JPH1130750A - ズームレンズ - Google Patents

ズームレンズ

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Publication number
JPH1130750A
JPH1130750A JP18412097A JP18412097A JPH1130750A JP H1130750 A JPH1130750 A JP H1130750A JP 18412097 A JP18412097 A JP 18412097A JP 18412097 A JP18412097 A JP 18412097A JP H1130750 A JPH1130750 A JP H1130750A
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JP
Japan
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group
lens
positive
telephoto end
aberration
Prior art date
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Application number
JP18412097A
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English (en)
Inventor
Kenji Konno
賢治 金野
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高倍率でコンパクトでありながら、誤差感度
が従来に比べて十分に小さく製造が極めて容易なズーム
レンズを提供する。 【解決手段】 広角端[W]から望遠端[T]へのズーミン
グにおいて、第1群Gr1と第2群Gr2との間隔d6が
増大、第2群Gr2と第3群Gr3との間隔d4が減少す
るように、少なくとも第1群Gr1,第3群Gr3,第
4群Gr4が物体側へ移動する正・負・正・正の4群ズ
ームである。第2群の望遠端[T],広角端[W]での結像
倍率比を規定するとともに、第3群Gr3の望遠端[T]
での非点収差係数を規定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ズームレンズに関
するものであり、更に詳しくは、カメラ(銀塩カメラ,
デジタルスチルカメラ,ビデオカメラ等)に適した高倍
率でコンパクトなズームレンズであって、製造時に問題
となる誤差感度が小さなズームレンズに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、正・負・正・正を有するズームレ
ンズにおいて、高倍率化・コンパクト化の検討が多数な
されている。例えば、正・負・正・正・負のズームタイ
プを採用することにより6倍程度の変倍比を達成したズ
ームレンズ(特開平4−96012号等)や、正・負・正
・正のズームタイプを採用することにより7倍程度の変
倍比を達成したズームレンズ(特開平8−86963号
等)が知られており、今後も更に高倍率化・コンパクト
化が進むと予想される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記ズームレンズは、
光学性能の面では十分な性能を有している。しかしなが
ら、製造上の問題である誤差感度に関しては、大きな関
心をもって設計が行われていないため、誤差感度(特
に、第3群と第4群の偏心に対する誤差感度)が非常に
大きくなっている。つまり、実際には高い光学性能を有
していながら、製造時に発生する大きな誤差感度を抑え
ることができないため、性能を落とす結果となってい
る。また、更なるコンパクト化や高倍率化を図ろうとす
ると、誤差感度が更に大きくなるため、従来の製造方法
では発生する偏心収差を十分に小さな値に抑えることが
できず、これが製造上の大きな問題となっている。
【0004】また、特開平8−220435号公報に、
非球面の偏心に対する感度を低減させるため、両非球面
レンズの互いのレンズ面の相対的な偏心により発生する
像面傾斜が所定値以下となるように、非球面の基準曲率
半径とデビエーションとの大小関係を規定したズームレ
ンズが提案されている。しかし、誤差感度は非球面であ
れば常に大きいわけではない。例えば、非球面であって
も曲率半径が大きくデビエーションの小さい面であれ
ば、偏心に対する誤差感度は小さく、逆に、球面であっ
ても曲率半径の小さい面であれば偏心に対する誤差感度
は大きい。したがって、両非球面レンズの偏心に対する
誤差感度のみを低減させても、光学系全体の偏心に対す
る誤差感度を低減することができるわけではない。
【0005】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たものであって、高倍率でコンパクトでありながら、誤
差感度が従来に比べて十分に小さく製造が極めて容易な
ズームレンズを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のズームレンズは、物体側から順に、正のパ
ワーを有する第1群と、負のパワーを有する第2群と、
正のパワーを有する第3群と、正のパワーを有する第4
群と、を備え、広角端から望遠端へのズーミングにおい
て、第1群と第2群との間隔が増大し第2群と第3群と
の間隔が減少するように、少なくとも第1群,第3群及
び第4群が物体側へ移動し、更に以下の条件式を満足す
ることを特徴とする。 2.8<βt2/βw2<6.0 |III3t×ft×Ymax/2|<90 ただし、 βt2 :第2群の望遠端での結像倍率、 βw2 :第2群の広角端での結像倍率、 III3t:第3群の望遠端での非点収差係数、 ft :望遠端での焦点距離、 Ymax :使用像面の対角長 であり、収差係数の計算における初期値が、α1=0,h1=
1,α#1=-1,h#1=-tであり、 α1 :第1面への近軸軸上マージナル光線の物体空間
における換算傾角、 α#1 :第1面への近軸軸外主光線の物体空間における
換算傾角、 h1 :第1面での近軸軸上マージナル光線の高さ、 h#1 :第1面での近軸軸外主光線の高さ、 t :入射瞳距離 である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施したズームレ
ンズを、図面を参照しつつ説明する。図3〜図6は、第
1〜第4の実施の形態のズームレンズにそれぞれ対応す
るレンズ構成図であり、広角端[W]でのレンズ配置を示
している。各レンズ構成図中の矢印m1〜m5は、広角
端[W]から望遠端[T]へのズーミングにおける第1群G
r1〜第5群Gr5の移動をそれぞれ模式的に示してい
る。また、各レンズ構成図中、ri(i=1,2,3,...)が付さ
れた面は物体側から数えてi番目の面であり、riに*印が
付された面は非球面である。di(i=1,2,3,...)が付され
た各群間の軸上面間隔は、物体側から数えてi番目の軸
上面間隔のうち、ズーミングにおいて変化する可変間隔
である。
【0008】第1,第2,第4の実施の形態は、物体側
から順に、正のパワーを有する第1群Gr1と、負のパ
ワーを有する第2群Gr2と、正のパワーを有する第3
群Gr3と、正のパワーを有する第4群Gr4と、から
成る4群構成のズームレンズである。また、第3の実施
の形態は、物体側から順に、正のパワーを有する第1群
Gr1と、負のパワーを有する第2群Gr2と、正のパ
ワーを有する第3群Gr3と、正のパワーを有する第4
群Gr4と、正のパワーを有する第5群Gr5と、から
成る5群構成のズームレンズである。
【0009】各実施の形態は、広角端[W]から望遠端
[T]へのズーミングにおいて、第1群Gr1と第2群G
r2との間隔が増大し、第2群Gr2と第3群Gr3と
の間隔が減少し、第3群Gr3と第4群Gr4との間隔
が減少するように、各群が物体側へ移動する。また、第
2群Gr2の最も像側の面と第3群Gr3の最も物体側
の面との間には、ズーミングにおいて第3群Gr3と共
に移動する絞りAが配置されている。フォーカシング
は、第1群Gr1又は第2群Gr2を光軸に沿って物体
側に移動させることにより行われる。
【0010】第1の実施の形態において、各群は物体側
から順に以下のように構成されている。第1群Gr1
は、物体側に凸の負メニスカスレンズと両凸の正レンズ
との接合レンズ,及び物体側に凸の正メニスカスレンズ
から成っている。第2群Gr2は、物体側に凸の負メニ
スカスレンズ,両凹の負レンズ,両凸の正レンズ,及び
物体側に凹の負メニスカスレンズから成っている。第3
群Gr3は、2枚の両凸の正レンズ,及び両凹の負レン
ズから成っている。第4群Gr4は、両凸の正レンズ,
両凹の負レンズ,及び物体側に凸の正メニスカスレンズ
から成っている。
【0011】第2の実施の形態において、各群は物体側
から順に以下のように構成されている。第1群Gr1
は、物体側に凸の負メニスカスレンズと両凸の正レンズ
との接合レンズ,及び物体側に凸の正メニスカスレンズ
から成っている。第2群Gr2は、物体側に凸の負メニ
スカスレンズ,両凹の負レンズ,両凸の正レンズ,及び
物体側に凹の負メニスカスレンズから成っている。第3
群Gr3は、2枚の両凸の正レンズ,及び両凹の負レン
ズから成っている。第4群Gr4は、両凸の正レンズ,
像側に凹の負メニスカスレンズ,及び物体側に凸の正メ
ニスカスレンズから成っている。
【0012】第3の実施の形態において、各群は物体側
から順に以下のように構成されている。第1群Gr1
は、物体側に凸の負メニスカスレンズと両凸の正レンズ
との接合レンズ,及び物体側に凸の正メニスカスレンズ
から成っている。第2群Gr2は、物体側に凸の負メニ
スカスレンズ,両凹の負レンズ,両凸の正レンズ,及び
両凹の負レンズから成っている。第3群Gr3は、両凸
の正レンズ,物体側に凸の正メニスカスレンズ,及び両
凹の負レンズから成っている。第4群Gr4は、両凸の
正レンズ,物体側に凸の正メニスカスレンズ,及び2枚
の像側に凹の負メニスカスレンズから成っている。第5
群Gr5は、物体側に凸の正メニスカスレンズから成っ
ている。
【0013】第4の実施の形態において、各群は物体側
から順に以下のように構成されている。第1群Gr1
は、物体側に凸の負メニスカスレンズと両凸の正レンズ
との接合レンズ,及び物体側に凸の正メニスカスレンズ
から成っている。第2群Gr2は、物体側に凸の負メニ
スカスレンズ,両凹の負レンズ,両凸の正レンズ,及び
物体側に凹の負メニスカスレンズから成っている。第3
群Gr3は、2枚の両凸の正レンズ,及び両凹の負レン
ズから成っている。第4群Gr4は、両凸の正レンズ,
両凹の負レンズ,及び物体側に凸の正メニスカスレンズ
から成っている。
【0014】上記のように、各実施の形態は、物体側か
ら順に、正のパワーを有する第1群Gr1と、負のパワ
ーを有する第2群Gr2と、正のパワーを有する第3群
Gr3と、正のパワーを有する第4群Gr4と、を備
え、広角端[W]から望遠端[T]へのズーミングにおい
て、第1群Gr1と第2群Gr2との間隔が増大し第2
群Gr2と第3群Gr3との間隔が減少するように、少
なくとも第1群Gr1,第3群Gr3及び第4群Gr4
が物体側へ移動する構成になっている。
【0015】上記特徴的構成を有するズームレンズにお
いては、第1群Gr1と第2群Gr2との間隔が広角端
[W]で最小となるため、広角端[W]では全系のパワー配
置がレトロフォーカスタイプとなる。これにより、十分
なバックフォーカスを確保することができる。逆に、第
1群Gr1と第2群Gr2との間隔が望遠端[T]で最大
となるため、望遠端[T]では全系のパワー配置がテレフ
ォトタイプとなる。これにより、望遠端[T]での全長を
短縮することが可能となる。また、ズーミングにおい
て、ビデオズームのように第1群Gr1が固定の場合と
異なり、少なくとも第1群Gr1,第3群Gr3及び第
4群Gr4が物体側へ移動するため、広角端[W]での全
長を小さくすることができる。
【0016】第1〜第4の実施の形態のように、上記特
徴的構成を有するズームレンズにおいては、以下の条件
式(1)を満足することが望ましい。 2.8<βt2/βw2<6.0 …(1) ただし、 βt2 :第2群Gr2の望遠端[T]での結像倍率、 βw2 :第2群Gr2の広角端[W]での結像倍率 である。
【0017】条件式(1)は、第2群Gr2の変倍比を適
切に保つための条件を示している。条件式(1)の上限を
上回ると、第2群Gr2の変倍比が大きくなりすぎて、
広角端[W]から望遠端[T]への物点移動が大きくなりす
ぎてしまう。このため、第2群Gr2の収差変動が大き
くなりすぎて、満足な光学性能を得ることが困難になる
ので好ましくない。一方、条件式(1)の下限を下回る
と、第2群Gr2の変倍比が小さくなりすぎて、高倍率
ズームレンズを達成することが困難になるので好ましく
ない。なお、第2群Gr2を分割して、フローティング
を行う構成においても、第2群Gr2の役割を果たす群
の全体の倍率が、上記条件式(1)を満たす範囲内にあれ
ばよい。
【0018】次の条件式(1a)を満足するのが更に望まし
い。条件式(1a)を満足することにより、更に高い光学性
能と高倍率のズームレンズを達成することができる。 3.5<βt2/βw2<5.0 …(1a)
【0019】また、第1〜第4の実施の形態のように、
上記特徴的構成を有するズームレンズにおいては、以下
の条件式(2)を満足することが望ましく、上記条件式
(1),(2)を共に満足するのが更に望ましい。 |III3t×ft×Ymax/2|<90 …(2) ただし、 III3t:第3群Gr3の望遠端[T]での非点収差係数、 ft :望遠端[T]での焦点距離、 Ymax :使用像面の対角長 であり、収差係数の計算における初期値が、α1=0,h1=
1,α#1=-1,h#1=-tであり、 α1 :第1面への近軸軸上マージナル光線の物体空間
における換算傾角、 α#1 :第1面への近軸軸外主光線の物体空間における
換算傾角、 h1 :第1面での近軸軸上マージナル光線の高さ、 h#1 :第1面での近軸軸外主光線の高さ、 t :入射瞳距離 である。
【0020】上記収差係数とは、社団法人日本オプトメ
カトロニクス協会発行の収差論(松居吉哉著)のp.61にあ
るように表現される3次の収差係数であり、一般的に広
く利用されているものである。収差係数の値は、初期値
によって(つまり正規化によって)変化するので、ここで
は上記初期値を用いて計算した値を利用している。
【0021】条件式(2)は、第3群Gr3の非点収差係
数を適切に保つための条件を示している。後述する偏心
誤差感度の導出式より、偏心収差の一つである片ボケ収
差は、焦点距離と像高に比例する。また、片ボケ収差に
影響を及ぼす収差係数は、非点収差係数(III),コマ収
差係数(II)及びペッツバール和(P)である。条件式(2)の
上限を上回ると、第3群Gr3の偏心によって発生する
片ボケ収差の発生が過大になり、非常に高精度な製造が
必要になるので好ましくない。
【0022】また、以下の条件式(3),(4)を満足するの
が望ましい。 |II3t×ft×Ymax/2|<1.7 …(3) |II4t×ft×Ymax/2|<1.2 …(4) ただし、 II3t:第3群Gr3の望遠端[T]でのコマ収差係数、 II4t:第4群Gr4の望遠端[T]でのコマ収差係数 である。
【0023】条件式(3)は、第3群Gr3のコマ収差係
数を適切に保つための条件を示している。先に述べたよ
うに、片ボケ収差は焦点距離と像高に比例し、非点収差
係数(III),コマ収差係数(II)及びペッツバール和(P)が
片ボケ収差に影響を及ぼす。条件式(3)の上限を上回る
と、第3群Gr3の偏心によって発生する片ボケ収差の
発生が過大になり、非常に高精度な製造が必要になるの
で好ましくない。
【0024】条件式(4)は、第4群Gr4のコマ収差係
数を適切に保つための条件を示している。先に述べたよ
うに、片ボケ収差は焦点距離と像高に比例し、非点収差
係数(III),コマ収差係数(II)及びペッツバール和(P)が
片ボケ収差に影響を及ぼす。条件式(4)の上限を上回る
と、第4群Gr4の偏心によって発生する片ボケ収差の
発生が過大になり、非常に高精度な製造が必要になるの
で好ましくない。
【0025】次の条件式(3a),(4a)を満足するのが更に
望ましい。条件式(3a),(4a)を満足すると、偏心誤差感
度を更に低減することができて、製造が非常に行い易く
なるため有利である。 |II3t×ft×Ymax/2|<1.0 …(3a) |II4t×ft×Ymax/2|<0.6 …(4a)
【0026】また、以下の条件式(5),(6)を満足するの
が望ましい。 |I3t×ft3/Fnot2|<0.6 …(5) |I4t×ft3/Fnot2|<0.5 …(6) ただし、 I3t:第3群Gr3の望遠端[T]での球面収差係数、 I4t:第4群Gr4の望遠端[T]での球面収差係数、 Fnot:望遠端[T]でのFナンバー(FNO) である。
【0027】条件式(5)は、第3群Gr3の球面収差係
数を適切に保つための条件を示している。後述する偏心
誤差感度の導出式より、偏心収差の一つである軸上コマ
収差は、焦点距離の3乗に比例し、Fナンバーの2乗に
反比例する。また、軸上コマ収差に影響を及ぼす収差係
数は、球面収差係数(I)とコマ収差係数(II)である。条
件式(5)の上限を上回ると、第3群Gr3の偏心によっ
て発生する軸上コマ収差の発生が過大になり、非常に高
精度な製造が必要になるので好ましくない。
【0028】条件式(6)は、第4群Gr4の球面収差係
数を適切に保つための条件を示している。先に述べたよ
うに、軸上コマ収差は焦点距離の3乗に比例しFナンバ
ーの2乗に反比例する。また、球面収差係数(I)とコマ
収差係数(II)が、軸上コマに影響を及ぼす。条件式(6)
の上限を上回ると、第4群Gr4の偏心によって発生す
る軸上コマ収差の発生が過大になり、非常に高精度な製
造が必要になるので好ましくない。
【0029】次の条件式(5a),(6a)を満足するのが更に
望ましい。条件式(5a),(6a)を満足すると、偏心誤差感
度を更に低減することができて、製造が非常に行い易く
なるため有利である。 |I3t×ft3/Fnot2|<0.46 …(5a) |I4t×ft3/Fnot2|<0.17 …(6a)
【0030】《収差係数による偏心収差の導出》光学系
の一部(例えば、面,レンズ,レンズ群)が、光軸に対し
て垂直方向に位置ズレを起こしたり傾いたりすると(す
なわち平行偏心や傾き偏心等の偏心誤差が発生した場
合)、その偏心によって光学性能が劣化する。これは、
偏心によって光学系に偏心収差が発生するからである。
この偏心収差の誤差感度は、光学系の製造を困難にする
一つの要因となる。偏心収差で主なものは、片ボケ収差
と軸上コマ収差である。
【0031】「片ボケ収差」とは、像面が光軸について
非対称になる現象である。つまり、偏心が発生すること
によって、正の画角と負の画角とで像面位置が異なって
しまう現象である。片ボケ収差は、通常、画面対角の7
割程度の画角の主光線の近軸像面位置での差の平均値で
評価される。一方、「軸上コマ収差」とは、軸上光束が
主光線に関して非対称になる現象である。回転対称であ
るべき光学系によれば、軸上の点像も通常回転対称とな
る。しかし、光学系の一部に偏心が発生すると、対称性
が崩れて像性能が大きく劣化してしまうのである。軸上
コマ収差は、通常、軸上有効径の7割程度の径の軸上の
上側ゾーナル光線(Upper)と下側ゾーナル光線(Lower)の
光線位置平均と軸上主光線位置との差で評価される。以
下に、偏心の存在する光学系の収差を検討し、収差係数
を用いて上記2つの偏心収差を導出する。
【0032】〈偏心の存在する光学系の3次の収差展開
式〉図1に、基本となる光学系と座標との関係を示す。
図1(A),(B)において、OSは物体平面、ISは像平面、P
S1は入射瞳面、PS2は射出瞳面、HS1は物体側主平面(H:
物体側主点)、HS2は像側主平面(H':像側主点)、SFは光
学系の前面、SRは光学系の後面、Nは物体空間における
屈折率、N'は像空間における屈折率である。
【0033】偏心が存在しないときの光学系の光軸を基
準軸AXとしてこれをX軸とし、これに垂直にY軸,Z軸をと
る。そして、物点OPの座標を(Y,Z)、入射瞳面PS1上の光
線の入射点の座標を(Y*,Z*)とし、これらに対応する像
空間の座標には「'」を付けて表す。ただし、像平面IS上
の光線の横収差を3次のベキ級数に展開するに当たって
は、物点OPと入射瞳面PS1上の光線の入射点の座標とし
て、次の極座標を用いて定義する。 tanω・cosφω≡Y/g$ …(1A) tanω・sinφω≡Z/g$ …(1B) R・cosφR≡(g$/g)・Y* …(2A) R・sinφR≡(g$/g)・Z* …(2B)
【0034】図1から分かるように、g,g$はそれぞれ
入射瞳面PS1,物体側主平面HS1から物体平面OSまでの距
離、ωは物点OPと物体側主点Hとを結ぶ直線が基準軸AX
となす角で、φωがそのアジムス角(azimuth)、また、R
は物体側主平面HS1上に換算した入射瞳半径でφRがその
アジムス角である。「'」は像空間を表し、「#」は軸外主光
線を表すので、αは近軸軸上マージナル光線の物体空間
における換算傾角、α#は近軸軸外主光線の物体空間に
おける換算傾角、α'は近軸軸上マージナル光線の像空
間における換算傾角、α'#は近軸軸外主光線の像空間に
おける換算傾角である。
【0035】光学系がk個のエレメントから成り立って
いるとして、偏心が存在するときの横収差をベキ級数に
展開すると、横収差ΔY',ΔZ'は以下の式(3A),(3B)に示
す形になる(β:横倍率)。球面収差,コマ収差,非点収
差,ペッツバール和及び歪曲収差にそれぞれ対応する3
次の収差係数はI,II,III,P及びVであり、指数μはエ
レメント番号であり、α'=α'k,α'#=α'#kである。な
お、総和記号Σを用いた表示は、以下の例に示すように
行うものとする(以下同様。)。
【0036】
【外1】
【0037】 ΔY'≡Y'-β・Y =-[1/(2・α')]・{(N・tanω)3・cosφω・(μ=1→k)ΣVμ +R・(N・tanω)2・[2・cos(φR-φω)・cosφω・(μ=1→k)ΣIIIμ +cosφR・(μ=1→k)Σ(IIIμ+Pμ)] +R2・(N・tanω)・[2・cosφR・cos(φR-φω)+cosφω]・(μ=1→k)ΣIIμ +R3・cosφR・(μ=1→k)ΣIμ} +{偏心による付加項(Y成分)} …(3A) ΔZ'≡Z'-β・Z =-[1/(2・α')]・{(N・tanω)3・sinφω・(μ=1→k)ΣVμ +R・(N・tanω)2・[2・cos(φR-φω)・sinφω・(μ=1→k)ΣIIIμ +sinφR・(μ=1→k)Σ(IIIμ+Pμ)] +R2・(N・tanω)・[2・sinφR・cos(φR-φω)+sinφω]・(μ=1→k)ΣIIμ +R3・sinφR・(μ=1→k)ΣIμ} +{偏心による付加項(Z成分)} …(3B)
【0038】これらの式(3A),(3B)において、
右辺の最初の{ }内は偏心の存在しないときの光学系本
来の収差を表す項であり、偏心が存在すると、偏心によ
って発生した収差項がそれに加わる形になる。光学系中
の任意のエレメント(単一面であっても複数面から成る
複合系であってもよい。)が偏心する場合、その偏心に
は、光学系の基準軸AXに対して垂直な方向に平行移動す
る「平行偏心」と、基準軸AXに対して傾く「傾き偏心」と、
がある。それらの影響は、いずれも上記式(3A),(3B)の
右辺最後の付加項として表される。
【0039】〈平行偏心収差係数の導出〉図2(A)は、
光学系中の任意のν番目のエレメント(以下「第νエレ
メント」といい、第νエレメントの光軸をAXνで表
す。)Dνが、光学系の基準軸AXに対して垂直なY方向
に、微小量Eνだけ平行偏心した状態を示している。こ
の平行偏心による収差係数の付加項ΔY(Eν),ΔZ(Eν)
は、以下の式(4A),(4B)で表される。 ΔY(Eν)=-[Eν/(2・α'k)]・{(ΔE)ν +(N・tanω)2・[(2+cos2φω)・(VE1)ν-(VE2)ν] +2・R・(N・tanω)・[(2・cos(φR-φω)+cos(φR+φω))・(IIIE)ν +cosφR・cosφω・(PE)ν] +R2・(2+cos2φR)・(IIE)ν} …(4A) ΔZ(Eν)=-[Eν/(2・α'k)]・{(N・tanω)2・sin2φω・(VE1)ν +2・R・(N・tanω)・[sin(φR+φω)・(IIIE)ν +sinφR・cosφω・(PE)ν] +R2・sin2φR・(IIE)ν} …(4B)
【0040】ただし、偏心収差係数は以下の式(4C)〜(4
H)で定義される。 (ΔE)ν=-2・(α'ν-αν) …(4C) (VE1)ν={[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣVμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣVμ]} -{[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣIIIμ]} …(4D) (VE2)ν=[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣPμ] …(4E) (IIIE)ν={[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣIIIμ]} -{[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣIIμ]} …( 4F) (PE)ν=[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣPμ] …(4G) (IIE)ν={[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣIIμ]} -{[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣIμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣIμ]} …(4H )
【0041】上記式(4C)〜(4H)の偏心収差係数は、偏心
による影響を表しており、それぞれ以下の内容の結像の
欠陥を代弁する働きをする。また、式(4A),(4B)から分
かるように、偏心量Eνは右辺全体にかかるので、偏心
によって発生する収差の量はEνに比例する。 (ΔE)ν:プリズム作用(像の横ずれ)。 (VE1)ν,(VE2)ν:回転非対称な歪曲。 (IIIE)ν,(PE)ν:回転非対称な非点収差,像面の傾
き。 (IIE)ν:軸上にも現れる回転非対称なコマ収差。
【0042】式(4A)〜(4H)は、第νエレメントDνのみ
が平行偏心した場合を示しているが、この第νエレメン
トDνが単一面から成るとすれば、複数の面i〜jが平行
偏心する場合(つまり、偏心するレンズ群が第i面から第
j面から成る場合)には、偏心する各面i〜jの偏心量Ei〜
Ejは等しいので、式:(ΔE)i〜j=(ν=i→j)Σ[-2・(α'
ν-αν)]で示すように、収差係数を和として扱うこと
ができる。そして、α'ν=αν+1より、式:(ΔE)i〜j
=-2・(α'j-αi)が得られる。
【0043】その他の収差係数についても、同様にΣの
途中の項が消える。例えばPEでは、 (PE)i〜j=(ν=i→j)Σ[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ-αν・(μ=ν→k)ΣPμ] =α'j・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・(μ=i→k)ΣPμ =(α'j-αi)・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・(μ=i→j)ΣPμ =(α'j-αi)・(P)R-αi・(P)D ここで、 (P)R=(μ=j+1→k)ΣPμ:偏心するレンズ群(以下「偏
心群」ともいう。)より像側に位置するすべてのレンズ
面から成る群(以下「像側群」ともいう。)の収差係数P
の和、 (P)D=(μ=i→j)ΣPμ :偏心群の収差係数Pの和 である。したがって、偏心収差係数のΣは、像側群の収
差係数の和{( )Rで表現する。}と、偏心群の収差係数の
和{( )Dで表現する。}と、で表すことができる。
【0044】[片ボケ収差]次に、片ボケ収差を説明す
る。式(4A),(4B)から、非点収差のメリディオナルは、
[ΔY'の(Rの1次項)φR=0]×g'$kであり、サジタルは
[ΔZ'の(Rの1次項)φR=π/2]×g'$kである。したがっ
て、メリディオナル片ボケΔMνは、以下の式(5A)で表
される。ここで、α'k=N'k/g'$k,φω=0より、式(5B)
が得られる。 ΔMν=-[Eν・g'$k/(2・α'k)]・2・(N・tanω)・[(2・cos(φω)+cos(φω))・(II IE)ν+cos(φω)・(PE)ν] …(5A) ΔMν=-Eν・(g'$k2/N'k)・(N・tanω)・[3・(IIIE)ν+(PE)ν] …(5B)
【0045】物点OPを無限遠とすると、g'$k→FL(FL:全
系の焦点距離),N・tanω=Y'/FL(Y':像高)なので、メリ
ディオナル片ボケΔM"νを表す式(5C)が得られる。同様
にして、サジタル片ボケΔS"νを表す式(5D)が得られ
る。 ΔM"ν=-Eν・FL・Y'・[3・(IIIE)ν+(PE)ν] …(5C) ΔS"ν=-Eν・FL・Y'・[(IIIE)ν+(PE)ν] …(5D)
【0046】以上は第ν面が偏心した場合であるが、レ
ンズ群(第i面から第j面で構成される)が偏心した場合に
はΣをとって、メリディオナル片ボケ(ΔM")i〜j,サジ
タル片ボケ(ΔS")i〜jを表す式(5E),(5F)が得られる。
ここで、偏心量をEとする。 (ΔM")i〜j=-E・FL・Y'・[3・(IIIE)i〜j+(PE)i〜j] …(5E) (ΔS")i〜j=-E・FL・Y'・[(IIIE)i〜j+(PE)i〜j] …(5F) ただし、ブロック(レンズ群)の偏心収差係数は、以下の
式(5G),(5H)でメリディオナル,サジタルのそれぞれに
ついて表される。 [3・(IIIE)i〜j+(PE)i〜j]=(α'j-αi)・[3・(III)R+(P)R]-αi・[3・(III)D+(P )D]-(α'#j-α#i)・[3・(II)R]+α#i・[3・(II)D] …(5G) [(IIIE)i〜j+(PE)i〜j]=(α'j-αi)・[(III)R+(P)R]-αi・[(III)D+(P)D]-( α'#j-α#i)・[(II)R]+α#i・[(II)D] …(5H)
【0047】[軸上コマ収差]次に、軸上コマ収差を説
明する。軸上コマ収差は、前述したように、軸上光のUp
perとLowerの主光線位置との差の平均値である。したが
って、偏心によるUpperのコマ(ΔYU)νとLowerのコマ
(ΔYL)νとから{(6A),(6B)}、式(6C)に示す軸上コマ収
差(AXCM)νが導かれる。 (ΔYU)ν=(ΔY)(ω=0,φR=0)-(ΔY)(ω=0,R=0) =-[Eν/(2・α'k)]・R2・3・(IIE)ν …(6A) (ΔYL)ν=(ΔY)(ω=0,φR=π)-(ΔY)(ω=0,R=0) =-[Eν/(2・α'k)]・R2・3・(IIE)ν …(6B) (AXCM)ν=[(ΔYU)ν+(ΔYL)ν]/2 =-[Eν/(2・α'k)]・R2・3・(IIE)ν …(6C)
【0048】物点を無限遠とすると、1/α'k→-FLとな
る。また、RとFNO(全系のFナンバー)との関係は、式:
R=[FL/(2・FNO)]×κ(ここで、κ:瞳分割比,通常は0.7
である。)で表される。したがって、軸上コマ収差(AXC
M")νは、式(6D)で表される。 (AXCM")ν=Eν・(3・κ2・FL3)/(8・FNO2)・(IIE)ν …(6D)
【0049】以上は第ν面が偏心した場合であるが、レ
ンズ群(第i面から第j面で構成される)が偏心した場合は
Σをとって、式(6E)が得られる。ただし、ブロックの偏
心収差係数は、式(6F)で表される。 (AXCM")i〜j=E・[(3・κ2・FL3)/(8・FNO2)]・(IIE)i〜j …(6E) (IIE)i〜j=(α'j-αi)・(II)R-αi・(II)D-(α'#j-α#i)・(I)R+α#i・(I)D …(6F)
【0050】〈傾き偏心収差係数の導出〉図2(B)は、
第νエレメントDνが、光学系の基準軸AXに対して点Cを
中心に角度ενだけ傾いた状態を示している。この傾き
偏心による収差係数の付加項ΔY(εν),ΔZ(εν)は、
以下の式(7A),(7B)で表される。なお、点Cから第νエレ
メントDνの入射瞳面PS1,物体面OS;それらに対応する
射出瞳面PS2,像面ISまでの距離を、それぞれpν,q
ν;p'ν,q'νとする。 ΔY(εν)=-[εν/(2・α'k)]・{(Δε)ν +(N・tanω)2・[(2+cos2φω)・(Vε1)ν-(Vε2)ν] +2・R・(N・tanω)・[(2・cos(φR-φω)+cos(φR+φω))・(IIIε)ν +cosφR・cosφω・(Pε)ν] +R2・(2+cos2φR)・(IIε)ν} …(7A) ΔZ(εν)=-[εν/(2・α'k)]・{(N・tanω)2・sin2φω・(Vε1)ν +2・R・(N・tanω)・[sin(φR+φω)・(IIIε)ν +sinφR・cosφω・(Pε)ν] +R2・sin2φR・(IIε)ν} …(7B)
【0051】ただし、偏心収差係数は以下の式(7C)〜(7
H)で定義される。 (Δε)ν=-2・(α'ν・q'ν-αν・qν) …(7C) (Vε1)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣVμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣVμ] } -{[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)Σ IIIμ]} +[(α'#ν/N'ν)-(α#ν/Nν)] …(7D) (Vε2)ν={[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)ΣP μ]} +[(α'#ν/N'ν)-(α#ν/Nν)] …(7E) (IIIε)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣII Iμ]} -{[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)ΣI Iμ]} …(7F) (Pε)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣPμ] } +[(α'ν/N'ν)-(αν/Nν)] …(7G) (IIε)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣII μ]} -{[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣIμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)ΣI μ]} …(7H)
【0052】傾き偏心の場合も、平行偏心の場合と同様
に、Σをとった場合について考える。偏心するレンズ群
を第i面から第j面とすると、例えば、Pεでは、 (Pε)i〜j=(ν=i→j)Σ{α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ-αν・qν・(μ=ν →k)ΣPμ]+[(α'ν/N'ν)-(αν/Nν)]} =α'j・q'j・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・qi・(μ=i→k)ΣPμ+(ν=i→j) Σ[(α'ν/N'ν)-(αν/Nν)] =(α'j・q'j-αi・qi)・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・qi・(μ=i→j)ΣPμ+[ (α'j/N'j)-(αi/Ni)] =(α'j・q'j-αi・qi)・(P)R-αi・qi・(P)D+[(α'j/N'j)-(αi/Ni)] ここで、 (P)R=(μ=j+1→k)ΣPμ:像側群の収差係数Pの和、 (P)D=(μ=i→j)ΣPμ :偏心群の収差係数Pの和 である。したがって、偏心収差係数のΣは、像側群の収
差係数の和と、偏心群の収差係数の和と、定数項と、で
表すことができる。
【0053】[片ボケ収差]片ボケ収差は、平行偏心の
場合と同様に行うと、メリディオナル片ボケ(ΔM")i〜
j,サジタル片ボケ(ΔS")i〜jを表す式(8A),(8B)で表さ
れる。ここで、偏心量をεとする。 (ΔM")i〜j=-ε・FL・Y'・[3・(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j] …(8A) (ΔS")i〜j=-ε・FL・Y'・[(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j] …(8B) ただし、ブロックの偏心収差係数は、以下の式(8C),(8
D)でメリディオナル,サジタルのそれぞれについて表さ
れる。 [3・(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j]=(α'j・q'j-αi・qi)・[3・(III)R+(P)R]-αi・qi[ 3・(III)D+(P)D]-(α'#j・p'j-α#i・pi)・[3・(II)R]+α#i・pi[3・(II)D]+[(α'j/N'j )-(αi/Ni)] …(8C) [(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j]=(α'j・q'j-αi・qi)・[(III)R+(P)R]-αi・qi[(III )D+(P)D]-(α'#j・p'j-α#i・pi)・[(II)R]+α#i・pi[(II)D]+[(α'j/N'j)-(αi/Ni) ] …(8D)
【0054】[軸上コマ収差]軸上コマも、平行偏心の
場合と同様に行うと、式(9A)で示すようになる。ただ
し、ブロックの偏心収差係数は式(9B)で表される。 (AXCM")i〜j=ε・[(3・κ2・FL3)/(8・FNO2)]・(IIE)i〜j …(9A) (IIε)i〜j=(α'j・q'j-αi・qi)・(II)R-αi・qi・(II)D-(α'#j・p'j-α#i・pi)・ (I)R+α#i・pi・(I)D …(9B)
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施したズームレンズの構成
を、コンストラクションデータ,収差図等を挙げて、更
に具体的に説明する。ここで例として挙げる実施例1〜
4は、前述した第1〜第4の実施の形態にそれぞれ対応
しており、第1〜第4の実施の形態を表すレンズ構成図
(図3〜図6)は、対応する実施例1〜4のレンズ構成を
それぞれ示している。
【0056】各実施例のコンストラクションデータにお
いて、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面の
曲率半径、di(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の
軸上面間隔を示しており、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=1,2,
3,...)は物体側から数えてi番目のレンズのd線に対す
る屈折率(Nd),アッベ数(νd)を示している。また、
コンストラクションデータ中、ズーミングにおいて変化
する軸上面間隔(可変間隔)は、広角端(短焦点距離端)
[W]〜ミドル(中間焦点距離状態)[M]〜望遠端(長焦点
距離端)[T]での各群間の軸上間隔である。各焦点距離
状態[W],[M],[T]に対応する全系の焦点距離f及び
FナンバーFNOを併せて示し、表1に各実施例の条件式
対応値を示す。
【0057】また、曲率半径riに*印が付された面は、
非球面で構成された面であることを示し、非球面の面形
状を表わす次の式(AS)で定義されるものとする。 X=(C・Y2)/{1+(1-ε・Y2・C2)1/2}+Σ(Ai・Yi) …(AS) ただし、式(AS)中、 X :光軸方向の基準面からの変位量、 Y :光軸に対して垂直な方向の高さ、 C :近軸曲率、 ε:2次曲面パラメータ、 Ai:i次の非球面係数 である。
【0058】
【0059】[第7面(r7)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.53919477×10-5 A6= 0.12977480×10-7 A8=-0.92785020×10-9 A10= 0.90916534×10-11 A12=-0.30151659×10-13
【0060】[第21面(r21)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.30616607×10-4 A6= 0.40057328×10-8 A8= 0.18051696×10-8 A10=-0.17647138×10-10 A12= 0.37134339×10-13
【0061】[第24面(r24)の非球面データ] ε= 1.0000 A4=-0.52277831×10-5 A6=-0.19537092×10-5 A8= 0.70231340×10-7 A10=-0.15680965×10-8 A12= 0.13290194×10-10
【0062】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.64498729×10-4 A6=-0.13743911×10-5 A8= 0.53064396×10-7 A10=-0.12302255×10-8 A12= 0.10915068×10-10
【0063】
【0064】[第7面(r7)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.13382026×10-4 A6= 0.98519488×10-7 A8=-0.20533289×10-8 A10= 0.14078856×10-10 A12=-0.28051717×10-13
【0065】[第21面(r21)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.56033831×10-4 A6= 0.20859596×10-6 A8=-0.89435819×10-9 A10=-0.32902126×10-10 A12= 0.14244659×10-11
【0066】[第24面(r24)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.24244833×10-5 A6=-0.18608783×10-5 A8= 0.65868793×10-7 A10=-0.15356660×10-8 A12= 0.15529677×10-10
【0067】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.52954566×10-4 A6=-0.15597732×10-5 A8= 0.56109687×10-7 A10=-0.13012153×10-8 A12= 0.13945660×10-10
【0068】
【0069】[第20面(r20)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.18678882×10-4 A6=-0.47853636×10-7 A8= 0.37470232×10-9 A10= 0.11785832×10-10 A12=-0.16578337×10-12
【0070】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.65904779×10-5 A6=-0.13944774×10-6 A8=-0.94140733×10-8 A10=-0.23493494×10-10 A12= 0.14565145×10-11 A14= 0.25270598×10-13 A16=-0.37388998×10-15
【0071】[第26面(r26)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.49504291×10-4 A6= 0.47600063×10-6 A8=-0.17908974×10-7 A10=-0.55364564×10-10 A12= 0.32457935×10-11 A14= 0.32959983×10-13 A16=-0.62440082×10-15
【0072】
【0073】[第7面(r7)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.36769989×10-5 A6= 0.41248601×10-7 A8=-0.14463614×10-8 A10= 0.13336293×10-10 A12=-0.42968679×10-13
【0074】[第21面(r21)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.24207157×10-4 A6=-0.48361840×10-7 A8= 0.59586676×10-9 A10= 0.11850291×10-10 A12=-0.83049270×10-13
【0075】[第22面(r22)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.38207372×10-5 A6=-0.14625447×10-6 A8= 0.61670087×10-9 A10= 0.32098242×10-10 A12= 0.20509427×10-12
【0076】[第24面(r24)の非球面データ] ε= 1.0000 A4=-0.50603100×10-5 A6=-0.19631458×10-5 A8= 0.68324345×10-7 A10=-0.16425773×10-8 A12= 0.13554701×10-10
【0077】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.66529459×10-4 A6=-0.14010843×10-5 A8= 0.49766763×10-7 A10=-0.12822056×10-8 A12= 0.11654932×10-10
【0078】
【表1】
【0079】図7〜図10は、実施例1〜実施例4にそ
れぞれ対応する収差図であり、各図中、[W]は広角端,
[M]はミドル,[T]は望遠端における諸収差(左から順
に、球面収差等,非点収差,歪曲;Y':像高)を示してい
る。また、各収差図中、実線(d)はd線に対する収差、
破線(SC)は正弦条件を表しており、破線(DM)と実線
(DS)は、メリディオナル面とサジタル面でのd線に対
する非点収差をそれぞれ表わしている。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
倍率でコンパクトでありながら、誤差感度が従来に比べ
て十分に小さく製造が極めて容易なズームレンズを実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学系と座標との関係及び収差係数を説明する
ための図。
【図2】偏心収差係数の導出を説明するための図。
【図3】実施例1のレンズ構成図。
【図4】実施例2のレンズ構成図。
【図5】実施例3のレンズ構成図。
【図6】実施例4のレンズ構成図。
【図7】実施例1の収差図。
【図8】実施例2の収差図。
【図9】実施例3の収差図。
【図10】実施例4の収差図。
【符号の説明】
Gr1 …第1群 Gr2 …第2群 Gr3 …第3群 Gr4 …第4群 Gr5 …第5群 A …絞り

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側から順に、正のパワーを有する第
    1群と、負のパワーを有する第2群と、正のパワーを有
    する第3群と、正のパワーを有する第4群と、を備え、
    広角端から望遠端へのズーミングにおいて、第1群と第
    2群との間隔が増大し第2群と第3群との間隔が減少す
    るように、少なくとも第1群,第3群及び第4群が物体
    側へ移動し、更に以下の条件式を満足することを特徴と
    するズームレンズ; 2.8<βt2/βw2<6.0 |III3t×ft×Ymax/2|<90 ただし、 βt2 :第2群の望遠端での結像倍率、 βw2 :第2群の広角端での結像倍率、 III3t:第3群の望遠端での非点収差係数、 ft :望遠端での焦点距離、 Ymax :使用像面の対角長 であり、収差係数の計算における初期値が、α1=0,h1=
    1,α#1=-1,h#1=-tであり、 α1 :第1面への近軸軸上マージナル光線の物体空間
    における換算傾角、 α#1 :第1面への近軸軸外主光線の物体空間における
    換算傾角、 h1 :第1面での近軸軸上マージナル光線の高さ、 h#1 :第1面での近軸軸外主光線の高さ、 t :入射瞳距離 である。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002323656A (ja) * 2001-04-25 2002-11-08 Nikon Corp ズームレンズ
US6556356B2 (en) 2000-09-28 2003-04-29 Nikon Corporation Zoom lens system
KR100726777B1 (ko) 2005-10-31 2007-06-11 삼성테크윈 주식회사 줌 렌즈 광학계

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