搬送路に配
設し、さらに、用紙先端検知手段からの信号に基づき、
用紙スリップ量が大きくなったときにおけるレジストロ
ーラにおける用紙の滑りを補償すべくレジストローラ駆
動手段を制御した後、エンコーダセンサからの出力パル
ス信号に基づき、用紙クランパの回転位置にタイミング
を合わせて用紙の先端を給送すべくレジストローラ駆動
手段を制御するレジストローラ駆動制御手段を具備する
ことによって、圧胴における保持手段(用紙クランパ)
のクランプミスを無くし、用紙の巻き上がり等をさらに
確実に防止すると共に、用紙クランパに対して用紙の先
端を給送するタイミングの安定化・信頼性の向上を図る
ことができ、ひいてはレジスト精度をさらに向上するこ
とができる。また、紙質や紙厚等が相違するものを使用
することによりレジストローラに対する用紙の摩擦係数
が異なったり、あるいはたとえ紙質や紙厚等が同じ紙種
のものを使用していても、温・湿度等の環境条件の変化
に伴う搬送条件の変化(例えばレジストローラと用紙と
の間の摩擦係数の変化や用紙の変形状態)により、ある
いはレジストローラが摩耗・消耗したり紙粉等により汚
れたり経時的に劣化することによって、用紙のスリップ
量が大きくなった時における用紙の先端位置を用紙先端
検知手段で検知することが可能なので、安定した紙くわ
えを実現することができると共に、機械間のメカニック
的なバラツキに対しても安定した紙くわえを実現するこ
とができる。加えて、レジストローラを駆動する駆動系
を版胴と押圧手段(圧胴等)とを駆動するメインモータ
に対して独立させて駆動系の負荷を低減すると共に、メ
インモータのパワーを小さくして安価にできる。
【0109】第2の技術構成によれば、レジストローラ
駆動手段をステッピングモータで構成すると共に、レジ
ストローラ駆動制御手段はレジストローラ駆動手段へ出
力される少なくとも駆動パルス数を変えてレジストロー
ラ駆動手段を制御することによって、レジストローラの
ブレーキや回転方向を規制する機械式部品を不要として
安価ですみ、制御装置のプログラムが簡素化できると共
に、演算処理を速くしてフィードバック制御の追従精度
を高くすることができる。第3の技術構成によれば、レ
ジストローラ駆動制御手段は、用紙の滑り補償後、エン
コーダセンサからの出力パルス信号に応じながらさらに
パルス幅を変えることによりレジストローラ駆動手段を
フィードバック制御することで、フィードバック制御の
追従精度をより高くすることができる。第4の技術構成
によれば、レジストローラ駆動制御手段は、エンコーダ
センサからの出力パルス信号の出力開始時点と、レジス
トローラ駆動手段が駆動開始される駆動開始時点との間
に遅れ時間を設け、用紙の種類に応じて遅れ時間を変え
るべく駆動開始時点を可変するレジストローラ駆動開始
可変手段を具備することにより、様々な用紙に対して安
定した紙くわえを実現することができる。第5の技術構
成によれば、保持手段に対して用紙の先端を給送するタ
イミングをとるためのタイミング検知手段を圧胴側に配
設したことにより、給送するタイミングの安定化・信頼
性の向上を図ることができる。第6の技術構成によれ
ば、タイミング検知手段からのオン出力信号の出力開始
時点と、レジストローラ駆動手段が駆動開始される駆動
開始時点との間に遅れ時間を設け、用紙の種類に応じて
遅れ時間を変えるべく駆動開始時点を可変するレジスト
ローラ駆動開始可変手段を具備することによって、様々
な用紙に対して安定した紙くわえを実現することができ
る。
【0110】第7の技術構成によれば、レジストローラ
駆動制御手段に対してレジストローラ駆動開始可変手段
の機能を具備させることにより、制御の汎用性を高める
ことができる。第8の技術構成によれば、用紙の種類を
設定する用紙種類設定手段を具備することにより、用紙
の種類を手動的に設定・入力して、第4,6または7記
載の技術構成の利点を得られる。第9の技術構成によれ
ば、用紙の種類を検知する用紙種類検知手段を具備する
ことにより、用紙の種類を自動的に検知して、第4,6
または7記載の技術構成の利点を得られる。第10の技
術構成によれば、レジストローラに対して用紙の先端を
給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手
段を圧胴側に配設することにより、給紙タイミングの安
定化・信頼性の向上を図ることができる。第11の技術
構成によれば、給紙タイミング検知手段からの信号に基
づき、用紙の先端をレジストローラに対して給送すべく
給紙駆動手段を制御することができる。
【0111】(変形例1)図21に、変形例1を示す。
この変形例1は、図21に示すように、図1ないし図1
7に示した実施形態1に対して、用紙3の種類を設定す
るための用紙種類設定手段としての紙種入力キー94を
新たに付設したこと、および制御装置110に代えて制
御装置110Aを有することが主に相違する。
【0112】印刷装置の中でも取り分け孔版印刷装置に
おいては、使用する紙種が多種に及んでおり、更紙か
ら上質紙まで、のし紙や封筒、さらには薄紙から厚
紙まで対応している。これらの紙種の違いにより、レジ
ストローラ対33a,33bでのスリップ量にはかなり
のバラツキがあるため、紙種を無視して、遮光板106
と給紙開始センサ104とが係合することによるオン出
力信号に基づいて、レジストモータ102を同じように
スタートさせるだけでは、安定した用紙3の搬送を行う
ことができない。そこで、この変形例1では、上記した
点に着目して、紙種に応じてレジストモータ102のス
タートタイミングを変えるべく、実施形態1における図
11(a)のディレイDbの駆動開始時点を可変するレ
ジストローラ駆動開始可変手段としての機能を制御装置
110Aに付与したものである。変形例1の制御内容を
簡明に説明すると以下のとおりである。例えば、紙種入
力キー94を適宜押下することにより使用する紙種を設
定し、制御装置110Aに入力することで、制御装置1
10Aがその紙種に応じてレジストモータ102のスタ
ートタイミングを変えるべく、遮光板106と給紙開始
センサ104とが係合することによるオン出力信号時点
をトリガとして、上記ディレイDbの駆動開始時点を可
変する制御を行う。例えば、の用紙3を使用するとき
においては、制御装置110Aが、薄紙から厚紙へとそ
の用紙3の厚さが厚くなるにしたがって、ディレイDb
を大から小に可変するというように制御するのである。
このようなことから、更紙から上質紙、あるいはの
し紙や封筒を使用するときにおいても、例えば実験等に
よりその最適なディレイDbの範囲を設定することで、
制御装置110AによりディレイDbを任意に可変して
最適な制御を行うことが可能となる。
【0113】(変形例2)図22に、変形例2を示す。
この変形例2は、図22に示すように、上記変形例1に
対して、紙種入力キー94に代えて用紙3の種類を自動
的に検知するための用紙種類検知手段としての紙種検知
センサ75を有すること、および制御装置110Aに代
えて制御装置110Bを有することが主に相違する。
【0114】紙種検知センサ75の具体例としては、例
えば用紙3の厚さを検知するために光学的に透過光の強
さを検出して判断するタイプや、メカニック的に紙厚を
測定するためにローラ間のギャップを拡大して電気的セ
ンサで検知するタイプ等が挙げられる。この変形例2で
は、紙種に応じてレジストモータ102のスタートタイ
ミングを変えるべく、ディレイDbの駆動開始時点を可
変するレジストローラ駆動開始可変手段としての機能を
制御装置110Bに付与したものである。変形例2の制
御内容は、変形例1の内容により直ちに類推でき、か
つ、容易に実施できるのでその説明を省略する。
【0115】変形例1および2におけるディレイDbの
設定方式には、時間による設定方式や、エンコーダセン
サ121を備えたパルスエンコーダによる圧胴20の回
転位置検知を利用した設定方式がある。変形例1および
3においては、各制御装置110A,110Bをマイク
ロコンピュータで構成したので、そのマイクロコンピュ
ータに内蔵されている上記タイマによりディレイDbを
設定・計時することにより、ディレイDbを可変制御す
ることができる。
【0116】(変形例3)図1ないし図17を借りて、
変形例3を説明する。この変形例3は、実施形態1に対
して、図1ないし図17に適宜示した実施形態1におけ
る遮光板105、遮光板106、給紙開始センサ10
4、インクリメンタル型のエンコーダ120およびエン
コーダセンサ121を除去しこれらに代えて、図23に
示すように、圧胴20の回転速度変動の検出と位置の検
出とが可能な絶対的な回転量を検出するためのアブソリ
ュート型のパルスエンコーダ(以下、「アブソリュート
型パルスエンコーダ」という)を圧胴20側に配設した
ことのみ相違する。
【0117】上記アブソリュート型パルスエンコーダ
は、図23に示すように、圧胴20の端板20bに取り
付けられ、多数のスリットが外周部に放射状に複数段並
べられた多チャンネルのフォトエンコーダ220と、こ
のフォトエンコーダ220の外周部を挟んでアーム25
bに取り付けられた複数のエンコーダセンサ221とを
具備している。
【0118】この変形例3における制御動作は、実施形
態1における遮光板105、遮光板106、給紙開始セ
ンサ104、インクリメンタル型のエンコーダ120お
よびエンコーダセンサ121の上述した動作を1つの上
記アブソリュート型パルスエンコーダで行うことのみ相
違し、技術的に自明なのでその説明を省略する。なお、
実施形態1および変形例1および2に述べたことに準拠
して、圧胴20が所定回転位置を占めたときにおけるエ
ンコーダセンサ221からの出力パルス信号の出力開始
時点と給紙モータ100が駆動開始される駆動開始時点
との間に一定のディレイDaが、圧胴20がさらに回転
して上記したとは別の所定回転位置を占めたときにおけ
るエンコーダセンサ221からの出力パルス信号の出力
開始時点とレジストモータ102が駆動開始される駆動
開始時点との間に一定のディレイDbがそれぞれ設けら
れる。そして、変形例1および2に述べたことに準拠し
て、本変形例3においても、各制御装置110A,11
0Bがその紙種に応じてレジストモータ102のスター
トタイミングを変えるべく、エンコーダセンサ221か
らの各出力パルス信号の出力開始時点をトリガとして、
上記ディレイDbの駆動開始時点を可変する制御を行う
ことも勿論できる(第4の技術構成参照)。
【0119】したがって、この変形例3によれば、実施
形態1、変形例1および2における上記各利点(但し、
上記利点における遮光板105、遮光板106、給紙開
始センサ104、インクリメンタル型のエンコーダ12
0およびエンコーダセンサ121の用語を上記アブソリ
ュート型パルスエンコーダのフォトエンコーダ220と
エンコーダセンサ221とに適宜置き換える)に加え
て、現状の技術水準では高価かつ複雑な制御を要する
も、制御構成の部品点数を減らすことができる。
【0120】なお、本発明は、上述した実施形態1およ
び変形例1ないし3等に限定されず、印刷レジスト精度
等の向上をさほど望まなくてもよいのであれば、押圧手
段としての圧胴20に代えて、図21ないし図24に示
したプレスローラ40を備えた従来の印刷装置に適用で
きることはいうまでもない。以上述べたとおり、本発明
を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、
本発明の構成は、上述した実施形態1および変形例1な
いし3等に限定されるものではなく、これらを適宜組合
わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その
必要性及び用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構
成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0121】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、上
述したような従来装置の有する問題点を解決して新規な
印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を
挙げれば次のとおりである。請求項1記載の発明によれ
ば、給紙駆動手段が印刷速度設定手段による印刷速度の
設定値にかかわらず、単一の回転速度で給紙手段を駆動
することにより、印刷速度設定手段による印刷速度の設
定値にかかわらず、あるいはベルトの経時変化による伸
びやギヤのバックラッシュ等により絶えず変動する印刷
速度に依存することなく、安定した適正範囲のたわみ量
を形成して、たわみ量不足によるスキューや不送りを低
減すると共に、たわみ量過大によるを騒音を低減して静
音化を図れる。
【0122】請求項2記載の発明によれば、給紙駆動手
段をステッピングモータで構成することにより、請求項
1記載の発明の効果に加えて、給紙ローラ等の給紙手段
の回転方向を規制する機械式部品を不要として安価です
み、給紙手段を駆動する駆動系を版胴と押圧手段(プレ
スローラや圧胴等)とを駆動するメインモータに対して
独立させて駆動系の負荷を低減すると共に、メインモー
タのパワーをさらに小さくして安価に製作することがで
きる。
【0123】請求項3記載の発明によれば、レジストロ
ーラと給紙手段との間の用紙搬送路に用紙の先端を検知
する用紙先端検知手段を配設すると共に、その用紙先端
検知手段からの信号に基づき、用紙の先端をレジストロ
ーラに突き当てて所定のたわみを形成するように給紙駆
動手段を制御する給紙駆動制御手段を備えることによ
り、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、紙質
や紙厚等が相違するものを使用することによって給紙手
段に対する用紙の摩擦係数が異なったり、あるいはたと
え紙質や紙厚等が同じ紙種のものを使用していても、温
・湿度等の環境条件の変化に伴う搬送条件の変化(例え
ば給紙ローラと用紙との間の摩擦係数の変化や用紙の変
形状態)によって、あるいは給紙ローラが摩耗・消耗し
たり紙粉等により汚れたり経時的に劣化することによっ
て、用紙のスリップ量等が大きくなった時における用紙
の先端位置を用紙先端検知手段で検知することで、さら
に安定したたわみ量を形成して、スキューや不送りの発
生を防止すると共にさらなる静音化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す孔版印刷装置の概略
的な正面図である。
【図2】実施形態1における圧胴廻りの制御構成部品の
取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図3】図3における要部の平面図である。
【図4】版胴におけるホームポジションセンサ周りの斜
視図である。
【図5】実施形態1におけるレジストローラ対周りの制
御構成部品の取り付け構造を示す斜視図である。
【図6】実施形態1における圧胴のアーム対周りの制御
構成部品の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図7】実施形態1における操作パネルの要部の平面図
である。
【図8】実施形態1における給紙制御構成を表すブロッ
ク図である。
【図9】実施形態1における圧胴の回転動作に伴う用紙
クランパの回転位置および用紙搬送動作を表す概略的な
正面図である。
【図10】実施形態1における版胴および圧胴の各回転
位置を表す模式図である。
【図11】実施形態1における給紙動作を表すタイミン
グチャートである。
【図12】実施形態1における駆動パルス数およびその
パルス幅を可変する内容を説明する説明図である。
【図13】実施形態1における給紙ローラの起動時の用
紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図14】実施形態1におけるレジストローラ対と給紙
ローラとの間に用紙の湾曲たわみを形成する動作を表す
要部の正面図である。
【図15】実施形態1におけるレジストローラの起動時
の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図16】実施形態1における用紙クランパへの用紙の
先端の搬送動作を表す要部の正面図である。
【図17】実施形態1における印刷初期時の用紙搬送動
作を表す要部の正面図である。
【図18】実施形態1における給紙動作を表すフローチ
ャートである。
【図19】図18の続きの給紙動作を表すフローチャー
トである。
【図20】図19の続きの給紙動作を表すフローチャー
トである。
【図21】変形例1における給紙制御構成を表すブロッ
ク図である。
【図22】変形例2における給紙制御構成を表すブロッ
ク図である。
【図23】変形例3における圧胴廻りの制御構成部品の
取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図24】従来の孔版印刷装置における給紙機構の構成
および給紙ローラの起動時の用紙搬送動作を表す要部の
正面図である。
【図25】従来の孔版印刷装置におけるレジストローラ
と給紙ローラとの間に用紙の湾曲たわみを形成する動作
を表す要部の正面図である。
【図26】従来の孔版印刷装置におけるレジストローラ
の起動直後の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図27】従来の孔版印刷装置における印刷初期時の用
紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図28】従来の孔版印刷装置における給紙駆動機構の
一例およびその動作を表す要部の正面図である。
【図29】従来の孔版印刷装置における給紙駆動機構の
一例およびその動作を表す要部の正面図である。
【符号の説明】
1 版胴 2 マスタ 3 用紙 20 押圧手段としての圧胴 21 保持手段としての用紙クランパ 29 給紙装置 30 給紙手段を構成する呼出しローラ 32 給紙手段を構成する給紙ローラ 33a,33b レジストローラ対 40 押圧手段としてのプレスローラ 60 メインモータ 70 用紙先端検知手段としての用紙先端センサ 71 用紙先端検知手段としてのレジストセンサ 96 印刷速度設定手段としての印刷速度設定キー 100 給紙駆動手段としての給紙モータ 102 レジストローラ駆動手段としてのレジストモ
ータ 104 タイミング検知手段および給紙タイミング検
知手段としての給紙開始センサ 105 給紙タイミング検知手段を構成する遮光板 106 タイミング検知手段を構成する遮光板 110,110A,100B 給紙駆動制御手段、レ
ジストローラ駆動制御手段およびレジストローラ駆動開
始可変手段としての制御装置 120 パルスエンコーダを構成するエンコーダ 121 パルスエンコーダを構成するエンコーダセン
サ 220 アブソリュート型パルスエンコーダを構成す
るフォトエンコーダ 221 アブソリュート型パルスエンコーダを構成す
るエンコーダセンサ X 用紙搬送方向 R 用紙搬送路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製版されたマスタを外周面に巻き付け複数
    の印刷速度に対応してその回転速度が可変な版胴と、こ
    の版胴に対して用紙を介して相対的に押し付けられる押
    圧手段と、上記版胴と上記押圧手段との間に上記用紙の
    先端を送り出すレジストローラと、上記レジストローラ
    に向けて上記用紙の先端を給送する給紙手段と、この給
    紙手段を回転する給紙駆動手段とを具備する印刷装置に
    おいて、 上記複数の印刷速度のうちの設定印刷速度に対応して上
    記版胴を回転するように印刷速度を設定する印刷速度設
    定手段を有し、 上記給紙駆動手段は、上記印刷速度設定手段による印刷
    速度の設定値にかかわらず、単一の回転速度で上記給紙
    手段を駆動することを特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の印刷装置において、 上記給紙駆動手段がステッピングモータからなることを
    特徴とする印刷装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の印刷装置におい
    て、 上記レジストローラと上記給紙手段との間の用紙搬送路
    に配設され、上記用紙の先端を検知する用紙先端検知手
    段と、 上記用紙先端検知手段からの信号に基づき、上記用紙の
    先端を上記レジストローラに突き当てて所定のたわみを
    形成するように上記給紙駆動手段を制御する給紙駆動制
    御手段とを有することを特徴とする請求項1または2記
    載の印刷装置。
JP5149199A 1998-02-27 1999-02-26 印刷装置 Pending JPH11309935A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008055847A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷装置
US8104762B2 (en) 2006-06-15 2012-01-31 Seiko Epson Corporation Feeding device with feeding roller and transport rollers

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US8104762B2 (en) 2006-06-15 2012-01-31 Seiko Epson Corporation Feeding device with feeding roller and transport rollers
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