JPH11277898A - 画像記録方法、印字物の製造方法、及び印字物 - Google Patents

画像記録方法、印字物の製造方法、及び印字物

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JPH11277898A
JPH11277898A JP8534098A JP8534098A JPH11277898A JP H11277898 A JPH11277898 A JP H11277898A JP 8534098 A JP8534098 A JP 8534098A JP 8534098 A JP8534098 A JP 8534098A JP H11277898 A JPH11277898 A JP H11277898A
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JP
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metal salt
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JP8534098A
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English (en)
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Katsunori Tsuchiya
勝則 土屋
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滲みが少なくて高精細な画像を形成するこ
とができ、画像部のインキが盛り上がらない画像記録方
法を提供する。また、普通紙や布やその他の印字物に対
して滲みなく画像を形成することが可能で、専用紙を用
いる必要のない画像記録方法を提供する。 【解決手段】 記録紙等の被印字体上で、多価金属塩と
配位子化合物とを反応させて有色の多価金属錯体を形成
することによって、被印字体の表面を画線部に対応させ
て発色させる。例えば、配位子化合物溶液を記録紙の記
録面全体に塗布した後、多価金属塩溶液をインクジェッ
ト方式で画像状に付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字、記号、図
形、模様、写真等の各種画像を記録する方法、及び、当
該方法により得られる印字物に関する。さらに詳しく
は、印字物の表面に多価金属塩の溶液と配位化合物の溶
液を付着させて発色させることにより画像を形成する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、微細なノズ
ルからインクの小滴を吐出し、記録紙等の記録媒体の表
面に向けて飛翔させ、記録面に付着させて画像を形成す
る記録方式である。インクジェット方式のプリンター
は、低コスト、高品質、装置が小型、カラー化が容易な
どの理由から、オフィスや一般家庭向けのプリンターと
して広く普及してきている。かかるプリンターに用いら
れるインクとしては、染料や顔料などの着色剤を水など
の液媒体に溶解又は分散し、さらに必要に応じて各種の
添加剤を添加したものが用いられている。
【0003】しかし、このようなインクを用いて普通紙
に記録すると、インクの不均一な浸透によって画像の滲
みがしばしば起こる。また、インクが普通紙の深いとこ
ろにまで浸透して充分な画像濃度が得られないことも多
い。さらに、カラー記録を行なう際には、先に紙面上に
付着させたインクが完全に定着する前に他のインクが順
次重ねられるため、色の境界で滲みが発生しやすい。こ
れらの問題を解決するための一般的な手法として、イン
ク吸収層を塗工した専用の記録紙が用いられている。し
かし一般的に、特にオフィスでは、電子写真用紙のよう
な所謂普通紙が最も多く使用されており、また、インク
ジェット専用の記録紙が高価なこともあって、普通紙等
の滲みやすい記録媒体にも高精細に記録することができ
るインク又は記録方式が求められていた。
【0004】かかる要望に応える手段として、異なる色
のインク中にそれぞれゲル化剤を含有させる方法が特開
平8−259869号公報、特開平6−128514号
公報、特開平8−209049号公報等に開示されてい
る。これらに開示された方法によれば、記録媒体上で異
なる色のインクが接触した時に、その界面でゲル化が起
こり、色の境界での滲みが防止される。
【0005】また、着色剤と反応して滲み防止効果を発
現する液体組成物を、あらかじめ記録媒体上に付着させ
ておいてからインクを付着させる方法が知られている。
例えば、特開昭63−299971号公報には、1分子
当り2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有
する液体を被記録媒体上に付着させた後、アニオン性の
染料を含有するインクで記録する方法が開示されてい
る。また、特開昭64−63185号公報には、染料を
不溶化させる液体をあらかじめ記録媒体中に付着させて
からインクを付着させる方法が開示されている。
【0006】さらに、染料等を不溶化させるための化学
種としては、多価金属イオンを用いる方法が知られてい
る。例えば、特開昭63−299970号公報、特開平
5−202328号公報には、多価金属塩を含有する溶
液を記録媒体上に付着せしめた後に、その付着部分に染
料を含有するインクを付着させて染料を不溶化する方法
が記載されている。また、特開平9−286940号公
報には、多価金属塩を含有する第1液と無機酸化物コロ
イドを含有するインク組成物とを用い、多価金属イオン
と無機酸化物コロイドとで凝集物を形成させることによ
って、着色剤の浸透による滲みの発生を抑制する方法が
開示されている。
【0007】上述したような従来の方法は、原理的には
次の2つに分類できる。
【0008】1.インク中の着色剤を不溶化し、着色剤
が記録媒体中に浸透、拡散するのを防止する。 2.インク中の着色剤以外の成分を不溶化し、不溶化し
たネットワークの保持力によってインクの浸透、拡散を
防止する。
【0009】しかし、第1の原理に分類される方法で
は、未反応の着色剤が浸透、拡散するのを防止できな
い。また、着色剤を含有しているインクと着色剤を不溶
化させる成分を含有している溶液の付着位置がずれた場
合には、着色剤が不溶化しない。従って、インクと不溶
化成分液それぞれの付着部位に高精度のマッチングが要
求される。
【0010】また、第2の原理に分類される方法では、
着色剤自体が不溶化されるわけではないので、ネットワ
ークを形成するための反応性物質を多量に用いる必要が
ある。その結果、溶液の粘度が上昇して、記録媒体上で
ドットの盛り上がりを引き起こしたり、乾燥時間が長く
なってしまうという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実状に鑑
みて成し遂げられたものであり、その第1の目的は、2
種以上の物質の反応により着色画像を形成する方法であ
って、滲みが少なくて高精細な画像を形成することがで
き、画像部のインキが盛り上がらない方法を提供するこ
とにある。第2の目的は、普通紙や布やその他の印字物
に対して滲みなく画像を形成することが可能で、色材受
容層を設けた専用紙を用いる必要のない方法を提供する
ことにある。第3の目的は、耐水性が良好な画像を形成
できる方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記各目的を達成するた
めに、本発明においては、被印字体上で多価金属塩と配
位子化合物とを反応させて有色の多価金属錯体を形成す
ることによって、被印字体の表面を画線部に対応させて
発色させることを特徴とする画像記録方法を提供する。
また、当該画像記録方法により画像を形成する印字物の
製造方法、及び、当該画像記録方法により画像を形成し
た印字物も提供する。
【0013】被印字体上で多価金属塩と配位子化合物と
を反応させる一方法としては、多価金属塩の溶液と配位
子化合物の溶液を被印字体上に付着させればよい。前記
2つの溶液を被印字体上に付着させると、2つの付着部
の重複部分において、多価金属塩と配位子化合物とが反
応するので、画線部に対応させて発色させることができ
る。
【0014】本発明の方法によれば、多価金属塩の付着
部と配位子化合物の付着部の重複部分においてのみ有色
の多価金属錯体が形成され、その場に固定されるので、
色の滲みが生じにくい。また、配位子化合物溶液の付着
部と多価金属塩溶液の付着部がずれてしまった場合で
も、2つの付着部の重複部分においてのみ有色の多価金
属錯体が形成され、未反応の多価金属塩溶液又は配位子
化合物溶液による滲みは生じない。従って、専用の記録
媒体を用いなくても、滲みのない高精細の、しかも耐水
性の高い画像を形成することができる。本発明の方法に
よれば、普通紙のような専用紙ではない記録媒体や、布
などのさまざまな材料に画像を形成することができる。
【0015】また、被印字体の着色部分にゲル状のネッ
トワークを形成するのではないので、多価金属塩溶液、
配位子化合物溶液のいずれも粘度が低い。従って、印字
部分のドットの盛り上がりを引き起こすことはなく、ま
た、乾燥時間が長引くこともない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を通じ
て、詳細に説明する。本発明の画像記録方法は、被印字
体上で多価金属塩と配位子化合物とを反応させて有色の
多価金属錯体を形成することによって、被印字体の表面
を発色させて画像を形成するものである。被印字体上の
多価金属塩と配位子化合物が両方とも存在する部分は発
色するが、どちらか一方しか存在しない部分は発色しな
い。
【0017】図1A、1B、1Cは、本発明の画像記録
方法の手順の一例を説明した図である。先ず図1Aに示
すように、多価金属塩の溶液と配位子化合物の溶液を準
備する。この例では、金属種の異なる2種類の多価金属
塩溶液1a、1bと、1種類の無色な配位子化合物溶液
2を準備した。次に図1Bに示すように、配位子化合物
溶液2を、被印字体である記録媒体3の記録面に、イン
クジェットプリンターのノズル4で吹付け、付着させ
る。この時、配位子化合物溶液2の付着部5が記録した
い画像の画線部を完全にカバーできるように、画線部よ
りも若干広い範囲に配位子化合物溶液2を吹付ける。配
位子化合物溶液2は無色なので、その付着部5は視認で
きない。
【0018】次に、図1Cに示すように、多価金属塩溶
液1a、1bそれぞれを、記録媒体の記録面にインクジ
ェットプリンターのノズル4で吹付け、付着させる。こ
の時、画線部のうちの多価金属塩溶液1aで発色させた
い部分に対応させて、多価金属塩溶液1aを吹付ける。
また、画線部のうちの多価金属塩溶液1bで発色させた
い部分に対応させて、多価金属塩溶液1bを吹付ける。
多価金属塩溶液1a及び1bを吹付けると、多価金属塩
と配位子化合物とが反応して有色の多価金属錯体が形成
される。その結果、多価金属塩溶液1aの付着部6aと
配位子化合物溶液2の付着部5の重複部分、及び、多価
金属塩溶液1bの付着部6bと配位子化合物溶液2の付
着部5の重複部分が、それぞれ異なる色に発色する。こ
のようにして記録媒体の表面を画線部に対応させて多色
に発色させることができ、画像が形成される。
【0019】本発明の方法によれば、多価金属塩の付着
部と配位子化合物の付着部の重複部分においてのみ有色
の多価金属錯体が形成され、その場に固定されるので、
色の滲みが生じにくい。また、配位子化合物溶液2の付
着部5と多価金属塩溶液1の付着部6がずれて図2に示
すような状態になった場合でも、2つの付着部の重複部
分7においてのみ有色の多価金属錯体が形成され、未反
応の多価金属塩溶液又は配位子化合物溶液による滲みは
生じない。従って、専用の記録媒体を用いなくても、滲
みのない高精細の、しかも耐水性の高い画像を形成する
ことができる。本発明の方法によれば、普通紙のような
専用紙ではない記録媒体や、布などのさまざまな材料に
画像を形成することができる。
【0020】また、被印字体の着色部分にゲル状のネッ
トワークを形成するのではないので、多価金属塩溶液、
配位子化合物溶液のいずれも粘度が低い。従って、印字
部分のドットの盛り上がりを引き起こすことはなく、ま
た、乾燥時間が長引くこともない。
【0021】本発明の方法においては、多価金属塩溶液
と配位子化合物溶液のどちらを先に被印字体上へ付着さ
せてもよい。先に被印字体上へ付着させた溶液が完全に
乾燥しないうちに後の溶液を付着させる場合には、生成
すべき多価金属錯塩に対する溶解性のない溶媒を用いて
多価金属塩溶液及び配位子化合物溶液を調製するのが好
ましい。また、先に被印字体上へ付着させた溶液を乾燥
させてから後の溶液を付着させる場合には、生成すべき
多価金属錯塩に対して溶解性のない溶媒を用いて後に付
着させる溶液を調製するのが好ましい。多価金属錯塩を
形成させる時に存在する溶媒に不溶の多価金属錯塩を形
成させることによって、画像の滲みをなお一層のこと少
なくすることが出来る。
【0022】図3A、3B、3Cは、本発明の画像記録
方法の手順の別例を説明した図である。先ず図3Aに示
すように、多価金属塩の溶液と配位子化合物の溶液を準
備し、どちらか一方を第1液と定め、もう一方を第2液
と定める。第1液は記録したい画像の画線部に対応させ
て被印字体上に付着させるために用い、第2液は被印字
体の記録面全体に付着させるために用いる。この例で
は、多価金属塩溶液1a、1bを第1液と定め、無色な
配位子化合物溶液2を第2液と定めた。従って、2種類
の第1液と単一の第2液を用いる。また、多価金属塩溶
液1a及び1bは、生成される多価金属錯塩に対して不
溶性の溶媒を用いて調製しておく。
【0023】次に図3Bに示すように、第2液である配
位子化合物溶液2を、被印字体である記録媒体3の記録
面全体に塗布により付着させた後、乾燥させる。配位子
化合物溶液2は無色なので、配位子化合物溶液2の付着
部5は視認できない。
【0024】次に、図3Cに示すように、第1液である
多価金属塩溶液1a、1bそれぞれを、記録媒体の記録
面にインクジェットプリンターのノズル4で吹付け、付
着させる。この時、画線部のうちの多価金属塩溶液1a
で発色させたい部分に対応させて、多価金属塩溶液1a
を吹付ける。また、画線部のうちの多価金属塩溶液1b
で発色させたい部分に対応させて、多価金属塩溶液1b
を吹付ける。その結果、多価金属塩溶液1aの付着部6
aと配位子化合物溶液2の付着部5の重複部分、及び、
多価金属塩溶液1bの付着部6bと配位子化合物溶液2
の付着部5の重複部分が、それぞれ異なる色に発色す
る。このようにして記録媒体の表面を画線部に対応させ
て多色に発色させることができ、画像が形成される。こ
の例においては、べた塗りされる第2液が無色又は淡色
なので、コントラストの高い、鮮明な画像が得られる。
【0025】以下において、本発明で用いられる多価金
属化合物や配位子化合物等の材料や、印字物の作製方法
などについて、さらに詳しく説明する。
【0026】本発明の画像形成方法においては、多価金
属塩と配位子化合物のどちらか一方が画線部に対応して
記録媒体上に付与され、もう一方は記録媒体一面にまた
は画線部に対応して付与される。
【0027】多価金属塩における陽イオンの例として
は、Ni2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Zn2+
などの遷移金属イオンの他、Ca2+、Ba2+などのアル
カリ土類イオン、Al3+、Tl3+などの第III族元素イ
オン、Si4+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Pb4+などの
第IV族元素イオン、Bi3+などの第V族元素イオン、C
3+、Sm3+などのランタノイド元素イオン、Th4+
どのアクチノイド元素イオン等が挙げられるが、配位子
化合物との間に形成される錯体の色相、安定性などの観
点から、特に遷移金属イオンが好ましく用いられる。
【0028】多価金属塩における陰イオンの例として
は、F-、Cl-、Br-などハロゲン元素イオンの他、
硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、亜硝酸イオン、
リン酸イオン、チオ硫酸イオンや蟻酸、酢酸、安息香酸
などの有機カルボン酸イオン、ベンゼンスルホン酸など
の有機スルホン酸イオンなどが用いられる。これらは用
いる溶媒への溶解性やpHから適切なものが選択され
る。
【0029】これらの多価金属塩の多価金属塩溶液中の
含有量は、多価金属イオンの濃度が10mmol/l
(リットル)〜5mol/l、より好ましくは30mm
ol/l〜1mol/l、の範囲が適当である。これら
の溶液は無色あるいは淡色であり、単独で記録媒体上に
付着されても可視像として認識されることはない。
【0030】配位子化合物としては、一分子で複数の配
位位置を有する所謂多座配位子化合物が用いられる。多
座配位子化合物の例として、2,2’−ビピリジル、
1,10−フェナントロリン、エチレンジアミン、o−
フェニレンビスジメチル砒素、エチレンジアミン四酢
酸、アセチルアセトン、N,N’−ジエチルチオカルバ
ミン酸、サリチルアルデヒド、8−オキシキノリン、ジ
メチルグリオキシム、ジメチルグリオキシムモノメチル
エーテル、フリルジオキシム、シクロヘキサンジオンジ
オキシム、クペロン、ネオクペロン、グリシン、ジシア
ンジアミジン、o,o’−ジオキシアゾベンゼン、キナ
ルジン酸、ジチゾン、サリチルアルジミン、1−オキシ
キサントン、o−オキシアセトフェノンや、その他、分
子内に下記のような配位基を複数含有する化合物が挙げ
られる。
【0031】
【化1】(1)ドナー原子が酸素(O)の時の配位子 −OH(アルコール、エノール及びフェノール) −COOH(脂肪族、芳香族など全てのカルボン酸) >C=O(脂肪族、芳香族のアルデヒド、ケトン、キノ
ン) −O−(主に脂肪族のエーテル) −COOR(脂肪族、芳香族など全てのエステル) −N=O(芳香族ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合
物) −NO2(主に芳香族ニトロ化合物) >N→O(芳香族N−オキシド) −SO3H(主に芳香族スルホン酸) −PO32(主に脂肪族)
【0032】(2)ドナー原子が窒素(N)の時の配位
子 =NH2(全ての第一級アミン、アミド、ヒドラジン) >NH(全ての第二級アミン、アミド、ヒドラジン) ≡N(全ての第一級アミン、ヒドラジン) −N=N−(全ての第三級アミン) =N−OH(全てのオキシム) −NO2(主に芳香族ニトロ化合物) −N=O(主に芳香族ニトロソ化合物) >C=N−(全てのシッフ塩基、複素環化合物) >C=NH(アルデヒド及びケトンイミン、エナミン
類)
【0033】 (3)ドナー原子が硫黄(S)の時の配位子 −SH(全てのチオール) −S−(主に芳香族チオエーテル) >C=S(チオケトン、チオアミド) −S=(複素環化合物など) −C(=O)−SH、−C(=S)−OH、−C(=
S)−SHなど、 −SCN(チオイソシアナート)
【0034】これらの配位子化合物のうちでも、多価金
属塩と反応した時に、多価金属塩溶液及び/又は配位子
化合物溶液の溶媒に不溶の金属錯体を生成するものが特
に好ましく用いられる。例えば、溶媒が水系の場合、8
−オキシキノリン、ジメチルグリオキシム、ジメチルグ
リオキシムモノメチルエーテル、フリルジオキシム、シ
クロヘキサンジオンジオキシム、クペロン、ネオクペロ
ン、o,o’−ジオキシアゾベンゼン、キナルジン酸、
ジチゾン、サリチルアルジミン、1−オキシキサント
ン、o−オキシアセトフェノンなどの配位子化合物を用
いることで多価金属と反応して生成する錯体が不溶化
し、にじまない鮮明な画像を得ることができる。
【0035】これらの配位子化合物の配位子化合物溶液
中の含有量は、配位子化合物の濃度が5mmol/l〜
5mol/l、より好ましくは50mmol〜1mol
/lの範囲が適当である。
【0036】本発明の多価金属塩溶液、配位子化合物溶
液の溶媒は、含有する多価金属塩または配位子化合物を
よく溶解するものであれば特に制限されないが、特に
水、水溶性有機溶剤、或いはそれらを混合したものが好
ましく用いられる。
【0037】用いられる水溶性有機溶剤の例としては、
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルア
ルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコールなどの一級アルキルアルコール類、グリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロビレングリコール、ジプロビ
レングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリ
コール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール等の多価アルコール類、あるいはそれらのモノエ
ーテル化物、ジエーテル化物、エステル化物、例えばエ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
一ルモノエチルエーテル、エチレングリコ一ルモノブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエー
テル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が
用いられる。さらに、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミドなどのアミド類、アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類、ジアセトンアルコールなどのケ
トアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど
のエーテル類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、N−Nブチルジエタノールア
ミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールア
ミンなどのアルコールアミン類、N−メチル−2−ピロ
リドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリ
ジノン等が挙げられる。
【0038】本発明の多価金属塩溶液、配位子化合物溶
液には、必要に応じて、画像定着用高分子、浸透剤、防
黴剤、粘度調整剤、pH調整剤などの添加剤を添加する
ことができる。
【0039】画像定着用高分子は、液媒体に可溶で、重
量平均分子量が5000から200000のものが用い
られる。溶媒が水系の場合に用いられる高分子として
は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸−アクリロニトリル共重合体、ポリ(メタ)アクリ
ルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテ
ル、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコー
ルエーテル類、タンパク質類などが挙げられる。このう
ちの多くは、多価金属塩が共存する系において、溶媒の
蒸発によりゲル状のネットワークを形成する。従って画
像定着用高分子の添加は定着性だけでなく、にじみ防止
の効果も向上させる。
【0040】さらに、上記高分子を多価金属塩溶液に含
有させることで、高pHでの金属水酸化物の沈殿を抑制
することができる。例えば銅(II)イオンを含む水溶液
にアルカリを添加するとpH6付近で水酸化物が沈殿す
るが、ポリビニルアルコール(PVA)が共存すると上
記pHでも沈殿は生じず、淡緑色の透明溶液が生成す
る。これは、高分子と金属が一種の錯体を形成するため
と考えられている。これらの高分子錯体は本発明の金属
錯体形成を阻害する程安定なものではなく、本発明の配
位子化合物と接触することで速やかに配位子置換が起こ
り、所望の金属錯体を生じる。
【0041】上記の高分子の添加量は1〜10wt%が
好ましく、多価金属塩溶液と配位子化合物溶液の両方を
画像状に付着する場合においては、どちらか一方に添加
しておけばよい。
【0042】浸透剤は、紙などの被印字体への浸透を速
める目的で添加される。かかる浸透剤の例としては、水
溶性有機溶剤として上述したジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエー
テルなどのグリコールエーテル類などが好ましく用いら
れる。また、被印字体上での乾燥を速めるために、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルア
ルコール、tert−ブチルアルコール等の高揮発性の
一価のアルコールを添加することができる。
【0043】記録液、すなわち多価金属塩溶液及び配位
子化合物溶液のpH調整は、多価金属錯体の生成速度に
影響するので重要である。適切なpH値は多価金属と配
位子の種類に応じて異なる。pH調整剤としては、アン
モニア、アミン類、無機塩類、酢酸など、またはリン酸
などの緩衝液を用いることができる。
【0044】多価金属塩溶液のpHが上昇すると多価金
属の水酸化物が沈殿するが、これらは本発明の金属錯体
の生成に影響しない。ただし、多価金属塩溶液を被印字
体上に付着する手段においてかかる溶液の不均一性が問
題になる場合は、既に述べたように画像定着用高分子を
共存させるか、或いは配位子化合物溶液の側でpHを調
整すればよい。
【0045】本発明の画像形成方法は、以下のいずれか
の工程により行われるものである。
【0046】(1)先ず、単一の配位子化合物と一種以
上の多価金属塩を用いる方法がある。この方法は、次の
a、b又はcのいずれかの手順で行われる。
【0047】a:記録媒体上に配位子化合物を均一に塗
布 → その後、多価金属塩溶液を画像状に付着する。 b:記録媒体上に配位子化合物溶液及び多価金属塩溶液
を画像状に付着する。 c:記録媒体上に多価金属塩溶液を画像状に付着 →
その後、配位子化合物を均一に塗布する。
【0048】(2)次に、単一の多価金属塩と一種以上
の配位子化合物を用いる方法がある。この方法は、次の
d、e又はfのいずれかの手順で行われる。
【0049】d:記録媒体上に多価金属塩を均一に塗布
→ その後、配位子化合物溶液を画像状に付着する。 e:記録媒体上に配位子化合物溶液及び多価金属塩溶液
を画像状に付着する。 f:記録媒体上に配位子化合物溶液を画像状に付着 →
その後、記録媒体上に多価金属塩を均一に塗布する。
【0050】(3)さらに、複数の多価金属塩と複数の
配位子化合物を用いる方法がある。この方法は、次のg
の手順で行われる。
【0051】g:記録媒体上に配位子化合物溶液及び多
価金属塩溶液を画像状に付着する。
【0052】上記の各手順を以下に補足する。
【0053】a、c、d、fでは配位子化合物或いは多
価金属塩が記録媒体全面に塗布される。記録媒体全面に
塗布されるほうの物質は、無色或いは淡色である必要が
ある。一方、画像状に付着させる方の物質は錯体形成に
より所定の色調に変化するため着色していても良い。こ
こで淡色のものとしては、記録媒体に多価金属塩或いは
配位子化合物が付着する前後で記録媒体の色差ΔE* Lab
が6.0未満となるものが好ましい。このような淡色物
質は、記録媒体に部分的に付着しても単独であれば殆ど
視認されない。
【0054】b、e、gでは、多価金属塩と配位子化合
物の双方が画像状に付与されるが、配位子化合物と多価
金属塩のどちらを先に付着させても良い。ただし、bで
は配位子化合物、eでは多価金属塩の溶液中の濃度をも
う一方よりも高くしておくのが望ましい。また、同時に
bでは配位子化合物溶液、eでは多価金属塩溶液の表面
張力又は粘度をもう一方よりも低くしておくのが望まし
い。例えばbの好ましい状態においては、配位子化合物
溶液濃度が多価金属塩溶液濃度より高くなるように、即
ち、配位子化合物溶液と多価金属塩溶液の等しい容量を
混合した場合に未反応の配位子化合物が残存するよう
に、各溶液の濃度が調整される。さらにここで配位子化
合物溶液の表面張力又は粘度が多価金属塩溶液よりも低
くなるように調整される。これら双方の溶液の等しい量
を記録媒体上の同一部位に付与すると、配位子化合物溶
液は十分な濃度を持った比較的大きなドットを形成し、
これに接触する多価金属塩は全てが反応により発色・固
定され配位子化合物のドット径よりも小さな径の着色ド
ットが形成される。この際に未反応の配位子化合物が残
存することになるので、配位子化合物は無色或いは淡色
であることが望ましい。
【0055】一方gでは複数の多価金属塩と複数の配位
子化合物が用いられるため、各々の溶液の等量濃度は等
しく調整されるのが望ましい。即ち、配位子化合物溶液
と多価金属塩溶液の等しい容量を混合した場合に、未反
応の多価金属塩或いは配位子化合物が残存しないように
調整される。また、溶液の粘度、表面張力もほぼ等しく
なるように調整されるのが望ましい。
【0056】配位子化合物溶液及び/又は多価金属塩溶
液を記録媒体上に画像状に付着させる方法は、グラビヤ
印刷、フレキソ印刷などの各種印刷法や、例えばペンに
記録液(画像形成用インキ)を付着させて、画像、文字
等を手書きしたり、ノズルから記録液の小滴を吐出、飛
翻させて記録するインクジェット方式や、スタンプや転
写ローラーに記録液を付着させて、記録媒体に記録液を
圧力転移させる方法等が挙げられる。特に、画像を鮮明
に形成するには、インクジェット記録方式が好ましい。
【0057】
【実施例】以下において実施例により本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】[実施例1] (1)配位子化合物溶液の調製 下記の各成分を混合溶解し、配位子化合物溶液1を得
た。
【0059】〈配位子化合物溶液1の組成〉 ・クペロン:7重量部 ・ポリアクリル酸:3重量部 ・エチルアルコール:52重量部 ・イオン交換水:38重量部
【0060】(2)多価金属塩溶液の調製 下記の各成分を混合溶解し、多価金属塩溶液1a、1b
を得た。
【0061】〈多価金属塩溶液1aの組成〉 ・CuCl2・2H2O:1.8重量部 ・エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテ
ル:10重量部 ・イオン交換水:88.2部
【0062】〈多価金属塩溶液1bの組成〉 ・FeCl3・6H2O:1.9重量部 ・エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテ
ル:10重量部 ・イオン交換水:88.1重量部
【0063】(3)画像形成試験 オフセット印刷用紙(王子製紙社製ニューライト、米坪
49g)上に配位子化合物溶液1を1μl滴下し、その
直後に多価金属塩溶液1a又は1bを1μl、同一部位
に滴下した。これらは淡色の液体だが、記録媒体上で混
合されることで着色ドットが形成された。乾燥後のドッ
ト径を第1表に示した。
【0064】乾燥後の記録媒体においては、金属錯体の
みが視認された。金属錯体は配位子化合物溶液、多価金
属塩溶液いずれの溶媒にも不溶であることから、にじみ
のないシャープなドットが形成された。さらに、多価金
属塩溶液の種類を変えることで異なる色調の金属錯体が
生成し、その結果、異なる色調のドットが形成された。
【0065】[比較例1] (1)着色インクの調製 下記の各成分を混合溶解し、着色インク1を得た。 〈着色インク1の組成〉 ・クリスタルバイオレット:2重量部 ・エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテ
ル:10重量部 ・イオン交換水:88重量部 (2)画像形成試験 オフセット印刷用紙(王子製紙社製ニューライト、米坪
49g)上に、上記着色インク1のみを1μl滴下し
た。それとは別に、配位子化合物溶液1を1μl滴下し
た直後に、上記着色インク1を1μl、同一部位に滴下
した。いずれもにじみが抑制されず大きなドットを形成
した。乾燥後のドット径を第1表に示した。
【0066】
【表1】
【0067】[実施例2] (1)配位子化合物溶液の調製 下記の各成分を混合溶解し、配位子化合物溶液2a、2
bを得た。
【0068】〈配位子化合物溶液2aの組成〉 ・8−オキシキノリン:5重量部 ・ポリエチレングリコール:6重量部 ・エチルアルコール:47重量部 ・イオン交換水:42重量部 〈配位子化合物溶液2bの組成〉 ・クペロン:7重量部 ・エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテ
ル:10重量部 ・イオン交換水:88重量部
【0069】(2)多価金属塩溶液の調製 下記の各成分を混合溶解し、多価金属塩溶液2を得た。
【0070】〈多価金属塩溶液2の組成〉 ・CuCl2・2H2O:2重量部 ・ジエチレングリコール:40重量部 ・エチルアルコール:58重量部
【0071】(3)画像形成試験 オフセット印刷用紙(王子製紙社製スターライト、米坪
60.2g)上に多価金属塩溶液2を1μl滴下し、そ
の直後に配位子化合物溶液2a、2bを1μl、同一部
位に滴下した。これらは淡色の液体だが、実施例1と同
様、記録媒体上で混合されることでにじみのないシャー
プな着色ドットが形成された。乾燥後のドット径を第2
表に示した。さらに、配位子化合物溶液の種類を変える
ことで異なる色調の金属錯体が生成し、その結果、異な
る色調のドットが形成された。
【0072】[比較例2] (1)画像形成試験 オフセット印刷用紙(王子製紙社製スターライト、米坪
60.2g)上に、比較例1で調製した着色インク1の
みを1μl滴下した。それとは別に、多価金属塩溶液2
を1μl滴下した直後に上記着色インク1を1μl、同
一部位に滴下した。いずれもにじみが抑制されず大きな
ドットを形成した。乾燥後のドット径を第2表に示し
た。
【0073】
【表2】
【0074】[実施例3] (1)配位子化合物溶液の調製 下記の各成分を混合溶解し、配位子化合物溶液3を得
た。
【0075】〈配位子化合物溶液3の組成〉 ・ジメチルグリオキシム:4重量部 ・エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテ
ル:16重量部 ・イオン交換水:80重量部
【0076】(2)多価金属塩溶液の調製 下記の各成分を混合溶解し、多価金属塩溶液3を得た。
【0077】〈多価金属塩溶液3の組成〉 ・NiCl2・6H2O:3重量部 ・ポリビニルアルコール:5重量部 ・エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテ
ル:10重量部 ・イオン交換水:82重量部
【0078】この溶液のpHは2.5であった。塩化ニ
ッケルとジメチルグリオキシムの反応にはpH依存性が
認められたため、多価金属塩溶液3にアンモニア水を添
加してpHを変化させた液を3種用意した。これらの溶
液3a、3b、3cのpHはそれぞれ5.8、7.2、
8.5であった。
【0079】(3)画像形成試験 オフセット印刷用紙(王子製紙社製ニューライト、米坪
49g)上に、配位子化合物溶液3を1μl滴下し、そ
の直後に、多価金属塩溶液3、3a、3b又は3cを1
μl、同一部位に滴下した。これらは記録媒体上で混合
されることで鮮明な赤色のドットを形成した。乾燥後の
ドット径及び波長520nmにおける反射濃度を第3表
に示した。ニッケル−ビスジメチルグリオキシマト錯体
は520nmの可視域に吸収極大を持つ。従って、52
0nmにおける反射濃度は、形成された錯体の数を相対
的に表すものと考えられる。
【0080】塩化ニッケル溶液のpHが上昇するにつれ
て記録媒体上での発色の速度、即ち錯体形成の速度が大
きくなるのが肉眼で観測された。また、第3表に示した
ように、pHの上昇に伴ってドットがシャープになり、
反射濃度も増大した。
【0081】
【表3】
【0082】[実施例4] (1)配位子化合物を含有する記録媒体の作製 下記組成物を混合溶解し、コーティング液とした。これ
を厚さ75μmのポリエチレンフィルムの片面にワイヤ
ーバーにより塗布した。これを乾燥し、受容層に配位子
化合物を含有する記録媒体を得た。インク受容層の塗布
量は12g/m 2であった。
【0083】〈配位子化合物コーティング液の組成〉 ・ジメチルグリオキシム:4重量部 ・ポリメタクリル酸:8重量部 ・エチルアルコール:76重量部 ・イオン交換水:12重量部
【0084】(2)画像形成試験 作製した記録媒体上に、記録液として実施例3の多価金
属塩溶液3cを1μl滴下した。記録液が記録媒体に付
着後、速やかに発色し、にじみがなく鮮明な赤色のドッ
トが形成された。乾燥後のドット径を第4表に示した。
【0085】[比較例3] (1)画像形成試験 作製した記録媒体上に、記録液として比較例1で作製し
た着色インク1のみを1μl滴下した。にじみが抑制さ
れず大きなドットが形成された。乾燥後のドット径を第
4表に示した。
【0086】
【表4】
【0087】[実施例5]実施例3の配位子化合物溶液
3、及び、多価金属塩溶液3cを用いて、セイコーエプ
ソン社製のインクジェットプリンターMJ−800Cに
よる印字試験を行った。記録媒体にはオフセット印刷用
紙(王子製紙社製ニューライト、米坪49g)を用い
た。双方の溶液の着弾する位置が一致した部分のみ鮮明
な赤色が認められた。得られた画像はにじみのない良好
なものであった。また、この画像の耐水性は良好で、2
4時間水中に晒して放置した後も作製時と同様に鮮明で
あった。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、被印字体上に、多価金
属塩と配位子化合物を付着させ、多価金属塩の付着部と
配位子化合物の付着部の重複部分においてのみ有色の多
価金属錯体を生成させて、その場に固定するので、色の
滲みが生じにくい。また、配位子化合物溶液の付着部と
多価金属塩溶液の付着部がずれてしまった場合でも、2
つの付着部の重複部分においてのみ有色の多価金属錯体
が形成され、未反応の多価金属塩溶液又は配位子化合物
溶液による滲みは生じない。従って、専用の記録媒体を
用いなくても、滲みのない高精細の、しかも耐水性の高
い画像を形成することができる。
【0089】また、被印字体の着色部分にゲル状のネッ
トワークを形成するのではないので、多価金属塩溶液、
配位子化合物溶液のいずれも粘度が低い。従って、印字
部分のドットの盛り上がりを引き起こすことはなく、ま
た、乾燥時間が長引くこともない。
【0090】本発明に方法は、インクジェット記録方式
に好適に応用することができ、従来のインクジェット用
インクを用いる場合と比べて、滲みの少ない鮮明な画像
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像記録方法の一例を説明する図であ
る。
【図2】発色の状態を説明する図である。
【図3】本発明の画像記録方法の別の一例を説明する図
である。
【符号の説明】
1(1a、1b)…多価金属塩の溶液 2…配位子化合物の溶液 3…記録媒体 4…ノズル 5…配位子化合物溶液の付着部 6(6a、6b)…多価金属塩溶液の付着部 7…2つの付着部の重複部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 11/10 B41J 3/04 103Z

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被印字体上で多価金属塩と配位子化合物
    とを反応させて有色の多価金属錯体を形成することによ
    って、被印字体の表面を画線部に対応させて発色させる
    ことを特徴とする、画像記録方法。
  2. 【請求項2】 多価金属塩の溶液と配位子化合物の溶液
    を被印字体上に付着させ、前記2つの溶液それぞれの付
    着部の重複部分において、多価金属塩と配位子化合物と
    を反応させて有色の多価金属錯体を形成することによっ
    て、被印字体の表面を画線部に対応させて発色させるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の画像記録方法。
  3. 【請求項3】 前記多価金属塩の溶液又は前記配位子化
    合物の溶液の一方を第1液、そして、もう一方を第2液
    と定め、第1液を画線部に対応させて被印字体上に付着
    させると共に、第1液の付着を行なう前又は行なった後
    に第2液を被印字体の記録面全体に付着させ、第1液の
    付着部と第2液の付着部との重複部分において多価金属
    塩と配位子化合物とを反応させて有色の多価金属錯体を
    形成することによって、被印字体の表面を画線部に対応
    させて発色させることを特徴とする、請求項2に記載の
    画像記録方法。
  4. 【請求項4】 前記第1液及び前記第2液のいずれの溶
    媒にも不溶な多価金属塩を形成することを特徴とする、
    請求項3に記載の画像記録方法。
  5. 【請求項5】 あらかじめ前記第2液を被印字体の記録
    面全体に付着、乾燥させた後、前記第1液を付着させ
    て、第1液の溶媒に不溶な多価金属塩を形成することを
    特徴とする、請求項3に記載の画像記録方法。
  6. 【請求項6】 被印字体の記録面全体に付着させる前記
    第2液に含有されている多価金属塩又は配位子化合物が
    無色又は淡色であることを特徴とする、請求項3に記載
    の画像記録方法。
  7. 【請求項7】 複数種の第1液と、単一の第2液を用い
    て多色に発色させることを特徴とする、請求項3に記載
    の画像記録方法。
  8. 【請求項8】 前記第1液を、インクジェット記録方式
    により画線部に対応させて被印字体上に付着させること
    を特徴とする、請求項3に記載の画像記録方法。
  9. 【請求項9】 多価金属塩の溶液及び配位子化合物の溶
    液を、いずれも画線部に対応させて被印字体上に付着さ
    せ、多価金属塩と配位子化合物とを反応させて有色の多
    価金属錯体を形成することによって、被印字体の表面を
    画線部に対応させて発色させることを特徴とする、請求
    項2に記載の画像記録方法。
  10. 【請求項10】 前記の多価金属塩溶液及び前記の配位
    子化合物溶液のいずれの溶媒にも不溶な多価金属塩を形
    成することを特徴とする、請求項9に記載の画像記録方
    法。
  11. 【請求項11】 複数種の多価金属塩溶液及び/又は複
    数種の配位子化合物溶液を用いて多色に発色させること
    を特徴とする、請求項9に記載の画像記録方法。
  12. 【請求項12】 前記の多価金属塩溶液及び前記の配位
    子化合物溶液を、インクジェット記録方式により画線部
    に対応させて被印字体上に付着させることを特徴とす
    る、請求項9に記載の画像記録方法。
  13. 【請求項13】 被印字体上に前記請求項1乃至請求項
    12に記載されたいずれかの方法により画像を形成する
    ことを特徴とする、印字物の製造方法。
  14. 【請求項14】 被印字体上に前記請求項1乃至請求項
    12に記載されたいずれかの方法により画像を形成した
    印字物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8840715B2 (en) 2011-03-10 2014-09-23 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Treatment solution for ink-jet recording, water-based ink set for ink-jet recording, ink-jet recording method and ink-jet recording apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8840715B2 (en) 2011-03-10 2014-09-23 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Treatment solution for ink-jet recording, water-based ink set for ink-jet recording, ink-jet recording method and ink-jet recording apparatus

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