JPH11282456A - 電子ピアノの鍵盤蓋機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 実質的に低コスト化を図りながら、簡素かつ
コンパクトな構成で適正かつ円滑作動を実現する電子ピ
アノの鍵盤蓋機構を提供する。 【解決手段】 鍵盤蓋２が、鍵盤１上部で進退するよう
にピアノ本体にスライド自在に支持され。鍵盤蓋２の前
部をガイドする第１のガイド手段と、鍵盤蓋２の後部を
ガイドする第２のガイド手段とを備える。第１のガイド
手段は、鍵盤１両端の腕木３の内側に設けた凹溝１０
と、鍵盤蓋２の先端付近に突設したガイドピン１１とを
含んでいる。第２のガイド手段は、腕木３の内側に突設
したガイド突片１２を含んでいる。鍵盤蓋２の前端に両
側一対の操作用ツマミ１３を備える。鍵盤蓋２の動きを
規制し、適正かつ円滑なスライド作動を保証する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鍵盤蓋を簡易な構
成でスライド自在に支持する電子ピアノの鍵盤蓋機構に
関する。

【０００２】

【従来の技術】電子ピアノにおいて、鍵盤を覆う鍵盤蓋
がピアノ本体に格納されるようになっている。鍵盤蓋を
ピアノ本体から出し入れする場合、たとえばピアノ本体
と鍵盤蓋の間にラック・アンド・ピニオン機構を装着
し、鍵盤蓋を前後に移動可能に支持したものがある。

【０００３】ラック・アンド・ピニオン式の鍵盤蓋機構
は構成が複雑であり、コストも高くなる。一方ラック・
アンド・ピニオン機構を用いない比較的簡易なものとし
て、従来たとえば図５に示したように腕木の内側にスラ
イドガイドを設け、このスライドガイドに沿って鍵盤蓋
をスライドさせるようにした低コストのスライド式鍵盤
蓋機構が知られている。

【０００４】すなわち、図５において左右（紙面垂直方
向）に配列された鍵盤１は、鍵盤蓋２によって覆われ
る。鍵盤１の両端に位置する一対の腕木３の内側には、
この例では前後に延設されたほぼ山形のスライドガイド
４が固着されている。なお、鍵盤１を含む鍵盤ユニット
は棚板５上に支持され、棚板５からは下方へ脚６が出で
いる。また上部の天屋根７には譜面台８等が設けられる
とともに、ピアノ本体内の所定部位に楽音発生用のスピ
ーカ９等が配置される。

【０００５】このスライド式鍵盤蓋機構によれば、鍵盤
蓋２がスライドガイド４によって支持されながら前後に
スライドすることができる。これにより鍵盤蓋２を実線
で示すように手前に引き出すことで鍵盤１に蓋がされ
る。また、２点鎖線で示すように鍵盤蓋２を奥（後方）
へ押し込むことにより鍵盤１が露呈し、これを使用する
ことができるというものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電子ピアノにおいて、上述のようにスライドガイド４は
腕木３の内側に張り出して構成されるため、間口がその
分だけ大きくなり、かつ鍵盤蓋２の動きの上方への規制
がない。したがって、鍵盤蓋２は図５の点線で示すよう
に不用意に開いてしまうことがあるばかりか、無理に持
ち上げようとすると損傷するおそれがある。

【０００７】また、図５に示した従来のスライド式鍵盤
蓋機構はラック・アンド・ピニオン式でないため、簡易
な構成であると同時に鍵盤蓋２の作動円滑性については
不利な点もあった。すなわち、たとえば鍵盤蓋２を開け
る際に左右のいずれか片側にこじてしまうと、そのまま
では鍵盤蓋２が開け難くなる場合ある。

【０００８】本発明かかかる実情に鑑み、実質的に低コ
スト化を図りながら、簡素かつコンパクトな構成で適正
かつ円滑作動を実現する電子ピアノの鍵盤蓋機構を提供
することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の電子ピアノの鍵
盤蓋機構は、鍵盤蓋が、鍵盤上部で進退するようにピア
ノ本体にスライド自在に支持される電子ピアノの鍵盤蓋
機構であって、鍵盤蓋の前部をガイドする第１のガイド
手段と、鍵盤蓋の後部をガイドする第２のガイド手段と
を備え、鍵盤蓋が所定軌道に沿ってスライドするように
したことを特徴とする。

【００１０】また、本発明の電子ピアノの鍵盤蓋機構に
おいて、前記第１のガイド手段は、鍵盤両端の腕木の内
側に設けた凹溝と、鍵盤蓋の先端付近に突設したガイド
ピンとを含んでいることを特徴とする。また、本発明の
電子ピアノの鍵盤蓋機構において、前記第２のガイド手
段は、腕木の内側に突設したガイド突片を含んでいるこ
とを特徴とする。また、本発明の電子ピアノの鍵盤蓋機
構において、鍵盤蓋の前端に両側一対の操作用ツマミを
備えたことを特徴とする。

【００１１】本発明によれば、鍵盤蓋の前部をガイドす
る第１のガイド手段と、鍵盤蓋の後部をガイドする第２
のガイド手段とを備える。特に第１のガイド手段は、鍵
盤両端の腕木の内側に設けた凹溝と、鍵盤蓋の先端付近
に突設したガイドピンとを含み、つまり腕木の内側に張
り出す構成を採用しないため、間口をその分だけ小さく
するこができる。また、かかる凹溝およびガイドピンの
嵌合構造により鍵盤蓋の動きを規制し、鍵盤蓋の適正か
つ円滑なスライド作動を保証する。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図１〜図４に基づき従来例
と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用い
て、本発明による電子ピアノの鍵盤蓋機構の好適な実施
の形態を説明する。本発明において、鍵盤１を覆う鍵盤
蓋２がピアノ本体に格納されるようになっており、鍵盤
蓋２をピアノ本体から出し入れする場合、鍵盤蓋２を簡
易な構成でスライド自在に支持する鍵盤蓋機構を備える
ものとする。

【００１３】図１は、この実施形態における電子ピアノ
の外観構成を示している。図１に示されるように左右に
配列された鍵盤１は、鍵盤蓋２によって覆われるが、鍵
盤蓋２がピアノ本体に押し込まれることで鍵盤１が露呈
し、これを使用することができる。鍵盤蓋２は、後述す
るようにガイド手段によって所定軌道に沿ってスライド
する。

【００１４】図２は、本発明の要部構成を示している。
本発明において鍵盤蓋２の前部をガイドする第１のガイ
ド手段と、鍵盤蓋の後部をガイドする第２のガイド手段
とを備えている。第１のガイド手段は、鍵盤１両端の腕
木３の内側に設けた凹溝１０と、鍵盤蓋２の先端付近に
突設したガイドピン１１とを含んでいる。

【００１５】凹溝１０は図２のように異形の鍵型状に形
成され、ガイドピン１１が嵌入し得る一定幅で延設され
る。凹溝１０の内表面には、ガイドピン１１に対する適
度な滑り性と耐磨耗性を確保するために適宜の表面被材
１０ａを施すとよい。ガイドピン１１は、図３（Ａ）に
も示すように鍵盤蓋前付２ａの側端から腕木３に向けて
突出形成される。ガイドピン１１は好適には、鉄等の金
属製あるいはプラスチック等の材料に形成することがで
きる。図示のようにガイドピン１１が凹溝１０にぴった
りと、かつ摺動可能に嵌入することで鍵盤蓋２の前部が
第１のガイド手段によってスライド自在に適正に支持さ
れる。

【００１６】また、本発明の鍵盤蓋機構において第２の
ガイド手段は、腕木３の内側に突設したガイド突片１２
を含んでいる。このガイド突片１２は図２に示されるよ
うに天屋根７の下方にほぼ対応配置され、この場合僅か
に前上がりに傾斜させるとよい。ガイド突片１２の前端
部および上表面には、鍵盤蓋２（の下面）に対する適度
な滑り性と耐磨耗性を確保するために適宜の表面被材１
２ａを施すとよい。図３（Ｂ）にも示すように鍵盤蓋２
の両端部は、左右一対のガイド突片１２に載置され、こ
れにより第２のガイド手段によってスライド自在に支持
される。

【００１７】さらに、本発明の鍵盤蓋機構において鍵盤
蓋２の前端に両側一対の操作用ツマミ１３を備える。す
なわち、図３（Ａ）または図４に示されるように鍵盤蓋
前付２ａの左右両端部にて前面側にツマミ１３が突設さ
れる。なお、ツマミ１３の表面には、たとえば適宜のロ
ーレット加工を施して、これを握った際に滑り難くする
のが好適である。

【００１８】上記構成において、鍵盤蓋２の前部をガイ
ドする第１のガイド手段と、鍵盤蓋の後部をガイドする
第２のガイド手段とを備える。第１のガイド手段によれ
ば、凹溝１０およびガイドピン１１の嵌合構造により鍵
盤蓋２の動きを規制する。また第２のガイド手段によれ
ば、鍵盤蓋２がガイド突片１２上でスライド自在に支持
される。これらのガイド手段により鍵盤蓋２が所定軌道
に沿ってスライドするようにガイドし、これにより鍵盤
蓋２の適正かつ円滑なスライド作動を保証することがで
きる。

【００１９】従来のようにガイドが腕木３の内側に張り
出す構成を採用せず、したがって鍵盤蓋２が上に開いて
しまう危険はない。このため無理な力が加わって鍵盤蓋
２を損傷する等の心配が全くない。このように部材の保
護を図るとともに鍵盤蓋２の操作上、高い安全性を確保
することができる。さらに、従来のような張り出すガイ
ドがないため、間口をその分だけ小さくするこができ、
コンパクトな構成を実現することができる。

【００２０】また、鍵盤蓋２をスライドさせて出し入れ
する場合、鍵盤蓋前付２ａに設けたツマミ１３を握って
行うことで、鍵盤蓋２を左右のバランスよく引き出し、
あるいは押し入れることがきる。したがって、このよう
に鍵盤蓋２の出し入れの際、鍵盤蓋２がこじれることが
ないため円滑なスライド作動を実現し、使用性を大幅に
向上させることができる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、こ
の種の電子ピアノにおいて凹溝およびガイドピンの嵌合
構造により鍵盤蓋の動きを規制することで、鍵盤蓋の適
正かつ円滑なスライド作動を保証する。この場合、ラッ
ク・アンド・ピニオン機構等を用いないため、実質的に
低コスト化を図りながら、簡素かつコンパクトな構成の
鍵盤蓋機構を提供することができる等の利点を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電子ピアノの鍵盤蓋機構に係る電子ピ
アノの外観構成を示す斜視図である。

【図２】本発明の電子ピアノの鍵盤蓋機構の実施形態に
おける要部構成を示す断面図である。

【図３】本発明の電子ピアノの鍵盤蓋機構に係る第１お
よび第２のガイド手段を示すそれぞれ正面断面図であ
る。

【図４】本発明の電子ピアノの鍵盤蓋機構に係る操作ツ
マミの例を示す図である。

【図５】従来の電子ピアノの鍵盤蓋機構の要部構成を示
す断面図である。

【符号の説明】

１ 鍵盤 ２ 鍵盤蓋 ３ 腕木 ５ 棚板 ６ 脚 ７ 天屋根 ８ 譜面台 ９ スピーカ １０ 凹溝 １１ ガイドピン １２ ガイド突片 １３ 操作用ツマミ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鍵盤蓋が、鍵盤上部で進退するようにピ
   アノ本体にスライド自在に支持される電子ピアノの鍵盤
   蓋機構であって、 鍵盤蓋の前部をガイドする第１のガイド手段と、鍵盤蓋
   の後部をガイドする第２のガイド手段とを備え、鍵盤蓋
   が所定軌道に沿ってスライドするようにしたことを特徴
   とする電子ピアノの鍵盤蓋機構。
2. 【請求項２】 前記第１のガイド手段は、鍵盤両端の腕
   木の内側に設けた凹溝と、鍵盤蓋の先端付近に突設した
   ガイドピンとを含んでいることを特徴とする請求項１に
   記載の電子ピアノの鍵盤蓋機構。
3. 【請求項３】 前記第２のガイド手段は、腕木の内側に
   突設したガイド突片を含んでいることを特徴とする請求
   項１または２に記載の電子ピアノの鍵盤蓋機構。
4. 【請求項４】 鍵盤蓋の前端に両側一対の操作用ツマミ
   を備えたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項
   に記載の電子ピアノの鍵盤機構。