JPH1129646A - 陰イオン選択性感応膜 - Google Patents

陰イオン選択性感応膜

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JPH1129646A
JPH1129646A JP9182100A JP18210097A JPH1129646A JP H1129646 A JPH1129646 A JP H1129646A JP 9182100 A JP9182100 A JP 9182100A JP 18210097 A JP18210097 A JP 18210097A JP H1129646 A JPH1129646 A JP H1129646A
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JP
Japan
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anion
sensitive membrane
electrode
group
selective
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JP9182100A
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Osamu Ozawa
理 小澤
Kotaro Yamashita
浩太郎 山下
Yuji Miyahara
裕二 宮原
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】陰イオン交換膜に基づく陰イオン選択性電極に
おいて、選択性を高め、血液などの生体試料の測定精度
の信頼性が高い電極を得る。 【解決手段】第4級アンモニウム塩等を重合体に共有結
合した陰イオン交換膜に基づく陰イオン選択性電極にお
いて、上記陰イオン交換基を重合体に共有結合するに先
立ち、水酸基を重合体に共有結合する処理を行い、その
後、第4級アンモニウム基等のオニウム基からなる陰イ
オン交換基を重合体に共有結合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は陰イオン選択性感応
膜およびそれを用いた電極に係り、特に生体液中の塩素
イオン等の陰イオンの測定に使用するに好適な陰イオン
選択性電極に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生体液中の塩素イオン等の分析に
使用される陰イオン選択性電極としては、ポリ塩化ビニ
ルの如き高分子支持膜中に感応物質として第4級アンモ
ニウム塩等を担持させたイオン感応膜を用いる高分子支
持膜形電極や、第4級アンモニウム塩を共有結合した重
合体を含む陰イオン交換膜を感応膜として用いるものな
どが報告されている。前者の電極は高い選択性を比較的
容易に実現できるが、スロープ感度の安定性に関して課
題が残されている。一方、後者の電極としては例えば、
アナリティカルケミストリ,1980年,52巻,18
93−1896頁に記載されているものがあり、この電
極では感応物質として作用する第4級アンモニウム塩が
スチレン−ジビニルベンゼン重合体に共有結合したイオ
ン交換膜を用いているため、少なくとも感応物質の溶出
は少なくスロープ感度の安定性が高い。
【0003】ただし、後者の陰イオン選択性電極はイオ
ン交換膜だけでは選択性がやや低く、共存する妨害イオ
ンによる影響を受けやすい。この課題に対し、特公平2
−13262 号公報は、アルキルベンゼンスルホン酸塩など
の低分子量のアニオンを陰イオン交換膜の表面に含浸す
ることにより電極の選択性を改善する方法を提案してい
る。
【0004】しかし、この第3の従来技術による電極を
用いても、血清試料を測定すると選択性が短期間に低下
し、精度が安定に維持できないという問題があることが
判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、陰イ
オン交換基を共有結合した重合体を含む膜を感応膜とし
て用いる陰イオン選択性電極において、選択性が高く、
血液などの生体試料測定時の信頼性が高い電極を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の陰イオン選択性電極の問題点を追求する過程でなさ
れたもので、陰イオン交換基を共有結合した重合体を含
む膜を感応膜として用いる陰イオン選択性電極におい
て、主として上記重合体としてさらに水酸基を共有結合
した重合体を用いることにより前記目的を達成するもの
である。更に好ましくは、上記陰イオン交換基を重合体
に共有結合するに先立ち、水酸基を重合体に共有結合す
る処理を行い、その後、第4級アンモニウム基等のオニ
ウム基からなる陰イオン交換基を重合体に共有結合する
ことにより、前記目的を達成するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕図1は、本発明による陰イオン選択性
電極の一例の構成断面図である。電極筒1には10mmo
l/L の塩化ナトリウムを含む内部液2が収納されてお
り、この内部液2内に銀塩化銀から成る内部電極3が浸
漬されている。電極筒1の端部にはイオン感応膜4が形
成されている。このイオン感応膜4は下記のようにして
製作した後、電極筒1の大きさに応じて適当な大きさに
打ち抜いて、電極筒1の端部に接着した。
【0008】イオン感応膜4は、前述の様に陰イオン交
換基を共有結合した重合体を含む、いわゆる陰イオン交
換膜として理解されるものの一種であり、本発明におい
ては主としてさらにこの重合体に水酸基が共有結合され
てなることを主な特徴とする。以下、本実施の形態にお
けるイオン感応膜4の製作法について詳述する。
【0009】先ず最初に、膜の基本骨格を構成する、い
わゆるベース膜を以下のごとく合成した。補強材として
アクリロニトリル−ブタジエンゴムと織物状の支持体
(ポリマー繊維)の共存下、クロロメチルスチレンとジ
ビニルベンゼンとを共重合させた。具体的には、82重
量%のクロロメチルスチレンと、10重量%のジビニル
ベンゼンとを混合し、これに5重量%のアクリロニトリ
ル−ブタジエンゴムを溶解し、さらに3重量%の過酸化
ベンゾイルを加えてペースト状の混合物を得た。これを
ポリ塩化ビニルからなる織物に練り込み、表面をポリエ
ステルフィルムでカバーした後、窒素気流中で80℃,
16時間加熱した。この様にして、クロロメチルスチレ
ンとジビニルベンゼンとの共重合体を主骨格とするベー
ス膜を形成した。この重合体中には、クロロメチルスチ
レンに由来するベンジルクロライド基が重合体の骨格に
共有結合している。
【0010】次に、このベース膜を塩基水溶液で処理す
ることにより、重合体に水酸基を結合した。本実施の形
態においては、塩基水溶液として水酸化カリウムの1モ
ル/Lの水溶液を用い、これに上記ベース膜を浸して6
0℃にて2時間反応を行った。反応後、十分に水洗して
乾燥させた。この反応により、ベース膜中の重合体に共
有結合しているベンジルクロライド基の一部はベンジル
ハイドロオキサイド基、別の言い方をすれば水酸化ベン
ジル基に変換される。従って、ベース膜の共重合体のベ
ンゼン環に1つのメチレン基を介して水酸基が共有結合
により固定化されたことになる。この様にして、水酸基
を重合体に共有結合したベース膜を形成した。
【0011】最後に、この水酸基を結合したベース膜に
第3級アミンを反応させて、重合体に第4級アンモニウ
ム基を結合した。本実施の形態においては第3級アミン
としてトリブチルアミンを用いたため、生成した第4級
アンモニウム基はベンジルトリブチルアンモニウムクロ
ライドである。具体的には、上記水酸基を結合したベー
ス膜をトリブチルアミンの1モル/Lのメタノール溶液
20mLに浸し、50℃にて72時間反応を行った。反
応後、メタノールで洗浄し、さらに1N塩酸と0.5N
アンモニアで交互に洗浄した。この反応により、水酸基
を導入したベース膜中の重合体中の残りのベンジルクロ
ライド基はベンジルトリブチルアンモニウムクロライド
基に変換され、このオニウム基は重合体に共有結合によ
り固定化されているため、陰イオン交換基として作用す
る。
【0012】以上の様にして、陰イオン交換基としてト
リブチルアンモニウム基を共有結合した重合体を含み、
かつ水酸基を同じ重合体に共有結合した陰イオン交換膜
を形成し、これをイオン感応膜4として使用した。
【0013】本実施の形態によるイオン感応膜は上述の
ように、主成分として置換メチルスチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体を骨格とし、この置換メチルスチレンの
一部の置換基が水酸基、また残りの置換基がトリブチル
アンモニウム基の形の陰イオン交換基であり、さらに膜
に機械的強度を付与するアクリロニトリル−ブタジエン
ゴム、並びに織物状の支持体としてポリ塩化ビニル布を
含む。しかしながら本発明の目的はこの構成に限定され
ることなく、他の類似の構成によっても達成される。
【0014】例えば、主成分の重合体の基本骨格はクロ
ロメチルスチレン−スチレン−ジビニルベンゼン,クロ
ロメチルスチレン−ブタジエン,スチレン−ジビニルベ
ンゼン,スチレン−イソプレンなどの共重合体の他、ポ
リスルホンなどが使用できる。クロロメチルスチレンを
共重合の原料として使用しなくても、一般にベンゼン環
を有する重合体であれば、クロロメチル化反応によって
クロロメチル基をベンゼン環に導入でき、上記のクロロ
メチルスチレン共重合体と同様に使用できる。
【0015】クロロメチル基が上記のごとく導入されれ
ば、これに対してアルカリや水等を反応させることによ
り、本発明の特徴である水酸基が共有結合した重合体が
得られる。
【0016】またクロロメチル基に対して第3級アミン
を反応させる4級化反応により、重合体にイオン交換基
であるベンジルトリアルキルアンモニウム基を導入で
き、陰イオン交換膜を得ることが出来る。この4級化反
応に用いる第3級アミンは上記のトリブチルアミン以外
に、トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリペンチ
ルアミン,トリプロピルアミンなど、各種の3級アミン
が使用できる。
【0017】膜に柔軟性を付与する補強材としてはアク
リロニトリル−ブタジエンゴム以外に、各種の高分子弾
性体が使用可能である。
【0018】織物状の支持体としては、メッシュ状のポ
リ塩化ビニル布以外に、テトロン,ビニロン,ガラス繊
維等の各種の材料が使用可能である。
【0019】また本実施の形態においては使用しなかっ
たが、必要に応じて各種の可塑剤,添加剤等を含むこと
ができる。
【0020】上記のごとく、疎水性の高いベース膜に対
してアルカリを作用させて水酸基を導入すると、その反
応は膜表面でもっぱら進行することになる。従って生成
物である水酸基も膜表面に多く生成する事になり、換言
すると膜表面において水酸基が配向して形成されて膜表
面の疎水性が低下する。この感応膜を用いた電極を血液
試料などの測定に供すると、各種疎水性イオンの影響が
低減し、選択性が向上する。また同様の原理により血液
中の蛋白や脂質などの疎水性物質が膜に付着しにくくな
り、これらの妨害を受けにくくなる。
【0021】本実施例特有の効果は、選択性が高く、血
液などの生体試料測定時の信頼性が高い電極を提供でき
ることである。また膜の製造に要するステップが少ない
ため製造が容易であり、副反応も起きにくいため特性の
良好な感応膜が再現性よく得られることである。
【0022】〔実施の形態2〕次に、本発明第2の実施
の形態による陰イオン選択性電極について説明する。本
実施の形態は上記第1の実施の形態と類似であるが、イ
オン感応膜4の製作法並びに構造がやや異なる。即ち、
水酸基を重合体に共有結合するに先立ち、陽イオン交換
基をベース膜に結合する処理を行い、その後で、水酸
基、並びに第4級アンモニウム基等のオニウム基からな
る陰イオン交換基を重合体に共有結合する点が異なる。
以下、本実施の形態におけるイオン感応膜4の製作法に
ついて詳述する。
【0023】本実施の形態におけるベース膜の製法は、
上記第1の実施の形態と同様である。
【0024】次に、このベース膜に硫酸を作用させて、
ベース膜に陽イオン交換基を導入する。本実施の形態で
はベース膜の主成分重合体としてクロロメチルスチレン
−ジビニルベンゼン共重合体を用いたため、クロロメチ
ルスチレン部及びジビニルベンゼン部においてベンゼン
環が存在する。硫酸の作用によりベンゼン環がスルホン
化され、ベース膜にスルホン酸基即ち陽イオン交換基が
共有結合により導入される。具体的には、上記ベース膜
を90%硫酸水溶液に浸し、40℃において1時間反応
させた。反応後よく水洗することにより余分の硫酸を除
去し、ベース膜にスルホン基を導入した。
【0025】さらに、このベース膜に、上記第1の実施
の形態と同様の処理を行い、即ちアルカリ水溶液を反応
させて水酸基を導入し、次いで第3級アミンを反応させ
て第4級アンモニウム基即ち陰イオン交換基を導入し
た。
【0026】この様にして、予め陽イオン交換基をベー
ス膜に共有結合した後、水酸基をベース膜に共有結合
し、さらに第4級アンモニウム基を陰イオン交換基とし
て重合体に共有結合した陰イオン交換膜に基づく陰イオ
ン感応膜が形成される。
【0027】本実施の形態によるイオン感応膜は上述の
ように、特定の濃度の硫酸水溶液を特定の条件下でベー
ス膜に作用させることによって、陽イオン交換基を結合
した。しかしながら本発明の効果はこの製造条件に限定
されることなく、他の類似の製造条件によっても実現さ
れる。
【0028】例えば、硫酸の濃度に関しては、より希薄
な硫酸水溶液を用いることも可能であり、この場合は他
の反応条件をより強めることにより、同様の効果を得る
ことが出来る。また反応温度,反応時間についても同様
で、温度を低めたり時間を短くする場合には他の反応条
件を強めることにより、同様の効果を得ることが出来
る。また、陽イオン交換基の導入に用いる反応試薬は硫
酸に限定されず、例えば3酸化硫黄と硫酸の混合物,発
煙硫酸,クロロ硫酸なども同様に使用可能である。
【0029】さらに、上記の実施の形態では予めクロロ
メチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を含むベー
ス膜を形成した後にそれをスルホン化したが、スルホン
酸基の共重合体への結合方法はこれに限定されない。
【0030】例えば、クロロメチルスチレン,スチレン
スルホン酸(塩),ジビニルベンゼンを原料として共重
合反応を行ってベース膜を形成すれば1段階の反応によ
りスルホン酸基の共重合体への結合が達成される。ある
いは、スチレン,スチレンスルホン酸,ジビニルベンゼ
ンを共重合させた後、クロロメチルエーテル等によりベ
ンゼン環をクロロメチル化することによってもスルホン
酸基の共重合体への結合が達成される。
【0031】しかしながら実際は上記第2の実施の形態
において採用した方法が、もっとも容易かつ再現性よく
所望の材料を得ることができる。なぜなら、クロロメチ
ルスチレン,スチレンスルホン酸(塩),ジビニルベン
ゼンを原料として共重合反応を行う際は親水性のスチレ
ンスルホン酸(塩)と疎水性のクロロメチルスチレン,
ブタジエンを均一に反応させることが困難であり、また
クロロメチルエーテル等によりクロロメチル化する反応
は一般に反応の制御が複雑となりやすいためである。
【0032】上記の実施の形態においてはスルホン酸基
はベース膜の主たる構成要素であるクロロメチルスチレ
ン−ブタジエン共重合体に直接共有結合により導入した
が、他の分子にスルホン酸基を導入しても本発明の目的
を達成することが出来る。例えば、上記第1の実施の形
態のごとく形成したベース膜に、スルホン酸基を含む高
分子を絡ませることもできる。
【0033】具体例としては、スチレンスルホン酸ナト
リウムとスチレン,ジビニルベンゼンのメタノール溶液
に上記ベース膜を浸し、重合開始剤としてAIBNを加
えて70度で1.5 時間加熱環流することにより、スチ
レン−ジビニルベンゼンを主骨格とし、スチレンの一部
にスチレンスルホン酸基が導入された高分子が、上記ク
ロロメチルスチレン−ブタジエンからなる重合体に絡ま
って形成される。このスルホン酸基を含む高分子として
は、上記の付加重合ばかりでなく、縮重合等他の重合メ
カニズムによって形成されるものも使用可能であり、ま
た予めスルホン酸基を含む単両体を重合するのではな
く、重合を行った後にスルホン化することによってこの
スルホン酸基を含む高分子を形成することもできる。
【0034】上記の説明においては重合体に結合する陽
イオン交換基として主にスルホン酸基を例示したが、陽
イオン交換基としてはスルホン酸基に限らず、他の陰電
荷を有する官能基も使用することが出来る。例えば陽イ
オン交換基としてリン酸基を含む化合物の例としては、
ビニルリン酸,フォスフェイトエステルなどがある。ま
たカルボン酸基を含む化合物の例としては、親油性の高
い長鎖アルキル基を有する不飽和カルボン酸、例えばリ
ノール酸,デセン酸,ステリング酸,ドデセン酸,パル
ミトオレイン酸,オレイン酸等、あるいはアクリル酸,
メタクリル酸,マレイン酸などがあり、これらの共重合
体を利用することができる。
【0035】なお、本発明による電極が陰イオン選択性
電極として作用するためには、イオン感応膜が陰イオン
に選択的に応答する必要がある。従って、膜全体として
陰イオン交換基の作用がスルホン酸基等の陽イオン交換
基と比較して優勢である必要がある。本発明において
は、重合体に含まれる第4級アンモニウム基等のオニウ
ム基からなる陰イオン交換基の総数が、ベース膜に結合
した陽イオン交換基総数よりも十分多いことが特徴とな
っている。
【0036】本実施の形態特有の効果は、主成分の陰イ
オン交換基に加えて陽イオン交換基を少量併用すること
により、硫酸イオンなどの多価イオンに対する電極の選
択性が向上し、高精度の測定が行える陰イオン選択性電
極を提供できることである。
【0037】なお、硫酸はフリーデルクラフツ反応の触
媒としても作用するため、ベース膜を硫酸で処理するこ
とによりクロロメチルスチレンの架橋反応が起きる場合
もある。しかし実験的に検証したところ、最終的には陰
イオンに応答する感応膜が得られたため、この副反応は
上記反応条件下では定量的には進行せず、大部分のクロ
ロメチルスチレンは硫酸処理によっても未反応のまま残
り、次のアルカリやさらにその次の第3級アミンとの反
応により陰イオン交換基に変換されることが確認され
た。従ってこの副反応は起きたとしてもせいぜい一部の
クロロメチルスチレンの架橋に留まる。この副反応が起
きると、架橋により膜の構造が緻密になり、塩素イオン
よりもかさ高い妨害イオンが排除されやすくなるため、
さらに選択性が向上するという好ましい効果も得られ
る。
【0038】〔実施の形態3〕本発明の実施の形態3は
上記実施の形態2と類似であるが、イオン感応膜4の製
法がやや異なる。即ち、上記実施の形態2における陽イ
オン交換基と水酸基の導入順序が異なる。以下、本実施
の形態におけるイオン感応膜4の製作法について詳述す
る。
【0039】上記実施の形態2と同様の手順によりベー
ス膜を形成し、これに上記実施の形態2の第2のステッ
プと同様の手順によりアルカリを作用させて、共重合体
に水酸基を共有結合により導入した。次に上記実施の形
態2の第1のステップと同様の手順により硫酸を作用さ
せて陽イオン交換基を導入した。最後に、上記実施の形
態2の第3のステップと同様の手順によりトリブチルア
ミンを作用させて陰イオン交換基を導入した。この様に
することにより、最終的には実施の形態2と同様の性質
を有するイオン感応膜が得られる。
【0040】本実施の形態特有の効果は、陽イオン交換
基を導入する前の状態でアルカリとの反応を行わせしめ
るため、実施の形態1と同様、アルカリとの反応が膜の
表面近傍で起きやすく、水酸基が膜表面に局在化して形
成されることである。従って、実施の形態1の特有の効
果と、実施の形態2の特有の効果を兼備した電極が得ら
れ、高精度の測定が行える陰イオン選択性電極を提供で
きる、という特有の効果が得られる。
【0041】〔実施の形態4〕次に、本発明の第4の実
施の形態によるマルチイオンセンサを図2を用いて説明
する。図2は、本発明によるマルチイオンセンサの一例
の断面模式図である。フローセル型電極ボディ5内に流
路が形成され、この流路に対して曲面状に突出する開口
部が設けられ、この曲面に沿って1つ以上の感応膜8,
8′等が接着される。個々の感応膜の流路と反対側の面
には内部電解質層6を介して内部電極7が形成される。
【0042】内部電解質層6としては塩化ナトリウムな
どの電解質を含む高分子ゲルなどが用いられ、この高分
子として好適に用いられるものの例としては、ポリビニ
ルアルコール,ポリエチレングリコール,アガロース等
が挙げられる。また、これらに多価アルコール類に代表
される保湿用材料を添加して用いても良い。内部電極7
としては銀塩化銀等からなる湾曲させた板状電極を用い
ることができるほか、湾曲や接着の容易な網目状の電極
も用いることができる。図示を省略したが、リード線等
をこの内部電極に結線して、マルチイオンセンサの外に
信号を取り出す。個々の感応膜,内部電解質層,内部電
極はお互いに電気的に絶縁して形成されるために、互い
に独立したイオン選択性電極として機能する。
【0043】なお、内部電解質層6として水分含量の少
ない高分子ゲル、即ち固体状の内部電解質層を用いる場
合は、個々のイオン選択性電極は固体イオンセンサとみ
なすことができる。この例では、1つの独立したイオン
選択性電極の感応膜として、実施の形態2における感応
膜と同じ組成の感応膜を用いたため、この電極は塩化物
イオンなどの陰イオンに応答し、この電極自体の性能は
実施の形態2と同様である。もちろん、本発明による他
の組成による感応膜を用いてもよい。
【0044】この例では、他の独立したイオン選択性電
極として、ナトリウムイオン,カリウムイオン用の感応
膜を用いるイオン選択性電極を同一のフローセル型電極
ボディに形成し、これら以外に塩素イオン用もしくはカ
リウムイオン用の感応膜を用いる参照電極9も同一のフ
ローセル型電極ボディに形成し、総合的に陰イオン,ナ
トリウムイオン,カリウムイオンの3項目を測定できる
マルチイオンセンサを形成した。
【0045】この実施の形態に特有の効果は、測定試料
が電極ボディの内部に設けられた流路を流通するため
に、試料量が少なくてすむこと、複数の独立したイオン
選択性電極と参照電極とを集積化して形成するために電
極のサイズ、及び測定装置全体のサイズとコストを低減
できること、取扱が容易になること、等がある。
【0046】〔実施の形態5〕次に、本発明による生化
学成分分析装置を図3を用いて説明する。図3は本発明
による生化学成分分析装置の一例の構成概略図である。
この生化学成分分析装置は、前記実施の形態2に示され
た陰イオン選択性電極10,参照電極11がフローセル
12内に保持され、送液装置13及び弁14,15,サ
ンプリング機構16,計測制御装置17,参照電極液1
8,内部標準溶液19,外部標準溶液20,測定試料溶
液21、及び他種の電極22などから構成される。
【0047】次に、この装置の動作の概略を説明する。
送液装置13,弁14,15の働きにより、参照電極液
18がフローセル12内の参照電極11へ、また試料溶
液として内部標準溶液19が陰イオン選択性電極10へ
と送られ、フローセル12内で合流し、液絡が形成され
る。すると参照電極11と陰イオン選択性電極10との
間に内部標準溶液19中の目的イオンの活量に応じた起
電力が発生するので、それを計測する。次に、サンプリ
ング機構16を動作させて、試料溶液として外部標準溶
液20もしくは測定試料溶液21を同様の手順で測定す
る。外部標準溶液20の測定値を用いて作成した検量線
に基づき、測定試料溶液21に含まれる目的イオンの活
量を算出し、表示及び印字などの出力を行う。以上の計
測及び制御は測定者の指示に基づき、計測制御装置17
によって自動的に遂行される。
【0048】ここでは陰イオン選択性電極10として実
施の形態2による陰イオン選択性電極を用いたが、もち
ろん本発明による他の陰イオン選択性電極を用いること
もできる。また、陰イオン選択性電極10,参照電極1
1,他種の電極22,フローセル12等の代わりに、実
施の形態4によるマルチイオンセンサを用いても同様の
生化学成分分析装置を構成することができる。
【0049】次に、本発明の効果について説明する。ま
ず本発明のイオン感応膜の材料及び形成方法を、効果が
最大になるように検討したので、その最適化の経緯を含
めて説明する。
【0050】本発明の主要な特徴事項である、水酸基を
ベース膜に結合する際の処理条件を変えて検討を行っ
た。具体的には、第2の実施の形態において、ベース膜
に作用させるアルカリの濃度を変えて様々な量の水酸基
を導入した陰イオン交換膜を製作した。この様にして得
られた陰イオン交換膜を陰イオン感応膜として図1に示
す陰イオン選択性電極に適用し、塩素を基準とする選択
係数を各種の妨害イオンについて測定した結果を図4に
示した。
【0051】図4は、横軸に電極の種類、縦軸に各電極
の各種妨害イオンに対する選択係数の対数値をプロット
したグラフである。電極の種類は、水酸化カリウムを作
用させないブランクが(a)、また作用させた水酸化カ
リウム水溶液濃度が0.1N,1N,10Nであったもの
を、それぞれ(b)〜(d)で表示した。これら全ての
電極は理論通り約−55mV/dec.のスロープ感度を示
し、正常な陰イオン応答が得られた。
【0052】図4から明らかなように、アルカリ処理を
行うと、何れの場合もブランク(a)と比較して選択性が
改善した。特にチオシアン酸イオンの選択係数の改善が
大きく、(c)の電極の場合はブランクの(a)と比較
して約3.2 倍改善した。このように、本発明によると
従来例と比較して、選択性、特に親油性イオンに対する
選択性が効果的に改善することが判明した。以上により
ベース膜をアルカリによって処理して水酸基を共有結合
により導入することにより、選択性が改善されることが
新たに見い出された。最適なアルカリ濃度はこの反応条
件下では約0.1から1Nであることが判明した。
【0053】チオシアン酸そのものの血液中の濃度は必
ずしも常に高いとは限らないが、同様の影響があるイオ
ンが微量ながらも多数種類含有されているため、このよ
うに選択性の高い電極を血液の測定に応用すると、誤差
が少なく、測定値の信頼性が改善される。
【0054】
【発明の効果】この様に本発明によると、選択性が高
く、血液などの生体試料測定時の信頼性が高い電極を提
供することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による陰イオン選択性電極の構成断面
図。
【図2】本発明によるマルチイオンセンサの構成断面
図。
【図3】本発明による生化学成分分析装置の構成概略
図。
【図4】従来例、並びに本発明の実施の形態2による陰
イオン選択性電極の各種妨害イオンに対する選択性を示
す図。
【符号の説明】
1…電極筒、2…内部液、3…内部電極、4…イオン感
応膜、5…フローセル型電極ボディ、6…内部電解質
層、7…内部電極、8,8′…感応膜、9…参照電極、
10…陰イオン選択性電極、11…参照電極、12…フ
ローセル、13…送液装置、14…弁、15…弁、16
…サンプリング機構、17…計測制御装置、18…参照
電極液、19…内部標準溶液、20…外部標準溶液、2
1…測定試料溶液、22…他種の電極。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰イオン交換性の重合体を含む陰イオン選
    択性感応膜において、前記陰イオン交換性の重合体に水
    酸基が結合してなることを特徴とする陰イオン選択性感
    応膜。
  2. 【請求項2】陰イオン交換性の重合体を含む陰イオン選
    択性感応膜において、前記陰イオン交換性の重合体に水
    酸基が共有結合してなることを特徴とする陰イオン選択
    性感応膜。
  3. 【請求項3】陰イオン交換性の重合体を含む陰イオン選
    択性感応膜において、前記陰イオン交換性の重合体に1
    以上のメチレン基を介して水酸基が共有結合してなるこ
    とを特徴とする陰イオン選択性感応膜。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の陰イ
    オン選択性感応膜において、前記重合体に、さらに陽イ
    オン交換基が結合してなることを特徴とする陰イオン選
    択性感応膜。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の陰イオン選択性感応膜に
    おいて、前記陽イオン交換基が芳香族スルホン酸基であ
    ることを特徴とする陰イオン選択性感応膜。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の陰イ
    オン選択性感応膜の製造において、前記陰イオン交換基
    を導入する前のクロロメチル基を有する原料膜に対し
    て、アルカリ水溶液による処理を行って前記水酸基を導
    入した後、前記陰イオン交換基を導入することにより前
    記イオン選択性感応膜を製造することを特徴とする陰イ
    オン選択性感応膜の製造方法。
  7. 【請求項7】陰イオン濃度を測定する陰イオン選択性電
    極において、請求項1〜6のいずれか1項に記載の陰イ
    オン選択性感応膜を備えたことを特徴とする陰イオン選
    択性電極。
  8. 【請求項8】複数のイオン選択性電極を備えるマルチイ
    オンセンサにおいて、請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の陰イオン選択性感応膜を備えた陰イオン選択性電極
    を含むことを特徴とするマルチイオンセンサ。
  9. 【請求項9】陰イオン濃度を測定する生化学成分分析装
    置において、請求項1〜6のいずれか1項に記載の陰イ
    オン選択性感応膜を備えた陰イオン選択性電極又はマル
    チイオンセンサを含むことを特徴とする生化学成分分析
    装置。
  10. 【請求項10】陰イオン濃度の測定方法において、請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の陰イオン選択性感応膜
    を備えた陰イオン選択性電極又はマルチイオンセンサを
    用いて陰イオン濃度を測定することを特徴とする陰イオ
    ン濃度の測定方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001048923A (ja) * 1999-06-04 2001-02-20 Reitekku:Kk 機能性ポリテトラフルオロエチレン樹脂およびその製造方法

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JP2001048923A (ja) * 1999-06-04 2001-02-20 Reitekku:Kk 機能性ポリテトラフルオロエチレン樹脂およびその製造方法

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