JPH1128467A - 浸漬型膜分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の装置においては、処理槽内に淀んだ箇
所ができて、ここに懸濁物が沈降して堆積し、処理槽の
有効容積が減少する。 【解決手段】 この浸漬型膜分離装置は、平面形状が円
形の処理槽１と、その処理槽１内に設けられ、複数の円
筒形の濾過膜エレメント３が同心円状に配置された濾過
ユニット２と、この濾過ユニット２の下方に配置された
散気管５から構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、有機性排水の処理
や河川水の処理などにおいて懸濁物を分離するために使
用される浸漬型膜分離装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、排水の活性汚泥処理や凝集沈澱処
理あるいは河川水の浄化処理などに膜分離技術が導入さ
れ、浄化処理と懸濁物の分離を同時に行う操作が実施さ
れている。このような処理が、例えば、排水の活性汚泥
処理である場合、図３及び図４に示すような装置があ
る。図３はその概略の平面図、図４は図３におけるＢ−
Ｂ矢視図である。この装置においては、処理槽２０内に
濾過ユニット２１が設けられている。この濾過ユニット
２１は上下両面が開放された方形の外枠２２と濾過膜が
取り付けられた濾過膜エレメント２３よりなるものであ
って、外枠２２の内側に複数の濾過膜エレメント２３が
一定の間隔をおいて垂直に配列されている。濾過膜エレ
メント２３は膜支持体の両面が濾過膜で被覆されたもの
であって、その上端部は吸引管を介して吸引ポンプ２４
に接続されている。そして、濾過ユニット２１の下方に
は、空気を吹き込むための散気管２５が配置されてい
る。

【０００３】上記構成の装置により排水の浄化処理を行
う場合、空気が吹き込まれている処理槽２０へ原水が供
給され、微生物により消化処理される。処理水は汚泥と
共に吸引ポンプ２４により吸引され、固液分離される。
すなわち、汚泥は濾過膜エレメント２３の濾過膜によっ
て捕捉され、他方、処理水は濾過膜を透過して清浄な水
となり排出される。

【０００４】この際、空気は散気管２５から濾過ユニッ
ト２１内（外枠２２の内側）へ吹き込まれ、その吹き込
みによるエアリフト作用によって、処理槽２０内に、濾
過ユニット２１の内側を上昇してその外側を下降する処
理水の循環流が形成される。このため、濾過膜エレメン
ト２３，２３の間を上昇する処理水と空気気泡によって
濾過膜エレメント２３の膜面に付着していた汚泥等の付
着物が剥離する。そして、この剥離作用にって濾過膜エ
レメント２３の膜面の目詰まりが防止される。

【０００５】なお、排水の活性汚泥処理においては、処
理槽内に比較的比重の小さい固体粒子を投入して、この
粒子に微生物を付着させ、処理槽内に多量の微生物を存
在させることによって、処理能力を大きくする装置があ
るが、このような装置に、上記のような浸漬型膜分離装
置が設けられていると、上記循環流に乗って固体粒子も
上昇するので、濾過膜に付着した付着物の剥離は一層促
進される。図３及び図４中の４０は微生物が付着した粒
子を示す。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、濾過膜
エレメント２３の目詰まり防止が図られた浸漬型膜分離
装置においては、空気の吹き込み箇所が濾過ユニット２
１の内側だけであり、その外側は下降流が起こる領域で
あるので、懸濁物の堆積が起こりやすい。

【０００７】特に、方形の濾過ユニット２１を備えた装
置においては、濾過ユニット２１の内側を上昇してきた
処理水がその外側へ流れて下降する際に、濾過ユニット
２１周辺の各所へ流れる量が一定にはならず、又、処理
槽２０と濾過ユニット２１の間隔も一定ではないので、
濾過ユニット２１の外側の水流は場所によってそれぞれ
異なる。このため、処理槽２０の角部などの箇所がデッ
トスペースになり、図３及び図４に示すように、微生物
が付着した粒子や原水中の固形物などが堆積し、この堆
積物５０によって処理槽２０の有効容積が減少してしま
うと言う問題が起こる。

【０００８】本発明は、上記の問題を解消し、懸濁物の
堆積が起こりにくい浸漬型膜分離装置を提供することを
目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、平面形状が円形の処理槽と、その処理
槽内に設けられ、複数の円筒形の濾過膜エレメントが同
心円状に配置されてなる濾過ユニットと、この濾過ユニ
ットの下方に配置された散気管よりなっている。

【００１０】本発明においては、円形の処理槽内に円筒
形の濾過ユニットが設けられているので、空気が吹き込
まれた際に、濾過ユニットの内側を上昇した処理水は濾
過ユニットの周辺へ均一に流れ出る。このため、濾過ユ
ニットの外側においては、各所を流れる処理水の流速が
一様になり、淀んだ箇所は殆どできない。

【００１１】又、本発明においては、濾過ユニットを構
成する濾過膜エレメントがそれぞれ円筒形であり、濾過
ユニットの組立に際しては、濾過膜エレメントが相互に
支持する構造にすることができるので、従来の装置にお
ける外枠のような支持体を別途に設ける必要がない。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は本発明の浸漬型膜分離装置
に係る実施の形態の一例を示す概略の平面図であり、図
２は図１におけるＡ−Ａ矢視図である。この装置は活性
汚泥処理に適用された場合の例であって、円形の処理槽
１内に、複数の円筒形の濾過膜エレメント３が同心円状
に配置された濾過ユニット２が設けられた構成になって
いる。又、濾過ユニット２は処理槽１内に同心円状に配
置されている。４は吸引管を介して濾過膜エレメント３
に接続された吸引ポンプであり、５は濾過ユニット２の
下方に配置された散気管である。４０は微生物が付着し
た粒子を示す。

【００１３】上記のように構成された装置により排水の
浄化処理を行う場合、空気が吹き込まれている処理槽１
へ原水が供給され、微生物により消化処理される。そし
て、この消化処理の進行と並行して吸引ポンプ４による
吸引が行われる。処理水は濾過膜エレメント３の濾過膜
を透過して抜き出され、汚泥はその濾過膜に捕捉されて
処理槽１内に残留する。

【００１４】又、散気管５から吹き込まれる空気によっ
て、濾過ユニット２内に上昇流が発生し、濾過膜エレメ
ント３，３の間を上昇する処理水、空気気泡、及び微生
物が付着した固体粒子によって濾過膜エレメント３の膜
面に付着していた汚泥等の付着物が剥離し、その濾過膜
の目詰まりが防止される。

【００１５】上記のように、空気の吹き込みによって濾
過ユニット２内に上昇流が発生するが、濾過ユニット２
の形状が円筒形であるので、その内部を上昇してきた処
理水はその外側へ一様に流れ出して下降する。又、濾過
ユニット２が処理槽１内に同心円状に配置されており、
濾過ユニット２と処理槽１の間隔が各所とも同じである
ので、濾過ユニット２の外側には一様な下降流が形成さ
れ、淀んだような箇所は殆どできない。このため、処理
槽１内において、懸濁物の堆積は起こらない。

【００１６】なお、図１及び図２で説明した実施の形態
は排水の活性汚泥処理に適用した場合のものであるが、
本発明は活性汚泥処理だけに適用可能なものではなく、
例えば、河川水の処理などのような懸濁物を固液分離す
る処理にはすべて適用することができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明においては、円形の処理槽内に円
筒形の濾過ユニットが設けられており、空気が吹き込ま
れた際に、濾過ユニットの内側を上昇した処理水が濾過
ユニット周辺の外側へ均一に流れるので、濾過ユニット
の外側を流れる処理水の流速が各所一様になり、淀んだ
箇所は殆どできない。このため、懸濁物が処理槽内に堆
積することはない。

【００１８】又、本発明においては、濾過ユニットを構
成する濾過膜エレメントが円筒形であり、濾過膜エレメ
ントが相互に支持する構造にすることができるので、従
来の装置における外枠のような支持体を別途に設ける必
要がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の浸漬型膜分離装置に係る実施の形態の
一例を示す概略の平面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ矢視図である。

【図３】従来の浸漬型膜分離装置の概略の平面図であ
る。

【図４】図３におけるＢ−Ｂ矢視図である。

【符号の説明】

１ 処理槽 ２ 濾過ユニット ３ 濾過膜エレメント ４ 吸引ポンプ ５ 散気管 ４０ 微生物が付着した粒子

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平面形状が円形の処理槽と、その処理槽
   内に設けられ、複数の円筒形の濾過膜エレメントが同心
   円状に配置されてなる濾過ユニットと、この濾過ユニッ
   トの下方に配置された散気管よりなる浸漬型膜分離装
   置。