JPH11300462A - 金属射出成形機のノズル温度制御方法及びノズル温度制御装置並びにスプルブッシュ温度制御方法及びスプルブッシュ温度制御装置 - Google Patents

金属射出成形機のノズル温度制御方法及びノズル温度制御装置並びにスプルブッシュ温度制御方法及びスプルブッシュ温度制御装置

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JPH11300462A
JPH11300462A JP10992298A JP10992298A JPH11300462A JP H11300462 A JPH11300462 A JP H11300462A JP 10992298 A JP10992298 A JP 10992298A JP 10992298 A JP10992298 A JP 10992298A JP H11300462 A JPH11300462 A JP H11300462A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ノズルを好適な温度制御することにより、金属
射出成形機のノズル先端部に生成される固体栓の固体栓
噴出圧力を最適に制御して射出条件を安定して連続運転
を可能とすることを提供する。 【解決手段】金属射出成形機のノズル(12)を射出保
圧行程に入る直前に、誘導加熱手段(16)により、固
体栓の噴出可能な温度に制御して急速加熱し、射出保圧
行程終了と同時に加熱を終了するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノズル又はスプル
ブッシュを好適に温度制御することにより、金属射出成
形機のノズル先端部に生成される固体栓の固体栓噴出圧
力を最適に制御して射出条件を安定して連続運転を可能
とする金属射出成形機のノズル温度制御方法及びノズル
温度制御装置並びにスプルブッシュ温度制御方法及びス
プルブッシュ温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、金属の成形は、ダイカスト法、チ
クソモールデイング法で知られるように、ノズル根元部
は成形される金属の液相線近傍の温度に制御され、ま
た、ノズル先端部は固相線と液相線の間の固体と液体が
共存する温度に制御されている。一方、金型は、一般に
150〜300℃の範囲に温度制御されている。ノズル
先端部は、金型のスプルブッシュと接合するので、接合
部付近は両者の温度均衡を保つような温度に制御され
て、結果的に、ノズル先端部は金属の固化温度以下とな
り、図3に示すように固体栓が生成される。
【0003】例えば、マグネシウム合金のAZ91Dグ
レードの材料をチクソモールデイング法で射出成形する
場合を例に取ると、金型温度が200℃、ノズル根元部
の温度が590〜620℃、ノズル先端部の温度が53
0〜560℃で加熱制御される。ノズルが前進して、金
型のスプルブッシュと接合すると、ノズルの先端部は金
型に熱を奪われて急速に温度低下し、固相線以下の温度
となる。
【0004】ノズルの内部の金属材料は、上述したよう
に、図3に示す固体栓(固体領域)、固体液体共存領
域、ほぼ液体領域の3つの領域よりなる。射出保圧行程
前のノズルが金型に接合した後は、ノズルの先端部は前
述の如く、金型に急速に熱を奪われて固相線以下の温度
になり固体栓が成長する。固体栓の成長過程で射出保圧
行程に入ると、固体栓は、射出圧力によってノズル穴か
ら噴出するが、固体栓の大きさにより噴出圧力が変動す
る。噴出圧力と固体栓の大きさとの関係について、発明
者の実験により、表1に示す結果を得た。
【0005】
【表1】
【0006】表に示すように、固体栓の長さの変動によ
り、噴出圧力、すなわち必要射出圧力が変動することが
判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】さて、所定長さより長
い固体栓ができると、必要射出圧力が変動し、射出行程
が不安定になり、その上、大きく成長した固体栓の欠片
が金型キャビテイ内に進入するため、流動妨害を起こ
し、成型品品質の著しい低下を招くという問題点があ
る。
【0008】かかる固体栓の生成を最小限にするため
に、金型自体の温度を高温にする方法があるが、金型内
の成型品の取り出し時に金属の高温強度が不足して、成
型品の突き出し力により、成型品が変形する等の不具合
が多々発生するという問題点がある。すなわち、金型の
温度を高くすると、金型が変形したり、金型の部品が変
形することにより成型品の取り出しに不必要に強い力を
必要とするために成型品が変形するものである。
【0009】また、ノズル自体の温度をバンドタイプの
ヒータにより高温にして、固体栓を最小限に生成しよう
とする方法もあるが、固体栓の大きさを安定させること
が困難となり、射出行程初期の固体栓を噴出させる圧力
が大きく変動してしまうため、射出条件がばらつき安定
した成形を行うことが困難である。更に、バンドタイプ
のヒータでは、それ自体に熱を蓄えることができるため
に加熱、冷却に対するレスポンスが遅いので、温度制御
が不安定となり、射出行程以外の行程で、固体栓が高温
となり、溶湯が噴出し易くなり非常に危険であるという
問題点がある。本発明は、固体栓の生成を好適に制御し
て、高品質の成形を安定して供給できる金属射出成形機
のノズル温度制御方法及びノズル温度制御装置並びにス
プルブッシュ温度制御方法及びスプルブッシュ温度制御
装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ノズルを好適
な温度制御することにより、金属射出成形機のノズル先
端部に生成される固体栓の固体栓噴出圧力を最適に制御
して射出条件を安定して連続運転を可能とする。本発明
は、金属射出成形機のノズル(12)を、射出保圧行程
に入る所定時間より前から、急速加熱し、射出保圧行程
終了と同時に加熱を終了するようにして、ノズル(1
2)と金型との接合の際に、ノズル(12)内の固体栓
が噴出容易な長さに生成されるようにしたことを特徴と
する。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の金
属射出成形機のノズル温度制御方法において、 射出行
程の初期圧力が100kg/cm2 以下となるような長
さの固体栓が生成されるように、ノズル(12)の温度
制御を行うことを特徴とする。請求項3記載の発明は、
請求項1記載の金属射出成形機のノズル温度制御方法に
おいて、上記固体栓の長さが5mmとなるように、ノズ
ル(12)の温度制御を行うことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、ノズル(12)の
先端部と金型のスプルブッシュ(7)が接合したとき
に、ノズル前進行程と並行して、加熱遅延タイマが計時
を開始し、加熱遅延タイマの所定時間満了後、誘導加熱
手段(16)を励磁して誘導電流によってノズル(1
2)が設定温度となるように加熱を開始し、射出保圧行
程の終了と同時に加熱を終了するようにしたことを特徴
とする。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項4の金属射
出成形機のノズル温度制御方法において、ノズル(1
2)の加熱時間は、ノズル前進行程時間と射出待機タイ
マ時間との和より、上記加熱遅延タイマ時間を減じた時
間であることを特徴とする。請求項6記載の発明は、請
求項1〜5のいずれか記載の金属射出成形機のノズル温
度制御方法において、ノズル(12)の温度が350〜
450℃になるように温度制御することを特徴とする。
【0014】請求項7記載の発明は、金属射出成形機の
ノズル(12)内の固体栓が噴出容易な温度となるよう
にノズル(12)に設けられた誘導加熱手段(16)に
より温度制御を行う金属射出成形機のノズル温度制御装
置であって、ノズル(12)の先端部と金型のスプルブ
ッシュ(7)が接合したときに、ノズル前進行程と並行
して、加熱遅延タイマが計時を開始し、加熱遅延タイマ
の所定時間満了後、誘導加熱手段(16)を励磁して誘
導電流によってノズル(12)が設定温度となるように
加熱を開始し、射出保圧行程の終了と同時に加熱を終了
するようにしたことを特徴とする。
【0015】請求項8記載の発明では、金属射出成形機
のスプルブッシュ(7)を、ノズル前進工程と同時に、
急速加熱し、ノズル(12)と金型の接合の際に、ノズ
ル(12)内の固体栓が噴出容易な長さに生成されるよ
うにしたことを特徴とする。請求項9記載の発明は、請
求項8記載の金属射出成形機のスプルブッシュ温度制御
方法において、射出行程の初期圧力が100kg/cm
2 以下となるような長さの固体栓が生成されるように、
スプルブッシュ(7)の温度制御を行うことを特徴とす
る。
【0016】請求項10記載の発明は、請求項8又は請
求項9記載の金属射出成形機のスプルブッシュ温度制御
方法において、上記固体栓の長さが約5mm以下となる
ように、スプルブッシュ(7)の温度制御を行うことを
特徴とする。請求項11記載の発明は、請求項8〜請求
項10のいずれか記載の金属射出成形機のスプルブッシ
ュ温度制御方法において、スプルブッシュ(7)の加熱
時間は、ノズル前進行程時間と射出待機タイマ時間を加
算した時間であることを特徴とする。
【0017】請求項12記載の発明は、請求項8〜請求
項11のいずれか記載の金属射出成形機のスプルブッシ
ュ温度制御方法において、スプルブッシュ(7)の温度
が350〜450℃となるように温度制御することを特
徴とする。請求項13記載の発明では、金属射出成形機
のノズル(12)内の固体栓が噴出容易な温度となるよ
うにスプルブッシュ(7)に、誘導加熱手段(26)を
設け、射出工程前にスプルブッシュ(7)を急速加熱す
ることにより、ノズル(12)内の固体栓が容易に噴出
するようにしたことを特徴とする。
【0018】(作用)本発明では、金属射出成形機のノ
ズル(12)内の固体栓が噴出容易な温度となるように
ノズル(12)に設けられた誘導加熱手段(16)によ
り温度制御を行うことにより、固体栓の長さを最適に生
成できるため、初期の射出圧力を最適なものとすること
ができる。
【0019】また、ノズル(12)の先端部と金型のス
プルブッシュ(7)が接合したときに、ノズル前進行程
と並行して、加熱遅延タイマが計時を開始し、加熱遅延
タイマの所定時間満了後、誘導加熱手段(16)を励磁
して誘導電流によってノズル(12)が設定温度となる
ように加熱を開始し、射出保圧行程の終了と同時に加熱
を終了するようにしたので、設定温度となるように加熱
を制御することができる。このように、誘導加熱手段
(16)により、急速加熱が可能となり、速やかに設定
温度に立ち上げることができるので、最適な加熱制御が
できる。(請求項1〜7) また、金型の湯道を構成するスプルブッシュ(7)に誘
導加熱手段(26)等により急速加熱することにより、
ノズル(12)内の固体栓が加熱され、射出工程初期の
固体栓を噴出させる圧力を低くでき、ノズル(12)か
ら射出された溶融金属がスプルブッシュ(7)自体の温
度により、急冷され難くなるため、金型キャビテイ内に
速やかに充填されることができる。(請求項8〜13)
【0020】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本発明の第
1の実施の形態について、図を参照して以下に詳細に説
明する。図1は、本発明の実施の形態を示す構成図、図
2は、図1のノズル部分の拡大図、図3は、ノズル先端
部の金属材料の状態を示す概要構成図、図4は、金属射
出成形機において、成形動作のシーケンスを示す動作線
図である。
【0021】図2に示すように、金属射出成形機のノズ
ル12には、その根元部にノズルヒータ18が装着され
ており、熱電対19により温度制御される。また、ノズ
ル12の先端部は誘導加熱コイル(誘導加熱手段)16
が装着されて、熱電対17により温度制御される。かか
るノズルの温度制御は、射出保圧行程に入る直前に、固
体栓の噴出可能な温度となるように、誘導加熱コイル1
6により急速加熱し、射出保圧行程終了と同時にノズル
12の加熱を終了する。
【0022】なお、図1において、1は固定側取付板、
2は固定側型板であり、それらの内部にスプルブッシュ
7が設けられている。3は可動側型板、4は受け板、5
は6の可動側取付板との間に設けられたスペーサプレー
トである。更に、8はキャビテイブロック、9はエジェ
クタプレート、10はイジェクタロッドである。11
は、図2に示すように、固定側取付板1及びその外側に
設けられる固定板との間の凹部に設けられるロケートリ
ングである。13は、ノズル12の後端側に設けられ溶
融金属の通路となるシリンダ、14は、シリンダ13と
ノズル12との間に設けられ、両者を連結するシリンダ
ヘッド、15は、溶融金属を押し出すスクリューであ
る。
【0023】ところで、成形工程は、図4の動作線図に
示すように、型閉じ→金型タッチ→型締め→ノズル前進
→射出→保圧→冷却→型開き→突き出し→型閉じ…の繰
り返しが基本となる。このサイクルの中の「射出→保
圧」の一連の行程を射出保圧行程という。射出工程で
は、キャビテイ内部を成形材料で満たし、保圧行程で
は、さらに、押圧してキャビテイ内部に圧力をかけて、
成型品の密度を上げる。スクリュー自体の挙動はいずれ
も前進する方向に動作するが、射出時に比べて、保圧時
はスクリューはほとんど動作せず、圧力を加えることを
主としている。また、型締め行程後、ノズル前進行程に
入り、ノズル12の先端部と金型のスプルブッシュ7が
接合するノズルタッチがある。
【0024】ノズル前進行程と並行して、加熱遅延タイ
マが計時を開始する。加熱遅延タイマの所定時間満了
後、誘導加熱コイル16を励磁して誘導電流によって、
ノズル12を加熱する。加熱遅延タイマは、スプルブッ
シュ7に接合するより前にノズル12の先端部の温度が
高くなりすぎて、固体栓がノズル穴から噴出してしまわ
ない時間を設定する。
【0025】上記加熱遅延タイマの設定は以下のように
調節する。図6に示すように、目標値Aの設定は、図
(a)の場合には、実際の温度が目標温度を超えている
ために、加熱遅延タイマの加熱遅延時間t1を、図
(b)のように、t2とし、実際の温度が目標値Aとな
るように調節する。なお、目標値Aを、射出開始時期と
し、tを金型タッチの起点とする。金型タッチの後、直
ぐに、早い時期から加熱を開始すると、温度はオーバー
シュートして高くなり(図(a)参照)、逆に金型タッ
チのあと時間がたってから遅く加熱開始すると、目的の
温度まで温度を上昇させることができなくなる。このた
め、加熱温度が目標値Aとなるように、加熱遅延時間を
調節するものである。
【0026】なお、本実施の形態では、金型タッチの信
号を開始信号とする加熱遅延タイマを設け、この加熱遅
延タイマが満了してから強制的に誘導加熱コイル16を
オンすることを特徴としている。これは、従来の温度制
御では、行程に関係なく設定値付近でオンオフしている
ため、急速冷却時の温度の落ち込みが大きい場合に設定
値への温度回復が遅延するのを防止するためである。
【0027】次に、ノズル前進は、通常、0〜10秒以
内に行われ(0秒とは、ノズルタッチ成形を意味す
る)、図2に示すように、ノズル12が金型に接合す
る。金型に接合した後、すなわち、射出遅延タイマ満了
後、射出保圧行程に入り、溶融金属は金型キャビテイ内
に射出開始される。ノズル12は、射出保圧行程の間、
誘導加熱コイル16により加熱されるが、図4に示すよ
うに、この時の加熱時間は以下のようになる。
【0028】
【数1】(ノズル前進行程時間)+(射出遅延タイマ時
間)−(加熱遅延タイマ)
【0029】なお、図4において、射出遅延タイマ時間
の設定により、加熱時間の終了時間を射出保圧行程終了
までとすることができる。これは、ノズル12は、射出
保圧行程が終了すると、直ちに固体栓(プラグ)を形成
する必要があるので、加熱終了のタイミングを射出保圧
行程終了とする必要があるためである。かかる加熱時間
は、図5に詳細に示すように、金型タッチから金型に接
合するノズルタッチまで、約0〜10秒であり、ノズル
タッチより射出開始まで約0.3秒であり、これらの時
間の合計より、加熱遅延タイマ時間を減じた時間とな
る。よって、本実施の形態では、0.3〜10.3秒よ
り加熱遅延タイマ時間を減じた時間となる。
【0030】上記加熱時間において、ノズル温度を35
0〜450℃となるように温度制御することによって、
図3に示す固体栓の大きさにばらつきがあっても、固体
栓は周囲から加熱されるので、固体栓は抜けやすく(押
し出し圧力が100kg/cm2 以下)、容易に制御可
能となることを、発明者は実験により確認した。なお、
図5に成形行程中のノズル温度変化の代表例を示すよう
に、成形行程中、ノズルの温度は2度急冷される。1度
目は、製品取り出し時に離型剤のスプレーが、離型剤が
ノズルに吹き付けられたときであり、2度目は、ノズル
タッチの際である。
【0031】図5において、通常のノズルヒータを用い
た場合(点線)と、本発明の誘導加熱コイル16を用い
た場合(実線)の温度変化を示しているが、誘導加熱コ
イル16を使用した場合には、加熱特性が誘導加熱コイ
ル16を使用しない場合に比較して、一旦、冷却により
温度が下がっても設定値への上昇回復が格段に早く、2
度の急冷後の温度復帰が早いため、安定した成形ができ
る。このように、誘導加熱とすることにより、被加熱体
を直接加熱することができるので、昇温も早く、更に、
冷却時には、バンドヒータと異なり、熱を蓄えることが
ないので、直ちに冷却できる。
【0032】本発明がなされない場合、すなわち、従来
のノズル先端部に誘導加熱手段16を設けないような装
置では、ノズル12の先端部がスプルブッシュ7に接合
すると、金型は通常、150〜300℃であるので、ノ
ズル12の先端部は温度の低下が大きく、図3に示す固
体栓を更に、成長させることとなるので、前記の表1に
示す押し出し圧力を100kg/cm2 以下(固体栓の
長さ5mm以下)に制御することは非常に困難であるこ
とも確認された。
【0033】本発明では、射出圧力を測定し、射出行程
の初期の圧力が100kg/cm2より小さくなるよう
な大きさに固体栓が生成されるように、ノズル12の温
度制御を行えば良く、金型自体又は、ノズル自体を高温
とする必要がないため、安全で、且つ安定した温度条件
を容易に設定ができる。また、成形条件を安定化させる
ことができ、かつ、固体栓の成型品内への進入を最小限
に止めることができるため、成型品の品質が向上する。
【0034】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を図7及び図8により説明する。第2の実
施の形態では、金属射出成形機のノズル12内の固体栓
が噴出容易な温度となるようにスプルブッシュ7に誘導
加熱コイル(誘導加熱手段)26を設け、射出工程前に
スプルブッシュ7を急速加熱することにより、ノズル1
2内の固体栓が加熱されるようにしたものである。
【0035】図7に示すように、固定側取付板1及び固
定側型板2に内装するように、スプルブッシュ7が設け
られている。スプルブッシュ7は、更に、スプル板21
及び固定側型板1により、固定側型板2に固定されてい
る。また、スプルブッシュ7は、誘導加熱コイル26が
外装されている。スプルブッシュ7は、熱電対19によ
り、温度が測定され、図示しない温度制御装置により、
誘導加熱コイル26が設定温度となるように制御され
る。
【0036】その他の構成は、第1の実施の形態で説明
したものと同様である。図9の動作線図では、ノズル前
進工程と同時に誘導加熱コイル26を励磁し、誘導電流
により、スプルブッシュ7を急速加熱する点が、図4の
場合と大きく異なる。このため、スプルブッシュは、ノ
ズル前進工程と射出遅延タイマ時間を加算した時間加熱
される。これは、スプルブッシュ7は、金型に取り付け
られており、早めに昇温させる必要があるため、加熱開
始を遅延する加熱遅延タイマは必要がないことによる。
但し、図4のように、加熱遅延タイマを設定することに
より、精密に加熱制御を行うことも、もちろん可能であ
る。スプルブッシュの加熱終了は、射出遅延タイマの設
定により引き延ばすことも可能である。ノズル前進は、
通常、0〜10秒以内に行われ、金型タッチする。金型
タッチ後、射出遅延タイマ満了後、射出保圧行程に入
り、溶融金属は、金型キャビテイ内に射出される。
【0037】スプルブッシュ7は、ノズル前進工程と射
出遅延タイマ時間を加算した時間加熱される。この時間
内に、スプルブッシュ7が350〜450℃となるよう
に温度制御することにより、図3に示す固体栓が加熱さ
れ、固体栓の大きさにばらつきがあっても、固体栓の押
出し圧力は、100kg/cm2 より小さく制御できる
ことを発明者は、実験により確認した。
【0038】かかる構成により、ノズル12内の固体栓
が加熱され、射出工程初期の固体栓を噴出させる圧力を
低くでき、ノズルから射出された溶融金属がスプルブッ
シュ温度により、急冷され難くなるため、金型キャビテ
イ内に速やかに充填される。金型キャビテイ内への速や
かな充填により、流動抵抗が減少し、固体栓の進入のな
い、高品質の成型品を得ることができる。
【0039】本発明がなされない場合、すなわち、従来
のスプルブッシュ7に誘導加熱手段26を設けないよう
な装置では、ノズル12がスプルブッシュ7に接合する
と、金型は通常150〜300℃に制御されているの
で、ノズル12の先端部は温度の低下が大きく、図3に
示す固体栓を更に、成長させてしまうので、第1の実施
の形態と同様に、表1に示す押し出し圧力を100kg
/cm2 以下に(固体栓の長さ5mm以下)制御するこ
とは非常に困難であったことも確認された。
【0040】本発明では、射出圧力を測定し、射出行程
の初期の圧力が100kg/cm2より小さくなるよう
な大きさに固体栓が生成されるように、スプルブッシュ
7の温度制御を行えば良く、金型自体又は、ノズル自体
を高温とする必要がないため、安全で、且つ安定した温
度条件を容易に設定ができる。また、成形条件を安定化
させることができ、かつ、固体栓の成型品内への進入を
最小限に止めることができるため、成型品の品質が向上
する。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明は、金属射出成形
機のノズル(12)内の固体栓が噴出容易な温度となる
ようにノズル(12)に設けられた誘導加熱手段(1
6)により温度制御を行うように構成しているので、固
体栓の長さを最適に生成でき、初期の射出圧力を最適な
ものとすることができる。
【0042】また、本発明は、ノズル(12)の先端部
と金型のスプルブッシュ(7)が接合したときに、ノズ
ル前進行程と並行して、加熱遅延タイマが計時を開始
し、加熱遅延タイマの所定時間満了後、誘導加熱手段
(16)を励磁して誘導電流によってノズル(12)が
設定温度となるように加熱を開始し、射出保圧行程の終
了と同時に加熱を終了するようにしており、誘導加熱手
段(16)により、急速加熱が可能であるので、速やか
な設定温度への立ち上げが可能となり、最適な加熱制御
ができる。よって、射出行程時において、溶融金属が金
型キャビテイ内に速やかに充填されるので、流動抵抗が
減少して、固体栓の進入の無い高品質な成型品を安定し
て供給できる。
【0043】また、本発明では、金属射出成形機のノズ
ル(12)内の固体栓が噴出容易な温度となるようにス
プルブッシュ(7)に誘導加熱手段(26)を設け、射
出工程前にスプルブッシュ(7)を急速加熱することに
より、ノズル(12)内の固体栓が加熱されるように構
成することにより、ノズル(12)内の固体栓が加熱さ
れ、射出工程初期の固体栓を噴出させる圧力を低くで
き、ノズルから射出された溶融金属がスプルブッシュ温
度により、急冷され難くなるため、金型キャビテイ内に
速やかに充填されるので、流動抵抗が減少して、固体栓
の進入の無い高品質な成型品を安定して供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す構成図であ
る。
【図2】図1のノズル部分の拡大図である。
【図3】ノズル先端部の金属材料の状態を示す概要構成
図である。
【図4】第1の実施の形態の金属射出成形機において、
成形動作のシーケンスを示す動作線図である。
【図5】成形行程におけるノズル温度の変化状態を示す
関係図である。
【図6】(a),(b)は、目標温度設定とするための
遅延タイマの制御方法を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す構成図であ
る。
【図8】図7のスプルブッシュ部分の拡大図である。
【図9】第2の実施の形態の金属射出成形機において、
成形動作のシーケンスを示す動作線図である。
【符号の説明】
1 固定側取付板 2 固定側型板 3 可動側型板 4 受け板 5 スペーサプレート 6 可動側取付板 7 スプルブッシュ 8 キャビテイブロック 9 エジェクタプレート 10 イジェクタロッド 11 ロケートリング 12 ノズル 13 シリンダ 14 シリンダヘッド 15 スクリュー 16,26 誘導加熱コイル(誘導加熱手段) 17,19,20 熱電対 18 ノズルヒータ 21 スプル板

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属射出成形機のノズル(12)を、射
    出保圧行程に入る所定時間より前から、急速加熱し、射
    出保圧行程終了と同時に加熱を終了するようにして、 ノズル(12)と金型との接合の際に、ノズル(12)
    内の固体栓が噴出容易な長さに生成されるようにしたこ
    とを特徴とする金属射出成形機のノズル温度制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属射出成形機のノズル
    温度制御方法において、 射出行程の初期圧力が100kg/cm2 以下となるよ
    うな長さの固体栓が生成されるように、ノズル(12)
    の温度制御を行うことを特徴とする金属射出成形機のノ
    ズル温度制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の金属射出成
    形機のノズル温度制御方法において、 上記固体栓の長さが約5mm以下となるように、ノズル
    (12)の温度制御を行うことを特徴とする金属射出成
    形機のノズル温度制御方法。
  4. 【請求項4】 ノズル(12)の先端部と金型が接合し
    たときに、ノズル前進行程と並行して、加熱遅延タイマ
    が計時を開始し、加熱遅延タイマの所定時間満了後、ノ
    ズル(12)の先端部に設けられた誘導加熱手段(1
    6)によってノズル(12)が設定温度となるように加
    熱を開始し、射出保圧行程の終了と同時に加熱を終了す
    るようにしたことを特徴とする金属射出成形機のノズル
    温度制御方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の金属射出成形機のノズル温度
    制御方法において、ノズル(12)の加熱時間は、ノズ
    ル前進行程時間と射出待機タイマ時間との和より、上記
    加熱遅延タイマ時間を減じた時間であることを特徴とす
    る金属射出成形機のノズル温度制御方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか記載の金属射出
    成形機のノズル温度制御方法において、 ノズル(12)の温度が350〜450℃となるように
    温度制御することを特徴とする金属射出成形機のノズル
    温度制御方法。
  7. 【請求項7】 金属射出成形機のノズル(12)内の固
    体栓が噴出容易な温度となるようにノズル(12)の先
    端部に誘導加熱手段(16)を設け、 ノズル(12)の先端部と金型が接合したときに、ノズ
    ル前進行程と並行して、加熱遅延タイマが計時を開始
    し、加熱遅延タイマの所定時間満了後、誘導加熱手段
    (16)を励磁して誘導電流によってノズル(12)が
    設定温度となるように加熱を開始し、射出保圧行程の終
    了と同時に加熱を終了するようにしたことを特徴とする
    金属射出成形機のノズル温度制御装置。
  8. 【請求項8】 金属射出成形機のスプルブッシュ(7)
    を、ノズル前進工程と同時に、急速加熱し、ノズル(1
    2)と金型の接合の際に、ノズル(12)内の固体栓が
    噴出容易な長さに生成されるようにしたことを特徴とす
    る金属射出成形機のスプルブッシュ温度制御方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の金属射出成形機のスプル
    ブッシュ温度制御方法において、 射出行程の初期圧力が100kg/cm2 以下となるよ
    うな長さの固体栓が生成されるように、スプルブッシュ
    (7)の温度制御を行うことを特徴とする金属射出成形
    機のスプルブッシュ温度制御方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は請求項9記載の金属射出
    成形機のスプルブッシュ温度制御方法において、 上記固体栓の長さが約5mm以下となるように、スプル
    ブッシュ(7)の温度制御を行うことを特徴とする金属
    射出成形機のスプルブッシュ温度制御方法。
  11. 【請求項11】 請求項8〜請求項10のいずれか記載
    の金属射出成形機のスプルブッシュ温度制御方法におい
    て、 スプルブッシュ(7)の加熱時間は、ノズル前進行程時
    間と射出待機タイマ時間を加算した時間であることを特
    徴とする金属射出成形機のスプルブッシュ温度制御方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項8〜請求項11のいずれか記載
    の金属射出成形機のスプルブッシュ温度制御方法におい
    て、 スプルブッシュ(7)の温度が350〜450℃となる
    ように温度制御することを特徴とする金属射出成形機の
    スプルブッシュ温度制御方法。
  13. 【請求項13】 金属射出成形機のスプルブッシュ
    (7)に誘導加熱手段(16)を設け、 射出工程前に、誘導加熱手段(16)により、スプルブ
    ッシュ(7)を急速加熱することにより、ノズル(1
    2)内の固体栓が容易に噴出するようにしたことを特徴
    とする金属射出成形機のノズル温度制御装置。
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