JPH11279840A - 湿式不織布用複合繊維及び該繊維を用いてなる湿式不織布 - Google Patents

湿式不織布用複合繊維及び該繊維を用いてなる湿式不織布

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JPH11279840A
JPH11279840A JP7917498A JP7917498A JPH11279840A JP H11279840 A JPH11279840 A JP H11279840A JP 7917498 A JP7917498 A JP 7917498A JP 7917498 A JP7917498 A JP 7917498A JP H11279840 A JPH11279840 A JP H11279840A
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nonwoven fabric
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woven fabric
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Tomoyasu Nakada
智康 中田
Bunpei Hosoi
文平 細井
Kazuhisa Kondo
一寿 近藤
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散性が良好で、強力が高く、寸法安定性に
優れ、しかもソフトで地合いの良好な湿式不織布をもた
らす複合繊維と湿式不織布を提供する。 【解決手段】 この複合繊維は、芯成分がポリエステ
ル、鞘成分がポリオレフインからなり、鞘成分に対する
芯成分の複合比(重量比)が20/80〜80/20、
単糸繊度が0.3〜6デニール、繊維長が25mm以下
かつ温度120℃での乾熱収縮率が5%以下である。不
織布は、この複合繊維30〜100重量%とポリエステ
ル繊維70〜0重量%とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿式不織布の製造
工程において良好な分散性を発現し、不織布強力が高
く、寸法安定性に優れ、しかもソフトで地合いの良好な
湿式不織布をもたらす湿式不織布用複合繊維、及び該繊
維からなる湿式不織布に関するものであり、さらに詳し
くは、おむつや生理用ナプキン等の医療衛生材、生活関
連資材、農園芸用資材等の用途に好適な湿式不織布を得
る繊維と該繊維からなる不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、医療衛生材、生活関連資材、
農園芸用資材等の素材として、天然パルプ、合成パル
プ、合成繊維のシヨートカツト綿あるいはこれらの混合
物を水溶液中に分散し抄紙して得た湿式不織布が知られ
ている。近年、この不織布では、要求性能の高度化や原
料コストの低減を目的に、原料の一部をポリエステル繊
維やポリオレフイン繊維あるいはこれら重合体の複合繊
維に置き換えることが行われてきた。確かに、ポリエス
テル繊維は、安価であるだけでなく、機械的特性、寸法
安定性、疎水性に優れており、従来のセルロース系繊維
からなる湿式不織布とは異なる機能が期待できる。しか
しながら、このポリエステル繊維は、一般に全融型の単
重合体一成分からなるものが採用されているため、湿式
不織布としたときに強力が低く、また製造するに際して
水溶液中への分散性が悪く、したがって得られた不織布
の地合いの均整度が悪く、製品の用途を限定せざるを得
ないという問題があった。かかるポリエステル繊維を採
用したときの問題を解決すべく、ポリオレフイン等の低
融点重合体を繊維表面に有する熱接着性複合繊維を採用
することが提案されている。例えば、特開平5−989
0号公報には、芯成分がポリエステル、鞘成分がポリオ
レフインの芯鞘型複合繊維に特定の界面活性剤を付与し
た繊維を採用し、界面活性剤の効果により水溶液中への
繊維の分散性を向上させて、地合いの良好な湿式不織布
を得ることが提案されている。しかしながら、この繊維
は、乾熱収縮率が抑制されていないため、この繊維を用
いて得られた湿式不織布は、寸法安定性に劣るものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、湿式不織布
の製造工程において良好な分散性を発現し、不織布強力
が高く、寸法安定性に優れ、しかもソフトで地合いの良
好な湿式不織布をもたらす湿式不織布用複合繊維、及び
該繊維からなる湿式不織布を提供しようとするものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決しようとするものであって、以下の構成をその要旨と
するものである。芯成分がポリエステル、鞘成分がポリ
オレフインからなり、鞘成分に対する芯成分の複合比
(重量比)が20/80〜80/20、単糸繊度が0.
3〜6デニール、繊維長が25mm以下かつ温度120
℃での乾熱収縮率が5%以下であることを特徴とする湿
式不織布用複合繊維。芯成分がポリエステル、鞘成分が
ポリオレフインからなり、鞘成分に対する芯成分の複合
比(重量比)が20/80〜80/20、単糸繊度が
0.3〜6デニール、繊維長が25mm以下かつ温度1
20℃での乾熱収縮率が5%以下である複合繊維30〜
100重量%と、繊維長が25mm以下のポリエステル
繊維70〜0重量%とからなる湿式不織布。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明
する。本発明において、湿式不織布を構成する複合繊維
の鞘成分で採用するポリオレフインとしては、高密度ポ
リエチレンやポリプロピレンまたはこれらを主体にα−
オレフインを共重合した共重合体(例えば、α−オレフ
インを共重合した線状低密度ポリエチレンなど)といっ
た繊維形成性オレフイン系重合体、あるいはこれらの混
合物が挙げられる。本発明において、湿式不織布を構成
する複合繊維の芯成分で採用するポリエステルとして
は、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレートまたはこれらを主体にイソフタル酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類の酸成分
や、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シク
ロヘキサン−1,4−ジメタノール等のジオール成分や
ビスフエノールAのエチレンオキシド付加体等が共重合
された繊維形成性エステル系共重合体が挙げられるが、
ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。なお、芯
成分及び/又は鞘成分には、本発明を損なわない範囲内
であれば、必要に応じて、艶消剤、着色剤、難燃剤、消
臭剤、耐光剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を
配合することができる。
【0006】本発明の複合繊維では、鞘成分に対する芯
成分の複合比(重量比)が20/80〜80/20であ
ることが必要である。鞘成分80に対する芯成分の複合
比(重量比)が20未満であると、芯成分と鞘成分との
接触面積が小さくなるために鞘成分を溶融したときに芯
成分が鞘成分を保持することができず、したがって不織
布の強力が低下し、しかも溶融する鞘成分が多いために
得られた不織布の風合いが硬くなる。一方、鞘成分20
に対する芯成分の複合比(重量比)が80を超えると、
繊維の剛性が大きくなり、したがって不織布の風合いが
硬くなり、しかも接着に関わる鞘成分が少ないために芯
鞘間で接着不良が生じるために繊維の延伸時に鞘成分が
剥離する結果、不織布の強力低下や地合い不良が生じ易
い。よって、本発明では、複合繊維の鞘成分に対する芯
成分の複合比(重量比)を20/80〜80/20とす
る。
【0007】本発明の複合繊維では、上記繊維が実質的
に芯鞘構造を有することが必要であって、芯成分によっ
て複合繊維に高強力が具備され、したがって不織布が高
強力を有し、また鞘成分によって不織布を製造するに際
しての水溶液中への分散性が向上し、したがって得られ
た不織布の地合いの均整度が向上する。この複合繊維
は、通常の同芯芯鞘構造の他に、偏芯芯鞘構造あるいは
多芯芯鞘構造(海島型構造)であってもよい。また、複
合繊維全体の断面形状は、実質的に芯鞘型断面であれば
特に限定されるものではなく、通常の円形断面の他に、
多葉断面や扁平断面等、一般の繊維で採用されている各
種の異形断面であってもよい。
【0008】本発明の複合繊維は、その単糸繊度が0.
3〜6デニールのものである。単糸繊度が0.3デニー
ル未満であると、不織布を製造するに際しての水溶液中
への分散性が低下するため、得られた不織布の地合いの
均整度が低下し、また繊維の製造に際して製糸性が悪化
する。一方、単糸繊度が6デニールを超えると、繊維の
剛性が大きくなり、したがって不織布の風合いが硬くな
る。しかも、不織布を構成する繊維の本数が減少するた
め、強力が向上し難い。よって、本発明では、複合繊維
の単糸繊度を0.3〜6デニールとする。
【0009】本発明の複合繊維は、その繊維長が25m
m以下のものである。繊維長が25mmを超えると、不
織布を製造するに際しての水溶液中で繊維同士が絡み合
うことによって分散不良が生じ、その結果、不織布に安
定した強力と良好な地合いが発現しない。したがって、
本発明では、複合繊維の繊維長を25mm以下、好まし
くは20〜5mmとする。
【0010】本発明の複合繊維は、温度120℃での乾
熱収縮率が5%以下のものである。この乾熱収縮率が5
%を超えると、不織布製造時の乾熱処理工程において繊
維の熱収縮が大き過ぎて繊維にひび割れが生じたり、ま
た得られた不織布の寸法安定性が低下したりする。した
がって、本発明では、複合繊維の温度120℃での乾熱
収縮率を5%以下とする。
【0011】本発明の不織布は、上記複合繊維30〜1
00重量%とポリエステル繊維70〜0重量%とから構
成されるものである。不織布において、複合繊維の混抄
率が30重量%未満であると、剛性の大きなポリエステ
ル繊維の存在率が高くなり、したがって不織布の風合い
が硬くなる。しかも、熱接着性繊維としての機能を有す
るかかる複合繊維の存在が少ないために、得られた不織
布の強力が低くなる。したがって、本発明では、不織布
において上記複合繊維を30〜100重量%、好ましく
は50〜100重量%とする。
【0012】ここで、上記複合繊維に混抄するポリエス
テル繊維とは、該複合繊維の芯成分を構成するポリエス
テルに準ずるものであってよく、すなわちポリエチレン
テレフタレートやポリブチレンテレフタレートまたはこ
れらを主体にイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボ
ン酸やアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸
またはこれらのエステル類の酸成分や、1,4−ブタン
ジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4
−ジメタノール等のジオール成分やビスフエノールAの
エチレンオキシド付加体等が共重合された繊維形成性エ
ステル系共重合体からなるものである。そして、これら
のポリエステルには、本発明を損なわない範囲内であれ
ば、必要に応じて、艶消剤、着色剤、難燃剤、消臭剤、
耐光剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合し
てもよい。このポリエステル繊維の断面形状は、実質的
に芯鞘型断面であれば特に限定されるものではなく、通
常の円形断面の他に、多葉断面や扁平断面等、一般の繊
維で採用されている各種の異形断面であってもよい。ま
た、このポリエステル繊維は、その単糸繊度が0.1〜
6デニール、繊維長が25mm以下のものとする。ポリ
エステル繊維としてかかる単糸繊度と繊維長を有するも
のを採用することにより、本発明が不織布においてその
目的とする高強力と高寸法安定性、ソフト感そして良好
な地合いを発現し得る。
【0013】本発明の不織布において、その目付けは特
に限定されるものではないが、例えばおむつや生理用ナ
プキン等の医療衛生材、生活関連資材、農園芸用資材等
の用途からみると、100g/m2 程度以下とするとよ
い。
【0014】本発明の不織布は、繊維間の部分的接着に
より不織布としての形態を保持しているものである。こ
の部分的接着とは、種々の熱処理装置を用いた乾熱処理
によって形成されるものであり、かかる乾熱処理時には
複合繊維の鞘成分を構成する重合体が溶融軟化するが、
複合繊維とポリエステル繊維同士あるいは複合繊維同士
がその当接する部位における該重合体の溶融軟化によっ
て相互に融着しているものである。この部分的接着によ
って、不織布に形態保持性と強力等の機械的特性が具備
される。
【0015】本発明の複合繊維そして不織布は、次の方
法によって効率良く製造することができる。まず、本発
明の複合繊維を製造する。すなわち、複合繊維芯成分を
構成するポリエステル及び鞘成分を構成するポリオレフ
インを個別に溶融した後、公知の複合型紡糸口金装置よ
り紡出し、溶融紡出糸条を公知の冷却装置で冷却し、紡
糸油剤を付与した後、引取りローラで未延伸糸として引
取り、次いで得られた未延伸糸を一旦巻取った後あるい
は巻取ることなく連続してトウ状に集束し延伸する。そ
して、延伸に引き続き、緊張状態にてスチームを用いた
非接触式熱処理、ヒートドラムを用いた接触式熱処理を
行い、表面処理剤を付与し、25mm以下の所定長に切
断して複合短繊維を得る。あるいは、得られた延伸トウ
にスタツフイングボツクス法あるいは押込加熱ギア法あ
るいは高速エア噴射押込法等により機械捲縮を付与した
後、25mm以下の所定長に切断して複合短繊維を得
る。一方、この複合繊維と混抄するポリエステル繊維
は、公知の溶融紡糸装置を用いて紡出し、以降、上記複
合繊維の場合と同様にして繊維長25mm以下の短繊維
を得る。
【0016】次に、上記で得られた複合繊維あるいは所
定量の該複合繊維とポリエステル繊維とを離解機に供給
し、離解する。この工程は、用いる短繊維を溶液中で均
一に離解するためのものであり、均一な抄造を行うため
に重要な役割を果たすものである。すなわち、短繊維が
十分に離解されれば、次の抄造工程で溶液中に短繊維に
均一に分散させることが容易となり、したがって、たと
え低目付けであっても極めて地合いの均整度が高い不織
布を得ることができる。離解工程に引き続き、抄紙機を
用いて抄造を行う。抄紙機としては、一般的に採用され
る装置を使用すればよく、抄造濃度も目標とする不織布
の目付けに応じて適宜選択すればよい。すなわち、抄造
濃度が低いと低目付けの抄造ができ、一方、抄造濃度が
高いと高目付けの抄造ができるので、生産速度に見合っ
た濃度をし選択するとよい。なお、上記離解工程または
抄造工程では、適宜、必要に応じて表面活性剤や分散剤
あるいは増粘剤を添加してもよい。抄造工程に引き続
き、得られた抄造物をコンベアー等の移動手段上に載置
し、脱水して湿式不織ウエブとした後、ヤンキードライ
アやフラツトカレンダ等の熱処理装置を用いて熱処理を
施す。また、熱風ドライヤー、サクシヨンドライヤー等
を用いて熱処理を施した後、プレスローラーを用いた加
工を施してもよい。
【0017】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。なお、各例における測定と評価法は、次のとおり
である。 ポリエステルの極限粘度:フエノールと四塩化エタンと
の等重量混合溶液を溶媒とし、温度20℃の条件で常法
により測定した。ポリエチレンのメルトインデツクス
(g/10分):ASTM D1238(E)に記載の
方法により測定した。 融点(℃):パーキンエルマー社製示差走査型熱量計D
SC−7型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し
た。 単糸繊度(デニール):JIS L1015−7−5−
1Aに記載の方法により測定した。 繊維長(mm):JIS L1015−7−4−1Cに
記載の方法により測定した。 繊維の乾熱収縮率(%):試料長L0 (cm)の試料に
単糸繊度1デニール当たり300mgの荷重を印加し、
温度120℃の熱風乾燥機中に20分間放置した後に試
料長L1 (cm)を測定し、下記式(1)で繊維の乾熱
収縮率(%)を求めた。 乾熱収縮率(%)=〔(L0 −L1 )/L0 〕×100 (1) 繊維の分散性:1リツトルのビーカーに温度30℃の水
を1kg秤取し、そこへ繊維長が5mmの試料繊維1g
を投入し、DCスラーター(直径約50mmの3枚スク
リユー型攪拌翼を有する。)を用い回転数3000rp
m、攪拌時間1分の条件で攪拌した後、試料繊維の分散
性を目視にて観察し、下記基準で評価した。なお、評価
結果で○のものを合格とした。 ○:結束繊維の数が0〜5個で、分散性が良好である。 ×:結束繊維の数が6個以上で、分散性が不良である。 不織布の引張り強力(g/2.5cm幅):JIS−L
−1096Aに記載のストリツプ法に準じて引張り強力
を測定した。すなわち、試料長が15cm、試料幅が
2.5cmの試験片各10点を準備し、各試料片毎に不
織布の経方向について、定速伸長型引張り試験機を用い
て試料の把持間隔10cm、引張り速度2cm/分で伸
長し、得られた切断時荷重値(g/2.5cm幅)の平
均値を不織布の引張り強力(g/2.5cm幅)とし
た。 不織布の地合い:経15cm×緯15cmの正方形に裁
断した試料を作成し、試料表面におけるひび割れ等の有
無を目視にて観察し、下記基準で評価した。なお、評価
結果で○のものを合格とした。 ○:ひび割れ等がない。 ×:ひび割れ等が有る。 不織布の風合い:経15cm×緯15cmの正方形に裁
断した試料を作成し、パネラー5人による手触りにより
試料のソフト性を評価した。なお、評価結果で○のもの
を合格とした。 ○:ソフト性が良好である。 ×:ソフト性が不良である。 不織布の面積収縮率(%):経20cm×緯20cmの
正方形〔面積A0 (cm2 )〕に裁断した試料を作成
し、この試料を温度120℃の熱風乾燥機中に20分間
放置した後に試料面積A1 (cm2 )を測定し、下記式
(2)で不織布の面積収縮率(%)を求め、寸法安定性
の指標とした。なお、面積収縮率が5%以下のものを合
格とした。 面積収縮率(%)=〔(A0 −A1 )/A0 〕×100 (2) 総合評価:下記評価項目の結果から、下記基準にて総合
判定を下した。なお、判定結果で○のものを合格とし
た。 ○:分散性、不織布強力、寸法安定性、地合い、風合い
がいずれも合格 △:分散性、不織布強力、寸法安定性、地合い、風合い
のうち、3項目以上が合格 ×:分散性、不織布強力、寸法安定性、地合い、風合い
のうち、合格が2項目以下
【0018】実施例1 極限粘度が0.69、融点が256℃のポリエチレンテ
レフタレート(以下、PETと略称する。)を芯成分、
メルトインデツクスが20g/10分、融点が130℃
の高密度ポリエチレン(以下、HDPEと略称する。)
を鞘成分とし、芯/鞘複合比率(重量比)を50/50
で同心円状の芯鞘複合長繊維糸条を溶融紡出し、延伸の
後、熱処理を施して複合短繊維を製造した。すなわち、
前記PETを温度285℃、前記HDPEを温度270
℃で溶融した後、孔径0.50mmの紡糸孔を639孔
有する紡糸口金を介して全吐出量328g/分で溶融紡
出し、紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引取
り速度1170m/分で引取って繊度2500デニール
の未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を複数本
合糸して繊度10万デニールのトウに集束し、延伸倍率
2.15で熱延伸した後、引き続き緊張状態にて温度1
10℃のスチームを用いて0.5秒間熱処理し、さらに
温度110℃のヒートドラム中に5秒間通して熱処理を
行った後、冷却して延伸トウを得た。そして、得られた
延伸トウに表面処理剤を付与した後、カツターを用い切
断して、単糸繊度が2デニール、繊維長が5mm、乾熱
収縮率が1.8%の複合繊維を得た。
【0019】次に、この複合繊維2.5gをパルプ離解
機(熊谷理機工業社製)に投入し、回転数3000rp
mにて1分間攪拌し、スラリーを作成した。得られたス
ラリーを抄紙機(熊谷理機工業社製、角型シートマシ
ン)に移し、増粘剤としてポリアクリルアマイドを5p
pm滴下した後に付属の攪拌翼で攪拌を行い、湿式不織
ウエブを作成した。次いで、得られた不織ウエブからプ
レス機(熊谷理機工業社製)を用いて余剰の水分を除去
した後、回転乾燥機(熊谷理機工業社製、卓上型ヤンキ
ードライヤー)を用いて不織ウエブに熱処理を施し、目
付けが40g/m2 の湿式不織布を得た。この熱処理に
際しては、表面温度を130℃、処理時間を100秒、
プレス線圧を1kg/cmとした。得られた複合繊維と
不織布の特性を表1に示す。
【0020】実施例2と3及び比較例1と2 複合繊維の芯/鞘複合比率を表1に示したように変更し
たこと以外は実施例1と同様にして、複合繊維と目付け
が40g/m2 の湿式不織布とを得た。得られた複合繊
維と不織布の特性を表1に示す。
【0021】実施例4と5及び比較例3と4 複合繊維の単糸繊度を表1に示したように変更したこと
以外は実施例1と同様にして、複合繊維と目付けが40
g/m2 の湿式不織布とを得た。得られた複合繊維と不
織布の特性を表1に示す。
【0022】実施例6と7及び比較例5 複合繊維の繊維長を表1に示したように変更したこと以
外は実施例1と同様にして、複合繊維と目付けが40g
/m2 の湿式不織布とを得た。得られた複合繊維と不織
布の特性を表1に示す。
【0023】実施例8及び比較例6 複合繊維の乾熱収縮率を表1に示したように変更したこ
と以外は実施例1と同様にして、複合繊維と目付けが4
0g/m2 の湿式不織布とを得た。得られた複合繊維と
不織布の特性を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、実施例1〜8で
得られた不織布は、強力が高く、複合繊維の良好な分散
性により地合いが優れ、また複合繊維の低収縮性に起因
して寸法安定性が優れ、しかもソフトな風合いを有する
ものであった。これに対し、比較例1で得られた不織布
は、接着成分である鞘成分が多く接着性は良好であるも
のの芯成分が少ないために強力が低く、しかも風合いの
硬いものであった。また、比較例2で得られた不織布
は、複合繊維の延伸時に鞘部の剥離が生じて芯鞘構造を
形成しない部分が散見され、強力が低く、しかも風合い
の硬いものであった。比較例3で得られた不織布は、複
合繊維の単糸繊度が小さく分散不良が生じたため、地合
いが劣るものであった。比較例4で得られた不織布は、
逆に複合繊維の単糸繊度が大きく、不織布構成繊維の本
数が減少する結果、強力が低く、しかも構成繊維の高い
剛性に起因して風合いの硬いものであった。比較例5で
得られた不織布は、複合繊維の繊維長が長いために繊維
同士が絡み合って分散不良が生じたため、地合いが劣る
ものであった。そして、比較例6で得られた不織布は、
複合繊維の乾熱収縮率が大きいために寸法安定性が劣
り、また熱処理工程において収縮によるひび割れ等が生
じる結果、地合いも劣るものであった。
【0026】実施例9 極限粘度が0.69、融点が256℃のPETを用いて
なる長繊維糸条を溶融紡出し、延伸の後、熱処理を施し
て短繊維を製造した。すなわち、前記PETを温度28
5℃で溶融した後、孔径0.27mmの紡糸孔を800
孔有する紡糸口金を介して全吐出量628g/分で溶融
紡出し、紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引
取り速度800m/分で引取って繊度7065デニール
の未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を複数本
合糸して繊度10万デニールのトウに集束し、延伸倍率
4.80で熱延伸した後、引き続き温度200℃のヒー
トドラム中に5秒間通して熱処理を行った後、冷却して
延伸トウを得た。そして、得られた延伸トウに表面処理
剤を付与した後、カツターを用い切断して、単糸繊度が
2デニール、繊維長が5mm、乾熱収縮率が1.0%の
PET繊維を得た。次に、得られたPET繊維と実施例
1の複合繊維とをPET繊維/複合繊維の混率(重量
比)が70/30で混抄し、以降は実施例1と同様にし
て、目付けが40g/m2 の湿式不織布を得た。得られ
た不織布の特性を表2に示す。
【0027】比較例7 PET繊維と実施例1の複合繊維との混率(重量比)を
表2に示したように変更したこと以外は実施例9と同様
にして、目付けが40g/m2 の湿式不織布を得た。得
られた不織布の特性を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかなように、実施例9で得ら
れた不織布は、強力が高く、地合いと寸法安定性が優
れ、しかもソフトな風合いを有するものであった。これ
に対し、比較例7で得られた不織布は、実施例1の複合
繊維の混率が低く接着性が低下したために強力が低く、
しかも剛性の高いPET繊維の混率が高いことに起因し
て風合いの硬いものであった。
【0030】
【発明の効果】本発明の湿式不織布用複合繊維は、湿式
不織布の製造工程において良好な分散性を発現する。そ
して、この複合繊維を用いてなる湿式不織布は、不織布
強力が高く、複合繊維が低収縮性であるために寸法安定
性に優れ、複合繊維の分散性が良好なため地合いに優
れ、寸法安定性に優れるために皺やひび割れ等の欠点も
なく、しかもソフト風合いを有するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯成分がポリエステル、鞘成分がポリオ
    レフインからなり、鞘成分に対する芯成分の複合比(重
    量比)が20/80〜80/20、単糸繊度が0.3〜
    6デニール、繊維長が25mm以下かつ温度120℃で
    の乾熱収縮率が5%以下であることを特徴とする湿式不
    織布用複合繊維。
  2. 【請求項2】 芯成分がポリエステル、鞘成分がポリオ
    レフインからなり、鞘成分に対する芯成分の複合比(重
    量比)が20/80〜80/20、単糸繊度が0.3〜
    6デニール、繊維長が25mm以下かつ温度120℃で
    の乾熱収縮率が5%以下である複合繊維30〜100重
    量%と、繊維長が25mm以下のポリエステル繊維70
    〜0重量%とからなる湿式不織布。
JP7917498A 1998-03-26 1998-03-26 湿式不織布用複合繊維及び該繊維を用いてなる湿式不織布 Pending JPH11279840A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096687A (ja) * 2001-09-27 2003-04-03 Japan Vilene Co Ltd 印刷基材用不織布
JP2007204902A (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Teijin Fibers Ltd 熱接着性複合繊維およびその製造方法

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