JPH11277202A - 連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法 - Google Patents
連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法Info
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- JPH11277202A JPH11277202A JP8395098A JP8395098A JPH11277202A JP H11277202 A JPH11277202 A JP H11277202A JP 8395098 A JP8395098 A JP 8395098A JP 8395098 A JP8395098 A JP 8395098A JP H11277202 A JPH11277202 A JP H11277202A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 マイクロ波を用いたモールドパウダーの誘導
加熱において、加熱を必要とする溶融不良のモールドパ
ウダーのみを加熱することによって、均一で十分なモー
ルドパウダーの溶融層を形成して連続鋳造鋳片の表面縦
割れを抑制するとともに、新たな設備投資を少なくする
連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法を提供する。 【解決手段】 連続鋳造用鋳型内に投入されるモールド
パウダーをマイクロ波により誘導加熱する連続鋳造用モ
ールドパウダーの加熱方法において、連続鋳造用鋳型内
の浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域をマイク
ロ波により誘導加熱することにより、連続鋳造スラブ鋳
片の表面縦割れを防止することを特徴とするものであ
る。
加熱において、加熱を必要とする溶融不良のモールドパ
ウダーのみを加熱することによって、均一で十分なモー
ルドパウダーの溶融層を形成して連続鋳造鋳片の表面縦
割れを抑制するとともに、新たな設備投資を少なくする
連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法を提供する。 【解決手段】 連続鋳造用鋳型内に投入されるモールド
パウダーをマイクロ波により誘導加熱する連続鋳造用モ
ールドパウダーの加熱方法において、連続鋳造用鋳型内
の浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域をマイク
ロ波により誘導加熱することにより、連続鋳造スラブ鋳
片の表面縦割れを防止することを特徴とするものであ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造において
鋳型内に投入されるモールドパウダーのマイクロ波によ
る誘電加熱方法に関するもので、特に、浸漬ノズル近傍
のモールドパウダー層の領域を優先的に加熱することに
よって鋳片(スラブ)の表面縦割れを防止する連続鋳造
用モールドパウダーの加熱方法に関するものである。
鋳型内に投入されるモールドパウダーのマイクロ波によ
る誘電加熱方法に関するもので、特に、浸漬ノズル近傍
のモールドパウダー層の領域を優先的に加熱することに
よって鋳片(スラブ)の表面縦割れを防止する連続鋳造
用モールドパウダーの加熱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法においては、鋳型内の溶湯面
下に溶湯を注入する浸漬ノズルと、鋳型内の溶湯面を被
覆するモールドパウダーが採用されている。このモール
ドパウダーは、鋳型内において溶鋼に接する部分が溶融
して上から順に粉体層、焼結層、溶融層を形成し、溶湯
の酸化抑制、介在物の捕捉、鋳型と凝固シェル間への溶
融層の流入による潤滑等を図っている。
下に溶湯を注入する浸漬ノズルと、鋳型内の溶湯面を被
覆するモールドパウダーが採用されている。このモール
ドパウダーは、鋳型内において溶鋼に接する部分が溶融
して上から順に粉体層、焼結層、溶融層を形成し、溶湯
の酸化抑制、介在物の捕捉、鋳型と凝固シェル間への溶
融層の流入による潤滑等を図っている。
【0003】ところで、連続鋳造において、鋳片の表面
縦割れは大きな問題である。表面縦割れの発生により、
鋳片の歩留りを著しく低下させるからである。この鋳片
の表面縦割れは、凝固初期の鋳型内の局所的な抜熱不良
によって発生する鋳片の凝固遅れの部分が、冷却時の凝
固収縮等により発生する引張応力に抗しきれずに破断し
割れとなるものである。この鋳型内の局所的な抜熱不良
は、鋳型と凝固シェルとの間への前記モールドパウダー
の溶融層の流入不良により生ずるものである。モールド
パウダーの溶融層の鋳型−凝固シェル間への流入不良
は、モールドパウダーの溶融(滓化)が不十分な場合に
生ずることが知られている。
縦割れは大きな問題である。表面縦割れの発生により、
鋳片の歩留りを著しく低下させるからである。この鋳片
の表面縦割れは、凝固初期の鋳型内の局所的な抜熱不良
によって発生する鋳片の凝固遅れの部分が、冷却時の凝
固収縮等により発生する引張応力に抗しきれずに破断し
割れとなるものである。この鋳型内の局所的な抜熱不良
は、鋳型と凝固シェルとの間への前記モールドパウダー
の溶融層の流入不良により生ずるものである。モールド
パウダーの溶融層の鋳型−凝固シェル間への流入不良
は、モールドパウダーの溶融(滓化)が不十分な場合に
生ずることが知られている。
【0004】このモールドパウダーの溶融層の鋳型−凝
固シェル間への流入不良の原因となる溶融不良を解消す
る方法として、モールドパウダー自体を積極的に加熱す
る方法がある。例えば、鋳型内に投入するモールドパウ
ダーを予め加熱炉等で予熱して鋳型内に供給する方法
(特開昭57−19142号公報参照)、モールドパウ
ダーを供給ホッパーから鋳型まで供給するモールドパウ
ダー搬送フィーダーに加熱手段を設けモールドパウダー
を予熱する方法(実開昭58−47356号公報参
照)、モールドパウダーを供給ホッパー内においてマイ
クロ波で誘電加熱し搬送フィーダーに電気的抵抗発熱体
を設けて加熱されるモールドパウダーを保温する方法
(特開平4−143053号公報参照)等である。
固シェル間への流入不良の原因となる溶融不良を解消す
る方法として、モールドパウダー自体を積極的に加熱す
る方法がある。例えば、鋳型内に投入するモールドパウ
ダーを予め加熱炉等で予熱して鋳型内に供給する方法
(特開昭57−19142号公報参照)、モールドパウ
ダーを供給ホッパーから鋳型まで供給するモールドパウ
ダー搬送フィーダーに加熱手段を設けモールドパウダー
を予熱する方法(実開昭58−47356号公報参
照)、モールドパウダーを供給ホッパー内においてマイ
クロ波で誘電加熱し搬送フィーダーに電気的抵抗発熱体
を設けて加熱されるモールドパウダーを保温する方法
(特開平4−143053号公報参照)等である。
【0005】しかしながら、これらの方法は供給するモ
ールドパウダーを事前に予熱するものであり、搬送中の
抜熱により鋳型内のモールドパウダーの温度を維持でき
ず、また均一に加熱するための付属装置、搬送中に保温
するための装置を付加することから設備費が嵩むなどの
問題がある。さらに、鋳型内に供給されたモールドパウ
ダーの表層部は常に常温の大気に曝されているため抜熱
量が大きく、加熱したモールドパウダーを鋳型内に供給
したとしても、パウダー層全体を一定温度に保持するこ
とが困難となる問題がある。
ールドパウダーを事前に予熱するものであり、搬送中の
抜熱により鋳型内のモールドパウダーの温度を維持でき
ず、また均一に加熱するための付属装置、搬送中に保温
するための装置を付加することから設備費が嵩むなどの
問題がある。さらに、鋳型内に供給されたモールドパウ
ダーの表層部は常に常温の大気に曝されているため抜熱
量が大きく、加熱したモールドパウダーを鋳型内に供給
したとしても、パウダー層全体を一定温度に保持するこ
とが困難となる問題がある。
【0006】このため、鋳型内に投入されたモールドパ
ウダーを鋳型内においてマイクロ波により誘電加熱する
と共に、この鋳型内モールドパウダーの温度を検出して
モールドパウダーを加熱制御する連続鋳造用モールドパ
ウダーの加熱方法(特開平8−1294号公報参照)が
提案されている。この連続鋳造用モールドパウダーの加
熱方法は、鋳型内で誘電加熱を行うために、モールドパ
ウダー搬送工程における抜熱を考慮する必要がなく、さ
らに鋳型内に投入された高温モールドパウダーが常温の
大気によって温度低下することがなく、しかも鋳型内測
温によりリアルタイムでの温度制御により、鋳型内のモ
ールドパウダーの温度を全体にわたって高温の最適値に
保持できるとされている。
ウダーを鋳型内においてマイクロ波により誘電加熱する
と共に、この鋳型内モールドパウダーの温度を検出して
モールドパウダーを加熱制御する連続鋳造用モールドパ
ウダーの加熱方法(特開平8−1294号公報参照)が
提案されている。この連続鋳造用モールドパウダーの加
熱方法は、鋳型内で誘電加熱を行うために、モールドパ
ウダー搬送工程における抜熱を考慮する必要がなく、さ
らに鋳型内に投入された高温モールドパウダーが常温の
大気によって温度低下することがなく、しかも鋳型内測
温によりリアルタイムでの温度制御により、鋳型内のモ
ールドパウダーの温度を全体にわたって高温の最適値に
保持できるとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】連続鋳造において問題
となる鋳片の表面縦割れは、初期凝固時における鋳型の
局所的抜熱不良により発生する鋳片の局所的凝固遅れ部
が、冷却時の凝固収縮等により発生する引張応力に抗し
きれずに破断し割れとなる。この割れの防止にあたって
は、鋳片の局所的凝固遅れの原因となる抜熱不良を防止
することが必要である。この抜熱不良はモールドパウダ
ーの溶融層の厚さが不十分であることにより鋳型振動
時、若しくは湯面変動時に溶融層の上部にある焼結層が
凝固殻最上部に接触し、図1に示すようにモールドパウ
ダーの溶融層の流入路を塞ぎ、モールドモールドパウダ
ーの溶融層が流入できず、その結果、極めて抜熱抵抗の
大きな空隙が鋳型と凝固シェルとの間に生じることによ
って起こるものである。したがって、抜熱不良を防止す
るためには鋳型内全体にわたって十分かつ均一なモール
ドパウダー溶融層を形成することが課題となる。
となる鋳片の表面縦割れは、初期凝固時における鋳型の
局所的抜熱不良により発生する鋳片の局所的凝固遅れ部
が、冷却時の凝固収縮等により発生する引張応力に抗し
きれずに破断し割れとなる。この割れの防止にあたって
は、鋳片の局所的凝固遅れの原因となる抜熱不良を防止
することが必要である。この抜熱不良はモールドパウダ
ーの溶融層の厚さが不十分であることにより鋳型振動
時、若しくは湯面変動時に溶融層の上部にある焼結層が
凝固殻最上部に接触し、図1に示すようにモールドパウ
ダーの溶融層の流入路を塞ぎ、モールドモールドパウダ
ーの溶融層が流入できず、その結果、極めて抜熱抵抗の
大きな空隙が鋳型と凝固シェルとの間に生じることによ
って起こるものである。したがって、抜熱不良を防止す
るためには鋳型内全体にわたって十分かつ均一なモール
ドパウダー溶融層を形成することが課題となる。
【0008】しかしながら、前述の特開平8−1294
号公報記載の連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法で
は、鋳型内のモールドパウダーの全体にわたって温度を
上昇するものであるため、もっとも加熱が必要である溶
融不良部のモールドパウダーを十分に加熱できない場合
があり、十分かつ均一なモールドパウダー溶融層を形成
することができないおそれがある。さらに、鋳型内のモ
ールドパウダー全体にわたって加熱できるマイクロ波発
生装置とともに、測温手段と制御装置を新たに必要とす
るので設備費が高価となる。そして加熱を要しないモー
ルドパウダーの部分をも加熱することとなり、エネルギ
を浪費することとなる。これに加えて、モールドパウダ
ーの温度の測定値によって、マイクロ波出力を最適値に
制御することが困難な場合がある。連続鋳造において、
モールドパウダー層の厚さは約30mmで、モールドパ
ウダー層内の温度勾配は1000℃以上となるため、測
定位置が数mmずれると測定温度が100℃以上変動す
ることとなる。さらに、鋳造中の溶湯面は数mm程度変
動しており、これに伴いモールドパウダー層も変動する
ので、モールドパウダーの温度の測定値も変動しこれよ
により、マイクロ波出力を制御できないおそれがある。
号公報記載の連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法で
は、鋳型内のモールドパウダーの全体にわたって温度を
上昇するものであるため、もっとも加熱が必要である溶
融不良部のモールドパウダーを十分に加熱できない場合
があり、十分かつ均一なモールドパウダー溶融層を形成
することができないおそれがある。さらに、鋳型内のモ
ールドパウダー全体にわたって加熱できるマイクロ波発
生装置とともに、測温手段と制御装置を新たに必要とす
るので設備費が高価となる。そして加熱を要しないモー
ルドパウダーの部分をも加熱することとなり、エネルギ
を浪費することとなる。これに加えて、モールドパウダ
ーの温度の測定値によって、マイクロ波出力を最適値に
制御することが困難な場合がある。連続鋳造において、
モールドパウダー層の厚さは約30mmで、モールドパ
ウダー層内の温度勾配は1000℃以上となるため、測
定位置が数mmずれると測定温度が100℃以上変動す
ることとなる。さらに、鋳造中の溶湯面は数mm程度変
動しており、これに伴いモールドパウダー層も変動する
ので、モールドパウダーの温度の測定値も変動しこれよ
により、マイクロ波出力を制御できないおそれがある。
【0009】そこで、本発明は、前述の問題点を解消す
べくなされたもので、その目的は、マイクロ波を用いた
モールドパウダーの誘電加熱において、もっとも加熱を
必要とする溶融不良部のモールドパウダーを加熱するこ
とによって、均一で十分なモールドパウダーの溶融層を
形成して、連続鋳造鋳片の表面縦割れを防止するととも
に、新たな設備投資を少なくする連続鋳造用モールドパ
ウダーの加熱方法を提供することを目的とするものであ
る。
べくなされたもので、その目的は、マイクロ波を用いた
モールドパウダーの誘電加熱において、もっとも加熱を
必要とする溶融不良部のモールドパウダーを加熱するこ
とによって、均一で十分なモールドパウダーの溶融層を
形成して、連続鋳造鋳片の表面縦割れを防止するととも
に、新たな設備投資を少なくする連続鋳造用モールドパ
ウダーの加熱方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、発明者らは、連続鋳造の鋳片(スラブ)の表面縦
割れを抑制するために、鋳型と凝固シェルとの間へのモ
ールドパウダーの溶融層の流入不良を生ずる状況を詳細
に検討するとともに、モールドパウダーの溶融不良が生
ずる要因について調査研究を行った。この結果、モール
ドパウダーの溶融が不十分となるモールドパウダー層の
領域、すなわち、浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層
の領域を加熱することによって、均一で十分な厚さのモ
ールドパウダーの溶融層を形成することにより、鋳型と
凝固シェルとの間へのモールドパウダーの溶融層の流入
不良の防止が可能となる知見を得た。この結果、鋳型の
局所的抜熱不良を防止して、局所的凝固遅れを防止でき
均一な凝固シェルを形成できることにより表面縦割れを
抑制できるという知見をも得て、本発明を完成した。
めに、発明者らは、連続鋳造の鋳片(スラブ)の表面縦
割れを抑制するために、鋳型と凝固シェルとの間へのモ
ールドパウダーの溶融層の流入不良を生ずる状況を詳細
に検討するとともに、モールドパウダーの溶融不良が生
ずる要因について調査研究を行った。この結果、モール
ドパウダーの溶融が不十分となるモールドパウダー層の
領域、すなわち、浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層
の領域を加熱することによって、均一で十分な厚さのモ
ールドパウダーの溶融層を形成することにより、鋳型と
凝固シェルとの間へのモールドパウダーの溶融層の流入
不良の防止が可能となる知見を得た。この結果、鋳型の
局所的抜熱不良を防止して、局所的凝固遅れを防止でき
均一な凝固シェルを形成できることにより表面縦割れを
抑制できるという知見をも得て、本発明を完成した。
【0011】本発明は、連続鋳造用鋳型内に投入される
モールドパウダーをマイクロ波により誘電加熱する連続
鋳造用モールドパウダーの加熱方法において、連続鋳造
用鋳型内の浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域
をマイクロ波により誘電加熱することにより、鋳片(ス
ラブ)の表面縦割れを抑制することを特徴とするもので
ある。浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域をマ
イクロ波により誘電加熱することにより、連続鋳造スラ
ブ鋳片の表面縦割れを抑制することができる。
モールドパウダーをマイクロ波により誘電加熱する連続
鋳造用モールドパウダーの加熱方法において、連続鋳造
用鋳型内の浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域
をマイクロ波により誘電加熱することにより、鋳片(ス
ラブ)の表面縦割れを抑制することを特徴とするもので
ある。浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域をマ
イクロ波により誘電加熱することにより、連続鋳造スラ
ブ鋳片の表面縦割れを抑制することができる。
【0012】浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領
域が、モールドパウダーの溶融が不十分な領域であり、
均一で十分な厚さのモールドパウダーの溶融層を形成す
ることができない領域となる。このときの十分なモール
ドパウダーの溶融層の厚さは、モールドパウダーの溶融
層の鋳型−凝固シェル間への流入不良を生じない限界の
モールドパウダーの溶融層の厚さ以上であることが好ま
しい。この流入不良を生じない限界のモールドパウダー
の溶融層の厚さは鋳造条件により変動するが、通常、1
5〜20mmの範囲となる。
域が、モールドパウダーの溶融が不十分な領域であり、
均一で十分な厚さのモールドパウダーの溶融層を形成す
ることができない領域となる。このときの十分なモール
ドパウダーの溶融層の厚さは、モールドパウダーの溶融
層の鋳型−凝固シェル間への流入不良を生じない限界の
モールドパウダーの溶融層の厚さ以上であることが好ま
しい。この流入不良を生じない限界のモールドパウダー
の溶融層の厚さは鋳造条件により変動するが、通常、1
5〜20mmの範囲となる。
【0013】好ましくは、予め、連続鋳造用鋳型の長尺
幅と鋳造速度を変えて連続鋳造を行って、前記連続鋳造
用鋳型内の浸漬ノズルと前記鋳型長尺部の間であり、前
記鋳型長尺部の鋳型内壁から40mmの位置のモールド
パウダー層の厚さを測定し、この測定したモールドパウ
ダー層の厚さが連続鋳造用鋳型内の平均モールドパウダ
ー層の厚さとなる鋳型長尺部の鋳型幅(臨界鋳型幅)を
求めておく。次に、この臨界鋳型幅と連続鋳造する際の
鋳型長尺部の長さを下記式に代入して加熱領域長さを
計算する。 加熱領域長さ=(鋳型長尺部の長さ−臨界鋳型幅)×0.8 式 そして、連続鋳造する際に、前記浸漬ノズルを挟む連続
鋳造用鋳型長尺部の間であり、前記浸漬ノズルを中心に
鋳型短尺部の両方向へ前記計算した加熱領域長さで囲ま
れるモールドパウダー層の領域をマイクロ波により誘電
加熱することにより、鋳片(スラブ)の表面縦割れを防
止することを特徴とするものである。このとき、モール
ドパウダー層の厚さの測定位置を鋳型内壁から40mm
としたのは、鋳型内壁の直近でのモールドパウダー層の
厚さの測定が困難であり測定精度を確保でき、最も鋳型
内壁に近い場所として決定したものである。このため、
モールドパウダー層の厚さを測定位置は、測定精度を考
慮して、鋳型内壁から30〜50mmの範囲に変えるこ
とができる。
幅と鋳造速度を変えて連続鋳造を行って、前記連続鋳造
用鋳型内の浸漬ノズルと前記鋳型長尺部の間であり、前
記鋳型長尺部の鋳型内壁から40mmの位置のモールド
パウダー層の厚さを測定し、この測定したモールドパウ
ダー層の厚さが連続鋳造用鋳型内の平均モールドパウダ
ー層の厚さとなる鋳型長尺部の鋳型幅(臨界鋳型幅)を
求めておく。次に、この臨界鋳型幅と連続鋳造する際の
鋳型長尺部の長さを下記式に代入して加熱領域長さを
計算する。 加熱領域長さ=(鋳型長尺部の長さ−臨界鋳型幅)×0.8 式 そして、連続鋳造する際に、前記浸漬ノズルを挟む連続
鋳造用鋳型長尺部の間であり、前記浸漬ノズルを中心に
鋳型短尺部の両方向へ前記計算した加熱領域長さで囲ま
れるモールドパウダー層の領域をマイクロ波により誘電
加熱することにより、鋳片(スラブ)の表面縦割れを防
止することを特徴とするものである。このとき、モール
ドパウダー層の厚さの測定位置を鋳型内壁から40mm
としたのは、鋳型内壁の直近でのモールドパウダー層の
厚さの測定が困難であり測定精度を確保でき、最も鋳型
内壁に近い場所として決定したものである。このため、
モールドパウダー層の厚さを測定位置は、測定精度を考
慮して、鋳型内壁から30〜50mmの範囲に変えるこ
とができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図示例と
ともに説明する。図2は鋳型内のモールドパウダーの溶
融層の厚みを示す図であり、図3はメニスカス近傍の熱
供給の概念を示す図であり、図4はモールドパウダーの
溶融薄肉層の生成に及ぼす鋳造条件の影響を示す図であ
り、図5はモールドパウダーの溶融薄肉層の生成する領
域を示す図であり、図6は本発明の実施の形態のマイク
ロ波による加熱領域を示す図である。
ともに説明する。図2は鋳型内のモールドパウダーの溶
融層の厚みを示す図であり、図3はメニスカス近傍の熱
供給の概念を示す図であり、図4はモールドパウダーの
溶融薄肉層の生成に及ぼす鋳造条件の影響を示す図であ
り、図5はモールドパウダーの溶融薄肉層の生成する領
域を示す図であり、図6は本発明の実施の形態のマイク
ロ波による加熱領域を示す図である。
【0015】まず、従来のスラブの連続鋳造における鋳
型内のモールドパウダーの溶融層の厚さ測定を行い、こ
れを図2に示す。本発明の実施の形態に用いた鋳型は長
尺幅Wが2100mm、短尺幅Tが280mmである。
図2の図bに示すように、この鋳型1の中央部に浸漬ノ
ズル4を溶鋼内に浸漬して、この浸漬ノズル4より、溶
鋼を鋳造速度1.2m/分の条件で左右の鋳型短尺部1
bの方向へ吐出している。この時の鋳型内のモールドパ
ウダーの溶融層の厚さを測定した。
型内のモールドパウダーの溶融層の厚さ測定を行い、こ
れを図2に示す。本発明の実施の形態に用いた鋳型は長
尺幅Wが2100mm、短尺幅Tが280mmである。
図2の図bに示すように、この鋳型1の中央部に浸漬ノ
ズル4を溶鋼内に浸漬して、この浸漬ノズル4より、溶
鋼を鋳造速度1.2m/分の条件で左右の鋳型短尺部1
bの方向へ吐出している。この時の鋳型内のモールドパ
ウダーの溶融層の厚さを測定した。
【0016】モールドパウダーの溶融層の厚さの測定
は、図2の図b)に示されるように、浸漬ノズル4と鋳
型長尺部1aの間で、鋳型長尺部1aの鋳型内壁から4
0mmの点を基点(鋳型中央部)として、左右に鋳型長
尺部1aと平行に鋳型短尺部1b方向に行った。この結
果を図2の図aに示す。モールドパウダーの溶融層の厚
さの測定は鋳型内壁の直近で測定するのが望ましいが、
測定が困難なため測定精度を確保できる領域のうち、最
も鋳型内壁に近い場所として鋳型内壁から40mmを選
定した。
は、図2の図b)に示されるように、浸漬ノズル4と鋳
型長尺部1aの間で、鋳型長尺部1aの鋳型内壁から4
0mmの点を基点(鋳型中央部)として、左右に鋳型長
尺部1aと平行に鋳型短尺部1b方向に行った。この結
果を図2の図aに示す。モールドパウダーの溶融層の厚
さの測定は鋳型内壁の直近で測定するのが望ましいが、
測定が困難なため測定精度を確保できる領域のうち、最
も鋳型内壁に近い場所として鋳型内壁から40mmを選
定した。
【0017】図2の図aに示すように、モールドパウダ
ーの溶融層の厚さは基点(鋳型中央部)付近が薄く、鋳
型短尺部1bの方向にいくほど厚くなり、鋳型中央部か
ら300mm以上の領域では、モールドパウダーの溶融
層の厚さは18〜21mmでほぼ一定の値を示した。こ
のモールドパウダーの溶融層の厚さ:18〜21mm
は、本実施の形態でのモールドパウダーの投入条件での
通常のモールドパウダーの溶融層の厚さである。一方、
基点(鋳型中央部)から左右300mmの範囲(溶融層
の厚さが左右対称となったので左部は図示せず。)のモ
ールドパウダーの溶融層の厚さが、通常のモールドパウ
ダーの溶融層の厚さより、極端に薄くなっていることを
見い出した。このとき、モールドパウダーの溶融層の厚
さが通常値以下、例えば18mm以下となるモールドパ
ウダーの溶融薄肉層の幅Wfは600mmであった。
ーの溶融層の厚さは基点(鋳型中央部)付近が薄く、鋳
型短尺部1bの方向にいくほど厚くなり、鋳型中央部か
ら300mm以上の領域では、モールドパウダーの溶融
層の厚さは18〜21mmでほぼ一定の値を示した。こ
のモールドパウダーの溶融層の厚さ:18〜21mm
は、本実施の形態でのモールドパウダーの投入条件での
通常のモールドパウダーの溶融層の厚さである。一方、
基点(鋳型中央部)から左右300mmの範囲(溶融層
の厚さが左右対称となったので左部は図示せず。)のモ
ールドパウダーの溶融層の厚さが、通常のモールドパウ
ダーの溶融層の厚さより、極端に薄くなっていることを
見い出した。このとき、モールドパウダーの溶融層の厚
さが通常値以下、例えば18mm以下となるモールドパ
ウダーの溶融薄肉層の幅Wfは600mmであった。
【0018】モールドパウダーの溶融層の厚さが鋳型中
央部で極端に薄くなった原因について、図3により説明
する。モールドパウダー層3は溶鋼2と接する部分が溶
鋼から供給される熱により加熱されて溶融して、モール
ドパウダーの溶融層3bを形成する。この溶融層3bの
上にモールドパウダーの固層(上層が粉体層、下層が焼
結層となる。)が形成されている。そして、連続鋳造中
の鋳片の引き抜きに伴い、鋳片と鋳型間にモールドパウ
ダーの溶融層が流入し、その流入量に見合う量のモール
ドパウダーが鋳型上部より添加される。
央部で極端に薄くなった原因について、図3により説明
する。モールドパウダー層3は溶鋼2と接する部分が溶
鋼から供給される熱により加熱されて溶融して、モール
ドパウダーの溶融層3bを形成する。この溶融層3bの
上にモールドパウダーの固層(上層が粉体層、下層が焼
結層となる。)が形成されている。そして、連続鋳造中
の鋳片の引き抜きに伴い、鋳片と鋳型間にモールドパウ
ダーの溶融層が流入し、その流入量に見合う量のモール
ドパウダーが鋳型上部より添加される。
【0019】一方、溶鋼は浸漬ノズル4の溶鋼吐出口4
aより鋳型短尺部1b方向へ吐出され、溶鋼流6aを形
成する。この溶鋼流6aは、鋳型短尺部1bの鋳型内壁
に達した後、上下に分かれ、上昇する溶鋼流6bは、溶
鋼の表層に達した後に浸漬ノズルへ戻る溶鋼流6c、6
dとなる。鋳型短尺部1bの鋳型内壁に達した直後の溶
鋼流6cは溶鋼流速が速く溶鋼温度も高い状態にあるの
で、モールドパウダー層3への熱供給が大きくなる。こ
の溶鋼流6cはモールドパウダーへ熱を供給して浸漬ノ
ズルに向かうにつれて溶鋼の温度が低下するとともに溶
鋼流速が遅くなる。このように、浸漬ノズル近傍のモー
ルドパウダー層の領域への熱供給が著しく少ないものと
なり、さらに浸漬ノズルによる抜熱も生じるために、図
2の図aに示すような、浸漬ノズル近傍でのモールドパ
ウダー中の溶融層の厚さが極端に薄くなったものであ
る。
aより鋳型短尺部1b方向へ吐出され、溶鋼流6aを形
成する。この溶鋼流6aは、鋳型短尺部1bの鋳型内壁
に達した後、上下に分かれ、上昇する溶鋼流6bは、溶
鋼の表層に達した後に浸漬ノズルへ戻る溶鋼流6c、6
dとなる。鋳型短尺部1bの鋳型内壁に達した直後の溶
鋼流6cは溶鋼流速が速く溶鋼温度も高い状態にあるの
で、モールドパウダー層3への熱供給が大きくなる。こ
の溶鋼流6cはモールドパウダーへ熱を供給して浸漬ノ
ズルに向かうにつれて溶鋼の温度が低下するとともに溶
鋼流速が遅くなる。このように、浸漬ノズル近傍のモー
ルドパウダー層の領域への熱供給が著しく少ないものと
なり、さらに浸漬ノズルによる抜熱も生じるために、図
2の図aに示すような、浸漬ノズル近傍でのモールドパ
ウダー中の溶融層の厚さが極端に薄くなったものであ
る。
【0020】このように浸漬ノズル近傍のモールドパウ
ダー層の領域への熱供給は不利な条件となり、モールド
パウダーの溶融層の鋳型−凝固シェル間への流入不良を
生じやすくなる。浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層
の領域を加熱することにより、モールドパウダーへの熱
供給不足を解消し、十分なモールドパウダーの溶融層の
厚さを確保することが重要となる。このモールドパウダ
ーの溶融層の厚さは、鋳造条件により異なるが、20m
m程度あることが好ましい。
ダー層の領域への熱供給は不利な条件となり、モールド
パウダーの溶融層の鋳型−凝固シェル間への流入不良を
生じやすくなる。浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層
の領域を加熱することにより、モールドパウダーへの熱
供給不足を解消し、十分なモールドパウダーの溶融層の
厚さを確保することが重要となる。このモールドパウダ
ーの溶融層の厚さは、鋳造条件により異なるが、20m
m程度あることが好ましい。
【0021】一方、連続鋳造においては、鋳造する鋼
種、製品寸法に応じて鋳型寸法、鋳造速度の変更を行
う。このため、鋳造条件により、モールドパウダーの溶
融層の厚さが薄くなる領域が変化することとなる。この
モールドパウダーの溶融層の厚さが薄くなる領域につい
て鋳造条件を変化させて調査した。この結果を図4に示
す。図4は鋳造速度を1.2mm/分と1.4mm/分
で、鋳型の長尺幅Wを1200mmから2100mmま
で変化させたときのモールドパウダーの溶融薄肉層の幅
Wfの変化を求めた図である。ここで、モールドパウダ
ーの溶融薄肉層の幅Wfは、図2の図aに示されるよう
に、モールドパウダーの溶融層の厚さが18mm以下と
なるモールドパウダーの溶融層の幅を示すものである。
種、製品寸法に応じて鋳型寸法、鋳造速度の変更を行
う。このため、鋳造条件により、モールドパウダーの溶
融層の厚さが薄くなる領域が変化することとなる。この
モールドパウダーの溶融層の厚さが薄くなる領域につい
て鋳造条件を変化させて調査した。この結果を図4に示
す。図4は鋳造速度を1.2mm/分と1.4mm/分
で、鋳型の長尺幅Wを1200mmから2100mmま
で変化させたときのモールドパウダーの溶融薄肉層の幅
Wfの変化を求めた図である。ここで、モールドパウダ
ーの溶融薄肉層の幅Wfは、図2の図aに示されるよう
に、モールドパウダーの溶融層の厚さが18mm以下と
なるモールドパウダーの溶融層の幅を示すものである。
【0022】モールドパウダーの溶融薄肉層の幅Wf
は、図4に示されるように、例えば、鋳造速度を1.4
mm/分の場合、鋳型の長尺幅Wが1500mmの所で
零となる。これより、鋳型の長尺幅Wが短い場合はモー
ルドパウダーの溶融薄肉層の幅Wfが零となっている。
このような、モールドパウダーの溶融薄肉層の幅Wfが
零となる鋳型の長尺幅Wの最大長さを臨界鋳型幅Wcrと
称する。
は、図4に示されるように、例えば、鋳造速度を1.4
mm/分の場合、鋳型の長尺幅Wが1500mmの所で
零となる。これより、鋳型の長尺幅Wが短い場合はモー
ルドパウダーの溶融薄肉層の幅Wfが零となっている。
このような、モールドパウダーの溶融薄肉層の幅Wfが
零となる鋳型の長尺幅Wの最大長さを臨界鋳型幅Wcrと
称する。
【0023】モールドパウダーの溶融薄肉層の幅Wfと
臨界鋳型幅Wcr以上の鋳型の長尺幅Wとの間に直線関係
あり、この傾きは0.8であることを見い出した。すな
わち、 Wf=K×(W−Wcr) 式 となる。ここで、Kは定数で0.8であるが、鋳造条件
(鋳造温度、鋼種、モールドパウダーの種類等)により
変化するので、Kは0.7〜0.9の範囲となると考え
られる。
臨界鋳型幅Wcr以上の鋳型の長尺幅Wとの間に直線関係
あり、この傾きは0.8であることを見い出した。すな
わち、 Wf=K×(W−Wcr) 式 となる。ここで、Kは定数で0.8であるが、鋳造条件
(鋳造温度、鋼種、モールドパウダーの種類等)により
変化するので、Kは0.7〜0.9の範囲となると考え
られる。
【0024】さらに、鋳造速度と鋳型の長尺幅Wの寸法
を変化させて鋳造実験を行い、臨界鋳型幅Wcrを求め
た。これを図5に示す。図5に示すように、実線の臨界
鋳型幅Wcrより上の斜線部が鋳型中央部に薄いモールド
パウダーの溶融層が生成する範囲となる。
を変化させて鋳造実験を行い、臨界鋳型幅Wcrを求め
た。これを図5に示す。図5に示すように、実線の臨界
鋳型幅Wcrより上の斜線部が鋳型中央部に薄いモールド
パウダーの溶融層が生成する範囲となる。
【0025】この結果より、図5の斜線部分の条件(薄
いモールドパウダーの溶融層が生成する範囲)にて連続
鋳造する場合において、モールドパウダーの溶融層の鋳
型−凝固シェル間への流入不良を防止できるモールドパ
ウダーの溶融層の厚さ(本実施の形態では18mm)以
上を確保するには、前述の式より、加熱する浸漬ノズ
ル近傍のモールドパウダー層の領域を計算することがで
きる。
いモールドパウダーの溶融層が生成する範囲)にて連続
鋳造する場合において、モールドパウダーの溶融層の鋳
型−凝固シェル間への流入不良を防止できるモールドパ
ウダーの溶融層の厚さ(本実施の形態では18mm)以
上を確保するには、前述の式より、加熱する浸漬ノズ
ル近傍のモールドパウダー層の領域を計算することがで
きる。
【0026】例えば、鋳造速度:1.1m/分、鋳型の
長尺幅W:1600mmの場合(図5のX点)、臨界鋳
型幅Wcr(図5のY点)は1250mmとなる。これを
式に代入して計算すると、モールドパウダーの溶融薄
肉層の幅Wfは280mmとなる。このモールドパウダ
ーの溶融薄肉層の幅Wf=280mmが優先的に加熱す
る所定のモールドパウダー層の領域となる。
長尺幅W:1600mmの場合(図5のX点)、臨界鋳
型幅Wcr(図5のY点)は1250mmとなる。これを
式に代入して計算すると、モールドパウダーの溶融薄
肉層の幅Wfは280mmとなる。このモールドパウダ
ーの溶融薄肉層の幅Wf=280mmが優先的に加熱す
る所定のモールドパウダー層の領域となる。
【0027】すなわち、図6に示されるように、鋳型中
央部から両側に、計算したモールドパウダーの溶融薄肉
層の幅Wfの1/2の距離(本実施の形態では140m
m)で鋳型長尺部と囲まれる浸漬ノズル近傍のモールド
パウダー層の領域(図6の点a、b、c、dで囲まれる
領域)をマイクロ波により誘電加熱することにより、十
分なモールドパウダーの溶融層の厚みを得ることができ
る。この結果、モールドパウダーの溶融層の鋳型−凝固
シェル間への流入不良を防止でき、鋳片(スラブ)の表
面縦割れを防止できる。
央部から両側に、計算したモールドパウダーの溶融薄肉
層の幅Wfの1/2の距離(本実施の形態では140m
m)で鋳型長尺部と囲まれる浸漬ノズル近傍のモールド
パウダー層の領域(図6の点a、b、c、dで囲まれる
領域)をマイクロ波により誘電加熱することにより、十
分なモールドパウダーの溶融層の厚みを得ることができ
る。この結果、モールドパウダーの溶融層の鋳型−凝固
シェル間への流入不良を防止でき、鋳片(スラブ)の表
面縦割れを防止できる。
【0028】本発明のマイクロ波による誘電加熱は、モ
ールドパウダー粒子を直接加熱するので、モールドパウ
ダーの表層から内部まで均一に、かつ十分に加熱でき
る。さらに、マイクロ波による誘電加熱を鋳型内で行う
ため、パウダー搬送工程におけるような抜熱がなく、か
つ、大気放熱を防止できる。これに加え、マイクロ波に
よる誘電加熱は非接触加熱法のため、熱媒体がモールド
パウダー粒子と直接接触する加熱方法の問題点も解消で
きる。接触加熱法の問題点は、モールドパウダー粒子の
熱伝導度が低いのでモールドパウダーの内部まで十分に
加熱することが困難となること、接触部から他の部位へ
の熱の流れが生じて、この熱の流れの方向に温度分布が
発生して溶融層の厚さが不均一となるとともに、不必要
なエネルギーを消費するということ等である。
ールドパウダー粒子を直接加熱するので、モールドパウ
ダーの表層から内部まで均一に、かつ十分に加熱でき
る。さらに、マイクロ波による誘電加熱を鋳型内で行う
ため、パウダー搬送工程におけるような抜熱がなく、か
つ、大気放熱を防止できる。これに加え、マイクロ波に
よる誘電加熱は非接触加熱法のため、熱媒体がモールド
パウダー粒子と直接接触する加熱方法の問題点も解消で
きる。接触加熱法の問題点は、モールドパウダー粒子の
熱伝導度が低いのでモールドパウダーの内部まで十分に
加熱することが困難となること、接触部から他の部位へ
の熱の流れが生じて、この熱の流れの方向に温度分布が
発生して溶融層の厚さが不均一となるとともに、不必要
なエネルギーを消費するということ等である。
【0029】
【実施例】次に、本発明の実施例を、図示例とともに説
明する。図7は本発明の実施例の鋳型内のモールドパウ
ダーの溶融層の厚さを示す図であり、図8は本発明の実
施例の縦割れ発生率の低減効果を示す図である。本発明
の実施例は、中炭素鋼(C量:0.10〜0.16質量
%)の溶鋼をスラブに連続鋳造したものである。このと
きの鋳造条件は、 ・鋳型(長尺部長さ) :2100mm (短尺部長さ) : 280mm ・溶鋼レベル :鋳型上端から100mm下 ・鋳造温度 :1540℃ ・鋳造速度 :1.2m/分 ・浸漬ノズル位置 :鋳型中央部 ・溶鋼流量 :4.9トン/分 ・モールドパウダーの種類 :中炭素用モールドパウダー ・モールドパウダーの供給量 :1.7kg/分 ・マイクロ波発振器の種類 :マグネトロン である。
明する。図7は本発明の実施例の鋳型内のモールドパウ
ダーの溶融層の厚さを示す図であり、図8は本発明の実
施例の縦割れ発生率の低減効果を示す図である。本発明
の実施例は、中炭素鋼(C量:0.10〜0.16質量
%)の溶鋼をスラブに連続鋳造したものである。このと
きの鋳造条件は、 ・鋳型(長尺部長さ) :2100mm (短尺部長さ) : 280mm ・溶鋼レベル :鋳型上端から100mm下 ・鋳造温度 :1540℃ ・鋳造速度 :1.2m/分 ・浸漬ノズル位置 :鋳型中央部 ・溶鋼流量 :4.9トン/分 ・モールドパウダーの種類 :中炭素用モールドパウダー ・モールドパウダーの供給量 :1.7kg/分 ・マイクロ波発振器の種類 :マグネトロン である。
【0030】本実施例では、前述の本発明の実施の形態
の図5の臨界鋳型幅Wcrと、式により、マイクロ波に
より優先的に誘電加熱する浸漬ノズル近傍のモールドパ
ウダー層の領域(モールドパウダーの溶融薄肉層の幅W
f)を計算した。式に、W=2100mmと、Wcr=
1350mmを代入し、モールドパウダーの溶融薄肉層
の幅Wf=600mmを得た。
の図5の臨界鋳型幅Wcrと、式により、マイクロ波に
より優先的に誘電加熱する浸漬ノズル近傍のモールドパ
ウダー層の領域(モールドパウダーの溶融薄肉層の幅W
f)を計算した。式に、W=2100mmと、Wcr=
1350mmを代入し、モールドパウダーの溶融薄肉層
の幅Wf=600mmを得た。
【0031】次に、鋳型中央部から両側に、Wfの1/
2の距離300mmと鋳型長尺部と囲まれるモールドパ
ウダー層の領域(図6の点a、b、c、d)を印加電力
4.1kwの照射条件で、マイクロ波による優先的な誘
電加熱をしながら、中炭素鋼(C量:0.10〜0.1
6質量%)の溶鋼の連続鋳造を行いスラブを製造した。
このマイクロ波による優先的な誘電加熱は、図9に示す
ような方法で行った。優先的に加熱するモールドパウダ
ー層3の領域を遮蔽板9で覆い、マイクロ波発生装置7
からのマイクロ波を導波管8により導いてモールドパウ
ダー層を加熱するものである。このときの印加電力4.
1kwは、モールドパウダー粉末層の初期温度を800
℃(モールドパウダー粉末層の温度は400〜1200
℃の範囲)、目標加熱温度1200℃、加熱対象のモー
ルドパウダーの加熱量を26kg/時として計算したも
のである。
2の距離300mmと鋳型長尺部と囲まれるモールドパ
ウダー層の領域(図6の点a、b、c、d)を印加電力
4.1kwの照射条件で、マイクロ波による優先的な誘
電加熱をしながら、中炭素鋼(C量:0.10〜0.1
6質量%)の溶鋼の連続鋳造を行いスラブを製造した。
このマイクロ波による優先的な誘電加熱は、図9に示す
ような方法で行った。優先的に加熱するモールドパウダ
ー層3の領域を遮蔽板9で覆い、マイクロ波発生装置7
からのマイクロ波を導波管8により導いてモールドパウ
ダー層を加熱するものである。このときの印加電力4.
1kwは、モールドパウダー粉末層の初期温度を800
℃(モールドパウダー粉末層の温度は400〜1200
℃の範囲)、目標加熱温度1200℃、加熱対象のモー
ルドパウダーの加熱量を26kg/時として計算したも
のである。
【0032】連続鋳造中のモールドパウダーの溶融層の
厚さの測定結果を図7に示す。測定条件は本実施の形態
と同じ条件である。図7に示すように、鋳型中央部のモ
ールドパウダーの溶融層の厚さは18mm以上になって
いることを確認した。さらに、連続鋳造したスラブの表
面を観察した結果、図8に示すように、表面縦割れの発
生頻度を40%に低減できることを確認した。
厚さの測定結果を図7に示す。測定条件は本実施の形態
と同じ条件である。図7に示すように、鋳型中央部のモ
ールドパウダーの溶融層の厚さは18mm以上になって
いることを確認した。さらに、連続鋳造したスラブの表
面を観察した結果、図8に示すように、表面縦割れの発
生頻度を40%に低減できることを確認した。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、連続鋳造用鋳型
内の浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域をマイ
クロ波により誘電加熱することにより、鋳片の表面縦割
れを抑制することを可能とするものである。すなわち、
モールドパウダーの溶融が不十分となり、十分なモール
ドパウダーの溶融層を得ることができない浸漬ノズル近
傍のモールドパウダー層の領域をマイクロ波により誘電
加熱することにより、均一で十分なモールドパウダーの
溶融層を形成でき、モールドパウダーの溶融層の鋳型−
凝固シェル間への流入を均一することが可能となり、鋳
型の局所的抜熱不良を防止することにより鋳片の表面縦
割れを抑制することを可能とするものである。
内の浸漬ノズル近傍のモールドパウダー層の領域をマイ
クロ波により誘電加熱することにより、鋳片の表面縦割
れを抑制することを可能とするものである。すなわち、
モールドパウダーの溶融が不十分となり、十分なモール
ドパウダーの溶融層を得ることができない浸漬ノズル近
傍のモールドパウダー層の領域をマイクロ波により誘電
加熱することにより、均一で十分なモールドパウダーの
溶融層を形成でき、モールドパウダーの溶融層の鋳型−
凝固シェル間への流入を均一することが可能となり、鋳
型の局所的抜熱不良を防止することにより鋳片の表面縦
割れを抑制することを可能とするものである。
【0034】さらに、予め、鋳造速度と鋳型の長尺幅W
を変化させて臨界鋳型幅Wcrを求めておくことにより、
マイクロ波にて誘電加熱するモールドパウダー層の領域
を決定することでき、新たな設備投資を必要とせず、極
めて簡易に鋳片の表面縦割れを抑制することを可能とす
るものである。
を変化させて臨界鋳型幅Wcrを求めておくことにより、
マイクロ波にて誘電加熱するモールドパウダー層の領域
を決定することでき、新たな設備投資を必要とせず、極
めて簡易に鋳片の表面縦割れを抑制することを可能とす
るものである。
【図1】モールドパウダーの溶融層の流入不良を説明す
る概念図である。
る概念図である。
【図2】鋳型内のモールドパウダーの溶融層の厚みを示
す図である。
す図である。
【図3】メニスカス近傍の熱供給の概念を示す図であ
る。
る。
【図4】モールドパウダーの溶融薄肉層の生成に及ぼす
鋳造条件の影響を示す図である。
鋳造条件の影響を示す図である。
【図5】モールドパウダーの溶融薄肉層の生成する領域
を示す図である。
を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態のマイクロ波による加熱領
域を示す図である。
域を示す図である。
【図7】本発明の実施例の鋳型内のモールドパウダーの
溶融層の厚みを示す図である。
溶融層の厚みを示す図である。
【図8】本発明の実施例の縦割れ発生率の低減効果を示
す図である。
す図である。
【図9】本発明の実施例のマイクロ波による加熱方法を
示す図である。
示す図である。
1 鋳型 1a 鋳型長尺部 1b 鋳型短尺部 2 溶鋼 3 モールドパウダー層 3a モールドパウダー層(固層) 3b モールドパウダー層(溶融層) 4 浸漬ノズル 4a 溶鋼吐出口 5 凝固シェル 6a 溶鋼流 6b 溶鋼流 6c 溶鋼流 6d 溶鋼流 7 マイクロ波発生装置 8 導波管 9 遮蔽板
Claims (2)
- 【請求項1】 連続鋳造用鋳型内に投入されるモールド
パウダーをマイクロ波により誘電加熱する連続鋳造用モ
ールドパウダーの加熱方法において、 前記連続鋳造用鋳型内の浸漬ノズル近傍のモールドパウ
ダー層の領域をマイクロ波により誘電加熱することによ
り、鋳片(スラブ)の表面縦割れを防止することを特徴
とする連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法。 - 【請求項2】 連続鋳造用鋳型内に投入されるモールド
パウダーをマイクロ波により誘電加熱する連続鋳造用モ
ールドパウダーの加熱方法において、 予め、連続鋳造用鋳型の長尺幅と鋳造速度を変えて連続
鋳造を行って、前記連続鋳造用鋳型内の浸漬ノズルと前
記鋳型長尺部の間であり、前記鋳型長尺部の鋳型内壁か
ら40mmの位置のモールドパウダー層の厚さを測定
し、この測定したモールドパウダー層の厚さが連続鋳造
用鋳型内の平均モールドパウダー層の厚さとなる鋳型長
尺部の鋳型幅(臨界鋳型幅)を求めておき、 この臨界鋳型幅と連続鋳造する際の鋳型長尺部の長さを
下記式に代入して加熱領域長さを計算し、 連続鋳造する際に、前記浸漬ノズルを挟む連続鋳造用鋳
型長尺部の間であり、前記浸漬ノズルを中心に鋳型短尺
部の両方向へ前記計算した加熱領域長さで囲まれるモー
ルドパウダー層の領域をマイクロ波により誘電加熱する
鋳片(スラブ)の表面縦割れを防止することを特徴とす
る連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法。 加熱領域長さ=(鋳型長尺部の長さ−臨界鋳型幅)×0.8 式
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8395098A JPH11277202A (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8395098A JPH11277202A (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11277202A true JPH11277202A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13816876
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8395098A Pending JPH11277202A (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 連続鋳造用モールドパウダーの加熱方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11277202A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014083575A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Kobe Steel Ltd | 連続鋳造鋳型内へのモールドフラックスの添加方法 |
-
1998
- 1998-03-30 JP JP8395098A patent/JPH11277202A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014083575A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Kobe Steel Ltd | 連続鋳造鋳型内へのモールドフラックスの添加方法 |
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