JPH11279244A - 水性樹脂および該樹脂を用いたインキ - Google Patents

水性樹脂および該樹脂を用いたインキ

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JPH11279244A
JPH11279244A JP8318698A JP8318698A JPH11279244A JP H11279244 A JPH11279244 A JP H11279244A JP 8318698 A JP8318698 A JP 8318698A JP 8318698 A JP8318698 A JP 8318698A JP H11279244 A JPH11279244 A JP H11279244A
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polyurethane
aqueous
resin
unsaturated monomer
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JP8318698A
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English (en)
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Noribumi Watanabe
紀文 渡辺
Minoru Uno
稔 宇野
Masumi Takano
真主実 高野
Tsukasa Otsuki
司 大槻
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】脱溶剤工程を省くことも可能な方法で水性樹脂
を得、該水性樹脂を用いたフイルム、紙用に有用なイン
キを提供すること。 【解決手段】通常のウレタン合成溶剤の代わりに同一分
子中に少なくとも2個の水酸基と1個の不飽和基を有す
る不飽和単量体を必須とする不飽和単量体中でポリウレ
タンを得、水酸基を有する有機溶剤の存在下で水分散を
行う。該ポリウレタンの不飽和単量体溶液の水分散体を
重合することで先の課題を解決する水性樹脂および該水
性樹脂を用いたインキを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウレタン及び不飽
和単量体のラジカル重合体からなる水性樹脂および該樹
脂を用いたインキに関するものである。本発明で得られ
る水性樹脂は、耐候性、耐溶剤性、密着性に優れた塗膜
を与え、塗料、インキ、接着剤の特にインキの分野に於
いて有用であり、幅広く使用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】ウレタン樹脂は、基材への密着性、耐摩
耗性、耐衝撃性、耐溶剤性に優れていることから塗料、
インキ、接着剤、各種コーテイング剤として紙、プラス
チックス、フィルム、金属、繊維製品等に幅広く使用さ
れている。従来は、主としてアセトン、メチルエチルケ
トン、n−メチルピロリドン、芳香族系有機溶剤等で合
成し、脱溶剤過程を経てエマルジョン、コロイダルデス
パージョン、水溶解型等の水性ウレタン樹脂が開発され
てきた(Progress in Organic C
oatings、9、281、1981)。これらの水
性ウレタン樹脂は、使用、取扱いの点では従来の油性ウ
レタン樹脂よりも優れたものであるが、その製造におい
て、前記の有機溶剤を使用するため、脱溶剤工程に要す
る時間、コスト、有機溶剤の再利用、焼却廃棄等の問題
が新たに生じてきた。脱溶剤が不十分であると成膜性、
塗膜物性を損ねるおそれがあった。
【0003】ウレタン樹脂は上述したような他の樹脂に
はない特性を有するが、塗料、インキ、接着剤としての
用途の汎用性の点からは、まだ不十分で、例えば、耐候
性、耐アルカリ性、耐熱性の点では、他の樹脂より劣っ
ている。これらの欠点を補う方法として、他の樹脂との
複合化が試みられている。例えば、特開昭60−550
64号公報、特開平5−117611号公報に開示され
ているようにウレタン樹脂とアクリル樹脂とのブレンド
がある。しかしながら、この系では両エマルジョンのブ
レンドによる経時安定性や両樹脂が化学的に結合してい
ないため成膜時の相分離等の問題がある。特開平6−8
0930号公報には水性ウレタン樹脂の存在下でのアク
リルの乳化重合が開示されている。この方法は、ウレタ
ン樹脂とアクリル樹脂の複合化には優れた方法で物性の
向上は期待できるものの、ウレタン樹脂を合成する時に
有機溶剤を使用し、脱溶剤により水性化しているため前
記したような環境汚染、安全衛生上の諸問題が存在す
る。これらを解決する手段として、例えば特開昭59−
138211号公報には有機溶剤の代わりにアクリルモ
ノマー中でポリウレタン合成し、複合化させる方法が開
示されている。この方法は、一般に活性水素を有しない
不飽和単量体を必要としており、活性水素を有する通常
の不飽和単量体を使用するとイソシアネートと不飽和単
量体の反応が起こるから分子量を伸ばすことができなか
った。また、鎖延長反応において著しく増粘することか
らウレタン樹脂の比率を下げたり、特殊な撹拌装置を必
要としたり、粘度が高いため水分散性が困難となる問題
点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の技
術では水性ウレタン樹脂の製造において脱溶剤の工程が
必ず必要であり、それに要する時間、コストが問題であ
った。また、同時にウレタン樹脂の欠点である耐候性、
耐アルカリ性を向上させた水性のウレタン複合樹脂を容
易に得ることはできなかった。このようなことから製造
過程において脱溶剤工程を省くことも可能で、しかも従
来のウレタン樹脂の欠点を克服した水性のウレタン樹脂
が、塗料、インキ、接着剤が係わる分野において、強く
要望されていた。
【0005】本発明は、その製造においてウレタン樹脂
の通常の合成溶剤であるケトン系、ピロリドン系、芳香
族系溶剤等を使用することなく、しかも従来のウレタン
樹脂の欠点である耐候性、耐アルカリ性にも優れた水性
ウレタン複合樹脂からなる水性樹脂および該樹脂を用い
たインキを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
如き課題を解決するために鋭意努力した結果、環境、安
全衛生上の問題がなく、かつ耐候性、耐アルカリ性等に
優れた水性ウレタン複合樹脂からなる水性樹脂および該
樹脂を用いたインキを得るに至った。
【0007】従来の水性ウレタン樹脂の製造方法におけ
る問題点を克服するため通常の有機溶剤の代わりに、
1)活性水素を有しない不飽和単量体類をウレタンの合
成溶媒としてウレタン化反応を行い、その反応性を解析
したところ有機溶媒中と同様な反応の進行がみられた、
2)同一分子中に少なくとも2個の水酸基と1個の不飽
和基を有する不飽和単量体を含む不飽和単量体中でウレ
タン化反応を行うとウレタン主鎖中に不飽和基を導入で
き共存樹脂との化学結合を通した複合化が可能となっ
た、3)ウレタン樹脂中に尿素結合が存在しないと粘度
の上昇がかなり抑制される、4)水分散を水酸基を有す
る有機溶剤の存在下で行うと、容易に安定な水分散体が
得られることを見い出した。最終的にこの不飽和単量体
類をラジカル重合することにより従来のウレタン樹脂の
欠点である耐候性、耐アルカリ性、耐熱性にも優れた水
性ウレタン複合樹脂を見い出すに至った。
【0008】すなわち、第一の発明は、 a)同一分子中に少なくとも2個の水酸基と1個の不飽
和基を有する不飽和単量体を必須成分とする不飽和単量
体中でポリオールと有機ポリイソシアネートとを反応さ
せ、数平均分子量30,000以下のポリウレタンの不
飽和単量体溶液(A)を得る第一工程 b)(A)を水酸基を有する有機溶剤の存在下に水分散
し、ポリウレタン溶液の水分散体(B)を得る第二工程 c)(B)をラジカル重合せしめる第三工程 から得られる水性樹脂である。
【0009】第二の発明は、第一工程において不飽和単
量体が芳香族系不飽和単量体を含むことを特徴とする第
一発明記載の水性樹脂である。第三の発明は、第一工程
においてポリウレタンがポリエチレングリコールを必須
成分とすることを特徴とする第一発明記載の水性樹脂で
ある。第四の発明は、第二工程において水酸基を有する
有機溶剤がイソプロピルアルコ−ルを含有していること
を特徴とする第一発明記載の水性樹脂である。第五の発
明は、第三工程において得られた水性樹脂の樹脂固形分
中のポリウレタン含有量が5〜95重量%であることを
特徴とする第一発明記載の水性樹脂である。
【0010】第六の発明は、第一発明から第五発明いず
れかに記載の水性樹脂を含有することを特徴とするイン
キである。
【0011】
【発明の実施の形態】水性ウレタン複合樹脂の製造にお
いて第一工程の同一分子中に少なくとも2個の水酸基と
1個の不飽和基を有する不飽和単量体を必須とする不飽
和単量体中でのポリオールと有機ポリイソシアネートと
の反応は、ポリオールをあらかじめ不飽和単量体中に溶
解、分散させた後にポリイソシアネートを添加、滴下さ
せることが好ましい。ポリオールを不飽和単量体に溶
解、分散せしめる方法としては、室温でそのまま溶解、
分散させたり、あるいは加熱撹拌の操作を用いることが
できる。加熱に際しては不飽和単量体の不要な重合を防
ぐためより低温で、あるいは乾燥空気によるパージ下及
び/または微量の重合禁止剤の存在下で行うことが好ま
しい。ウレタン化反応は、触媒の存在下、50〜100
℃で1〜20時間行うのが好ましい。反応の終点は、N
CO%測定、IR測定によるNCOピークの消失によっ
て確認できる。
【0012】第一工程で用いられるポリオールとして
は、一分子中に水酸基を2個若しくはそれ以上有するこ
とが好ましい。例えば、低分子量ポリオールとしてはエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3価
のアルコールが挙げられる。
【0013】より高分子量のポリオールとしては、ポリ
エーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリ
ルポリオール、エポキシポリオール等がある。ポリエー
テルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピ
レン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等が
ある。ポリエステルポリオールは、ジオールと二塩基酸
の重縮合より得られる。ジオールとしては、前記のエチ
レングリコール、ジエチレングリコールの他、ジプロピ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、二塩基酸と
してはアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸が挙げられる。その他、ポリカプ
ロラクトン、ポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等の
ラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネイトジ
オール等がある。アクリルポリオールとしては、水酸基
を有するモノマーの共重合体が挙げられる。水酸基含有
モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシブチルアクリレート、ジヒドロキシアクリレート
等、エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ
樹脂等がある。その他、ポリブタジエンジオール、ひま
し油等が挙げられる。
【0014】これらポリオール類は単独、あるいは併用
で使用することができる。被塗装物への密着性、塗装
性、あるいは塗膜物性等のバランスを取るためには、一
般に化学構造の異なる2種類以上を併用したり、それら
の分子量を適宜選択する必要がある。また、活性水素を
有しない不飽和単量体への溶解性、ウレタン化反応の点
からもポリオールの選択が必要となる。例えば、汎用性
の高いポリオールであるポリエステルポリオール、ポリ
エーテルポリオールを用いる場合、その分子量が5,0
00以上になると溶解に高温を要したり、増粘によりウ
レタン化反応が困難となる。ポリオール中に2個以上の
活性水素を有していても分岐構造となることから増粘の
問題が生じやすくなる。ジオールとしてポリエチレング
リコールを単独、或いは他のジオールと併用すると水溶
化が容易になり安定な分散体、ハイドロゾルが得られ
る。
【0015】また、ジオール成分としてイオン化可能な
基、例えばカルボキシル基、スルフォン基等を有するポ
リオールを用いると自己乳化性のポリウレタンができ
る。カルボキシル基含有ポリオールとして、ジメチロー
ルプロピオン酸、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−
ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、
ジヒドロキシプロピオン酸等のジメチロールアルカン
酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙
げられる。特に、反応性、溶解性点からはジメチロール
プロピオン酸、2, 2−ジメチロール酪酸が好ましい。
【0016】第一工程で用いられる同一分子中に少なく
とも2個の水酸基と1個の不飽和基を有する単量体とし
ては、1)例えば、特開昭56−127618号公報に
開示されているようなグリシドールとアクリル酸の反応
物、2)トリオール、ジイソシアネートと2−ヒドロキ
シメタクリレートとの反応物、3)グリセリンモノアク
リレート誘導体(例えば、GMGA−70X、共栄社化
学製、分子量218)等がある。これらの不飽和単量体
の使用により、ウレタン主鎖中に不飽和基を導入するこ
とができ、共存樹脂との化学結合を通した複合化が可能
となる。このようにして得られた複合樹脂は、相溶性、
保存安定性に優れる。
【0017】その他の単量体としては、上述の同一分子
中に少なくとも2個の水酸基と不飽和基を有する不飽和
単量体と共重合可能で活性水素を有しない不飽和単量体
が好ましい。具体的には、カルボキシル基、水酸基、メ
チロール基、シラノール基、1級、2級アミノ基等を含
有しない不飽和単量体が挙げられる。例を挙げると、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸オクチル、メタクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸
ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メ
タ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エ
トキシブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジ
ルエーテル等のエポキシ基を有する不飽和単量体;アク
リルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアク
リルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミ
ド基を有する不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメ
タクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタク
リレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリル
酸;N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、
N−ビニルカルバゾール等の含窒素不飽和単量体;シク
ロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート
等の脂環式(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチ
ルスチレン、メタクリル酸フェニル等の芳香族不飽和単
量体;ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイル
オキシプロピルトリメトキシシラン等の含珪素不飽和単
量体;オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、
パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の
含フッ素不飽和単量体、イソシアネート基をブロックし
た不飽和単量体等の不飽和基を一つ有する単量体類があ
る。また、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート等の2官能性不飽和単量体等も
使用できる。
【0018】活性水素を有しない不飽和単量体の選択に
おいてはポリオール、ポリイソシアネートをよく溶解さ
せることが望ましいが、完全溶解しなくても反応の進行
に連れ溶解するような系の選択も可能である。溶解性が
不良の場合は、ビニルピロリドン等のウレタン樹脂に対
して溶解力の高い単量体、あるいは芳香族不飽和単量体
等のウレタン対して比較的溶解性のある単量体類を使用
することもできる。
【0019】有機ポリイソシアネートとしては、芳香
族、脂肪族、脂環式のポリイソシアネートがある。例え
ば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネー
ト、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシア
ネート、4,4’ージシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン
ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−
ブフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−
4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフ
タレンジイソシアネート等を単独、または混合で使用で
きる。
【0020】イソシアネートと水酸基の反応に用いられ
る触媒としては、ジブチルすずジラウレート、オクトエ
酸すず、ジブチルすずジ(2−エチルヘキソエート)、
2−エチルヘキソエート鉛、チタン酸2−エチルヘキシ
ル、2−エチルヘキソエート鉄、2−エチルヘキソエー
トコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テ
トラ−n−ブチルすず、塩化第一すず、塩化第二すず、
塩化鉄が挙げられる。
【0021】不飽和単量体中での反応は、一般に溶剤系
に比べて溶液粘度が高くなるためポリウレタンの分子量
を特定範囲内におさめることが重要となる。ポリウレタ
ンの数平均分子量が30,000以上になると増粘が著
しくなったり、反応に長時間要する。また、ポリウレタ
ン重量と溶媒としての不飽和単量体重量の総和に対する
ポリウレタンの割合が95重量%以上では、不飽和単量
体類の特徴である耐候性等が得難く、5重量%以下で
は、ウレタンの特徴である基材への密着性、耐摩耗性、
耐溶剤性、反撥弾性等が発現し難い。
【0022】第二工程で用いられる水酸基を有する有機
溶剤としては、公知の物が使用できる。例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソ
プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチ
ルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシ
ルエーテル、2,2,4−トリメチルペンタンジオール
−1,3−モノイソブチレート(テキサノール、イース
トマンケミカル社製)等を単独、或いは混合で用いられ
る。これら水酸基を有する有機溶剤の使用で溶液粘度が
低下し、安定な水分散体が得られる。これら有機溶剤を
目的とする塗料、インキ、接着剤、コーテイング等に適
した成膜、塗工助剤として適宜選択することにより、水
性化に伴う脱溶剤工程を省略する事も可能となる。水酸
基を有する有機溶剤の中で低粘度化、或いは成膜、塗工
助剤としての機能からはイソプロピルアルコールを含有
する有機溶剤が望ましい。また、第二工程では必要に応
じて水酸基を有しない有機溶剤を併用する事も可能であ
る。これら水酸基を有する有機溶剤は、ポリウレタンと
不飽和単量体の総重量に対して1重量%〜30重量%の
範囲内が好ましい。1重量%以下では水分散が困難で、
30重量%以上では脱溶剤工程が必要となる場合もあ
る。
【0023】第二工程では、不飽和単量体の重合体に親
水性部を付与する目的で親水性の不飽和単量体を添加し
ても良い。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸等のカルボキシル基を有する不飽和単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチ
ルアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸
エステル類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等
が挙げられる。これら親水性を有する不飽和単量体類
は、水分散前、或いは水分散中に添加することが可能で
ある。これにより末端にNCO基を有するポリウレタン
であれば親水性の不飽和単量体の一部はウレタン鎖末端
と反応し、後工程で不飽和単量体と化学結合を通しての
複合化も可能になる。
【0024】第二工程においてポリウレタンの不飽和単
量体溶液を水分散する方法としては 1)ジオール成分としてカルボキシル基含有ジオールを
用い、塩基で中和する方法、2)三級アミノ基を有する
アルキルジアルカノールアミンでプレポリマー化し、四
級化する方法、3)三級アミノ基を有するアルキルジア
ルカノールアミンでプレポリマー化し、酸で中和し、ア
ミン塩にする方法、4)水溶性の高いポリオール、例え
ばポリエチレングリコールをウレタン成分とする方法等
が挙げられる。また、本発明には、界面活性剤を使用し
ないことが好ましいが、ポリウレタンの不飽和単量体溶
液の水分散体の安定性、あるいは該分散体をラジカル重
合してなる複合樹脂分散体の重合安定性を改良する目的
で少量の界面活性剤の併用も可能である。
【0025】水性化に使用される塩基性化合物として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチル
アミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノール
アミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N
−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プ
ロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノー
ル、モルホリン等が挙げられ単独、混合にて使用され
る。ポリウレタンの不飽和単量体溶液を中和する時、塩
基性化合物の種類によっては溶液中へのなじみ易さ、水
分散後の安定性が異なる場合があるため適宜選択する必
要がある。ジメチロールアルカン酸等のカルボキシル基
を有する化合物の中和においては、カルボキシル基1当
量に対し0.6〜1.2当量が好ましい。
【0026】界面活性剤をとしては、脂肪酸塩、アルキ
ル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、
ナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォコハク酸
塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエステル等のノニオン性
界面活性剤がある。また、反応性活性剤も併用し、耐水
性の低下を抑制することも可能である。
【0027】水分散においては、ポリウレタンと不飽和
単量体の合計量が総量に対して70重量%以下の範囲内
が好ましい。70重量%よりも大きいと凝集物が生成し
易く、また均一な重合体が得難い。ポリウレタンの不飽
和単量体溶液を水分散する方法としては、通常の撹拌機
による水分散も可能であるが。安定な水分散体を得るた
めにはホモミキサー、ホモジナイザー、マイクロフルイ
タイザー(みずほ工業社製)による高剪断力下による強
制分散が好ましい。
【0028】第三工程において水分散体をラジカル重合
し複合樹脂分散体を得るには公知のラジカル重合方法が
好ましい。重合開始剤は水溶性開始剤、油溶性開始剤共
に使用可能である。油溶性開始剤の使用に際しては前も
ってポリウレタンの不飽和単量体溶液に溶解させておく
ことが好ましい。これら重合開始剤は、不飽和単量体に
対して0.05〜5%の範囲内で好適に用いられる。温
度は40〜100℃が好ましく、レドックス開始剤では
80℃以下で十分である。重合開始剤としては、アゾビ
スイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニト
リル、等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、イソブチリ
ルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、クミ
ルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテー
ト、ラウリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジンカーボ
ネイト等の有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム、過酸化水素等の無機パーオキサイド化合物が
ある。有機または無機パーオキサイド化合物は、還元剤
と組み合わせてレドックス系開始剤として使用すること
も可能である。用いられる還元剤としては、L−アスコ
ルビン酸、L−ソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、
硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ロンガリット等が挙げられ
る。
【0029】不飽和単量体の重合方法に関しては、全量
仕込み、全量滴下、あるいは一部分仕込みで残りを滴下
させる方法が可能である。また、不飽和単量体の重合に
際しては、分子量を調節する目的で公知の連鎖移動剤、
例えばオクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、
2−メルカプトエタノール、ターシャルドデシルメルカ
プタン、チオグリコール酸等の使用も可能である。
【0030】本発明である水性樹脂は、特にインキ用と
して有用であるが塗料、接着剤にも使用できる。インキ
用としては、該水性樹脂がインキ固形分中に3重量%〜
80重量%含有されていることが望ましい。3重量%以
下だとフイルムへの接着性が劣り、また80重量%以上
だと発色性、隠蔽性が劣る。
【0031】本発明のインキには、必要に応じて他の樹
脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹
脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を併用したり、
また、用途に応じて分散助剤、消泡剤、増粘剤、界面活
性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、有機溶剤を適宜添加す
ることが可能である。更に、目的によっては耐水性、皮
膜強度、耐薬品性を向上させるために架橋剤を添加する
ことも可能である。架橋剤としては、ブロックドイソシ
アネート化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド
化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物等が挙げら
れる。このようにして得られた水性ウレタン複合樹脂を
含有するインキは、フイルム、紙用として広範に適用で
きる。
【0032】
【実施例】以下に製造例で得た樹脂をもとにした実施例
で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。尚、以下の製造例、実施例において、
特に断らない限り「部」は重量部を意味する。
【0033】
【製造例1】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリセリンモノメタクリレート(分
子量218)21.9部、ブチルアクリレート12部、
メチルメタクリレート13部、数平均分子量約2,00
0(水酸基価56)のポリテトラメチレングリコール2
21.4部、数平均分子量2,000(水酸基価56)
のポリエチレングルコール27.7部、ジメチロールプ
ロピオン酸25.4部を仕込み、60℃まで昇温した。
撹拌下、イソホロンジイソシアネート83.8部、ジブ
チル錫ジラウレート0.08部を加え80℃まで昇温
し、3時間反応させ数平均分子量約7,800のポリウ
レタンのモノマー溶液を得た。
【0034】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、イソプロピルアルコール30部を加えた。アン
モニア水13.0部、蒸留水600部を加え、ポリウレ
タンのモノマー溶液の分散体を得た。次にフラスコに窒
素ガスを導入しながら該水分散体を75℃に昇温し、過
硫酸カリウム0.3部加えアクリル重合反応を4時間行
った。更に、過硫酸カリウムを0.1部追加し2時間反
応を続行させ、水性のウレタン複合樹脂分散体(A)を
得た。
【0035】
【製造例2】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリセリンモノメタクリレート(分
子量218)10.3部、ブチルアクリレート30部、
メチルメタクリレート36部、数平均分子量約1,50
0(水酸基価75.6)のポリプロピレングリコール1
81.0部、数平均分子量約2,000(水酸基価5
6)のポリエチレングリコール33.3部、ジメチロー
ルブタン酸24.7部を仕込み、60℃まで昇温した。
撹拌下、ジフェニルメタンジイソシアネート83.9部
を加え80℃まで昇温し、6時間反応させ数平均分子量
15,000のポリウレタンのモノマー溶液を得た。
【0036】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、n−プロピルアルコール30部を加えた。アン
モニア水11.5部、蒸留水600部を加え、ポリウレ
タンのモノマー溶液の水分散体を得た。次にフラスコに
窒素ガスを導入しながら該水分散体を75℃に昇温し、
過硫酸カリウム1.1部加えアクリル重合反応を4時間
行った。更に、過硫酸カリウムを0.3部追加し2時間
反応を続行させ、水性のウレタン複合樹脂分散体(B)
を得た。
【0037】
【製造例3】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリセリンモノメタクリレート(分
子量218)7.7部、エチルアクリレート70部、ブ
チルアクリレート80部、メチルメタクリレート50
部、数平均分子量約1,500(水酸基価75.6)の
ポリテトラメチレングリコール105.4部、数平均分
子量約2,000(水酸基価56)のポリエチレングリ
コール20.0部、ジメチロールブタン酸14.8部を
仕込み、60℃まで昇温した。撹拌下、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート52.0部を加え80℃まで昇温
し、8時間反応させ数平均分子量22,300のポリウ
レタンのモノマー溶液を得た。
【0038】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、ジエチレングリコールモノメチルエーテル30
部、アゾビスイソブチロニトリル4部を加えた。トリエ
チルアミン10.1部、蒸留水600部を加え、ポリウ
レタンのモノマー溶液の水分散体を得た。次にフラスコ
に窒素ガスを導入しながら該水分散体を75℃に昇温
し、アクリル重合反応を6時間行い、水性のウレタン複
合樹脂分散体(C)を得た。
【0039】
【製造例4】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリシドール/メタクリル酸=1/
1反応物(分子量160)5.8部、エチルアクリレー
ト70部、ブチルアクリレート100部、メチルメタク
リレート50部、数平均分子量約1,000(水酸基価
111)のポリテトラメチレングリコール97.0部、
数平均分子量約1,000(水酸基価111)のポリエ
チレングリコール20.0部、ジメチロールブタン酸1
8.5部を仕込み、60℃まで昇温した。撹拌下、イソ
ホロンジイソシアネート59.7部、ジブチル錫ジラウ
レート0.05部を加え80℃まで昇温し、5時間反応
させ数平均分子量24,500のポリウレタンのモノマ
ー溶液を得た。
【0040】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、イソプロピルアルコール30部を加えた。トリ
エチルアミン12.6部、蒸留水600部を加え、ポリ
ウレタンのモノマー溶液の水分散体を得た。次にフラス
コに窒素ガスを導入しながら該水分散体を75℃に昇温
し、過硫酸カリウム3部加えアクリル重合反応を4時間
行った。更に、過硫酸カリウムを1部追加し2時間反応
を続行させ、水性のウレタン複合樹脂分散体(D)を得
た。
【0041】
【製造例5】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリシドール/メタクリル酸=1/
1反応物(分子量160)0.5部、ブチルアクリレー
ト120部、メチルメタクリレート110部、スチレン
100部、2−エチルヘキシルアクリレート40部、数
平均分子量約1,000(水酸基価111)のポリプロ
ピレングリコール10.4部、数平均分子量約1,00
0(水酸基価111)のポリエチレングリコール2.0
部、ジメチロールブタン酸1.5部を仕込み、60℃ま
で昇温した。撹拌下、イソホロンジイソシアネート5.
6部、ジブチル錫ジラウレート0.01部を加え80℃
まで昇温し、4時間反応させ数平均分子量27,500
のポリウレタンのモノマー溶液を得た。
【0042】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、イソプロピルアルコール30部、アクリル酸1
0部、アゾビスイソブチロニトリル7.6部を加えた。
トリエチルアミン15.2部、蒸留水600部を加え、
ポリウレタンのモノマー溶液の水分散体を得た。次にフ
ラスコに窒素ガスを導入しながら該水分散体を75℃に
昇温し、アクリル重合反応を6時間行い、水性のウレタ
ン複合樹脂分散体(E)を得た。
【0043】
【製造例6】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリシドール/メタクリル酸=1/
1反応物(分子量160)5.7部、エチルアクリレー
ト70部、ブチルアクリレート100部、メチルメタク
リレート50部、数平均分子量約1,000(水酸基価
111)のポリテトラメチレングリコール106.7
部、数平均分子量約1,000(水酸基価111)のポ
リエチレングリコール22.0部、ジメチロールブタン
酸20.3部を仕込み、60℃まで昇温した。撹拌下、
イソホロンジイソシアネート65.3部、ジブチル錫ジ
ラウレート0.05部を加え80℃まで昇温し、5時間
反応させ数平均分子量32,000のポリウレタンのモ
ノマー溶液を得た。
【0044】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、ジエチレングリコールモノメチルエーテル30
部を加えた。トリエチルアミン13.9部、蒸留水60
0部を加え、ポリウレタンのモノマー溶液の水分散体を
得た。次にフラスコに窒素ガスを導入しながら該水分散
体を75℃に昇温し、過硫酸カリウム3部加えアクリル
重合反応を4時間行った。更に、過硫酸カリウムを1部
追加し2時間反応を続行させ、水性のウレタン複合樹脂
分散体(F)を得た。
【0045】
【製造例7】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、ブチルアクリレート160部、メチ
ルメタクリレート140部、2−エチルヘキシルアクリ
レート10部、数平均分子量約1,500(水酸基価7
5.6)のポリテトラメチレングリコール57.6部、
数平均分子量1,000(水酸基価111)のポリエチ
レングリコール12.4部、ジメチロールプロピオン酸
7.4部を仕込み、60℃まで昇温した。撹拌下、イソ
ホロンジジイソシアネ−ト22.6部、ジブチル錫ジラ
ウレート0.03部を加え80℃まで昇温し、5時間反
応させ数平均分子量17,300のポリウレタンのモノ
マー溶液を得た。
【0046】ポリウレタンのモノマー溶液を30℃まで
冷却し、n−プロピルアルコール30部を加えた。トリ
エチルアミン5.6部、蒸留水600部を加え、ポリウ
レタンのモノマー溶液の水分散体を得た。次にフラスコ
に窒素ガスを導入しながら該水分散体を75℃に昇温
し、過硫酸カリウム5部加えアクリル重合反応を4時間
行った。更に、過硫酸カリウムを1部追加し2時間反応
を続行させ、水性のウレタン複合樹脂分散体(G)を得
た。
【0047】
【製造例8】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥空気で置換し、グリセリンモノメタクリレート(分
子量218)16.5部、ブチルアクリレート30部、
メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアク
リレート7部、数平均分子量約2,000(水酸基価5
6)のポリプロピレングリコール161.0部、数平均
分子量2,000(水酸基価56)のポリエチレングリ
コール33.3部、ジメチロールブタン酸30.8部を
仕込み、60℃まで昇温した。撹拌下、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート91.6部を加え80℃まで昇温
し、18時間反応させ数平均分子量15,600のポリ
ウレタンのモノマー溶液を得た。
【0048】トリエチルアミン21.0部、蒸留水60
0部を加え、ポリウレタンのモノマー溶液の水分散体を
得た。次にフラスコに窒素ガスを導入しながら該水分散
体を75℃に昇温し、過硫酸カリウム1部加えアクリル
重合反応を4時間行った。更に、過硫酸カリウムを0.
4部追加し2時間反応を続行させ、水性のウレタン複合
樹脂分散体(H)を得た。
【0049】
【製造例9】還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌
装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコを
乾燥窒素で置換し、メチルエチルケトン600部、数平
均分子量約2,000(水酸基価56)のポリテトラメ
チレングリコール252部、数平均分子量約1,000
(水酸基価111)のポリエチレングリコール32部、
ジメチロールプロピオン酸29.6部を仕込み、60℃
まで昇温した。撹拌下、イソホロンジイソシアネート8
6.4部、ジブチル錫ジラウレート0.1部を加え80
℃まで昇温し、4時間反応させ数平均分子量9,800
のポリウレタンを得た。
【0050】ポリウレタン溶液を30℃まで冷却し、ア
ンモニア水15部、蒸留水660部を加えた後、脱溶媒
を行い水性ウレタン樹脂(I)を得た。
【0051】製造例1〜9で得られた水性ウレタン複合
樹脂、水性ウレタン樹脂を用いて、下記の実施例に示す
サンプルを得、評価を行った。
【0052】
【実施例1】水性ウレタン複合樹脂(A)に成膜助剤と
してブチルセロソルブを10%添加した塗工液を調整し
た。次に黒ラッカーを塗布したスレート板上に前記調整
の塗工液が厚さ0.5mmになるように塗布し、60℃
の乾燥器にて成膜させ、サンプルとした。該サンプルを
デユーサイクル方式ウエザーメータにて500時間照射
し、その光沢を測定した。初期光沢との差から光沢保持
率を算出した。以下に実施例、比較例に用いた水性樹脂
を記す。 実施例2 水性ウレタン複合樹脂(B) 実施例3 水性ウレタン複合樹脂(C) 実施例4 水性ウレタン複合樹脂(D) 実施例5 水性ウレタン複合樹脂(E) 比較例1 水性ウレタン複合樹脂(F) 比較例2 水性ウレタン複合樹脂(G) 比較例3 水性ウレタン複合樹脂(H) 比較例4 水性ウレタン樹脂(I)
【0053】
【実施例6】水性ウレタン複合樹脂(A)50部、フタ
ロシアニン系青色顔料(東洋インキ製造株式会社製 リ
オノールブルーKLH)20部、消泡剤0.1部、水2
9.9部をホモミキサーにて7,000rpm、20分
間撹拌し、顔料分散体を得た。 該顔料分散体を水/イ
ソプロピルアルコール=1/1の混合溶剤を用いてザー
ンカップ#4で19秒になるように調整し、処理OPP
フイルム(東洋紡績社製「パイレンP2161」)、処
理PETフイルム(東洋紡績社製「エステルE510
0」)上に#7のバーコータで塗布した。続いて60℃
の乾燥オーブンで1分間乾燥し、フイルム密着性、発色
性評価のサンプルとした。
【0054】以下に実施例、比較例に用いた水性樹脂を
記す。 実施例7 水性ウレタン複合樹脂(B) 実施例8 水性ウレタン複合樹脂(C) 実施例9 水性ウレタン複合樹脂(D) 実施例10 水性ウレタン複合樹脂(E) 比較例5 水性ウレタン複合樹脂(F) 比較例6 水性ウレタン複合樹脂(G) 比較例7 水性ウレタン複合樹脂(H) 比較例8 水性ウレタン樹脂(I)
【0055】実施例1〜10、比較例1〜8で得たサン
プルの評価方法を以下に示す。結果は表1、2に示す。
【0056】a)耐候性の評価 実施例1〜5、比較例1〜4について光沢保持率を調べ
た。 ◎ 光沢保持率が80%以上 ○ 〃 60〜80% △ 〃 40〜60% × 〃 40%以下
【0057】b)OPP、PETフイルムへの密着性の
評価 実施例6〜10、比較例5〜8で得たサンプルのテープ
剥離試験を行い、その密着性を調べた。 ◎ 全く剥離しない。 ○ 殆ど剥離しない。 △ 少し剥離する。 × かなり剥離する。
【0058】c)発色性の評価 実施例6〜10、比較例5〜8で得たサンプルの発色性
を濃度、光沢、透明性より目視にて総合的に判定した。 ◎ 非常に優れている ○ 優れている △ 普通 × 劣っている
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】脱溶媒工程を省くことも可能なとからコ
スト的に優れた水性樹脂である。また、その製造工程に
おいては、少なくとも2個の水酸基を有する不飽和単量
体中でウレタン化反応を行うことからウレタン樹脂の主
鎖と不飽和単量体を直接、化学的に結合させることも可
能でブレンド系とは異なる樹脂形態をもたせることがで
きる。このような不飽和単量体と複合したウレタン樹脂
は、塗膜の相溶性に優れ、またウレタンの長所である基
材への密着性、耐摩耗性、耐溶剤性、耐衝撃性を損なう
ことなくウレタン樹脂の欠点である耐候性、耐アルカリ
性、耐熱性等の物性を向上させることができる。本法に
より実用性の極めて高い水性樹脂および該樹脂を用いた
インキを提供することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08G 18/67 C08G 18/67 C08L 75/14 C08L 75/14 C09D 11/00 C09D 11/00 (72)発明者 大槻 司 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)同一分子中に少なくとも2個の水酸基
    と1個の不飽和基を有する不飽和単量体を必須成分とす
    る不飽和単量体中でポリオールと有機ポリイソシアネー
    トとを反応させ、数平均分子量30,000以下のポリ
    ウレタンの不飽和単量体溶液(A)を得る第一工程 b)(A)を水酸基を有する有機溶剤の存在下に水分散
    し、ポリウレタン溶液の水分散体(B)を得る第二工程 c)(B)をラジカル重合せしめる第三工程 から得られる水性樹脂。
  2. 【請求項2】第一工程において不飽和単量体が芳香族系
    不飽和単量体を含むことを特徴とする請求項1記載の水
    性樹脂。
  3. 【請求項3】第一工程においてポリウレタンがポリエチ
    レングリコールを必須成分とすることを特徴とする請求
    項1記載の水性樹脂。
  4. 【請求項4】第二工程において水酸基を有する有機溶剤
    がイソプロピルアルコールを含有していることを特徴と
    する請求項1記載の水性樹脂。
  5. 【請求項5】第三工程において得られた水性樹脂の樹脂
    固形分中のポリウレタン含有量が5〜95重量%である
    ことを特徴とする請求項1記載の水性樹脂。
  6. 【請求項6】請求項1から5までいずれかに記載の水性
    樹脂を含有することを特徴とするインキ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013518137A (ja) * 2010-01-21 2013-05-20 バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング ポリウレタン−ポリアクリレートハイブリッド水乳化性組成物の製造方法
WO2016047415A1 (ja) * 2014-09-26 2016-03-31 Dic株式会社 水性ウレタン樹脂組成物、コーティング剤及び物品

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