JPH1129428A - 歯科材料 - Google Patents
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- JPH1129428A JPH1129428A JP9181499A JP18149997A JPH1129428A JP H1129428 A JPH1129428 A JP H1129428A JP 9181499 A JP9181499 A JP 9181499A JP 18149997 A JP18149997 A JP 18149997A JP H1129428 A JPH1129428 A JP H1129428A
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- meth
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- metal fine
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 本発明の歯科材料は、厚さ方向に、接着
界面から少なくとも20μmの厚さを有すると共に、金
属微粉末を2.5〜25容量%の量で含有する金属微粉
末含有層を形成するための歯科材料である。 【効果】 本発明の歯科材料によれば、歯科用レジンの
重合収縮あるいは熱収縮による内部応力が緩和され、レ
ジンあるいはエナメル質にクラックが発生することを有
効に防止できる。
界面から少なくとも20μmの厚さを有すると共に、金
属微粉末を2.5〜25容量%の量で含有する金属微粉
末含有層を形成するための歯科材料である。 【効果】 本発明の歯科材料によれば、歯科用レジンの
重合収縮あるいは熱収縮による内部応力が緩和され、レ
ジンあるいはエナメル質にクラックが発生することを有
効に防止できる。
Description
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、歯科用の修復材として用
いられる重合体形成成分が硬化する際に生ずる重合収縮
を低減した歯科材料に関する。
いられる重合体形成成分が硬化する際に生ずる重合収縮
を低減した歯科材料に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科用の修復材として無機質フィラーを
含有する重合性モノマー成分からなるコンポジットレジ
ンが使用されている。このようなコンポジットレジン
は、樹脂形成成分として(メタ)アクリル酸系のモノマ
ーを含有している。この(メタ)アクリル酸系モノマー
が重合する際に接着力が発現し、この接着力を利用して
歯質の修復が行われるのである。また、義歯床のメタル
レジンと床用レジンとの接合部(フィニッシングライ
ン)の汚染による不潔域の形成を防ぐために接着性レジ
ンを用いてメタルフレームと床用レジンとを強固に接着
させようとしている。
含有する重合性モノマー成分からなるコンポジットレジ
ンが使用されている。このようなコンポジットレジン
は、樹脂形成成分として(メタ)アクリル酸系のモノマ
ーを含有している。この(メタ)アクリル酸系モノマー
が重合する際に接着力が発現し、この接着力を利用して
歯質の修復が行われるのである。また、義歯床のメタル
レジンと床用レジンとの接合部(フィニッシングライ
ン)の汚染による不潔域の形成を防ぐために接着性レジ
ンを用いてメタルフレームと床用レジンとを強固に接着
させようとしている。
【0003】一般にこうしたコンポジットレジンのよう
な樹脂が硬化する際に重合収縮することは既に知られて
いる。このような重合収縮は、歯質修復材の内部に残留
し、コンポジットレジンを窩洞壁から剥離させる力とし
て作用すると共に、充填物と歯質との間に間隙を生じさ
せる原因となる。また、歯質とレジンとの接着力が強固
な場合、コンポジットレジンの重合収縮によって生じた
内部応力は、窩洞周縁部のエナメル質に微細なクラック
を生じさせることがある。このようにして生じた充填物
と歯質との間の隙間およびエナメル質に生じたクラック
は、歯質の二次齲蝕の原因となっているのである。
な樹脂が硬化する際に重合収縮することは既に知られて
いる。このような重合収縮は、歯質修復材の内部に残留
し、コンポジットレジンを窩洞壁から剥離させる力とし
て作用すると共に、充填物と歯質との間に間隙を生じさ
せる原因となる。また、歯質とレジンとの接着力が強固
な場合、コンポジットレジンの重合収縮によって生じた
内部応力は、窩洞周縁部のエナメル質に微細なクラック
を生じさせることがある。このようにして生じた充填物
と歯質との間の隙間およびエナメル質に生じたクラック
は、歯質の二次齲蝕の原因となっているのである。
【0004】また、メタルフレームと床用レジンとを接
着させようとした場合、レジンの重合収縮によって生じ
た内部応力は、接着界面を破壊する大きな駆動力となっ
ている。
着させようとした場合、レジンの重合収縮によって生じ
た内部応力は、接着界面を破壊する大きな駆動力となっ
ている。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような歯質修復材が硬
化する際に生ずる重合収縮を低減して歯質の二次齲蝕を
有効に防止することができる歯科材料を提供することを
目的としている。
化する際に生ずる重合収縮を低減して歯質の二次齲蝕を
有効に防止することができる歯科材料を提供することを
目的としている。
【0006】また、本発明は、金属レジンとの接着構造
物において、重合収縮を低減することにより、接着界面
の剥離を防ぎ接着構造物の耐久性を向上させることを目
的としている。
物において、重合収縮を低減することにより、接着界面
の剥離を防ぎ接着構造物の耐久性を向上させることを目
的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明は、厚さ方向に、接着界面から少
なくとも20μmの厚さで、金属微粉末を2.5〜25
容量%の量で含有する金属微粉末含有層を形成するため
の歯科材料である。
なくとも20μmの厚さで、金属微粉末を2.5〜25
容量%の量で含有する金属微粉末含有層を形成するため
の歯科材料である。
【0008】本発明では、上記の金属微粉末が (メ
タ)アクリル系重合性モノマー成分を含有する組成物あ
るいは組成物を形成するためのキット中に含有される場
合と、被接着材である歯質あるいは充填物の表面前処理
剤に含有される場合とがある。
タ)アクリル系重合性モノマー成分を含有する組成物あ
るいは組成物を形成するためのキット中に含有される場
合と、被接着材である歯質あるいは充填物の表面前処理
剤に含有される場合とがある。
【0009】本発明の歯科材料は、接着界面から少なく
とも20μm、好ましくは接着界面から20〜100μ
mの厚さ、さらに好ましくは接着界面から20〜80μ
m、特に好ましくは接着界面から20〜60μmの厚さ
で金属微粉末含有層を形成することにより、この層中に
含有される金属微粉末によって重合収縮あるいは熱収縮
により生ずる内部応力が緩和されるため、被接着物であ
る歯質のエナメル質あるいはコンポジットレジンに内部
応力によるクラックが発生しにくい。
とも20μm、好ましくは接着界面から20〜100μ
mの厚さ、さらに好ましくは接着界面から20〜80μ
m、特に好ましくは接着界面から20〜60μmの厚さ
で金属微粉末含有層を形成することにより、この層中に
含有される金属微粉末によって重合収縮あるいは熱収縮
により生ずる内部応力が緩和されるため、被接着物であ
る歯質のエナメル質あるいはコンポジットレジンに内部
応力によるクラックが発生しにくい。
【0010】従って、本発明の歯科材料を使用すること
により、修復された歯質の二次齲蝕を有効に防止するこ
とができる。
により、修復された歯質の二次齲蝕を有効に防止するこ
とができる。
【0011】
【発明の具体的説明】次に本発明の歯科材料について具
体的に説明する。本発明の歯科材料は、接着界面から厚
さ方向に少なくとも20μm、好ましくは20〜100
μmの厚さ、さらに好ましくは接着界面から20〜80
μm、特に好ましくは20〜60μmの厚さの金属微粉
末含有層を形成するための歯科材料である。
体的に説明する。本発明の歯科材料は、接着界面から厚
さ方向に少なくとも20μm、好ましくは20〜100
μmの厚さ、さらに好ましくは接着界面から20〜80
μm、特に好ましくは20〜60μmの厚さの金属微粉
末含有層を形成するための歯科材料である。
【0012】本発明で使用される金属微粉末としては、
金、白金、銀、銅およびパラジウムのような貴金属、な
らびに、スズ、インジウム、ガリウム、鉄およびゲルマ
ニウムなどの卑金属を挙げることができる。これらの金
属は、単独で使用することもできるし、2種類以上の金
属を組み合わせて使用することもできる。殊にこれらの
金属を含有する合金を使用することが好ましい。本発明
で使用することができる合金の例としては、金-銀-パラ
ジウム合金、銀-パラジウム-銅-金合金、銀-スズ合金、
アマルガム合金、インジウム合金、スズ合金、銀合金、
Co-Cr合金、Ti合金およびステンレス鋼を挙げる
ことができる。これらの金属微粉末のなかでも、本発明
では、インジウム合金、スズ合金を使用することが好ま
しい。また、貴金属、例えば貴金属として金を含有する
金合金は、良好な応力分散性能を有すると共に、長期間
の使用によっても金属の酸化などに伴う変色が見られな
い。
金、白金、銀、銅およびパラジウムのような貴金属、な
らびに、スズ、インジウム、ガリウム、鉄およびゲルマ
ニウムなどの卑金属を挙げることができる。これらの金
属は、単独で使用することもできるし、2種類以上の金
属を組み合わせて使用することもできる。殊にこれらの
金属を含有する合金を使用することが好ましい。本発明
で使用することができる合金の例としては、金-銀-パラ
ジウム合金、銀-パラジウム-銅-金合金、銀-スズ合金、
アマルガム合金、インジウム合金、スズ合金、銀合金、
Co-Cr合金、Ti合金およびステンレス鋼を挙げる
ことができる。これらの金属微粉末のなかでも、本発明
では、インジウム合金、スズ合金を使用することが好ま
しい。また、貴金属、例えば貴金属として金を含有する
金合金は、良好な応力分散性能を有すると共に、長期間
の使用によっても金属の酸化などに伴う変色が見られな
い。
【0013】このような金属微粉末は、そのままで使用
することもできるが、その表面を改質して使用すること
が好ましい。この金属微粉末の表面改質法としては、例
えば、4-メタクリロキシエチルトリメリト酸無水物(4-
META)のような金属への親和性を有する重合性モノ
マーを含有するメチルメタクリレート(MMA)に、上
記金属微粉末を浸漬し、次いで、余剰のMMAを除去す
ることにより、金属微粉末表面を4-METAで被覆する
方法を採用することが好ましい。
することもできるが、その表面を改質して使用すること
が好ましい。この金属微粉末の表面改質法としては、例
えば、4-メタクリロキシエチルトリメリト酸無水物(4-
META)のような金属への親和性を有する重合性モノ
マーを含有するメチルメタクリレート(MMA)に、上
記金属微粉末を浸漬し、次いで、余剰のMMAを除去す
ることにより、金属微粉末表面を4-METAで被覆する
方法を採用することが好ましい。
【0014】ここで使用される金属への親和性を有する
重合性モノマー成分としては、例えば酸性基を有する重
合性モノマー成分であり、金属への親和性を有する重合
性モノマー成分中の酸性基と金属微粉末の表面の少なく
とも一部とが反応すると考えられる。
重合性モノマー成分としては、例えば酸性基を有する重
合性モノマー成分であり、金属への親和性を有する重合
性モノマー成分中の酸性基と金属微粉末の表面の少なく
とも一部とが反応すると考えられる。
【0015】このような金属への親和性を有する重合性
モノマー成分の例としては、(メタ)アクリル酸及びそ
の無水物、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリト酸
及びその無水物(4−META)の他、1,4-ジ(メタ)
アクリロキシエチルピロメリト酸、6-(メタ)アクリロ
キシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、N-(メ
タ)アクリロイル-p-アミノ安息香酸、N-(メタ)アク
リロイル-o-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-
m-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノ
サリチル酸、N-(メタ)アクリロイル-4-アミノサリチ
ル酸、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリト酸及び
その無水物、4-(メタ)アクリロキシブチルトリメリト
酸及びその無水物、4-(メタ)アクリロキシヘキシルト
リメリト酸及びその無水物、4-(メタ)アクリロキシデ
シルトリメリト酸及びその無水物、2-(メタ)アクリロ
イルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安
息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β-
(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサク
シネート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイ
ドロジェンマレエート、β-(メタ)アクリロイルオキ
シエチルハイドロジェンフタレート、11-(メタ)アク
リロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、p-ビニ
ル安息香酸等のカルボン酸基またはその無水物を有する
モノマー;(2-(メタ)アクリロキシエチル)ホスホリ
ック酸、(2-(メタ)アクリロキシエチルフェニル)ホ
スホリック酸、10-(メタ)アクリロキシデシルホスホ
リック酸などの燐酸基を有するモノマー;また、p-スチ
レンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパン
スルホン酸等のスルホン酸基を有するモノマーを挙げる
ことができる。
モノマー成分の例としては、(メタ)アクリル酸及びそ
の無水物、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリト酸
及びその無水物(4−META)の他、1,4-ジ(メタ)
アクリロキシエチルピロメリト酸、6-(メタ)アクリロ
キシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、N-(メ
タ)アクリロイル-p-アミノ安息香酸、N-(メタ)アク
リロイル-o-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-
m-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノ
サリチル酸、N-(メタ)アクリロイル-4-アミノサリチ
ル酸、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリト酸及び
その無水物、4-(メタ)アクリロキシブチルトリメリト
酸及びその無水物、4-(メタ)アクリロキシヘキシルト
リメリト酸及びその無水物、4-(メタ)アクリロキシデ
シルトリメリト酸及びその無水物、2-(メタ)アクリロ
イルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安
息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β-
(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサク
シネート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイ
ドロジェンマレエート、β-(メタ)アクリロイルオキ
シエチルハイドロジェンフタレート、11-(メタ)アク
リロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、p-ビニ
ル安息香酸等のカルボン酸基またはその無水物を有する
モノマー;(2-(メタ)アクリロキシエチル)ホスホリ
ック酸、(2-(メタ)アクリロキシエチルフェニル)ホ
スホリック酸、10-(メタ)アクリロキシデシルホスホ
リック酸などの燐酸基を有するモノマー;また、p-スチ
レンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパン
スルホン酸等のスルホン酸基を有するモノマーを挙げる
ことができる。
【0016】これらの金属への親和性を有する重合性モ
ノマー成分は単独であるいは組み合わせて使用すること
ができる。また、金属微粉末を上記のような金属への親
和性を有する重合性モノマー成分で処理するに際して
は、アルキル(メタ)アクリレートのような他の重合性
モノマー成分中に上記金属への親和性を有する重合性モ
ノマー成分を溶解もしくは分散させた処理液を調製し、
この処理液に処理対象の金属微粉末を加えて、他の重合
性モノマー成分を加熱するなどの方法、金属に親和性を
有する重合性モノマー成分は溶解するけれども、金属に
親和性を有する重合性モノマー成分に対する反応性を有
しておらず、かつ沸点がそれほど高くない溶媒に、金属
に親和性を有する重合性モノマー成分を溶解(若しくは
分散)させて、この溶液(あるいは分散液)に金属微粉
末を分散させて、通常は室温を超え、融点以下の温度
(例えば50〜150℃)に加熱して、この条件下で通
常は0.5〜5時間反応させる。次いで、常圧、好まし
くは減圧下に、反応溶媒を除去する方法、金属に親和性
を有する重合性モノマー成分と金属微粉末とを例えばヘ
ンシェルミキサーのような高速撹拌装置中で激しく撹拌
混合する乾式法で処理する方法、金属微粉末と金属への
親和性を有する重合性モノマー成分とを予め接触するの
ではなく、使用時に金属微粉末と金属への親和性を有す
る重合性モノマー成分とを、他の成分と共に接触させて
使用するインテグランドブレンド法などを採用すること
ができる。
ノマー成分は単独であるいは組み合わせて使用すること
ができる。また、金属微粉末を上記のような金属への親
和性を有する重合性モノマー成分で処理するに際して
は、アルキル(メタ)アクリレートのような他の重合性
モノマー成分中に上記金属への親和性を有する重合性モ
ノマー成分を溶解もしくは分散させた処理液を調製し、
この処理液に処理対象の金属微粉末を加えて、他の重合
性モノマー成分を加熱するなどの方法、金属に親和性を
有する重合性モノマー成分は溶解するけれども、金属に
親和性を有する重合性モノマー成分に対する反応性を有
しておらず、かつ沸点がそれほど高くない溶媒に、金属
に親和性を有する重合性モノマー成分を溶解(若しくは
分散)させて、この溶液(あるいは分散液)に金属微粉
末を分散させて、通常は室温を超え、融点以下の温度
(例えば50〜150℃)に加熱して、この条件下で通
常は0.5〜5時間反応させる。次いで、常圧、好まし
くは減圧下に、反応溶媒を除去する方法、金属に親和性
を有する重合性モノマー成分と金属微粉末とを例えばヘ
ンシェルミキサーのような高速撹拌装置中で激しく撹拌
混合する乾式法で処理する方法、金属微粉末と金属への
親和性を有する重合性モノマー成分とを予め接触するの
ではなく、使用時に金属微粉末と金属への親和性を有す
る重合性モノマー成分とを、他の成分と共に接触させて
使用するインテグランドブレンド法などを採用すること
ができる。
【0017】このような金属微粉末の表面処理に使用す
ることができる溶媒の例としては、トルエン、メチルエ
チルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等を挙げることができる。こうした溶媒中におけ
る金属への親和性を有する重合性モノマー成分の濃度
は、通常は0.1〜10重量%である。
ることができる溶媒の例としては、トルエン、メチルエ
チルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等を挙げることができる。こうした溶媒中におけ
る金属への親和性を有する重合性モノマー成分の濃度
は、通常は0.1〜10重量%である。
【0018】そして、このように金属への親和性を有す
る重合性モノマー成分中の酸性基と金属微粉末との反応
によっても金属への親和性を有する重合性モノマー成分
の重合活性は失われることがない。従って、金属微粉末
を予め金属への親和性を有する重合性モノマー成分で処
理すると、あたかも金属微粉末自体が重合性モノマー成
分に対して重合活性を有するかのようになり、こうして
表面処理された金属粉末と、重合性モノマー成分とを混
合して硬化させると、この表面処理された金属微粉末の
有する重合活性基が重合性モノマー成分の重合活性基と
結合するので、樹脂マトリックス中に金属微粉末が均一
に分散すると共に、樹脂マトリックスと金属微粒子とが
一体化した硬化体が得られる。
る重合性モノマー成分中の酸性基と金属微粉末との反応
によっても金属への親和性を有する重合性モノマー成分
の重合活性は失われることがない。従って、金属微粉末
を予め金属への親和性を有する重合性モノマー成分で処
理すると、あたかも金属微粉末自体が重合性モノマー成
分に対して重合活性を有するかのようになり、こうして
表面処理された金属粉末と、重合性モノマー成分とを混
合して硬化させると、この表面処理された金属微粉末の
有する重合活性基が重合性モノマー成分の重合活性基と
結合するので、樹脂マトリックス中に金属微粉末が均一
に分散すると共に、樹脂マトリックスと金属微粒子とが
一体化した硬化体が得られる。
【0019】上記のような方法により、金属微粉末表面
に付着する金属への親和性を有する重合性モノマー(表
面処理剤;例えば4-META)の量は、金属微粉末1g
あたり、通常は10〜50mg、好ましくは15〜20mg
の範囲内にある。
に付着する金属への親和性を有する重合性モノマー(表
面処理剤;例えば4-META)の量は、金属微粉末1g
あたり、通常は10〜50mg、好ましくは15〜20mg
の範囲内にある。
【0020】本発明で用いられる金属微粉末は、この金
属微粉末が含有される金属微粉末含有層の厚さ以下の平
均粒子径を有しており、通常は、金属微粉末含有層の平
均厚さを100%としたときに、本発明で用いられる金
属微粉末の平均粒子径は、この平均厚さ(100%)に対し
て、通常は10〜40%、好ましくは20〜30%の範
囲内にある。さらに、この金属微粉末は、通常は1〜5
0μm、好ましくは5〜20μmの平均粒子径を有して
いる。このような平均粒子径を有する金属微粉末を使用
することにより、樹脂が硬化することに伴い発生する内
部応力を分散させることができる。
属微粉末が含有される金属微粉末含有層の厚さ以下の平
均粒子径を有しており、通常は、金属微粉末含有層の平
均厚さを100%としたときに、本発明で用いられる金
属微粉末の平均粒子径は、この平均厚さ(100%)に対し
て、通常は10〜40%、好ましくは20〜30%の範
囲内にある。さらに、この金属微粉末は、通常は1〜5
0μm、好ましくは5〜20μmの平均粒子径を有して
いる。このような平均粒子径を有する金属微粉末を使用
することにより、樹脂が硬化することに伴い発生する内
部応力を分散させることができる。
【0021】また、この金属微粉末による内部応力をよ
り均一に分散させるためには3〜4種類の粒子径のもの
が混合されていることが好ましく、本発明で好適に使用
することができる金属微粉末の粒度分布は、通常は、5
〜20の範囲内にある。
り均一に分散させるためには3〜4種類の粒子径のもの
が混合されていることが好ましく、本発明で好適に使用
することができる金属微粉末の粒度分布は、通常は、5
〜20の範囲内にある。
【0022】上記のような金属微粉末は、接着界面から
厚さ方向に、少なくとも20μm、好ましくは20〜1
00μm、さらに好ましくは接着界面から20〜80μ
m、特に好ましくは20〜60μmの厚さに形成される
金属微粉末含有層に含有される。すなわち、例えば、歯
質のエナメル質表面あるいは歯科材料として使用される
金属フレームの表面に、歯科用レジンを加熱硬化させて
接着させると、硬化したレジンあるいは歯質のエナメル
質にクラックが生ずる。本発明者は、このクラックの発
生原因について種々検討した結果、このクラックは、歯
科用レジンの重合収縮あるいは熱収縮によって生ずる内
部応力が硬化したレジン内に歪みとして内在され、この
内部歪みによって発生するとの知見を得た。そして、こ
の重合収縮あるいは熱収縮による内部応力は、接着界面
近傍に集中する。例えば、図1に示すように、金銀パラ
ジウム合金(Metal)61の接着面を、液体Ga-Snで表面
処理して、この表面に市販の歯科用接着剤を用いて接着
剤層(Resin)62を形成した複合体60を製造し、この
複合体60を、超音波顕微鏡を用いて接着剤層62の厚
さが1mm、2mm、3mmである3種類の試験片を製造し、
図1の(a)方向について接着界面から距離の関数とし
て音速変化を測定したところ、図2に示す結果が得られ
た。この場合、音速の減少は引張応力が作用しているこ
とが三点曲げ試験片による音速測定で明らかにされてい
る。図2から明らかなように、引張応力は通常は接着界
面から100μm以下の範囲内、多くの場合接着界面か
ら80μm以下の範囲内に集中している。
厚さ方向に、少なくとも20μm、好ましくは20〜1
00μm、さらに好ましくは接着界面から20〜80μ
m、特に好ましくは20〜60μmの厚さに形成される
金属微粉末含有層に含有される。すなわち、例えば、歯
質のエナメル質表面あるいは歯科材料として使用される
金属フレームの表面に、歯科用レジンを加熱硬化させて
接着させると、硬化したレジンあるいは歯質のエナメル
質にクラックが生ずる。本発明者は、このクラックの発
生原因について種々検討した結果、このクラックは、歯
科用レジンの重合収縮あるいは熱収縮によって生ずる内
部応力が硬化したレジン内に歪みとして内在され、この
内部歪みによって発生するとの知見を得た。そして、こ
の重合収縮あるいは熱収縮による内部応力は、接着界面
近傍に集中する。例えば、図1に示すように、金銀パラ
ジウム合金(Metal)61の接着面を、液体Ga-Snで表面
処理して、この表面に市販の歯科用接着剤を用いて接着
剤層(Resin)62を形成した複合体60を製造し、この
複合体60を、超音波顕微鏡を用いて接着剤層62の厚
さが1mm、2mm、3mmである3種類の試験片を製造し、
図1の(a)方向について接着界面から距離の関数とし
て音速変化を測定したところ、図2に示す結果が得られ
た。この場合、音速の減少は引張応力が作用しているこ
とが三点曲げ試験片による音速測定で明らかにされてい
る。図2から明らかなように、引張応力は通常は接着界
面から100μm以下の範囲内、多くの場合接着界面か
ら80μm以下の範囲内に集中している。
【0023】歯科材料において使用されるリテンション
ホールを有するメタルフレーム(例:金銀パラジウム合
金で形成されている)に市販の歯科用接着剤を塗設して
熱硬化させたときの状態を模式的に図3(a),(b)
に示す。図3(a)は、メタルフレームと接着剤とが接
着していない状態を示しており、図3(b)は、メタル
フレームの表面処理、例えばGa−Snを用いて表面処
理した後、接着剤を塗設して加熱硬化したときの状態で
あり、メタルフレームと接着剤とが強固に接着している
状態を示している。上記図3における(a)および
(b)は、図4における(a)および(b)と対応して
いる。
ホールを有するメタルフレーム(例:金銀パラジウム合
金で形成されている)に市販の歯科用接着剤を塗設して
熱硬化させたときの状態を模式的に図3(a),(b)
に示す。図3(a)は、メタルフレームと接着剤とが接
着していない状態を示しており、図3(b)は、メタル
フレームの表面処理、例えばGa−Snを用いて表面処
理した後、接着剤を塗設して加熱硬化したときの状態で
あり、メタルフレームと接着剤とが強固に接着している
状態を示している。上記図3における(a)および
(b)は、図4における(a)および(b)と対応して
いる。
【0024】図4(a)には縦方向に微細なクラックが
生じた状態が示されており、図4(b)には、リテンシ
ョンホールの周方向に沿ってクラックが生じた状態が示
されている。上記図4(a)および図4(b)に示すリ
テンションホールの直径方向について、上記の超音波顕
微鏡を用いて応力測定を行うと、図5に示すように、
(b)の試験片においてリテンションホール中のレジン
に引張応力が作用していることが明らかになった。これ
は、図3に示すように、表面処理していない(a)では
メタルフレームと接着剤との間に強固な接着力が発現し
ていないために、レジンの収縮によってメタルフレーム
がたわみ、メタルフレームが水平に戻ろうとする力によ
ってレジン内に微細なクラックが発生すると考えられ
る。これに対して表面処理した(b)では、レジンとメ
タルフレームとの界面が強固に接着しているために、リ
テンションホール内のレジンの収縮が拘束される。その
ため、リテンションホール内のレジンに高い引張応力が
残存する。この引張応力とメタルフレームが水平に戻ろ
うとする力とが共同して、リテンションホールの周方向
に沿ったクラックを形成させるものと考えられる。
生じた状態が示されており、図4(b)には、リテンシ
ョンホールの周方向に沿ってクラックが生じた状態が示
されている。上記図4(a)および図4(b)に示すリ
テンションホールの直径方向について、上記の超音波顕
微鏡を用いて応力測定を行うと、図5に示すように、
(b)の試験片においてリテンションホール中のレジン
に引張応力が作用していることが明らかになった。これ
は、図3に示すように、表面処理していない(a)では
メタルフレームと接着剤との間に強固な接着力が発現し
ていないために、レジンの収縮によってメタルフレーム
がたわみ、メタルフレームが水平に戻ろうとする力によ
ってレジン内に微細なクラックが発生すると考えられ
る。これに対して表面処理した(b)では、レジンとメ
タルフレームとの界面が強固に接着しているために、リ
テンションホール内のレジンの収縮が拘束される。その
ため、リテンションホール内のレジンに高い引張応力が
残存する。この引張応力とメタルフレームが水平に戻ろ
うとする力とが共同して、リテンションホールの周方向
に沿ったクラックを形成させるものと考えられる。
【0025】重合収縮と熱収縮とに起因した応力は、レ
ジンをも破壊する大きさであり、この応力が接着界面に
作用すると金属とレジンとの剥離となり、レジン内に内
在するとレジンに生ずるクラックとなり、また、歯質と
レジンとを接着した場合には、時としてエナメル質にク
ラックを生じさせる原因となるのである。
ジンをも破壊する大きさであり、この応力が接着界面に
作用すると金属とレジンとの剥離となり、レジン内に内
在するとレジンに生ずるクラックとなり、また、歯質と
レジンとを接着した場合には、時としてエナメル質にク
ラックを生じさせる原因となるのである。
【0026】従来の歯科用接着剤においては、こうした
接着剤が熱硬化する際の重合収縮あるいは熱収縮は避け
ることができず、それが、接着界面に大きな応力を発生
させ、被着体からレジンを剥離させ、あるいはレジンお
よび/またはエナメル質にクラックを生じさせる。
接着剤が熱硬化する際の重合収縮あるいは熱収縮は避け
ることができず、それが、接着界面に大きな応力を発生
させ、被着体からレジンを剥離させ、あるいはレジンお
よび/またはエナメル質にクラックを生じさせる。
【0027】本発明では、このように歯科用の接着性レ
ジンを使用する際に接着界面近傍に上記の金属微粒子を
存在させることにより、主としてこの金属微粒子の塑性
変形に起因すると考えられる内部応力の分散作用を利用
して、接着界面における応力を低減しているのである。
ジンを使用する際に接着界面近傍に上記の金属微粒子を
存在させることにより、主としてこの金属微粒子の塑性
変形に起因すると考えられる内部応力の分散作用を利用
して、接着界面における応力を低減しているのである。
【0028】上述のように、接着性レジンの重合収縮あ
るいは熱収縮に伴う応力は、接着界面近傍に集中するこ
とから、本発明では、上記金属微粉末を接着界面から少
なくとも20μm、好ましくは接着界面から20〜10
0μmの厚さ、さらに好ましくは接着界面から20〜8
0μm、特に好ましくは接着界面から20〜60μmの
厚さで金属微粉末を含有する層(金属微粉末含有層)を
形成する。なお、金属微粉末含有層の接着界面からの厚
さを上記のようにすることにより、接着剤の重合収縮あ
るいは熱収縮による内部応力を充分に吸収することがで
きることから、この目的では金属微粉末含有層の厚さは
100μmを超えることを特に必要とするものではない
が、例えば接着剤組成物に上記金属微粉末を添加して用
いる場合、この金属微粉末含有層の厚さが例えば100
μmを超えることがあり、こうした場合においても、接
着界面近傍の金属微粉末含有層が応力分散層として機能
するので、本発明の金属微粉末含有層の厚さが例えば1
00μmを超えていてもよい。
るいは熱収縮に伴う応力は、接着界面近傍に集中するこ
とから、本発明では、上記金属微粉末を接着界面から少
なくとも20μm、好ましくは接着界面から20〜10
0μmの厚さ、さらに好ましくは接着界面から20〜8
0μm、特に好ましくは接着界面から20〜60μmの
厚さで金属微粉末を含有する層(金属微粉末含有層)を
形成する。なお、金属微粉末含有層の接着界面からの厚
さを上記のようにすることにより、接着剤の重合収縮あ
るいは熱収縮による内部応力を充分に吸収することがで
きることから、この目的では金属微粉末含有層の厚さは
100μmを超えることを特に必要とするものではない
が、例えば接着剤組成物に上記金属微粉末を添加して用
いる場合、この金属微粉末含有層の厚さが例えば100
μmを超えることがあり、こうした場合においても、接
着界面近傍の金属微粉末含有層が応力分散層として機能
するので、本発明の金属微粉末含有層の厚さが例えば1
00μmを超えていてもよい。
【0029】この金属微粉末含有層は、通常は、上記金
属微粉末、(メタ)アクリル系重合体粒子、重合性モノ
マー成分および重合触媒とを含有する組成物を硬化させ
ることにより形成される。そして、この金属微粉末層中
における金属微粉末の体積含有率が、2.5〜25容量
%の範囲内にあることが必要である。
属微粉末、(メタ)アクリル系重合体粒子、重合性モノ
マー成分および重合触媒とを含有する組成物を硬化させ
ることにより形成される。そして、この金属微粉末層中
における金属微粉末の体積含有率が、2.5〜25容量
%の範囲内にあることが必要である。
【0030】すなわち、例えば、図6に示すように、直
径20mm、高さ10mm、厚さ0.3mmの金銀パラジウム
合金からなるリングの外周表面をGa−Snで表面処理
した後、1mmの厚さで金属微粉末を含有する熱硬化性レ
ジン原料(例えば、金属微粉末(metal)およびポリメチ
ルメタクリレート粒子(PMMA)を任意の割合で配合してな
る粉体成分と、この粉体成分100容量部に、4-メタク
リロキシエチルトリメリト酸無水物(4-META)およびメチ
ルメタクリレート(MMA)からなる重合性モノマー成分を
100容量部、さらに重合触媒を含有する組成物の混練
物)を塗設し、フラスコ内で60℃で60分間、100
℃で30分間加熱して熱硬化性レジン原料(MMA)を硬化
させた後、このリングをフラスコから取り出して、リン
グを縦方向に切断し、続いて70℃で15時間加熱す
る。こうして加熱した後、切断端部間距離を測定して、
横軸に金属微粉末の体積(Vmetal)/ポリメチルメタク
リレート粒子(PMMA)(VPMMA)の値をとり、縦軸に
切断端部間距離をとって、金属微粉末の配合体積と切断
端部距離との関係を図7に表す。
径20mm、高さ10mm、厚さ0.3mmの金銀パラジウム
合金からなるリングの外周表面をGa−Snで表面処理
した後、1mmの厚さで金属微粉末を含有する熱硬化性レ
ジン原料(例えば、金属微粉末(metal)およびポリメチ
ルメタクリレート粒子(PMMA)を任意の割合で配合してな
る粉体成分と、この粉体成分100容量部に、4-メタク
リロキシエチルトリメリト酸無水物(4-META)およびメチ
ルメタクリレート(MMA)からなる重合性モノマー成分を
100容量部、さらに重合触媒を含有する組成物の混練
物)を塗設し、フラスコ内で60℃で60分間、100
℃で30分間加熱して熱硬化性レジン原料(MMA)を硬化
させた後、このリングをフラスコから取り出して、リン
グを縦方向に切断し、続いて70℃で15時間加熱す
る。こうして加熱した後、切断端部間距離を測定して、
横軸に金属微粉末の体積(Vmetal)/ポリメチルメタク
リレート粒子(PMMA)(VPMMA)の値をとり、縦軸に
切断端部間距離をとって、金属微粉末の配合体積と切断
端部距離との関係を図7に表す。
【0031】図7から明らかなように、(Vmetal)/(V
PMMA)の混合比が0をわずかに超える時点(例えば0.0
1)からこの切断端部間距離は減少し始め、さらに0.
2に至るまでの間にこの切断端部間距離は著しく減少す
る。そして、(Vmetal)/(V PMMA)の混合比が0.2を超
えても、減少した切断端部間距離は維持される。なお、
上記組成物では、金属微粉末(metal)とポリメチルメタ
クリレート粒子(PMMA)とからなる粉体成分100容量部
に対して、4-METAおよびMMAからなる重合性モノ
マー成分を100容量部の割合で配合しているので、形
成される金属微粉末含有層中における金属微粉末の体積
含有率は、上記値の1/2となる。
PMMA)の混合比が0をわずかに超える時点(例えば0.0
1)からこの切断端部間距離は減少し始め、さらに0.
2に至るまでの間にこの切断端部間距離は著しく減少す
る。そして、(Vmetal)/(V PMMA)の混合比が0.2を超
えても、減少した切断端部間距離は維持される。なお、
上記組成物では、金属微粉末(metal)とポリメチルメタ
クリレート粒子(PMMA)とからなる粉体成分100容量部
に対して、4-METAおよびMMAからなる重合性モノ
マー成分を100容量部の割合で配合しているので、形
成される金属微粉末含有層中における金属微粉末の体積
含有率は、上記値の1/2となる。
【0032】従って、本発明において、金属微粉末含有
層において、金属微粉末の含有率が、2.5〜25容量
%の範囲内にあることが必要であり、さらに、5〜20
容量%の範囲内にあることが好ましく、20〜30容量
%の範囲内にあることが特に好ましい。図7から明らか
なように、本発明の組成物を形成する粉末成分である
(メタ)アクリル系粉末に対する金属微粉末の配合体積
比が5容量%よりも少ないと(すなわち、金属微粉末含
有層における金属微粉末の含有率が2.5容量%よりも
少ないと)、金属微粉末による重合収縮あるいは熱収縮
の緩和性が充分に発現せず、また本発明の組成物を形成
する粉末成分である(メタ)アクリル系粉末に対する金
属微粉末の配合体積比が50容量%を超えても(すなわ
ち、金属微粉末含有層における金属微粉末の含有率が2
5容量%を超えても)、それ以上の重合収縮あるいは熱
収縮の緩和力は発現せず、逆にレジンの量が相対的に低
下することから、強度が低下することがある。また、貴
金属あるいは貴金属合金からなる金属微粉末は高価であ
ることから経済的に不利である。そして、金属微粉末含
有層中における金属微粉末の体積含有率が10〜15容
量%の範囲内になるように金属微粉末を配合することに
より、金属微粉末含有層内に生ずる内部応力をクラック
が発生しない程度にまで除去することができる。このよ
うな金属微粉末の体積含有率は、公知の金属分析方法を
利用して層中における金属含有率を測定し、この測定値
を元にして、金属の比重および樹脂の比重から算定する
ことができる。
層において、金属微粉末の含有率が、2.5〜25容量
%の範囲内にあることが必要であり、さらに、5〜20
容量%の範囲内にあることが好ましく、20〜30容量
%の範囲内にあることが特に好ましい。図7から明らか
なように、本発明の組成物を形成する粉末成分である
(メタ)アクリル系粉末に対する金属微粉末の配合体積
比が5容量%よりも少ないと(すなわち、金属微粉末含
有層における金属微粉末の含有率が2.5容量%よりも
少ないと)、金属微粉末による重合収縮あるいは熱収縮
の緩和性が充分に発現せず、また本発明の組成物を形成
する粉末成分である(メタ)アクリル系粉末に対する金
属微粉末の配合体積比が50容量%を超えても(すなわ
ち、金属微粉末含有層における金属微粉末の含有率が2
5容量%を超えても)、それ以上の重合収縮あるいは熱
収縮の緩和力は発現せず、逆にレジンの量が相対的に低
下することから、強度が低下することがある。また、貴
金属あるいは貴金属合金からなる金属微粉末は高価であ
ることから経済的に不利である。そして、金属微粉末含
有層中における金属微粉末の体積含有率が10〜15容
量%の範囲内になるように金属微粉末を配合することに
より、金属微粉末含有層内に生ずる内部応力をクラック
が発生しない程度にまで除去することができる。このよ
うな金属微粉末の体積含有率は、公知の金属分析方法を
利用して層中における金属含有率を測定し、この測定値
を元にして、金属の比重および樹脂の比重から算定する
ことができる。
【0033】本発明の歯科材料には、粉体成分として、
通常は(メタ)アクリル系ポリマー粒子が含有されてい
る。この(メタ)アクリル系ポリマー粒子は、通常は、
アルキル基の炭素数が1〜18の範囲内にあるアルキル
基である、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマー
とする(共)重合体である。このようなアルキル(メ
タ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート等を挙げることが
できる。さらに、この(メタ)アクリル系ポリマー粒子
は、上記アルキル(メタ)アクリレートと他の単量体と
の共重合体であってもよく、ここで使用される他の単量
体の例としては、スチレン、メチルスチレン等を挙げる
ことができる。
通常は(メタ)アクリル系ポリマー粒子が含有されてい
る。この(メタ)アクリル系ポリマー粒子は、通常は、
アルキル基の炭素数が1〜18の範囲内にあるアルキル
基である、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマー
とする(共)重合体である。このようなアルキル(メ
タ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート等を挙げることが
できる。さらに、この(メタ)アクリル系ポリマー粒子
は、上記アルキル(メタ)アクリレートと他の単量体と
の共重合体であってもよく、ここで使用される他の単量
体の例としては、スチレン、メチルスチレン等を挙げる
ことができる。
【0034】この(メタ)アクリル系ポリマー粒子は、
金属微粉末と同等の平均粒子径を有していることが好ま
しく、通常は0.1〜100μm、好ましくは1〜50
μmの平均粒子径を有している。
金属微粉末と同等の平均粒子径を有していることが好ま
しく、通常は0.1〜100μm、好ましくは1〜50
μmの平均粒子径を有している。
【0035】さらに、本発明の歯科材料中には粉体成分
として、ハイドロキシアパタイト、酸化珪素粉体等の無
機粉体が含有されていてもよい。このような粉体は、金
属微粉末と同等の平均粒子径を有していることが好まし
く、通常は0.1〜100μm、好ましくは1〜50μ
mの平均粒子径を有している。
として、ハイドロキシアパタイト、酸化珪素粉体等の無
機粉体が含有されていてもよい。このような粉体は、金
属微粉末と同等の平均粒子径を有していることが好まし
く、通常は0.1〜100μm、好ましくは1〜50μ
mの平均粒子径を有している。
【0036】上記のような(メタ)アクリル系ポリマー
粒子および/または無機粉体からなる粉体成分は、本発
明の歯科材料によって形成される金属微粉末含有層中
に、通常は5〜100容量%、好ましくは50〜100
容量%の量で含有されていてもよい。このように粉体成
分、好ましくは(メタ)アクリル系ポリマー粒子を配合
することにより、金属微粉末含有層を形成する際に用い
る重合性モノマー成分の使用量を低減することができる
ことから、重合収縮の初期値を低いレベルに抑えること
ができる。また、本発明の歯科材料を形成する組成物ま
たはキット中に、金属微粉末と、(メタ)アクリル系ポ
リマー粒子とが、10:90〜90:10の体積比で含
有されていることが好ましい。
粒子および/または無機粉体からなる粉体成分は、本発
明の歯科材料によって形成される金属微粉末含有層中
に、通常は5〜100容量%、好ましくは50〜100
容量%の量で含有されていてもよい。このように粉体成
分、好ましくは(メタ)アクリル系ポリマー粒子を配合
することにより、金属微粉末含有層を形成する際に用い
る重合性モノマー成分の使用量を低減することができる
ことから、重合収縮の初期値を低いレベルに抑えること
ができる。また、本発明の歯科材料を形成する組成物ま
たはキット中に、金属微粉末と、(メタ)アクリル系ポ
リマー粒子とが、10:90〜90:10の体積比で含
有されていることが好ましい。
【0037】本発明の歯科材料は、さらに重合性モノマ
ー成分を含有している。このような重合性モノマー成分
としては、公知の単官能モノマーまたは多官能モノマー
が使用できる。具体的に例示すれば、次の通りである。
ー成分を含有している。このような重合性モノマー成分
としては、公知の単官能モノマーまたは多官能モノマー
が使用できる。具体的に例示すれば、次の通りである。
【0038】単官能モノマーの例としては、(メタ)ア
クリル酸、4-(メタ)アクリロキシエチルピロメリト
酸、1,4-ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリト酸、
6-(メタ)アクリロキシエチルナフタレン-1,2,6-トリ
カルボン酸、N-(メタ)アクリロイル-p-アミノ安息香
酸、N-(メタ)アクリロイル-o-アミノ安息香酸、N-
(メタ)アクリロイル-m-アミノ安息香酸、N-(メタ)
アクリロイル-5-アミノサリチル酸、N-(メタ)アクリ
ロイル-4-アミノサリチル酸、4-(メタ)アクリロキシ
エチルトリメリト酸及びその無水物、4-(メタ)アクリ
ロキシブチルトリメリト酸及びその無水物、4-(メタ)
アクリロキシヘキシルトリメリト酸及びその無水物、4-
(メタ)アクリロキシデシルトリメリト酸及びその無水
物、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メ
タ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロ
イルオキシ安息香酸、β-(メタ)アクリロイルオキシ
エチルハイドロジェンサクシネート、β-(メタ)アク
リロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、β-
(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタ
レート、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカ
ンジカルボン酸、p-ビニル安息香酸等のカルボン酸基ま
たはこれらの無水物を含有するモノマー;(2-(メタ)
アクリロキシエチル)ホスホリック酸、(2-(メタ)ア
クリロキシエチルフェニル)ホスホリック酸、10-(メ
タ)アクリロキシデシルホスホリック酸などの燐酸基を
有するモノマー;また、p-スチレンスルホン酸、2-アク
リルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン
酸基を有するモノマー、メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ
ート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびアダマン
チル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のア
ルキルエステル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒ
ドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシ
ヘキシル(メタ)アクリレート、1,2-または1,3-ジヒド
ロキシプロピルモノ(メタ)アクリレートおよびエリス
リトールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート;パーフルオロオクチル
(メタ)アクリレートおよびヘキサフルオロブチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のフルオロア
ルキルエステル;γ-(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシランおよびγ-(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン等の(メタ)ア
クリロキシアルキル基を有するシラン化合物;スチレ
ン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンおよびテト
ラフルフリル(メタ)アクリレート等の環状構造を有す
る(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
クリル酸、4-(メタ)アクリロキシエチルピロメリト
酸、1,4-ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリト酸、
6-(メタ)アクリロキシエチルナフタレン-1,2,6-トリ
カルボン酸、N-(メタ)アクリロイル-p-アミノ安息香
酸、N-(メタ)アクリロイル-o-アミノ安息香酸、N-
(メタ)アクリロイル-m-アミノ安息香酸、N-(メタ)
アクリロイル-5-アミノサリチル酸、N-(メタ)アクリ
ロイル-4-アミノサリチル酸、4-(メタ)アクリロキシ
エチルトリメリト酸及びその無水物、4-(メタ)アクリ
ロキシブチルトリメリト酸及びその無水物、4-(メタ)
アクリロキシヘキシルトリメリト酸及びその無水物、4-
(メタ)アクリロキシデシルトリメリト酸及びその無水
物、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メ
タ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロ
イルオキシ安息香酸、β-(メタ)アクリロイルオキシ
エチルハイドロジェンサクシネート、β-(メタ)アク
リロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、β-
(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタ
レート、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカ
ンジカルボン酸、p-ビニル安息香酸等のカルボン酸基ま
たはこれらの無水物を含有するモノマー;(2-(メタ)
アクリロキシエチル)ホスホリック酸、(2-(メタ)ア
クリロキシエチルフェニル)ホスホリック酸、10-(メ
タ)アクリロキシデシルホスホリック酸などの燐酸基を
有するモノマー;また、p-スチレンスルホン酸、2-アク
リルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン
酸基を有するモノマー、メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ
ート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびアダマン
チル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のア
ルキルエステル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒ
ドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシ
ヘキシル(メタ)アクリレート、1,2-または1,3-ジヒド
ロキシプロピルモノ(メタ)アクリレートおよびエリス
リトールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート;パーフルオロオクチル
(メタ)アクリレートおよびヘキサフルオロブチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のフルオロア
ルキルエステル;γ-(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシランおよびγ-(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン等の(メタ)ア
クリロキシアルキル基を有するシラン化合物;スチレ
ン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンおよびテト
ラフルフリル(メタ)アクリレート等の環状構造を有す
る(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0039】これらの単官能モノマーは単独でもしくは
組み合わせて使用することができる。また、本発明にお
いて重合性モノマー成分は多官能性モノマーであっても
よく、このような多官能性モノマーの例としては、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、へキシレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールのポリ
(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
トおよびジペンタエリトールヘキサ(メタ)アクリレー
トなどのポリオキシアルカンポリオールのポリ(メタ)
アクリレート;2,2-ビス{4-(メタ)アクリロキシフェ
ニル}プロパン、2,2-ビス{4-(メタ)アクリロキシエ
トキシフェニル}プロパン、2,2-ビス{4-(メタ)アク
リロキシジエトキシフェニル}プロパン、2,2-ビス{4-
(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル}プロパ
ン、2,2-ビス{4-(メタ)クリロキシポリエトキシフェ
ニル}プロパンおよび2,2-ビス{4-[3-(メタ)アクリ
ロキシ]-2-ヒドロキシプロポキシフェニル}プロパン
などの芳香族のジ(メタ)アクリレート;さらに、脂肪
族基を有するジ(メタ)アクリレートまたは芳香族基を
有するジ(メタ)アクリレート;脂肪族エポキシジ(メ
タ)アクリレートまたは芳香族エポキシジ(メタ)アク
リレート;分子中にウレタン結合を有する多官能(メ
タ)アクリレートなどを挙げることができる。
組み合わせて使用することができる。また、本発明にお
いて重合性モノマー成分は多官能性モノマーであっても
よく、このような多官能性モノマーの例としては、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、へキシレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールのポリ
(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
トおよびジペンタエリトールヘキサ(メタ)アクリレー
トなどのポリオキシアルカンポリオールのポリ(メタ)
アクリレート;2,2-ビス{4-(メタ)アクリロキシフェ
ニル}プロパン、2,2-ビス{4-(メタ)アクリロキシエ
トキシフェニル}プロパン、2,2-ビス{4-(メタ)アク
リロキシジエトキシフェニル}プロパン、2,2-ビス{4-
(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル}プロパ
ン、2,2-ビス{4-(メタ)クリロキシポリエトキシフェ
ニル}プロパンおよび2,2-ビス{4-[3-(メタ)アクリ
ロキシ]-2-ヒドロキシプロポキシフェニル}プロパン
などの芳香族のジ(メタ)アクリレート;さらに、脂肪
族基を有するジ(メタ)アクリレートまたは芳香族基を
有するジ(メタ)アクリレート;脂肪族エポキシジ(メ
タ)アクリレートまたは芳香族エポキシジ(メタ)アク
リレート;分子中にウレタン結合を有する多官能(メ
タ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0040】上記例示した中では、単官能重合性単量体
としては、(メタ)アクリル酸またはその酸無水物、4-
(メタ)アクリロキシエチルピロメリト酸またはその酸
無水物、1,4-ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリト
酸またはその酸無水物、メチル(メタ)アクリレートお
よびエチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メ
タ)アクリレートが特に好ましく用いられる。
としては、(メタ)アクリル酸またはその酸無水物、4-
(メタ)アクリロキシエチルピロメリト酸またはその酸
無水物、1,4-ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリト
酸またはその酸無水物、メチル(メタ)アクリレートお
よびエチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メ
タ)アクリレートが特に好ましく用いられる。
【0041】また、多官能重合性単量体としては、トリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような分
子内にエチレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリ
レート、1,6-ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボ
ニルアミノ)-2,2,4-トリメチルヘキサンまたは1,6-ビ
ス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)-
2,4,4-トリメチルヘキサンまたはこれらの混合物が特に
好ましく用いられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような分
子内にエチレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリ
レート、1,6-ビス(メタクリロキシエチルオキシカルボ
ニルアミノ)-2,2,4-トリメチルヘキサンまたは1,6-ビ
ス(メタクリロキシエチルオキシカルボニルアミノ)-
2,4,4-トリメチルヘキサンまたはこれらの混合物が特に
好ましく用いられる。
【0042】これらは単独でまたは2種類以上を組み合
わせて用いることができる。上記のような重合性モノマ
ー成分は、本発明の歯科材料中に、通常は97.5〜1
0容量%、好ましくは75〜20容量%の量で含有され
ている。
わせて用いることができる。上記のような重合性モノマ
ー成分は、本発明の歯科材料中に、通常は97.5〜1
0容量%、好ましくは75〜20容量%の量で含有され
ている。
【0043】本発明の歯科材料には、通常は、重合開始
剤として有機過酸化物あるいは無機過酸化物、トリアル
キルホウ素が使用され、さらに重合開始剤の重合開始効
果を助成する重合促進剤が配合されていてもよい。
剤として有機過酸化物あるいは無機過酸化物、トリアル
キルホウ素が使用され、さらに重合開始剤の重合開始効
果を助成する重合促進剤が配合されていてもよい。
【0044】重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;ベ
ンジル、4,4'-ジクロロベンジル、ジアセチル、α-シク
ロヘキサンジオン、d,l-カンファキノン(CQ)、カン
ファキノン-10スルホン酸、カンファキノン-10-カルボ
ン酸などのα-ジケトン類;ベンゾフェノン。ベンゾイ
ル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン等のジフ
ェニルモノケトン類;2,4-ジエチルチオキサントン、2-
イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;2,
4,6-トリメチルペンゾイルジフェニルホスフィンオキサ
イド等のアリルホスフィンオキサイド類等の紫外線また
は可視光増感剤、ジアセチルペルオキシド、ジプロピル
ペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペル
オキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p'-ジクロ
ルベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメトキシベンゾイ
ルペルオキシド、p,p'-ジメチルベンゾイルペルオキシ
ドなどの有機過酸化物を挙げることができる。これらの
うちでも、ベンジル、4,4'-ジクロロベンジル、ジアセ
チル、d,l-カンファキノン(CQ)、カンファキノン-1
0-スルホン酸、カンファキノン-10-カルボン酸等のα-
ジケトン類またはアシルホスフィンオキサイド類、BP
Oが好ましい。また、無機過酸化物の例としては、過硫
酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭
素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化
物を挙げることができる。
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;ベ
ンジル、4,4'-ジクロロベンジル、ジアセチル、α-シク
ロヘキサンジオン、d,l-カンファキノン(CQ)、カン
ファキノン-10スルホン酸、カンファキノン-10-カルボ
ン酸などのα-ジケトン類;ベンゾフェノン。ベンゾイ
ル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン等のジフ
ェニルモノケトン類;2,4-ジエチルチオキサントン、2-
イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;2,
4,6-トリメチルペンゾイルジフェニルホスフィンオキサ
イド等のアリルホスフィンオキサイド類等の紫外線また
は可視光増感剤、ジアセチルペルオキシド、ジプロピル
ペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペル
オキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p'-ジクロ
ルベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメトキシベンゾイ
ルペルオキシド、p,p'-ジメチルベンゾイルペルオキシ
ドなどの有機過酸化物を挙げることができる。これらの
うちでも、ベンジル、4,4'-ジクロロベンジル、ジアセ
チル、d,l-カンファキノン(CQ)、カンファキノン-1
0-スルホン酸、カンファキノン-10-カルボン酸等のα-
ジケトン類またはアシルホスフィンオキサイド類、BP
Oが好ましい。また、無機過酸化物の例としては、過硫
酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭
素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化
物を挙げることができる。
【0045】さらに、重合促進剤の例としては、N,N-ジ
メチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン(DMP
T)、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジエタノール-
p-トルイジン(DEPT)、N,N-ジメチル-p-tert-ブチ
ルアニリン、N,N-ジメチルアニシジン、N,N-ジメチル-p
-クロルアニリン、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、N,N-ジメチルアミノ安息香酸およびそのアル
キルエステル、N,N-ジエチルアミノ安息香酸(DEAB
A)およびそのアルキルエステル、N,N-ジメチルアミノ
ベンツアルデヒド(DMABAd)、N-フェニルグリシ
ン(NPG)、N-トリルグリシン(NTG)、N,N-(3-
メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニ
ルグリシン(NPG−GMA)、グルタルアルデヒドな
どの有機還元性化合物、亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫
酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオ
ン酸、1,2チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸および
これらの塩などの無機還元性化合物、ベンゼンスルフィ
ン酸、o-トルエンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン
酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスル
フィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベン
ゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香
族スルフィン酸またはその塩類、トリエチルホウ素、ト
リプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリ-n-
ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリ-sec-ブチ
ルホウ素、トリ-n-アミルホウ素、トリ-3-アミルホウ
素、トリイソアミルホウ素、トリ-sec-アミルホウ素ま
たはこれらの一部が酸化されたトリアルキルホウ素酸化
物などのトリアルキルホウ素またはその部分酸化物を挙
げることができる。
メチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン(DMP
T)、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジエタノール-
p-トルイジン(DEPT)、N,N-ジメチル-p-tert-ブチ
ルアニリン、N,N-ジメチルアニシジン、N,N-ジメチル-p
-クロルアニリン、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、N,N-ジメチルアミノ安息香酸およびそのアル
キルエステル、N,N-ジエチルアミノ安息香酸(DEAB
A)およびそのアルキルエステル、N,N-ジメチルアミノ
ベンツアルデヒド(DMABAd)、N-フェニルグリシ
ン(NPG)、N-トリルグリシン(NTG)、N,N-(3-
メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニ
ルグリシン(NPG−GMA)、グルタルアルデヒドな
どの有機還元性化合物、亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫
酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオ
ン酸、1,2チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸および
これらの塩などの無機還元性化合物、ベンゼンスルフィ
ン酸、o-トルエンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン
酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスル
フィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベン
ゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香
族スルフィン酸またはその塩類、トリエチルホウ素、ト
リプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリ-n-
ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリ-sec-ブチ
ルホウ素、トリ-n-アミルホウ素、トリ-3-アミルホウ
素、トリイソアミルホウ素、トリ-sec-アミルホウ素ま
たはこれらの一部が酸化されたトリアルキルホウ素酸化
物などのトリアルキルホウ素またはその部分酸化物を挙
げることができる。
【0046】上記重合開始剤は、本発明の歯科材料に含
有される重合性モノマー成分100重量部に対して、通
常は、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量
部の範囲内の量で使用される。さらに、重合促進剤は、
本発明の歯科材料に含有される重合性モノマー成分10
0重量部に対して、通常は、0.01〜20重量部、好
ましくは0.1〜5重量部の範囲内の量で使用される。
有される重合性モノマー成分100重量部に対して、通
常は、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量
部の範囲内の量で使用される。さらに、重合促進剤は、
本発明の歯科材料に含有される重合性モノマー成分10
0重量部に対して、通常は、0.01〜20重量部、好
ましくは0.1〜5重量部の範囲内の量で使用される。
【0047】このように金属微粉末と、(メタ)アクリ
ル系ポリマー粒子と、重合性モノマー成分と、重合用触
媒とを含有する本発明の歯科材料は、通常は、重合性モ
ノマー成分の重合が進行しないように、少なくとも重合
性モノマー成分と重合用触媒とが接触しないように梱包
されたキットとして供給される。
ル系ポリマー粒子と、重合性モノマー成分と、重合用触
媒とを含有する本発明の歯科材料は、通常は、重合性モ
ノマー成分の重合が進行しないように、少なくとも重合
性モノマー成分と重合用触媒とが接触しないように梱包
されたキットとして供給される。
【0048】そして、この歯科材料は、使用直前に金属
微粉末と(メタ)アクリル系ポリマー粒子と重合性モノ
マー成分とに、重合用触媒、さらに必要により重合促進
剤を混練して餅状物を形成して、被接着面に塗着され
る。こうして塗着された餅状物を通常は加熱することに
より硬化させて金属微粉末含有層を形成する。
微粉末と(メタ)アクリル系ポリマー粒子と重合性モノ
マー成分とに、重合用触媒、さらに必要により重合促進
剤を混練して餅状物を形成して、被接着面に塗着され
る。こうして塗着された餅状物を通常は加熱することに
より硬化させて金属微粉末含有層を形成する。
【0049】本発明の歯科材料は、上記のように重合性
モノマー成分を含有する組成物あるいはキットとして好
適に供給されるが、さらに、本発明の歯科材料は、被接
着表面前処理剤であってもよい。非接着表面処理剤に
は、歯科用エッチング剤および歯科用プライマーが知ら
れており、本発明においては、歯科用エッチング剤、歯
科用プライマーに金属微粉末を配合し、この後に例えば
コンポジットレジンを塗設して硬化させたときに、接着
界面から少なくとも20μmの厚さで、金属微粉末含有
層が形成されるようにしてもよい。
モノマー成分を含有する組成物あるいはキットとして好
適に供給されるが、さらに、本発明の歯科材料は、被接
着表面前処理剤であってもよい。非接着表面処理剤に
は、歯科用エッチング剤および歯科用プライマーが知ら
れており、本発明においては、歯科用エッチング剤、歯
科用プライマーに金属微粉末を配合し、この後に例えば
コンポジットレジンを塗設して硬化させたときに、接着
界面から少なくとも20μmの厚さで、金属微粉末含有
層が形成されるようにしてもよい。
【0050】従来から用いられているエッチング剤は、
通常は、リン酸、クエン酸等の酸成分と、N-フェニルグ
リシン等のアミノ酸とを含有する水性組成物である。ま
た、従来から用いられているプライマーは、グルタルア
ルデヒド、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、さらに
必要により、FeCl3等の金属塩を含有する水性組成
物である。
通常は、リン酸、クエン酸等の酸成分と、N-フェニルグ
リシン等のアミノ酸とを含有する水性組成物である。ま
た、従来から用いられているプライマーは、グルタルア
ルデヒド、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、さらに
必要により、FeCl3等の金属塩を含有する水性組成
物である。
【0051】上記のような歯科用エッチング剤および/
または歯科用プライマーに、金属微粉末を、重合性モノ
マー成分を含有するコンポジットレジン等を塗設して硬
化させたときに、接着界面から少なくとも2μmの厚さ
の金属微粉末含有層が形成され、この金属微粉末含有層
における金属微粉末の量が2.5〜25容量%の範囲
内、好ましくは5〜20容量%の範囲内、さらに好まし
くは10〜15容量%の範囲内になるように配合する。
または歯科用プライマーに、金属微粉末を、重合性モノ
マー成分を含有するコンポジットレジン等を塗設して硬
化させたときに、接着界面から少なくとも2μmの厚さ
の金属微粉末含有層が形成され、この金属微粉末含有層
における金属微粉末の量が2.5〜25容量%の範囲
内、好ましくは5〜20容量%の範囲内、さらに好まし
くは10〜15容量%の範囲内になるように配合する。
【0052】こうして歯科用エッチング剤および/また
は歯科用プライマーを塗布した後、市販のコンポジット
レジン等を塗設して硬化させ、金属微粉末とコンポジッ
トレジンとを一体化して、歯質表面近傍に金属微粉末含
有層を形成することができる。
は歯科用プライマーを塗布した後、市販のコンポジット
レジン等を塗設して硬化させ、金属微粉末とコンポジッ
トレジンとを一体化して、歯質表面近傍に金属微粉末含
有層を形成することができる。
【0053】
【発明の効果】このように本発明の歯科材料によれば、
接着界面から少なくとも20μmの厚さを有し、金属微
粉末含有率が、2.5〜25容量%の範囲内にある金属
微粉末含有層を形成することができるので、この層に含
有される金属微粉末が、接着成分の重合による重合収
縮、熱収縮による内部応力を低減する。従って、接着成
分にクラックが生ずることがなく、また、エナメル質に
接着成分を塗布して硬化させても、重合収縮あるいは熱
収縮によりエナメル質にクラックを生じさせることを有
効に防止することができる。また、義歯床メタルフレー
ムとレジンとの接着耐久性を大幅に向上させることがで
きる。
接着界面から少なくとも20μmの厚さを有し、金属微
粉末含有率が、2.5〜25容量%の範囲内にある金属
微粉末含有層を形成することができるので、この層に含
有される金属微粉末が、接着成分の重合による重合収
縮、熱収縮による内部応力を低減する。従って、接着成
分にクラックが生ずることがなく、また、エナメル質に
接着成分を塗布して硬化させても、重合収縮あるいは熱
収縮によりエナメル質にクラックを生じさせることを有
効に防止することができる。また、義歯床メタルフレー
ムとレジンとの接着耐久性を大幅に向上させることがで
きる。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を示して
さらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定
されるものではない。
さらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定
されるものではない。
【0055】
【実施例1】銀75重量%、スズ20重量%を含有する
アマルガム合金微粉末[粒子径10〜50μm、平均粒
子径:30μm、]を、4-メタクリロキシエチルトリメ
リト酸無水物(4-META)を5重量%含有するメチルメタ
クリレート溶液3ml中に入れ、1時間浸漬した後、過剰
のメチルメタクリレートを揮発させることにより金属微
粉末表面を4-METAで処理した。
アマルガム合金微粉末[粒子径10〜50μm、平均粒
子径:30μm、]を、4-メタクリロキシエチルトリメ
リト酸無水物(4-META)を5重量%含有するメチルメタ
クリレート溶液3ml中に入れ、1時間浸漬した後、過剰
のメチルメタクリレートを揮発させることにより金属微
粉末表面を4-METAで処理した。
【0056】金属微粉末とポリメチルメタクリレート粒
子とを体積比(Vmetal/VPMMA)が0.1:1になるよ
うに混合し、次いで、4-メタクリロキシエチルトリメリ
ト酸無水物(4-META)5重量%とメチルメタクリレート
95重量%とをこの割合で含有する混合物を、前記金属
粒子とポリメチルメタクリレート粒子との混合物に体積
比が1:1になるように加えて均一になるまで混練して
餅状の歯科材料を調製した。この歯科材料を硬化させた
際における金属微粉末の含有体積比は、5容量%(V
metal/Vregin=0.05)である。
子とを体積比(Vmetal/VPMMA)が0.1:1になるよ
うに混合し、次いで、4-メタクリロキシエチルトリメリ
ト酸無水物(4-META)5重量%とメチルメタクリレート
95重量%とをこの割合で含有する混合物を、前記金属
粒子とポリメチルメタクリレート粒子との混合物に体積
比が1:1になるように加えて均一になるまで混練して
餅状の歯科材料を調製した。この歯科材料を硬化させた
際における金属微粉末の含有体積比は、5容量%(V
metal/Vregin=0.05)である。
【0057】これとは別に、金銀パラジウム合金製のリ
ング(直径20mm、高さ10mm、厚さ0.3mm)の外周
面を液体状のGa−Snを用いて改質した。この金銀パ
ラジウム合金製リングの外周に歯科材料の塗設厚さが1
mmになるように石膏型を敷設し、上記のようにして調製
した餅状の歯科材料を石膏型に充填することにより、金
銀パラジウム合金製リングの外周に厚さ1mmの金属微粉
末含有層を形成した。
ング(直径20mm、高さ10mm、厚さ0.3mm)の外周
面を液体状のGa−Snを用いて改質した。この金銀パ
ラジウム合金製リングの外周に歯科材料の塗設厚さが1
mmになるように石膏型を敷設し、上記のようにして調製
した餅状の歯科材料を石膏型に充填することにより、金
銀パラジウム合金製リングの外周に厚さ1mmの金属微粉
末含有層を形成した。
【0058】次いで、この合金製リングを65℃のフラ
スコに入れ60分間加熱し、さらに100℃で30分間
加熱してレジンを重合させた。フラスコから合金製リン
グを取り出した直後に、合金製リングを切断し、さらに
続けて70℃で15時間加熱した。
スコに入れ60分間加熱し、さらに100℃で30分間
加熱してレジンを重合させた。フラスコから合金製リン
グを取り出した直後に、合金製リングを切断し、さらに
続けて70℃で15時間加熱した。
【0059】15時間経過後、合金リングを冷却し切断
端部間距離を測定した。この切断端部間距離が大きいほ
ど、レジンの重合収縮による応力が大きいことを意味し
ている。
端部間距離を測定した。この切断端部間距離が大きいほ
ど、レジンの重合収縮による応力が大きいことを意味し
ている。
【0060】結果を図7に示す。なお、本発明において
金属微粉末およびその他の粉末の粒子径、平均粒子径お
よび粒度分布は、粒度分布測定装置(島津製作所(株)
製)を用いて測定した。
金属微粉末およびその他の粉末の粒子径、平均粒子径お
よび粒度分布は、粒度分布測定装置(島津製作所(株)
製)を用いて測定した。
【0061】
【実施例2〜5】実施例1において、金属微粉末とポリ
メチルメタクリレート粉末との配合量(Vmetal/V
PMMA)を次表1に記載したように変えた金属微粉末含有
層における金属微粉末の容量比(Vmetal/Vregin)を表
1に記載したように変えた以外は同様にして歯科材料を
調製し、実施例1と同様に金銀パラジウム合金製リング
を用いて切断端部間距離を測定した。
メチルメタクリレート粉末との配合量(Vmetal/V
PMMA)を次表1に記載したように変えた金属微粉末含有
層における金属微粉末の容量比(Vmetal/Vregin)を表
1に記載したように変えた以外は同様にして歯科材料を
調製し、実施例1と同様に金銀パラジウム合金製リング
を用いて切断端部間距離を測定した。
【0062】結果を図7に示す。
【0063】
【比較例1】実施例1において、表1に示すように、金
属微粉末を配合しなかった以外は同様にして歯科材料を
調製し、実施例1と同様に金銀パラジウム合金製リング
を用いて切断端部間距離を測定した。
属微粉末を配合しなかった以外は同様にして歯科材料を
調製し、実施例1と同様に金銀パラジウム合金製リング
を用いて切断端部間距離を測定した。
【0064】結果を図7に示す。
【0065】
【表1】
【0066】図7から明らかなように、金属微粉末の配
合容量「Vmetal/VPMMA」が0.3に至るまでの間で切
断端部間距離は急激に減少する。すなわち、金属微粉末
を配合することにより、レジンの重合収縮に伴う内部応
力は緩和あるいは低減され、金属微粉末の配合量に対す
る応力の緩和傾向は、「Vmetal/VPMMA」=0.05〜
0.3の範囲で最も大きくなる。そして、「Vmetal/V
PMMA」が、0.3を超えると、応力緩和は飽和に達し、
金属微粉末の配合量を増加しても、もはや配合量の増加
に伴う応力緩和の顕著な増加は見られない。
合容量「Vmetal/VPMMA」が0.3に至るまでの間で切
断端部間距離は急激に減少する。すなわち、金属微粉末
を配合することにより、レジンの重合収縮に伴う内部応
力は緩和あるいは低減され、金属微粉末の配合量に対す
る応力の緩和傾向は、「Vmetal/VPMMA」=0.05〜
0.3の範囲で最も大きくなる。そして、「Vmetal/V
PMMA」が、0.3を超えると、応力緩和は飽和に達し、
金属微粉末の配合量を増加しても、もはや配合量の増加
に伴う応力緩和の顕著な増加は見られない。
【0067】このことから、所定量の金属微粉末を含有
する金属微粉末含有層を接着界面近傍に設けることによ
り、接着界面に集中する重合収縮あるいは熱収縮等に起
因する内部応力は、金属微粉末によって緩和される。従
って、内部応力が集中する接着界面近傍にこのような金
属微粉末含有層を形成することにより、歯科材料内にお
ける内部応力が減少することから、レジンあるいはエナ
メル質にクラックが発生するのを防止することができ
る。
する金属微粉末含有層を接着界面近傍に設けることによ
り、接着界面に集中する重合収縮あるいは熱収縮等に起
因する内部応力は、金属微粉末によって緩和される。従
って、内部応力が集中する接着界面近傍にこのような金
属微粉末含有層を形成することにより、歯科材料内にお
ける内部応力が減少することから、レジンあるいはエナ
メル質にクラックが発生するのを防止することができ
る。
【0068】
【実施例6】実施例1において、銀75重量%、スズ2
5重量%を含有するアマルガム合金微粉末の代わりに、
インジウム微粉末(粒子径10〜50μm、平均粒子
径:30μm)、スズ微粉末(粒子径10〜50μm、
平均粒子径:30μm)、Ag3Sn合金微粉末(粒子径
10〜50μm、平均粒子径:30μm)を、それぞれ
別に実施例1と同様にして、4-メタクリロキシエチルト
リメリト酸無水物(4-META)で処理した。
5重量%を含有するアマルガム合金微粉末の代わりに、
インジウム微粉末(粒子径10〜50μm、平均粒子
径:30μm)、スズ微粉末(粒子径10〜50μm、
平均粒子径:30μm)、Ag3Sn合金微粉末(粒子径
10〜50μm、平均粒子径:30μm)を、それぞれ
別に実施例1と同様にして、4-メタクリロキシエチルト
リメリト酸無水物(4-META)で処理した。
【0069】上記のようにして表面処理されたインジウ
ム微粉末、スズ微粉末およびAg3Sn合金微粉末とポ
リメチルメタクリレートとの体積比(Vmetal/
VPMMA)がそれぞれ、0.1、0.2、0.3、0.4、
0.5となるようにメチルメタクリレートと混合し、実
施例と同様にして重合開始剤と重合促進剤とを加えて均
一になるまで混練して餅状の歯科材料を調製した。
ム微粉末、スズ微粉末およびAg3Sn合金微粉末とポ
リメチルメタクリレートとの体積比(Vmetal/
VPMMA)がそれぞれ、0.1、0.2、0.3、0.4、
0.5となるようにメチルメタクリレートと混合し、実
施例と同様にして重合開始剤と重合促進剤とを加えて均
一になるまで混練して餅状の歯科材料を調製した。
【0070】これとは別に、金銀パラジウム合金板(長
さ40mm、幅10mm、厚さ0.3mm)の一方の面を液体
状のGa−Snを用いて改質した。この金銀パラジウム
合金板の改質面に、上記のようにして調製した餅状の歯
科材料を1.0mmの厚さに塗設し、実施例1と同様にし
て65℃で60分間、次いで100℃で30分間加熱し
て硬化させた後、70℃で15時間保持して硬化させ
た。
さ40mm、幅10mm、厚さ0.3mm)の一方の面を液体
状のGa−Snを用いて改質した。この金銀パラジウム
合金板の改質面に、上記のようにして調製した餅状の歯
科材料を1.0mmの厚さに塗設し、実施例1と同様にし
て65℃で60分間、次いで100℃で30分間加熱し
て硬化させた後、70℃で15時間保持して硬化させ
た。
【0071】図8に示すように、こうして歯科材料が硬
化するに従って重合収縮により金銀パラジウム合金板
は、歯科材料塗設側を内側にして湾曲した。こうして湾
曲した金銀パラジウム合金板先端10の基準線11から
の変形長さH1を測定した。
化するに従って重合収縮により金銀パラジウム合金板
は、歯科材料塗設側を内側にして湾曲した。こうして湾
曲した金銀パラジウム合金板先端10の基準線11から
の変形長さH1を測定した。
【0072】結果を図9に示す。
【図1】図1は、内部応力を測定するために用いた金属
とレジンとの複合体を模式的に示す図である。
とレジンとの複合体を模式的に示す図である。
【図2】図2は、超音波顕微鏡を用いて内部応力の存在
位置を示す図である。
位置を示す図である。
【図3】図3は、リテンションホールを有するメタルフ
レームにレジンを塗設した際の接着状態を模式的に示す
縦断面図である。
レームにレジンを塗設した際の接着状態を模式的に示す
縦断面図である。
【図4】図4は、リテンションホールを有するメタルフ
レームにレジンを塗設して硬化させた際に生ずるクラッ
クの状態を模式的に示す図である。
レームにレジンを塗設して硬化させた際に生ずるクラッ
クの状態を模式的に示す図である。
【図5】図5は、リテンションホール近傍を超音波顕微
鏡を用いて観察した際に内部応力の存在位置を示す図で
ある。
鏡を用いて観察した際に内部応力の存在位置を示す図で
ある。
【図6】図6は、リング外周にレジンを塗設硬化させた
ときにリング切断端部間距離を測定することにより、内
部応力を測定することができることを示す模式的に示す
図である。
ときにリング切断端部間距離を測定することにより、内
部応力を測定することができることを示す模式的に示す
図である。
【図7】図7は、組成物中におけるPMMA粒子に対す
る金属微粉末の配合量と、リング切断端部間距離との関
係の例を示す図である。
る金属微粉末の配合量と、リング切断端部間距離との関
係の例を示す図である。
【図8】図8は、金属片に金属微粉末含有歯科材料を塗
設し、重合収縮によって生じた内部応力によってこの金
属片が反り返ることを模式的に示した図である。
設し、重合収縮によって生じた内部応力によってこの金
属片が反り返ることを模式的に示した図である。
【図9】図9は、配合する金属微粒子の種類および量
と、上記反り返り量との関係の例を示す図である。
と、上記反り返り量との関係の例を示す図である。
10・・・合金板先端 11・・・基準線 60・・・複合体 61・・・メタル 62・・・レジン
Claims (7)
- 【請求項1】 厚さ方向に、接着界面から少なくとも2
0μmの厚さを有すると共に、金属微粉末を2.5〜2
5容量%の量で含有する金属微粉末含有層を形成するた
めの歯科材料。 - 【請求項2】 金属微粉末を含有する金属微粉末含有層
を形成するための歯科材料が、少なくとも、金属微粉末
と、(メタ)アクリル系ポリマー粒子と、重合性モノマ
ー成分と、重合用触媒とからなる組成物または組成物を
形成するキットであり、該組成物が硬化して金属微粉末
含有層を形成したときに、該層中における金属微粉末の
含有率が2.5〜25容量%の範囲内にあることを特徴
とする請求項第1項記載の歯科材料。 - 【請求項3】 前記組成物またはキット中に、金属微粉
末と、(メタ)アクリル系ポリマー粒子とが、10:9
0〜90:10の体積比で含有されていることを特徴と
する請求項第1項または第2項記載の歯科材料。 - 【請求項4】 金属微粉末を含有する金属微粉末含有層
を形成するための歯科材料が、被接着表面前処理剤であ
ることを特徴とする請求項第1項記載の歯科材料。 - 【請求項5】 金属微粉末が、金、白金、銀、パラジウ
ム、インジウム、スズ、金-銀-パラジウム合金、銀-パ
ラジウム-銅-金合金、銀-スズ合金、アマルガム合金、
インジウム合金、スズ合金、銀合金、Co-Cr合金、
Ti合金およびステンレス鋼よりなる群から選ばれる少
なくとも一種類の金属または合金を含有することを特徴
とする請求項第1項乃至第4項のいずれかの項記載の歯
科材料。 - 【請求項6】 金属微粉末の平均粒子径が1〜50μm
の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第5
項のいずれかの項記載の歯科材料。 - 【請求項7】 (メタ)アクリル系ポリマー粒子が、ポ
リメチルメタクリレート粒子であることを特徴とする請
求項第2項または第3項記載の歯科材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9181499A JPH1129428A (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | 歯科材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9181499A JPH1129428A (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | 歯科材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1129428A true JPH1129428A (ja) | 1999-02-02 |
Family
ID=16101836
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9181499A Pending JPH1129428A (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | 歯科材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1129428A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021117839A1 (ja) * | 2019-12-10 | 2021-06-17 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用組成物 |
WO2022138973A1 (ja) | 2020-12-25 | 2022-06-30 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用組成物 |
WO2022138972A1 (ja) | 2020-12-25 | 2022-06-30 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用組成物 |
-
1997
- 1997-07-07 JP JP9181499A patent/JPH1129428A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021117839A1 (ja) * | 2019-12-10 | 2021-06-17 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用組成物 |
WO2022138973A1 (ja) | 2020-12-25 | 2022-06-30 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用組成物 |
WO2022138972A1 (ja) | 2020-12-25 | 2022-06-30 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用組成物 |
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