JPH1130705A - 反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ - Google Patents

反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ

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JPH1130705A
JPH1130705A JP9173098A JP17309897A JPH1130705A JP H1130705 A JPH1130705 A JP H1130705A JP 9173098 A JP9173098 A JP 9173098A JP 17309897 A JP17309897 A JP 17309897A JP H1130705 A JPH1130705 A JP H1130705A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 眼鏡用プラスチック基材に対し第1層に高屈
折率物質を成膜して多層の反射防止膜を施す場合に、プ
ラスチック基材の面を改質してクラックの発生を防止す
る。 【解決手段】 プラスチック基材10にスパッタ法を用い
て反射防止膜13を施してなる眼鏡プラスチックレンズで
あり、反射防止膜は、プラスチック基材側の第1層を高
屈折率物質131 としかつその次の層を低屈折率物質132
として、これらの高屈折率物質と低屈折率物質を交互に
積層して成膜された多層膜であり、プラスチック基材に
は前処理層としてSiO(2-x) の超薄膜12を成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射防止膜を有す
る眼鏡プラスチックレンズに関し、特に、高い評価の膜
性能を持つ反射防止膜がスパッタ法を利用して施されて
なる眼鏡プラスチックレンズにおいて反射防止膜でのク
ラックの発生を防止した構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、眼鏡のレンズでは、軽量、耐衝撃
性に優れるという観点からプラスチックが多用されてい
る。この眼鏡プラスチックレンズではその両面に反射防
止膜が成膜されている。反射防止膜は眼鏡プラスチック
レンズにおける表面反射を防止する。表面反射が生じる
と、光学系の透過率を低下させ、結像に寄与しない光の
増加をもたらし、像のコントラストを低下させる原因と
なるからである。眼鏡プラスチックレンズの反射防止膜
は、従来、主に真空蒸着法により単層膜または多層膜と
して形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、スパッタ法(ま
たはスパッタリング法)を利用して簡単な構成で眼鏡プ
ラスチックレンズに反射防止膜を成膜し、生産性を高め
た成膜の方法および装置が提案されつつある。この成膜
装置では、真空容器内にターゲットを交換することによ
り異なる薄膜を作製できるスパッタ成膜室を備えてお
り、眼鏡プラスチックレンズを大気にさらすことなくス
パッタ成膜室で、レンズ表面に多層の反射防止膜を成膜
でき、さらに当該レンズの両面を同時に成膜することが
できる。この成膜装置によれば、眼鏡プラスチックレン
ズの表面に多層の膜を堆積させる場合、上記真空容器内
に、各膜の物質に応じたターゲットを装備し、ターゲッ
トを交換してスパッタ成膜を行えばよいので、例えば高
屈折率物質と低屈折率物質の2種の膜を交互に繰り返し
積層させて膜形成を行うことにより、多層構造の反射防
止膜を容易に形成することができ、各層の膜の厚み等の
制御を正確に行うことによって評価の高い膜性能を有し
た反射防止膜を形成することができる。
【0004】しかしながら、有機物である眼鏡用のプラ
スチック基材に対して、反射防止膜の第1層として高屈
折率物質を成膜した場合、経時による吸水(吸湿)や外
部から加圧で界面の応力バランスが変化し、反射防止膜
に界面からクラックが生じやすくなるという問題が起き
る。例えば、第1層として高屈折率物質から成膜した多
層の反射防止膜が施された眼鏡プラスチックレンズを、
眼鏡フレームにかなり強い力で締め付けてはめ入れ、吸
水させると、眼鏡プラスチックレンズのエッジ部分から
クラックが発生する場合がある。
【0005】本発明の目的は、上記の問題を解決するこ
とにあり、有機物である眼鏡用プラスチック基材に対し
第1層に高屈折率物質を成膜して多層の反射防止膜を施
す場合に、プラスチック基材の面を改質してクラックの
発生を防止するようにした反射防止膜を有する眼鏡プラ
スチックレンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズは、上記の
目的を達成するため、次のように構成される。
【0007】第1の眼鏡プラスチックレンズ(請求項1
に対応): プラスチック基材にスパッタ法を用いて反
射防止膜を施してなる眼鏡プラスチックレンズであり、
反射防止膜は、プラスチック基材側の第1層を高屈折率
物質としかつその次の層を低屈折率物質として、これら
の高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層して成膜さ
れた多層膜であり、プラスチック基材には前処理層とし
てSiO(2-x) の超薄膜を成膜するように構成される。
【0008】上記眼鏡プラスチックレンズでは、多層構
造の反射防止膜の第1層の高屈折率膜とプラスチック基
材の間に前処理層としての超薄膜を設けたため、この前
処理層によって反射防止膜におけるクラックの発生を防
止できる。
【0009】第2の眼鏡プラスチックレンズ(請求項2
に対応): 第1の眼鏡プラスチックレンズにおいて、
好ましくは、超薄膜の膜厚は15〜50オングストロー
ムの範囲に含まれる。
【0010】第3の眼鏡プラスチックレンズ(請求項3
に対応): 第1または第2の眼鏡プラスチックレンズ
において、好ましくは、高屈折率物質は、Zr,Ti,
Taのいずれか、またはこれらのうち2つ以上の合金か
らなるターゲットを用いてスパッタ法で成膜された金属
酸化物であり、低屈折率物質はSiのターゲットを用い
てスパッタ法で成膜された金属酸化物である。
【0011】第4の眼鏡プラスチックレンズ(請求項4
に対応): 第3の眼鏡プラスチックレンズにおいて、
好ましくは、高屈折率物質のターゲットはSiを含むよ
うに構成される。これによって、高屈折率膜はSiを含
んで形成され、膜の硬さや耐久性等が改善される。
【0012】第5の眼鏡プラスチックレンズ(請求項5
に対応): 第3の眼鏡プラスチックレンズにおいて、
好ましくは、高屈折率物質の成膜時に高屈折率物質のタ
ーゲットとは別にSiのターゲットを設け、これらの2
種類のターゲットを同時にスパッタして高屈折率物質を
混合膜として成膜するようにした。この場合にも、高屈
折率膜の中にSiを含んで、膜の硬さ等が改善される。
【0013】第6の眼鏡プラスチックレンズ(請求項6
に対応): 上述の眼鏡プラスチックレンズにおいて、
好ましくは、反射防止膜は10層の多層膜であり、中間
に位置する第6層の低屈折率物質の膜厚を大きくするよ
うにした。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0015】図1は反射防止膜の膜構造の一例を示す模
式的断面図であり、眼鏡プラスチックレンズの両面に成
膜される反射防止膜の一方を示す。図1に示したプラス
チック基材10は眼鏡プラスチックレンズの基材であ
る。プラスチック基材10の材質には、例えばCR−3
9(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合
体)が使用される。このプラスチック基材10の表面に
は、当該表面の硬度を高める目的でハード膜11がコー
ティングされている。ハード膜11には例えばコロイド
状シリカ含有の有機ケイ素系樹脂が使用され、その組成
物の詳細については例えば特公平4−55615号公報
に記述されている。なお眼鏡プラスチックレンズのプラ
スチック基材は、通常、曲率を有し、湾曲した形状を有
している。しかし、図1では、説明の便宜上、平板の形
態で示されている。プラスチック基材が湾曲していると
き、その上に成膜される膜は、一般的に基材表面に沿っ
て湾曲する。
【0016】上記プラスチック基材10の上には、多層
膜構造の反射防止膜13が、好ましくはスパッタ成膜法
によって施されている。反射防止膜13は、実際上、上
記ハード膜11の上に成膜される。さらに詳しくは、ハ
ード膜11と反射防止膜13の間には、前処理層とし
て、SiO(2-x) (x=0,1)の超薄膜12が成膜さ
れている。
【0017】まず反射防止膜13について説明する。本
実施形態による反射防止膜13は、図1に示されるよう
に、例えば10層の多層膜として構成される。この反射
防止膜13で、プラスチック基材10の側に位置する最
下層の膜131は高屈折率膜である。高屈折率膜131
の上に、次に成膜されるのは、低屈折率膜132であ
る。その後、高屈折率膜と低屈折率膜の順序で、これら
の膜133〜140が順次に交互に繰り返して成膜され
る。その結果、第1層、第3層、第5層、第7層、第9
層の膜131,133,135,137,139が高屈
折率膜となり、第2層、第4層、第6層、第8層、第1
0層の膜132,134,136,138,140が低
屈折率膜となって積層され、多層膜構造を有する反射防
止膜13が形成される。第10層の低屈折率膜140の
外側は大気である。
【0018】本実施形態の場合では、上記高屈折率膜を
形成する高屈折率物質は例えばジルコニウム(Zr)の
金属酸化物ZrO2 であり、上記低屈折率膜を形成する
低屈折率物質は例えばシリコン(Si)の金属酸化物S
iO2 である。高屈折率物質としては、その他に、チタ
ン(Ti)、タンタル(Ta)のいずれかの金属酸化物
(TiO2 やTa2 5 等)を用いることができる。さ
らに高屈折率物質としてジルコニウム(Zr)、チタン
(Ti)、タンタル(Ta)のうち2つ以上の合金から
なる金属酸化物を用いることもできる。以上の高屈折率
膜と低屈折率膜は好ましくはスパッタ法を利用して作製
される。このため、高屈折率物質のターゲットと低屈折
率物質のターゲットが用意される
【0019】また上記の高屈折率膜については、前述の
高屈折率物質とSiを含む混合膜として形成することも
可能である。高屈折率膜の中にSiを含ませることによ
り、膜の硬さ、耐久性等の性能を改善することができ
る。このような混合膜の作り方としては、例えば2つの
方法を用いることができる。第1の方法は、上記高屈折
率物質のターゲットの中にSiを含ませることである。
このようなターゲットを用いてスパッタ成膜を行うこと
によって、Siを含む高屈折率膜を堆積させることがで
きる。第2の方法は、上記高屈折率物質のターゲットと
は別にSiのターゲットを設けることである。高屈折率
物質のターゲットとSiのターゲットは、同時にスパッ
タされ、混合膜が形成される。Siのターゲットは低屈
折率物質のターゲットを併用することもできる。
【0020】上述のように形成される多層膜構造の反射
防止膜13において、各層の高屈折率膜と低屈折率膜の
膜厚は、λを500nm(ナノメートル)とするとき、
好ましくは次のように設定される。
【0021】第1層の高屈折率膜の膜厚は0.075λ
〜0.085λの範囲に含まれ、第2層の低屈折率膜の
膜厚は0.115λ〜0.130λの範囲に含まれ、第
3層の高屈折率膜の膜厚は0.177λ〜0.199λ
の範囲に含まれ、第4層の低屈折率膜の膜厚は0.10
1λ〜0.114λの範囲に含まれ、第5層の高屈折率
膜の膜厚は0.102λ〜0.115λの範囲に含ま
れ、第6層の低屈折率膜の膜厚は0.471λ〜0.5
11λの範囲に含まれ、第7層の高屈折率膜の膜厚は
0.102λ〜0.115λの範囲に含まれ、第8層の
低屈折率膜の膜厚は0.045λ〜0.060λの範囲
に含まれ、第9層の高屈折率膜の膜厚は0.270λ〜
0.304λの範囲に含まれ、第10層の低屈折率膜の
膜厚は0.244λ〜0.275λの範囲に含まれるよ
うに設定される。以上において、各層のもっとも好まし
い膜厚の値は、各範囲における中心値である。
【0022】前述の反射防止膜13では、その総膜厚が
4800〜5800オングストロームの範囲に含まれる
ことが好ましく、さらに、そのうち低屈折率膜の総膜厚
が3500オングストローム以上となることが好まし
い。これは、反射防止膜として要求される硬さ、耐摩耗
性等の耐久性、膜としての密着性等を確保するためであ
る。本実施形態の場合には、特に、中間領域に位置する
第6層の低屈折率膜136の膜厚を、他の膜に比較して
相対的に厚くしており、これによって反射防止膜13に
おける必要な膜厚を達成し、硬さや耐久性等の要求条件
を満足させている。複数の低屈折率膜のうちに中間に位
置する膜を相対的に厚くしたのは、膜の持つストレス等
の観点でかかる構造が適しているという理由に基づく。
【0023】なお、多層膜構造の反射防止膜13の層数
は上記の10層に限定されない。多層膜構造を持つ反射
防止膜の層数は、膜の生産性の観点からいえば、少ない
方が好ましいが、要求される膜性能との関係で任意に定
められるものである。
【0024】また通常の眼鏡プラスチックレンズのプラ
スチック基材では、前述の通り、曲率を有し、湾曲形状
を有する。湾曲したプラスチック基材に対して、図1に
示された多層膜構造を有する反射防止膜13を、スパッ
タ法を用いて作製する場合、プラスチック基材の各部の
曲率に依存して膜厚分布差が生じ、それに起因する干渉
色ムラや、斜め入射による干渉色変化が発生する。そこ
で、このような不具合を低減するために、前述の反射防
止膜13は広帯域特性を有する膜として設計されること
が好ましい。
【0025】上記の多層膜構造を有する反射防止膜13
をプラスチック基材10に施すにあたり、前述の通り、
前処理層としてSiO(2-x) の超薄膜12が成膜され
る。超薄膜12の膜厚は15〜50オングストロームの
範囲に含まれることが好ましい。このような超薄膜12
を前処理層として施すことによって、プラスチック基材
10の界面と高屈折率膜131の間の応力バランスが適
切になるように変化し、その結果、耐湿、加圧に起因す
る反射防止膜13におけるクラックの発生を防止し、眼
鏡プラスチックレンズとしての外観性を良好に保つこと
ができる。また当然のことながら、反射防止膜13とプ
ラスチック基材10との密着性も高く保持できる。なお
上記超薄膜12の膜厚が50オングストロームを越える
と、密着性が低下するという不具合が生じる。
【0026】次に、図2を参照して、前述の構成を有す
る反射防止膜(A)と、他の構成を有する2例の反射防
止膜(B),(C)とを比較する。図2(A)で、多層
膜構造の反射防止膜13は10層の高屈折率膜と低屈折
率膜からなる。反射防止膜13の図中左端の1〜10の
数字は層番号を示している。第1層の高屈折率膜から第
10層の低屈折率膜までの各層の厚みは、図中に記入さ
れる通り0.08λ、0.12λ、0.19λ、0.1
1λ、0.11λ、0.49λ、0.11λ、0.05
λ、0.29λ、0.26λである。これらの膜厚は、
前述した各層の膜厚の範囲に含まれている。反射防止膜
13の上記構造は、図2(B),(C)の各反射防止膜
においても同じである。
【0027】図2(A)の構成では、上記反射防止膜1
3が、表面にハード膜11がコーティングされたプラス
チック基材10の上に、15オングストローム(Å)の
膜厚のSiO(2-x) の超薄膜12を介して成膜されてい
る。すなわちSiO(2-x) の超薄膜12が前処理として
施されている。なお第10層の低屈折率膜の上側は大気
となっている。
【0028】上記に対して図2(B)の構成では、反射
防止膜13と、表面にハード膜11がコーティングされ
たプラスチック基材10との間に、同様に、SiO
(2-x) の薄膜12aが前処理として施されている。しか
しながら、この例では薄膜12aの膜厚は80オングス
トロームであり、50オングストロームより大きく、前
述の範囲に含まれないものとなっている。
【0029】さらに図2(C)の構成では、反射防止膜
13と、表面にハード膜11がコーティングされたプラ
スチック基材10との間に、SiO(2-x) の薄膜が施さ
れていない。すなわち、前述の超薄膜による前処理がま
ったく施されていない。反射防止膜13は、ハード膜1
1がコーティングされたプラスチック基材10上に直接
に成膜されている。
【0030】次に、図2の(A),(B),(C)に示
された構成を有する各眼鏡プラスチックレンズの膜性能
を比較する。この比較では、図2の(A),(B),
(C)に示された各構成を有する眼鏡プラスチックレン
ズを作製し、これらの眼鏡プラスチックレンズを眼鏡フ
レームにはめ入れ、湿度90%、温度40℃の恒温恒湿
炉に24時間放置し、その後、反射防止膜の密着性と眼
鏡プラスチックレンズの外観(クラック発生の有無)を
調べた。なお「密着性」は、反射防止膜を有する眼鏡プ
ラスチックレンズの表面を1mm間隔で100目にクロ
スカットし、セロファンテープを強く貼り付けた後、急
速に剥がして反射防止膜の剥離の有無を調べることによ
り評価される。
【0031】その結果、図2(A)の構成を有する眼鏡
プラスチックレンズでは、密着性は100/100であ
って剥離は認められず、かつ外観に変化は生じなかっ
た。また図2(B)の構成を有する眼鏡プラスチックレ
ンズでは、密着性は0/100ですべてが剥離し、性能
が極めて悪いものであった。ただし、外観には変化がな
かった。図2(C)の構成を有する眼鏡プラスチックレ
ンズでは、密着性は100/100となり良好であった
が、外観についてはレンズの縁部からクラックが発生す
るという不具合が生じた。
【0032】以上の比較で明らかなように、眼鏡プラス
チックレンズ(プラスチック基材10)において前処理
としての超薄膜12が施された反射防止膜13は、密着
性および外観の点で高い膜性能を有するものである。さ
らに付言すれば、この反射防止膜13は、耐摩耗性、耐
アルカリ性、耐熱性、耐酸性、耐人工汗の点でも優れた
膜性能を発揮する。
【0033】また前述の反射防止膜の分光反射率曲線で
はおよそ420〜740nmの広い波長範囲で低い反射
率が達成され、広帯域の反射防止膜が実現されている。
特におよそ480〜550nmの波長範囲では反射率が
相対的に高くなっている。
【0034】さらに前述の超薄膜および反射防止膜で
は、主波長範囲を480〜550nmとし、刺激純度範
囲を10〜30%とし、視感反射率を0.7〜1.8%
とすることによって、干渉色をグリーン系としている。
ここで「主波長」とは、単色表示によって色度を表す要
素であり、色度図上において色度座標で表される点と光
源を結んだ線がスペクトル軌跡と交わる点に対応する波
長をいい、「刺激純度」とは、その主波長の点が、光源
が0からスペクトル軌跡との光点にいかに近いかを表す
ものであり、近づくほど鮮やかな色となる。反射物体の
色を表示する場合、一般的に視感反射率と色度が用いら
れる。さらに色度は、単色表示する場合には、上記の主
波長と刺激純度が用いられる。なお視感反射率は、物体
から反射する光束と物体に入射する光束の比で表され
る。
【0035】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、第1層が高屈折率膜である多層の反射防止膜をス
パッタ法で眼鏡プラスチックレンズ等に施す場合におい
て、前処理層としてSiO(2-x) の超薄膜を施したた
め、反射防止膜におけるクラックの発生を防止し、眼鏡
プラスチックレンズとしての外観を良好なものにするこ
とができる。また超薄膜等でグリーン系の干渉色が安定
して得られ、眼生理学、審美感に優れた商業的に価値の
高い眼鏡プラスチックレンズを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層の反射防止膜を有する本発明に係る眼鏡プ
ラスチックレンズの構造を示す断面図である。
【図2】前処理された本発明に係る眼鏡プラスチックレ
ンズ(A)と、所定範囲外の膜厚を有する前処理層を有
する眼鏡プラスチックレンズ(B)および前処理が施さ
れない眼鏡プラスチックレンズ(C)とを比較するため
の断面図である。
【符号の説明】
10 プラスチック基材 11 ハード膜 12 前処理層としての超薄膜 13 反射防止膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材にスパッタ法を用いて
    反射防止膜を施してなる眼鏡プラスチックレンズであ
    り、 前記反射防止膜は、前記プラスチック基材側の第1層を
    高屈折率物質としかつその次の層を低屈折率物質とし
    て、これらの高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層
    して成膜された多層膜であり、 前記プラスチック基材に前処理層としてSiO(2-x)
    超薄膜を成膜したことを特徴とする反射防止膜を有する
    眼鏡プラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】 前記超薄膜の膜厚は15〜50オングス
    トロームの範囲に含まれることを特徴とする請求項1記
    載の反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】 前記高屈折率物質は、Zr,Ti,Ta
    のいずれか、またはこれらのうち2つ以上の合金からな
    るターゲットを用いてスパッタ法で成膜された金属酸化
    物であり、前記低屈折率物質はSiのターゲットを用い
    てスパッタ法で成膜された金属酸化物であることを特徴
    とする請求項1または2記載の反射防止膜を有する眼鏡
    プラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 前記高屈折率物質の前記ターゲットはS
    iを含むことを特徴とする請求項3記載の眼鏡プラスチ
    ックレンズ
  5. 【請求項5】 前記高屈折率物質の成膜時に前記高屈折
    率物質の前記ターゲットとは別のSiのターゲットを設
    け、2種類の前記ターゲットを同時にスパッタして前記
    高屈折率物質を混合膜として成膜したことを特徴とする
    請求項3記載の眼鏡プラスチックレンズ。
  6. 【請求項6】 前記反射防止膜は10層の多層膜であ
    り、中間に位置する第6層の前記低屈折率物質の膜厚を
    大きくしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレン
    ズ。
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