JPH11279640A - 平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯およびその製造方法 - Google Patents

平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯およびその製造方法

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JPH11279640A
JPH11279640A JP8458498A JP8458498A JPH11279640A JP H11279640 A JPH11279640 A JP H11279640A JP 8458498 A JP8458498 A JP 8458498A JP 8458498 A JP8458498 A JP 8458498A JP H11279640 A JPH11279640 A JP H11279640A
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tempering
quenching
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Hideya Yamada
英矢 山田
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速度工具鋼の鋼帯を連続走行による焼入れ
焼戻しを行い、平坦度に優れ且つ生産性に優れた高速度
工具鋼鋼帯およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 熱間圧延および冷間圧延を経た鋼帯を素
材とし、連続走行による焼入れ焼戻しを行う。焼入れは
冷却定盤を用いて鋼帯を拘束し、平坦度を調整し、次い
で焼戻しは焼戻し炉内に設けらた定盤若しくはレベラー
にて平坦度の調整を行うことで、鋼帯の幅寸法を一辺と
する実質的な正方形となるように、前記鋼帯を切断した
時、幅方向の平坦度は鋼帯の幅寸法の0.5%以下に調
整されたことを特徴とする平坦度に優れた高速度工具鋼
鋼帯を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ハックソーやセー
バーソーのような鋸刃、カッタのような刃物、ドクター
ブレードのような製紙用ブレード、さらに金型部品や機
械部品となる高速度工具鋼の鋼帯およびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速度工具鋼の薄板(板厚約2mm以
下)を用いて製造される部品や製品は、焼なまし状態の
鋼帯素材または板素材をプレス等により製品予備形状に
加工した後、熱処理され、次に仕上加工される。しかし
ながら、薄板状の製品である鋸刃やカッタでは、製品の
平坦度(長手方向、幅方向の反りのないこと)が要求さ
れる。
【0003】この要求を満たす方法としては、従来は高
速度工具鋼の熱処理に要求される高温焼入れ(1100
℃以上)、高温焼戻し(520℃以上)の熱処理によっ
て変形した高速度工具鋼鋼帯を、プレステンパーによる
修正や仕上加工によって形状を整えることが必須となっ
ていた。このため、加工代の増加や、製造工数の低減や
省力化を阻害する大きな問題となっおり、形状の調整を
必要としない、あるいは形状の調整が少なくて済む高速
度工具鋼鋼帯およびその製造方法が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】焼入れ帯の技術は、連
続的に製品が得られるため、生産性の高い技術として知
られる。しかし、本発明者の検討によれば、この技術を
単純に高速度工具鋼に適用すると、焼入れ焼戻し時に大
きな変形が起こり、前述した薄板状の製品である鋸刃や
カッタなどの高精度の平坦度が要求される製品には適用
することは困難であることが判明した。これは、高速度
工具鋼を58HRC以上とするためには、炭素量および
炭化物形成元素であるMoやW量の少ないマトリックス
ハイスやセミハイスでも1050℃以上、通常の高速度
工具鋼JIS SKH51などにおいては1100℃以
上の高温熱処理が要求されるためである。
【0005】このため、本発明者は種々の高速度工具鋼
について、連続走行による高温焼入れ、高温焼戻しを行
う鋼帯について、平坦度の精度が向上できる方法を鋭意
検討を行った結果、58HRCを超える高速度工具鋼の
鋼帯の平坦度が鋸刃やカッタなどに要求される鋼帯の平
面に対して、鋼帯の幅を一辺とする実質的な正方形とな
るように、前記鋼帯を切断した時、幅方向の平坦度は鋼
帯の幅寸法の0.5%以下に調整できる製造方法を見出
した。本発明は、熱間圧延および冷間圧延を経た素材で
ある鋼帯の状態で、連続走行による焼入れ焼戻しを行な
うことにより、平坦度の優れた熱処理済の高速度工具鋼
鋼帯を提供し、かつ量産性に優れた新規な高速度工具鋼
鋼帯の製造方法の提供である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、高速度工具鋼
を焼入れする場合の変形の原因を追求し、連続処理にお
いて、マルテンサイト変態を適切な拘束下におくことで
無秩序な変形を抑え、平坦度のよい鋼帯の製造法を見出
したものである。つまり、変態がおきる期間、すなわち
焼入れ期間および焼戻し期間において、鋼帯を拘束して
やれば、鋼帯の変形を著しく低減できることを見出し、
従来存在しなかった平坦度を有する焼入れされた高速度
工具鋼鋼帯を提供することができたものである。すなわ
ち本発明は、熱間圧延および冷間圧延を経た後に、連続
走行による焼入れ焼戻しを行った鋼帯であって、該鋼帯
の平面に対して、鋼帯の幅を一辺とする実質的な正方形
となるように、前記鋼帯を切断した時、幅方向の平坦度
は鋼帯の幅寸法の0.5%以下に調整された平坦度に優
れた高速度工具鋼鋼帯である。
【0007】本発明の平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯
は、熱間圧延および冷間圧延を経た後に、連続走行によ
る焼入れ焼戻しを行う鋼帯の製造方法において、連続走
行する鋼帯の焼入れは、加熱炉内を通過させた鋼帯の冷
却期間の少なくとも一期間を、鋼帯の厚み方向を拘束し
た状態で焼入れを行うことで得ることができる。
【0008】好ましくは、鋼帯の厚み方向の拘束は、鋼
帯の両平面を冷却定盤で挟み込むものであることで平坦
度に優れた高速度工具鋼鋼帯のを得ることができる。
【0009】また本発明では、上述した連続走行する鋼
帯の焼入後、焼戻し期間の少なくとも一期間を、炉内に
設けられた定盤もしくはレベラーで焼戻しを行うことが
望ましい。
【0010】好ましくは、焼戻し炉内で鋼帯の両平面を
定盤で挟み込むことにより、鋼帯の厚み方向を拘束した
状態とすることで平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯を得
ることができる。また、焼戻し炉内でレベラーを通過さ
せても良い。
【0011】また、上述した方法を組合せることで、鋼
帯の平面に対して、鋼帯の幅を一辺とする実質的な正方
形となるように、前記鋼帯を切断した時、幅方向の平坦
度は鋼帯の幅寸法の0.5%以下に調整することができ
る、平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯の製造方法であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に詳しく本発明を説明する。
先ず、本発明は薄板状の製品に要求される平坦度の向上
を目的としているもので、熱間圧延および冷間圧を経た
後の高速度工具鋼鋼帯を素材とする。また、本発明は連
続走行による焼入れ焼戻しを行い、かつ優れた平坦度を
実現させるものであり、高速度工具鋼鋼帯の幅が広くな
るほど、冷却面積も広がることから、平坦度のコントロ
ールが難しくなるため、鋼帯の幅は350mm以下に調
整することが望ましく、特に望ましくは270mm以下
に調整する。
【0013】本発明においては鋼帯の平面に対して、鋼
帯の幅寸法を一辺とする実質的な正方形で平坦度の優劣
を判断する。実質的な正方形とするのは、鋼帯の幅方向
と長手方向における平坦度の測定距離が同じ長さとでき
るためである。また、この場合の切断方法として種々の
切断方法があるが、本発明の対象とするのは高硬度の高
速度工具鋼であるため、たとえばレーザーカッターや、
ワイヤーカットなどを用いて平坦度測定用の試験片を採
取することが望ましい。
【0014】上述した方法で採取された平坦度測定用試
験片は、形状測定装置を用いて幅方向の最大高さを求
め、平坦度を幅寸法と前記の最大高さで平坦度を算出す
る。これは、鋼帯の幅方向の測定においては、冷却速度
の違いに起因した平坦度の劣化の確認ができるためであ
る。つまり、冷却速度の速いエッジから、エッジと比較
して冷却速度の遅い中央部、またさらに冷却速度の速い
エッジへと測定することが最も平坦度の測定に適してい
ると考えられるためである。また、幅方向の平坦度が鋼
帯の幅寸法の0.5%以下に調整できていれば、長手方
向は実質的に平坦に調整されていることから、冷却速度
の速く、変形を生じ易いエッジからエッジへ測定すれ
ば、長手方向の平坦度測定は省略しても良い。ここで本
発明は、焼入れ焼戻しなどで生じる変形を防止すること
が最大の目的であるため、幅方向の平坦度の測定は、焼
入れ焼戻し以外で付与された形状である、たとえばスリ
ットによるエッジ部のバリや、圧延時に生じるエッジ部
の丸みを帯びた形状の箇所は、平坦度の測定の対象外と
することは言うまでもない。
【0015】また、本発明は、連続走行による焼入れ焼
戻しを行う。このような連続走行による高温焼入れを行
う時においては、昇温、均熱(加熱保持)、急冷が行わ
れる。この場合、材料の焼入れ温度、すなわちオーステ
ナイト化温度が1200℃以上の高温となると、加熱む
らが生じ易く、加熱炉内を通過する速度を減速させる必
要がある。この通過速度の減速は生産性を直接低下さ
せ、問題である。
【0016】さらに、1200℃以上という高温での焼
入れ炉の使用は、高速度工具鋼鋼帯の、炉中でのクリー
プ現象、エッジ部の局部昇温による変形、急冷の困難性
という問題を引き起こすため、平坦度を向上させること
ができる連続焼入れの利点を生かすことができないとい
う問題がある。そこで、本発明は高速度工具鋼として
の、十分な硬さと平坦度を鋼帯状態で、連続走行させな
がら得るために、ある程度の速度を保ちながら鋼帯の焼
入れを所望の温度に加熱された加熱炉を通過した鋼帯を
拘束した状態で焼入れを行う。
【0017】具体的には、先ず、冷間圧延されコイル状
となった高速度工具鋼の鋼帯が一定速度で巻出され、1
100〜1200℃に加熱された加熱炉(焼入れ炉)へ
送り込まれる。加熱炉で高温加熱された高速度工具鋼の
鋼帯は、炉を出た直後に、鋼帯を拘束した状態で焼入れ
が行われる。ここで本発明では、加熱炉から送り出され
た鋼帯の変形を防止する、あるいは少なくする目的で、
冷却期間の少なくとも一期間を、鋼帯を拘束した状態で
焼入れを行うものであり、連続走行する鋼帯の表面と裏
面に対して、上下方向より、変形を抑制できるような形
状を有するもので挟み込むことができるものが好まし
く、たとえば、定盤の如き平板な形状を有すものが特に
好ましい。
【0018】たとえば、次のようにして連続走行する鋼
帯に焼入れを施す。加熱炉より送り出された直後におい
て、水冷又は油冷を、上下の加圧された冷却定盤の間を
通過する時に行う。この上下から拘束された状態でマル
テンサイト変態、すなわち焼入れが完了させられるので
ある。この焼入れにより、急冷による鋼帯の収縮、変態
による膨張を上下定盤の限られた平面内で生ぜしめ、平
坦度を確保するものである。
【0019】ここで、本発明の対象とする高速度工具鋼
とは、SKH51に代表される一次炭化物を多数晶出す
る、いわゆる一般高速度工具鋼や、低炭素(0.8%以
下)でありMo+1/2Wが重量%で2.0〜7.0%
含むマトリックス自身を強化するマトリックスハイスま
たはセミハイスと称されるものなど、ほとんど全ての高
速度工具鋼に適応できる。
【0020】先ず、本発明の対象とするマトリックスハ
イス、セミハイスとは、SKH51のような一般の高速
度工具鋼の基地組成をその合金組成としたものである。
つまり炭化物として残留する割合が少ないことを意味し
ている。高速度工具鋼の焼入れにおいて、1000℃前
後の温度域を徐冷された場合、粒界に炭化物が析出し、
靭性の低下および2次硬化の低下を招く。従って、炭素
量および炭化物形成元素であるMoやW量の少ないマト
リックスハイスやセミハイスにおいては、粒界に析出す
る炭化物自体がなくなるため焼入れ性が大きく向上する
ため、鋼帯の連続走行させる速度を早めることもでき、
また上述した冷却定盤中での平坦度の付与がし易いこと
から特に有効である。
【0021】一方、SKH51のような一般の高速度工
具鋼は、マトリックスハイス、セミハイスと比べて焼入
れ性を高める元素Crが少なく、また冷却中に析出炭化
物を形成し易いMo,W,V等の炭化物生成元素を多く
含有するため、焼入れ性が悪く、鋼帯のエッジ部と中央
部での冷却むらが発生し易いため、中央部への冷却歪を
抑制することが必要となる。つまり、一般の高速度工具
鋼は、マトリックスハイス、セミハイスに比べて、冷却
定盤による適切な冷却コントロールを施す必要がある。
また、焼入れ性が悪い一般の高速度工具鋼の焼入れ方法
として、たとえば加熱炉から送り出された鋼帯を衝風冷
却などで冷却した後、冷却定盤による鋼帯の拘束焼入れ
を行うことも有効な手段となる。
【0022】また、上述した冷却定盤による鋼帯の冷却
コントロールの方法としては、たとえば(1)冷却定盤
の中央部の冷却能力を高め、鋼帯のエッジ部と中央部の
冷却速度の均一化を図る。(2)冷却定盤を長くする。
(3)(1)と(2)とを組合せるなどによって優れた
平坦度を付与することができる。またさらに、上述の冷
却コントロールを施した上で、鋼帯の連続走行する速度
を2〜3m/minの速度にすれば、鋼帯の平坦度が鋼
帯の幅寸法の0.45%以下に調整することができ、さ
らに2m/minより遅い速度にすれば、鋼帯の平坦度
が鋼帯の幅寸法の0.4%以下に調整することができ
る。
【0023】次に、焼入れされた高速度工具鋼の鋼帯
は、続く500〜600℃に加熱された焼戻し炉に送り
込まれる。高速度工具鋼の焼戻し2次硬化域での寸法変
化(膨張)は、焼入れ時よりさらに大きい。このため、
焼戻し炉の炉内に上下1組以上の上下定盤を設置し、こ
の間を通過させる。この時、上下定盤で加圧することに
より、2次硬化は限られた平面内で生ぜしめられるた
め、反りの発生が抑制される。この場合、定盤の代わり
に上下交互に配置されたローラーを有するレベラー方式
でも、同様の効果が得られる。つまり、鋼帯の連続熱処
理の過程において、プレス焼入れ、プレス焼戻しを連続
的に行なうことにより、各熱処理で生じる帯材の反り、
変形を効率よく抑制し、優れた平坦度を有する熱処理法
である。
【0024】本発明では、上述した焼入れ焼戻しを施す
ことで、平坦度が鋼帯の幅寸法の0.5%以下に調整す
ることが容易に実現され、優れた平坦度を有する高速度
工具鋼の鋼帯が得られる。また、本発明の優れた平坦度
の実現にはMo+1/2Wが重量%で2.0〜7.0%
を含む高速度工具鋼鋼帯を選べば、該鋼帯の平坦度が鋼
帯の幅寸法の0.3%以下に調整することもでき、特に
有効である。
【0025】さらに、上述した方法により製造された高
速度工具鋼の鋼帯は、工具へと加工されるが、本発明の
方法を採れば、平坦度として幅反りの観点から、幅寸法
の0.5%以内に制御することができるため、たとえば
薄板状製品である鋸やカッタ、あるいは製紙用ブレード
への形状の調整がほとんどど必要ない精度とすることが
できる。したがって、直接素材をワイヤーカットやレー
ザーカット等のエネルギー集中型の加工法により、製品
形状に加工した後仕上加工のみで製造することが可能で
あり、大幅な省力を実現するものである。
【0026】
【実施例】以下、実施例に基づき説明する。供試鋼とし
て表1に示すように、いわゆるマトリックスハイス、セ
ミハイスの成分組成の合金(No.A〜D)および一般
の高速度工具鋼であるSKH51相当合金(No.E)
を溶製し、鍛伸し、熱間圧延により板厚3mmのフープ
とした後1mmまで冷間圧延と軟化焼鈍繰り返し、10
0mm幅のコイルを得た。
【0027】
【表1】
【0028】次に、得られたコイルを巻出機にセット
し、1120℃に加熱された焼入れ炉へ通板した後、焼
入れ炉で加熱された鋼帯は、炉を出た直後に油冷を行っ
た。ここで、さらに上下の加圧された定盤の間を貫通
し、鋼帯を上下から拘束させ、鋼帯の変形を抑制させ、
焼入れが終了した。SKH51相当合金のNo.Eは、
上述したように冷却定盤の冷却コントロールを行った。
【0029】続いて、焼入れが終了した鋼帯は540℃
に加熱された焼戻し炉へ上述した速度と同様の速度で通
板させた。この時、焼戻し炉内に設置された上下の加圧
された定盤中を貫通させ、空冷にて冷却を行い、焼戻し
を終了した。このことで、焼入れ時よりさらに大きな高
速度工具鋼の焼戻し2次硬化域での寸法変化(膨張)を
抑制させることができ、特に幅方向への変形を抑制でき
る。また、比較材としてNo.AとNo.Eの合金を、
上述した熱間圧延および冷間圧延と同一の工程を経て、
100mm幅のコイルを得た。
【0030】次に、加熱炉内を通過させた鋼帯を拘束さ
せずに焼入れを行い、次いで定盤もしくはレベラーを用
いない、焼戻しを行った高速度工具鋼の鋼帯を製造し
た。なお、連続走行の速度は1.5m/minの低速
度、2.5m/minの中速度、4m/minの高速度
で行った。上述の工程で得られた鋼帯について、鋼帯の
幅寸法を一辺とする実質的な正方形となるようにワイヤ
ーカットで切り出し、幅方向について形状測定装置を用
いて変形の最大高さを測定した。また、あわせてロック
ウェル硬度計を用いて硬さも測定した。平坦度の測定結
果と硬さを表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】マトリックスハイス、セミハイスの組成を
有するNo.A〜Dまでの高速度工具鋼の鋼帯はいずれ
の通板速度の条件においても、60HRC以上の硬さを
得ることができ、No.Eの高速度工具鋼の鋼帯でも、
連続走行の速度が1.5m/minの低速度の時には、
58HRCの硬さが得られた。連続走行の速度が大きく
なるに従い硬さがやや低下するのは、焼入れ炉の滞在時
間が短くなるため、オーステナイト化の時間が相対的に
短くなるため、炭化物の固溶が少なくなるためである。
また、比較材においては、定盤による冷却ができないた
め、冷却が不均一でかつ冷却速度が遅くなるため、平坦
度、硬さとも満足できるものではない。平坦度において
は、本発明の組成を有する高速度鋼は、定盤中の拘束さ
れた平面内でマルテンサイト変態を生じるため、優れた
平坦度を示している。これに対し比較材は十分な平坦度
を確保できないことがわかる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、十分な硬さと優れた平
坦度を有する高速度鋼鋼帯を得ることができるため、高
速度鋼の薄板を用いて製造される部品や製品の大幅な省
力化が可能であり、また高速度鋼の使用範囲を大きく拡
大するものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延および冷間圧延を経た後に、連
    続走行による焼入れ焼戻しを行った鋼帯であって、該鋼
    帯の平面に対して、鋼帯の幅寸法を一辺とする実質的な
    正方形となるように、前記鋼帯を切断した時、幅方向の
    平坦度は鋼帯の幅寸法の0.5%以下に調整されたこと
    を特徴とする平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯。
  2. 【請求項2】 熱間圧延および冷間圧延を経た後に、連
    続走行による焼入れ焼戻しを行う鋼帯の製造方法におい
    て、連続走行する鋼帯の焼入れは、加熱炉内を通過させ
    た鋼帯の冷却期間の少なくとも一期間を、鋼帯の厚み方
    向を拘束した状態で焼入れを行うことを特徴とする平坦
    度に優れた高速度工具鋼鋼帯の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼帯の厚み方向の拘束は、鋼帯の両平面
    を冷却定盤で挟み込むものであることを特徴とする請求
    項2に記載の平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 熱間圧延および冷間圧延を経た後に、連
    続走行による焼入れ焼戻しを行う鋼帯の製造方法におい
    て、連続走行する鋼帯の焼入後、焼戻し期間の少なくと
    も一期間を、炉内に設けられた定盤もしくはレベラーで
    焼戻しを行う請求項2または3に記載の平坦度に優れた
    高速度工具鋼鋼帯の製造方法。
  5. 【請求項5】 焼戻し炉内で鋼帯の両平面を定盤で挟み
    込むことにより、鋼帯の厚み方向を拘束した状態である
    ことを特徴とする請求項4に記載の平坦度に優れた高速
    度工具鋼鋼帯の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼戻し炉内でレベラーを通過させること
    を特徴とする請求項4に記載の平坦度に優れた高速度工
    具鋼鋼帯の製造方法。
  7. 【請求項7】 鋼帯の平面に対して、鋼帯の幅寸法を一
    辺とする実質的な正方形となるように、前記鋼帯を切断
    した時、幅方向の平坦度は鋼帯の幅寸法の0.5%以下
    に調整されたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれ
    かに記載の平坦度に優れた高速度工具鋼鋼帯の製造方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008506844A (ja) * 2004-07-19 2008-03-06 ベーラー・ウッデホルム・プレシジョン・ストリップ・ゲーエムベーハー・ウント・ツェーオー・カーゲー ドクターブレード、コータブレード及びクレーピングブレード用のスチールバンド、並びにこれらを製造するための粉末冶金方法
JP2012041632A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Sandvik Intellectual Property Ab 冷延及び焼入れされたストリップ鋼製品
CN103276183A (zh) * 2013-06-14 2013-09-04 沈阳飞机工业(集团)有限公司 高速钢薄片三面刃铣刀热处理工艺
CN113736965A (zh) * 2021-08-06 2021-12-03 浙江中箭工模具有限公司 一种高速钢真空热处理工艺

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