JPH11295764A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JPH11295764A
JPH11295764A JP11011982A JP1198299A JPH11295764A JP H11295764 A JPH11295764 A JP H11295764A JP 11011982 A JP11011982 A JP 11011982A JP 1198299 A JP1198299 A JP 1198299A JP H11295764 A JPH11295764 A JP H11295764A
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JP
Japan
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liquid crystal
display device
crystal display
signal line
pixel
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Application number
JP11011982A
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English (en)
Inventor
Keiichiro Ashizawa
啓一郎 芦沢
Masayuki Hikiba
正行 引場
Masuyuki Ota
益幸 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】画素領域内に形成した蓄積容量部の段差に起因
する配向不良を抑制して高コントラストで表示ムラの無
い表示を得る。 【解決手段】複数の走査信号線GLおよび映像信号線D
Lと、スイッチング素子TFTと、画素電極PXと、対
向電極CTとを備えたアクティブマトリクス基板と、ブ
ラックマトリクスBMと、カラーフィルタ層を形成した
カラーフィルタ基板ととを有し、対向電極に信号を供給
する対向電圧信号線と画素電極、及び両者の間の積層さ
れる絶縁膜とで形成される蓄積容量部Cstgがブラッ
クマトリクスBMの開口領域内に位置し、蓄積容量部を
構成する対向電圧信号線と画素電極の一方が、蓄積容量
部の平面形状の輪郭の大部分を形成するごとく構成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に係
り、特に一対の絶縁基板をスペーサを介して一定の間隙
で対向させ、当該間隙に液晶組成物を保持すると共に画
素領域内に保持容量部を形成した液晶表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ノート型コンピユータやコンピユータモ
ニター用の高精細かつカラー表示が可能な液晶表示装置
が広く普及している。
【0003】この液晶表示装置は、基本的には少なくと
も一方が透明なガラス板等からなる二枚の絶縁基板(以
下、単に基板とも言う)の間に液晶組成物(液晶分子)
の層を挟持して所謂液晶パネルを構成し、この液晶パネ
ルの絶縁基板に形成した画素形成用の各種電極に選択的
に電圧を印加して所定画素部分の液晶分子の配向方向を
変化させて画素形成を行う形式(単純マトリクス)、上
記各種電極と画素選択用のアクティブ素子を形成してこ
のアクティブ素子を選択することにより所定画素の液晶
分子の配向方向を変化させて画素形成を行う形式(アク
ティブマトリクス)とに大きく分類される。
【0004】一般に、アクティブマトリクス型液晶表示
装置は、一方の基板に形成した電極と他方の基板に形成
した電極との間に液晶層の配向方向を変えるための電界
を印加する、所謂縦電界方式を採用している。
【0005】一方、液晶層に印加する電界の方向を基板
面とほぼ平行な方向とする、所謂横電界方式(面内スイ
ッチング(IPS)方式とも言う)の液晶表示装置が実
用化されている。この横電界方式の液晶表示装置を開示
したものしては、二枚の基板の一方に電界形成用の櫛歯
電極を用いて非常に広い視野角を得るようにしたものが
知られている。
【0006】横電界方式の液晶表示装置は、複数の走査
信号線および映像信号線と、前記走査信号線および映像
信号線の交点近傍に形成したスイッチング素子と、前記
スイッチング素子を介して駆動電圧が印加される画素電
極と、前記画素電極と同一平面に形成された対向電極と
を備えてアクティブマトリクス基板と、樹脂組成物で形
成したブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクス
の開口領域に形成される各画素に対してそれぞれ配置し
たカラーフィルタ層を形成したカラーフィルタ基板と、
前記アクティブマトリクス基板とカラーフィルタ基板の
間に液晶組成物を挟持して液晶パネルとし、この液晶パ
ネルの背面にバックライトを設置して上下のケースで一
体化して液晶表示装置を構成している。
【0007】そして、前記画素電極と対向電極との間に
前記各基板面と略平行に形成される前記電界成分により
前記液晶組成物の光透過率を変化させて画像表示を行う
ようにしている。
【0008】このような横電界方式の液晶表示装置は、
縦電界方式とは異なり、その表示面に対して大きな角度
視野から観察しても鮮明な映像(画像)を認識でき、所
謂角度視野に優れたものである。
【0009】なお、このような構成の液晶表示装置を開
示したものとしては、例えば特開平6−160878号
公報(及びその対応米国特許5,598,285号及び
5,737,051号公報)を挙げることができる。
【0010】図1は従来から知られている横電界方式の
液晶表示装置の一画素とブラックマトリクスBMの遮光
領域およびその周辺を示す平面図である。
【0011】同図に示すように、各画素は走査信号線
(ゲート信号線又は水平信号線)GLと、対向電圧信号
線(対向信号配線)CLと、隣接する2本の映像信号配
線(ドレイン信号線又は垂直信号線)DLとの交差領域
内(4本の信号線で囲まれた領域内)に配置されてい
る。
【0012】各画素は薄膜トランジスタTFT、蓄積容
量(蓄保持量)部Cstg、画素電極PX及び対向電極
CTを含む。走査信号線GL、対向電圧信号線CLは、
同図では左右方向に延在し、上下方向に複数本配置され
ている。映像信号線DLは上下方向に延在し、左右方向
に複数本配置されている。画素電極PXは薄膜トランジ
スタTFTと接続され、対向電極CTは対向電圧信号線
CLと一体になっている。
【0013】画素電極PXと対向電極CTは互いに対向
し、各画素電極PXと対向電極CTとの間の電界により
液晶組成物の層(以下、単に液晶あるいは液晶層とも言
う)LCの配向状態を制御し、透過光あるいは反射光を
変調して表示を制御する。画素電極PXと対向電極CT
は櫛歯状に構成され、それぞれ同図の上下方向に長細い
電極となっている。
【0014】1画素内の対向電極CTの本数O(櫛歯の
本数)は、画素電極PXの本数P(櫛歯の本数)とO=
P+1の関係を必ず持つように構成する(同図では、O
=2、P=1)。これは、対向電極CTと画素電極PX
を交互に配置し、かつ、対向電極CTを映像信号線DL
に必ず隣接させるためである。
【0015】これにより、対向電極CTと画素電極PX
の間の電界が、映像信号線DLから発生する電界から影
響を受けないように、対向電極CTで映像信号線DLか
らの電気力線をシールドすることができる。
【0016】対向電極CTは、対向電圧信号線CLによ
り常に外部から電位を供給されているため、電位は安定
している。そのため、映像信号線DLに隣接しても、電
位の変動が殆どない。又、これにより、画素電極PXの
映像信号線DLからの幾何学的な位置が遠くなるので、
画素電極PXと映像信号線DLの間の寄生容量が大幅に
減少し、画素電極電位Vsの映像信号電圧による変動も
制御できる。
【0017】これらにより、上下方向に発生するクロス
トーク(縦スミアと呼ばれる画質不良)を抑制すること
ができる。
【0018】具体例として、画素電極PXと対向電極C
Tの電極幅Wp,Wcはそれぞれ6μmとし、後述の液
晶層の最大設定厚みを超える4.5μmよりも十分大き
く設定する。製造上の加工ばらつきを考慮すると20%
以上のマージンを持った方が好ましいので、望ましくは
5.4μmよりも十分大きくしたほうが良い。
【0019】これにより、液晶層に印加される基板面に
平行な電界成分が基板面に垂直な方向の電界成分よりも
大きくなり、液晶を駆動する電圧の上昇を抑制すること
ができる。又、各電極の電極幅Wp,Wcの最大値は、
画素電極PXと対向電極CTの間の間隔Lよりも小さい
事が好ましい。
【0020】これは、電極の間隔が小さすぎると電気力
線の湾曲が激しくなり、基板面に平行な電界成分よりも
基板面に垂直な電界成分の方が大きい領域が増大するた
め、基板面に平行な電界成分を効率良く液晶層に印加で
きないからである。従って、画素電極PXと対向電極C
Tの間の間隔Lはマージンを20%とると7.2μmよ
り大きいことが必要である。例えば、対角約14.5c
m(5.7インチ)で640×480ドットの解像度で
構成する場合、画素ピッチは約60μm、画素を2分割
することにより、間隔L>7.2μmを実現できる。
【0021】又、映像信号線DLの電極幅は断線を防止
するために、画素電極PXと対向電極CTに比較して若
干広い8μmとし、映像信号線DLと対向電極CTとの
間隔は短絡を防止するために約1μmの間隔を開けると
共に、ゲート絶縁膜の上側に映像信号線DLを下側に対向
電極CTを形成して、異層になるように配置する。
【0022】一方、画素電極PXと対向電極CTの間の
電極間隔は、用いる液晶材料によって変える。これは、
液晶材料によって最大透過率を達成する電界強度が異な
るため、電極間隔を液晶材料に応じて設定し、用いる映
像信号駆動回路(信号側ドライバ)の耐圧で設定される
信号電圧の最大振幅の範囲で、最大透過率が得られるよ
うにするためである。後述の液晶材料を用いると電極間
隔は、約15μmとなる。
【0023】本構成例では、平面的に見て、ブラックマ
トリクスBMがゲート配線GL上、対向信号配線CL、
薄膜トランジスタTFT上、ドレイン配線DL上、ドレ
イン配線DLと対向電極CT間に形成している。 そし
て、上記蓄積容量部Cstgは、ブラックマトリクスB
Mの開口の外側(画素領域外)において、画素電極PX
と対向電圧信号線CLおよび両電極間に形成される絶縁
膜で構成されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】液晶表示装置は、上記
した各電極および電極配線、保護膜や絶縁膜を形成した
後に配向膜を塗布し、これをラビングと称する処理で液
晶配向制御能を付与している。
【0025】上記従来の横電界方式の液晶表示装置で
は、その蓄積容量部Cstgが画素領域外で形成されて
いるため、画素領域内に大きな段差がなく、画素領域内
の配向膜に一様な液晶配向制御能を付与することができ
る。
【0026】しかし、画素領域内に蓄積容量部Cstg
を形成して画面全体の開口率を向上させることも考えら
れる。この場合、蓄積容量部Cstgによる画素領域内
の段差が大きくなり、ラビング処理時にこの段差で配向
不良が生じ、所謂ドメインが発生して表示ムラを招く。
【0027】特に、上記蓄積容量部Cstgを構成する
多層膜構造に配向膜の配向方向(ラビング方向)に対し
て直交あるいは略直交して段差がある場合に上記の配向
不良の発生が顕著となり、蓄積容量部Cstg近傍にお
いて液晶が正常に動作しなくなり、上記ドメインが生じ
てコントラストが低下し、表示ムラが発生して画質が著
しく低下するという問題があった。
【0028】本発明の目的は、上記従来技術の諸問題を
解消して、画素領域内に形成した蓄積容量部Cstgの
段差が存在することに起因する配向不良を低減し、コン
トラストの低下や表示ムラ等の表示不良を無くして良好
な表示品質を得ることができる液晶表示装置を提供する
ことにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、画素領域(実際にはブラックマトリクス
開口領域)内に形成される多層膜構造の段差、特に蓄積
容量部を構成する電極等の多層膜の段差の端部断面形状
を緩やかにしたものであり、下記(1)〜(3)に記載
した点に特徴を有する。
【0030】(1)複数の走査信号線および映像信号線
と、前記走査信号線および映像信号線の交点近傍に形成
したスイッチング素子と、前記スイッチング素子を介し
て駆動電圧が印加される画素電極と、前記画素電極と同
一平面に形成された対向電極とを備えたアクティブマト
リクス基板と、樹脂組成物で形成したブラックマトリク
スと、前記ブラックマトリクスの開口領域に形成される
各画素に対してそれぞれ配置したカラーフィルタ層を形
成したカラーフィルタ基板と、前記アクティブマトリク
ス基板とカラーフィルタ基板の間に挟持した液晶組成物
とを有し、前記対向電極に信号を供給する対向電圧信号
線と前記画素電極、および前記対向電圧信号線と前記画
素電極と間に積層される絶縁膜とで形成される蓄積容量
部が前記ブラックマトリクスの開口領域内に位置し、前
記画素電極と対向電極との間に前記各基板面と略平行に
形成される前記電界成分により前記液晶組成物の光透過
率を変化させて画像表示を行う液晶表示装置であって、
前記蓄積容量部を構成する対向電圧信号線と画素電極の
一方が、当該保持容量部の平面形状の輪郭の大部分を形
成していることを特徴とする。
【0031】この構成により、配向膜の膜面に対する蓄
積容量部の段差の角度が緩やかになり、当該蓄積容量部
近傍でのラビング不良が抑制され、コントラストの低下
や表示ムラ等の表示不良を著しく低減させた良好な表示
品質の液晶表示装置が得られる。
【0032】(2)(1)における前記保持容量部を構
成する対向電圧信号線と画素電極のうちの上層側の平面
形状の輪郭の大分を下層側の平面形状の輪郭より後退さ
せた。
【0033】(3)(1)における前記保持容量部を構
成する対向電圧信号線と画素電極のうちの下層側の平面
形状の輪郭の大分を上層側の平面形状の輪郭より後退さ
せた。
【0034】上記(2)(3)の構成により、配向膜の
膜面に対する蓄積容量部を構成する電極膜の段差の角度
が緩やかになり、当該蓄積容量部近傍でのラビング不良
が抑制され、コントラストの低下や表示ムラ等の表示不
良を著しく低減させた良好な表示品質の液晶表示装置が
得られる。
【0035】これらの特徴は、上記画素電極と対向電圧
信号線とに適用されるのみならず、画素領域内で互いに
異なる方向に延伸し且つ交差する2種類の導電層に対し
ても、これらの少なくとも一方が上記交差部から他方の
延伸方向に沿って延びるように形成された場合、適用す
ることができる。上記画素領域とは液晶表示基板上にお
いて上記液晶層により変調された光を透過させる領域と
して規定される。
【0036】なお、本発明は、電極膜、絶縁膜あるいは
保護膜等の多層膜が画素領域内に形成される場合、当該
多層膜が蓄積容量部であることに限らない。
【0037】上記発明を着想する過程で見出した本発明
の第2の目的は、上記液晶層に印加される電圧の降下に
よる液晶表示装置の表示不良を防ぐことにある。この問
題は、次の2種類の導電層を有する液晶表示装置におい
て生じる。これら2種類の導電層の各々は、液晶層に面
する基板主面上部において互いに異なる方向に延伸し且
つ接合する2つの部分を有する。そして、これら導電層
の間には電位差が生じ得る。即ち、これら2種類の導電
層に印加される電気信号は互いに異なる機能を有し、具
体的には、2種類の導電層は液晶表示装置又はその画素
アレイの周辺にある異なる回路に電気的に夫々接続され
る。一般に、これら2種類の導電層は絶縁膜により電気
的に絶縁される。
【0038】この目的を達成するために、本発明は上記
導電層の少なくとも一方の上記2つの部分を鈍角又は曲
線で接合させる。
【0039】具体的に、この発明は、液晶層とこれを挟
む基板の一方との間に画素電極、対向電極とこれに信号
を供給する対向電圧信号線とを設けた液晶表示装置にお
いて次の2種類の構成的な特徴を与える。
【0040】構成的な特徴の一つは、上記液晶表示装置
の光透過領域において上記対向電圧信号線と上記画素電
極とをこれらの縁が鈍角をなすように交差させる。
【0041】構成的な特徴のもう一つは、上記液晶表示
装置の光透過領域において、上記対向電圧信号線を上記
対向電極とこれらの縁が鈍角又は曲線をなすように接合
させ、且つ上記対向電圧信号線と上記画素電極を交差さ
せる。
【0042】これら発明の構成において、上記画素電
極、上記対向電極、上記対向電圧信号線、及び上記電極
並びに信号線が形成される基板は絶縁膜で覆われ、望ま
しくは上記画素電極上に形成される絶縁膜を上記対向電
極上及び上記対向電圧信号線上に形成される絶縁膜と異
なるものとする。
【0043】この発明の詳細な構成は、追って説明す
る。
【0044】
【発明の実施の形態】[1.液晶表示装置の詳細]はじ
めに、本発明が適用される液晶表示装置の具体的な詳細
について図2〜図12を参照して説明する。
【0045】《マトリクス部(画素部)の断面構造》図
2は横電界方式の液晶表示装置を構成する液晶パネルの
画像表示領域における1画素の電極近傍の断面図と基板
周辺部の断面図、図3は薄膜トランジスタTFTの断面
図である。
【0046】図2に示すように、横電界方式の液晶パネ
ルでは液晶LCを基準にして下部基板(透明ガラス基
板)SUB1側には薄膜トランジスタTFT、蓄積容量
Cstg(図示せず)及び電極群(対向電極CT、画素
電極PX、映像信号線DL、その他)が形成され、上部
基板(透明ガラス基板)SUB2側にはカラーフィルタ
FIL、遮光用のブラックマトリクスBMのパターンが
形成されている。尚、同一出願人による、特開平8−8
06463号に提案されたように、遮光用ブラックマト
リクスBMのパターンを下部透明ガラス基板SUB1側
に形成することも可能である。
【0047】又、透明ガラス基板SUB1、SUB2の
それぞれの内側(液晶LC側)の表面には、液晶の初期
配向を制御する配向膜ORI11とORI12が設けら
れており、透明ガラス基板SUB1、SUB2のそれぞ
れの外側の表面には、偏光軸が直交して配置(クロスニ
コル配置)された偏光板POL1、POL2が設けられ
ている。
【0048】次に、下側透明ガラス基板SUB1側(T
FT基板)の構成を詳しく説明する。
【0049】(TFT基板) 《薄膜トランジスタ》薄膜トランジスタTFTは、ゲー
ト電極GTに正のバイアスを印加すると、ソース−ドレ
イン間のチャネル抵抗が小さくなり、バイアスを零にす
ると、チャネル抵抗は大きくなるように動作する。
【0050】薄膜トランジスタTFTは、図3に示すよ
うに、ゲート電極GT、ゲート絶縁膜GI、i型(真
性:intrinsic、導電型決定不純物が人為的に
ドープされていない)非晶質シリコン(a−Si)から
なるi型半導体層AS、一対のソース電極SD1、ドレ
イン電極SD2を有する。
【0051】尚、ソース、ドレインは本来その間のバイ
アス極性によって決まるもので、この液晶表示装置の回
路ではその極性は動作中反転するので、ソース、ドレイ
ンは動作中入れ替わると理解されたい。しかし、以下の
説明では、便宜上一方をソース、他方をドレインと固定
して表現する。
【0052】《ゲート電極GT》ゲート電極GTは走査
信号線GLと連続して形成されており、走査信号線GL
の一部の領域がゲート電極GTとなるように構成されて
いる。このゲート電極GTは薄膜トランジスタTFTの
能動領域を超える部分であり、i型半導体層ASを完全
に覆うよう(下方から見て)それより大きめに形成され
ている。
【0053】これにより、ゲート電極GTはそれ自身の
役割の他に、i型半導体層ASに外光やバックライト光
が当たらないように工夫されている。本例では、ゲート
電極GTは単層の導電膜g1で形成されている。この導
電膜g1としては、例えばスパッタで形成されたアルミ
ニウム(Al)膜が用いられ、その上にはAlの陽極酸
化膜AOFが設けられている。
【0054】《走査信号線GL》走査信号線GLはゲー
ト電極GTの導電膜g1と同一製造工程で形成され、か
つ、一体に構成されている。この走査信号線GLによ
り、外部回路からゲート電圧Vgをゲート電極GTに供
給する。
【0055】又、走査信号線GL上にもAlの陽極酸化
膜AOFが設けられている。尚、映像信号線DLと交差
する部分は映像信号線DLとの短絡の確率を小さくする
ため細くし、又、短絡してもレーザトリミングで切り離
すことができるように二股にしている。
【0056】《対向電極CT》対向電極CTはゲート電
極GT及び走査信号線GLと同層の導電膜g1で構成さ
れている。又、対向電極CT上にもAlの陽極酸化膜A
OFが設けられている。対向電極CTは、陽極酸化膜A
OFで完全に覆われていることから、映像信号線と限り
なく近づけても、それらが短絡してしまうことがなくな
る。
【0057】又、それらを交差させて構成させることも
できる。対向電極CTには対向電圧Vcomが印加され
るように構成されている。本実施例では、対向電圧Vc
omは映像信号線DLに印加される最小レベルの駆動電
圧Vdminと最大レベルの駆動電圧Vdmaxとの中
間直流電位から、薄膜トランジスタ素子TFTをオフ状
態にするときに発生するフィードスルー電圧ΔVs分だ
け低い電位に設定されるが、映像信号駆動回路で使用さ
れる集積回路の電源電圧を約半分に低減したい場合は、
交流電圧を印加すれば良い。
【0058】《対向電圧信号線CL》対向電圧信号線C
L(図1参照)はゲート電極GT、走査信号線GL及び
対向電極CTの導電膜g1と同一製造工程で形成され、
かつ、対向電極CTと一体に構成されている。
【0059】この対向電圧信号線CLにより、外部回路
から対向電圧Vcomを対向電極CTに供給する。又、
対向電圧信号線CL上にもAlの陽極酸化膜AOFが設
けられている。尚、映像信号線DLと交差する部分は、
走査信号線GLと同様に映像信号線DLとの短絡の確率
を小さくするため細くし、又、短絡しても、レーザトリ
ミングで切り離すことができるように二股にすることも
できる。
【0060】《絶縁膜GI》絶縁膜GIは、薄膜トラン
ジスタTFTにおいて、ゲート電極GTと共に半導体層
ASに電界を与えるためのゲート絶縁膜として使用され
る。絶縁膜GIはゲート電極GT及び走査信号線GLの
上層に形成されている。
【0061】絶縁膜GIとしては例えばプラズマCVD
で形成された窒化シリコン膜が選ばれ、120〜270
nmの厚さに(本実施例では、240nm)形成され
る。
【0062】このゲート絶縁膜GIは、マトリクス部A
Rの全体を囲むように形成され、周辺部は外部接続端子
DTM、GTMを露出するよう除去されている。また、
絶縁膜GIは走査信号線GL及び対向電圧信号線CLと
映像信号線DLの電気的絶縁にも寄与している。
【0063】《i型半導体層AS》i型半導体層AS
は、非晶質シリコンで、20〜220nmの厚さ(本実
施例では、200nm程度の膜厚)で形成される。層d
0はオーミックコンタクト用のリン(P)をドープした
N(+)型非晶質シリコン半導体層であり、下側にi型
半導体層ASが存在し、上側に導電膜d1(d2)が存
在するところのみに残されている。
【0064】i型半導体層ASは走査信号線GL及び対
向信号線CLと映像信号線DLとの交差部の両者間にも
設けられている。この交差部のi型半導体層ASは交差
部における走査信号線GL及び対向信号線CLと映像信
号線DLとの短絡を低減する。
【0065】《ソース電極SDI、ドレイン電極SD
2》ソース電極SDI、ドレイン電極SD2のそれぞれ
は、N(+)型半導体層d0に接触する導電膜d1とそ
の上に形成された導電膜d2とから構成されている。
【0066】導電膜d1はスパッタで形成したクロム
(Cr)膜を用い、50〜100nmの厚さに(本実施
例では、60nm程度)で形成される。Cr膜は膜厚を
厚く形成するとストレスが大きくなるので、200nm
程度の膜厚を越えない範囲で形成する。Cr膜はN
(+)型半導体層d0との接着性を良好にし、導電膜d
2のAlがN(+)型半導体層d0に拡散することを防
止する、所謂バリア層の目的で使用される。
【0067】導電膜d1として、Cr膜の他に高融点金
属(Mo、Ti、Ta、W)膜、高融点金属シリサイド
(MoSi2 、TiSi2 、TaSi2 、WSi2 )膜
を用いても良い。
【0068】導電膜d2はAlのスパッタリングで30
0〜500nmの厚さに(400nm程度)形成され
る。Al膜はCr膜に比べてストレスが小さく、厚い膜
厚に形成することが可能で、ソース電極SD1、ドレイ
ン電極SD2および映像信号線DLの抵抗値を低減した
り、ゲート電極GTやi型半導体層ASに起因する段差
乗り越えを確実にする(ステップカバレージを良くす
る)働きがある。
【0069】導電膜d1、導電膜d2を同じマスクパタ
ーンでパターニングした後、同じマスクを用いて、或い
は導電膜d1、導電膜d2をマスクとして、N(+)型
半導体層d0が除去される。つまり、i型半導体層AS
上に残っているN(+)型半導体層d0は導電膜d1、
導電膜d2以外の部分がセルフアラインで除去される。
このとき、N(+)型半導体層d0はその厚さ分は全て
除去されるようエッチングされるので、i型半導体層A
Sも若干その表面部分がエッチングされるが、その程度
はエッチング時間で制御すればよい。
【0070】《映像信号線DL》映像信号線DLはソー
ス電極SD1、ドレイン電極SD2と同層の第2導電膜
d2、第3導電膜d3で構成されている。又、映像信号
線DLはドレイン電極SD2と一体に形成されている。
【0071】《画素電極PX》画素電極PXはソース電
極SD1、ドレイン電極SD2と同層の第2導電膜d
2、第3導電膜d3で構成されている。又、画素電極P
Xはソース電極SD1と一体に形成されている。
【0072】《蓄積容量Cstg》画素電極PXは、そ
の一端で対向電圧信号線CLと重なるように形成されて
いる。この重ね合せにより、画素電極PXを一方の電極
とし、対向電圧信号線CLを他方の電極とする蓄積容量
(静電容量素子)Cstgを構成する。この蓄積容量C
stgの誘電体膜は、製造方法に関し後述する薄膜トラ
ンジスタTFTのゲート絶縁膜として使用される絶縁膜
GI及び陽極酸化膜AOFで構成されている。
【0073】(カラーフィルタ基板)次に、図2、図6
により上側透明ガラス基板SUB2側(カラーフィルタ
基板)の構成を詳しく説明する。
【0074】《遮光膜:ブラックマトリクスBM》上部
透明ガラス基板SUB2側には、不要な間隙部(画素電
極PXと対向電極CTの間以外の隙間)からの透過光が
表示面側に出射して、コントラスト比等を低下させない
ように遮光膜BM(所謂、ブラックマトリクス)を形成
している。
【0075】遮光膜BMは、外部光又はバックライト光
がi型半導体層ASに入射しないようにする役割も果た
している。即ち、薄膜トランジスタTFTのi型半導体
層ASは上下にある遮光膜BM及び大きめのゲート電極
GTによってサンドイッチにされ、外部の自然光やバッ
クライト光が当たらなくなる。
【0076】図1に示すブラックマトリクスBMの閉じ
た角形の輪郭線は、その内側が遮光膜BMが形成されな
い開口を示している。このようなブラックマトリクスの
表示は、本明細書における他の電極構造の平面図におい
ても適用される。また、この輪郭線のパターンは1例で
ある。
【0077】横電界方式の液晶表示装置では、可能な限
り高抵抗なブラックマトリクスが適していることから、
一般に樹脂組成物を用いる。この抵抗規格については、
特開平9−43589号に記載がある。即ち、液晶組成
物LCの比抵抗値が10のN乗を10N と記述すると10N
Ω・cm以上、かつ、ブラックマトリクスBMの比抵抗
値が10のM乗を10M と記述すると10M Ω・cm以上と
し、かつ、N≧9、M≧6を満足する関係とする。或い
は、N≧13、M≧7を満足する関係とすることが望ま
しい。
【0078】又、液晶表示装置の表面反射を低減する目
的からも、ブラックマトリクスの形成材料に樹脂組成物
を用いることが望ましい。
【0079】さらに、Cr等の金属膜をブラックマトリ
クスに用いる場合と比較して、金属膜のエッチング工程
が不要なため、カラーフィルタ基板の製造工程を簡略化
できる。金属膜を使用する場合の製造工程は、1)金属
膜成膜、2)レジスト塗布、3)露光、4)現像、5)
金属膜エッチング、6)レジスト剥離、である。
【0080】一方、樹脂を使用する場合の製造工程は、
1)樹脂塗布、2)露光、3)現像、であり、著しく工
程を短縮できる。
【0081】しかし、樹脂組成物は金属膜と比較して遮
光性が低い。樹脂の膜厚を厚くすると遮光性は向上する
が、ブラックマトリクスの膜厚ばらつきは増加する。こ
れは、例えば±10%の膜厚ばらつきがある場合、ブラ
ックマトリクスの膜厚が1.0μm時は±0.1μm、
2μm時は±0.2μmになるためである。
【0082】又、ブラックマトリクスの膜厚を厚くする
と、カラーフィルタ基板の膜厚ばらつきが増加し、液晶
表示基板のギャップ精度を向上することが困難になる。
以上の理由により、樹脂の膜厚は、2μm以下にするこ
とが望ましい。
【0083】膜厚1μmでOD値を約4.0以上にする
ためには、例えばカーボンの含有量を増加して黒色化す
る場合、ブラックマトリクスBMの比抵抗値は約106
Ω・cm以下となり、現状では使用できない。尚、OD
値は、吸光係数に膜厚を掛けた値と定義できる。
【0084】このため、本実施例では、この遮光膜BM
の材料として、黒色の無機顔料をレジスト材に混入した
樹脂組成物を用い、1.3±0.1μm程度の厚さで形
成している。無機顔料の例としては、パラジウムや無電
解メッキしたNiなどがある。更に、ブラックマトリク
スBMの比抵抗値は約109 Ω・cmとし、OD値約
2.0とした。
【0085】この樹脂組成物ブラックマトリクスBMを
使用した場合の光透過量の計算結果を下記に示す。
【0086】OD値=log(100/Y) Y=∫A(λ)・B(λ)・C(λ)dλ/∫A(λ)
・C(λ)dλ ここで、Aは視感度、Bは透過率、Cは光源スペクト
ル、λは入射光の波長を示す。
【0087】OD値2.0の膜で遮光した場合は、上記
数1から、Y=1%を得て、入射光強度4000cd/
m2 を仮定すると、約40cd/m2 の光が透過してく
ることになる。この光強度は、十分に人間が視認できる
明るさである。
【0088】遮光膜BMは周辺部にも額縁状に形成さ
れ、そのパターンはドット状に複数の開口を設けた図9
に示すマトリクス部のパターンと連続して形成されてい
る。
【0089】《カラーフィルタFIL》カラーフィルタ
FILは画素に対向する位置に赤、緑、青の繰り返しで
ストライプ状に形成される。カラーフィルタFILは遮
光膜BMのエッジ部分と重なるように形成されている。
【0090】本発明では、この重なる部分の平面レイア
ウトを規定するものである。詳細は後述する。
【0091】カラーフィルタFILは例えば次のように
形成することができる。まず、上部透明ガラス基板SU
B2の表面にアクリル系樹脂等の染色基材を形成し、フ
ォトリソグラフィ技術で赤色フィルタ形成領域以外の染
色基材を除去する。この後、染色基材を赤色染料で染
め、固着処理を施して赤色フィルタRを形成する。次
に、同様な工程を施すことによって、緑色フィルタG、
青色フィルタBを順次形成する。
【0092】《オーバーコート膜OC》オーバーコート
膜OCはカラーフィルタFILの染料の液晶LCへの漏
洩を防止、及びカラーフィルタFIL、遮光膜BMによ
る段差の平坦化のために設けられている。オーバーコー
ト膜OCは例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明
樹脂材料で形成される。
【0093】(液晶層及び偏光板)次に、液晶層、配向
膜、偏光板等について説明する。
【0094】《液晶層》液晶材料LCとしては、誘電率
異方性△εが正でその値が13.2、屈折率異方性△n
が0.081(589nm、20°C)のネマチック液
晶と、誘電率異方性△εが負でその値が−7.3、屈折
率異方性△nが0.053(589nm、20°C)の
ネマチック液晶を用いた。
【0095】液晶層の厚み(ギャップ)は、誘電率異方
性△εが正の場合2.8μm超4.5μm未満とした。
これは、リターデションΔn・dは0.25μm超0.
32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆ど
ない誘電率特性が得られ、誘電率異方性△εが正を有す
る液晶の大部分が複屈折率異方性△nが0.07超0.
09未満であるためである。
【0096】一方、誘電率異方性△εが負の場合は、液
晶層の厚み(ギャップ)は、4.2μm超8.0μm未
満とした。これは誘電率異方性△εが正の液晶と同様
に、リターデションΔn・dを0.25μm超0.32
μm未満に抑えるためで、誘電率異方性△εが負を有す
る液晶の大部分が複屈折異方性△nが0.04超0.0
6未満であるためである。
【0097】又、後述の配向膜と偏光板の組み合わせに
より、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回
転したとき最大透過率を得ることができる。尚、液晶層
の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。
【0098】又、液晶材料LCは、ネマチック液晶であ
れば、特に限定したものではない。
【0099】誘電率異方性△εは、その値が大きいほう
が、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性△nは小さいほ
うが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入
時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくするこ
とができる。
【0100】《配向膜》配向膜ORIとしてはポリイミ
ドを用いる。ラビング方向RDRは上下基板で互いに平
行にし、かつ、印加電界方向EDRとのなす角度φLC
は75°とする。図4にその関係を示す。
【0101】尚、ラビング方向RDRと印加電界方向E
DRとのなす角度は、液晶材料の誘電率異方性△εが正
であれば、45°以上90°未満、誘電率異方性△εが
負であれば、0°を超え45°以下であれば良い。
【0102】《偏光板》偏光板POLとしては、日東電
工社製G1220DU(商品名)を用い、図4に示した
ように、下側の偏光板POL1の偏光透過軸MAX1を
ラビング方向RDRと一致させ、上側の偏光板POL2
の偏光透過軸MAX2をそれに直交させる。
【0103】これにより、本発明の画素に印加される電
圧(画素電極PXと対向電極CTの間の電圧)を増加さ
せるに伴い、透過率が上昇するノーマリークローズ特性
を得ることができる。
【0104】更に、本発明で開示される横電界方式と称
される液晶表示装置では、上側の基板SUB2側の表面
の外部から静電気等の高い電位が加わった場合に、表示
の異常が発生する。このため、上側の偏光板POL2の
更に上側或いは表面にシート抵抗が1×108 Ω/□以
下の透明導電膜の層を形成すること、或いは偏光板と前
記透明基板の間にシート抵抗1×108 Ω/□以下のI
TO等の透明導電膜の層を形成すること、或いは偏光板
の粘着層にITO、SnO2 、In2 O3 等の導電性粒
子を混ぜ、シート抵抗を1×108 Ω/□以下とするこ
とが必要になる。この対策については、公知ではないが
同一出願人による特願平7−264443号において、
シールド機能向上につき詳しい記載がある。
【0105】《マトリクス周辺の構成》図5は上下のガ
ラス基板SUB1、SUB2を含む表示パネルPNLの
マトリクス(AR)周辺の要部平面図である。又、図6
は左側に走査回路が接続された外部接続端子GTM付近
の断面図、図7は図6のテープキャリアパッケージの断
面図である。
【0106】図5に示した表示パネルの製造では、小さ
いサイズであればスループット向上のため1枚のガラス
基板では複数個分のデバイスを同時に加工してから分割
し、大きいサイズであれば製造設備の共用のため、どの
品種でも標準化された大きさのガラス基板を加工してか
ら各品種に合ったサイズに小さくし、いずれの場合も一
通りの工程を経てからガラスを切断する。
【0107】図5、図6は後者の例を示すもので、図
5、図6の両図とも上下基板SUB1、SUB2の切断
後を表わしており、LNは両基板の切断前の縁を示す。
いずれの場合も、完成状態では外部接続端子群Tg、T
d及び端子CTMが存在する(図で上辺と左辺の)部分
はそれらを露出するように上側基板SUB2の大きさが
下側基板SUB1よりも内側に制限されている。
【0108】端子群Tg、Tdは、それぞれ後述する走
査回路接続用端子GTM、映像信号回路接続用端子DT
Mとそれらの引出し配線部を集積回路チップCHIが搭
載されたテープキャリアパッケージTCP(図6、図7
参照)の単位に複数本まとめて名付けたものである。
【0109】各群のマトリクス部から外部接続端子部に
至るまでの引出し配線は、両端に近づくにつれ傾斜して
いる。これは、パッケージTCPの配列ピッチ及び各パ
ッケージTCPにおける接続端子ピッチに表示パネルP
NLの端子DTM、GTMに合わせるためである。
【0110】又、対向電極端子CTMは、対向電極CT
に対向電圧を外部から与えるための端子である。マトリ
クス部の対向電圧信号線CLは、走査回路用端子GTM
の反対側(図では右側)に引出し、各対向電圧信号線を
共通バスラインCBで一纏めにして、対向電極端子CT
Mに接続している。
【0111】透明ガラス基板SUB1、SUB2の間に
は、その縁に沿って、液晶封入口INJを除き、液晶L
Cを封止するようにシールパターンSLが形成される。
シール材は例えばエポキシ樹脂から成る。
【0112】配向膜ORI1、ORI2の層は、シール
パターンSLの内側に形成される。
【0113】偏光板POL1、POL2はそれぞれ下部
透明ガラス基板SUB1、上部透明ガラス基板SUB2
の外側の表面に構成されている。
【0114】液晶LCは液晶分子の向きを設定する下部
配向膜ORI1と上部配向膜ORI2との間でシールパ
ターンSLで仕切られた領域に封入されている。下部配
向膜ORI1は下部透明ガラス基板SUB1側の保護膜
PSV1の上部に形成される。
【0115】この液晶表示装置は、下部透明ガラス基板
SUB1側、上部透明ガラス基板SUB2側で別個に種
々の層を積み重ね、シールパターンSLを基板SUB2
側に形成し、下部透明ガラス基板SUB1と上部透明ガ
ラス基板SUB2とを重ね合わせ、シールパターンSL
の開口部INJから液晶LCを注入し、注入口INJを
エポキシ樹脂などで封止し、上下基板を切断することに
よって組み立てられる。
【0116】《TCPの接続構造》前記したように、図
7は走査信号駆動回路Vや映像信号駆動回路Hを構成す
る集積回路チップCHIがフレキシブル配線基板に搭載
されたテープキャリアパッケージの断面構造を示すし、
図6はそれを液晶表示パネルの、本例では走査信号回路
用端子GTMに接続した状対を示す要部断面図である。
【0117】同図において、TTBは集積回路CHIの
入力端子・配線部であり、TTMは集積回路CHIの出
力端子・配線部であって、例えばCuから成り、それぞ
れの内側の先端部(通称インナーリード)には集積回路
CHIのボンディングパッドPADが所謂フェースダウ
ンボンディング法により接続される。
【0118】端子TTB、TTMの外側の先端部(通称
アウターリード)はそれぞれ半導体集積回路チップCH
Iの入力及び出力に対応し、半田付け等によりCRT/
TFT変換回路・電源回路SUPに、異方性導電膜AC
Fによって液晶表示パネルPNLに接続される。
【0119】パッケージTCPは、その先端部がパネル
PNL側の接続端子GTMを露出した保護膜PSV1を
覆うようにパネルにPNLに接続されている。従って、
外側接続端子GTM(DTM)は保護膜PSV1かパッ
ケージTCPの少なくとも一方で覆われるので電触に対
して強くなる。
【0120】BF1はポリイミド等からなるベースフィ
ルムであり、SRSは半田付けの際、半田が余計な所へ
付かないようにマスクするためのソルダレジスト膜であ
る。
【0121】シールパターンSLの外側の上下ガラス基
板の隙間は、洗浄後にエポキシ樹脂EPX等により保護
され、パッケージTCPと上側基板SUB2の間には更
にシリコン樹脂SILが充填されて保護が多重化されて
いる。
【0122】《表示装置全体等価回路》図8は本発明に
よる液晶表示装置の周辺等価回路の概要説明図であっ
て、液晶表示基板は画像表示部がマトリクス状に配置さ
れた複数の画素の集合により構成され、各画素は前記液
晶表示基板の背部に配置されたバックライトからの透過
光を独自に変調制御できるように構成されている。
【0123】液晶表示基板の構成要素の1つであるアク
ティブ・マトリクス基板SUB1上には、有効画素領域
ARにx方向(行方向)に延在し、y方向(列方向)に
並設されたゲート信号線GLと対向電圧信号線CLとそ
れぞれ絶縁されてy方向に延在し、x方向に並設された
映像信号線(ドレイン信号線)DLが形成されている。
【0124】ここで、走査信号線(ゲート信号線)G
L、対向電圧信号線CL、ドレイン信号線DLのそれぞ
れによって囲まれる矩形状の領域に単位画素が形成され
る。
【0125】液晶表示基板には、その外部回路として垂
直走査回路V及び映像信号駆動回路Hが備えられ、前記
垂直走査回路Vによって前記ゲート信号線GLのそれぞ
れに順次走査信号(電圧)が供給され、そのタイミング
に合わせて映像信号駆動回路Hからドレイン信号線DL
に映像信号(電圧)を供給するようになっている。
【0126】尚、垂直走査回路V及び映像信号駆動回路
Hは、液晶駆動電源回路3から電源が供給されるととも
に、CPU1からの画像情報がコントローラ2によって
それぞれ表示データ及び制御信号に分けられて入力され
るようになっている。
【0127】《駆動方法》図9は本発明の液晶表示装置
の駆動波形図である。対向電圧をVCHとVCLの2値
の交流矩形波にし、それに同期させて走査信号VG(i
−1)、VG(i)の非選択電圧を1走査期間毎に、V
CHとVCLの2値で変化させる。対向電圧の振幅幅と
非選択電圧の振幅値は同一にする。
【0128】映像信号電圧は、液晶層に印加したい電圧
から、対向電圧の振幅の1/2を差し引いた電圧であ
る。 対向電圧は直流でも良いが、交流化することで映
像信号電圧の最大振幅を低減でき、映像信号駆動回路
(信号側ドライバ)に耐圧の低いものを用いることが可
能になる。
【0129】《蓄積容量部Cstgの働き》蓄積容量部
Cstgは、画素に書き込まれた(薄膜トランジスタT
FTがオフした後の)映像情報を長く蓄積するために設
けられる。
【0130】本発明で用いている電界を基板面と平行に
印加する方式では、電界を基板面に垂直に印加する方式
と異なり、画素電極と対向電極で構成される容量(所謂
液晶容量)が殆ど無いため、蓄積容量部Cstgは必須
の構成要素である。
【0131】又、蓄積容量部Cstgは、薄膜トランジ
スタTFTがスイッチングするとき、画素電極電位Vs
に対するゲート電位変化△Vgの影響を低減するように
も働く。この様子を式で表わすと次のようになる。
【0132】△Vs=[Cgs/(Cgs+Cstg+
Cpix)]×ΔVg ここで、Cgsは薄膜トランジスタTFTのゲート電極
GTとソース電極SDIとの間に形成される寄生容量、
Cpixは画素電極PXと対向電極CTとの間に形成さ
れる容量、△VsはΔVgによる画素電極電位の変化
分、所謂フィードスルー電圧を表わす。
【0133】この変化分△Vsは液晶LCに加わる直流
成分の原因となるが、蓄積容量部Cstgを大きくする
程、その値を小さくすることができる。
【0134】液晶LCに印加される直流成分の低減は、
液晶LCの寿命を向上し、液晶表示画面の切り替え時に
前の画像が残る所謂焼き付きを低減することができる。
【0135】前述したように、ゲート電極GTはi型半
導体層ASを完全に覆うよう大きくされている分、ソー
ス電極SDI、ドレイン電極SD2とのオーバーラップ
面積が増え、従って寄生容量Cgsが大きくなり、画素
電極電位Vsはゲート(走査)信号Vgの影響を受けや
すくなるという逆効果が生じる。しかし、蓄積容量部C
stgを設けることによりこのデメリットも解消する。
【0136】《製造方法》次に、上述した液晶表示装置
の基板SUB1側の製造方法について説明する。
【0137】図10、図11および図12は本発明によ
る液晶表示装置の製造工程の説明図であって、同図にお
いて、中央の文字は工程名の略称であり、図中左側は薄
膜トランジスタTFT部分、右側はゲート端子付近の断
面形状でみた加工の流れを示す。また、工程B、工程D
を除き工程A〜工程Iは各写真処理(フォトリソグラフ
ィ)に対応して区分けしたもので、各工程のいずれの断
面図も写真処理後の加工が終わりフォトレジストを除去
した段階を示している。
【0138】尚、写真処理とは本発明ではフォトレジス
トの塗布からマスクを使用した選択露光を経て、それを
現像するまでの一連作業を示すものとし、繰り返しの説
明は避ける。以下区分けした工程に従って説明する。
【0139】工程A(図10) AN635ガラス(商品名)からなる下部透明ガラス基
板SUB1上に膜厚が300nmのAl−Pd、Al−
W、Al−Ta、Al−Ti−Ta等からなる導電膜g
1をスパッタリングにより設ける。写真処理後、リン酸
と哨酸と氷酢酸との混酸液で導電膜g1を選択的にエッ
チングする。それによって、ゲート電極GT、走査信号
線GL、対向電極CT、対向電圧信号線CL、電極PL
1、ゲート端子GTM、共通バスラインCBの第1導電
層、対向電極端子CTMの第1導電層、ゲート端子GT
Mを接続する陽極酸化バスラインSHg(図示せず)及
び陽極酸化バスラインSHgに接続された陽極酸化パッ
ド(図示せず)を形成する。
【0140】工程B(図10) 直接描画による陽極酸化マスクAOの形成後、3%酒石
酸をアンモニアによりPH6.25±0.05に調整し
た溶液をエチレングリコール液で1:9に希釈した液か
らなる陽極酸化液中に基板SUB1を浸漬し、化成電流
密度が0.5mA/cm2 になるように調整する(定電
流化成)。
【0141】次に、所定のアルミナ(Al2 O3 )の膜
厚が得られるのに必要な化成電圧125Vに達するまで
陽極酸化を行う。その後、この状態で数10分保持する
ことが望ましい(定電圧化成)。これは均一なAl2 O
3 膜を得る上で大事なことである。それによって、導電
膜g1が陽極酸化され、ゲート電極GT、走査信号線G
L、対向電極CT、対向電圧信号線CL及び電極PL1
上に膜厚が180bnmの陽極酸化膜AOFが形成され
る。
【0142】工程C(図10) 膜厚が140nmのITO膜からなる透明導電膜g2を
スパッタリングにより設ける。写真処理後、エッチング
液として塩酸と硝酸との混酸液で透明導電膜g2を選択
的にエッチングすることにより、ゲート端子GTMの最
上層、ドレイン端子DTM及び対向電極端子CTMの第
2導電膜を形成する。
【0143】工程D(図11) プラズマCVD装置にアンモニアガス、シランガス、窒
素ガスを導入して、膜厚が220nmの窒化Si膜を設
け、プラズマCVD装置にシランガス、水素ガスを導入
して、膜厚が200nmのi型非晶質Si膜を設けた
後、プラズマCVD装置にシランガス、水素ガス、ホス
フィンガスを導入して、膜厚が30nmのN(+)型非
晶質Si膜を設ける。
【0144】工程E(図11) 写真処理後、ドライエッチングガスとしてSF6 を使用
してN(+)型非晶質Si膜、i型非晶質Si膜を選択
的にエッチングすることにより、i型半導体層ASの島
を形成する。
【0145】工程F(図11) 写真処理後、ドライエッチングガスとしてSF6を使用
して、窒化Si膜を選択的にエッチングする。
【0146】工程G(図12) 膜厚が60nmのCrからなる導電膜d1をスパッタリ
ングにより設け、さらに膜厚が400nmのAl−P
d、Al−Si、Al−Ta、Al−Ti−Ta等から
なる導電膜d2をスパッタリングにより設ける。写真処
理後、導電膜d2を工程Aと同様の液でエッチングし、
導電膜d1を硝酸第2セリウムアンモニウム溶液でエッ
チングし、映像信号線DL、ソース電極SD1、ドレイ
ン電極SD2、画素電極PX、電極PL2、共通バスラ
インCBの第2導電層、第3導電層及びドレイン端子D
TMを短絡するバスラインSHd(図示せず)を形成す
る。
【0147】次に、ドライエッチング装置にSF6 を導
入して、N(+)型非晶質Si膜をエッチングすること
により、ソースとドレイン間のN(+)型半導体層d0
を選択的に除去する。
【0148】工程H(図12) プラズマCVD装置にアンモニアガス、シランガス、窒
素ガスを導入して、膜厚が500nmの窒化Si膜を設
ける。写真処理後、ドレインエッチングガスとしてSF
6 を使用した写真蝕刻技術で窒化Si膜を選択的にエッ
チングすることによって、保護膜PSV1を形成する。
【0149】図13は本発明の液晶表示装置を実装した
情報機器の一例であるノート型パソコンの説明図であ
る。 このパソコンはCPUを持つホストを実装したキ
ーボード部と液晶表示装置を実装した表示部とをヒンジ
で結合したもので、キンボード部のホストからの表示デ
ータはCRT/TFT信号変換および各種のタイミング
信号を生成するTCONを搭載した駆動回路基板PCB
3から画素駆動チップを搭載した駆動回路基板PCB
1,PCB2に供給され、液晶パネルPNLに画像を生
成する。
【0150】なお、本発明による液晶表示装置は、上記
のようなノート型パソコンに限らず、デスクトップ型等
のパソコンやその他のモニターにも使用できることは言
うまでもない。
【0151】[2.画素領域における電極構造の検討]
本発明者は、WO95/25291号(対応米国特許
5,786,876号)公報の図15として開示された
構成を元に、更に蓄積容量部Cstgを高める構成とし
て、図14のAに示す画素領域を有するIPS表示方式
の液晶表示装置を考えた。図14のAは図2にSUB1
の参照記号で示されるような基板SUB上に形成された
電極の配置図を示すものである。
【0152】図1に示される電極配置に対し、図14の
Aに示される考案された構造は画素領域内にて画素電極
PXと対向電圧信号線CLとを絶縁膜(図示せず)を介
して重複でさせて蓄積容量部を形成している。画素領域
はブラックマトリクスの開口で規定され、BMと付され
た太線の枠内の領域として図14のAに示される。
【0153】この構造は、対向電圧信号線CLの交差部
からこれに重なるように延びた分岐を有する十字型の画
素電極PXにも特徴付けられる。画素電極PXと対向電
極CTは図14のAに示される回路が形成された基板に
面する液晶層の液晶分子の配向を支配する電界を形成す
る。画素電極PXの電位は走査信号線(ゲートライン)
GLから供給される走査信号で制御されるスイッチング
素子(図14のAのトランジスタTFT)の出力に依存
する。対向電極CTの電位は走査信号線GLに沿って並
ぶ各画素領域の対向電極に電気的に接続するように形成
された対向電圧信号線CLにより決められる。
【0154】図14のAに示される十字型の画素電極P
Xは、これと対向電圧信号線CTとが対向する領域の面
積を広げ、画素領域に印加される電界(液晶分子の配向
を決める電界)を保持するキャパシタの容量を大きくす
る。このため、図14のAに示す電極配置を有する画素
は、その光透過率を安定に保てる。さらに画素電極の各
分岐の端部は画素領域内にある(画素領域外に延びな
い)ため、スイッチング素子TFTが電荷を通過させる
とき、対向電圧信号線CL上の画素電極PXに電荷は容
易に且つ速く入り又これから出て行ける。従って、上記
画素は走査信号に素早く応答することもできる。
【0155】このような利点にも関らず、図14のAの
電極配置を有する画素には印加電界による液晶分子の配
向制御に不良が見られた。本発明者は、この不良の生じ
る確率が上記画素電極PXの分岐の延びる方向と後述す
るラビング方向とのなす角度に依存することを見出し
た。
【0156】ラビング処理とは、図14のAに模式的に
示すように、ラビングローラROLという円周に繊維の
捲かれた筒を基板の最上面(後に液晶層に面する)に擦
りつけるプロセスである。この最上面は通常配向膜で構
成されている。このプロセスでは、ラビングローラRO
Lが矢印DIRで示された方向に動くことにより、細か
いストライプで図示されるような所定の方向に延びる窪
みをラビングローラを捲く繊維のパイル(毛)PILで
基板最上面に形成する。厳密には、ラビングローラは配
向膜を形成するポリマーを配向するとも考えられ、その
配向方向はDIRの方向のみならず、ラビングローラの
回転方向にも依存する。しかし、原子間力顕微鏡(AF
M)により、図14のB(図14のAのd部の拡大)に
示すような微細な起伏がラビング処理後の基板最上面に
観察されることもある。従って、以下の記載における窪
みの延伸方向は上記ポリマーの配向方向をも示すものと
する。一方、以下の記載におけるラビング方向DIRは
ラビングローラROLの進行方向から外れることもあ
る。
【0157】上記液晶層にその液晶分子を駆動させる電
界を印加しない又はその値が微弱な場合(これらを無電
界状態と便宜的に呼ぶ)、液晶分子は上記窪みの延伸方
向に沿うように配向する。このため、ラビング処理の成
否は無電界状態における液晶分子の配向状況やその印加
電界に対する配向方向の変化としても評価できる。な
お、上述の無電界状態における液晶分子の配向方向を初
期配向方向とも呼ぶ。
【0158】上述の配向不良は、ラビングローラROL
が対向電圧信号線CTと画素電極PXが重なる部分を乗
り越える図14のAのa,bの部分で生じた。
【0159】本発明者は、上記対向電圧信号線CTと上
記画素電極PXとの交差部から画素電極PXを左右に延
ばす図14のAのような構成に代えて、対向電圧信号線
CTを上下に延ばした図15の構成を考案した。対向電
圧信号線の分岐の上下端は、図15に点線で表示され
る。図15での対向電圧信号線CTと画素電極PXとの
重なりによる基板SUB主面からの段差の増大は、図2
7のAのbに代わり、cで生じる。図15の構成におい
て、a,c部(図14のAのa,b部に夫々対応する)
での配向不良は殆ど無視できた。
【0160】このことから、上記配向不良の問題を起こ
す原因はラビング方向に存在する段差の大きさ、及びそ
の段差の延びる方向とラビング方向のなす角度にあると
判断した。
【0161】ラビングローラ円周上の繊維には、曲率半
径20μmほどの先端部を持つパイルが密集している。
このため、ラビング処理される面から見たラビングロー
ラの側壁は、半径20μm程度の球の塊に例えられる。
図14のCは、ラビングローラROLの基板面に接する
パイルPILを半径rの球として示す。ラビングローラ
は、その回転方向(白矢印Rotate)に逆らう方向
DIRに移動し、パイルPILと基板面の摩擦を高め
る。また、ラビングローラは適度な圧力(白矢印Pre
ss)でパイルPILを基板面に押付けている。
【0162】図14のCは、ラビングローラROLが左
側の基板面から高さhの段差に差し掛かる様子を示す。
図示された位置から右側にラビングローラが進む場合、
パイルPILは段差上面に押さえられ、左側の基板面か
ら離れる。これにより、ラビングローラは段差に乗り上
がる。従って、左側の基板面の段差端部からxまでに
は、図14のCが示すように毛PILが接触しない部分
や接触しても圧力が殆ど掛からない部分が現れる。この
ため、これらの部分の基板面には、図14のBに示すよ
うな所定の方向に延びる起伏が形成されず、又は不充分
な起伏パターンとなるため、夫々に面する液晶分子は無
配向又は配向不良の状態となる。
【0163】図1に示すような構造を有する従来の液晶
表示装置では、画素電極PX等により画素領域内に生じ
る段差を保護膜(シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の
絶縁膜)で覆い、段差周辺でのラビング不良(配向不良
の原因)を画像表示動作に支障を与えないように抑えて
いる。本発明者は、図14のAにおける画素電極PXと
対向電圧信号線CLとの重なりを上記保護膜で覆って
も、ラビング不良が依然として表示動作に支障をきた
し、特に画質を劣化させることを認識した。
【0164】[3.配向不良抑制に好適な電極構造]本
発明により実施される配向不良抑制に好適な電極構造を
次に述べる。これらの実施形態は、実施例を参照して以
下に詳細に説明される。なお、以下の説明における図面
で、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り
返しの説明はしない。
【0165】図16は本発明による液晶表示装置の第1
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。
【0166】同図において、映像信号線DLの信号電圧
が映像信号線DLと走査信号線GLおよびa−Si膜と
で形成された薄膜トランジスタTFTのオンにより画素
電極PXに伝わり、対向電圧信号線CLと画素電極PX
とで形成される蓄積容量部Cstgに保持される(な
お、図16では対向電圧信号線CLと画素電極PXの間
に形成される誘電体膜PSI(絶縁膜)は図示を省略し
てある。
【0167】この蓄積容量部Cstgに保持された信号
によって画素電極PXと対向電極CTとの間にある液晶
を駆動する。
【0168】このとき、対向電圧信号線CLはブラック
マトリクスBMの開口部(画素領域)の略中央にあり、
液晶は上記対向電圧信号線CLに対し、液晶の初期配向
方向の角度θRをもっている。なお、初期配向方向の角
度θRは一般に60°〜90°である。
【0169】図17は図16の17AB−17AB線に
沿った蓄積容量部Cstgの断面図である。蓄積容量部
の特徴は既に説明したとおりである。従って、例えば対
向電圧信号線CLをアルミニウムのスパッタ膜で形成す
る場合、その誘電体膜PS1は図12に示されるように
上記スパッタ膜の陽極酸化膜AOFと薄膜トランジスタ
TFTのゲート酸化膜GI6からなる。
【0170】同図(a)に示したように、対向電圧信号
線CLと画素電極PXの端部は、基板SUBの面に対し
てそれぞれ傾斜角θCL、θPXを有している。基板S
UBは、先述の図2及び3において例えばSUB1とし
て示される。なお、PS1.PS2はパッシベーション
膜(保護膜=絶縁膜)である。
【0171】液晶組成物の配向処理は、同図の画素電極
PXを含む基板全面を覆って形成したパッシベーション
膜(保護膜=絶縁膜)PS2の上に塗布された配向膜O
RIの表面をレーヨン繊維等のバフ布で一方向に擦るこ
とで行うが、蓄積容量部Cstgは電極膜や絶縁膜の積
層構造であるため、有効表示領域である画素領域内の他
の部分に比べて膜厚が厚く、液晶の配向処理を妨げる。
すなわち、ラビング処理は上記したバフ布を巻き付けた
ローラ(ラビングローラ)を回転させながら配向膜と所
定の間隙を以て上記バフ布を接触させつつ移動させるも
のであり、上記のような段差部分ではラビングローラの
乗り上げが起こる。このとき、当該段差部分の縁では配
向膜とバフ布が正常に接触せず、あるいはラビング量が
変化することで、所謂ラビング不良が発生する。なお、
配向膜ORIは、先述の図2においてORI1と表示さ
れるものである。
【0172】図17の(a)において、θPX<θC
L、かつ90°<θCLであり、上層に形成した画素電
極PXのパターンを下層に形成した対向電圧信号線CL
のパターンからはみ出さないように設けること、すなわ
ち、対向電圧信号線CLの平面形状が蓄積容量部Cst
gを構成する積層構造の輪郭の大部分を形成させること
により、当該蓄積容量部Cstg全体のパターン部分と
画素領域内の他の部分との境界が滑らか(緩やか)にな
ってラビング処理が妨げられることがなく。配向不良が
著しく抑制される。
【0173】なお、図17の(b)に示したように、画
素電極PXの傾斜角θPXが90°に近く、あるいは9
0°を越えて当該画素電極PXの端でラビング不良が生
じても、対向電圧信号線CLの材料が不透明な金属であ
れば、上記ラビング不良部分が遮光されるため、表示に
影響を及ぼさない。
【0174】図18は本発明による液晶表示装置の第2
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。
【0175】この実施例は図16に示した第1実施例に
おける画素電極PX及び対向電極CTの数を増やしたこ
とを除いて図16と同一構成である。この構成は大画面
の液晶表示装置に好適である。
【0176】図19は本発明による液晶表示装置の第3
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。
【0177】また、図20は図16の20A−20A線
(液晶配向に沿う方向)に沿った断面図と図19の20
B−20B線(液晶配向に沿う方向)に沿った断面図で
ある。
【0178】前記第1実施例では、図に示したように蓄
積容量Cstgに接続されている画素電極PXが、対向
電圧信号線CLの縁で形成される段差を乗り越えてい
る。
【0179】前記乗り越え部の画素電極PX上(図16
のαで示した部分)では、図20の(a)のαで示した
部分の如く、その傾斜角が縁の傾斜が緩やかな下層の対
向電圧信号線CLの当該傾斜角θCLと略同一であるた
め、高さの高い段差であってもラビング不良の発生が少
ない。
【0180】しかし、前記乗り越え部での画素電極PX
の縁(図16のβで示した部分)では、図20の(a)
のβで示した部分の如く画素電極PXの縁の傾斜角θP
X(θPX>θCL)が現れており、ラビング方向に関
して段差の傾斜がきつくなるためラビング不良が発生す
る。
【0181】そこで、本実施例では、対向電圧信号線C
Lを図19に示したように、前記乗り越え部での画素電
極PXの縁の方向θSをラビング方向θRに合わせたも
のである。
【0182】図19の画素電極PX上のラビング方向θ
Rに沿った20B−20B線での断面図を図20の
(b)に示す。前記乗り越え部の画素電極PX上(図1
9のαで示した部分)では、図20の(b)のαで示し
た部分の如く、その傾斜角が縁の傾斜が緩やかな下層の
対向電圧信号線CLの当該傾斜角θCLと略同一である
ため、高さの高い段差であってもラビング不良の発生が
少ない。
【0183】また、前記第1実施例で問題となった前記
乗り越え部での画素電極PXの縁(図19にβで示す)
については、図20の(a)にβで示した部分と同様に
段差があるものの、前記乗り越え部での画素電極PXの
縁の方向θSをラビング方向θRに合わせてあるため、
前記段差部(βで示した部分)ではラビングを行うため
のラビングローラの動きは阻害されない。したがって、
ラビング不良の発生が少ない。
【0184】図21は本発明による液晶表示装置の第4
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。
【0185】この実施例は図19に示した第3実施例に
おける画素電極PXおよび対向電極CTの数を増したこ
とを除いて図19と同一構成である。この構成も大画面
の液晶表示装置に好適である。 図22は本発明による
液晶表示装置の第5の実施例の要部構造を説明する遮光
膜で囲まれた一画素の平面構造の模式図である。前記第
3の実施例では、図16に示したような対向電圧信号線
CLの縁で形成される段差を、蓄積容量Cstgに接続
されている画素電極PXが乗り越える際、前記乗り越え
方向θSをラビング方向θRに合わせる事によりラビン
グ不良の発生を防止した。
【0186】前記に対し、本実施例では遮光膜の開口部
BMに露出する配線交差部βや配線接合部γの、交差角
θA或いは接合角θBを鈍角(180度未満)にする事
により、前記交差部β、或いは接合角γ付近でのパッシ
ベーション膜を滑らかに形成する事ができ、段差が緩和
され、ラビング不良の発生を防止できる。
【0187】前記配線交差部βの断面図は、第3実施例
の断面図である図20の(a)のβ部に相当する。前記
交差角θAの鈍角化により、パッシベーション膜PS2
の形成が滑らかになり、その結果上層に形成される配向
膜OR1も滑らかになることで、ラビングローラの動き
も滑らかになる。したがって、ラビング不良の発生を防
止できる。配線接合部γに関しても、同様に接合角θB
の鈍角化により、パッシベーション膜PS1及びPS2
形成が滑らかになり、ラビング不良の発生を防止でき
る。
【0188】図23は本発明による液晶表示装置の第6
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。また、図24は図9の24A
B−24AB線に沿った断面図である。
【0189】図23における蓄積容量部Cstgでは、
上層の画素電極PXの平面形状の輪郭が下層の信号電圧
信号線CLの縁からはみ出しており、当該蓄積容量部C
stgの平面形状の輪郭の大部分を形成している。
【0190】図24の(a)に示したように、画素電極
PXの縁の傾斜角θPXは下層の信号電圧信号線CLの
縁の傾斜角θCLよりも大(θPX>θCL)、かつθ
PX>90°である。
【0191】このように、本実施例では、上層に形成す
る画素電極PXのパターンを下層の信号電圧信号線CL
からはみ出させた構成としたことにより、蓄積容量部C
stgとその周辺の配向膜の境界が滑らかとなり、ラビ
ング不良が回避される。
【0192】なお、図24の(b)に示したように、下
層の信号電圧信号線CLの縁が90°あるいは90°近
傍または90°<θCLとなって信号電圧信号線CLの
縁に対応する画素電極PXの部分でラビング不良が生じ
ても、画素電極PXが不透明な金属等であれば、そのラ
ビング不良部分は遮光されるため、表示に影響を及ぼす
ことはない。
【0193】図25は本発明による液晶表示装置の第7
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。
【0194】この実施例は図23に示した第6実施例に
おける画素電極PXおよび対向電極CTの数を増したこ
とを除いて図23と同一構成である。この構成も大画面
の液晶表示装置に好適である。
【0195】上述の第1乃至第7実施例は、ラビング不
良(配向不良の原因)は主としてラビング方向に存在す
る段差の大きさに依存するという本発明者の認識による
ものである([2.画素領域における電極構造の検討]
参照)。これらの実施例に共通する構造的な特徴を最も
簡素な構造を有する図16を例に説明する。
【0196】図16に示す如く、上記共通の特徴とは、
画素領域において互いに異なる方向に延伸し且つ交差す
る2つの導電層(導電体膜)が次のように配置されるこ
とにある。一方の導電層の輪郭が他方の導電層の輪郭内
に収まるようにこれらを重ね、少なくとも一方の導電層
を更に上記交差部分から他方の導電層の延伸方向に延ば
すように配置する。各々の導電層は画素領域においてそ
れ自体で段差を形成し且つ互いに重なり合うことで段差
を高くする物体に他ならない。一般的に、このような物
体は画素領域において電気信号を伝送し又は電界を印加
する導電層である。
【0197】ここで、図14のAと図16とを比較して
みる。図14のAの構成で、ラビング不良をもたらした
a,bの部分は図26のAのように示される。これに対
し、図16の構成におけるa,bの部分は図26Bのよ
うに示される。図26のA及び同Bを比較して明らかな
ように、図26のBではラビング方向DIR(Np)に
対し、対向電圧信号線CLの「テラス」が形成される。
図14のCに示される段差(bump)がその側面に図
26のBのb部分に見られるようなテラスを有する場
合、ラビングローラは基板表面上を段差の近くまで動い
ていき、そして段差側面のテラスに乗り上げる。従っ
て、図14のCの距離xは縮まる。このモデルを図26
Bの構造に適用したとき、対向電圧信号線CLと画素電
極PXとの重なり周辺におけるラビング不良は図16の
構造を有する画素の表示動作不良と画質劣化を防ぐに足
る程度に抑えられる。
【0198】これらの考察から、図27の構造も配向不
良防止に対し図16の構造と同様な効果を提供するもの
である。図27では、対向電圧信号線CLが画素電極P
Xの延伸方向に沿って延びる分岐部分を有し、且つその
輪郭は画素電極PXの輪郭内に収まっている。対向電圧
信号線CLの上記分岐部分は、破線の矩形で図示される
ように画素電極PXの下に配置されているため、画素電
極PXの上面には分岐部分の輪郭に応じてテラスが生じ
る。このテラスが図16のそれと同様に配向不良を防
ぐ。
【0199】図27の構成は、Nnと呼ばれるネマティ
ック液晶を利用する液晶表示装置において利点を有す
る。その理由は以下のとおりである。
【0200】図15の構成に関する先述の説明に反し、
この構成においてもNn型と呼ばれる液晶材料を用いた
場合、配向不良は多発する。即ち、配向不良の生じる確
率は、画素電極PXと対向電圧信号線CLとの重なりで
形成される段差の延伸方向とラビング方向との関係に依
存するためである。
【0201】一般的に液晶分子は一方向に延びる構造を
有する。図28に液晶分子の一例を挙げる。この分子は
一端のベンゼン環にフッ素(fluorine)とシアン基を有
する化合物を示す。本明細書では、このような分子構造
をその下に示す円筒として示す。液晶分子は、その誘電
率にも特徴を有する。液晶分子は2種類の誘電率を有
し、その一方は図28に分子(円筒)の長軸方向に沿っ
て規定されるε1であり、他方は分子の短軸方向に沿っ
て規定されるε2である。一般的に、この2つの誘電率
は異なり、Δε=ε1−ε2と規定される差は「誘電率
異方性」と呼ばれる。
【0202】IPS型液晶表示装置には、2種類のネマ
ティック液晶分子が用いられる。一方はε1がε2より
大きい(Δε>0)Np型であり、他方はε1がε2よ
り小さい(Δε<0)Nn型である。
【0203】Np型の液晶分子を用いるIPS型の液晶
表示装置では、分子はその長軸方向が画素電極PX又は
対向電極CTの延伸方向に沿い又はこれとなす角度を抑
えるように配向される。
【0204】これに対し、Nn型の液晶分子を用いるI
PS型の液晶表示装置では、分子はその長軸方向が画素
電極PX又は対向電極CTの延伸方向に直交するか又は
これとなす角度が大きくなるように配向される。
【0205】このため、Np型を用いる液晶表示装置に
好適なラビング方向はNn型を用いる液晶表示装置のそ
れと異なる。この相違の一例を、図16及び27に前者
のラビング方向をDIR(Np)、後者のそれをDIR
(Nn)として示した。ラビング方向DIR(Nn)に
着眼して、図15と図27とを比較すると、図15の
a,cにて配向不良が生じることは、先述の図14のA
の説明から明らかである。
【0206】ここで注目すべきは、図16及び27のい
ずれにおいても、ラビング方向に関らず、ラビングロー
ラは必ず上述の「テラス」を経由して対向電圧信号線C
Lと画素電極PXとの重なり部分を通過することであ
る。図16の電極構造に対し図26のBを用いて行った
考察と同様の考察を図22の電極構造に対して図26の
Cを用いて行うことにより、図22の構成に関しても同
じ作用が生じることが見出される。図22の構成では、
対向電圧信号線CLと画素電極PXとの交差部分にて、
少なくとも一方のコーナーを複数の鈍角コーナで構成す
ることにより交差部分の周辺に図26のCに示されるよ
うなテラスができる。従って、ここで検討を加えた図1
6,22,27のいずれの電極構造においても、これに
施されるラビングの方向に関係なく配向不良を低減する
効果が生じる。また、上述の対向電圧信号線CLを対向
電極CTに代えたとしても、配向不良による画質劣化は
防止できる。
【0207】なお、上述のようにラビング条件は、ラビ
ングローラの駆動条件、電極層又は配線層と基板最上面
(ラビングされる面)との間に形成される保護膜の状態
にも依存する。従って、上述の構成による配向不良防止
をさらに確実にするオプションとして、上記電極層又は
配線層の側面を傾斜させることや、交差部分周辺におけ
る電極の延伸方向を部分的にラビング方向に沿わせるこ
とを推奨する。
【0208】[4.表示不良抑制に好適な電極構造]本
発明者は、上述の電極構造を検討する過程で、別の問題
について分析を行い、その解決手段を着想した。ここで
検討する問題は、液晶層の電圧保持機能の劣化が招く液
晶表示装置の表示不良である。この問題は、微量の電極
材料が不純物として液晶層に溶け出すことで生じると考
えられてきた。従って、上記表示不良は、液晶表示装置
のエイジングにより溶出し得る不純物を枯渇させること
で解決されると考えられてきた。しかし、実際はエイジ
ングにより表示不良となる領域が液晶分子の配向方向に
沿うように延びる。
【0209】図14のAの電極配置を有する液晶表示装
置で上述の表示不良を起こしたものを調べたところ、図
中のa,eとして示した領域にある導電層CT,CL,
PXの各々が構成するコーナを覆う夫々の保護膜(絶縁
膜)に穴が見られた。そこで、発明者は領域eにおける
対向電極CTと対向電圧信号線CLとを別の形状のコー
ナで接合することを着想した。この別のコーナ形状は、
図29のBの左側に示すように図14のAの電極構造に
用いられている図29のA左側のコーナ形状と異なるも
のである。図29のAの左側に示す電極構造は図14の
Aの領域eの左下にあるコーナの拡大図である。図29
のA,Bの夫々の右側に示すスケッチは、上記コーナの
夫々を覆うように化学気相成長法で形成された絶縁膜の
形状を示す。
【0210】アクティブマトリックス型の液晶表示装置
は、その基板上部に少なくとも2種類の絶縁膜を有す
る。一つは、画素電極に駆動電圧を印加するスイッチン
グ素子(トランジスタTFT)のチャネルとその開閉を
行う電界信号を行う電極(ゲートラインGLとして図
示)とを隔てる保護膜PS1(ゲート絶縁膜とも呼ぶ)
である。チャネルとはキャリア(電子又は正孔)が通過
する領域のことで、図14Aにおいてスイッチング素子
TFTの非晶質シリコン領域ASとして表示される。他
方は、画素電極等の導電層を覆い且つこれらによる起伏
を液晶分子が配向される基板最上面にて低減する保護膜
PS2である。この最上面は液晶層に対向し、この層中
に存在する液晶分子を所望の方向に配向させる。
【0211】上記図29のA,同Bに示す絶縁膜は、前
者の保護膜PS1である。図29のAのスケッチが示す
ように、対向電極CTと対向電圧信号線CLとが直交す
るコーナを覆う保護膜PS1には穴が見られた。これに
対し、これらを2箇所の鈍角コーナで交差させた図29
のBでは、鈍角コーナを覆ういずれの保護膜にも穴が見
られなかった。
【0212】そして、対向電極CTと対向電圧信号線の
CLとを図29のBのように接合させて液晶表示装置を
作製したところ、上述の表示不良は生じなかった。
【0213】さらに、図14のAの領域aにおける画素
電極の形状を検討した。図30のAの左側に示す電極構
造は、図14のAの領域aの左下にあるコーナの拡大図
である。この図において、画素電極PXは対向電圧信号
線CLを跨ぎ(PX on CLの右側)、ここから対向電
圧信号線CL上に延びる分岐(PX on CLの左側)を
有する。この分岐は、先述の保護膜PS1(図示せず)
を介して対向電圧信号線CLと対向して画素電極PXの
電位を維持する容量を形成する。
【0214】本発明者は、画素電極PXとその分岐とを
鈍角にて接合する図30のBに示すような別の電極構造
を着想した。そして、図30のA,同Bに示す双方の電
極を作製し、これらを覆う上記保護膜PS2を化学気相
成長法で形成した。図30のA,同Bの右側に夫々示す
スケッチは、これらの保護膜を各図の左側に矢印Obs
として示した方向から見た斜視図である。画素電極とそ
のブランチを図30のAのように接合するコーナを覆う
保護膜PS2に穴が見られたのに対し、これらを図30
のBのように接合するコーナを覆う保護膜PS2には穴
が見られなかった。
【0215】そして、図30のBの接合構造を適用して
液晶表示装置を作製したところ、上述の表示不良は生じ
なかった。
【0216】このことから、上述の表示不良を起こす原
因は、電位の異なる電極層又は配線層が保護膜の穴を介
して液晶層に曝されることにあると判断した。この現象
は、図31のACに示すモデルにより、次のように説明
される。
【0217】まず、図31のAに示されるように、基板
SUB上に形成され且つ保護膜PS1並びにPS2に覆
われた対向電極CTと保護膜PS1上に形成され且つ保
護膜PS2に覆われた画素電極PXとを有する構造にお
いて、この画素電極PXと対向電極CTとの間に電圧を
印加する。この印加電圧は、ここでの説明において維持
されることにする。従って、画素電極PXは対向電極C
Tに対して高い電位(正電位)となる。画素電極PX及
び対向電極CTは、配向膜ORI1及び保護膜PS2,
PS1を突き抜ける穴によって液晶分子LCが封入(封
止)された液晶層に曝されている。
【0218】図31のAの状態にて、画素電極の材料は
陽イオンp−IONとして液晶層中に溶け出す。液晶層
を溶媒として見れば、液晶層の極性は、これに溶出する
陽イオン量に従い正電位を帯びる。従って、画素電極か
ら陽イオンは次第に溶け出し難くなる。
【0219】しかし、この液晶層に負電位の対向電極C
Tも曝されているため、正に極性が転じた液晶の極性は
対向電極CTによる構成材料の陰イオンn−IONの液
晶層への溶出を誘発する(図31のB)。これにより液
晶層の汚染が進み(着色部分)、その抵抗値が低下す
る。
【0220】そして、過剰の負イオンにより液晶層の極
性が負になると、画素電極による構成材料の陽イオン溶
出が再び誘発される。図31のCが示すように液晶の汚
染と抵抗低下は顕著となり(濃くなった着色部分)、上
記画素電極PXと対向電極CTとの間にリーク電流が生
じる。この結果、液晶層の抵抗が低下し、液晶分子LC
の配向を制御する画素電極PXと対向電極CTとの電位
差が保持できなくなる。このため、ノーマリ・ブラック
表示方式(電位差を減らすほど画素の光透過量が落ちる
方式)の液晶表示装置においては、画面上に予期せぬ黒
いスポットが現れる。これが、上述の表示不良である。
【0221】以上、上記表示不良の原因となる現象をス
テップ毎に簡単に説明したが、実際の現象は液晶層の極
性の平衡からの微妙なずれにより進むものと考えられ
る。
【0222】上述の事実と現象に基づき、本発明者は図
22に示される第5実施例の構成が別の利点をも有する
ことを認識した。図22に示される交差角θA或いは接
合角θBの鈍角化により、パッシベーション膜PS1お
よびPS2による配線および電極の被覆能力が向上し、
配線間或いは電極間の電解反応に起因する表示むら不良
を防止する事ができる。
【0223】従って、交差角θA或いは接合角θBを鈍
角化することにより、汚染による液晶層への印加電圧の
降下が防止でき、液晶表示装置は上述の表示不良の影響
を受けなくなる。画素電極PXおよび対向電極CTの交
差する配線交差部の4つの角部を直角に交差させると、
CVD法等の膜堆積の過程において、上記交差する4つ
の角部の膜堆積が充分行われずに、細かい穴が生じる。
このような細かい穴が、上述の液晶層の汚染を起こすの
である。
【0224】図32は本発明による液晶表示装置の第8
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。この実施例は図22に示した
第3実施例における画素電極PXおよび対向電極CTの
数を増やした事を除いて図22と同一構成である。この
構成も大画面の液晶表示装置に好適である。
【0225】図33は本発明による液晶表示装置の第9
実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の
平面構造の模式図である。
【0226】前記第6実施例において、図23に示した
ように対向電圧信号線CLと蓄積容量Cstgの交差部
βや、蓄積容量Cstgと画素電極PXの接合部γが直
交或いは鋭角になっていると、前記交差部βや接合部γ
の近傍ではパッシベーション膜PS1或いはPS2が滑
らかに形成されにくく、ラビング不良の原因となる場合
がある。
【0227】前記に対し、第6実施例と同様に本実施例
では遮光膜の開口部BMに露出する配線交差部βや配線
接合部γの、交差角θA或いは接合角θBを鈍角(90
度未満)にする事により、前記交差部β、或いは接合角
γ付近でのパッシベーション膜を滑らかに形成する事が
でき、段差が緩和され、ラビング不良の発生を防止でき
る。
【0228】また、交差角θA或いは接合角θBの鈍角
化により、パッシベーション膜PS1およびPS2によ
る配線および電極の被覆能力が向上し、配線間或いは電
極間の電解反応に起因する表示むら不良を防止する事が
できる。
【0229】図34は本発明による液晶表示装置の第1
0の実施例の要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画
素の平面構造の模式図である。
【0230】この実施例は図33に示した第9実施例に
おける画素電極PXおよび対向電極CTの数を増やした
事を除いて図33と同一構成である。この構成も大画面
の液晶表示装置に好適である。
【0231】図29及び図30による検討結果と図31
のA〜Cで説明した現象から、本発明者は上述の第5、
8、9、10実施例は、これらの表示不良防止効果を損
なうことなく更に簡素な構成に変えられることを認識し
た。一例として、第5実施例をあげ、これが次の2形態
に簡素化できることについて説明する。
【0232】第1の構成は、図35のAの領域e’が示
すように対向電極CTと対向電圧信号線CLとの接合角
を鈍角、即ち90°より大きい角度のコーナで形成する
ことである。第2の構成は、図35のBの領域a’が示
すように画素電極PXと対向電圧信号線CLとの交差部
を鈍角のコーナで形成することである。
【0233】これらの構成のバリエーションを根拠を説
明するため、図29のA及び図30のAに戻り、保護膜
の穴の原因について考察する。
【0234】図29のAのC−C’断面や図30のAの
D断面が夫々示すように、高さの異なる表面に保護膜を
成長させる場合、低い方の表面に成長する保護膜PS1
L,PS2Lがコーナに到達する前に高い方の表面に成
長する保護膜PS1H,PS2Hがコーナ付近にて低い
方の表面を覆う。このため、低い方の表面に成長する保
護膜PS1L,PS2Lはコーナまで到達できない。ま
た、保護膜の成長端には、夫々の断面図の保護膜PS
1,PS2内に矢印で記した方向にカール(curl)が生
じる。このため、高い方の表面に成長する保護膜PS1
H,PS2Hは低い方の表面に到達し難くなる。その結
果、双方の保護膜の接合が不充分となり、上述の保護膜
の穴(換言すれば、隙間)が生じる。
【0235】以上の事実に基づき、保護膜の穴を防止に
は、コーナ付近における(1)高い方の表面での保護膜
の成長の抑制と(2)低い方の表面での保護膜の成長の
促進が必要と判断した。即ち、観点(1)で高い方の表
面から成長膜が低い方の表面を覆うように押し出される
ことを抑える。また、観点(2)でコーナ付近の低い方
の表面が高い方の表面から押し出される成長膜に覆われ
る前に低い方の表面に成長する保護膜で覆う。
【0236】観点(1)に関し、互いに接合し(図35
のAのCT,CL)又は交差し(図35BのCL,P
X)合う形状の面では、その接合部又は交差部から伸び
る複数の面で保護膜が成長し、接合部(e‘)又は交差
部(a’)へ延びていく。これらの成長膜は上記接合部
又は交差部で鉢合わせとなり、互いに成長速度を高める
ため、この部分からはみ出すことになる、図35のA,
同Bのように接合部又は交差部を鈍角にすると、上記は
み出しを抑制するに十分な面積を有する接合部又は交差
部を確保できる。
【0237】観点(2)に関し、その上部に互いに接合
し(図35AのCT,CL)又は交差し(図35のBの
CL,PX)合う形状の物体が形成された面(SUB)
を想定すると、この面における保護膜の成長に対して上
記物体は障害物となる。図29のAのC−C’断面や図
30のAのD断面が示すように保護膜の成長端部は丸み
を帯びているため、これが成長する面に上記物体を直角
又は鋭角に接合したコーナがあると、そのコーナ(物体
の壁)まで到達し難い。しかし、図35のA,同Bのよ
うに、このコーナが鈍角になるように上記物体を接合す
ると、コーナと保護膜の端部との形状が近くなる。そし
て、保護膜の成長端部はコーナに到達し易くなる。
【0238】以上の検討から、表示不良防止に好適な構
成として、次のようなものも推奨する。
【0239】まず、図35のBの領域a’の画素電極P
Xと対向電圧信号線CLとの交差形状を変えた例を図3
6のA,Bに示す。いずれも、絶縁膜を介して対向する
画素電極PXと対向電圧信号線CLとの面積を広くし、
画素電極の電位を安定にする容量(付加容量又は蓄積容
量とも呼ばれる)を大きくするに好適な構成である。
【0240】図36のAは、対向電圧信号線CLを交差
する方向に延びる画素電極PXとその両側から対向電圧
信号線CLを覆うように延びる画素電極PXの分岐を1
箇所の鈍角のコーナで接合した構成である。図36のB
は、画素電極PXの分岐を設ける図35のBの構成に代
えて、対向電圧信号線CLの幅を画素電極PXとの交差
部付近で鈍角のコーナにより広げたものである。図36
のA,Bに示すいずれの構成は、既述のラビング不良防
止の効果も示す。
【0241】次に、上記観点(2)に関する議論から、
図35のAの接合部(領域e’)又は図35のBの交差
部(領域a’)に形成される鈍角のコーナを2箇所以上
に増やしても上述の表示不良防止に好適な構成が実施で
きる。図37は、図35のAの対向電極CTと対向電圧
信号線CLとの接合部を3箇所の鈍角コーナで形成した
例を示す。接合部の形状は鈍角コーナを増やすだけ基板
SUB上で成長する保護膜の端部の形状に近くなるた
め、その接合部への到達は速くなる。従って、接合部の
鈍角コーナを無限に増やした形状、所謂曲線状の接合部
も基板SUB上で成長する保護膜の当該接合部への到達
を速める。
【0242】図35のAの接合部(領域e’)及び図3
5のBの交差部(領域a’)を曲線状に形成した例を図
38のAに示す。この形状の望ましき実施条件を次に検
討する。
【0243】その一つの目安としては、曲線部の曲率半
径がある。図38のAに示される曲率半径R1,R2の
望ましき設定範囲を、図38のBを参照して行う。図3
8のBにて、接合部又は交差部から図示されるx及びy
方向に延びる電極層又は配線層の辺を外挿し、これらの
辺が直交する位置から夫々の鈍角コーナまでの距離を座
標軸毎にxcor,ycorとする。図では、領域e’
の距離に1、領域a’の距離に2を添えている。夫々の
望ましき距離は、接合部又は交差部を覆う保護膜の厚さ
(例えば、プロセス設計上での厚さ)で規定される。
【0244】例えば、領域e’ではxcor1,yco
r1を保護膜PS1の厚さ以上に、領域a’ではxco
r2,ycor2を保護膜PS2の厚さ以上に夫々設定
することが推奨される。更に望ましくは、これらの電極
層又は配線層を形成するプロセス条件を考慮し、上記距
離を設定することである。
【0245】現状のプロセス技術を考慮すると、
cor1,xcor2,ycor1,ycor2の各値は4.3μm以
上又は5.4μm以上とするとよい。
【0246】このことから、図38のAの領域e’にお
ける接合部の曲率半径R1は上記xcor1,ycor1と同様
に、領域a’における交差部の曲率半径R2は上記x
cor2,ycor2と同様に設定することを推奨する。図38
のAにおける実際の実施条件は、図38のBに比べて制
限が緩くなると考えられる。
【0247】また、この条件を図37のように3箇所以
上の鈍角からなるコーナに適用する場合、上記xcor
cor はコーナ両端部の鈍角により規定する。図37の
場合、コーナの一端及び他端の鈍角を矢印にて示す。x
cor ,ycor の値を保護膜の厚さTより大きくする場
合、一端及び他端の鈍角は(2T)1/2より長い距離
で離される。
【0248】以上に述べた表示不良防止に好適な構成を
採用しなくとも、画素電極PX又は対向電極CT及び対
向電圧信号線CLの構成材料の選定で表示不良防止の効
果を得る可能性はある。図31のA〜Cによる説明か
ら、2種類の代替手段がある。その一つは、いずれかの
電極層又は配線層を高融点金属と呼ばれる元素(Mo,
Ti,Ta,W)やそのシリサイドで形成する。もう一
つは、いずれかの電極層又は配線層を導電性酸化物で形
成する。ITO(SnO2 を1〜5重量%ドープしたI
2 3 )や酸化錫(SnO2 )等の半導体以上の導電
性を有する酸化物は、その構成材料のイオン(特に陽イ
オン)を液晶へ溶出し難い。これらにより、図14の
A,15,16,27に示す電極構成においても、上記
表示不良を解消できると考えられる。また、製品の信頼
性を向上させる上では、これらの材料を図22、図32
乃至38の構成に組合せることも効果的である。
【0249】上述の代替手段に対し、図22、図32乃
至38の構成は次の点で有利である。それは、電極層又
は配線層にアルミニウムAl又はその合金、銅Cuなど
の導電性に優れた材料や、クロムCr等の基板材料との
接着性に優れた材料を採用できることである。また、絶
対値にして20より大きい誘電率異方性を有する液晶分
子では電極材料のイオンにより汚染され易くなるにもか
かわらず、これらの構成の効果は損なわれない。従っ
て、以上説明した各実施例により、コントラストの低下
や表示ムラ等の表示不良を無くして良好な表示品質を得
ることができる液晶表示装置が得られる。
【0250】[5.IPS型液晶表示装置の画素領域に
おける透明電極]上述の表示不良を防止する構造を検討
する過程で、本発明者は次のような構成に特徴を有する
IPS方式の液晶表示装置を着想した。その特徴とは、
液晶層に所望の電界を印加して液晶分子の配向を制御す
る画素電極及び対向電極の少なくとも一方を所謂透明な
導電性材料で構成した液晶表示装置である。 このよう
な構成は、液晶層を介して上述の画素電極を対向電極
(共通電極とも呼ばれる)を対向させた縦電界方式と呼
ばれる液晶表示装置では既に実施されている。これに対
し、液晶層の面(又はこれを封止する基板の面)に対す
る画素電極と対向電極の位置をずらし、且つその間に液
晶層がいずれの電極とも対向しないスペースを設けるI
PS方式(横電界方式)の液晶表示装置では採用されて
なかった。この理由は、図39により説明される。
【0251】IPS方式では、上述の画素電極PX及び
対向電極CTのいずれにも対向しない液晶層に存在する
液晶分子の配向が、その画素が透過すべき光の量を決め
ている。即ち、図中に矢印を付して示された曲線のよう
な電気力線の基板面に沿った成分で液晶分子を配向させ
る。このように機能させるため、IPS方式では基板S
UB1,2間の最近距離Hより上記スペースを介して画
素電極PXと対向電極CTとが離間する距離Wを大きく
取り、液晶分子が基板面に沿った電気力線で制御され易
いように構成される。
【0252】この電気力線の形状をシミュレーションし
たデータを参照すると、その形状は画素電極PX及び対
向電極CT上で図示される如く基板間の方向に沿う。即
ち、これらの電極上で上記縦電界方式の液晶表示装置に
近い振る舞いをしめす。また、これらの電極上における
電気力線は、電極間に比べて高い密度で存在する。従っ
て、この画素を透過する光の量を抑える場合、画素電極
を透明とすると次の問題が存在すると考えられていた。
基板SUB1から液晶層に入射する光hνinに対する基
板SUB2からの所望の光hνout の出射量(矢印の大
きさで表示)が画素電極PXを透過するものに関しては
非常に強くなることである。従って、青緑色のデータを
緑色の画素の光透過量を押さえて表示する場合、表示す
べきデータより緑の強い画像が表示される。従って、細
かい階調で画像を再現するのが困難となる。
【0253】これに対し、本発明者は画素電極PXを透
明な材料で構成することが画素の階調制御(中間調表
示)に支障をきたすことはなく、むしろ白輝度を向上さ
せる効果が得られることを発見した。
【0254】なお、ここでいう透明な導電性材料とは、
これに入射する光を吸収しないということを意味するも
のでなく、その周辺を構成する導電性の材料に比べて光
の吸収量が少ないということを意味する。その定量的な
定義の一つとしては、可視光領域(波長にして380〜
770nmの範囲)の光透過率が70%以上、望ましく
は80%以上であり、半導体以上の導電性を有する物質
と規定できる。即ち、現在主流となっているIn2 3
にSnO2 を1〜5重量%添加した上記ITOに限ら
ず、上記定義を基準に別の材料を選定し、これで画素電
極を構成してもよい。
【0255】この透明導電材料からなる画素電極を利用
したIPS型の液晶表示装置は、例えば以下に述べるよ
うな形態で実施される。
【0256】液晶表示装置の精細度が向上するにつれ、
上述の液晶層への印加電圧の低下による表示不良問題
は、ブラックマトリクスの開口で規定される画素領域を
越えて生じ得る。図40のAは、このような状況に見合
う電極構造を示す本発明の第11実施例である。この構
造を有する液晶表示装置はIPS型と呼ばれるものであ
るが、その対向電極CTは、液晶層に対して画素電極P
Xの反対側に設けられる。図40のAにおいて、対向電
極CTは破線で示される。
【0257】図40のB(図40のAのE−E’に沿っ
た断面図)が示すように、ブラックマトリクスBMの開
口の下方には画素電極PX,これと蓄積容量を形成する
共通容量線CC,対向電極CTのいずれの導電層も配置
されない空間がある。対向電極CTは、2つの絶縁膜O
C(既に説明),INSの間に挟まれてブラックマトリ
クスBMと絶縁されている。透明導電材料からなる画素
電極は、その一端において金属層SDと接続され、トラ
ンジスタTFTのチャネル層(a−Si)ASと充分な
オーミック接触を確保している。
【0258】高精細の表示装置では、このような電極構
造を有する多くの画素が緻密に配列されて画素アレイ
(マトリクス部ARとして既述,図5,8参照)を形成
する。先述の検討は、画素領域内での汚染に着眼した。
しかし、より高精細の表示装置では、画素を小さくし且
つこれを高密に配置することが要請されるため、先述の
汚染は画素を越えて生じ得るのである。従って、マトリ
クス部に配置され且つコーナを有し且つ液晶層に面する
導電層に関し、配慮する必要がある。
【0259】このような広い範囲で見てみると、注意す
べき電位差は映像信号線DLと画素電極PXとの間、及
び画素電極PXと共通容量線CCとの間に発生すると考
えられる。従ってf、g、jの円内に図示される夫々の
部分に存在するコーナを鈍角で形成する。画素電極PX
をITOのような透明導電材料で形成することは微細な
画素で充分な輝度を得るに好適であるが、これとトラン
ジスタTFTとの間に金属層SDを配置することも効果
的である。部分jとして円内に示された共通容量線CC
のコーナ(画素電極PXとT字型の交差を形成)は、配
向不良防止に効果的である。
【0260】図40のAの構成は、縦電界型の液晶表示
装置といくつかの共通点を有する。このことは、図示さ
れる構成を変形すれば、縦電界型の液晶表示装置でも本
発明を実施できることを意味する。図40に示される電
極構造は、XGAと呼ばれる精細度(走査信号線GL沿
いに1024画素×映像信号線DL沿いに768画素配
置)より高い精細度の、例えばUXGAと呼ばれる精細
度(走査信号線GL沿い1600画素×映像信号線DL
沿い:1280画素配置)の液晶表示装置に有効であ
る。これらの規格に従い走査信号線GLに沿って並ぶ画
素数は、上述に規定した値の3倍となる(R,G,Bの
3種が1画素に入る)ため、精細度が高くなる(特に、
UXGAを超える)につれ、画素領域の寸法も否応なく
微細化される。
【0261】また、繰り返しになるが、本発明は上記し
た横電界方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置に
限って適用されるものではなく、縦電界方式、あるいは
単純マトリクス方式の液晶表示装置における配向膜の配
向不良の抑制のために適用可能である。
【0262】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
画素領域に形成した蓄積容量部の段差における配向不良
が解消され、コントラストが向上し、表示ムラの無い高
画質の液晶表示装置を提供することができる。
【0263】また、上述の液晶表示装置のラビング不良
(配向不良)防止に好適な構成、液晶層の汚染による表
示不良防止に好適な構成、IPS方式の液晶表示装置の
画素電極又は対向電極を透明な導電性材料で形成する構
成の各々は、独立に実施できるものであるが、生産条件
の要請に応じてこれらを適宜組合せても、各々の効果を
損なうものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来から知られている横電界方式の液晶表示装
置の一画素とブラックマトリクスBMの遮光領域および
その周辺を示す平面図である。
【図2】横電界方式の液晶表示装置を構成する液晶パネ
ルの画像表示領域における1画素の電極近傍の断面図と
基板周辺部の断面図である。
【図3】薄膜トランジスタTFTの断面図である。
【図4】ラビング方向RDRと印加電界方向EDRとの
なす角度の説明図である。
【図5】上下の基板を含む表示パネルのマトリクス(A
R)周辺の要部平面図である。
【図6】左側に走査回路が接続された外部接続端子GT
M付近の断面図である。
【図7】図6のテープキャリアパッケージの断面図であ
る。
【図8】本発明による液晶表示装置の周辺等価回路の概
要説明図である。
【図9】本発明の液晶表示装置の駆動波形図である。
【図10】本発明による液晶表示装置の製造工程の説明
図である。
【図11】本発明による液晶表示装置の製造工程の図1
0に続く説明図である。
【図12】本発明による液晶表示装置の製造工程の図1
1に続く説明図である。
【図13】本発明の液晶表示装置を実装した情報機器の
一例であるノート型パソコンの説明図である。
【図14】蓄積容量を増大させるために本発明者が考案
した画素の平面構造と、これにおけるラビング処理の説
明図であり、Aは上記平面構造の模式図、Bは上記電極
が形成される基板の最上面におけるラビング状態を示す
スケッチ、Cは上記蓄積容量周辺におけるラビング処理
のモデルを夫々示す。
【図15】蓄積容量を増大させるために本発明者が考案
した画素の別の平面構造の模式図である。
【図16】本発明による液晶表示装置の第1実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図17】図16の17AB−17AB線に沿った蓄積
容量部Cstgの断面図である。
【図18】本発明による液晶表示装置の第2実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図19】本発明による液晶表示装置の第3実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図20】図16の20A−20A線に沿った断面図と
図19の20B−20B線に沿った断面図である。
【図21】本発明による液晶表示装置の第4実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図22】本発明による液晶表示装置の第5実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図23】本発明による液晶表示装置の第6実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図24】図23の24AB−24AB線に沿った断面
図である。
【図25】本発明による液晶表示装置の第7実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図26】図14A,16,22における画素電極が対
向電圧信号線を乗り越える部分aの夫々をA,B,Cの
順でスケッチした説明図である。
【図27】ラビング処理時における配向不良低減に好適
な別の電極構造の平面図である。
【図28】実際の液晶分子の一例と本明細書に示すその
モデルとの関係の説明図である。
【図29】電極構造とその上に形成される保護膜の形状
との関係の説明図で、Aは図14のAの円で囲んだ部分
e内の構造を、Bはこれを改良した構造を夫々示す。
【図30】電極構造とその上に形成される保護膜の形状
との関係の説明図で、Aは図14のAの円で囲んだ部分
a内の構造を、Bはこれを改良した構造を夫々示す。
【図31】液晶分子の駆動電圧を低下させる液晶層の汚
染の進行をAからCの順にスケッチした説明図である。
【図32】本発明による液晶表示装置の第8実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図33】本発明による液晶表示装置の第9実施例の要
部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造の
模式図である。
【図34】本発明による液晶表示装置の第10実施例の
要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造
の模式図である。
【図35】液晶駆動電圧降下による表示不良を解決する
2種類の電極構造を示す平面図である。
【図36】液晶駆動電圧降下による表示不良を解決する
電極構造の変形例を部分的に示す平面図である。
【図37】液晶駆動電圧降下による表示不良を解決する
電極構造の変形例を部分的に示す平面図である。
【図38】液晶駆動電圧降下による表示不良を解決する
電極構造の変形例を部分的に示す平面図であり、その望
ましき一実施条件を説明するものである。
【図39】IPS型液晶表示装置における光透過を説明
するための断面図である。
【図40】本発明による液晶表示装置の第11実施例の
要部構造を説明する遮光膜で囲まれた一画素の平面構造
と、その断面をの模式図である。
【符号の説明】
AS 非晶質シリコン膜 GL 走査信号線 DL 映像信号線 PX 画素電極 CT 対向電極 CL 対向電圧信号線 Cstg 蓄積容量部 GT ゲート電極 PNL 液晶パネル。

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶組成物を介して配置される第1及び第
    2の基板と、 前記第1の基板面と前記液晶組成物層の面との間に形成
    された画素電極と、対向電極と、 前記対向電極と同一平面上に形成され、前記対向電極に
    信号を供給する対向電圧信号線とを備えた液晶表示装置
    であって、 前記対向電圧信号線上の一部に層間絶縁膜を介して前記
    画素電極の一部が重畳されて形成された容量素子とが光
    透過領域に備えられ、前記容量素子を構成する対向電圧
    信号配線と画素電極が、当該容量部の平面形状の輪郭の
    大部分を形成する如く構成したことを特徴とする液晶表
    示装置。
  2. 【請求項2】前記容量部を構成する対向電圧信号線と画
    素電極のうちの上層側の平面形状の輪郭の大部分を下層
    側の平面形状の輪郭より後退した位置に形成したことを
    特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】前記容量部を構成する対向電圧信号線と画
    素電極のうちの下層側の平面形状の輪郭の大部分を上層
    側の平面形状の輪郭より後退した位置に形成したことを
    特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】前記容量部を構成する上層側は画素電極
    で、下層側は対向電圧信号線からなることを特徴とする
    請求項2に記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】前記容量部を構成する画素電極の対向電圧
    信号線に対する乗り越え方向の角度と、ラビング方向の
    角度がほぼ等しいことを特徴とする請求項4に記載の液
    晶表示装置。
  6. 【請求項6】夫々の主面が対向し合うように重ねられた
    第1及び第2の基板と、 前記第1及び第2の基板の一方に形成された画素領域を
    規定する遮光材料と、 前記第1及び第2の基板の一方の主面上部に形成され且
    つ前記画素領域内で互いに異なる方向に延伸し且つ交差
    する第1及び第2の導電層と、 前記第1及び第2の基板間に封入される液晶層とを有
    し、 前記第1及び第2の導電層の一方は前記交差部から前記
    導電層の他方の延伸方向に沿って延び、 前記第1及び第2の導電層が重なる領域はこの領域より
    も前記基板主面からの高さが低い前記第1導電層又は前
    記第2の導電層により囲まれていることを特徴とする液
    晶表示装置。
  7. 【請求項7】前記交差部から前記導電層の他方の延伸方
    向に沿って延びる前記導電層の一方の部分を前記画素領
    域内に収まるように形成したことを特徴とする請求項6
    に記載の液晶表示装置。
  8. 【請求項8】所定の距離をおいて重ねられた第1及び第
    2の基板と、 前記第1及び第2の基板の一方の上部に形成された画素
    領域を規定する遮光材料と、 前記第1及び第2の基板の一方の上部で前記画素領域内
    へ向けて延伸し且つ画素領域内部で互いに重なる第1及
    び第2の導電層と、 前記第1及び第2の基板間に封入される液晶層とを有
    し、 前記第1及び第2の導電層の一方は前記重なり部分にお
    いて、その延伸方向とは異なる方向に延伸する部分を有
    し且つ前記導電層の他方の輪郭と外れた輪郭を有するこ
    とを特徴とする液晶表示装置。
  9. 【請求項9】前記導電層の一方の前記延伸方向とは異な
    る方向に延びる部分を前記画素領域内に収まるように形
    成したことを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装
    置。
  10. 【請求項10】前記第1導電層の少なくとも一の側面及
    び前記第2導電層の少なくとも一の側面を、夫々前記画
    素領域内にその輪郭から離れて配置したことを特徴とす
    る請求項6又は8のいずれかに記載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】前記第1及び第2の導電層は、前記画素
    領域内において前記基板主面に対し段差を形成し、これ
    らの重なり部分にて上記段差より大きい段差を形成する
    ものであることを特徴とする請求項6又は8のいずれか
    に記載の液晶表示装置。
  12. 【請求項12】その上部に前記第1及び第2の導電層が
    形成される前記第1及び第2の基板の一方に形成される
    層の最上部に配向膜を形成したことを特徴とする請求項
    6又は8のいずれかに記載の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】液晶組成物を介して配置される第1及び
    第2の基板と、 前記第1の基板面と前記液晶組成物層の面との間に形成
    された画素電極と、対向電極と、 前記対向電極に信号を供給する対向電圧信号線とを備え
    た液晶表示装置であって、 前記対向電圧信号線と画素電極の交差部に層間絶縁膜を
    介して形成された容量素子が光透過領域に備えられ、 前記交差部の交差角を鈍角に形成したことを特徴とする
    液晶表示装置。
  14. 【請求項14】液晶組成物を介して配置される第1及び
    第2の基板と、 前記第1の基板面と前記液晶組成物層の面との間に形成
    された画素電極と、対向電極と、 前記対向電極に信号を供給する対向電圧信号線とを備え
    た液晶表示装置であって、 前記対向電圧信号線と画素電極の交差部に層間絶縁膜を
    介して形成された容量素子が光透過領域に備えられ、 前記対向電圧信号線の配線接合部の接合角を鈍角に形成
    したことを特徴とする液晶表示装置。
  15. 【請求項15】前記対向電圧信号線と前記対向電極とを
    同一平面上に形成したことを特徴とする請求項13又は
    14のいずれかに記載の液晶表示装置。
  16. 【請求項16】前記鈍角に形成される角度は、180度
    より小であることを特徴とする請求項13又は14のい
    ずれかに記載の液晶表示装置。
  17. 【請求項17】前記容量部を構成する上層側は画素電極
    で、下層側は対向電圧信号線からなることを特徴とする
    請求項13又は14のいずれかに記載の液晶表示装置。
  18. 【請求項18】前記容量部を構成する上層側は対向電圧
    信号線で、下層側は画素電極からなることを特徴とする
    請求項13又は14のいずれかに記載の液晶表示装置。
  19. 【請求項19】所定の距離をおいて双方の主面を向きあ
    わせた第1及び第2の基板と、 前記第1及び第2の基板間に封入される液晶層と、 前記基板の一方の主面上部に形成され且つ絶縁膜で覆わ
    れ且つ第1の電圧が印加されるように構成された第1の
    導電層と、 前記基板の一方の主面上部に形成され且つ絶縁膜で覆わ
    れ且つ前記第1の電圧に対して変化し得る第2の電圧が
    印加されるように構成された第2の導電層とを有し、 前記第1及び第2の導電層の各々は異なる方向に伸び且
    つ互いに接合する複数の部分を有し、且つ前記第1及び
    第2の導電層の一方における前記部分の接合角は鈍角又
    は曲線形状を有することを特徴とする液晶表示装置。
  20. 【請求項20】前記液晶表示装置はさらに前記第1及び
    第2の基板のいずれかの上部に形成され且つ画素領域を
    規定する遮光膜を有し、前記第1及び第2導電層は前記
    画素領域内において前記液晶層に電界を印加する部分を
    夫々有することを特徴とする請求項19に記載の液晶表
    示装置。
  21. 【請求項21】前記液晶表示装置はさらに前記第1及び
    第2の基板のいずれかの上部に形成され且つ画素領域を
    規定する遮光膜を有し、前記第1及び第2導電層は前記
    画素領域内へ延び且つ互いに交差する部分を夫々有する
    ことを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
  22. 【請求項22】前記画素領域に延伸する前記第1及び第
    2導電層の夫々の部分の一方は、前記交差部分から他方
    の延伸方向に延びる分岐部分を有し、該一方の部分とそ
    の分岐部分は少なくとも一の鈍角又は曲線を介して接合
    されることを特徴とする請求項21に記載の液晶表示装
    置。
  23. 【請求項23】前記画素領域に延伸する前記第1及び第
    2導電層の夫々の部分の一方は、他方の部分と離間し且
    つこれに沿って延伸する分岐部分を有し、該一方の部分
    とその分岐部分は少なくとも一の鈍角又は曲線を介して
    接合されることを特徴とする請求項21に記載の液晶表
    示装置。
  24. 【請求項24】前記第1及び第2の導電層の一方におけ
    る前記部分は複数の鈍角で接合され且つ厚さTの絶縁膜
    で覆われ、該接合部分の一端の鈍角と他端の鈍角は(2
    T)1/2より大きい距離で離されて形成されたことを
    特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
  25. 【請求項25】前記第1及び第2の導電層の一方におけ
    る前記部分は曲線で接合され且つ厚さTの絶縁膜で覆わ
    れ、該接合部分の曲率半径はTより大きいことを特徴と
    する請求項19に記載の液晶表示装置。
  26. 【請求項26】前記液晶層は誘電率異方性の絶対値が2
    0より大きい液晶分子を含むことを特徴とする請求項1
    9に記載の液晶表示装置。
  27. 【請求項27】前記液晶層に沿って複数の前記画素領域
    をアレイ状に配置し且つこれらを走査信号線並びにこれ
    と交差する映像信号線とで分離した画素アレイを有する
    前記液晶表示装置であって、前記画素領域は画素電極、
    対向電極、並びに該画素電極に電圧信号を供給するスイ
    ッチング素子を有し、前記第1導電層は該画素電極とし
    て、前記第2導電層は前記映像信号線又は該画素電極と
    容量を構成する導電層であることを特徴とする請求項1
    9に記載の液晶表示装置。
  28. 【請求項28】前記画素アレイは、走査信号線に沿って
    3072より多くの画素が、映像信号線に沿って768
    より多くの画素が夫々配列されていることを特徴とする
    請求項26に記載の液晶表示装置。
  29. 【請求項29】前記画素アレイは、走査信号線に沿って
    4800より多くの画素が、映像信号線に沿って128
    0より多くの画素が夫々配列されていることを特徴とす
    る請求項26に記載の液晶表示装置。
  30. 【請求項30】所定の距離をおいて互いに主面を向きあ
    わせて配置した第1及び第2の基板と、 前記第1及び第2基板間に封入される液晶層と、 前記第1及び第2基板の一方の主面上に形成され且つ画
    素領域を規定する遮光膜と、 前記基板の一方の主面上部に形成され且つ絶縁膜で覆わ
    れ且つ第1の電圧が印加されるように構成された第1の
    導電層と、 前記基板の一方の主面上部に形成され且つ絶縁膜で覆わ
    れ且つ前記第1の電圧に対して変化し得る第2の電圧が
    印加されるように構成された第2の導電層とを有し、 前記第1及び第2導電層の各々は異なる方向に伸び且つ
    互いに接合する複数の部分を有し、前記第1導電層の第
    1部分と前記第2導電層の第2部分は前記画素領域内へ
    延び且つ該画素領域内で夫々の縁が鈍角を形成するよう
    に交差することを特徴とする液晶表示装置。
  31. 【請求項31】双方の主面が向き合うように重ねられた
    第1及び第2の基板と、 前記第1及び第2基板間に封入される液晶層と、 前記第1及び第2基板の一方の主面上に形成され且つ画
    素領域を規定する遮光膜と、 前記第1基板主面上に形成された画素領域を規定するブ
    ラックマトリクスと、 前記第1基板主面上の前記画素領域に形成され且つ前記
    ブラックマトリクス並びに絶縁材料に囲まれて電気的に
    絶縁されたカラーフィルタと、 前記第2基板主面上に前記カラーフィルタと対向するよ
    うに形成された画素電極と、 前記第2基板主面上に形成され且つ前記画素電極に電圧
    信号を供給するトランジスタと、 前記カラーフィルタと積層されないように前記第1及び
    第2基板の一方の主面上部に形成され且つ前記画素電極
    と離間して設けられた対向電極を有し、 前記画素電極は、波長範囲380乃至770nmの入射
    光に対する透過率が70%より大きい導電性の材料で形
    成されていることを特徴とする液晶表示装置。
  32. 【請求項32】前記導電性材料は、インジウム・錫酸化
    物及び錫酸化物の群から選ばれる材料であることを特徴
    とする請求項31に記載の液晶表示装置。
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