JPH1128092A - 新規なタンパク質opfか5及びその遺伝子 - Google Patents
新規なタンパク質opfか5及びその遺伝子Info
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- JPH1128092A JPH1128092A JP9202202A JP20220297A JPH1128092A JP H1128092 A JPH1128092 A JP H1128092A JP 9202202 A JP9202202 A JP 9202202A JP 20220297 A JP20220297 A JP 20220297A JP H1128092 A JPH1128092 A JP H1128092A
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Abstract
を持つ細胞への分化誘導活性を有するOPFか5及び該
OPFか5の類似タンパク質、これらのタンパク質のペ
プチド断片、抗体、これらのタンパク質を有効成分とす
る医薬、これらのタンパク質をコードする遺伝子、該遺
伝子の発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転
換体、該形質転換体を用いる組換えタンパク質の生産方
法、前記遺伝子の導入及び欠損に係るトランスジェニッ
ク動物、あるいは骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分
解能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤のスク
リーニングにおける、前記タンパク質の用途。 【効果】新規なタンパク質OPFか5は、骨髄細胞から
ヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活
性を有することから、該機能を発揮することにより治療
される幅広い疾患への応用が可能である。
Description
OPFか5及びその遺伝子に関する。さらに詳しくは、
骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞へ
の分化誘導活性を有するOPFか5及び該OPFか5の
類似タンパク質、またはこれらのタンパク質のペプチド
断片、抗体、これらのタンパク質を有効成分とする医
薬、あるいはこれらのタンパク質をコードする遺伝子、
該遺伝子の発現ベクター、該発現ベクターを導入した形
質転換体、該形質転換体を用いる組換えタンパク質の生
産方法、前記遺伝子の導入及び欠損に係るトランスジェ
ニック動物、さらには骨髄細胞からヒドロキシアパタイ
ト分解能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤の
スクリーニングにおける、前記タンパク質の用途に関す
る。
骨幹を成す非常に重要なものであり、その濃度は極めて
厳密に一定の値が保たれている。何らかの原因により血
中カルシウム濃度が上昇すると、高血圧症、動脈硬化
症、糖尿病、心筋梗塞、高カルシウム血症等の種々の疾
患が引き起こされる。逆に、血中カルシウム濃度が低下
すると、低カルシウム血症等の疾患が引き起こされる。
また、大量出血や放射線被爆などによる血中カルシウム
の大量減少が原因となり、死に到る場合もある。このよ
うな、生体において極めて重要な血中カルシウムの濃度
調節を行っている細胞としては、現在、破骨細胞が知ら
れている。破骨細胞は、骨(骨基質)を溶解して血中に
カルシウムを放出することにより、血中カルシウム濃度
を直接調節していると考えられている。しかし、破骨細
胞は哺乳類では生体内でわずか 5万個程度しかなく、一
方、カルシウムを蓄えた石灰化硬組織に埋め込まれた骨
細胞は、1mm3 の骨中にさえ約 2万 5千個もあることか
ら、血中カルシウムの濃度調節を行うには破骨細胞のみ
では少なすぎると考えられている(久米川ら, Molecula
r Medicine,30, p1254 (1993)および小沢ら, 日本臨床
vol.52, No.9, p2246 (1994)) 。
pマウスには破骨細胞が存在していないため、破骨細胞
本来の作用である骨のリモデリングが殆ど起こらない。
しかし破骨細胞が存在していないにもかかわらず、血中
のカルシウム濃度は正常に保たれている(Molecular Me
dicine Vol.30,No.10,p1240 (1993)) 。このことは、破
骨細胞による血中カルシウム濃度の調節はあくまでも補
助的なものであり、破骨細胞以外に血中カルシウム濃度
の調節を中心的に行っている、何か別の細胞が存在して
いることを示唆している。該細胞は未だ同定されていな
いが、該細胞を増殖させる因子、あるいは該細胞への分
化を誘導する因子が発見されれば、因子そのもの或いは
その阻害剤が、上述の如き血中カルシウム濃度の異常に
起因する種々の疾患に対し、治療薬となることが考えら
れる。このような観点から該因子の同定が望まれている
が、未だクローニングされたという報告はない。
する課題は、骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能
を持つ細胞への分化誘導活性を有する新規なタンパク質
OPFか5及びその遺伝子を提供することにある。さら
に詳しくは、骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能
を持つ細胞への分化誘導活性を有するOPFか5及び該
OPFか5の類似タンパク質、またはこれらのタンパク
質のペプチド断片、抗体、これらのタンパク質を有効成
分とする医薬、あるいはこれらのタンパク質をコードす
る遺伝子、該遺伝子の発現ベクター、該発現ベクターを
導入した形質転換体、該形質転換体を用いる組換えタン
パク質の生産方法、前記遺伝子の導入及び欠損に係るト
ランスジェニック動物、さらには骨髄細胞からヒドロキ
シアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性に対す
る阻害剤のスクリーニングにおける、前記タンパク質の
用途を提供することにある。
骨転移細胞であるBW5147細胞から発現クローニグ
法により破骨細胞分化促進因子を探索していた。すなわ
ち、BW5147細胞から単離したmRNAをアフリカ
ツメガエル卵母細胞に注入して翻訳させ、得られた翻訳
産物(タンパク質)をマウス骨髄細胞に作用させ、骨髄
細胞から破骨細胞が分化誘導されるか否かを指標に、該
因子の探索を行っていた。具体的には、(1)TRAP
染色性、(2)象牙の分解活性、(3)骨中のカルシウ
ムの結晶であるヒドロキシアパタイトに対する分解活性
の、破骨細胞の公知の3つの特性を有する細胞を「破骨
細胞」と認定し、骨髄細胞から該破骨細胞へと分化誘導
する作用を持つ因子を、「破骨細胞分化促進因子」と認
定することとした。
中において、上記破骨細胞分化促進因子とは異なる性質
を有する新規なタンパク性因子を発見した。すなわち該
因子により分化誘導された細胞は、上記(1)〜(3)
のうち(3)のヒドロキシアパタイト分解活性は有する
が(1)、(2)の活性は有さないというものである。
このように(3)の活性のみを有するということから、
該因子は、破骨細胞分化促進因子とは異なる別の因子で
あり、しかも(3)の活性−すなわち骨中のカルシウム
の結晶であるヒドロキシアパタイトを分解する細胞(よ
り詳しくは、ヒドロキシアパタイトを分解してカルシウ
ムを放出する細胞)へと骨髄細胞を分化誘導する活性を
有することから、未だ同定されていない血中カルシウム
濃度の調節細胞への分化誘導因子(以下、単に血中カル
シウム濃度の調節因子と略すこともある)であることが
考えられる。我々は、この新規なタンパク性因子をOP
Fか5と命名し、さらに研究を重ねて本発明を完成する
に至った。
(a)又は(b)のタンパク質をコードするDNA、
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
パク質 (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列のうち1若し
くは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された
アミノ酸配列からなり、かつ骨髄細胞からヒドロキシア
パタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を有するタ
ンパク質 (2) 配列番号:1に記載の塩基配列からなるDN
A、又はそのDNAとストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズし、かつ骨髄細胞からヒドロキシアパタイト
分解能を持つ細胞への分化誘導活性を有するタンパク質
をコードするDNA、(3) 前記(1)又は(2)記
載のDNAがコードするタンパク質、(4) 配列番
号:2に記載のアミノ酸配列からなる、前記(3)記載
のタンパク質、(5) 前記(1)又は(2)記載のD
NAを含有する発現ベクター、(6) 前記(5)記載
の発現ベクターによって形質転換された形質転換体、
(7) 前記(6)記載の形質転換体を、前記(5)記
載の発現ベクターの発現可能な条件下で培養することを
特徴とする、組換えタンパク質の生産方法、(8) 前
記(3)又は(4)記載のタンパク質を有効成分として
含有する医薬、(9) 前記(3)又は(4)記載のタ
ンパク質の、少なくとも6アミノ酸以上の部分よりなる
ペプチド断片、(10) 前記(3)又は(4)記載の
タンパク質、あるいは前記(9)記載のペプチド断片
の、いずれかに対する抗体、(11) 前記(3)又は
(4)記載のタンパク質を用いることを特徴とする、骨
髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への
分化誘導活性に対する阻害剤のスクリーニング方法、
(12) 前記(11)記載のスクリーニング方法によ
り得られる、骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能
を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤、(13)
前記(9)記載のペプチド断片又は前記(10)記載
の抗体からなる、前記(12)記載の阻害剤、並びに
(14) 前記(1)又は(2)記載のDNAを人為的
に染色体中に導入するか、あるいはいずれかを染色体中
から欠損させたトランスジェニック動物、に関する。
Fか5のDNA、あるいは該OPFか5DNAに類似の
DNAであって骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解
能を持つ細胞への分化誘導活性を有するタンパク質をコ
ードするDNAであれば特に限定されないが、例えば、
配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA、又は配
列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質を
コードするDNAが挙げられる。さらに、配列番号:2
に記載のアミノ酸配列のうち1若しくは複数のアミノ酸
が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からな
るタンパク質をコードするDNA、あるいは配列番号:
1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェント
な条件下でハイブリダイズするDNAも、骨髄細胞から
ヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活
性を有するタンパク質をコードする限り、本発明のDN
Aに含まれる。以下、これらのDNAにつき順次説明す
る。
らなるDNA、又は配列番号:2に記載のアミノ酸配列
からなるタンパク質をコードするDNA」とは、本発明
のOPFか5をコードするDNAである。該DNAは、
例えば以下に示す「発現クローニング法」により得るこ
とができる。すなわち、まず骨転移細胞から全RNAを
調製し、続いて全RNAからmRNAを調製する。ここ
で使用する骨転移細胞としては、例えばマウスBW51
47細胞株が挙げられる。全RNAは、AGPC法( acid g
uanidium thiocyanate-phenol-chloroform method ; Tu
ji, Nakamura :実験医学 9, p99 (1991)) 等の常法によ
り調製することができる。また、mRNAはオリゴdT
セルロースカラムを用い、例えば Molecular Cloning 2
nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)
等に記載の方法により調製することができる。次に、得
られたmRNAをもとにcDNAライブラリーを調製す
る。cDNAライブラリーは、全mRNAをもとに調製
してもよいし、全mRNAの一部からなるmRNA画分
をもとに調製してもよい。このmRNA画分は、たとえ
ばショ糖密度勾配遠心法等の常法により分画されたmR
NAのうち、骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能
を持つ細胞への分化誘導活性の存在する画分およびその
前後の画分のみを集めることにより調製することもでき
る(該活性の測定法については後述する)。cDNAラ
イブラリーは、たとえば Gubler&Hoffman 法(Gene, 25,
p263 (1983)) 等の常法により調製することができる。
プールに分ける。ここで、1プール当たりのcDNAク
ローンの数は、cDNAライブラリーを構成するインデ
ィペンデントクローン数によって任意に決定することが
できるが、たとえば 6×105個程度のインディペンデン
トクローンからなるcDNAライブラリーの場合、 1×
104クローンを 1プールとする60プール程度に分けるの
が、後の操作上適当であろう。続いて各プールより常法
によりDNAを調製し、このDNAをテンプレートに用
いてcRNAを調製する。cRNAは、たとえば市販の
mRNA cappingキット(Stratagene 社) を用いて容易
に調製することができる。次に、各プール毎のcRNA
をアフリカツメガエル卵母細胞に注入することにより、
cRNAからタンパク質への翻訳を行う。卵母細胞への
注入は、たとえば以下の方法により行うことができる。
すなわち、体長10cm程度のメスのアフリカツメガエルか
ら卵母細胞の卵塊を取り出し、顕微鏡下で卵母細胞を一
つずつ切り離し、ステージVかVIの傷のない生細胞を
選別し、この卵母細胞にデジタルマイクロディスペンサ
ー等を用いてキャピラリーよりcRNAを注入する。卵
母細胞 1個当たりの注入量は50nl以下が望ましい。その
後数日間培養した後、培養上清を採取する。cRNAか
ら翻訳された翻訳産物(タンパク質)は培養上清中に存
在するため、この培養上清をアッセイ用のサンプルとす
ることができる。次に、この培養上清サンプルを用い、
以下のアッセイを行う。
を使用する。具体的には、たとえば6〜12週令のマウス
の大腿骨および脛骨の骨端を切り落とし、両端から1回
づつ26Gの針を付けたシリンジで1mlのα−MEM
培地で骨髄細胞を押し出したものをピペッティングし、
沈殿した骨残渣を除いた上清部分を骨髄細胞として使用
することができる。この調製された骨髄細胞を、活性型
ビタミンDを含む培養液中に懸濁させ、適当な濃度( 例
えば 2×106 個細胞/ml ) に調製してプレート( 例えば
96穴プレート) 上にまき、そこへ上述のアフリカツメガ
エル培養上清サンプル(アッセイ用サンプル)を加え、
以下に示すようなアッセイを行う。すなわち破骨細胞の
同定法として、(1)TRAP染色法、(2)象牙の分
解活性測定法(以下、象牙を用いたpit形成法とも言
う)、(3)ヒドロキシアパタイト分解活性測定法(以
下、Osteologicウエルを用いたpit形成法とも言う)
が知られているが、これらの同定法のうち、3)のヒド
ロキシアパタイト分解活性のみを有するプールを選別す
る。ここで(1)のTRAP染色は、例えばEndocrinol
ogy, 122, p1373(1988)等に従い、まず上記の如くアッ
セイ用サンプルで処理された骨髄細胞をアセトン−クエ
ン酸緩衝液で固定した後、酒石酸存在下で基質(Naphth
ol AS-Mxphosphate)と色素(Fastredviolet LB salt)
を37℃で1時間程度反応させることにより、検出する
ことができる。また、(2)の象牙を用いたpit形成
測定は、例えば、あらかじめ直径6mm、1mm厚程度の象牙
質スライスを96穴ウエルプレートのウエル底に敷いたも
のを用意し、このウエル上で、上記の如きアッセイ用サ
ンプルによる骨髄細胞の処理を行い、適当な期間の後、
象牙質スライス上の細胞を先のTRAP染色し、0.25%
トリプシン−0.02%EDTAで一晩処理し、スライス上
の細胞をシリコンスクレイパーで削り取った後、象牙質
スライス上のpit(吸収窩)を顕微鏡下で観察し、そ
の数を数えることにより測定することができる。また、
(3)のOsteologicウエルを用いたpit形成測定は、
例えばヒドロキシアパタイトをコーティングしたウエル
(商品名Osteologic : MILLENIUMBIOLOGIX社)中で、上
記の如きアッセイ用サンプルによる骨髄細胞の処理を行
い、適当な期間の後、20%次亜塩素酸で5分間処理し
て細胞を除去し、ウエル上のpitをpit当たりのメ
ッシュ数として換算することにより、測定することがで
きる。
たプールをさらにサブプールに分け、同様の操作を繰り
返すことにより、最終的に、本発明のOPFか5をコー
ドするクローンを得ることができる。以上の如き発現ク
ローニング法によりクローニングされたOPFか5cD
NAは、例えば Auto Read Sequencing キット( ファル
マシア社製) を用いてシークエンサーにより塩基配列を
決定することもできるし、ジデオキシ法を用いる BcaBE
ST Sequencing キット(TAKARA 社製) により、RIを使用
して塩基配列を決定することもできる。なお、このよう
な「発現クローニング法」によらなくとも、本発明のO
PFか5cDNAの塩基配列の公開に伴い、該cDNA
の全部あるいは一部をプローブあるいはPCRプライマ
ーに用いて、本発明のOPFか5cDNAをクローニン
グすることができる。該クローニングは、例えばMolecu
lar Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory
Press(1989)等に従い、当業者ならば容易に行うことが
できる。
アレル変異体等をコードするDNA 前記DNAのうち、「配列番号:2に記載のアミノ酸配
列のうち1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/
又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ骨髄細胞か
らヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導
活性を有するタンパク質をコードするDNA」とは、人
為的に作製したいわゆる改変タンパク質や、生体内に存
在するアレル変異体等のうち、骨髄細胞からヒドロキシ
アパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を有する
タンパク質をコードするDNAを指す。該タンパク質を
コードするDNAは、例えば部位特異的変異誘発 ( Met
hods in Enzymology, 100, p468 (1983))やPCR法(Mo
lecular Cloning 2nd Edt.15章、Cold Spring Harbor L
aboratory Press(1989))等の手法により、当業者ならば
容易に作製することができる。なおここで、欠失、置換
及び/又は付加されるアミノ酸残基の数は、上記部位特
異的変異誘発等の周知の方法により欠失、置換及び/又
は付加できる程度の数を指す。
ト分解能を持つ細胞への分化誘導活性」は、例えば前述
のようにして調製した骨髄細胞に対し、本発明の改変タ
ンパク質(本発明の改変タンパク質をコードするDNA
を周知の発現ベクターに連結し、適当な宿主に導入して
得られた発現産物)等を作用させた後、前述の測定法の
うち(3)のOsteologicウエルを用いたpit形成活性
を調べることにより、容易に測定することができる。そ
の際、他の測定法、すなわち上記(1)のTRAP染色
法及び(2)の象牙を用いたpit形成法に本発明の改
変タンパク質を供した場合は陰性を示すことについても
確認する必要がある。これらの測定法については、具体
的には上記1)の項、あるいは実施例の2.3.1〜
2.3.3を参照されたい。これらの測定法に種々の改
変タンパク質等を供することにより、骨髄細胞からヒド
ロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を
有する改変タンパク質等を、容易に選別することができ
る。
な条件下でハイブリダイズするDNA 前記DNAのうち、「配列番号:1に記載の塩基配列か
らなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし、かつ骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能
を持つ細胞への分化誘導活性を有するタンパク質をコー
ドするDNA」とは、すなわちヒト、ラット等の脊椎動
物全てのOPFか5cDNAのような、配列番号:1に
記載の塩基配列からなるマウスOPFか5DNAにスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを指
す。
イブリダイズするDNA」とは、例えば標準的なハイブ
リダイゼーションの条件(ホルムアミド濃度:50%、
塩濃度:5×SSC、温度:42℃)において配列番
号:1のDNAとハイブリダイズするDNAを指す。こ
れらDNAは、例えば配列番号:1に記載のDNAとの
ハイブリダイゼーション等によりクローニングされるも
のであるが、具体的なcDNAライブラリーの作製、ハ
イブリダイゼーション、ポジティブコロニーの選択、塩
基配列の決定等の操作はいずれも公知であり、例えばMo
lecular Cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Labora
tory Press(1989)等を参照して容易に行うことができ
る。cDNAライブラリーとしては、例えばヒトの精
巣、あるいは胸腺由来のcDNAライブラリーが挙げら
れる。またハイブリダイゼーションに用いるプローブと
しては、例えば配列番号:1に記載の塩基配列を有する
DNAが挙げられる。
本発明の種々のDNAがコードするタンパク質であり、
かつ骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細
胞への分化誘導活性を有するものである。具体例として
は、例えば配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有する
本発明のタンパク質、OPFか5が挙げられる。これら
タンパク質は、たとえば本発明のDNAを、pBK−C
MV等の公知の発現ベクターに連結した後、適当な宿主
に導入して発現・生産することにより、得ることができ
る。宿主としては、原核性生物細胞または真核性生物細
胞のいずれでもよく、例えば大腸菌株や動物細胞株は、
とくに記載のない限り既に広く普及しており入手は容易
である。例えば動物細胞宿主としては、COS−1、C
OS−7、CHO細胞が挙げられる。発現プラスミドを
用い適当な動物細胞宿主を形質転換するには、LIPOFECT
IN法(Felgner P.L., et al, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 84, p7413 (1987))等の公知の方法を用いればよ
い。形質転換された細胞の培養上清は、適当な希釈によ
りそのまま種々のアッセイに使用され得る程度の発現タ
ンパク質を含んでいるため、該培養上清を用いて骨髄細
胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化
誘導活性を測定することができる(活性測定法について
は前記参照)。培養上清中に産生された上記発現タンパ
ク質は、亜鉛キレートアガロース、コンカナバリンAア
ガロース、セファデックスG−150等を用いる公知の
方法によって、容易に精製することができる。
分として使用することができる。前述したように本発明
のタンパク質は、骨中のカルシウムの結晶であるヒドロ
キシアパタイトを分解してカルシウムを放出する細胞へ
と、骨髄細胞を分化誘導する活性を有していることか
ら、これらの薬剤を投与することにより、血中カルシウ
ム濃度を上昇させることができる。従って、本発明のタ
ンパク質を有効成分として含有する「医薬」は、例えば
「従来の技術」の項にも記載したように、低カルシウム
血症等の疾患、あるいは大量出血や放射線被爆などに伴
う血中カルシウムの大量減少に対する有効な治療薬とな
ることができる。
投与方法としては、静脈注射による投与が好ましいが、
経口投与、坐薬としての投与、皮下注射、筋肉注射、局
所注入、腹腔内投与などが行える。本発明の破骨細胞分
化促進剤は、上記の投与方法に依存して、種々の単位投
与形態で投与することができる。例えば静脈投与のため
には、本発明のタンパク質を、医薬として許容され得る
担体、好ましくは水性担体の中に溶解または懸濁させて
用いることができる。水性担体としては、例えば、水、
緩衝化水、0.4%の生理的食塩水などを使用すること
ができる。このようにして作製された水溶液は、そのま
ま包装するか、あるいは凍結乾燥することができ、凍結
乾燥した調製物は投与前に無菌の水溶液と組み合わせ
る。以上の調製物は、医薬として許容される補助剤、例
えば、ph調節剤あるいは緩衝剤、張度調節剤、浸潤剤な
どを、より具体的には、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナ
トリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシ
ウム、ソルビタンモノラウレート、テリエタノールアミ
ンオレエートなどを含有することができる。経口的投与
のためには、本発明のタンパク質を、粉末、錠剤、ピ
ル、カプセル剤及び糖剤の単位投与形態にして用いるこ
とができる。また局所投与のためには、例えばエアゾー
ルを包含する単位投与形態をとることができる。皮下注
射、筋肉注射、局所注入、腹腔内投与のためには、本発
明のタンパク質を水性または油担体の中に溶解または懸
濁させて用いることができる。あるいは、コラーゲン等
の生体親和性の材料を用いて、徐放性製剤として投与す
ることもできる。以上のような破骨細胞分化促進剤の投
与量は、一日量 0.0001 〜100mg 程度を症状が改善され
るまで投与することが可能である。
のタンパク質の有するアミノ酸配列のうち、少なくとも
6アミノ酸以上の部分よりなるペプチド断片を指す。こ
こで、「少なくとも6アミノ酸以上」との限定は、安定
な構造をとり得る最小のサイズが6アミノ酸であること
によるが、好ましくは8アミノ酸以上の長さよりなるペ
プチドが、より好ましくは10〜20アミノ酸程度の長
さよりなるペプチドが挙げられる。なお該ペプチドは、
10〜20個程度の短いものであればペプチド合成装置
により合成することができるし、長いものであれば通常
の遺伝子工学的手法により(たとえば制限酵素処理等に
より)調製されたDNAを、動物細胞等に発現させるこ
とにより得ることができる。なお、このようにして作製
されたペプチドを、通常の方法により修飾することも可
能である。これらペプチド断片は、後述のように医薬へ
の応用が可能である他、抗体作製のためにも使用するこ
とができる。
ク質又はエピトープを構成し得るペプチド断片のいずれ
かに対する抗体である。該抗体は、例えば新細胞工学実
験プロトコール p210 秀潤社(1993)に記載された方法を
用いてウサギ等を免疫することにより、容易に作製する
ことができる。また、例えば分子生物学研究のためのタ
ンパク実験法 第4章 羊土社(1994)に述べられている
手法を用いることで、容易にモノクローナル抗体を作製
することができる。さらには、特開昭62-296890により
擬人化抗体とすることもできる。該抗体の用途として
は、アフィニティークロマトグラフィー、cDNAライ
ブラリーのスクリーニング、診断薬・実験用試薬等が挙
げられる。さらには後述のように、医薬として使用する
こともできる。
ヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活
性に対する阻害剤のスクリーニングのためにも使用でき
る。ここで、「骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解
能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤」とは、
本発明のタンパク質の有する骨髄細胞からヒドロキシア
パタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を、阻害す
る薬剤を指す。そして「骨髄細胞からヒドロキシアパタ
イト分解能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤
のスクリーニング方法」は、先に述べた骨髄細胞からヒ
ドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性
の測定系(Osteologicウエルを用いたpit形成測定
系)に、被験物質である阻害剤候補物質を添加すること
によって実施することができる。すなわち前記の如くOs
teologicウエル中で、マウス骨髄細胞に対し、本発明の
タンパク質及び阻害剤候補物質を添加、作用させる。そ
の際、阻害剤候補物質に阻害作用があれば、pitが形
成されない。このpitの形成を指標に、容易に阻害剤
をスクリーニングすることができる。
パタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻
害剤とは、上記スクリーニング方法により見出されるも
のであり、前記したように、本発明のタンパク質の有す
る骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞
への分化誘導活性を阻害する薬剤を意味する。このよう
な、骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細
胞への分化誘導活性に対する阻害剤の具体例としては、
例えば上記で作製された本発明のペプチド断片のうち阻
害効果を有するもの、あるいは本発明の抗体のうち中和
活性を有するものが挙げられる。このような、骨髄細胞
からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘
導活性に対する阻害剤は、「従来の技術」にも記載した
ように、血中カルシウム濃度の上昇を伴う疾患である高
血圧症、動脈硬化症、糖尿病、心筋梗塞、あるいは高カ
ルシウム血症等に対する有効な治療薬となることが考え
られる。本発明のタンパク質は、骨中のカルシウムの結
晶であるヒドロキシアパタイトを分解する細胞への分化
誘導活性を有していることから、上記の如く血中のカル
シウム濃度を上昇させると同時に、骨(骨の無機成分で
あるヒドロキシアパタイト)を溶解する作用をも有して
いると言える。従って、このような本発明のタンパク質
の阻害剤は、骨の溶解を伴う疾患である骨粗鬆症、慢性
関節リウマチ、癌の骨転移に伴う骨破壊、あるいはぺー
ジェット病等に対する有効な治療薬ともなることが考え
られる。
キシアパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性に対
する阻害剤の、患者への投与方法及び投与形態として
は、前記した本発明のタンパク質を有効成分として含有
する医薬と同様の投与法及び投与形態が考えられる。ま
た投与量は、一日量 0.0001 〜100mg 程度を症状が改善
されるまで投与することが可能である。
は、本発明のDNAを人為的に染色体中に導入した、い
わゆるトランスジェニック動物や、染色体中から欠損さ
せた、いわゆるノックアウト動物を指す。これらトラン
スジェニック動物は、例えば疾患モデルマウス:Molecu
lar Medicine臨時増刊号 中山書店(1994)等に基づ
き、当業者ならば容易に作製することができる。該トラ
ンスジェニック動物は、例えば高血圧症や骨粗鬆症等の
医薬品開発のためのモデル動物として、あるいは該医薬
品のスクリーニング用の動物として、非常に有用であ
る。
明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例
によりなんら限定されるものではない。
8)1×108個をAGPC法(acid guanidium thio
cyanate-phenol-chloroform method;実験医学 9, 15,
p99 (1991))に従い全RNAを分離した。即ち、ま
ず、細胞のペレットに4Mのグアニジンイソチオシアネ
ート10mlを加え、直ちに激しく振とうし、その溶液
を18Gニードル中を5往復通過させることでDNAを
部分剪断した。この溶液に2M酢酸ナトリウム1ml、
水飽和フェノール10ml及びクロロホルム−イソアミ
ルアルコール(49:1)2mlを順次加え、添加ごと
に混和した。その後激しく振とうし、15分間氷冷した
後、4℃で10,000g、20分間遠心した。その水
層を分取し、等量のイソプロパノールを加えて良く混和
した。これを−20℃に1時間置いた後、4℃で10,
000g、10分間遠心した。遠心後、RNAの沈殿に
4Mグアニジンチオシアネート3mlを加えて完全に溶
解させ、等量のイソプロパノールを加え、−20℃で1
時間放置した。その後、4℃で10,000g、15分
間遠心した後、上清を捨て、RNAの沈殿を75%エタ
ノールで洗浄することにより全RNAを得た。
め、溶離緩衝液(10mMトリス−HCl(pH7.
5)、1mMEDTA及び0.2%SDS)5mlに溶
解し、65℃で2分間加熱し、直ちに室温まで急冷し
た。5MNaClを0.55ml添加後、その溶液を洗
浄緩衝液(0.5MNaCl、10mMトリス−HCl
(pH7.5)、1mMEDTA及び0.2%SDS)
で平衡化したオリゴdTセルロース(タイプ7、ファル
マシアバイオテク)0.5gのカラムに添加し、通過液
をさらに2回、カラムに添加することによりmRNAを
カラムに結合させた。カラムを洗浄緩衝液15mlで洗
浄した後、結合したRNAを溶離緩衝液4mlで溶出し
た。溶出液を65℃で2分間加熱し、その後冷却し、
0.5MNaClに調節し、再平衡カラムに再度添加し
て、同様に溶出操作を行った。その溶出液からエタノー
ル沈殿によりmRNAを回収し、75%エタノールで洗
浄した。
RNAの分画 ジエチルピロカーボネイトで処理した密度勾配フラクシ
ョネータ(日立;DGF−U)と遠心チューブ、2種類
の濃度のRNaseフリーのショ糖溶液(5%と20%
(w/v)ショ糖)、0.1MNaCl、10mMトリ
ス−HCl(pH7.5)、1mMEDTA、0.5%
SDSを用意し、Beckman SW41Ti用チュ
ーブに密度勾配フラクショネータでショ糖勾配を作り、
2時間以上室温に放置して、勾配の不連続性をなくし
た。次に、mRNAを200μlのTE溶液(99%ジ
メチルスルホキサイド、10mMトリス−HCl(pH
7.5)、1mMEDTA、0.1%SDS)に溶解
し、37℃で5分間処理し、400μlの5mMトリス
−HCl(pH7.5)、1mMEDTA、0.5%S
DSを加えて65℃で10分間熱処理をすることによ
り、その非特異的な会合を解離させた。その後急冷し、
ショ糖密度勾配にのせ、Beckman SW41Ti
ローターで25℃、20,000rpm、14時間遠心
を行った。遠心後、チューブより0.5mlずつ密度勾
配フラクショネータで分画し、エタノール沈殿した。m
RNAの沈殿は最低3回、75%エタノールで洗浄し
た。
1.3の方法に従いアフリカツメガエルの卵母細胞に注
入し、タンパク質に翻訳させた。この翻訳産物を含む培
養上清を、後述の2.2.2の方法によりアッセイ用の
マウス骨髄細胞に添加して培養した後、2.3.1のT
RAP染色法により、破骨細胞が分化形成されたか否か
(すなわち、どのmRNA画分中に破骨細胞分化促進活
性を有する因子が含まれているか)を同定した。その結
果、活性のピークは、27番目の分画と32番目の画分
に存在していた。
して集め、この画分に対するcDNAライブラリーを、
Gubler&Hoffman法(Gene, 25,p263 (198
3)) の変法にて調製した。即ち、この活性画分のmR
NA2μgをもとに、XhoIサイトを持つオリゴdT
プライマーを用いて、M−MuLVの逆転写酵素により
ファーストストランドを合成した。続いて DNA Polymer
ase I によりセカンドストランドを合成し、EcoRI
アダプターとのライゲーションおよびXhoI消化を行
った。その後、アダプターとプライマーをゲル濾過(Se
phacryl Spin Column;ファルマシア社)により除い
た。以上のcDNA合成ステップはStratagene社のZA
PcDNA合成キットを用い、逆転写酵素はBRL社の
スーパースクリプトIIを用いて行った。次に、Eco
RI、XhoI切断済みZAP ExpressTMベク
ターを先に作製したcDNAとライゲーションした後、
Gigapack II Gold packing extract(mcrA- 、mc
rB- 、mmr- ;Stratagene社)を用いてパッケージ
ングを行い、大腸菌PLK−F' 株に感染させた。その
結果、平均長2.26kb、インディペンデントクロー
ン数6.3×105 個のcDNAライブラリーが得られ
た。
0個/プールとして計63プールに分け、後述の2.
1.2〜2.1.3の方法にて各プールのcRNAをア
フリカツメガエルの卵母細胞に注入し、タンパク質に翻
訳させた。この翻訳産物を含む培養上清を、後述の2.
2.2の方法によりアッセイ用のマウス骨髄細胞に添加
して後述の各アッセイ法に供し、陽性と判断されたプー
ルを選別した。更に、その陽性プールを10のサブプー
ルに分け、同様にしてcRNAを調製し、卵母細胞中で
発現させ、その活性を測定して陽性プールを選別するこ
とを繰り返し、最終的に単一クローンを得た。
クリーニングは後述の2.3.1のTRAP染色法にて
破骨細胞分化促進活性を判定し、63プールから陽性プ
ールを3プール選別した。2次スクリーニング以降は、
後述の2.3.1のTRAP染色法、2.3.2の象牙
を用いたpit形成法、2.3.3のOsteologicウエル
を用いたpit形成法の、3種類の破骨細胞分化促進活
性測定法の全てに陽性反応を示すプールを選別すること
にし、まず、上述の3プールをそれぞれ10のサブプー
ル(1000クローン/プール)に分けて各アッセイを
行った。その結果、陽性反応の強さの順に上位3プール
を選び、更にこの3プールをそれぞれ10のサブプール
(200クローン/プール)に分けて3次スクリーニン
グを行った。その結果、陽性反応の強さの順に3つの陽
性プールを選択し、これを各々10のサブプール(24
クローン/プール)に分けて、さらに4次スクリーニン
グを行った。スクリーニングの結果、3つのアッセイ
全てに陽性を示したプールと、Osteologicウエルを用
いたpit形成活性のみに陽性を示し、他の2つのアッ
セイには陽性を示さなかったプールに分かれた。このう
ち、のOsteologicウエルを用いたpit形成活性のみ
に陽性を示したプールのうち、活性上位のプール2個を
シングルクローン化して5次スクリーニングを行い、上
位8個のクローンを陽性クローンとした。これら8個の
クローンについて、上記3つのアッセイを行い、Osteol
ogicウエルを用いたpit形成のみに陽性を示したクロ
ーンのうちの一つを、OPFか5と命名した。なおOP
Fか5の各アッセイ結果は、後述の(結果)の項に記し
た。
×104 pfuを感染させ、15cmシャーレにまき、プ
ラークを形成させた。このプレートに13mlのSM緩
衝液を加え、プレートライセートを調製した。このファ
ージライセートにDE52(DEAEセルロース;ワッ
トマン社)を加えてファージDNA以外を吸着させ、遠
心後の上清に再度DE52を加え、その上清中のファー
ジDNAを回収した。このDNAをフェノールとフェノ
ール−クロロホルム(1:1)で1回ずつ抽出し、エタ
ノール沈殿にて回収し、ファージDNAとした。調製し
たDNAを制限酵素NotIで切断し、1/50量を1
%アガロース電気泳動にて定量した。
くとも1μgをプロテイナーゼK(Stratagene社)で3
7℃1時間処理し、フェノール−クロロホルム処理後、
エタノール沈殿により回収することによりテンプレート
DNAを調製した。このDNAを用いて、mRNAcapp
ingキット(Stratagene社)に従いcRNAを合成し
た。これをフェノール−クロロホルム処理、エタノール
沈殿に供することによりcRNAを回収し、1/10量
を1%アガロースゲル電気泳動により定量した。その
後、1μg/μlの濃度に調製してマイクロインジェク
ション用cRNAとした。
による発現 体長10cm程度のメスのアフリカツメガエルから卵母
細胞の卵塊を取り出し、MBS(+Ca2+;88.0m
M NaCl、1.0mM KCl、2.4mM Na
SO3、0.3mM Ca(NO3 )2 4H2 O、0.
41mM CaCl2 4H2 0、0. 82mM MgS
O4 7H2 0、10μg/mlペニシリン、10μg/
ml ストレプトマイシン、50U/mlニスタチン、
15mMトリス−HCl(pH 7.6))を入れたシ
ャーレに移し、実体顕微鏡下精密用鋏とピンセットで卵
母細胞を一つずつ切り放し、ステージVかVIの傷のな
い生きている細胞を選別した。これらの卵母細胞に10
μlデジタルマイクロディスペンサー(Drummond社)を
用いて、キャピラリーより、卵母細胞1個当たり50n
lのcRNAを注入した。その後、死んだり傷ついた細
胞を除き、2%FCSを含むMBSにて3日間、20℃
で培養した。その培養上清を遠心し、更に0.22μm
のフィルターを通し、残査を除くと同時に除菌した。そ
の上清をアッセイ用サンプルとした。
の大腿骨及び脛骨を無菌的に取り出し、その骨端を切り
落とし、両端から1回づつ26Gの針を付けたシリンジ
で1mlのα−MEM培地(10%牛胎児血清、100
単位/mlペニシリンG、100μg/mlストレプトマ
イシンを含む)で骨髄細胞を押し出し、良くピペッティ
ングした後骨残査が沈殿するまで待ち、その上清を回収
した。それを更に新鮮な培地で1〜2回洗い、アッセイ
用の骨髄細胞を調製した。
5(OH)2 D3〕を含むα−MEM培地中にけん濁さ
せ、2×106 個細胞/mlの濃度に調製し、96穴プ
レートに180μlと2.1.3で調製したアッセイ用
サンプルを20μl加え、37℃、5%CO2 下、1ま
たは2週間培養した。その間、3−4日間隔で培地の3
/4を新しい培地と交換し、新たにアッセイ用サンプル
を同量添加した。
酸性フォスファターゼ)を基質で染色した。即ち2.
2.2の培養骨髄細胞をアセトン─クエン酸緩衝液で固
定した後、酒石酸存在下で基質(Naphthol AS ─MXphos
phate)と色素(Fastredviolet LB salt)を37℃で1
時間反応させることにより、染色した(Endocrinolog
y,122,p1373,(1988))。 (結果)OPFか5は、既知の破骨細胞分化形成因子で
あるIL─1β(50ng/ml)やLIF(25U/
ml)で骨髄細胞を処理し、破骨細胞を分化形成させた
ポジティブコントロールのTRAP染色性と比較して、
陰性と判断した。
し、それを80%アルコール中で超音波処理することに
より滅菌した。α−MEM培地で洗浄した後、各スライ
スを96ウエルプレートのウエル底に移し、その上で
2.2.2の方法に従って骨髄細胞から破骨細胞を分化
誘導した。1または2週間後、象牙質スライス上の破骨
細胞を2.3.1のTRAP染色法にて染色し、0.2
5%トリプシン─0.02%EDTAで一晩処理し、ス
ライス上の細胞をシリコンスクレイパーで削り取った。
象牙質スライス上のpit(吸収窩)を顕微鏡下で観察
し、その数またはpitあたりのメッシュ数を測定する
ことにより骨髄細胞より分化誘導された細胞の骨吸収活
性(骨分解活性)を調べた。 (結果)OPFか5により形成された細胞の象牙質スラ
イス上のpit形成数は、LIF(25U/ml)の1
/10〜1/5と、pit形成活性は僅かであることが
判明した。
it形成法 ヒドロキシアパタイトをコーティングしたウエル(商品
名Osteologic:MILLENIUMBIOLOGIX社)中で2.2.2
の方法に従って骨髄細胞から破骨細胞を分化誘導した。
1週間後、20%次亜塩素酸で5分間処理して、細胞を
除去し、ウエル上のpitをpit当たりのメッシュ数
として換算することにより骨髄細胞より分化誘導された
細胞の骨吸収活性(骨分解活性)を測定した。 (結果)OPFか5により形成された細胞のOsteologic
ウエル上のpit数は、ウエル当たり平均40−45個で
あった。これは、ネガティブコントロール(アフリカツ
メガエル卵母細胞にcRNAではなく蒸留水を導入し、
その培養上清を骨髄細胞に添加したもの)の結果(=平
均15〜20個)よりも多く、またポジティブコントロ
ールであるLIF(25U/ml)によるpitの結果
(50個)よりも多かったため、pit形成活性は陽性
と判定した。 (結論)以上3通りの同定法で、全てに陽性とはなら
ず、Osteologicウエルを用いたpit形成活性のみ陽性
を示したことから、OPFか5により分化形成された細
胞は破骨細胞ではない別の細胞で有り、かつヒドロキシ
アパタイト分解活性を有する細胞であることが分かっ
た。
−CMVへin vivoexcisionすることでサブクローニン
グすることができる。XL1−BlueMRF’大腸菌
にZAP ExpressファージとExAssistヘルパーファー
ジを感染させることで、pBK−CMVファージミドを
産生させ、元の大腸菌を熱処理することで死滅させ、新
たにXLOLR大腸菌に感染させた。これに培地を加
え、45分間培養後、LBプレートにプレーティング
し、培養した。
ン100μg/ml)で一晩培養後、アルカリ−SDS
法によりプラスミドを調製した。このプラスミドDNA
を適当な制限酵素で切断し、1%アガロースゲル中で電
気泳動し、OPFか5cDNAのベクターへの挿入を確
認した。
定は、Sangerらによって開発されたダイデオキシ
法によって行った(AutoRead Sequencing kit,Pharmaci
a Biotech社製)。その結果、配列表の配列番号:1に
記載の2665bpからなるcDNAが得られ、また7
10アミノ酸からなる配列番号:2のアミノ酸配列が決
定された。なお、上記の塩基配列決定後、本発明の新規
なタンパク質OPFか5のcDNAを発現ベクターpB
K−CMVに組み込んだプラスミドをE.coli J
M109株に導入し、保存用の形質転換体であるE.c
oli JM109(OPFk5)を調製した。E.c
oli JM109(OPFk5)は、茨城県つくば市
東1丁目1番3号、工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託されている(微生物の表示:E.coli JM
109(OPFk5);受領日:平成9年7月4日;受
託番号:FERM P−16307)。
されたMTNブロットメンブレンを用いて、ノーザンブ
ロット解析を行った。プローブは、OPFか5のcDN
A全長(約2.7Kbp)を32Pで標識して用いた。
ルデヒド/5×SSC/5×デンハルト/1%(w/
v)SDS/0.01%(w/v)変性サケ精子DNA
中でフィルターに固定したRNAに42℃でハイブリダ
イズさせ、2×SSC/0.1%SDS、50℃中で、
次に0.1%SSC/0.1%SDS、50℃中で洗浄
した。水気を除いた後、−80℃で1−3日間オートラ
ジオグラフィーを行った。使用したX線フィルムはコダ
ックSB5またはフジAIF,RXを増感スクリーンの
存在下で用いた。
RNA)のノーザンブロットの結果を示す。OPFか5
cDNAをプローブとするmRNAのバンドは、調べた
範囲では精巣と脾臓で強く発現していた。図2には、ヒ
トの各組織(2μgRNA)のノーザンブロットの結果
を示す。OPFか5をプローブとするmRNAのバンド
は、調べた範囲では精巣で強く、胸腺でも若干発現して
いた。図3には、マウス胚とヒト胎児組織のノーザンブ
ロットの結果を示す。OPFか5をプローブとするmR
NAのバンドは、マウスの7日胚から高発現し、17日
胚まで更に発現量が上昇していた。ヒト胎児では、肝臓
において発現がみられた。
アパタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を有する
OPFか5及び該OPFか5の類似タンパク質、または
これらのタンパク質のペプチド断片、抗体、これらのタ
ンパク質を有効成分とする医薬、あるいはこれらのタン
パク質をコードする遺伝子、該遺伝子の発現ベクター、
該発現ベクターを導入した形質転換体、該形質転換体を
用いる組換えタンパク質の生産方法、前記遺伝子の導入
及び欠損に係るトランスジェニック動物、さらには骨髄
細胞からヒドロキシアパタイト分解能を持つ細胞への分
化誘導活性に対する阻害剤のスクリーニングにおける、
前記タンパク質の用途が提供される。
mRNAの発現分布を、ノーザンブロット解析により調
べた結果の電気泳動写真である。
RNAの発現分布を、ノーザンブロット解析により調べ
た結果の電気泳動写真である。
5対応mRNAの発現分布を、ノーザンブロット解析に
より調べた結果の電気泳動写真である。図3のBは、ヒ
ト胎児各組織におけるOPFか5対応mRNAの発現分
布を、ノーザンブロット解析により調べた結果の電気泳
動写真である。
Claims (14)
- 【請求項1】 以下の(a)又は(b)のタンパク質を
コードするDNA。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
パク質 (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列のうち1若し
くは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加された
アミノ酸配列からなり、かつ骨髄細胞からヒドロキシア
パタイト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を有するタ
ンパク質 - 【請求項2】 配列番号:1に記載の塩基配列からなる
DNA、又はそのDNAとストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズし、かつ骨髄細胞からヒドロキシアパタ
イト分解能を持つ細胞への分化誘導活性を有するタンパ
ク質をコードするDNA。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のDNAがコードす
るタンパク質。 - 【請求項4】 配列番号:2に記載のアミノ酸配列から
なる、請求項3記載のタンパク質。 - 【請求項5】 請求項1又は2記載のDNAを含有する
発現ベクター。 - 【請求項6】 請求項5記載の発現ベクターによって形
質転換された形質転換体。 - 【請求項7】 請求項6記載の形質転換体を、請求項5
記載の発現ベクターの発現可能な条件下で培養すること
を特徴とする、組換えタンパク質の生産方法。 - 【請求項8】 請求項3又は4記載のタンパク質を有効
成分として含有する医薬。 - 【請求項9】 請求項3又は4記載のタンパク質の、少
なくとも6アミノ酸以上の部分よりなるペプチド断片。 - 【請求項10】 請求項3又は4記載のタンパク質、あ
るいは請求項9記載のペプチド断片の、いずれかに対す
る抗体。 - 【請求項11】 請求項3又は4記載のタンパク質を用
いることを特徴とする、骨髄細胞からヒドロキシアパタ
イト分解能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤
のスクリーニング方法。 - 【請求項12】 請求項11記載のスクリーニング方法
により得られる、骨髄細胞からヒドロキシアパタイト分
解能を持つ細胞への分化誘導活性に対する阻害剤。 - 【請求項13】 請求項9記載のペプチド断片又は請求
項10記載の抗体からなる、請求項12記載の阻害剤。 - 【請求項14】 請求項1又は2記載のDNAを人為的
に染色体中に導入するか、あるいはいずれかを染色体中
から欠損させたトランスジェニック動物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9202202A JPH1128092A (ja) | 1997-07-10 | 1997-07-10 | 新規なタンパク質opfか5及びその遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9202202A JPH1128092A (ja) | 1997-07-10 | 1997-07-10 | 新規なタンパク質opfか5及びその遺伝子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1128092A true JPH1128092A (ja) | 1999-02-02 |
Family
ID=16453664
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9202202A Pending JPH1128092A (ja) | 1997-07-10 | 1997-07-10 | 新規なタンパク質opfか5及びその遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1128092A (ja) |
-
1997
- 1997-07-10 JP JP9202202A patent/JPH1128092A/ja active Pending
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