JPH11308007A - 誘電体フィルタ、送受共用器および通信機 - Google Patents
誘電体フィルタ、送受共用器および通信機Info
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Abstract
310モード等のスプリアスモードを抑圧して、阻止域
減衰特性を改善した誘電体フィルタおよびそれを用いた
送受共用器と通信機を提供する。 【解決手段】 誘電体板3の両主面に電極非形成部4
a,4b,4c,5a,5b,5cを有する電極1,2
を形成して誘電体共振器Ra,Rb,Rcを構成し、こ
れらの複数の誘電体共振器の並置方向の直線に平行にプ
ローブ6,7を配置する。
Description
ミリ波帯で使用される誘電体フィルタ、送受共用器およ
び通信機に関するものである。
扱う情報量の大容量化に伴って使用周波数帯域がマイク
ロ波帯からミリ波帯へ拡大されようとしている。このよ
うな高周波帯域においても所定の特性が容易に得られる
誘電体共振器として本願出願人は特願平7−62625
号を出願している。
共振器は、基本的に誘電体板の両主面に、一部を電極非
形成部とする電極を形成することによって、誘電体板に
おける電極非形成部を誘電体共振器として作用させるも
のである。
形成して誘電体フィルタを構成した例を図10に示す。
同図の(A)は誘電体フィルタの上面の導体板部分を取
り除いた状態での図、(B)は(A)におけるA−A部
分の断面図、(C)は(A)におけるB−B部分の断面
図である。同図において3は誘電体板であり、その第1
主面に電極非形成部4a,4bを有する電極1を形成
し、電極非形成部4a,4bに対向する電極非形成部5
a,5bを有する電極2を第2主面に形成する。これら
の電極非形成部で挟まれる誘電体板部分がTE010モ
ードの誘電体共振器として作用することになる。キャビ
ティ8には同軸コネクタ10,11を形成して、中心導
体からプローブ6,7を突出させ、それぞれの誘電体共
振器と結合させる。また、2つの誘電体共振器は磁界結
合させる。
ルタにおいては、次に述べるようなスプリアスレスポン
スが問題となる場合が生じる。
衰特性は図11に示すようになる。同図において(a)
はHE110モード、(b)はHE210モード、
(c)はHE310モード、(d)はTE110モード
であり、(e)がTE010モードの応答である。この
ように、メインのレスポンスであるTE010モード以
外に不要なスプリアスレスポンスがいくつも現れる。こ
れらのスプリアスレスポンスが、所定の減衰レベルが必
要とされる周波数に重なった場合、その減衰レベルの要
求を満たさなくなる場合がある。
例を図12に示す。同図において実線は電気力線、破線
は磁力線であり、これらによって電磁界分布を示してい
る。また各図において上部は平面図、下部は誘電体板の
断面方向で見た図である。
各モードにおける結合の様子を示す図である。このよう
にいずれのモードにおいても、隣接する誘電体共振器同
士が近接する部分で磁界結合する。
して、阻止域減衰特性を改善した誘電体フィルタおよび
それを用いた送受共用器と通信機を提供することにあ
る。
タは、誘電体板の第1主面に一部を電極非形成部として
電極を形成し、第2主面に第1主面の電極非形成部に対
向する部分を電極非形成部として電極を形成して、前記
誘電体板における前記電極非形成部を誘電体共振器とし
て構成するとともに、前記誘電体共振器を直線上に並置
し、これらの誘電体共振器のうち所定の誘電体共振器に
結合する線路状の結合部材の少なくとも1つと前記直線
との成す角度を90度以外の所定の角度にする。
同士で結合するスプリアスモードであっても、そのスプ
リアスモードが誘電体共振器が並置された直線に対して
所定の角度を成す線路状の結合部材と殆ど結合しないモ
ードである場合、そのスプリアスモードの応答は抑圧さ
れることになる。たとえば誘電体共振器が並置された直
線に対して線路状の結合部材を平行に配置した場合、H
E110モード等のスプリアスモードの応答が抑圧され
る。これに対し、TE010モードのように、結合部材
と誘電体共振器との成す角度に依存されずに結合できる
モードをメインモードとすれば、メインモードでの誘電
体共振器と結合部材との結合およびメインモードでの隣
接する誘電体共振器同士の結合には支障を来さない。
器に結合する結合部材のうち他の線路状の結合部材は、
前記誘電体共振器の並置方向の直線に対して垂直に配置
してもよい。
モードとの結合を避けることができるので、その角度を
適宜選ぶことによって、スプリアスモードを選択的に抑
圧することができる。
体板の第1主面に一部を電極非形成部として電極を形成
し、第2主面に第1主面の電極非形成部に対向する部分
を電極非形成部として電極を形成して、前記誘電体板に
おける前記電極非形成部を誘電体共振器として構成する
とともに、隣接する誘電体共振器同士の中心を結ぶ直線
が同一直線上に重ならないように、各誘電体共振器を配
置する。この構造により、隣接する2つの誘電体共振器
同士でスプリアスモードが結合する場合でも、更にその
隣の誘電体共振器は上記スプリアスモードの伝搬方向と
異なった角度の位置にあるため、その角度に応じて所定
のスプリアスモードとの結合を避けることができ、スプ
リアスモードを選択的に抑圧することができる。
誘電体フィルタの構成を図1および図2を参照して説明
する。
体板部分を取り除いた状態での図、(B)は(A)にお
けるA−A部分の断面図、(C)は(A)におけるB−
B部分の断面図である。同図において3は誘電体板であ
り、その第1主面に電極非形成部4a,4b,4cを有
する電極1を形成していて、電極非形成部4a,4b,
4cに対向する電極非形成部5a,5b,5bを有する
電極2を第2主面に形成している。これらの電極非形成
部で挟まれる誘電体板部分がTE010モードの誘電体
共振器として作用する。キャビティ8には同軸コネクタ
10,11を取り付けていて、中心導体からプローブ
6,7を突出させている。このプローブ6,7はそれぞ
れ上記誘電体共振器の並置方向の直線に対し平行に配置
している。電極非形成部4a,5a部分の誘電体共振器
RaはTE010モードおよびその他のスプリアスモー
ドで共振可能な状態にあり、プローブ6はそれらのモー
ドと結合する。また、電極非形成部4c,5c部分の誘
電体共振器RcもTE010モードおよびその他のスプ
リアスモードで共振可能な状態にあり、プローブ7はそ
れらのモードと結合する。しかし、特定のスプリアスモ
ードは隣接する共振器間(Ra−Rb間およびRb−R
c間)で殆ど結合しない。
した3つの誘電体共振器のうち初段の共振器(たとえば
プローブ6と結合する誘電体共振器Ra)はプローブ6
と結合して、同図に示すHE110モードでも共振する
が、初段の共振器Raと2段目の共振器Rb間、2段目
の共振器Rbと終段の共振器Rc間は図2に示すように
磁界結合しにくい位置関係となる。そのため、プローブ
6,7間でHE110モードの信号は伝搬されずに、H
E110モードのスプリアスが効果的に抑圧される。こ
れに対してメインモードであるTE010モードは図1
2の(e)および図13の(e)に示したように、プロ
ーブと誘電体共振器との成す角度に依存されずに、隣接
する誘電体共振器同士が結合する。
タの構成を示す図である。図1に示したものと異なり、
プローブ7が、3つの誘電体共振器の並置方向の直線に
対し垂直な関係となるように配置している。その他の構
成は図1に示したものと同様である。同軸コネクタ11
を入力ポート、同軸コネクタ10を出力ポートとした場
合、電極非形成部4c,5c部分の誘電体共振器Rcは
TE010モードで励振されるとともに、たとえばHE
110モードでも励振されることになる。この2つのモ
ードは誘電体共振器Rc→Rb→Raへ順次伝搬され
る。しかしプローブ6はTE010モードと結合する
が、HE110モードについては磁界分布の向きがプロ
ーブ6とほぼ平行な関係となるので殆ど結合しない。そ
の結果、HE110モードのレスポンスは抑圧されるこ
とになる。
タの構成を示す図である。第1・第2の実施形態と異な
り、プローブ6,7を3つの誘電体共振器の並置方向の
直線に対して所定の傾斜角θ1,θ2をもって傾斜させ
ている。この角度θ1,θ2を所定値に設定することに
よって特定のスプリアスモードの結合を抑える。たとえ
ばθ1,θ2を45°に設定すれば、隣接する誘電体共
振器同士がHE210モードで結合する場合でのそのH
E210モードとプローブ6,7との角度関係は、最も
結合し難くなる関係となる。このことによりHE210
モードの伝搬を阻止して、HE210モードのスプリア
スを抑圧することができる。また、θ1,θ2を30°
にすれば、同様にしてHE310モードのスプリアスを
抑圧することができる。さらに、θ1とθ2のどちらか
を45°にすればHE210モードのスプリアスを抑圧
することができ、どちらかを30°にすればHE310
モードのスプリアスが抑圧することができる。したがっ
て、θ1=45°、θ2=30°とした場合、またはθ
1=30°、θ2=45°にした場合には、HE210
モードとHE310モードの両モードのスプリアスを抑
圧することができる。
の構成を図5〜図7を参照して説明する。
共振器を直線上に並置したが、この例では隣接する誘電
体共振器同士の中心を結ぶ直線が同一直線上に重ならな
いように、各誘電体共振器を配置している。図5に示す
例は、誘電体共振器RaとRbを結ぶ直線と、プローブ
6に対して垂直な線との成す角度を45°にし、同様に
誘電体共振器RbとRcを結ぶ直線と、プローブ7に対
して垂直な線との成す角度を45°にしている。同図の
(B)はHE210モードの結合の様子を示している。
誘電体共振器Ra,Rcとプローブ6,7とはメインモ
ードであるTE010モード以外にHE210モードの
結合も可能であるが、誘電体共振器Ra−Rb間および
Rb−Rc間においては上記HE210モードが結合し
難い位置関係となるため、HE210モードのスプリア
スを抑圧することができる。
bを結ぶ直線と、プローブ6に対して垂直な線との成す
角度を30°にし、同様に誘電体共振器RbとRcを結
ぶ直線と、プローブ7に対して垂直な線との成す角度を
30°にしている。同図の(B)はHE310モードの
結合の様子を示している。誘電体共振器Ra,Rcとプ
ローブ6,7とはメインモードであるTE010モード
以外にHE310モードの結合も可能であるが、誘電体
共振器Ra−Rb間およびRb−Rc間においては上記
HE310モードが結合しにくい位置関係となるため、
HE310モードのスプリアスを抑圧することができ
る。
aとRbを結ぶ直線と、プローブ6に対して垂直な線と
の成す角度を45°にし、誘電体共振器RbとRcを結
ぶ直線と、プローブ7に対して垂直な線との成す角度を
30°にしている。誘電体共振器Ra,Rcとプローブ
6,7とはメインモードであるTE010モード以外に
HE210モードやHE310モードの結合も可能であ
るが、誘電体共振器Ra−Rb間においては上記HE2
10モードが結合しにくい位置関係となり、Rb−Rc
間においては上記HE310モードが結合しにくい位置
関係となるため、HE210モードとHE310モード
のスプリアスを同時に抑圧することができる。
成を図8を参照して説明する。
平面図である。全体の基本的な構成は、先に示した2ポ
ートの誘電体フィルタと同様である。誘電体板の上面に
は4a,4b,4c,4d,4eで示す5つの電極非形
成部を有する電極1を形成していて、誘電体板の下面に
は電極非形成部4a〜4eにそれぞれ対向する部分を電
極非形成部とする電極を形成している。この構成により
5つのTE010モードの誘電体共振器を単一の誘電体
板に構成している。キャビティ8には同軸コネクタ1
0,11,12を取りつけていて、それぞれの中心導体
からプローブ6,7,16,17を突出させている。た
だし、プローブ7,16は同軸コネクタ11の中心導体
から所定箇所で分岐させた形状としている。
信号出力ポート、同軸コネクタ12を送信信号入力ポー
ト、同軸コネクタ11を入出力ポートとして用い、電極
非形成部4a,4b,4c部分に構成される3つの誘電
体共振器部分を3段の共振器からなる受信フィルタとし
て用い、また電極非形成部4d,4e部分に構成される
2つの誘電体共振器部分を2段の共振器からなる送信フ
ィルタとして用いる。
等価的短絡面からプローブ7,16の分岐点までの電気
長は、送信周波数の波長で1/4波長の奇数倍となるよ
うにし、送信フィルタの終段の誘電体共振器の等価的短
絡面からプローブ7,16の分岐点までの電気長は、受
信周波数の波長で1/4波長の奇数倍となるようにして
いる。これにより、送信信号と受信信号の分岐を行う。
ィルタのいずれにおいてもHE110モードが抑圧され
た帯域通過フィルタ特性を持たせることができる。
して用いた通信機の実施形態に係る図である。ここで、
46aは上記受信フィルタ、46bは上記送信フィルタ
であり、46部分がアンテナ共用器を構成している。同
図に示すように、アンテナ共用器46の受信信号出力ポ
ート46cに受信回路47を、送信信号入力ポート46
dに送信回路48をそれぞれ接続し、入出力ポート46
eにアンテナ49を接続することによって、全体として
通信機50を構成している。
器を用いることによって、小型で高効率な通信機が構成
できる。
電体共振器を設けて成る誘電体フィルタにおいて、隣接
する誘電体共振器を介してのスプリアスモードの伝搬が
抑えられ、スプリアスレスポンスが抑圧される。これに
より、誘電体フィルタの阻止域減衰特性が改善され、減
衰特性に優れた誘電体フィルタ、分岐特性に優れた送受
共用器および高効率な通信機が得られる。
スモードを選択的に抑圧することができ、スプリアスモ
ードによる影響を効果的に改善できる。
示す図
の様子を示す図
示す図
示す図
誘電体共振器の配置例を示す図
置例を示す図
置例を示す図
図
Claims (6)
- 【請求項1】 誘電体板の第1主面に一部を電極非形成
部として電極を形成し、第2主面に第1主面の電極非形
成部に対向する部分を電極非形成部として電極を形成し
て、前記誘電体板における前記電極非形成部を誘電体共
振器として構成するとともに、前記誘電体共振器を直線
上に並置し、これらの誘電体共振器のうち所定の誘電体
共振器に結合する線路状の結合部材の少なくとも1つと
前記直線との成す角度を90度以外の所定の角度にした
ことを特徴とする誘電体フィルタ。 - 【請求項2】 前記所定の角度を0度にしたことを特徴
とする請求項1に記載の誘電体フィルタ。 - 【請求項3】 前記所定の角度を0度と90度の間の角
度にしたことを特徴とする請求項1に記載の誘電体フィ
ルタ。 - 【請求項4】 誘電体板の第1主面に一部を電極非形成
部として電極を形成し、第2主面に第1主面の電極非形
成部に対向する部分を電極非形成部として電極を形成し
て、前記誘電体板における前記電極非形成部を誘電体共
振器として構成するとともに、隣接する誘電体共振器同
士の中心を結ぶ直線が同一直線上に重ならないように、
各誘電体共振器を配置したことを特徴とする誘電体フィ
ルタ。 - 【請求項5】 請求項1〜4のうちいずれかに記載に誘
電体フィルタを、送信フィルタと受信フィルタの一方ま
たは両方に用い、前記送信フィルタを送信信号入力ポー
トと入出力ポートとの間に設け、前記受信フィルタを受
信信号出力ポートと前記入出力ポートとの間に設けたこ
とを特徴とする送受共用器。 - 【請求項6】 請求項5に記載の送受共用器の送信信号
入力ポートに送信回路を接続し、前記送受共用器の受信
信号出力ポートに受信回路を接続し、前記送受共用器の
入出力ポートにアンテナ装置を接続して成る通信機。
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