JPH11309437A - 有機性廃棄物の発酵処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発酵処理に好適な加湿空気を供給することに
より、短時間で効率良く発酵処理することのできる有機
性廃棄物の発酵処理装置を得ること。 【解決手段】 空気供給部３に、エロフィンヒータ９と
加湿流体注入手段３と熱交換器１６を連設する。熱交換
器１６の下流側に湿度センサ４を取り付ける。発酵槽１
の外周にジャケット部７を設ける。ジャケット部７の下
部を組み合わせポンプ３０のエゼクタ３１と接続する。
加湿流体注入手段３から加湿流体が注入されて、所望湿
度状態となった空気が発酵槽１へ供給され、発酵槽１内
の被発酵物を発酵処理する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は生ゴミや家畜糞尿等
の水分を含有する有機性廃棄物を、好気性のバクテリア
で発酵処理して有機肥料等とするものに関し、特に処理
槽に供給する空気の湿度を好適に維持して発酵処理を短
時間で効率良く行うことのできる有機性廃棄物の発酵処
理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】各家庭やレストランやス―パ―等から出
る生ゴミや、水産市場や青果市場や養鶏・養豚場等から
出る生ゴミや糞尿、あるいは食品加工業等から出る生ゴ
ミを、発酵処理し肥料などとしてリサイクル可能なもの
へ処理する各種処理機が多数開発され使用されている。
例えば、特開平９−７７５８１号公報に示されているよ
うなものが用いられている。これは、廃棄物を発酵処理
する発酵槽内に湿度センサを取り付けて、この湿度セン
サでの検出値により発酵槽への通気ファンをオン・オフ
することによって、発酵槽内を所定の湿度状態とするも
のである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の発酵処理装
置では、発酵槽内の湿度を精度良く制御することができ
ない問題があった。これは、発酵槽内の湿度を検出して
から、即ち、発酵槽内の湿度が変化したことを検出して
から事後的に、通気ファンをオン・オフして発酵槽内の
空気を排出したりあるいは新たな空気を発酵槽内へ供給
するために、発酵槽内の湿度を所定値とするのに時間遅
れを生じ、精度良く湿度状態を維持することができない
のである。発酵処理においては、発酵を短時間で効率良
く行うために、発酵槽内の湿度を精度良く所定値に維持
しなければならない。

【０００４】本発明の目的は、発酵処理を行うに好適な
湿度状態を精度良くコントロールできるようにして、廃
棄物を短時間で効率良く処理することのできる有機性廃
棄物の発酵処理装置を得ることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた本発明の手段は、有機性廃棄物を収容する発酵
槽と、当該発酵槽に空気を供給する空気供給部を備え
て、発酵槽内の廃棄物を発酵処理するものにおいて、空
気供給部に加湿流体注入手段を連設し、当該加湿流体注
入手段の発酵槽側に湿度検出手段を取り付けて、当該湿
度検出手段での検出値により加湿流体注入手段の流体注
入量をコントロールするものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】空気供給部に加湿流体注入手段を
連設したことにより、発酵槽に供給される空気に加湿流
体、例えば蒸気とか噴霧水等、を注入して、空気の湿度
を変化させることができる。また、加湿流体注入手段の
発酵槽側に湿度検出手段を取り付けたことにより、発酵
槽に供給される空気の湿度を検出することができ、この
検出値に応じて加湿流体注入手段からの流体注入量をコ
ントロールすることによって、発酵槽への供給空気の湿
度を所定値に維持することができる。発酵槽へ供給され
る空気の湿度を事前に所定値とすることができ、従っ
て、発酵槽内の湿度を発酵処理を行うのに好適な状態に
精度良くコントロールすることができる。

【０００７】空気供給部に連設する加湿流体注入手段
は、空気の流下途中に直接蒸気や噴霧水を注入すること
により行うことができる。また、蒸気や水の注入前の空
気を所定温度例えば100度Ｃ程度に加熱してから蒸気や
水を注入し、その後空気を熱交換して例えば60度Ｃ程度
まで冷却することにより、空気の湿度と更には温度をよ
り正確に制御することができる。

【０００８】加湿流体注入量のコントロールは、加湿流
体注入手段にその開度を調節することのできる弁手段を
介して連設して、この弁手段の開度調節によって注入蒸
気量や水の量をコントロールすることができる。また、
加湿流体注入手段に複数の噴霧ノズルを取り付けて、こ
のノズルの開度あるいは開口ノズル数を調節することに
よっても行うことができる。

【０００９】

【実施例】本実施例においては、発酵すべく廃棄物を内
蔵するタンク状の発酵槽１と、発酵槽１に空気を供給す
る空気供給部２と、空気供給部２に連設した加湿流体注
入手段３、及び、発酵槽１の空気入口側に取り付けた湿
度検出手段としての湿度センサ４とで有機性廃棄物の発
酵装置を構成する。

【００１０】発酵槽１は、密閉タンク状で内部に所定量
の廃棄物を収容し、その上部に空気供給部２と連通した
空気供給管５と脱臭管６を接続すると共に、そのほぼ全
周にジャケット部７を設ける。

【００１１】空気供給部２は、所望量の空気を供給する
空気ファン８と、空気ファン８から送られてきた空気を
所定温度まで加熱するエロフィンヒータ９で構成する。
エロフィンヒータ９は、図示しないボイラー等の蒸気発
生源と連通した蒸気供給管１０から所定圧力または温度
の蒸気を供給して空気を所定温度まで間接加熱するもの
である。

【００１２】エロフィンヒータ９の下流側に加湿流体注
入手段３を配置する。本実施例においては、加湿流体と
して蒸気を用いた例を示す。加湿流体注入手段３は、空
気供給管５よりも断面積の大きな混合部１１を有し、こ
の混合部１１の下方から蒸気供給管１０と連通した蒸気
管１２を調節弁１３を介して内通し、混合部１１内の蒸
気管１４に多数の蒸気吹出し孔を設ける。加湿流体注入
手段３の下部には、蒸気管１４から供給される加湿用蒸
気が凝縮して生じた凝縮水としての復水を系外へ自動的
に排出するスチームトラップ１５を取り付ける。混合部
11内を通過する所定温度の空気に、蒸気管１４から蒸気
が供給されて、所定湿度の空気となるものである。

【００１３】加湿流体注入手段３から水を供給して湿度
を制御することも、本実施例と同様の構成で行うことが
できる。即ち、蒸気管１４の多数の吹出し孔から、流下
する空気中に水を噴霧することにより、空気湿度を制御
することもできる。

【００１４】加湿流体注入手段３の下流側に熱交換器１
６を配置する。熱交換器１６は、内部を所定湿度の空気
が流下する間に、熱交換流体供給管１７と調節弁１８を
介して供給される熱交換流体によって空気を熱交換し
て、空気の湿度と温度を発酵槽１で好適な湿度と温度に
するものである。通常、熱交換流体としては常温水を用
いて、上流のエロフィンヒータ９と加湿流体注入手段３
で加熱された空気を所定温度まで冷却し、所定の温度及
び湿度の空気とするものである。

【００１５】熱交換器１６は、エロフィンヒータ９と、
加湿流体注入手段３での流体注入量をコントロールする
ことによって空気湿度並びに温度を所定値とすることが
できる場合は、必ずしも必要ではない。

【００１６】熱交換器１６と発酵槽１の間に、湿度セン
サ４と温度センサ２０と気液分離器１９を取り付ける。
湿度センサ４と温度センサ２０は、空気供給管５から発
酵槽１へ供給される空気の湿度と温度を検出するもの
で、湿度センサ４は図示しないコントローラを介して加
湿流体注入手段３下方の調節弁１３と電気接続し、温度
センサ２０は同じくコントローラを介して熱交換器１６
上方の調節弁１８と電気接続する。

【００１７】気液分離器１９は、熱交換器１６を通過し
てきた空気中に含まれる水滴や粒子状の異物を分離し
て、所定湿り状態の空気だけを下流へ通過させるもので
ある。この気液分離器１９は、多孔質状のフィルターを
設けたり、流体に遠心力を与えたり、衝突させたり、あ
るいは、流速を変化させることにより、水滴や異物を分
離することができるものである。

【００１８】発酵槽１の外周に設けたジャケット部７
に、蒸気供給管１０を連設する。蒸気供給管１０には、
蒸気圧力調節弁２１と冷却流体供給弁２２と気液分離器
２３を介して、ジャケット部７と接続する。ジャケット
部７には内部の温度を検出する温度センサ２４を取り付
けて、発酵槽１を加熱する蒸気温度を制御する。気液分
離器２３は、ジャケット部７に供給する蒸気中に含まれ
ている水滴状の復水や異物を除去するものである。冷却
流体供給弁２２は、後述する真空ポンプとしての組み合
わせポンプ３０の循環水の一部を蒸気供給管１０内に供
給するものであり、ジャケット部７に供給する蒸気が過
熱蒸気となった場合に、この冷却流体を供給することに
よって飽和温度蒸気とするものである。

【００１９】蒸気圧力調節弁２１は、蒸気供給管１０か
らの高圧高温蒸気を、ジャケット部７での加熱に必要な
温度に調節するものであり、１００度Ｃ以上の蒸気温度
を必要とする場合は大気圧以上の圧力状態とし、あるい
は、１００度Ｃ以下の蒸気温度の場合は大気圧以下の所
謂減圧蒸気として、ジャケット部７に供給するものであ
る。

【００２０】ジャケット部７の下部には連通管２５を介
して真空ポンプ３０を連通する。真空ポンプ３０は、エ
ゼクタ３１とタンク３２と循環ポンプ３３を順次連設し
たもので、タンク３２内の流体を循環ポンプ３３でエゼ
クタ３１に流下させ、エゼクタ３１部で吸引作用を果た
すものであるる。このエゼクタ３１の吸引作用により、
ジャケット部７内を所定の減圧状態としたり、あるい
は、大気圧以上の圧力とすることができると共に、発酵
槽１内の廃棄物を加熱してジャケット部７内で発生した
復水を吸引してタンク３２へ至らしめるものである。

【００２１】タンク３２の上部には冷却流体補給管３４
を接続して、タンク３２内の流体温度即ちエゼクタ３１
を通過する流体の温度を適宜調整することができるよう
にする。エゼクタ３１で生じる吸引作用は、エゼクタ３
１を流下する流体温度を調整することにより行うことが
できる。

【００２２】組み合わせポンプ３０の循環路２６を分岐
して循環流体供給管２７を接続し、冷却流体供給弁２２
と連通する。

【００２３】発酵処理は、発酵槽１内に廃棄物を収容し
て、空気供給管５から発酵槽１内に空気を供給すると共
に、ジャケット部７へ蒸気供給管１０から大気圧以上の
蒸気または大気圧以下の減圧蒸気を供給して、廃棄物を
発酵する。この場合、発酵槽１内に供給される空気は、
加湿流体注入手段３で加湿流体が注入されて所定の湿度
状態の空気となっており、発酵槽１内での発酵処理を効
率良く行うことができる。

【００２４】発酵槽１内に所定湿度の空気を供給するこ
とができるために、発酵槽１内の廃棄物が部分的に過乾
燥状態となることを防止することもできる。発酵槽１内
で発生した発酵ガスと、加熱によって発生した蒸発蒸気
は、脱臭管６から系外へ排出される。

【００２５】

【発明の効果】本発明によれば、発酵槽へ供給する空気
の湿度を事前に所定値とすることができ、発酵槽内の湿
度を発酵処理を行うのに好適な状態に精度良くコントロ
ールすることができる。従って、発酵菌の活動を活発に
して発酵処理を短時間で効率良く行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の有機性廃棄物の発酵処理装置の実施例
を示す構成図。

【符号の説明】

１ 発酵槽 ２ 空気供給部 ３ 加湿流体注入手段 ４ 湿度センサ ５ 空気供給管 ７ ジャケット部 ９ エロフィンヒータ １０ 蒸気供給管 １１ 混合部 １６ 熱交換器 １９ 気液分離器 ３０ 真空ポンプ ３１ エゼクタ ３２ タンク ３３ 循環ポンプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土岩 仙明 兵庫県加古川市野口町長砂881番地 株式 会社テイエルブイ内 (72)発明者 速水 靖夫 福岡県福岡市東区青葉５丁目17−17

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有機性廃棄物を収容する発酵槽と、当該
   発酵槽に空気を供給する空気供給部を備えて、発酵槽内
   の廃棄物を発酵処理するものにおいて、空気供給部に加
   湿流体注入手段を連設し、当該加湿流体注入手段の発酵
   槽側に湿度検出手段を取り付けて、当該湿度検出手段で
   の検出値により加湿流体注入手段の流体注入量をコント
   ロールすることを特徴とする有機性廃棄物の発酵処理装
   置。