JPH11285385A - ビオチン活性物質の製造法 - Google Patents

ビオチン活性物質の製造法

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JPH11285385A
JPH11285385A JP10089987A JP8998798A JPH11285385A JP H11285385 A JPH11285385 A JP H11285385A JP 10089987 A JP10089987 A JP 10089987A JP 8998798 A JP8998798 A JP 8998798A JP H11285385 A JPH11285385 A JP H11285385A
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acid
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビオチン活性物質の効率の良い、工業的に有
利な製造法を提供する。 【解決手段】 本発明によれば、d−ビオチンの生合成
に関与する活性を有する蛋白質、該蛋白質をコードする
DNA、該DNAを含有する組換え体DNA、該組換え
体DNAを保有する形質転換体、該形質転換体を用いた
d−ビオチンの生合成に関与する活性を有する蛋白質の
製造法、および該形質転換体を用いたビオチン活性物質
の製造法を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、d−ビオチンの生
合成に関与する活性を有する蛋白質、該蛋白質をコード
するDNA、該DNAを含有する組換え体DNA、該組
換え体DNAを保有する形質転換体、該形質転換体を用
いたd−ビオチンの生合成に関与する活性を有する蛋白
質の製造法、および該形質転換体を用いたビオチン活性
物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビオチン活性物質とは、サッカロミセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) ATCC 7754
のビオチン要求性を相補する活性を有するビオチン関連
物質の総称であり、具体的には、ビオチンおよびビオチ
ン生合成経路上の中間体であるd−デチオビオチン、
7,8−ジアミノペラルゴン酸、および7−ケト−8−
アミノペラルゴン酸のことをいう〔緒方浩一ら、日本生
化学会(編)「生化学実験講座(13、上)ビタミンと
補酵素」、p. 345-361、東京化学同人(1975)〕。
【0003】d−ビオチンは水溶性ビタミンの一種であ
り、飼料添加物、化粧品の原料、あるいは医薬品として
用いられる有用な化合物である。d−デチオビオチンは
生体においてd−ビオチン生合成経路の最終中間体であ
りd−ビオチン生成の前駆物質として、また、7,8−
ジアミノペラルゴン酸および7−ケト−8−アミノペラ
ルゴン酸はd−ビオチン生合成の中間体として重要であ
る。
【0004】d−ビオチンは現在、化学合成法によって
工業的に生産されている。その製造方法として、L−シ
ステイン、クロロ酢酸、グルタル酸からdl−ビオチン
を生産する方法、ピメリン酸からdl−ビオチンを生産
する方法、フマル酸からmeso−ジアミノコハク酸を
経由して光学分割によりd−ビオチンを生産する方法、
D−マンノースからd−ビオチンを生産する方法、D−
グルコースからd−ビオチンを生産する方法、L−シス
テインからd−ビオチンを生産する方法などが知られて
いる〔和泉好計ら、日本ビタミン学会編「ビタミン学実
験法(II)」、p.475−521、東京化学同人
(1983)〕。
【0005】一方、微生物を用いたビオチンの生産も古
くから研究されている。これまでに、細菌(特開平6−
339371、特開昭60−133882、特公昭44
−14795)、放線菌(特公昭41−21756、特
公昭42−3074)、酵母〔Lett. Appl. Microbio
l., 2, 25 (1986)〕、およびカビ(特公昭42−891
8)を用いた生産が報告されている。さらに近年では、
組換えDNA技術を適用したビオチン生産菌の改良も進
められている。たとえば、セラチア(Serratia)属細菌
(特開平5−199867)、エシェリヒア(Escheric
hia)属細菌(特開平8−70857、特開平8−21
4874、特開平8−501694)、バシルス(Baci
llus)属細菌(特開平7−231789、特開平3−1
51870、特開平4−11894)、ブレビバクテリ
ウム(Brevibacterium)属細菌(特開平7−8796
3)でビオチン生合成遺伝子を増幅した組換え微生物を
用いることによりd−ビオチンの比較的高い生産性が得
られている。
【0006】d−ビオチンの前駆体であるd−デチオビ
オチンについては、クルチア(Kurthia)属細菌を利用
した生産方法(特開平8−256785)が知られてい
るが、生産性は低い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】化学合成法によるビオ
チン活性物質の合成は工程が複雑なことから、かなり高
価となるため、微生物を利用した発酵法によるビオチン
活性物質の生産技術の開発が望まれている。ビオチン活
性物質、例えば、d−ビオチン、d−デチオビオチン等
は、発酵法による従来の技術において生産される量は必
ずしも満足のいくレベルには至っていない。従って、さ
らに効率の良い、工業的に有利な、ビオチン活性物質の
製造法が強く望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況に鑑み、ビオチン活性物質の高生産能を有する微生物
を自然界より新たに検索し、シュードモナス属に属する
微生物が野生株としては極めて多量のd−ビオチンを培
地中に生成することを見いだし、該微生物よりd−ビオ
チンの生合成に関与する活性を有する蛋白質をコードす
る遺伝子を取得することにより、本発明を完成するに至
った。
【0009】即ち、本願の第1の発明は、シュードモナ
ス(Pseudomonas)属に属する微生物由来の、d−ビオチ
ンの生合成に関与する活性を有する蛋白質である。d−
ビオチンの生合成に関与する活性を有する蛋白質として
は、ピメリン酸からピメリル−CoAへの生合成に関与
する活性を有する蛋白質、ピメリル−CoAから7−ケ
ト−8−アミノペラルゴン酸への生合成に関与する活性
を有する蛋白質、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸か
ら7,8−ジアミノペラルゴン酸への生合成に関与する
活性を有する蛋白質、7,8−ジアミノペラルゴン酸か
らデチオビオチンへの生合成に関与する活性を有する蛋
白質、デチオビオチンからビオチンへの生合成に関与す
る活性を有する蛋白質をあげることができ、具体的に
は、ピメリル−CoAシンセターゼ、7−ケト−8−ア
ミノペラルゴン酸シンセターゼ、7,8−ジアミノペラ
ルゴン酸アミノトランスフェラーゼ、デチオビオチンシ
ンセターゼ、ビオチンシンセターゼ等をあげることがで
きる。
【0010】シュードモナス属に属する微生物として
は、例えば、シュードモナス エスピー等をあげること
ができる。具体的には、シュードモナス エスピー D
−0110株(FERM BP−6288)またはD−
0110株から誘導され、かつd−ビオチンの生合成に
関与する活性を有する蛋白質の生産能を有する微生物を
あげることができる。
【0011】本願の第2の発明は、以下の(a)または(b)
の蛋白質: (a) 配列番号1記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、
(b) (a)の蛋白質の有するアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつd−ビオチンの生合成に関与
する活性を有する蛋白質、である。
【0012】上記のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加
は、出願前周知技術である部位特異的変異誘発法により
実施することができ、また、1若しくは数個のアミノ酸
とは、部位特異的変異誘発法により欠失、置換若しくは
付加できる程度の数のアミノ酸を意味する。かかる1若
しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなり、かつβ1,4-ガラクトース転移酵
素活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Labor
atory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor L
aboratory Press (1989)(以下、Molecular Cloning, S
econd Editionと略す)、Current Protocols in Molecu
lar Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)、Nuclei
c Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (198
5)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc.
Natl. Acad. Sci USA, 82, 488 (1985)等に記載の方法
に準じて調製することができる。
【0013】本願の第3の発明は、上記蛋白質をコード
するDNAである。本願の第4の発明は、以下の(a)ま
たは(b)のDNA: (a) 図1または2で示される、d−ビオチンの生合成
に関与する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(b) (a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズし、かつd−ビオチンの生合成に関与する活性
を有する蛋白質をコードするDNA、である。
【0014】上記の「ストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズするDNA」とは、図1または2で示される
DNAまたは該DNAの断片をプローブとして、コロニ
ー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダ
イゼーション法あるいはサザンハイブリダイゼーション
法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体
的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは
該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.
7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイ
ゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液
(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナ
トリウム、15mM クエン酸ナトリウムよりなる)を
用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより
同定できるDNAをあげることができる。
【0015】ハイブリダイゼーションは、Molecular Cl
oning, Second Edition、Current Protocols in Molecu
lar Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)、DNA Cl
oning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Se
cond Edition, Oxford University (1995)等の実験書に
記載されている方法に準じて行うことができる。ハイブ
リダイズ可能なDNAとして具体的には、図1または2
で表される塩基配列と少なくとも80%以上の相同性を有
するDNA、好ましくは95%以上の相同性を有するDN
Aをあげることができる。
【0016】本願の第5の発明は、以下の(a)または(b)
のDNA: (a) 配列番号2記載の塩基配列を有するDNA、(b)
(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、かつd−ビオチンの生合成に関与する活性を有
する蛋白質をコードするDNA、である。
【0017】上記の「ストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズするDNA」とは、第4の発明に記載された
方法により、配列番号2で表される塩基配列を有するD
NAまたは該DNA断片をプローブとして、コロニー・
ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼ
ーション法あるいはサザンハイブリダイゼーション法等
を用いることにより得られるDNAを意味する。
【0018】ハイブリダイズ可能なDNAとして具体的
には、配列番号2で表される塩基配列と少なくとも80%
以上の相同性を有するDNA、好ましくは95%以上の相
同性を有するDNAをあげることができる。本願の第6
の発明は、上記DNAをベクターに組み込んで得られる
組換え体DNAである。
【0019】本願の第7の発明は、上記組換え体DNA
を宿主細胞に導入して得られる形質転換体である。本願
の第8の発明は、上記形質転換体を培地に培養し、培養
物中に本願の第1の発明で記載した蛋白質から選ばれる
蛋白質を生成蓄積させ、該培養物から該蛋白質を採取す
ることを特徴とする該蛋白質の製造方法である。
【0020】本願の第9の発明は、上記形質転換体を培
地に培養し、培養物中にビオチン活性物質を生成蓄積さ
せ、該培養物からビオチン活性物質を採取することを特
徴とする、ビオチン活性物質の製造方法である。本願の
第10の発明は、シュードモナス(Pseudomonas)属に属
し、ビオチン活性物質の生産能を有する微生物を培地に
培養し、培養物中にビオチン活性物質を生成蓄積させ、
該培養物からビオチン活性物質を採取することを特徴と
する、ビオチン活性物質の製造方法である。
【0021】シュードモナス属に属する微生物として
は、例えば、シュードモナス エスピー等をあげること
ができる。具体的には、シュードモナス エスピー D
−0110株(FERM BP−6288)またはD−
0110株から誘導され、かつd−ビオチンの生合成に
関与する活性を有する蛋白質の生産能を有する微生物を
あげることができる。
【0022】第9および10の発明において、ビオチン
活性物質として、例えば、d−ビオチン、d−デチオビ
オチン等をあげることができる。第9および10の発明
において、培養時、培地中にエタノールを0.2〜20
容量%の範囲で添加することによりd−ビオチンの生産
量を一層高めることができる。
【0023】本願の第11の発明は、シュードモナス
エスピー D−0110株(FERM BP−628
8)である。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0024】
【発明の実施の形態】(1)ビオチンの生合成に関与す
る遺伝子の単離 ビオチンの生合成に関与する遺伝子を単離するための微
生物としては、シュードモナス属に属する微生物であれ
ばいずれも用いることができ、好ましくは、シュードモ
ナス エスピー(Pseudomonas sp.)D−0110株
(FERM BP−6288)をあげることができる。
【0025】該D−0110株は、本発明者らが土壌試
料から新たに分離した菌株である。D−0110株の菌
学的性質を以下第1〜5表に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】 以上の菌学的性質を有する菌について、バージェイのマ
ニュアル〔Bergey's Manual of Systematic Bacteriolo
gy, Vol.2 (1986)〕の記載と照合することにより、本菌
株をシュードモナス(Pseudomonas)属に属する細菌と同
定し、該菌株をシュードモナス エスピー D−011
0(Pseudomonas sp. D-0110)と命名した。
【0032】該菌株は、ブダペスト条約に基づいて、平
成10年3月10日付けで工業技術院生命工学工業技術
研究所、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便
番号305-0046)にFERM BP−6288と
して寄託されている。シュードモナス属に属する微生物
より、公知の方法〔例えば、Biochim.Biophys.Acta, 7
2, 619 (1963)、Current Protocols in Molecular Biol
ogy, John Wiley & Sons (1987-1997)等〕により、該微
生物の染色体DNAを単離精製する。
【0033】得られた染色体DNAを適当な制限酵素、
例えば、HindIII、EcoRI等で切断し、シューク
ロース密度勾配超遠心分離等の手法によりDNA断片を
分画し、2〜15kbのDNA断片を回収する。該回収
DNA断片を用い、常法、例えば、Molecular Cloning,
Second Edition、Current Protocols in Molecular Bi
ology, John Wiley & Sons (1987-1997)、DNA Cloning
1: Core Techniques, A Practical Approach, Second E
dition,Oxford University Press (1995)等に記載され
た方法、あるいは市販のキット、例えばSuperScript Pl
asmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Clonin
g(ライフ・テクノロジーズ社製)やZAP-cDNA Synthesi
s Kit〔ストラタジーン(Staratagene)社製〕を用いク
ローニングベクターを作製し、作製した該クローニング
ベクターを用い、各種ビオチン生合成遺伝子の欠損した
大腸菌を形質転換する。
【0034】該大腸菌を形質転換するためのクローニン
グベクターとしては、大腸菌K12株中で自立複製できる
ものであれば、ファージベクター、プラスミドベクター
等いずれでも使用できる。具体的には、ZAP Express
〔ストラタジーン社製、Strategies, 5, 58 (1992)〕、
pBluescript II SK(+)〔Nucleic Acids Research, 17,
9494 (1989)〕、Lambda ZAP II(ストラタジーン社
製)、λgt10、λgt11〔DNA Cloning, A Practical App
roach, 1, 49 (1985)〕、λTriplEx(クローンテック社
製)、λExCell(ファルマシア社製)、pT7T318U(ファ
ルマシア社製)、pcD2〔H.Okayama and P.Berg;Mol. C
ell. Biol., 3, 280 (1983)〕、pMW218(和光純薬社
製)等を挙げることができる。
【0035】各種ビオチン生合成遺伝子の欠損した大腸
菌は以下の方法により取得することができる。大腸菌、
例えばMM294株を、LB培地〔トリプトン10g、
酵母エキス5g、NaCl 10gを水1Lに含み、pH7.
2に調整した培地〕等の培地を用い、通常の方法により
培養する。
【0036】培養後、得られた菌体を、N−メチル−
N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン等の変異剤を用
い、常法に従い、変異処理する。該変異処理菌体を0.
85%食塩水等を用い、適当に希釈し、LB寒天平板培
地〔LB培地に寒天1.5%を添加した培地〕等の天然
寒天平板培地あるいは合成寒天平板培地上に塗布し、培
養する。
【0037】培養後、出現したコロニーを、M9寒天平
板培地〔グルコース 2g、Na2HPO4 6g、KH2
PO4 3g、NaCl 0.5g、NH4Cl 1g、M
gSO 4・7H2O 0.5g、CaCl2 0.01g、
チアミン塩酸塩 0.1mg、寒天15gを水1Lに含
み、pH7.2に調整した培地〕等の最少寒天平板培地お
よび該最少寒天平板培地にビオチンを添加した寒天平板
培地にレプリカし、培養する。
【0038】最少寒天平板培地では生育できず最少寒天
平板培地にビオチンを添加した寒天平板培地でコロニー
を形成した菌株がビオチン生合成遺伝子の欠損した大腸
菌変異株(ビオチン要求性変異株)である。該ビオチン
要求性変異株のビオチン生合成経路の欠損箇所は、大腸
菌由来のビオチン生合成遺伝子群を持つプラスミド、例
えば、pLC25−23〔J. Mol.Biol., 148, 63 (198
1)〕を利用した生育の相補試験により同定することがで
きる。
【0039】即ち、プラスミドpLC25−23より、
bioC、bioF、bioA、bioDおよびbio
B遺伝子から選ばれる遺伝子を一つ以上含有するプラス
ミドを調製し、これらプラスミドを用い、取得した該ビ
オチン要求性変異株を形質転換し、いずれのプラスミド
を導入したときに、該ビオチン要求性変異株が最少培地
で生育可能となるかによりビオチン生合成経路の欠損箇
所を同定することができる。
【0040】以上の方法により、ピメリン酸からピメリ
ル−CoAへの生合成経路の欠損した株(bioC欠損
株)、ピメリル−CoAから7−ケト−8−アミノペラ
ルゴン酸への生合成経路の欠損した株(bioF欠損
株)、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸から7,8−
ジアミノペラルゴン酸への生合成経路の欠損した株(b
ioA欠損株)、7,8−ジアミノペラルゴン酸からデ
チオビオチンへの生合成経路の欠損した株(bioD欠
損株)、デチオビオチンからビオチンへの生合成経路の
欠損した株(bioB欠損株)およびこれら生合成経路
を複数欠損した株等を取得することができる。
【0041】該各種ビオチン生合成遺伝子の欠損した大
腸菌を、上記で作製したクローニングベクターで形質転
換した後、該形質転換体をM9培地等の最少寒天平板培
地で培養する。培養後、該培地上にコロニーを形成した
菌株を取得する。該菌株は、シュードモナス属由来のビ
オチン生合成に関与する遺伝子を含有したプラスミドを
有している。
【0042】該菌株より、シュードモナス属由来のビオ
チン生合成に関与する遺伝子を含有したプラスミドを常
法、例えば、Molecular Cloning, Second Edition、Cur
rentProtocols in Molecular Biology, John Wiley & S
ons (1987-1997)、DNA Cloning 1: Core Techniques, A
Practical Approach, Second Edition, Oxford Univer
sity Press (1995)等に記載された方法により取得する
ことができる。
【0043】このようにして取得されたプラスミドとし
て、例えば7−ケト−8−アミノペラルゴン酸から7,
8−ジアミノペラルゴン酸への生合成に関与する遺伝子
を含有するプラスミドpMB−001、ピメリン酸から
ピメリル−CoA、ピメリル−CoAから7−ケト−8
−アミノペラルゴン酸、7−ケト−8−アミノペラルゴ
ン酸から7,8−ジアミノペラルゴン酸、7,8−ジア
ミノペラルゴン酸からデチオビオチンおよびデチオビオ
チンからビオチンへの生合成に関与する遺伝子を含有す
るプラスミドpMB−002等をあげることができる。 (2)ビオチンの生合成に関与する蛋白質の製造 上記のようにして得られるビオチンの生合成に関与する
遺伝子を宿主細胞中で発現させるためには、まず、該遺
伝子を含むDNA断片を、制限酵素類あるいはDNA分
解酵素類で、該遺伝子を含む適当な長さのDNA断片と
した後に、発現ベクター中プロモーターの下流に挿入
し、次いで上記DNAを挿入した発現ベクターを、発現
ベクターに適合した宿主細胞中に導入する。
【0044】宿主細胞としては、目的とする遺伝子を発
現できるものは全て用いることができる。例えば、エッ
シェリヒア属、セラチア属、コリネバクテリウム属、ブ
レビバクテリウム属、シュードモナス属、バチルス属、
ミクロバクテリウム属等に属する細菌、クルイベロミセ
ス属、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、
トリコスポロン属、シワニオミセス属等に属する酵母や
動物細胞、昆虫細胞等をあげることができる。
【0045】発現ベクターとしては、上記宿主細胞にお
いて自立複製可能ないしは染色体中への組込みが可能
で、ビオチンの生合成に関与する遺伝子を転写できる位
置にプロモーターを含有しているものが用いられる。細
菌等を宿主細胞として用いる場合は、ビオチンの生合成
に関与する遺伝子発現ベクターは該細菌中で自立複製可
能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配
列、ビオチンの生合成に関与する遺伝子および転写終結
配列より構成された組換えベクターであることが好まし
い。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよ
い。
【0046】発現ベクターとしては、例えば、pBTr
p2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリン
ガーマンハイム社より市販)、pKK233-2(Pharmacia社
製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX-1(Promega
社製)、pQE-8(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58-1106
00)、pKYP200〔Agricultural Biological Chemistry,4
8, 669 (1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Chem., 53, 27
7 (1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82,
4306 (1985)〕、pBluescript II SK(-)(Stratagene社
製)、pGEX(Pharmacia社製)、pET-3(Novagen社
製)、pTerm2(USP4686191、USP4939094、USP5160735)、
pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400〔J. Bacterio
l., 172, 2392 (1990)〕等を例示することができる。
【0047】プロモーターとしては、宿主細胞中で発現
できるものであればいかなるものでもよい。例えば、tr
pプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、
PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等
の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SP
O1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプ
ロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ
直列させたプロモーター(Ptrpx2)、tacプロモータ
ー、letIプロモーター、lacT7プロモーターのように人
為的に設計改変されたプロモーター等も用いることがで
きる。
【0048】リボソーム結合配列としては、宿主細胞中
で発現できるものであればいかなるものでもよいが、シ
ャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドン
との間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節した
プラスミッドを用いることが好ましい。本発明のビオチ
ンの生合成に関与する遺伝子の発現には転写終結配列は
必ずしも必要ではないが、好適には構造遺伝子直下に転
写終結配列を配置することが望ましい。
【0049】宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラ
チア属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム
属、シュードモナス属、バチルス属等に属する微生物、
例えば、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia col
i XL2-Blue、Escherichia coliDH1、Escherichia coli
MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coliW
1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB1
01、Escherichia coliNo.49、Escherichia coli W311
0、Escherichia coli NY49、Bacillus subtilisBacil
lus amyloliquefaciensBrevibacterium ammmoniagene
sBrevibacterium immariophilum ATCC14068、Breviba
cterium saccharolyticum ATCC14066、Corynebacterium
glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum
ATCC14067、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、C
orynebacterium acetoacidophilumATCC13870、Microbac
terium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonas sp. D-
0110等をあげることができる。
【0050】組換えベクターの導入方法としては、上記
宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用い
ることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法
〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)〕、
プロトプラスト法(特開昭63-2483942)、またはGene,
17, 107 (1982)やMolecular & General Genetics, 168,
111 (1979)に記載の方法等をあげることができる。
【0051】また、接合伝達法により異属微生物に組換
えベクターを導入することもできる。具体的な接合伝達
法としては、例えば、以下のように大腸菌の含有する組
換えベクターをシュードモナスに属する微生物に導入す
る方法をあげることができる。
【0052】組換えベクターを含有する大腸菌、シュー
ドモナスに属する微生物およびtraおよびmobを含
むヘルパープラスミドを含有する大腸菌を各々培養し、
得られた培養液を等量混合する。該混合液をフィルター
(例えば、Millipore、TypeHA、0.45μm)上で濃縮し
た後、フィルターを菌体を含む面を上にして、LB寒天
平板培地等の天然培地あるいは合成寒天平板培地上に乗
せる。
【0053】数時間静置培養後、適度に希釈し、大腸菌
は生育できず、大腸菌の含有する組換えベクターの導入
されたシュードモナスに属する微生物のみ生育可能な寒
天平板培地、例えば、500mg/lのアンピシリンと
500mg/lのスペクチノマイシンを同時に含むLB
培地等の上に塗布し、培養する。生育してきたコロニー
を分離することにより、目的の組換えベクターの導入さ
れたシュードモナスに属する微生物を取得することがで
きる。
【0054】ヘルパープラスミドとしては、例えばpR
K2013〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76, 1648
(1979)〕等を利用することができる。酵母を宿主細胞と
して用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、Y
Ep13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、Y
Cp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を
例示することができる。
【0055】プロモーターとしては、酵母中で発現でき
るものであればいかなるものでもよく、例えば、PHO
5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモー
ター、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、
gal 10プロモーター、ヒートショック蛋白質プロ
モーター、MFα1プロモーター、CUP 1プロモー
ター等のプロモーターをあげることができる。
【0056】宿主細胞としては、サッカロミセス・セレ
ビシエ(Saccharomyces cerevisae)、シゾサッカロミ
セス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリュ
イベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ト
リコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulan
s)、シュワニオミセス・アルビウス(Schwanniomyces
alluvius)等をあげることができる。
【0057】組換えベクターの導入方法としては、酵母
にDNAを導入する方法であればいずれも用いることが
でき、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods. E
nzymol., 194, 182 (1990〕、スフェロプラスト法〔Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929 (1978)〕、酢酸リ
チウム法〔ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Ba
cteriol.)、153, 163 (1983)〕、Proc. Natl. Acad. S
ci. USA, 75, 1929(1978)記載の方法等をあげることが
できる。
【0058】動物細胞を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcD
M8(フナコシ社より市販)、pAGE107〔特開平
3-22979;Cytotechnology, 3, 133, (1990)〕、pAS
3−3(特開平2-227075)、pCDM8〔Nature, 329,
840, (1987)〕、pcDNAI/Amp(Invitrogen社
製)、pREP4(Invitrogen社製)、pAGE103
〔J. Biochem., 101, 1307 (1987)〕、pAGE210
等を例示することができる。
【0059】プロモーターとしては、動物細胞中で発現
できるものであればいずれも用いることができ、例え
ば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(imme
diateearly)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プ
ロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチ
オネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、
SRαプロモーター等をあげることができる。また、ヒ
トCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと
共に用いてもよい。
【0060】宿主細胞としては、ナマルバ細胞、HBT
5637(特開昭63―299)、COS1細胞、CO
S7細胞、CHO細胞等をあげることができる。動物細
胞への組換えベクターの導入法としては、動物細胞にD
NAを導入できるいかなる方法も用いることができ、例
えば、エレクトロポーレーション法〔Cytotechnology,
3, 133(1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平2―22
7075)、リポフェクション法〔Proc.Natl.Acad.Sc
i.,USA, 84, 7413(1987)〕、virology, 52, 456 (1973)
に記載の方法等を用いることができる。形質転換体の取
得および培養は、特開平2−227075号公報あるい
は特開平2−257891号公報に記載されている方法
に準じて行なうことができる。
【0061】昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例
えばバキュロウイルス・イクスプレッション・ベクター
ズ・ア・ラボラトリー・マニュアル(Baculovirus Expr
ession Vectors, A Laboratory Manual)、カレント・
プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー
サプルメント1-38(1987-1997)、Bio/Technology, 6,4
7 (1988)等に記載された方法によって、蛋白質を発現す
ることができる。
【0062】即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバ
キュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上
清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルス
を昆虫細胞に感染させ、蛋白質を発現させることができ
る。該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとし
ては、例えば、pVL1392、pVL1393、pB
lueBacIII(ともにインビトロジェン社製)等を
あげることができる。
【0063】バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗
蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カ
リフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス
(Autographa californica nuclear polyhedrosis viru
s)等を用いることができる。昆虫細胞としては、Spodop
tera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21
〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクター
ズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイ
チ・フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman an
d Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、T
richoplusia niの卵巣細胞であるHigh 5(インビ
トロジェン社製)等を用いることができる。
【0064】組換えウイルスを調製するための、昆虫細
胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウ
イルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法(特開平2-227075)、リポフェクション法〔Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 84,7413 (1987)〕等をあげるこ
とができる。遺伝子の発現方法としては、直接発現以外
に、モレキュラー・クローニング第2版に記載されてい
る方法等に準じて、分泌生産、融合蛋白質発現等を行う
ことができる。
【0065】酵母、動物細胞または昆虫細胞により発現
させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加された蛋白質を
得ることができる。ビオチンの生合成に関与する遺伝子
を組み込んだ組換え体DNAを保有する形質転換体を培
地に培養し、培養物中にビオチンの生合成に関与する蛋
白質を生成蓄積させ、該培養物より該蛋白質を採取する
ことにより、ビオチンの生合成に関与する蛋白質を製造
することができる。
【0066】本発明のビオチンの生合成に関与する蛋白
質製造用の形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の
培養に用いられる通常の方法に従って行うことができ
る。本発明の形質転換体が大腸菌等の原核生物、酵母菌
等の真核生物である場合、これら微生物を培養する培地
は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等
を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であ
れば天然培地、合成培地のいずれでもよい。
【0067】炭素源としては、それぞれの微生物が資化
し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、
スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいは
デンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸
等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコー
ル類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化
アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、
リン酸アンモニウム、等の各種無機酸や有機酸のアンモ
ニウム塩、その他含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉
エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン
加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵
菌体およびその消化物等が用いられる。
【0068】無機物としては、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。培養は、振盪培
養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。
培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常16
時間〜7日間である。培養中pHは、3.0〜9.0に
保持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アル
カリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用
いて行う。
【0069】また培養中必要に応じて、アンピシリンや
テトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよ
い。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた
発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときに
は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよ
い。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで
形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−
β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、tr
pプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微
生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IA
A)等を培地に添加してもよい。
【0070】動物細胞を宿主細胞として得られた形質転
換体を培養する培地としては、一般に使用されているR
PMI1640培地〔The Journal of the American Me
dical Association, 199, 519 (1967)〕、Eagleの
MEM培地〔Science, 122,501 (1952)〕、DMEM培
地〔Virology, 8, 396 (1959)〕、199培地〔Proceed
ing of the Society for the Biological Medicine, 7
3, 1 (1950)〕またはこれら培地に牛胎児血清等を添加
した培地等が用いられる。
【0071】培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、
5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また、
培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗
生物質を培地に添加してもよい。昆虫細胞を宿主細胞と
して得られた形質転換体を培養する培地としては、一般
に使用されているTNM−FH培地〔Pharmingen社
製〕、Sf-900 II SFM培地(ギブコBRL社製)、Ex
Cell400、ExCell405〔いずれもJRHBio
sciences社製〕、Grace's Insect Medium〔Grace, T.C.
C.,Nature, 195, 788(1962)〕等を用いることができ
る。
【0072】培養は、通常pH6〜7、25〜30℃等
の条件下で、1〜5日間行う。また、培養中必要に応じ
て、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよ
い。本発明の形質転換体の培養物から、本発明のビオチ
ンの生合成に関与する蛋白質を単離精製するには、通常
の酵素の単離、精製法を用いればよい。
【0073】例えば、本発明の蛋白質が、細胞内に溶解
状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離
により回収し水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フ
レンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイ
ノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該
無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清か
ら、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安
等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエ
チルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION
HPA-75(三菱化成社製)等レジンを用いた陰イオン交
換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(ファルマシ
ア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラ
フィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース
等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子
篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフ
ィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等
の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用
い、精製標品を得ることができる。
【0074】また、該蛋白質が細胞内に不溶体を形成し
て発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、遠心分
離を行うことにより得られた沈殿画分より、通常の方法
により該蛋白質を回収後、該蛋白質の不溶体を蛋白質変
性剤で可溶化する。該可溶化液を、蛋白質変性剤を含ま
ないあるいは蛋白質変性剤の濃度が蛋白質が変性しない
程度に希薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該蛋白質を
正常な立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製
法により精製標品を得ることができる。
【0075】本発明の蛋白質あるいはその糖修飾体等の
誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清に該蛋
白質あるいはその糖鎖付加体等の誘導体を回収すること
ができる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の
手法により処理することにより可溶性画分を取得し、該
可溶性画分から、上記と同様の単離精製法を用いること
により、精製標品を得ることができる。
【0076】また、上記方法により発現させた蛋白質
を、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル
法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化
学合成法によっても製造することができる。また、桑和
貿易(米国Advanced chemTech社製)、パーキンエルマー
ジャバン(米国Perkin-Elmer社製)、ファルマシアバイオ
テク(スウューデンPharmacia Biotech社製)、アロカ(米
国Protein Technology Instrument社製)、クラボウ(米
国Synthecell-Vega社製)、日本パーセプティブ・リミテ
ッド(米国PerSeptive社製)、島津製作所等のペプチド合
成機を利用し合成することもできる。 (3)ビオチン活性物質の製造 上記(2)で取得された形質転換体を、上記(2)の方
法に準じて培養し、培養物中にビオチン活性物質を生成
蓄積させ、該培養物からビオチン活性物質を採取するこ
とによりビオチン活性物質を製造することができる。
【0077】また、形質転換させていない、シュードモ
ナス属に属し、ビオチン活性物質の生産能を有する微生
物を上記(2)の方法に準じて培養し、培養物中にビオ
チン活性物質を生成蓄積させ、該培養物からビオチン活
性物質を採取することによりビオチン活性物質を製造す
ることもできる。培養時にエタノールを0.2〜20容
量%の範囲で培地に添加して培養することにより、d−
ビオチン生産効率を高めることができる。
【0078】また、培養中に、培養に用いる培地成分お
よびエタノールを適宜途中添加あるいは連続添加するこ
とにより、d−ビオチンの生産効率を高めることができ
る。培養液からのビオチン活性物質の単離・精製は、ビ
オチン活性物質の諸性質を利用して、一般の天然物から
抽出精製する通常の方法により行うことができる。即
ち、培養液から遠心分離等の方法により不溶物を除いた
後、活性炭やマクロポーラス非イオン系樹脂等に吸着さ
せ、その後溶出させ、さらにイオン交換樹脂に通して精
製するか、あるいは培養濾液を直接イオン交換樹脂で処
理して精製し、水またはアルコールより再結晶すること
によりビオチン活性物質を単離・精製することができる
〔遠藤 勲ら、化学工学会(編)「バイオセパレーショ
ンプロセス便覧」、共立出版(1996)〕。
【0079】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は
これらの実施例に限定されるものではない。
【0080】
【実施例】実施例1 ビオチン活性物質高生産微生物の
検索 土壌試料中よりビオチン活性物質高生産能を有する微生
物を以下のように検索した。土壌試料を滅菌済の0.8
5%食塩水に懸濁し適当に希釈した後に、BY寒天平板
培地〔普通ブイヨン 20g、酵母エキス 5g、ポリペ
プトン 5g、寒天15gを水1Lに含み、pH7.2
に調整した培地〕に塗布し、30℃で1〜3日間培養し
た。
【0081】形成されたコロニーを新たなBY寒天平板
培地に塗布して30℃で1〜2日間培養した後、評価培
地PM1〔グリセロール 20g、ペプトン 20g、カ
ザミノ酸 10g、酵母エキス 2g、L−リジン塩酸塩
5g、K2HPO4 2g、MgSO4・7H20 0.5
g、KCl 0.5gを水1Lに含み、pH7.2に調
整した培地〕8mlを含む太型試験管に接種し、30℃
で3日間振とう培養した。
【0082】培養終了後、遠心分離により培養物から菌
体を除去し、上清中のd−ビオチンおよびビオチン活性
物質を定量した。d−ビオチンおよびビオチン活性物質
の定量は、それぞれ、ラクトバシルス プランタルム
Lactobacillus plantarum ATCC8014)、サッカロミセ
ス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae ATCC775
4)を用いる微生物定量法〔和泉好計ら、日本ビタミン
学会(編)「ビタミン学実験法 II」、p.475−
521、東京化学同人(1983)〕により行った。
【0083】d−ビオチン含量に関しては、高速液体ク
ロマトグラフィー(YMC A-313カラム、50mM NH4
2PO4:アセトニトリル=85:15、210nm)
でも確認した。検索の結果、多数のd−ビオチンおよび
ビオチン活性物質の高い生産能を有する菌株を取得した
が、特にシュードモナス エスピー D−0110株
(以下、D−0110株ともいう)が野生株としては極
めて高いd−ビオチンおよびビオチン活性物質の生産性
を示し、培地中に各々約1mg/lおよび約30mg/
l生産・蓄積した。
【0084】シュードモナス エスピー D−0110
株と既知のビオチン高生産株を評価培地PM1または評
価培地PM2〔評価培地PM1にピメリン酸 0.1%
を添加した培地〕8mlを含む太型試験管に接種し、3
0℃で3日間振とう培養した。培養終了後、遠心分離に
より培養物から菌体を除去し、上清中のd−ビオチンお
よびビオチン活性物質を上記と同様な方法により定量し
た。
【0085】結果を第6表に示す。
【0086】
【表7】 D−0110株は、既知のビオチン高生産微生物と比べ
て、極めて高いd−ビオチンおよびビオチン活性物質の
生産能を有していた。
【0087】実施例2 D−0110株のビオチン生合
成遺伝子のクローニング エシェリヒア コリ MM294株を30mlのLB培
地を含む三角フラスコに接種し、30℃で対数増殖期の
中期まで振とう培養した。該培養液を遠心分離して得た
菌体を、常法に従い、N−メチル−N’−ニトロ−N−
ニトロソグアニジンを用いて変異処理後、0.85%食
塩水で適当に希釈してLB寒天平板培地に塗布し、30
℃で2日間培養した。
【0088】形成されたコロニーをM9寒天平板培地
〔グルコース 2g、Na2HPO4 6g、KH2PO4
3g、NaCl 0.5g、NH4Cl 1g、MgSO4
・7H2O 0.5g、CaCl2 0.01g、チアミン
塩酸塩 0.1mg、寒天15gを水1Lに含み、pH
7.2に調整した培地〕およびd−ビオチン10mg/
lを含むM9寒天平板培地にそれぞれ塗布し、30℃で
2日間培養した。該培養において、d−ビオチンを含む
M9寒天平板培地でのみ生育可能なd−ビオチン要求性
変異株を4株取得した。以後、これら変異株をそれぞれ
RB110株、RB103株、RB109株、およびR
B102株と呼ぶ。
【0089】RB110株、RB103株、RB109
株、およびRB102株における欠損遺伝子の同定は、
エシェリシア コリ由来のビオチン生合成遺伝子群を持
つプラスミドpLC25-23〔J. Mol. Biol., 148, 63 (198
1)〕を利用した生育の相補試験により行った。即ち、pL
C25-23からビオチン生合成遺伝子群の中に部分的に欠損
を持った欠失プラスミド、あるいは同遺伝子群の中の一
部をサブクローニングして得た誘導体プラスミドを常法
によって種々作製し、これらの一連のプラスミドで各ビ
オチン要求株を形質転換して、ビオチン要求性の相補の
有無を調べた。
【0090】その結果、変異株RB110株、RB10
3株、RB109株、およびRB102株は、それぞれ
bioA欠損株、bioB欠損株、bioD欠損株、お
よびbioF欠損株と同定された。シュードモナス エ
スピー D−0110株を250mlの評価培地PM1
を含む2L三角フラスコに接種し、30℃で対数増殖期
の後期まで振とう培養した。
【0091】該培養液を遠心分離して得られた菌体か
ら、Saitoらの方法〔Biochim. Biophys. Acta., 72, 61
9 (1963)〕に従って染色体DNAを調製した。該染色体
DNAを制限酵素HindIIIまたはEcoRIで完
全に消化した後に、プラスミドベクターpMW218
(和光純薬)の、それぞれ対応する制限酵素切断部位に
T4DNAリガーゼを用いて連結した。
【0092】該DNA連結物を用いて、上記の各種ビオ
チン生合成遺伝子欠損株を塩化カルシウム法〔Molecula
r Cloning, Second Edition〕により形質転換した。該
形質転換体をカナマイシン50mg/lを含むM9寒天
平板培地で培養し、該培地で生育可能な形質転換体を取
得した。これら形質転換体を、LB培地8mlを含む太
型試験管に接種し、30℃で1日間振とう培養した。
【0093】培養後、得られた培養液を遠心分離により
菌体を取得した。該菌体よりアルカリ−SDS法〔Mole
cular Cloning, Second Edition〕によりプラスミドを
取得した。取得したプラスミドの内、2種類の組換え体
プラスミドpMB−001およびpMB−002につい
て、各種制限酵素による切断解析を行った。
【0094】該解析の結果、pMB−001はpMW2
18のHindIII部位に約7.5kbの、またpM
B−001はpMW218のEcoRI部位に約12k
bの、シュードモナス由来のDNA断片を有していた。
両DNA断片の制限酵素切断地図を図1および2に示
す。上記2種のDNA断片に含まれるビオチン生合成遺
伝子を同定するために、組換え体プラスミドpMB−0
01およびpMB−002をそれぞれ、上記で取得し
た、ビオチン要求性変異株RB110株、RB103
株、RB109株、およびRB102株に導入して、ビ
オチン非存在下での生育相補能を調べた。
【0095】pMB−001に挿入されている約7.5
kbのHindIII断片には7−ケト−8−アミノペ
ラルゴン酸から7,8−ジアミノペラルゴン酸の生合成
に関与する遺伝子(bioAに対応)が、pMB−00
2に挿入されている約12kbのEcoRI断片には、
デチオビオチンからビオチンの生合成に関与する遺伝子
(bioBに対応)、7,8−ジアミノペラルゴン酸か
らデチオビオチンの生合成に関与する遺伝子(bioD
に対応)、ピメリル−CoAから7−ケト−8−アミノ
ペラルゴン酸の生合成に関与する遺伝子(bioFに対
応)の各遺伝子が存在することが判明した。
【0096】さらに、両断片のサブクローニングとその
相補試験により、bioAはHindIII断片中の、
内部にNcoIおよびHincII部位を有する約2.
9kbのHindIII−PstI部位内に、bioB
EcoRI断片中の約3.9kbのPstI−Xho
I部位内に存在することがわかった。PstI−Xho
I部位内にはSalI部位が数カ所存在し、これらSa
I部位内の約1.9kb断片内にbioBは存在する
ことがわかった。
【0097】bioBを含む約1.9kbのSalI断
片の塩基配列を常法に従って決定した。bioBは10
53bp長で、351アミノ酸をコードしていた。bi
oBのDNAの塩基配列を配列番号2に、該DNAにコ
ードされる蛋白質のアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0098】実施例3 組換え体プラスミドpEB−0
02の作製 組換え体プラスミドpMB−001をHindIIIお
よびPstIで切断し、bioAを含む約2.9kbの
DNA断片を取得した。該DNA断片を、プラスミドベ
クターpEG400のHindIII−PstI部位に
T4DNAリガーゼを用いて連結した。
【0099】該連結プラスミドを用い、エシェリヒア
コリ DH5α株を塩化カルシウム法により形質転換し
た。得られた形質転換体をスペクチノマイシン50mg
/lを含むLB寒天平板培地で培養し、該培地で生育す
る形質転換株を目的をする形質転換体として取得した。
【0100】これら形質転換株の1株からアルカリ−S
DS法によりプラスミドpEB−001を取得した。該
pEB−001は、各種制限酵素による切断解析の結
果、ベクターpEG400のHindIII−Pst
部位に、bioAを含む約2.9kbDNA断片を有し
ていることがわかった(図3)。
【0101】組換え体プラスミドpMB−002につい
ては、EcoRIで切断し、bioB、bioDおよび
bioFを含む約12kbのDNA断片を取得した。該
断片を、上記で得た組換え体プラスミドpEB−001
EcoRI切断部位にT4DNAリガーゼを用いて連
結した。該連結プラスミドを用い、エシェリヒア コリ
DH5α株を塩化カルシウム法により形質転換した。
【0102】得られた形質転換体をスペクチノマイシン
50mg/lを含むLB寒天平板培地で培養し、該培地
で生育する形質転換株を目的をする形質転換体として取
得した。これら形質転換株の1株からアルカリ−SDS
法によりプラスミドpEB−002を取得した。
【0103】該pEB−002は、各種制限酵素による
切断解析の結果、pEB−001のEcoRI部位に、
bioB、bioDおよびbioFを含む約12kbの
DNA断片を有していることがわかった(図3)。pE
B−002を保有するエシェリヒア コリ DH5α株
は、ブダペスト条約に基づいて、平成10年3月10日
付けで工業技術院生命工学工業技術研究所、日本国茨城
県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305−004
6)にFERM BP−6289号として寄託されてい
る。
【0104】実施例4 組換え体プラスミドpEB−0
02によるD−0110株の形質転換 組換え体プラスミドpEB−002を保有するエシェリ
ヒア コリ DH5α株およびヘルパープラスミドpR
K2013を保有するエシェリヒア コリ HB101
株を、各々スペクチノマイシン(50mg/l)、カナマ
イシン(50mg/l)を添加したLB培地40mlを含
む三角フラスコに接種し、30℃で12時間振とう培養
した。
【0105】シュードモナス エスピー D−0110
株をLB培地40mlを含む三角フラスコに接種し、3
0℃で12時間振とう培養した。これら3菌株の培養液
からそれぞれ遠心分離により菌体を調製し、40mlの
10mMリン酸カリウム緩衝液pH7.3で2回遠心洗
浄後、10mlの同緩衝液に懸濁した。
【0106】これら菌体懸濁液をそれぞれ1mlずつ抜
き取り混合した後、10mlの注射筒とフィルターホル
ダー(Millipore, Swinnex 47mm)を用いてフィル
ター(Millipore, Type HA、47mm、0.45μm)
上に濃縮した。該フィルターを菌体が濃縮された面を上
にしてLB寒天平板培地上に乗せ、30℃で4〜6時間
培養した。フィルター上の混合菌体を上記リン酸カリウ
ム緩衝液に懸濁し、適当に希釈後、500mg/lのア
ンピシリンと500mg/lのスペクチノマイシンを同
時に含むLB寒天平板培地に塗布し、30℃で1日間培
養した。
【0107】該培地で生育可能なアンピシリンおよびス
ペクチノマイシン耐性の形質転換株は、シュードモナス
エスピー D−0110株と同一の菌学的性質を示し
た。該形質転換株の中の1株よりプラスミドを調製し
た。該プラスミドを各種の制限酵素により切断し、解析
を行うことにより、該形質転換株がpEB−002を保
有していることを確認した。
【0108】実施例5 ビオチン活性物質の生産 D−0110株およびpEB−002を保有するD−0
110株についてd−ビオチンおよびd−デチオビオチ
ンの生産を以下のように行った。LB培地8mlを用
い、30℃で24時間振とう培養し、得られた種培養液
0.8mlを8mlの生産培地BM1〔グリセロール
20g、酵母エキス 2g、ペプトン 20g、カザミノ
酸 10g、L−リジン塩酸塩 5g、L−アラニン1
g、L−メチオニン 1g、MgSO4・7H2O 0.5
g、KCl 0.5g、K2HPO 42g、FeSO4
7H2O 10mg、MnSO4・4〜6H2O10m
g、ビタミンB1 0.2mgを水1Lに含み、pH7.
2に調整した培地〕の入った太型試験管に上記2菌株を
それぞれ接種し、30℃で72時間振とう培養した。な
お、プラスミド保有株の種培養および生産培地での培養
はスペクチノマイシン500mg/l存在下で行った。
【0109】培養終了後、遠心分離により培養物から菌
体を除去し、上清中のビオチン活性物質の内d−ビオチ
ンおよびd―デチオビオチンについて、高速液体クロマ
トグラフィーを用い、実施例1と同様の方法で定量し
た。結果を第7表に示す。
【0110】
【表8】
【0111】実施例6 エタノール添加効果 LB培地にpEB−002を保有するD−0110株を
接種し、実施例5と同様な方法により振とう培養した。
該種培養液0.8mlを、生産培地BM1を8ml含
み、フィルター滅菌したエタノールを50〜150μl
の範囲で種々添加した太型試験管に接種し、30℃で7
2時間振とう培養した。なお、種培養および生産培地で
の培養はスペクチノマイシン500mg/l存在下で行
った。
【0112】培養終了後、遠心分離により培養物から菌
体を除去し、上清中のビオチン活性物質の内d−ビオチ
ンおよびd―デチオビオチンについて、高速液体クロマ
トグラフィーを用い、実施例1と同様の方法で定量し
た。結果を第8表に示す。
【0113】
【表9】 エタノールを培地に添加して培養することにより、d―
デチオビオチンの生成量は増加しなかったが、d−ビオ
チンの生成量は2倍以上高まった。
【0114】実施例7 ビオチン活性物質の製造 pEB−002を保有するD−0110株を用いて、2
Lジャーファーメンターによる製造を以下のように行っ
た。BY寒天平板培地上に菌体を塗布し、30℃、24
時間培養後、45mlの種培地D1〔グルコース 2g、酵
母エキス 0.5g、ポリペプトン 1.5g、NaCl
1.5g、(NH42SO4 1g、CaCO3 2gを水1
Lに含み、pH6.5に調整した培地〕の入った300
ml容バッフル付き三角フラスコに接種し、30℃、24
時間振とう培養した。
【0115】該種培養液10mlを、800mlの種培
地E1〔コーン・スチープ・リカー5g、KH2PO4
0.2g、MgSO4・7H2O 0.1g、(NH42
SO40.5gを水1Lに含み、pH6.8に調整した
培地〕の入った2Lジャーファーメンターに接種し、3
0℃、通気量1L/min、800rpmの条件下で、
培地中のpHを硫酸で7.5に調整しながら培養した。
【0116】約12時間後、該種培養液60mlを440
mlの生産培地F1〔グルコース 4g、コーン・スチー
プ・リカー 3g、グルタミン酸ナトリウム 0.5g、
(NH42SO4 0.5g、KH2PO4 0.2g、M
gSO4・7H2O 0.1gを水1Lに含み、pH6.
8に調整した培地〕の入った2Lジャーファーメンター
に接種し、32℃、通気量1L/min、900rpm
の条件下で、培地中のpHをアンモニア水で6.7に調
整しながら培養した。
【0117】培養開始時点からフィルター滅菌したエタ
ノールを流加速度約1.0ml/hで連続的に添加し
た。更に、培地中のグルコースが消費された時点でグル
コース・フィード液〔グルコース500gを水1Lに含
む培地〕を連続的に添加した。該フィード液の流加速度
は最初5.0ml/hで行い、溶存酸素濃度が約1pp
mまで低下後、溶存酸素濃度1〜2ppmの範囲に維持
されるように、流加速度を調整しながらフィード液を添
加した。
【0118】培養開始後、約120時間で培養を終了し
た。なお、種培養および生産培地での培養はすべてスペ
クチノマイシン500mg/l存在下で行った。培養終
了後、遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中
のビオチン活性物質の内d−ビオチンおよびd―デチオ
ビオチンについて、高速液体クロマトグラフィーを用
い、実施例1と同様の方法で定量した。
【0119】結果を第9表に示す。
【0120】
【表10】
【0121】
【発明の効果】 本発明によれば、ビオチン活性物質の
生産能を有するシュードモナス属に属する微生物、ある
いは該微生物由来のd−ビオチン生合成に関与するDNA
を導入した微生物を用いることにより、工業的に有利な
ビオチン活性物質の製造方法を提供することができる。
【0122】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:351 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 起源 生物名:Pseudomonas sp. 株名:D−0110 配列 Met Ser Ala Ser Thr Thr Ala Thr Leu Arg His Asp Trp Thr Leu Ala 1 5 10 15 Glu Val Lys Ala Leu Phe Val Gln Pro Phe Asn Asp Leu Leu Phe Gln 20 25 30 Ala Gln Thr Val His Arg Ala His Phe Asp Ala Asn Arg Val Gln Val 35 40 45 Ser Thr Leu Leu Ser Ile Lys Thr Gly Ala Cys Pro Glu Asp Cys Lys 50 55 60 Tyr Cys Pro Gln Ser Gly His Tyr Asn Thr Gly Leu Glu Lys Glu Lys 65 70 75 80 Leu Met Glu Val Gln Lys Val Leu Glu Glu Ala Ala Arg Ala Lys Ala 85 90 95 Ile Gly Ser Thr Arg Phe Cys Met Gly Ala Ala Trp Lys His Pro Ser 100 105 110 Ala Lys Asp Met Pro Tyr Val Leu Lys Met Ile Glu Gly Val Lys Ala 115 120 125 Met Gly Leu Glu Thr Cys Met Thr Leu Gly Arg Leu Asp Gln Asp Gln 130 135 140 Thr Glu Ala Leu Ala Lys Ala Gly Leu Asp Tyr Tyr Asn His Asn Leu 145 150 155 160 Asp Thr Ser Pro Glu Phe Tyr Gly Ser Ile Ile Thr Thr Arg Thr Tyr 165 170 175 Ser Glu Arg Leu Gln Thr Leu Ala Tyr Val Arg Asp Ala Gly Met Lys 180 185 190 Ile Cys Ser Gly Gly Ile Leu Gly Met Gly Glu Ser Leu Asp Asp Arg 195 200 205 Ala Asn Leu Leu Ile Gln Leu Ala Asn Leu Pro Glu His Pro Glu Ser 210 215 220 Val Pro Ile Asn Met Leu Val Lys Val Ala Gly Thr Pro Leu Glu Asn 225 230 235 240 Ala Asp Asp Val Asp Pro Phe Asp Phe Ile Arg Met Leu Ala Val Ala 245 250 255 Arg Ile Leu Met Pro Gln Ser His Val Arg Leu Ser Ala Gly Arg Glu 260 265 270 Ala Met Asn Glu Gln Met Gln Ala Leu Ala Phe Phe Ala Gly Ala Asn 275 280 285 Ser Ile Phe Tyr Gly Asp Lys Leu Leu Thr Thr Ala Asn Pro Gln Ala 290 295 300 Asp Lys Asp Met Gln Leu Phe Ala Arg Leu Gly Ile Gln Pro Glu Ala 305 310 315 320 Arg Glu Glu His Ala Asp Glu Val His Gln Ala Ala Ile Glu Gln Ala 325 330 335 Leu Val Glu Gln Lys Ser Ser Glu Gln Phe Tyr Asn Ala Ala Val 340 345 350
【0123】 配列番号:2 配列の長さ:1053 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:Pseudomonas sp. 株名:D−0110 配列 ATG AGC GCC AGC ACC ACT GCC ACC CTG CGT CAC GAC TGG ACT TTG GCC 48 Met Ser Ala Ser Thr Thr Ala Thr Leu Arg His Asp Trp Thr Leu Ala 1 5 10 15 GAA GTC AAA GCA CTC TTC GTT CAG CCA TTC AAC GAC TTG CTG TTC CAG 96 Glu Val Lys Ala Leu Phe Val Gln Pro Phe Asn Asp Leu Leu Phe Gln 20 25 30 GCG CAG ACG GTG CAC CGC GCA CAT TTC GAC GCC AAC CGC GTC CAG GTT 144 Ala Gln Thr Val His Arg Ala His Phe Asp Ala Asn Arg Val Gln Val 35 40 45 TCC ACC CTG CTG TCG ATC AAG ACC GGC GCC TGC CCG GAA GAT TGC AAA 192 Ser Thr Leu Leu Ser Ile Lys Thr Gly Ala Cys Pro Glu Asp Cys Lys 50 55 60 TAT TGT CCG CAG TCC GGT CAC TAC AAC ACC GGG CTG GAA AAA GAA AAG 240 Tyr Cys Pro Gln Ser Gly His Tyr Asn Thr Gly Leu Glu Lys Glu Lys 65 70 75 80 CTG ATG GAA GTG CAG AAA GTC CTC GAA GAG GCT GCC CGC GCC AAG GCC 288 Leu Met Glu Val Gln Lys Val Leu Glu Glu Ala Ala Arg Ala Lys Ala 85 90 95 ATC GGT TCG ACC CGT TTC TGC ATG GGC GCG GCG TGG AAA CAC CCG TCG 336 Ile Gly Ser Thr Arg Phe Cys Met Gly Ala Ala Trp Lys His Pro Ser 100 105 110 GCC AAG GAC ATG CCT TAC GTG TTG AAA ATG ATT GAA GGC GTG AAG GCC 384 Ala Lys Asp Met Pro Tyr Val Leu Lys Met Ile Glu Gly Val Lys Ala 115 120 125 ATG GGC CTG GAA ACC TGC ATG ACC CTC GGT CGT CTC GAT CAG GAT CAG 432 Met Gly Leu Glu Thr Cys Met Thr Leu Gly Arg Leu Asp Gln Asp Gln 130 135 140 ACC GAA GCA CTG GCC AAG GCC GGG CTC GAC TAC TAC AAC CAC AAC CTC 480 Thr Glu Ala Leu Ala Lys Ala Gly Leu Asp Tyr Tyr Asn His Asn Leu 145 150 155 160 GAC ACC TCG CCT GAG TTC TAC GGC AGC ATC ATC ACC ACC CGT ACC TAC 528 Asp Thr Ser Pro Glu Phe Tyr Gly Ser Ile Ile Thr Thr Arg Thr Tyr 165 170 175 AGC GAG CGT CTG CAA ACC CTG GCC TAT GTG CGC GAT GCG GGT ATG AAA 576 Ser Glu Arg Leu Gln Thr Leu Ala Tyr Val Arg Asp Ala Gly Met Lys 180 185 190 ATC TGC TCC GGC GGC ATC CTC GGC ATG GGC GAG TCT CTC GAT GAC CGC 624 Ile Cys Ser Gly Gly Ile Leu Gly Met Gly Glu Ser Leu Asp Asp Arg 195 200 205 GCG AAC CTG CTG ATC CAG CTG GCC AAC CTG CCG GAG CAC CCG GAG TCG 672 Ala Asn Leu Leu Ile Gln Leu Ala Asn Leu Pro Glu His Pro Glu Ser 210 215 220 GTG CCG ATC AAC ATG CTG GTG AAA GTT GCC GGC ACG CCG CTG GAG AAC 720 Val Pro Ile Asn Met Leu Val Lys Val Ala Gly Thr Pro Leu Glu Asn 225 230 235 240 GCC GAC GAC GTC GAT CCG TTC GAC TTC ATC CGC ATG CTC GCC GTG GCG 768 Ala Asp Asp Val Asp Pro Phe Asp Phe Ile Arg Met Leu Ala Val Ala 245 250 255 CGC ATC CTG ATG CCG CAA TCC CAC GTG CGC CTG TCC GCC GGC CGC GAA 816 Arg Ile Leu Met Pro Gln Ser His Val Arg Leu Ser Ala Gly Arg Glu 260 265 270 GCG ATG AAC GAG CAG ATG CAG GCC CTG GCG TTC TTC GCC GGC GCC AAC 864 Ala Met Asn Glu Gln Met Gln Ala Leu Ala Phe Phe Ala Gly Ala Asn 275 280 285 TCG ATC TTC TAC GGC GAC AAA CTG CTC ACC ACC GCC AAT CCG CAG GCC 912 Ser Ile Phe Tyr Gly Asp Lys Leu Leu Thr Thr Ala Asn Pro Gln Ala 290 295 300 GAC AAG GAC ATG CAA CTG TTC GCA CGT CTG GGC ATT CAG CCG GAA GCC 960 Asp Lys Asp Met Gln Leu Phe Ala Arg Leu Gly Ile Gln Pro Glu Ala 305 310 315 320 CGC GAA GAA CAT GCC GAC GAA GTG CAT CAG GCT GCC ATC GAA CAG GCG 1008 Arg Glu Glu His Ala Asp Glu Val His Gln Ala Ala Ile Glu Gln Ala 325 330 335 CTG GTG GAG CAG AAG AGC AGC GAG CAG TTC TAC AAC GCG GCG GTC 1053 Leu Val Glu Gln Lys Ser Ser Glu Gln Phe Tyr Asn Ala Ala Val 340 345 350
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、D−0110株よりクローン化した、
bioAを含むビオチンの生合成に関与する遺伝子を含
有する約7.5kbのHindIII断片の制限酵素地
図を示す。bioAは内部にNcoIおよびHincI
I切断部位を有する約2.9kbのHindIII−
stI部位に存在する。
【図2】図2は、D−0110株よりクローン化した、
bioB、bioD、bioFを含むビオチンの生合成
に関与する遺伝子を含有する、約12kbのEcoRI
断片の制限酵素地図を示す。bioBは約3.9kbの
PstI−XhoI部位に存在する。
【図3】図3は、pEB−001およびpEB−002
の作製工程を示す。図中、黒塗りの太線で示した部分
が、D−0110株からクローン化したbioAを含む
DNA断片を示す。灰色の太線で示した部分は、D−0
110株からクローン化したbioB、bioD、bi
oFを含むDNA断片を示す。Kmはカナマイシン耐性
遺伝子を、Sm/Spcはストレプトマイシンおよびス
ペクチノマイシン耐性遺伝子を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:38) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/00 C12R 1:38) (C12N 9/00 C12R 1:39) (72)発明者 池田 正人 山口県防府市新田517−6

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードモナス属に属する微生物由来
    の、d−ビオチンの生合成に関与する活性を有する蛋白
    質。
  2. 【請求項2】 d−ビオチンの生合成に関与する活性を
    有する蛋白質が、ピメリン酸からピメリル−CoAへの
    生合成に関与する活性を有する蛋白質、ピメリル−Co
    Aから7−ケト−8−アミノペラルゴン酸への生合成に
    関与する活性を有する蛋白質、7−ケト−8−アミノペ
    ラルゴン酸から7,8−ジアミノペラルゴン酸への生合
    成に関与する活性を有する蛋白質、7,8−ジアミノペ
    ラルゴン酸からデチオビオチンへの生合成に関与する活
    性を有する蛋白質およびデチオビオチンからビオチンへ
    の生合成に関与する活性を有する蛋白質から選ばれる蛋
    白質である、請求項1記載の蛋白質。
  3. 【請求項3】 蛋白質が、ピメリル−CoAシンセター
    ゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンセターゼ、
    7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェラー
    ゼ、デチオビオチンシンセターゼおよびビオチンシンセ
    ターゼから選ばれる蛋白質である、請求項1または2記
    載の蛋白質。
  4. 【請求項4】 微生物が、シュードモナス エスピー
    D−0110株(FERM BP−6288)またはD
    −0110株から誘導され、かつd−ビオチンの生合成
    に関与する活性を有する蛋白質の生産能を有する微生物
    である、請求項1記載の蛋白質。
  5. 【請求項5】 以下の(a)または(b)の蛋白質。 (a) 配列番号1記載のアミノ酸配列からなる蛋白質 (b) (a)の蛋白質の有するアミノ酸配列において1若し
    くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
    ミノ酸配列からなり、かつd−ビオチンの生合成に関与
    する活性を有する蛋白質
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の蛋白質
    をコードするDNA。
  7. 【請求項7】 以下の(a)または(b)のDNA。 (a) 図1または2の制限酵素切断地図で示される、d
    −ビオチンの生合成に関与する活性を有する蛋白質をコ
    ードするDNA (b) (a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブ
    リダイズし、かつd−ビオチンの生合成に関与する活性
    を有する蛋白質をコードするDNA
  8. 【請求項8】 以下の(a)または(b)のDNA。 (a) 配列番号2記載の塩基配列を有するDNA (b) (a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブ
    リダイズし、かつd−ビオチンの生合成に関与する活性
    を有する蛋白質をコードするDNA
  9. 【請求項9】 DNAがシュードモナス エスピー由来
    のDNAである、請求項6、7、または8記載のDN
    A。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載のDN
    Aから選ばれるDNAをベクターに組み込んで得られる
    組換え体DNA。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組換え体DNAを宿
    主細胞に導入して得られる形質転換体。
  12. 【請求項12】 形質転換体がエシェリヒア属に属する
    微生物またはシュードモナス属に属する微生物である、
    請求項11記載の形質転換体。
  13. 【請求項13】 形質転換体が、宿主微生物としてエシ
    ェリヒア・コリまたはシュードモナス エスピー D−
    0110株(FERM BP−6288)を用いて得ら
    れた形質転換体である、請求項11記載の形質転換体。
  14. 【請求項14】 請求項11、12または13記載の形
    質転換体を培地に培養し、培養物中にd−ビオチンの生
    合成に関与する活性を有する蛋白質を生成蓄積させ、該
    培養物から該蛋白質を採取することを特徴とする、d−
    ビオチンの生合成に関与する活性を有する蛋白質の製造
    方法。
  15. 【請求項15】 d−ビオチンの生合成に関与する活性
    を有する蛋白質が、ピメリン酸からピメリル−CoAへ
    の生合成に関与する活性を有する蛋白質、ピメリル−C
    oAから7−ケト−8−アミノペラルゴン酸への生合成
    に関与する活性を有する蛋白質、7−ケト−8−アミノ
    ペラルゴン酸から7,8−ジアミノペラルゴン酸への生
    合成に関与する活性を有する蛋白質、7,8−ジアミノ
    ペラルゴン酸からデチオビオチンへの生合成に関与する
    活性を有する蛋白質およびデチオビオチンからビオチン
    への生合成に関与する活性を有する蛋白質から選ばれる
    蛋白質である、請求項14記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 蛋白質が、ピメリル−CoAシンセタ
    ーゼ、7−ケト−8−アミノペラルゴン酸シンセター
    ゼ、7,8−ジアミノペラルゴン酸アミノトランスフェ
    ラーゼ、デチオビオチンシンセターゼおよびビオチンシ
    ンセターゼから選ばれる蛋白質である、請求項14また
    は15記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項11、12または13記載の形
    質転換体を培地に培養し、培養物中にビオチン活性物質
    を生成蓄積させ、該培養物からビオチン活性物質を採取
    することを特徴とする、ビオチン活性物質の製造方法。
  18. 【請求項18】 シュードモナス属に属し、ビオチン活
    性物質の生産能を有する微生物を培地に培養し、培養物
    中にビオチン活性物質を生成蓄積させ、該培養物からビ
    オチン活性物質を採取することを特徴とする、ビオチン
    活性物質の製造方法。
  19. 【請求項19】 ビオチン活性物質が、d−ビオチン、
    d−デチオビオチン、7,8−ジアミノペラルゴン酸お
    よび7−ケト−8−アミノペラルゴン酸から選ばれる物
    質である、請求項17または18記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 微生物がシュードモナス エスピー
    D−0110株(FERM BP−6288)またはD
    −0110株から誘導され、かつd−ビオチンの生合成
    に関与する活性を有する蛋白質の生産能を有する微生物
    であることを特徴とする、請求項17記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 培養時、培地中にエタノールを0.2
    〜20容量%の範囲で添加することを特徴とする、請求
    項17〜20のいずれかに記載のシュードモナス エス
    ピー D−0110株(FERM BP−6288)。
  22. 【請求項22】 シュードモナス エスピー D−01
    10株(FERMBP−6288)。
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