JPH11300423A - 振動プレス加工方法および振動プレス金型 - Google Patents

振動プレス加工方法および振動プレス金型

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JPH11300423A
JPH11300423A JP10124058A JP12405898A JPH11300423A JP H11300423 A JPH11300423 A JP H11300423A JP 10124058 A JP10124058 A JP 10124058A JP 12405898 A JP12405898 A JP 12405898A JP H11300423 A JPH11300423 A JP H11300423A
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学 山下
Masao Murakawa
正夫 村川
Masahiko Jin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低粘度加工油を使用しても絞り抵抗、しごき抵
抗の減少と製品精度向上を図ることができ、しかも材料
送り方向に対してコンパクトな大きさで、トランスファ
ー型や順送型のプレスに適用可能するのに好適な振動プ
レス加工方法および振動プレス金型を提供する。 【解決手段】加工穴を有し直方体に形成されたダイスの
側部法線方向に超音波振動子を取付け、前記ダイスの振
動振幅が最も弱い数か所のみを固定具により基台に固定
し、ダイスに楕円振動モードの超音波振動を半径方向か
ら付加しながらパンチとの協働で絞り又は/及びしごき
加工するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高精度な絞り加工や
しごき加工に好適な振動プレス加工方法および振動プレ
ス金型に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、プレスによる絞り加工、しごき加
工によって製作される部品たとえばコンピュータ関連機
器部品などは、表面性状を含む加工精度向上の要求が高
くなっている。周知のように、絞り加工は、板材をパン
チとダイスとの協働作用で筒状に絞り込む加工であり、
板厚の減少が伴う。しごき加工は、絞り等によって前加
工されたワークの側壁をパンチとダイスでしごいて厚さ
を減少させ、長さを伸ばすとともに表面を滑らかにする
加工法であり、パンチの寸法を前加工のワークの内径に
合致させ、加工穴径を小さくして行なうので、ワークの
内径と底の厚さは変化しないで加工される。かかる絞り
加工又は/及びしごき加工において、一般的に、加工精
度を満足するためには、加工時に高粘度加工油の使用が
不可欠とされている。しかし、加工油は最近では環境規
制によりその洗浄のための脱脂剤が使用しにくくなって
いるという制限を受けているのが現状である。
【0003】そこで、高粘度加工油を使用しないで絞り
加工、しごき加工を行なう方法の1つとしては、ダイス
に短円環振動モードの半径方向超音波振動を加える方法
が考えられる。この方法によれば、潤滑を向上させ、低
粘度加工油を使用した場合でも、絞り加工性、しごき加
工性や加工精度を向上させることが可能である。
【0004】しかし、かかる半径方向から超音波振動を
付加する絞り加工、しごき加工は、そうした加工を単独
で行なう場合にはかなり有効である。しかしなから、通
常の場合、しごき加工や絞り加工は、打抜き加工、孔開
け加工、トリミング加工などと組み合わされて行われる
ので、トランスファー型や順送型に適用しようとすると
困難が生ずる。すなわち、しごき加工の半径方向振動ダ
イスについて、ダイスを共振振動させるための超音波振
動モードに一次の短円環振動モード(軸対称に伸縮する
モード)を利用しようとすると、製品径に対しダイス径
が慣用ダイスに比べ大きくなってしまう。すなわち、た
とえば、振動数f0:15kHZにおいて、ダイス内径(=
製品径)が30mmの場合、ダイス外径は約210〜230
mmが必要となる。このため、ダイスが非常に大型化
し、各ステージ間をできるだけ小さくとることが要求さ
れるトランスファー型や順送型には適用困難となるので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
問題点を解消するために創案されたもので、その目的と
するところは、絞り抵抗、しごき抵抗の減少と製品精度
向上を得ることができながら材料送り方向に対してコン
パクトな大きさとすることができ、トランスファー型や
順送型のプレスに適用可能するのに好適な半径方向超音
波振動付加式の振動プレス加工方法および振動プレス金
型を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明者らは半径方向振動を付加した絞り加工、しごき
加工につき種々の実験を行なってみた。その結果、半径
方向超音波振動の振動モードは、必ずしも円環状としな
くても、潤滑性の向上とそれによるしごき抵抗の減少と
加工精度の向上に十分な効果があることがわかった。本
発明はこの知見から発明されたもので、その振動プレス
加工方法の特徴とするところは、ダイスに超音波振動を
付加しつつ絞り又は/及びしごき加工する方法であっ
て、加工穴を有し直方体に形成されたダイスに楕円振動
モードの超音波振動を半径方向から付加しながらパンチ
との協働で絞り又は/及びしごき加工することにある。
【0007】また、本発明の振動プレス金型の特徴とす
るところは、ダイスに超音波振動を付加しつつ絞り又は
/及びしごき加工するプレス金型であって、加工穴が設
けられたダイスを直方体に形成し、該ダイスの側部法線
方向に超音波振動子を取付け、前記ダイスの振動振幅が
最も弱い数か所のみを固定具により基台に固定して、前
記ダイスに楕円振動モードの超音波振動を半径方向から
付加しながらパンチとの協働で絞り又は/及びしごき加
工するようにしたことにある。本発明による振動プレス
金型は、好適には、トランスファプレスの絞り又は/及
びしごき加工する工程領域に組み込まれていることを特
徴としている。なお、「基台」とは、ダイセットの下
型、ボルスタ、ホルダーなどダイスを配置固定する剛体
を含む概念である。
【0008】
【作用】本発明は、加工穴を有するダイスの側部半径方
向に超音波振動子を取付け、超音波振動を半径方向から
付加しながらパンチとダイスとの協働で加工するが、振
動モードが軸対称に伸縮するモードでなく、平面的に見
てダイス穴に対して横長と縦長の振動が交番状に起こる
楕円振動モードである。このため、振動によってダイス
ベアリング部とワークが接触したときにワークが絞られ
あるいはしごかれ、ダイスベアリング部とワークが分離
したときに潤滑が促進されるという作用は短円環振動モ
ードの場合と同様となる。このため、潤滑性が向上し、
低粘度加工油を使用しても、絞り加工性、しごき加工性
と加工精度を向上させることができる。それでいなが
ら、ダイスの大きさは小さくて済み、ことに材料送り方
向の幅を短いものとすることができる。また、ダイスの
全体を基台に固定するのでなく、振動振幅が最も弱い数
か所のみを固定しており、他のダイス部分は基台から浮
かされているので、所定の振動数と振幅で超音波振動さ
せることができるとともに、ダイスや固定具の寿命が短
くならず、また製品加工精度の悪化も生じない。
【0009】
【発明の実施の態様】以下本発明を添付図面に基いて詳
細に説明する。図1は本発明による振動プレス金型を振
動しごきダイスに適用した例を単体の状態で示してお
り、図2と図3は使用状態で示している。1はリング状
をなすダイス本体であり、加工穴10として、先細りテ
ーパ状のアプローチ部100と、しごき部101と、リ
リーフ部102とを有している。2はダイスであり、所
定の長さLと幅Wと厚さtを持った直方体形状をなして
いる。該ダイス2には、中央部位に固定用穴20が形成
されており、この固定用穴20に前記ダイス本体1が圧
入、焼嵌め等により嵌着固定されている。前記固定用穴
20は下端に内フランジ状部200を有し、これによっ
てダイス本体1の底部が支持されている。8は前記ダイ
ス本体1の穴部に押し込まれるパンチである。
【0010】3はホーン(ブースター)であり、前記ダイ
ス2の長手方向端面2aに先端が密接され、長手方向端
面2aに設けためねじ穴21に埋込ボルト3aによって
法線方向に延在するように固定されている。4は前記ホ
ーン3の自由端側に連結された超音波振動子であり、図
2のように、発振器を含む超音波振動用回路40に電気
的に接続され、所望の振動数たとえば120KHz〜1
0KHzと振幅aたとえば3〜20μmが得られるよう
になっている。ダイス2の長手方向他端面2a’にもめ
ねじ穴21’が設けられており、ホーン3’が埋込ボル
ト3a’によって法線方向に延在するように固定されて
いる。このホーン3’は必ずしも必要としない。
【0011】前記ダイス本体1とダイス2は、超硬合
金、工具鋼など型に使用される任意の材質から選択され
る。ダイス本体1の長さLは、製品寸法に従ってダイス
内径を決定するとともに振動数とダイス材質を決定した
後、計算式 L=λ/4、λ=c/f0(cは音速=√
E/ρ、f0は振動数、)および有限要素法を併用して
求める。たとえば、ダイス本体1の材質が超硬合金、ダ
イスの材質がS50C、ダイス本体の加工穴内径(ベア
リング部の径)d1が30mm、超音波振動数f0が15
KHzの場合には、ダイス長さLはL=167.5mm
とすればよく、この条件のもとで、加工荷重に耐えうる
強度を得るべく肉厚バランスを考慮し、ダイス長さ以下
のダイス幅Wを適宜選定する。また、超音波振動数f0
が20KHzの場合には、たとえば、ダイス長さLはL
=120mmとし、ダイス幅Wをこのダイス長さL以下
に選定すればよい。
【0012】前記ダイス2は所望のダイセットや下型な
どに組込むもので、その場合に、ダイス2はその底面2
b全体や長手方向側面2a,2a’幅方向側面2c,2
c’が基台6に面接触するような固定は避け、しかも、
振動振幅が最も弱い数か所個所だけ固定する。その理由
は、第1に、所定の振動数と振幅で振動しなかったりす
るからである。第2に、振動部分を固定した場合には固
定具とダイス間で振動振幅により激しい相互摩擦運動が
生じ、ダイスや固定具に摩耗や焼付きが発生してダイス
寿命が短くなるからである。第3に、前記摩擦運動を発
生源とする他振動数の派生振動が生じ、この振動は振動
方向と振幅が一定でないため、加工精度を悪化させるか
らである。
【0013】かかる固定個所は、あらかじめ有限要素法
などにより振動モードを解析して振動の弱い個所を検出
することにより特定し、それらの個所を固定具5によっ
て複数個所で固定する。図4(a)(b)は図1のAの
矢印の方向から見た解析振動モードを示しており、最も
振動の弱い個所Pは、ダイス本体1からダイス長手方向
に所定距離へだたったダイス幅方向両側面2c,2c’
にあることがわかるので、このダイス長手方向振動振幅
が最小でかつダイス幅方向振動振幅が最小となるダイス
幅方向両側面縁の4か所を固定具5によって基台6に対
し固定する。
【0014】固定具5は任意であるが、たとえば、図2
と図3のように、ダイス2の幅方向側面2c,2c’に
接する脚部50の下端に、ダイス2の底面2bを受けか
つ下面が基台6に当接する下あご部51を設け、脚部5
0の上端にはダイス2の上面に2d接する上あご部52
を設け、前記上あご部52から下あご部51に貫設した
縦穴にボルト5aを通し、基台6に設けた雌ねじ穴にね
じ込むようになっている。さらに必要に応じて、ホーン
3,3’についても、固定具7によって基台6に固定す
る。この固定具7としては、たとえば、図2と図3のよ
うに、ホーン3を挿通する横孔700を有する主部7a
と、ホーン3の中間つば30に当接するリング状の当板
7bとを有し、主部7aを基台6にボルト7dにより固
定し、前記主部7aの一端にリング状の当板7bを装着
し、ボルト7cよって主部7aに締結すればよい。
【0015】図5と図6は本発明による振動プレス金
型、この例では振動しごきダイスDをトランスファプレ
スに適用した一例を示している。基台としてのボルスタ
6には、材料送り方向にしたがって、打抜きダイス9
0、深絞りダイス91、再絞り第1ダイス92、再絞り
第2ダイス93がそれぞれ固定具900,910,92
0,930によってボルスタ6に固定されており、前記
再絞り第2ダイス93のとなりのステージ領域に、本発
明による振動しごき加工ダイスDが配され、ダイス幅方
向両側面2c,2c’の4か所が、固定具5によってボ
ルスタ6に固定されている。
【0016】前記振動しごきダイスDの下流側のステー
ジ領域には、トリミングダイス94が固定具940によ
ってボルスタ6に固定されている。このトリミングダイ
ス94および再絞り第2ダイス93と振動しごき加工ダ
イスDとは縁が切られている。 そして、前記ボルスタ
6の上方のプレスラムで昇降される上型6’には、打抜
きパンチ90’,深絞りパンチ91’、再絞り第1パン
チ92’,再絞り第2パンチ93’、しごきパンチ8お
よびトリミングパンチ94’が前記ダイス群に対応した
位置に配置されている。前記金型の種類はあくまでも一
例であり、これに限定されるものではない。
【0017】本発明による振動しごき加工を説明する
と、しごき加工にあたっては、絞り加工済みのワークを
ダイス本体1の加工穴10に配し、プレスラムを作動し
てパンチ8を下し、ワークと加工穴10との界面に加工
油を供給しつつ、超音波振動用回路40により超音波振
動子4を作動させるものである。こうすれば、ホーン3
により超音波振動は増幅されてダイス2に伝達され、ダ
イス2と一体のダイス本体1は半径方向に超音波振動
し、それがワークに伝達される。
【0018】このときに、本発明ではダイス2が直方体
からなっているため、幅方向両側が内側と外側に変位す
る振動系となる。すなわち、図4に示すように、ダイス
本体1は短軸がX方向に向いた状態と、短軸がY方向に
向いた状態とが1振動サイクルで発生する楕円振動モー
ドが創成される。そしてこの楕円振動モードが半径方向
から付加されながら、パンチ8とダイス2との協働作用
によりしごきが行われる。
【0019】図12は、慣用法と本発明法によるしごき
メカニズムを模式的に示しており、(a)は慣用法、
(b)は本発明法である。図中、αはアプローチ角、l
Bはベアリング部長さ、D0ないしD4はダイスの軌跡、
0ないしW4はワークの軌跡、QTは振動期間ごとの塑
性変形長さ、arは振幅を示している。(a)の慣用法
ではベアリング部とワークとは常に接触してしごかれて
いるが、(b)の本発明法では、振動によってベアリン
グ部とワークとは接触、分離が反復されることになり、
この分離過程で形成される隙間に加工油が供給される。
したがって、低粘度の加工油を使用しても良好な潤滑性
が得られ、しごき抵抗が減少する。
【0020】トランスファプレスに適用した場合には、
プレスラムの作動により、打抜きダイス90と打抜きパ
ンチ90’により板材が打ち抜かれ、板材はついで深絞
りダイス91と深絞りパンチ91’により絞られ、さら
に再絞り第1ダイス92と再絞り第1パンチ92’再絞
り第2ダイス93と再絞り第2パンチ93’とによって
再絞りを受けた後、ダイス本体1のダイス穴10とパン
チ8によりしごき加工されるが、このときに前記のよう
に半径方向から超音波振動が付加されるため、楕円振動
モードによるしごき加工が行われ、ついでトリミングダ
イス94とトリミングパンチ94’によりトリミングさ
れる。
【0021】以上実施態様を説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、ダイス本体1とダイス2が
別部材からなっているが、それらを超硬合金やSKD1
1などによって一体(ソリッド)に構成してもよい。ま
た、実施態様ではしごきダイスに適用しているが、絞り
ダイスに適用されることは勿論である。この場合、加工
穴10を絞り用の穴に構成すればよい。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。本発明を適用し
て振動しごきダイスを製作し、図7に示すダイセットに
組み込んでしごき加工を行なった。ダイス本体2は材
質:超硬合金、内径30mm、外径52mm、厚さ33
mm、アプローチ角:27.5°、リリーフ角:4°、
ベアリング長さ:2mmである。 ダイス1は、材質:
S50C、長さL:167mm、幅W:90mm、厚さ
t:40mmで、中央に52mmの穴を設け、ここにダ
イス本体1を圧入し、一体化した。前記ダイス1の長手
方向端面2aにホーン3を埋込ねじで固定し、ホーン3
に超音波振動子4を連結して超音波振動しごきダイスを
得た。このダイスはFEMにより解析したところ、図4
に示す楕円振動モードであった。
【0023】前記超音波振動しごきダイスの振動振幅の
最も少ない幅方向両縁4か所を5mm以下の幅で固定具
5により下型6に強力に固定し、また、ホーン3,3’
も固定具7,7により下型6に固定した。上型6’にパ
ンチ8を固定し、30tクランププレスを用いて作動さ
せるようにした。パンチ8は、材質:SKD11、直径
28.5mm、ポンチ肩半径R5.0mmのものを使用
した。ダイスの振動駆動は、公称出力1.2kW(max)
にて行い、実共振振動数は14.5kHZ、無付加時のダ
イスベアリング部の振幅a0(実測値)は11μm(a
min)と15μm(amax)の2段階とした。
【0024】ワークWPとしては、前工程でt=1.2
mmの冷間圧延板の丸形ブランクから深絞りカップを作成
し、そのカップをしごき実験に供するという方法で行っ
た。ワークは、アルミニウム(A1050−H2
4),σB=185MPa、伸び4%、SPCE,σ
B=345MPa、伸び25%の2種を使用した。しご
き開始時パンチ速度は275.2mm/s、しごき率3
7.5%とした。加工油としては、次の3種を使用し
た。エマルジョンタイプ水溶性切削油:動粘度1mm
2/s前後(40℃)マシン油:粘度46mm2/s
(40℃)工作油:粘度1473mm2/s(40
℃)。このしごき加工において、しごき抵抗と表面性状
および加工精度について慣用しごき加工法と比較した。
しごき抵抗はパンチにひずみゲージを貼付けて測定し
た。
【0025】〔しごき抵抗について〕加工油としてエマ
ルジョンタイプ水溶性切削油を用いたときの、アルミニ
ウムおよびSPCEに対するしごき抵抗を測定した結果
を図8に示す。この結果から、楕円振動モードの超音波
振動を付加することによって、また振動振幅が大きくな
るほど、慣用しごきに比べて、しごき抵抗が減少するこ
とがわかる。SPCEに対しては減少率がアルミニウム
の場合ほどではないが、その原因はしごき抵抗が高くな
ると振動振幅が減衰するためと考えられる。これに関し
ては振動出力を増加すれば解決できる。
【0026】〔表面性状について〕アルミニウム工作物
の表面を慣用および振動しごき(amax)について目
視によって比較するともに、その表面の粗さを測定し
た。表面状態を定性的に観察した結果では、本発明の超
音波振動しごきにより、慣用しごきに比べ若干曇り気味
の表面となっていた。また、図9の表面粗さ測定結果か
らも同様の結果が得られており、このことから、潤滑状
態が向上していることがわかる。なお、他のしごき条件
の場合およびSPCEに対してもこれとほぼ同様な傾向
となった。
【0027】〔製品精度について〕アルミニウムを用い
て水溶性切削油を加工油としたときのカップの肉厚を測
定した結果を図10に示す。アルミニウムに対し、真円
度を測定した結果を図11に示す。なお、図10におけ
るサンプル1,2,3とは、多数加工した中から3個を
ランダムに抽出したものを指す。図10から、半径方向
からの超音波振動しごきにより、慣用しごきに比べて肉
厚精度が向上し、その結果は振動振幅が大きくなるほど
顕著になることがわかった。この傾向はSPCEに対し
てもほぼ同様となった。また、図11から、楕円振動モ
ードの超音波振動しごきにより真円度が向上し、その効
果は振動振幅が大きいほど顕著になることがわかる。ま
た、超音波振動を付加することにより、エマルジョンタ
イプ水溶性切削油を用いた場合でも、慣用しごきによる
工作油を用いた場合と同等以上の真円度となることがわ
かる。
【0028】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、加工穴を
有し直方体に形成されたダイスに楕円振動モードの超音
波振動を半径方向から付加しながらパンチとの協働で絞
り又は/及びしごき加工するので、低粘度の加工油を使
用しても良好な潤滑性が得られ、絞り抵抗、しごき抵抗
の減少と加工精度の向上を図ることができ、しかも、超
音波振動が楕円振動モードであるため、ダイスの大きさ
や形状を小型なものとすることが可能となり、それによ
りトランスファー型や順送型プレスの限られたスペース
(ステージ)に組み込むことが可能となり、表面性状を
含む加工精度のすぐれた製品を得ることができ、また、
絞り抵抗、しごき抵抗が減少されるので、加工工程を減
少でき、コストダウンを図ることができるというすぐれ
た効果が得られる。また、ダイスを直方体に形成し、該
直方体ダイスの側部法線方向に超音波振動子を取付けた
ので、楕円振動モードによるコンパクトなしごき加工ダ
イスとすることができ、かつ、前記ダイスの振動振幅が
最も弱い数か所のみを固定具により基台に固定するよう
にしたので、確実に所定の振動数振幅で振動させること
ができ、ダイス寿命も長く、かつ加工精度もよくするこ
とができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による振動プレス金型の一例を単体の状
態で示す斜視図である。
【図2】本発明による振動プレス金型とこれによる加工
状態の例を示す部分切欠側面図である。
【図3】本発明による振動プレス金型とこれによる加工
状態の例を示す部分切欠平面図である。
【図4】(a)と(b)は本発明のダイスの振動モード
を示す説明図である。
【図5】本発明の振動プレス金型を利用したトランスフ
ァプレスの要部側面図である。
【図6】本発明の振動プレス金型を利用したトランスフ
ァープレスの下型を示す平面図である。
【図7】(a)は実施例に使用した振動プレス金型の部
分切欠側面図、(b)は同じくVII−VII線に沿う
断面図である。
【図8】しごき抵抗測定結果を慣用しごき法と比較して
示す線図である。
【図9】(a)は慣用法による場合の表面粗さ測定結果
を示す線図、(b)は本発明による表面粗さ測定結果を
示す線図である。
【図10】(a)は慣用法による場合の肉厚精度表面粗
さ測定結果を示す線図、(b)は本発明による表面粗さ
測定結果を示す線図である。
【図11】本発明法と慣用法の真円度測定結果を示す線
図である。
【図12】(a)は慣用しごき法のしごきメカニズムを
模式的に示す説明図、(b)は本発明法のしごきメカニ
ズムを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 ダイス本体 2 ダイス 3 ホーン 4 超音波振動子 5 固定具 6 基台 8 パンチ 10 加工穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村川 正夫 埼玉県南埼玉郡白岡町新白岡3丁目4番5 号 (72)発明者 神 雅彦 栃木県下都賀郡野木町丸林260番地9

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイスに超音波振動を付加しつつ絞り又は
    /及びしごき加工する方法であって、加工穴を有し直方
    体に形成されたダイスに楕円振動モードの超音波振動を
    半径方向から付加しながらパンチとの協働で絞り又は/
    及びしごき加工することを特徴とする振動プレス加工方
    法。
  2. 【請求項2】ダイスに超音波振動を付加しつつ絞り又は
    /及びしごき加工するプレス金型であって、加工穴が設
    けられたダイスを直方体に形成し、該ダイスの側部法線
    方向に超音波振動子を取付け、前記ダイスの振動振幅が
    最も弱い数か所のみを固定具により基台に固定して、前
    記ダイスに楕円振動モードの超音波振動を半径方向から
    付加しながらパンチとの協働で絞り又は/及びしごき加
    工するようにしたことを特徴とする振動プレス金型。
  3. 【請求項3】トランスファプレスの絞り又は/及びしご
    き加工する工程領域に組み込まれていることを特徴とす
    る請求項2に記載の振動プレス金型。
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