JPH11279621A - 製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法 - Google Patents
製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法Info
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- JPH11279621A JPH11279621A JP8718498A JP8718498A JPH11279621A JP H11279621 A JPH11279621 A JP H11279621A JP 8718498 A JP8718498 A JP 8718498A JP 8718498 A JP8718498 A JP 8718498A JP H11279621 A JPH11279621 A JP H11279621A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来より炉口金物及び耐火物の寿命
を向上させる製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法
を提供することを目的としている。 【解決手段】製錬用の酸化性ガスを供給可能な上吹きラ
ンスを備えた製錬容器内にて溶融金属及び/又は金属酸
化物を前記酸化性ガスで製錬すると共に、排ガスの二次
燃焼を行う金属の製錬方法において、前記上吹きランス
に炭化水素系流体の供給用流路を設け、前記製錬容器炉
口部の金物及び耐火物の近傍に、気液混合した炭化水素
系流体を多段に噴霧する。
を向上させる製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法
を提供することを目的としている。 【解決手段】製錬用の酸化性ガスを供給可能な上吹きラ
ンスを備えた製錬容器内にて溶融金属及び/又は金属酸
化物を前記酸化性ガスで製錬すると共に、排ガスの二次
燃焼を行う金属の製錬方法において、前記上吹きランス
に炭化水素系流体の供給用流路を設け、前記製錬容器炉
口部の金物及び耐火物の近傍に、気液混合した炭化水素
系流体を多段に噴霧する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製錬容器の炉口金
物及び耐火物の冷却方法に係わり、特に、酸化性ガスを
溶融金属に上吹きし、該溶融金属上の炉内空間で製錬排
ガスを二次燃焼させる転炉において、その炉口金物及び
内張り耐火物が溶損するのを防止する技術である。
物及び耐火物の冷却方法に係わり、特に、酸化性ガスを
溶融金属に上吹きし、該溶融金属上の炉内空間で製錬排
ガスを二次燃焼させる転炉において、その炉口金物及び
内張り耐火物が溶損するのを防止する技術である。
【0002】
【従来の技術】酸化性ガスを上吹きするランスを備えた
製錬容器の代表的なものとして、製鋼に使用する転炉が
挙げられる。この転炉では、最近、炉内に保持した溶融
金属(以下、溶湯ということあり)に、炭素系固体燃料
や製錬対象金属の酸化物を含む固体原料等を投入した上
で、前記上吹きランスより酸化性ガス(例えば、酸素)
を吹き込み、炭素系固体燃料を燃焼させ、その熱で前記
製錬対象金属の酸化物を溶解させると同時に、該酸化物
を還元する所謂溶融還元製錬法(以下、溶融還元とい
う)が行われるようになった。その際、固体燃料の燃焼
や製錬反応で発生したCOやH2 等の可燃性ガスを、炉
内の溶湯上の空間でさらにCO2 やH2 Oまで燃焼させ
る”二次燃焼”を積極的に行うのが、効率的に熱補償を
行う上で有効である。しかし、この二次燃焼(CO+1
/2O2 →CO2 )が盛んになると、溶湯への着熱が増
加するだけでなく燃焼排ガスの温度が著しく上昇し、製
錬容器の内壁に積んだ上部レンガ及びそのレンガを支え
る炉口金物の溶損が激しくなり、それらの寿命が大幅に
低下するという問題を抱えていた。また、製錬容器から
出た排ガスは、通常可燃性のCO、H2 等を主成分とす
るため、製鉄所の内外で再利用されるが、該二次燃焼の
増加で排ガスのカロリー(可燃ガス成分)が減少し、再
利用のメリットが低下するという問題もあった。
製錬容器の代表的なものとして、製鋼に使用する転炉が
挙げられる。この転炉では、最近、炉内に保持した溶融
金属(以下、溶湯ということあり)に、炭素系固体燃料
や製錬対象金属の酸化物を含む固体原料等を投入した上
で、前記上吹きランスより酸化性ガス(例えば、酸素)
を吹き込み、炭素系固体燃料を燃焼させ、その熱で前記
製錬対象金属の酸化物を溶解させると同時に、該酸化物
を還元する所謂溶融還元製錬法(以下、溶融還元とい
う)が行われるようになった。その際、固体燃料の燃焼
や製錬反応で発生したCOやH2 等の可燃性ガスを、炉
内の溶湯上の空間でさらにCO2 やH2 Oまで燃焼させ
る”二次燃焼”を積極的に行うのが、効率的に熱補償を
行う上で有効である。しかし、この二次燃焼(CO+1
/2O2 →CO2 )が盛んになると、溶湯への着熱が増
加するだけでなく燃焼排ガスの温度が著しく上昇し、製
錬容器の内壁に積んだ上部レンガ及びそのレンガを支え
る炉口金物の溶損が激しくなり、それらの寿命が大幅に
低下するという問題を抱えていた。また、製錬容器から
出た排ガスは、通常可燃性のCO、H2 等を主成分とす
るため、製鉄所の内外で再利用されるが、該二次燃焼の
増加で排ガスのカロリー(可燃ガス成分)が減少し、再
利用のメリットが低下するという問題もあった。
【0003】そこで、特開昭64−79313号公報
は、上吹きランスを介し転炉内に石炭粉、コークス粉等
の炭材粉を吹込み、その炭素分と排ガス中のCO2 との
吸熱反応を利用して、転炉絞り部(炉肩ともいい、転炉
上部の直径が狭くなった部分である)の排ガス温度を低
下させ、内張り耐火物の溶損を効率よく防止する技術を
提案した。また、特開平1−301812号公報は、該
転炉絞り部に、炭化水素系ガス又は炭化水素系ガスを一
部含有するガスを炉内へ吹き込む専用羽口を設け、操業
中に該羽口から前記ガスを吹き込み、その熱分解による
吸熱を利用して、前記耐火物の温度を低下させ、溶損を
防止する技術を開示している。さらに、特開平4−14
3207号公報は、製錬容器の側壁に設けた複数のノズ
ルを介し内壁近傍に液状炭化水素類を供給し、その吸熱
反応を利用して耐火物の温度を低下させ、溶損を効率よ
く防止する技術を提案している。なお、本願でいう耐火
物とは、炉の内壁に積んだレンガ及びその補修に吹き付
けた不定形耐火物の両方をいう。
は、上吹きランスを介し転炉内に石炭粉、コークス粉等
の炭材粉を吹込み、その炭素分と排ガス中のCO2 との
吸熱反応を利用して、転炉絞り部(炉肩ともいい、転炉
上部の直径が狭くなった部分である)の排ガス温度を低
下させ、内張り耐火物の溶損を効率よく防止する技術を
提案した。また、特開平1−301812号公報は、該
転炉絞り部に、炭化水素系ガス又は炭化水素系ガスを一
部含有するガスを炉内へ吹き込む専用羽口を設け、操業
中に該羽口から前記ガスを吹き込み、その熱分解による
吸熱を利用して、前記耐火物の温度を低下させ、溶損を
防止する技術を開示している。さらに、特開平4−14
3207号公報は、製錬容器の側壁に設けた複数のノズ
ルを介し内壁近傍に液状炭化水素類を供給し、その吸熱
反応を利用して耐火物の温度を低下させ、溶損を効率よ
く防止する技術を提案している。なお、本願でいう耐火
物とは、炉の内壁に積んだレンガ及びその補修に吹き付
けた不定形耐火物の両方をいう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭64−49313号公報記載の技術は、吹き込む炭
材粉が粗粒の場合には、排ガス中のCO2 との反応効率
が低く、微粒の場合には、炉内の上昇気流によって未反
応のまま炉外に放出される割合が高いという問題を有し
ていた。また、効率良く反応した場合でも、反応領域が
吹き込み位置の極近傍に限られ、耐火物の冷却効果が小
さいという問題もあった。さらに、特開平1−3018
12号公報記載の技術は、転炉絞り部に設けた専用羽口
の近傍のみが局部冷却し、耐火物の炉内側と外側との間
に温度勾配が生じ、該耐火物がスポーリングによって損
耗するという問題があった。加えて、特開平4−143
27号公報記載の技術は、反応容器の炉壁を直接冷却で
きたが、前記特開平1−3018152号公報記載技術
と同様に、局部冷却が避けられず、転炉内壁に積んだ上
部レンガを固定する目的で炉口に設置する炉口金物や耐
火物の溶損までは防止できない。
開昭64−49313号公報記載の技術は、吹き込む炭
材粉が粗粒の場合には、排ガス中のCO2 との反応効率
が低く、微粒の場合には、炉内の上昇気流によって未反
応のまま炉外に放出される割合が高いという問題を有し
ていた。また、効率良く反応した場合でも、反応領域が
吹き込み位置の極近傍に限られ、耐火物の冷却効果が小
さいという問題もあった。さらに、特開平1−3018
12号公報記載の技術は、転炉絞り部に設けた専用羽口
の近傍のみが局部冷却し、耐火物の炉内側と外側との間
に温度勾配が生じ、該耐火物がスポーリングによって損
耗するという問題があった。加えて、特開平4−143
27号公報記載の技術は、反応容器の炉壁を直接冷却で
きたが、前記特開平1−3018152号公報記載技術
と同様に、局部冷却が避けられず、転炉内壁に積んだ上
部レンガを固定する目的で炉口に設置する炉口金物や耐
火物の溶損までは防止できない。
【0005】本発明は、かかる事情に鑑み、従来より炉
口金物及び耐火物の寿命を向上させる製錬容器の炉口金
物及び耐火物の冷却方法を提供することを目的としてい
る。
口金物及び耐火物の寿命を向上させる製錬容器の炉口金
物及び耐火物の冷却方法を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、冷却剤としての炭化水素系流体を製錬容器
内へ適正に吹込む方法について鋭意検討した。そして、
炭化水素系流体の炉口金物及び耐火物の冷却能力が、該
炭化水素系流体の状態と炉内位置(領域)に大きく左右
されることを知り、該流体として気体及び液体を併用す
ることに着眼して、本発明を完成させた。
成するため、冷却剤としての炭化水素系流体を製錬容器
内へ適正に吹込む方法について鋭意検討した。そして、
炭化水素系流体の炉口金物及び耐火物の冷却能力が、該
炭化水素系流体の状態と炉内位置(領域)に大きく左右
されることを知り、該流体として気体及び液体を併用す
ることに着眼して、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、製錬用の酸化性ガス
を供給可能な上吹きランスを備えた製錬容器内にて溶融
金属及び/又は金属酸化物を前記酸化性ガスで製錬する
と共に、排ガスの二次燃焼を行う金属の製錬方法におい
て、前記上吹きランスに炭化水素系流体の供給用流路を
設け、前記製錬容器炉口部の金物及び耐火物の近傍に、
気液混合した炭化水素系流体を多段に噴霧することを特
徴とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法であ
る。
を供給可能な上吹きランスを備えた製錬容器内にて溶融
金属及び/又は金属酸化物を前記酸化性ガスで製錬する
と共に、排ガスの二次燃焼を行う金属の製錬方法におい
て、前記上吹きランスに炭化水素系流体の供給用流路を
設け、前記製錬容器炉口部の金物及び耐火物の近傍に、
気液混合した炭化水素系流体を多段に噴霧することを特
徴とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法であ
る。
【0008】また、本発明は、前記炭化水素系流体のう
ち、上段側からの噴霧を気液比を小、下段側からの噴霧
を気液比を大にして行うと共に、該炭化水素系流体の流
量を変化させ、主に気体で炉内雰囲気を冷却し、液体で
炉口金物及び耐火物を冷却することを特徴とする製錬容
器の炉口金物及び耐火物の冷却方法である。さらに、本
発明は、前記炭化水素系流体に、固体の炭材粉を含有さ
せることを特徴とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の
冷却方法である。
ち、上段側からの噴霧を気液比を小、下段側からの噴霧
を気液比を大にして行うと共に、該炭化水素系流体の流
量を変化させ、主に気体で炉内雰囲気を冷却し、液体で
炉口金物及び耐火物を冷却することを特徴とする製錬容
器の炉口金物及び耐火物の冷却方法である。さらに、本
発明は、前記炭化水素系流体に、固体の炭材粉を含有さ
せることを特徴とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の
冷却方法である。
【0009】加えて、本発明は、前記炭化水素系流体の
噴射方向を、水平〜下向き50°としたり、あるいは前
記炭化水素系流体の気液を、同一種類のものとすること
を特徴とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法
でもある。本発明によれば、炉内雰囲気の温度ばかりで
なく、炉口金物及び耐火物の温度を操業中に適切に低下
できるようになるので、炉口金物及び耐火物の寿命、ひ
いては製錬容器(特に、転炉)の寿命が従来より延長で
きるようになる。また、排ガスのカロリーを低下させる
ことなく、二次燃焼率を向上させることも可能になる。
噴射方向を、水平〜下向き50°としたり、あるいは前
記炭化水素系流体の気液を、同一種類のものとすること
を特徴とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法
でもある。本発明によれば、炉内雰囲気の温度ばかりで
なく、炉口金物及び耐火物の温度を操業中に適切に低下
できるようになるので、炉口金物及び耐火物の寿命、ひ
いては製錬容器(特に、転炉)の寿命が従来より延長で
きるようになる。また、排ガスのカロリーを低下させる
ことなく、二次燃焼率を向上させることも可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯も
まじえ、本発明の実施の形態を説明する。まず、図4
に、従来から所謂溶融還元に使用している転炉12を示
す。そこでは、最近、炉内の溶銑6に炭素系固体燃料と
製錬対象金属の酸化物を含む固体原料(主としてクロム
鉱石、マンガン鉱石)等を投入した上、上吹きランス2
より酸素8を吹き込み、該炭素系固体燃料を燃焼させて
炉内に投入した製錬対象金属の酸化物を溶解させると同
時に、該酸化物をC又は炉内の還元性ガスで還元する溶
融還元が行われることがある。そして、発生したCOガ
スは、溶銑6上に存在する所謂トップ・スラグ5の表面
から炉口までの空間13で二次燃焼させ、溶銑6の加熱
に利用される。しかしながら、炉内で該二次燃焼を上昇
させると、必然的に炉内雰囲気ガスの温度が上昇し、炉
口近傍の耐火物7(MgO、MgO−Cr2 O3 、Al
2 O3 −C系などの不定形耐火物)および炉口金物3
(通常、鋳鋼製)の溶損が著しく進行し、転炉6の寿命
を短縮する。そのため、前記したような従来技術が提案
されてきたが、まだ十分満足のいく状況にない。なお、
図4では省略してあるが、実際の転炉は炉上方をフード
で覆って全ての排ガスを煙道に導き、回収するようにな
っている。
まじえ、本発明の実施の形態を説明する。まず、図4
に、従来から所謂溶融還元に使用している転炉12を示
す。そこでは、最近、炉内の溶銑6に炭素系固体燃料と
製錬対象金属の酸化物を含む固体原料(主としてクロム
鉱石、マンガン鉱石)等を投入した上、上吹きランス2
より酸素8を吹き込み、該炭素系固体燃料を燃焼させて
炉内に投入した製錬対象金属の酸化物を溶解させると同
時に、該酸化物をC又は炉内の還元性ガスで還元する溶
融還元が行われることがある。そして、発生したCOガ
スは、溶銑6上に存在する所謂トップ・スラグ5の表面
から炉口までの空間13で二次燃焼させ、溶銑6の加熱
に利用される。しかしながら、炉内で該二次燃焼を上昇
させると、必然的に炉内雰囲気ガスの温度が上昇し、炉
口近傍の耐火物7(MgO、MgO−Cr2 O3 、Al
2 O3 −C系などの不定形耐火物)および炉口金物3
(通常、鋳鋼製)の溶損が著しく進行し、転炉6の寿命
を短縮する。そのため、前記したような従来技術が提案
されてきたが、まだ十分満足のいく状況にない。なお、
図4では省略してあるが、実際の転炉は炉上方をフード
で覆って全ての排ガスを煙道に導き、回収するようにな
っている。
【0011】そこで、発明者は、従来の炉肩に設けた羽
口に代え、転炉6の中心軸から壁方向に液状炭化水素系
液体を噴霧する上吹きランス2を用いる技術に着眼し、
研究を行った。ところが、単に該上吹きランス2より微
粒の液体を炉内に噴霧して雰囲気ガスの冷却を行って
も、炭化水素系液体の熱分解及び吸熱反応が起きる領域
が、排ガス流(通常、上昇流10〜15m/s)に大き
く左右され、安定して冷却することが難しく、結果とし
て炉口金物3や耐火物7の十分な冷却効果が得られなか
った。発明者は、その原因を追求し、「ある一定以上の
粒径をもった噴霧液は、容器壁面まで到達するが、大量
に噴霧した場合、同時に上吹きランス2より吹き込んで
いる製錬用の酸化性気体8と干渉して、燃焼してしま
う。この燃焼を回避するには、炭化水素系液体の噴霧流
量を少量に制限する必要があり、十分な冷却効果が得ら
れない」との結論を得た。
口に代え、転炉6の中心軸から壁方向に液状炭化水素系
液体を噴霧する上吹きランス2を用いる技術に着眼し、
研究を行った。ところが、単に該上吹きランス2より微
粒の液体を炉内に噴霧して雰囲気ガスの冷却を行って
も、炭化水素系液体の熱分解及び吸熱反応が起きる領域
が、排ガス流(通常、上昇流10〜15m/s)に大き
く左右され、安定して冷却することが難しく、結果とし
て炉口金物3や耐火物7の十分な冷却効果が得られなか
った。発明者は、その原因を追求し、「ある一定以上の
粒径をもった噴霧液は、容器壁面まで到達するが、大量
に噴霧した場合、同時に上吹きランス2より吹き込んで
いる製錬用の酸化性気体8と干渉して、燃焼してしま
う。この燃焼を回避するには、炭化水素系液体の噴霧流
量を少量に制限する必要があり、十分な冷却効果が得ら
れない」との結論を得た。
【0012】引き続き、発明者は、この燃焼を回避する
対策について検討を重ねた。そして、上吹きランス2か
ら噴霧する炭化水素系流体4を液体と気体の混合ガスと
することに着眼し、試行したところ良好な結果を得た。
つまり、気体と液体の2種類の炭化水素系流体4を適切
な気液比(気体流量/液体流量)で噴霧すると、運動量
の大きい液体がノズル1から遠くまで飛び、運動量の小
さい気体が近いところに存在するようになる。従って、
該気体で雰囲気ガスを冷却し、液体で炉口金物3及び耐
火物7を直接冷却することになり、各々に適した冷却が
可能となった。
対策について検討を重ねた。そして、上吹きランス2か
ら噴霧する炭化水素系流体4を液体と気体の混合ガスと
することに着眼し、試行したところ良好な結果を得た。
つまり、気体と液体の2種類の炭化水素系流体4を適切
な気液比(気体流量/液体流量)で噴霧すると、運動量
の大きい液体がノズル1から遠くまで飛び、運動量の小
さい気体が近いところに存在するようになる。従って、
該気体で雰囲気ガスを冷却し、液体で炉口金物3及び耐
火物7を直接冷却することになり、各々に適した冷却が
可能となった。
【0013】具体的には、図1に示すように、上吹きラ
ンス2の軸方向に沿った異なった位置に複数のノズルを
多段に設け、該ノズル1の位置によって気液比及び流量
を異ならせるのである。図1では、上段側ノズル1から
液体の多い炭化水素系流体を、下段側のノズル1から気
体の多い流体を噴霧している。使用する上吹きランス2
としては、図2及び図3に示すような所謂二流体ノズル
であり、長尺の筒状体の中に、中央に酸化性気体8の流
路11、外周に冷却水の流路10、それら流路10、1
1の間に炭化水素系流体4の液体及び気体の流路14、
15を設けた構造である。また、それらノズル1の噴射
孔の角度(向き)は、排ガスの上昇流を考慮し、水平を
基準に0〜下向50°の範囲とすることが好ましい。さ
らに、炭化水素系流体4の液体としては、重油、軽油、
灯油、アルコール類を単独あるいは混合して、気体とし
てはプロパン・ガス、ブタン・ガス等が使用できる。加
えて、該炭化水素系流体4には、固体の炭材を混合して
やると、冷却効果が一層促進されることも確認してい
る。さらに、加えて、炭化水素系流体4の気液に、同一
種類のもの(例えば、石油など)とし、その一部を気化
させる気液2流体として使用すれば、ランス2の構造が
簡略でき、噴霧操作も簡単になると考えられる。
ンス2の軸方向に沿った異なった位置に複数のノズルを
多段に設け、該ノズル1の位置によって気液比及び流量
を異ならせるのである。図1では、上段側ノズル1から
液体の多い炭化水素系流体を、下段側のノズル1から気
体の多い流体を噴霧している。使用する上吹きランス2
としては、図2及び図3に示すような所謂二流体ノズル
であり、長尺の筒状体の中に、中央に酸化性気体8の流
路11、外周に冷却水の流路10、それら流路10、1
1の間に炭化水素系流体4の液体及び気体の流路14、
15を設けた構造である。また、それらノズル1の噴射
孔の角度(向き)は、排ガスの上昇流を考慮し、水平を
基準に0〜下向50°の範囲とすることが好ましい。さ
らに、炭化水素系流体4の液体としては、重油、軽油、
灯油、アルコール類を単独あるいは混合して、気体とし
てはプロパン・ガス、ブタン・ガス等が使用できる。加
えて、該炭化水素系流体4には、固体の炭材を混合して
やると、冷却効果が一層促進されることも確認してい
る。さらに、加えて、炭化水素系流体4の気液に、同一
種類のもの(例えば、石油など)とし、その一部を気化
させる気液2流体として使用すれば、ランス2の構造が
簡略でき、噴霧操作も簡単になると考えられる。
【0014】
【実施例】上吹きランス2を備えた転炉12(出鋼能力
150トン)を用いて、クロム鉱石の溶融還元を実施し
た。その操業条件は、表1に示す通りであるが、溶銑6
は、予備処理を施した温度1300℃のもの150トン
を使用した。なお、該操業は、本発明に係る溶損防止方
法に従った場合と、炭化水素系流体4を吹き込まない場
合の2通り行った。また、本発明に係る溶損防止方法の
実施で使用した上吹きランス2は、図2及び3に示した
構造のものである。さらに、使用した炭化水素系流体4
は、液体を重油、気体をプロパン・ガスとし、表2に示
す各段ノズル1からの気液比、噴射流量で、60分間の
噴射を行った。加えて、操業中には、二次燃焼率(CO
2 /(CO+CO2 )×100)を35%で一定とする
ように、上吹きランス高さの昇降操作も行った。
150トン)を用いて、クロム鉱石の溶融還元を実施し
た。その操業条件は、表1に示す通りであるが、溶銑6
は、予備処理を施した温度1300℃のもの150トン
を使用した。なお、該操業は、本発明に係る溶損防止方
法に従った場合と、炭化水素系流体4を吹き込まない場
合の2通り行った。また、本発明に係る溶損防止方法の
実施で使用した上吹きランス2は、図2及び3に示した
構造のものである。さらに、使用した炭化水素系流体4
は、液体を重油、気体をプロパン・ガスとし、表2に示
す各段ノズル1からの気液比、噴射流量で、60分間の
噴射を行った。加えて、操業中には、二次燃焼率(CO
2 /(CO+CO2 )×100)を35%で一定とする
ように、上吹きランス高さの昇降操作も行った。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】操業結果を、表3に一括して示す。表2よ
り、本発明に係る冷却方法を採用した場合、従来に比べ
て排ガス温度は低下し、炉口金物3及び耐火物7の溶損
速度も大幅に低下することが明らかである。また、炭化
水素系流体4の熱分解でCOが発生するので、排ガスの
カロリーは低下することなく、従来の水準を確保してい
た。
り、本発明に係る冷却方法を採用した場合、従来に比べ
て排ガス温度は低下し、炉口金物3及び耐火物7の溶損
速度も大幅に低下することが明らかである。また、炭化
水素系流体4の熱分解でCOが発生するので、排ガスの
カロリーは低下することなく、従来の水準を確保してい
た。
【0018】
【表3】
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、製
錬容器で二次燃焼させても、該製錬容器の炉口金物及び
耐火物の冷却が確実にできるようになった。その結果、
炉口金物や耐火物の溶損が従来より減少し、転炉の寿命
が延長できた。また、上吹きランスの酸化性ガスの噴射
位置を従来より高くして、溶鋼への所謂ソフトブローが
できるようになったので、発生ダスト量の抑制という副
次的効果もあった。
錬容器で二次燃焼させても、該製錬容器の炉口金物及び
耐火物の冷却が確実にできるようになった。その結果、
炉口金物や耐火物の溶損が従来より減少し、転炉の寿命
が延長できた。また、上吹きランスの酸化性ガスの噴射
位置を従来より高くして、溶鋼への所謂ソフトブローが
できるようになったので、発生ダスト量の抑制という副
次的効果もあった。
【図1】本発明に係る製錬容器の冷却方法を実施してい
る状況を示す図である。
る状況を示す図である。
【図2】本発明に係る冷却方法の実施に使用する上吹き
ランスの一例を示す縦断面図である。
ランスの一例を示す縦断面図である。
【図3】図2に示したランスの平面を示すA−A矢視図
である。
である。
【図4】従来通りの溶融還元を行う状況を示す図であ
る。
る。
1 ノズル 2 上吹きランス 3 炉口金物 4 炭化水素系流体 5 トップ・スラグ 6 溶銑(又は溶鋼) 7 耐火物(絞り部) 8 酸化性気体(酸素) 9 中心ノズル 10 冷却水の流路 11 酸化性気体の流路 12 転炉 13 空間 14 液体の流路 15 気体の流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森岡 宏泰 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 鍋島 祐樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内
Claims (5)
- 【請求項1】 製錬用の酸化性ガスを供給可能な上吹き
ランスを備えた製錬容器内にて溶融金属及び/又は金属
酸化物を前記酸化性ガスで製錬すると共に、排ガスの二
次燃焼を行う金属の製錬方法において、 前記上吹きランスに炭化水素系流体の供給用流路を設
け、前記製錬容器炉口部の金物及び耐火物の近傍に、気
液混合した炭化水素系流体を多段に噴霧することを特徴
とする製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法。 - 【請求項2】 前記炭化水素系流体のうち、上段側から
噴霧する液体の気液比を下段側から噴霧する流体の気液
比より小さくして噴霧することを特徴とする請求項1記
載の製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法。 - 【請求項3】 前記炭化水素系流体に、固体の炭材粉を
含有させることを特徴とする請求項1又は2記載の製錬
容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法。 - 【請求項4】 前記炭化水素系流体の噴射方向を、水平
〜下向き50°とすることを特徴とする請求項1〜3の
いずれかに記載の製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却
方法。 - 【請求項5】 前記炭化水素系流体の気液を、同一種類
のものとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
に記載の製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8718498A JPH11279621A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8718498A JPH11279621A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11279621A true JPH11279621A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13907911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8718498A Withdrawn JPH11279621A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 製錬容器の炉口金物及び耐火物の冷却方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11279621A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101115833B1 (ko) * | 2005-11-02 | 2012-03-09 | 주식회사 포스코 | 살수식 전로 냉각장치 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP8718498A patent/JPH11279621A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101115833B1 (ko) * | 2005-11-02 | 2012-03-09 | 주식회사 포스코 | 살수식 전로 냉각장치 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050607 |