JPH11281736A - ステルスレーダー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーダー装置本体のある場所から目標に向け
て電波を放射すると、その電波を基に目標はレーダー装
置の場所を特定できる。防衛機器における目標はすなわ
ち脅威であるので、目標からレーダー装置の位置を特定
できないようにする必要がある。 【解決手段】 レーダー装置本体とは分離した電波中継
器に設け、目標に直接電波を送受信するアンテナを上記
中継器に設けることによって、目標からは上記電波中継
器しか位置を特定できないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、防衛機器で使用
しているレーダーなど、送信した電波を基に目標から位
置を特定されてはならないレーダーに、送信場所だけを
レーダー装置から離すステルスレーダー装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】レーダー装置は、目標に対し電波を送信
し、目標によって反射された電波を受信することによっ
て目標の位置、距離、速度等の情報を得ている。しか
し、レーダー装置が送信した電波を目標が受信すること
によって、目標にもレーダー装置の位置が特定できてし
まう。防衛機器で使用するレーダー装置は、目標はすな
わち脅威であるので、目標にはレーダー装置の位置を隠
す必要がある。

【０００３】図７はこの種の装置の従来の構成を示すも
のである。図において、１はレーダー送受信器、２はフ
ェーズドアレイアンテナであって、それ自体の位置や方
向は変えずに、送信電波３及び目標４によって反射され
た受信電波５の方向に指向性を変化させることができ
る。６は送受信方向制御装置であり、フェーズドアレイ
アンテナ２の送受信方向を制御する。

【０００４】次に動作について説明する。レーダー送受
信器１が送信を開始すると、フェーズドアレイアンテナ
２から送信電波３が放射される。送受信方向制御装置６
によって送信電波３の方向を変化させ、目標４によって
反射された受信電波５をレーダー送受信器１が受信する
と、送受信方向制御装置６は送受信方向を目標４の方向
に固定する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のレ
ーダー装置における問題点を説明する。従来のレーダー
装置においては、レーダー装置本体のある場所から目標
に向けて電波を放射するため、その電波を基に目標はレ
ーダー装置の場所を特定できてしまった。防衛機器にお
ける目標はすなわち脅威であるので、目標からの攻撃に
さらされる危険があった。

【０００６】この発明は前記の課題を解決するためにな
されたもので、目標がレーダー装置本体の場所を特定で
きなくすることができるステルスレーダー装置を提供す
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】第１、第２、第３の発明
においては、レーダー装置本体とは分離した電波中継器
に設け、目標に直接電波を送信するアンテナを上記中継
器に設けることによって目標からは上記電波中継器しか
位置を特定できないようにしたことを特徴とする。

【０００８】また、第４の発明においては、複数の上記
電波中継器を設け、電波を直接目標に向けて送信する中
継器を随時切り替えることによって、さらに目標から電
波中継器の位置も特定しにくくしたことを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】実施の形態１．図１はこの発明の
実施の形態１におけるステルスレーダー装置の構成を示
すものであり、図において、１から６は図７と同じであ
る。図７と異なる点は、レーダー送受信器１とフェーズ
ドアレイアンテナ２の間に一定の距離をおき、交信を第
１の単一指向性アンテナ７と、対向する第２の単一指向
性アンテナ８で行うようにした。９は１次送信電波であ
り、レーダー送受信器１からの送信電波が第１の単一指
向性アンテナ７から送信され、第２の単一指向性アンテ
ナ８で受信されるまでの電波である。１０は１次受信電
波であり、フェーズドアレイアンテナ２からの受信電波
が第２の単一指向性アンテナ８から送信され、第１の単
一指向性アンテナ７で受信されるまでの電波である。１
１は記憶装置であり、レーダー送信機１とフェーズドア
レイアンテナ２との相対位置を記憶している。１２はプ
ロセッサであり、記憶装置１１に記憶されたレーダー送
受信器１の位置とフェーズドアレイアンテナ２の相対位
置を基に目標によって反射された受信電波５、および電
波中継器Ｔを経由した１次受信電波１０に含まれる目標
の位置の情報を補正する命令をレーダー送受信器１に送
る。また、各要素を本発明の運用における配置を示す図
２を参照しながら説明する。Ｒはレーダー装置であり、
レーダー送受信器１、送受信方向制御装置６、第１の単
一指向性アンテナ７、記憶装置１１、プロセッサ１２に
より構成されている。Ｔは電波中継器であり、フェーズ
ドアレイアンテナ２および第２の単一指向性アンテナ８
より構成され、レーダー装置Ｒとは離れた位置に配置さ
れている。本発明は以上の要素により構成されている。

【００１０】次に動作について説明する。レーダー送受
信器１が送信を開始すると、第１の単一指向性アンテナ
７より１次送信電波９が放射される。１次送信電波９が
第２の単一指向性アンテナ８に到達すると、フェーズド
アレイアンテナ２から送信電波３が放射される。送受信
方向制御装置６によって送信電波３の方向を変化させ、
目標４によって反射された受信電波５をレーダー送受信
器１が受信すると、送受信方向制御装置６は送受信方向
を目標４の方向に固定する。送受信方向制御装置６は目
標４の方向をプロセッサ１２に出力する。レーダー送受
信器１は受信電波５が電波中継器Ｔを経由した１次受信
電波１０により目標の位置の情報を得るが、その際、プ
ロセッサ１２は、記憶装置１１に記憶されたレーダー送
受信器１の位置とフェーズドアレイアンテナ２の相対位
置を基に目標４の位置を補正する命令をレーダー送受信
器１に送り、レーダー送受信器１は、レーダー装置本
体、すなわちレーダー送受信器１と目標４との相対位置
を得る。

【００１１】実施の形態２．図３はこの発明の実施の形
態２におけるステルスレーダー装置の構成を示すもので
あり、図において、１、および３から１２、Ｒは図１と
同じである。また、運用における各要素の配置は図２と
同じである。図１と異なる点は、電波中継器Ｔの構成要
素を、フェーズドアレイアンテナ２を第３の単一指向性
アンテナ１３と第３の単一指向性アンテナ１３の向きを
変えるアンテナ操舵アクチュエータ１４に置き換えた。

【００１２】次に動作について説明する。実施の形態２
の動作は送受信方向制御装置６が目標４の方向に送信電
波３の方向を定める動作以外は実施の形態１と同じであ
る。実施の形態１と異なる点は、送受信方向制御装置６
はアンテナ操舵アクチュエータ１４を制御し、アンテナ
操舵アクチュエータ１４は接続されている第３の単一指
向性アンテナ１３の向きを変えることによって送信電波
３の方向を変化させる。目標４によって反射された受信
電波５をレーダー送受信器１が受信すると、送受信方向
制御装置６は送受信方向を目標４の方向に固定する。

【００１３】実施の形態３．図４はこの発明の実施の形
態３におけるステルスレーダー装置の構成を示すもので
あり、図において、１、および３から７、９〜１２、Ｒ
は図１と同じである。また、運用における各要素の配置
は図２と同じである。図１と異なる点は、電波中継器Ｔ
の構成要素のフェーズドアレイアンテナ２を、電波反射
板１５と電波反射板１５の向きを変える電波反射板操舵
アクチュエータ１６に置き換えた。

【００１４】次に動作について説明する。実施の形態３
の動作は送受信方向制御装置６が目標４の方向に送信電
波３の方向を定める動作以外は実施の形態１と同じであ
る。実施の形態１と異なる点は、送受信方向制御装置６
は電波反射板操舵アクチュエータ１６を制御し、電波反
射板操舵アクチュエータ１６は接続されている電波反射
板１５の向きを変えることによって反射された送信電波
３の方向を変化させる。目標４により反射された受信電
波５をレーダー送受信器１が受信すると、送受信方向制
御装置６は送受信方向を目標４の方向に固定する。

【００１５】実施の形態４．図５はこの発明の実施の形
態４におけるステルスレーダー装置の構成を示すもので
あり、図において、１から６、および８から１２は図１
と同じである。図１と異なる点は、第１の単一指向性ア
ンテナ７を中継用フェーズドアレイアンテナ１７に置き
換え、さらには電波中継器Ｔを複数設置した点で、それ
ぞれの電波中継器をＴ１、Ｔ２、・・・Ｔｎとしてあ
る。また、各要素を本発明の運用における配置を示す図
６を参照しながら説明する。レーダー装置Ｒの構成要素
は、第１の単一指向性アンテナ７を中継用フェーズドア
レイアンテナ１７に置き換えた点以外は同じである。電
波中継器Ｔの構成要素は図１と同じであり、それぞれ電
波中継器Ｔから離れた位置に配置してある。本発明は以
上の要素で構成されている。

【００１６】次に動作について説明する。レーダー送受
信器１が送信を開始すると、中継用フェーズドアレイア
ンテナ１７より１次送信電波９が電波中継器Ｔ１の第２
の単一指向性アンテナ８に向けて放射される。１次送信
電波９が第２の単一指向性アンテナ８に到達すると、フ
ェーズドアレイアンテナ２から送信電波３が放射され
る。送受信方向制御装置６によって送信電波３の方向を
変化させ、目標４によって反射された受信電波５をレー
ダー送受信器１が受信すると、送受信方向制御装置６は
送受信方向を目標４の方向に固定する。送受信方向制御
装置６は目標４の方向をプロセッサ１２に出力する。レ
ーダー送受信器１は受信電波５が電波中継器Ｔを経由し
た１次受信電波１０により目標の位置の情報を得るが、
その際、プロセッサ１２は、記憶装置１１に記憶された
レーダー送受信器１の位置と電波中継器Ｔ１のフェーズ
ドアレイアンテナ２の相対位置を基に目標４の位置を補
正する命令をレーダー送受信器１に送り、レーダー送受
信器１は、レーダー装置Ｒ本体、すなわちレーダー送受
信器１と目標４との相対位置を得る。

【００１７】ところで、このままでは目標４はレーダー
装置Ｒの位置は特定できないが、電波中継器Ｔ１の位置
を特定してしまう。それを防ぐために、電波を中継する
電波中継器Ｔを任意のＴｘに随時変更する。変更の方法
を以下に記す。記憶装置１１に記憶してあるそれぞれの
電波中継器Ｔｘの相対位置を基に、プロセッサ１２から
送受信方向制御装置６へ使用する電波中継器Ｔｘの方向
の情報が出力され、送受信方向制御装置６は、レーダー
装置Ｒの中継用フェーズドアレイアンテナ１７を制御
し、１次送信電波９の方向を、新たに使用する電波中継
器Ｔｘの方向へ変更する。さらには、プロセッサ１２
は、変更前の電波中継器Ｔｙから得た目標４の位置なら
びに記憶装置１１に記憶されている変更前の電波中継器
Ｔｙと新たに使用する電波中継器Ｔｘの相対位置とを計
算し、新たに使用する電波中継器Ｔｘからみた目標４の
位置を送受信方向制御装置６に出力し、送受信方向制御
装置６は新たに使用する電波中継器Ｔｘのフェーズドア
レイアンテナ２の送受信方向を目標４の方向に制御す
る。

【００１８】

【発明の効果】第１、第２、第３の発明においては、レ
ーダー電波の送受信位置をレーダー装置から離すことが
できるので、レーダー装置の位置を目標が特定できなく
なる。

【００１９】また、第４の発明においては、レーダー電
波の送受信位置をレーダー装置から離すことができ、さ
らにはレーダー電波の送受信位置も随時替わるので、レ
ーダー装置の位置に加えて電波中継器の位置も目標が特
定できなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１におけるステルスレ
ーダー装置の構成を示す図である。

【図２】 この発明の実施の形態１、２および３におけ
るステルスレーダー装置の各要素の配置を示す図であ
る。

【図３】 この発明の実施の形態２におけるステルスレ
ーダー装置の構成を示す図である。

【図４】 この発明の実施の形態３におけるステルスレ
ーダー装置の構成を示す図である。

【図５】 この発明の実施の形態４におけるステルスレ
ーダー装置の構成を示す図である。

【図６】 この発明の実施の形態４におけるステルスレ
ーダー装置の各要素の配置を示す図である。

【図７】 従来のレーダー装置の構成を示す図である。

【符号の説明】

１ レーダー送受信器、２ フェーズドアレイアンテ
ナ、３ 送信電波、４目標、５ 受信電波、６ 送受信
方向制御装置、７ 第１の単一指向性アンテナ、８ 第
２の単一指向性アンテナ、９ １次送信電波、１０ １
次受信電波、１１ 記憶装置、１２ プロセッサ、１３
第３の単一指向性アンテナ、１４ アンテナ操舵アク
チュエータ、１５ 電波反射板、１６ 電波反射板操舵
アクチュエータ、１７ 中継用フェーズドアレイアンテ
ナ、Ｒ レーダー装置、Ｔ 電波中継器。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レーダー送受信器と、レーダー送受信器
   に入出力する高周波を送受信する第１の単一指向性アン
   テナと、この第１の単一指向性アンテナと対向配置さ
   れ、第１の単一指向性アンテナと電波で交信する第２の
   単一指向性アンテナと、この第２の単一指向性アンテナ
   に入出力する高周波を目標に向けて送受信する電波の方
   向をアンテナの方向を変えずに変化できるフェーズドア
   レイアンテナと、フェーズドアレイアンテナを制御し、
   フェーズドアレイアンテナの送受信方向を目標方向に向
   ける送受信方向制御装置と、レーダー送受信器の位置と
   フェーズドアレイアンテナの位置関係を記憶している記
   憶装置と、この記憶装置に記憶されたレーダー送受信器
   の位置とフェーズドアレイアンテナの相対位置を基に送
   受信方向制御装置に制御命令を送り、かつ受信電波に含
   まれる目標の位置の情報を補正する命令をレーダー送受
   信器に送るプロセッサとを備えたことを特徴とするステ
   ルスレーダー装置。
2. 【請求項２】 レーダー送受信器と、レーダー送受信器
   に入出力する高周波を送受信する第１の単一指向性アン
   テナと、この第１の単一指向性アンテナと対向配置さ
   れ、第１の単一指向性アンテナと電波で交信する第２の
   単一指向性アンテナと、この第２の単一指向性アンテナ
   に入出力される高周波を目標に向けて送受信する第３の
   単一指向性アンテナと、この第３の単一指向性アンテナ
   を目標方向に向けるアンテナ操舵アクチュエータと、こ
   のアンテナ操舵アクチュエータを制御し、第３の単一指
   向性アンテナの送受信方向を目標方向に向ける送受信方
   向制御装置と、レーダー送受信器の位置と第３の単一指
   向性アンテナの位置関係を記憶している記憶装置と、こ
   の記憶装置に記憶されたレーダー送受信器の位置と第３
   の単一指向性アンテナの相対位置を基に送受信方向制御
   装置に制御命令を送り、かつ受信電波に含まれる目標の
   位置の情報を補正する命令をレーダー送受信器に送るプ
   ロセッサとを備えたことを特徴とするステルスレーダー
   装置。
3. 【請求項３】 レーダー送受信器と、レーダー送受信器
   に入出力する高周波を送受信する第１の単一指向性アン
   テナと、この第１の単一指向性アンテナの指向方向に配
   置され電波を反射する反射板と、この反射板によって反
   射された第１の単一指向性アンテナの電波が目標方向に
   向くように反射板の向きを変える反射板操舵アクチュエ
   ータと、この反射板操舵アクチュエータを制御し、反射
   板によって反射された第１の単一指向性アンテナの電波
   の方向を目標方向に向ける送受信方向制御装置と、レー
   ダー送受信器の位置と反射板の位置関係を記憶している
   記憶装置と、この記憶装置に記憶されたレーダー送受信
   器の位置と反射板の相対位置を基に送受信方向制御装置
   に制御命令を送り、かつ受信電波に含まれる目標の位置
   の情報を補正する命令をレーダー送受信器に送るプロセ
   ッサとを備えたことを特徴とするステルスレーダー装
   置。
4. 【請求項４】 レーダー送受信器と、レーダー送受信器
   に入出力する高周波を送受信する電波の方向をアンテナ
   の向きを変えずに変化できる中継用フェーズドアレイア
   ンテナと、この中継用フェーズドアレイアンテナの指向
   方向に配置され中継用フェーズドアレイアンテナと電波
   で交信する複数の単一指向性アンテナと、それぞれの単
   一指向性アンテナに入出力する高周波を目標に向けて送
   受信するフェーズドアレイアンテナと、これらのフェー
   ズドアレイアンテナの電波の送受信方向を目標に向け、
   かつ任意の単一指向性アンテナの方向に中継用フェーズ
   ドアレイアンテナの送受信電波を向ける送受信方向制御
   装置と、レーダー送受信器の位置と複数のフェーズドア
   レイアンテナの位置関係を記憶している記憶装置と、こ
   の記憶装置に記憶されたレーダー送受信器の位置と複数
   のフェーズドアレイアンテナの相対位置を基に送受信方
   向制御装置に制御命令を送り、かつ受信電波に含まれる
   目標の位置の情報を補正する命令をレーダー送受信器に
   送るプロセッサとを備えたことを特徴とするステルスレ
   ーダー装置。