JPH11277028A - 灰中の有害塩素化合物の処理方法及びその処理装置 - Google Patents
灰中の有害塩素化合物の処理方法及びその処理装置Info
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- JPH11277028A JPH11277028A JP10088527A JP8852798A JPH11277028A JP H11277028 A JPH11277028 A JP H11277028A JP 10088527 A JP10088527 A JP 10088527A JP 8852798 A JP8852798 A JP 8852798A JP H11277028 A JPH11277028 A JP H11277028A
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- electron beam
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 処理時の電力量が少なくてすみ、設備の規模
が小さく、さらに処理コストが安価な灰中の有害塩素化
合物の処理方法及びその処理装置を提供する。 【解決手段】 有害塩素化合物を含む焼却灰101をア
ルコールと混合し、電子線125を照射して、有害塩素
化合物を無害化する灰中の有害塩素化合物処理方法、及
び焼却灰101とアルコールを混合する混合機104
と、混合機104でアルコールと混合した焼却灰101
を膜状に形成して送り出すローラ108と、ローラ10
8から送り出される焼却灰101を搬送するベルトコン
ベア109と、ベルトコンベア109上の焼却灰101
に電子線125を照射する電子線照射装置110と、電
子線125を照射した処理灰124を回収する灰回収ホ
ッパー112とを備えた灰中の有害塩素化合物処理装置
100である。
が小さく、さらに処理コストが安価な灰中の有害塩素化
合物の処理方法及びその処理装置を提供する。 【解決手段】 有害塩素化合物を含む焼却灰101をア
ルコールと混合し、電子線125を照射して、有害塩素
化合物を無害化する灰中の有害塩素化合物処理方法、及
び焼却灰101とアルコールを混合する混合機104
と、混合機104でアルコールと混合した焼却灰101
を膜状に形成して送り出すローラ108と、ローラ10
8から送り出される焼却灰101を搬送するベルトコン
ベア109と、ベルトコンベア109上の焼却灰101
に電子線125を照射する電子線照射装置110と、電
子線125を照射した処理灰124を回収する灰回収ホ
ッパー112とを備えた灰中の有害塩素化合物処理装置
100である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミ焼却灰中に含
有するダイオキシン類などの有害塩素化合物を無害化す
る処理方法及びその処理装置に関する。
有するダイオキシン類などの有害塩素化合物を無害化す
る処理方法及びその処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴミ焼却プラントでは、ゴミの燃焼に伴
って猛毒のダイオキシン類を含む灰が発生する場合があ
る。このダイオキシンは、ポリ塩素化ジベンゾ−p−ダ
イオキシン(PCDDs) と総称される75種類の化合物より
なる。これらの化合物の中には有害なものが多く、その
中でも最も強い毒性を有するのは、2,3,7,8−テ
トラクロロジベンゾ−p−ダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)
である。従来、ゴミ焼却施設の規模に応じて、以下に示
すダイオキシンの除去対策が適用されている。
って猛毒のダイオキシン類を含む灰が発生する場合があ
る。このダイオキシンは、ポリ塩素化ジベンゾ−p−ダ
イオキシン(PCDDs) と総称される75種類の化合物より
なる。これらの化合物の中には有害なものが多く、その
中でも最も強い毒性を有するのは、2,3,7,8−テ
トラクロロジベンゾ−p−ダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)
である。従来、ゴミ焼却施設の規模に応じて、以下に示
すダイオキシンの除去対策が適用されている。
【0003】(1) 大規模焼却施設、即ち、焼却炉の規模
が200トン/日以上の一般ゴミ焼却設備の場合は、ダ
イオキシン類を含む焼却灰をアークプラズマで加熱、溶
融することにより、焼却灰中に混入しているダイオキシ
ン類を熱分解する方法を採用している。この方法によれ
ば、アークプラズマを発生させるために多くの電力が必
要となり、一般にゴミ発電設備が整備された大規模な照
射設備でしか適用されておらず、上記アークプラズマに
より処理される灰の容積は約1/3に減少する。以下、
図3に基づいて具体的に説明する。有害塩素化合物を含
んだ灰301は、ホッパー302内に供給されると、灰
投入機303によって溶融炉304の内部に投入され
る。この投入された灰301は、主電極用電源及びトラ
ンス305で電力を供給された3本の主電極306から
発生したアークプラズマ307により溶融され、溶融灰
308となる。この溶融灰308は、溶融炉304の排
出口320近傍で冷えて固化しはじめるため、さらに補
助電極用電源及びトランス309で電力を供給された補
助電極310により再加熱され、スラグ冷却回収装置3
11に回収され、搬出される。
が200トン/日以上の一般ゴミ焼却設備の場合は、ダ
イオキシン類を含む焼却灰をアークプラズマで加熱、溶
融することにより、焼却灰中に混入しているダイオキシ
ン類を熱分解する方法を採用している。この方法によれ
ば、アークプラズマを発生させるために多くの電力が必
要となり、一般にゴミ発電設備が整備された大規模な照
射設備でしか適用されておらず、上記アークプラズマに
より処理される灰の容積は約1/3に減少する。以下、
図3に基づいて具体的に説明する。有害塩素化合物を含
んだ灰301は、ホッパー302内に供給されると、灰
投入機303によって溶融炉304の内部に投入され
る。この投入された灰301は、主電極用電源及びトラ
ンス305で電力を供給された3本の主電極306から
発生したアークプラズマ307により溶融され、溶融灰
308となる。この溶融灰308は、溶融炉304の排
出口320近傍で冷えて固化しはじめるため、さらに補
助電極用電源及びトランス309で電力を供給された補
助電極310により再加熱され、スラグ冷却回収装置3
11に回収され、搬出される。
【0004】また、溶融炉304の周囲は、空冷ファン
312で冷却されている。一方、溶融炉308の内部
で、灰301を溶融して溶融灰308にする際に発生し
た排気ガスは、ガス処理設備313においてガス処理さ
れ、電気集塵機314で集塵された後、ファン315を
用いて煙突(図示せず)を介して大気中に放出される。
このように、溶融固化された灰は、約5mm以下に粉砕さ
れスラグ化され、インターロッキングブロック等の建設
骨材として利用されている。しかし、例えば灰1トン当
たりの溶融スラグ化処理に要する電力が1000〔k W
h 〕であり、極めて多くの電力が必要なため、処理コス
トが多大にかかった。また、灰溶融に伴い発生する塩素
等を含む有害ガスを処理するためのガス処理設備313
や排ガス中のダストを捕集するための電気集塵機等の付
帯設備が必要となり、装置規模が大型化した。さらに、
アークプラズマ法は加熱方式であるため、灰301を加
熱する際に有害ガスが発生するおそれがあった。
312で冷却されている。一方、溶融炉308の内部
で、灰301を溶融して溶融灰308にする際に発生し
た排気ガスは、ガス処理設備313においてガス処理さ
れ、電気集塵機314で集塵された後、ファン315を
用いて煙突(図示せず)を介して大気中に放出される。
このように、溶融固化された灰は、約5mm以下に粉砕さ
れスラグ化され、インターロッキングブロック等の建設
骨材として利用されている。しかし、例えば灰1トン当
たりの溶融スラグ化処理に要する電力が1000〔k W
h 〕であり、極めて多くの電力が必要なため、処理コス
トが多大にかかった。また、灰溶融に伴い発生する塩素
等を含む有害ガスを処理するためのガス処理設備313
や排ガス中のダストを捕集するための電気集塵機等の付
帯設備が必要となり、装置規模が大型化した。さらに、
アークプラズマ法は加熱方式であるため、灰301を加
熱する際に有害ガスが発生するおそれがあった。
【0005】(2) 中小規模焼却施設、即ち、焼却炉の規
模が200トン/日以下の一般ゴミ焼却設備において
は、大規模模焼却施設と同様の処理方法を採用すると、
上述したようなゴミ発電設備が配設されていないため、
処理コストがかかりすぎ実用的でない。よって、灰を溶
融せずに灰中の有害塩素化合物のみを無害化する方法、
例えば、ダイオキシン類を含む灰を電気ヒータ又はバー
ナを用いて加熱し、ダイオキシンの塩素を脱塩素化する
加熱脱塩素化法が採用されている。この加熱脱塩素化法
により、灰中のダイオキシン類の一部が脱塩素化によっ
て無害化される。脱塩素化された灰は、その後セメント
固化処理される。以下、図4に基づいて具体的に説明す
る。処理すべき焼却灰401がホッパー402内に収納
されると、供給用ロータリー弁403で加熱脱塩素リア
クタ404の内部に投入される。該加熱脱塩素リアクタ
404は、外部から電気ヒータ405,405によって
約400℃まで加熱され、焼却灰401は脱塩素化され
る。この脱塩素化された灰401は、加熱脱塩素リアク
タ404の出口420から排出され、クーラ406に投
入されて冷却され、排出用ロータリー弁407から排出
される。また、窒素供給部408から供給された窒素ガ
スは、フィルター409を経て、加熱脱塩素リアクタ4
04内に送られたのち、再循環ファン410を用いて循
環される。これにより、加熱脱塩素リアクタ404の内
部は、酸素濃度0.01以下の窒素雰囲気に保持され
る。なお、窒素ガスの循環系統の内部には、ガス中の水
分をトラップするための凝縮器411及びドレンタンク
412が配設されている。
模が200トン/日以下の一般ゴミ焼却設備において
は、大規模模焼却施設と同様の処理方法を採用すると、
上述したようなゴミ発電設備が配設されていないため、
処理コストがかかりすぎ実用的でない。よって、灰を溶
融せずに灰中の有害塩素化合物のみを無害化する方法、
例えば、ダイオキシン類を含む灰を電気ヒータ又はバー
ナを用いて加熱し、ダイオキシンの塩素を脱塩素化する
加熱脱塩素化法が採用されている。この加熱脱塩素化法
により、灰中のダイオキシン類の一部が脱塩素化によっ
て無害化される。脱塩素化された灰は、その後セメント
固化処理される。以下、図4に基づいて具体的に説明す
る。処理すべき焼却灰401がホッパー402内に収納
されると、供給用ロータリー弁403で加熱脱塩素リア
クタ404の内部に投入される。該加熱脱塩素リアクタ
404は、外部から電気ヒータ405,405によって
約400℃まで加熱され、焼却灰401は脱塩素化され
る。この脱塩素化された灰401は、加熱脱塩素リアク
タ404の出口420から排出され、クーラ406に投
入されて冷却され、排出用ロータリー弁407から排出
される。また、窒素供給部408から供給された窒素ガ
スは、フィルター409を経て、加熱脱塩素リアクタ4
04内に送られたのち、再循環ファン410を用いて循
環される。これにより、加熱脱塩素リアクタ404の内
部は、酸素濃度0.01以下の窒素雰囲気に保持され
る。なお、窒素ガスの循環系統の内部には、ガス中の水
分をトラップするための凝縮器411及びドレンタンク
412が配設されている。
【0006】この処理方法は、上述したアークプラズマ
法に比較して約1/5 の電力量で処理が可能だが、現在、
さらなる低電力化が求められている。また、単に窒素ガ
ス雰囲気中で灰の温度を約400℃程度まで上昇させて
熱分解するため、脱離した塩素が処理灰に再結合される
おそれがあった。さらに、加熱脱塩素法は加熱方式であ
るため、灰401を加熱する際に有害ガスが発生するお
それがあった。 (3) 産業廃棄物処理施設(大中小規模)においては、ゴ
ミ焼却により発生した灰は、上述した一般ゴミ焼却施設
で行われる加熱脱塩素化法などの処理はされず、セメン
トで固化した後、キレート処理がなされている。このよ
うに、現状では灰処理に関する対策が不十分なため、今
後は、混合直接溶融、熱分解ガス化溶融、バーナ溶融、
加熱脱塩素化とセメント固化との組合せなどの処理がな
されることが予想される。
法に比較して約1/5 の電力量で処理が可能だが、現在、
さらなる低電力化が求められている。また、単に窒素ガ
ス雰囲気中で灰の温度を約400℃程度まで上昇させて
熱分解するため、脱離した塩素が処理灰に再結合される
おそれがあった。さらに、加熱脱塩素法は加熱方式であ
るため、灰401を加熱する際に有害ガスが発生するお
それがあった。 (3) 産業廃棄物処理施設(大中小規模)においては、ゴ
ミ焼却により発生した灰は、上述した一般ゴミ焼却施設
で行われる加熱脱塩素化法などの処理はされず、セメン
トで固化した後、キレート処理がなされている。このよ
うに、現状では灰処理に関する対策が不十分なため、今
後は、混合直接溶融、熱分解ガス化溶融、バーナ溶融、
加熱脱塩素化とセメント固化との組合せなどの処理がな
されることが予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、処理
時の電力量が少なくてすみ、設備の規模が小さく、さら
に処理コストが安価な灰中の有害塩素化合物の処理方法
及びその処理装置を提供することにある。
実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、処理
時の電力量が少なくてすみ、設備の規模が小さく、さら
に処理コストが安価な灰中の有害塩素化合物の処理方法
及びその処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る灰中の有害塩素化合物の処理方法
は、次のような技術を採用している。 (1) 有害塩素化合物を含む灰をアルコールと混合したの
ち、この混合物に電子線を照射することによって、上記
有害塩素化合物を無害化する。アルコールとしては、脱
塩素効果のあるアルコールであればその種類を問わない
が、脱塩素性能をさらに向上させるイソプロピルアルコ
ールが好ましい。 (2) 上記アルコールとしてアルカリ性アルコールを用い
る。 (3) 上記電子線として1〔MeV〕以下の低エネルギー
電子線を用いる。ここで、電子線の加速エネルギーの好
ましい範囲は、10eV〜1MeVである。また、電子
線の照射時間は、加速エネルギーの大きさに依存する
が、好ましい範囲の一例は、1ms〜180sである。 (4) 上記アルコールと混合した灰を薄い膜状に形成し、
この灰に上記電子線を照射する。 (5) 上記灰の膜厚を、上記電子線の加速エネルギーに対
応した厚さとする。例えば電子線の加速エネルギーが3
00〔keV〕の場合、処理灰の厚さは0.9mm程度が
適しており、電子線の加速エネルギーが1〔MeV〕の
場合は、処理灰の厚さは1.5mm程度が適している。
めに、本発明に係る灰中の有害塩素化合物の処理方法
は、次のような技術を採用している。 (1) 有害塩素化合物を含む灰をアルコールと混合したの
ち、この混合物に電子線を照射することによって、上記
有害塩素化合物を無害化する。アルコールとしては、脱
塩素効果のあるアルコールであればその種類を問わない
が、脱塩素性能をさらに向上させるイソプロピルアルコ
ールが好ましい。 (2) 上記アルコールとしてアルカリ性アルコールを用い
る。 (3) 上記電子線として1〔MeV〕以下の低エネルギー
電子線を用いる。ここで、電子線の加速エネルギーの好
ましい範囲は、10eV〜1MeVである。また、電子
線の照射時間は、加速エネルギーの大きさに依存する
が、好ましい範囲の一例は、1ms〜180sである。 (4) 上記アルコールと混合した灰を薄い膜状に形成し、
この灰に上記電子線を照射する。 (5) 上記灰の膜厚を、上記電子線の加速エネルギーに対
応した厚さとする。例えば電子線の加速エネルギーが3
00〔keV〕の場合、処理灰の厚さは0.9mm程度が
適しており、電子線の加速エネルギーが1〔MeV〕の
場合は、処理灰の厚さは1.5mm程度が適している。
【0009】また、本発明に係る有害塩素化合物の処理
装置は、以下のように構成されている。 (6) 灰供給装置から供給される灰及びアルコール供給装
置から供給されるアルコールを混合する混合機と、該混
合機でアルコールと混合した灰を膜状に形成して送り出
す送出手段と、該送出手段から送り出される灰を搬送す
る搬送手段と、該搬送手段の灰に電子線を照射する電子
線照射装置と、電子線を照射した処理灰を回収する灰回
収手段とを備えている。 (7) 灰供給装置から供給される灰及びアルコール供給装
置から供給されるアルコールを混合する混合機と、該混
合機でアルコールと混合された灰を受け入れる灰処理容
器と、該灰処理容器内に回転可能に配設され、その表面
に灰を膜状に付着させて回転搬送するローラと、該ロー
ラと対向して配設され、ローラ表面に付着した灰に電子
線を照射する電子線照射装置と、このローラにより回転
搬送される処理灰を回収する灰回収手段とを備えてい
る。 (8) 上記搬送手段の端部、又は上記ローラの回転搬送端
部に、灰かきとり用スクラバーを設けている。上記灰か
きとり用スクラバーによって搬送手段又はローラから灰
がかきとられ、灰回収手段によって回収される。 (9) 上記ローラの側部に膜厚均一化用スクレーパを設け
ることにより、該ローラの表面に付着させた灰の膜厚を
均一化したのち、この灰に電子線を照射するように構成
している。ローラの回転方向に対し、上記スクレーパを
電子線照射装置よりも回転搬送開始側に配設しているの
で、ローラ表面に付着した灰の膜厚を均一にしたのち、
この灰に電子線が照射される。よって、灰に電子線をば
らつきなく均一に照射することができる。
装置は、以下のように構成されている。 (6) 灰供給装置から供給される灰及びアルコール供給装
置から供給されるアルコールを混合する混合機と、該混
合機でアルコールと混合した灰を膜状に形成して送り出
す送出手段と、該送出手段から送り出される灰を搬送す
る搬送手段と、該搬送手段の灰に電子線を照射する電子
線照射装置と、電子線を照射した処理灰を回収する灰回
収手段とを備えている。 (7) 灰供給装置から供給される灰及びアルコール供給装
置から供給されるアルコールを混合する混合機と、該混
合機でアルコールと混合された灰を受け入れる灰処理容
器と、該灰処理容器内に回転可能に配設され、その表面
に灰を膜状に付着させて回転搬送するローラと、該ロー
ラと対向して配設され、ローラ表面に付着した灰に電子
線を照射する電子線照射装置と、このローラにより回転
搬送される処理灰を回収する灰回収手段とを備えてい
る。 (8) 上記搬送手段の端部、又は上記ローラの回転搬送端
部に、灰かきとり用スクラバーを設けている。上記灰か
きとり用スクラバーによって搬送手段又はローラから灰
がかきとられ、灰回収手段によって回収される。 (9) 上記ローラの側部に膜厚均一化用スクレーパを設け
ることにより、該ローラの表面に付着させた灰の膜厚を
均一化したのち、この灰に電子線を照射するように構成
している。ローラの回転方向に対し、上記スクレーパを
電子線照射装置よりも回転搬送開始側に配設しているの
で、ローラ表面に付着した灰の膜厚を均一にしたのち、
この灰に電子線が照射される。よって、灰に電子線をば
らつきなく均一に照射することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。第1の実施の形態 本発明に係る有害塩素化合物の処理装置100の構造
を、図1に基づいて詳細に説明する。図の左端側の上部
には、焼却灰101を収容する灰供給装置である灰ホッ
パー102が配設され、該灰ホッパー102下部は径が
細く絞られた筒部に形成されており、その途中に払出し
ダンパー103が設けられている。上記灰ホッパー10
2の下部には、混合機104が配設され、その下端部に
形成された出口120には、後述するアルカリ性アルコ
ールと混合された焼却灰101を送り出す送出手段であ
るローラ108が回動可能に支持されている。一方、上
記灰ホッパー102の側部には、水酸化ナトリウム(N
aOH)を収容するNaOHホッパー105が配設さ
れ、その下部には径が細く絞られた筒部121が設けら
れており、該筒部121の途中に供給弁106が配設さ
れている。この筒部121は、アルコール供給装置であ
るアルコールタンク107に接続され、該アルコールタ
ンク107は、配管を介して上記混合機104に接続さ
れている。この混合機104の下部には、搬送手段であ
るステンレス製のベルトコンベア109が略水平に配設
されており、該ベルトコンベア109の中央部の上方に
は、低エネルギー電子線照射装置110が設けられてい
る。上記ベルトコンベア109の下流側の端部に、先端
部が尖ったスクラバー111が配設され、このスクラバ
ーの下部に灰回収ホッパー112が設けられ、乾燥機1
13に接続されている。また、上記低エネルギー電子線
照射装置110によって電子線125を照射された焼却
灰101から発生するオゾン等を回収するブロアー11
4が電子線照射室122の内部に接続されており、この
ブロアー114にフィルター115が配設されている。
て説明する。第1の実施の形態 本発明に係る有害塩素化合物の処理装置100の構造
を、図1に基づいて詳細に説明する。図の左端側の上部
には、焼却灰101を収容する灰供給装置である灰ホッ
パー102が配設され、該灰ホッパー102下部は径が
細く絞られた筒部に形成されており、その途中に払出し
ダンパー103が設けられている。上記灰ホッパー10
2の下部には、混合機104が配設され、その下端部に
形成された出口120には、後述するアルカリ性アルコ
ールと混合された焼却灰101を送り出す送出手段であ
るローラ108が回動可能に支持されている。一方、上
記灰ホッパー102の側部には、水酸化ナトリウム(N
aOH)を収容するNaOHホッパー105が配設さ
れ、その下部には径が細く絞られた筒部121が設けら
れており、該筒部121の途中に供給弁106が配設さ
れている。この筒部121は、アルコール供給装置であ
るアルコールタンク107に接続され、該アルコールタ
ンク107は、配管を介して上記混合機104に接続さ
れている。この混合機104の下部には、搬送手段であ
るステンレス製のベルトコンベア109が略水平に配設
されており、該ベルトコンベア109の中央部の上方に
は、低エネルギー電子線照射装置110が設けられてい
る。上記ベルトコンベア109の下流側の端部に、先端
部が尖ったスクラバー111が配設され、このスクラバ
ーの下部に灰回収ホッパー112が設けられ、乾燥機1
13に接続されている。また、上記低エネルギー電子線
照射装置110によって電子線125を照射された焼却
灰101から発生するオゾン等を回収するブロアー11
4が電子線照射室122の内部に接続されており、この
ブロアー114にフィルター115が配設されている。
【0011】以上の構造を有する有害塩素化合物の処理
装置100を用いて、焼却灰101を処理する手順につ
いて説明する。まず、処理対象となる有害塩素化合物を
含む焼却灰101を灰ホッパー102に投入すると、該
灰ホッパー102下部の払出しダンパー103により、
所定量の焼却灰101が混合機104に供給される。一
方、NaOHホッパー105に予め投入したNaOH
は、その所定量が供給弁106によってアルコールタン
ク107に供給され、アルコールに添加されてアルカリ
性アルコールが生成される。このアルカリ性アルコール
が混合機104に供給されると、上記焼却灰101と所
定の割合で混合されて混合灰123が生成される。この
混合灰123は、混合機104の出口120から、ロー
ラ108の回転によって、膜状に連続的に形成されてベ
ルトコンベア109上に送り出される。この膜状の混合
灰123は、その厚さが、電子線加速エネルギーに対応
した電子の灰中への浸透深さ(飛程)と同程度の厚さで
あり、加速エネルギーが1〔MeV〕以下の性能を有す
る低エネルギー電子線照射装置110によって電子線1
25が連続的に照射されて脱塩素化され、処理灰124
となる。この脱塩素化された処理灰124は、スクラバ
ー111でかきとられ、灰回収ホッパー112に回収さ
れ、乾燥機113に供給されて乾燥された後、排出され
る。また、電子線照射に伴う発熱で混合灰123から気
化した微量なアルコール、及び電子線照射により発生し
たオゾンは、ブロアー114を用いて回収されフィルタ
ー115を経て大気中に排出される。さらに、上記乾燥
機113から排出される気化したアルコールは回収さ
れ、上記アルコールタンク107に導かれて再利用され
る。
装置100を用いて、焼却灰101を処理する手順につ
いて説明する。まず、処理対象となる有害塩素化合物を
含む焼却灰101を灰ホッパー102に投入すると、該
灰ホッパー102下部の払出しダンパー103により、
所定量の焼却灰101が混合機104に供給される。一
方、NaOHホッパー105に予め投入したNaOH
は、その所定量が供給弁106によってアルコールタン
ク107に供給され、アルコールに添加されてアルカリ
性アルコールが生成される。このアルカリ性アルコール
が混合機104に供給されると、上記焼却灰101と所
定の割合で混合されて混合灰123が生成される。この
混合灰123は、混合機104の出口120から、ロー
ラ108の回転によって、膜状に連続的に形成されてベ
ルトコンベア109上に送り出される。この膜状の混合
灰123は、その厚さが、電子線加速エネルギーに対応
した電子の灰中への浸透深さ(飛程)と同程度の厚さで
あり、加速エネルギーが1〔MeV〕以下の性能を有す
る低エネルギー電子線照射装置110によって電子線1
25が連続的に照射されて脱塩素化され、処理灰124
となる。この脱塩素化された処理灰124は、スクラバ
ー111でかきとられ、灰回収ホッパー112に回収さ
れ、乾燥機113に供給されて乾燥された後、排出され
る。また、電子線照射に伴う発熱で混合灰123から気
化した微量なアルコール、及び電子線照射により発生し
たオゾンは、ブロアー114を用いて回収されフィルタ
ー115を経て大気中に排出される。さらに、上記乾燥
機113から排出される気化したアルコールは回収さ
れ、上記アルコールタンク107に導かれて再利用され
る。
【0012】さらに、焼却灰101と混合するアルコー
ルとしては、脱塩素効果のあるアルコールであればその
種類は問わない。例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソペンチルアルコール、ベンジルアルコー
ル及びイソプロピルアルコールを用いることができる。
イソプロピルアルコールは、脱塩素性能をさらに向上さ
せるので好ましい。具体的処理条件の一例を以下に示
す。 アルコール:イソプロピルアルコール(50wt%)+エ
チルアルコール(49.5wt%) NaOH :0.5 wt% 焼却灰101に対するアルカリ性アルコールの混合割合
は、外割で30wt%である。また、電子線照射の条件と
処理灰124の厚さの関係については、例えば電子線の
加速エネルギーが300〔keV〕の場合、処理灰12
4の厚さは0.9mm程度が適しており、電子線の加速エ
ネルギーが1〔MeV〕の場合は、処理灰の厚さは1.
5mm程度が適している。なお、アルコールとNaOHの
組合せや混合割合、焼却灰101に対するアルカリ性ア
ルコールの混合割合は、上記実施例に限定されるもので
はなく、灰中に含有されるダイオキシン量により適宜決
定される。また、アルカリ剤として、上記NaOH以外
にKOH等を用いることができる。
ルとしては、脱塩素効果のあるアルコールであればその
種類は問わない。例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソペンチルアルコール、ベンジルアルコー
ル及びイソプロピルアルコールを用いることができる。
イソプロピルアルコールは、脱塩素性能をさらに向上さ
せるので好ましい。具体的処理条件の一例を以下に示
す。 アルコール:イソプロピルアルコール(50wt%)+エ
チルアルコール(49.5wt%) NaOH :0.5 wt% 焼却灰101に対するアルカリ性アルコールの混合割合
は、外割で30wt%である。また、電子線照射の条件と
処理灰124の厚さの関係については、例えば電子線の
加速エネルギーが300〔keV〕の場合、処理灰12
4の厚さは0.9mm程度が適しており、電子線の加速エ
ネルギーが1〔MeV〕の場合は、処理灰の厚さは1.
5mm程度が適している。なお、アルコールとNaOHの
組合せや混合割合、焼却灰101に対するアルカリ性ア
ルコールの混合割合は、上記実施例に限定されるもので
はなく、灰中に含有されるダイオキシン量により適宜決
定される。また、アルカリ剤として、上記NaOH以外
にKOH等を用いることができる。
【0013】次いで、焼却灰が脱塩素化される作用につ
いて説明する。処理対象となる焼却灰101は、アルカ
リ性アルコールと混合され、ローラ108によって薄い
膜状に形成され、1MeV以下の低エネルギー電子線を
照射されて、灰中に含まれる有害塩素化合物であるダイ
オキシン類の脱塩素反応が促進される。これにより、ダ
イオキシン類の塩素数は3以下となり、有害であったダ
イオキシン類は完全に無害化する。一方、脱塩素化によ
り生じた塩素はアルコールに混合したNaOHのNaと
結合してNaClとなり、ダイオキシン類への再結合を
阻止する。即ち、従来の加熱脱塩素法では、脱塩素化し
た塩素がダイオキシン類に再結合する可能性があるが、
本発明による処理方法によれば、NaOHとアルコール
を混合することにより、塩素の再結合が防止される。以
下、具体的な処理結果の一例を説明する。灰中のダイオ
キシン類の毒性等価濃度が2.1〔ng/g〕のゴミ焼
却灰101をアルカリ性アルコールに混合し、1〔Me
V〕の電子線照射を施した。その結果、電子線の吸収線
量が約66〔kGy〕でダイオキシン類を99%以上脱
塩素化でき、ダイオキシン類の毒性等価濃度が減少する
ことを確認した。このアルカリ性アルコールを使用した
ダイオキシン無害化の性能は、特許第2549755号
で実施されているように、ゴミ焼却灰に水を混合した場
合の処理結果である吸収線量約1000〔kGy〕で最
大92%の減少率に比べ、約15倍以上の高性能化が確
認できた。
いて説明する。処理対象となる焼却灰101は、アルカ
リ性アルコールと混合され、ローラ108によって薄い
膜状に形成され、1MeV以下の低エネルギー電子線を
照射されて、灰中に含まれる有害塩素化合物であるダイ
オキシン類の脱塩素反応が促進される。これにより、ダ
イオキシン類の塩素数は3以下となり、有害であったダ
イオキシン類は完全に無害化する。一方、脱塩素化によ
り生じた塩素はアルコールに混合したNaOHのNaと
結合してNaClとなり、ダイオキシン類への再結合を
阻止する。即ち、従来の加熱脱塩素法では、脱塩素化し
た塩素がダイオキシン類に再結合する可能性があるが、
本発明による処理方法によれば、NaOHとアルコール
を混合することにより、塩素の再結合が防止される。以
下、具体的な処理結果の一例を説明する。灰中のダイオ
キシン類の毒性等価濃度が2.1〔ng/g〕のゴミ焼
却灰101をアルカリ性アルコールに混合し、1〔Me
V〕の電子線照射を施した。その結果、電子線の吸収線
量が約66〔kGy〕でダイオキシン類を99%以上脱
塩素化でき、ダイオキシン類の毒性等価濃度が減少する
ことを確認した。このアルカリ性アルコールを使用した
ダイオキシン無害化の性能は、特許第2549755号
で実施されているように、ゴミ焼却灰に水を混合した場
合の処理結果である吸収線量約1000〔kGy〕で最
大92%の減少率に比べ、約15倍以上の高性能化が確
認できた。
【0014】第2の実施の形態 焼却灰中に含まれる有害塩素化合物の濃度が高い場合
は、該焼却灰と混合するアルカリ性アルコール量の混合
割合を増加させることにより脱塩素性能を向上させるこ
とができる。この場合、図1で示した脱塩素処理方法で
も処理は可能だが、アルコール量の混合の割合を増加さ
せることにより、図2に示す方法でも処理が可能とな
る。具体的には、アルカリ性アルコールの混合量の割合
が40%以上の場合はこの方法が有効となる。図2に基
いて、第2の実施形態に係る有害塩素化合物の処理処置
200の構造を説明するが、図1と同一構造の部位につ
いては、同一符号を用い、その説明を省略する。払出し
ダンパー103を備えた灰ホッパー102、供給弁10
6を有するNaOHホッパー105、及びアルコールタ
ンク107は、図1と同一である。これら灰ホッパー1
02とアルコールタンク107に接続された混合機10
4下部は、その途中にロータリー弁208が設けられた
筒部に形成されており、該筒部は灰処理容器209に接
続されている。この灰処理容器209内の中央部には、
処理ローラ210が回動可能に支持されており、該処理
ローラ210の側部には、膜厚均一化用スクレーパ21
1が配設されている。なお、灰回収手段であるスクラバ
ー111と灰回収ホッパー112、乾燥機113、灰処
理容器209の上部に配設された低エネルギー電子線照
射装置110、ブロアー114、フィルター115は、
図1と同一構造を有している。
は、該焼却灰と混合するアルカリ性アルコール量の混合
割合を増加させることにより脱塩素性能を向上させるこ
とができる。この場合、図1で示した脱塩素処理方法で
も処理は可能だが、アルコール量の混合の割合を増加さ
せることにより、図2に示す方法でも処理が可能とな
る。具体的には、アルカリ性アルコールの混合量の割合
が40%以上の場合はこの方法が有効となる。図2に基
いて、第2の実施形態に係る有害塩素化合物の処理処置
200の構造を説明するが、図1と同一構造の部位につ
いては、同一符号を用い、その説明を省略する。払出し
ダンパー103を備えた灰ホッパー102、供給弁10
6を有するNaOHホッパー105、及びアルコールタ
ンク107は、図1と同一である。これら灰ホッパー1
02とアルコールタンク107に接続された混合機10
4下部は、その途中にロータリー弁208が設けられた
筒部に形成されており、該筒部は灰処理容器209に接
続されている。この灰処理容器209内の中央部には、
処理ローラ210が回動可能に支持されており、該処理
ローラ210の側部には、膜厚均一化用スクレーパ21
1が配設されている。なお、灰回収手段であるスクラバ
ー111と灰回収ホッパー112、乾燥機113、灰処
理容器209の上部に配設された低エネルギー電子線照
射装置110、ブロアー114、フィルター115は、
図1と同一構造を有している。
【0015】以上の構造を有する第2の実施形態に係る
有害塩素化合物の処理装置200を用いて焼却灰101
を処理する手順について説明する。まず、処理対象とな
る有害塩素化合物を含む焼却灰101を灰ホッパー10
2に投入すると、該灰ホッパー102下部の払出しダン
パー103により、所定量の焼却灰101が混合機10
4に供給される。一方、NaOHホッパー105に予め
投入したNaOHは、その所定量が供給弁106によっ
てアルコールタンク107に供給され、アルコールに添
加されてアルカリ性アルコールが生成される。このアル
カリ性アルコールが配管を介して混合機104に供給さ
れ、焼却灰101とアルカリ性アルコールが所定の割合
で混合され、混合灰123が生成される。この混合灰1
23は、ロータリー弁208によって灰処理容器209
内に投入されて収容されたのち、処理ローラ210の回
転により該処理ローラ210の表面に膜状に付着する。
次いで、膜厚均一化用スクレーパ211により混合灰1
23の厚い部分がかきとられ、電子線加速エネルギーに
対応した電子の灰中への浸透深さ(飛程)と同程度の厚
さの膜状に連続的に形成されて電子線照射部に回転して
送られる。混合灰123は、加速エネルギーが1〔Me
V〕以下の低エネルギー電子線照射装置110によって
電子線220が連続的に照射されて脱塩素化され、処理
灰124となる。この脱塩素化された処理灰124は、
スクラバー111でかきとられ、灰回収ホッパー112
に回収され、乾燥機113に供給されて乾燥された後、
排出される。また、電子線照射に伴う発熱で混合灰12
3から気化した微量なアルコール、及び電子線照射によ
り発生したオゾンは、ブロアー114を用いて回収され
フィルター115を経て大気中に排出される。さらに、
上記乾燥機113から排出される気化したアルコールは
回収され、上記アルコールタンク107に導かれて再利
用される。
有害塩素化合物の処理装置200を用いて焼却灰101
を処理する手順について説明する。まず、処理対象とな
る有害塩素化合物を含む焼却灰101を灰ホッパー10
2に投入すると、該灰ホッパー102下部の払出しダン
パー103により、所定量の焼却灰101が混合機10
4に供給される。一方、NaOHホッパー105に予め
投入したNaOHは、その所定量が供給弁106によっ
てアルコールタンク107に供給され、アルコールに添
加されてアルカリ性アルコールが生成される。このアル
カリ性アルコールが配管を介して混合機104に供給さ
れ、焼却灰101とアルカリ性アルコールが所定の割合
で混合され、混合灰123が生成される。この混合灰1
23は、ロータリー弁208によって灰処理容器209
内に投入されて収容されたのち、処理ローラ210の回
転により該処理ローラ210の表面に膜状に付着する。
次いで、膜厚均一化用スクレーパ211により混合灰1
23の厚い部分がかきとられ、電子線加速エネルギーに
対応した電子の灰中への浸透深さ(飛程)と同程度の厚
さの膜状に連続的に形成されて電子線照射部に回転して
送られる。混合灰123は、加速エネルギーが1〔Me
V〕以下の低エネルギー電子線照射装置110によって
電子線220が連続的に照射されて脱塩素化され、処理
灰124となる。この脱塩素化された処理灰124は、
スクラバー111でかきとられ、灰回収ホッパー112
に回収され、乾燥機113に供給されて乾燥された後、
排出される。また、電子線照射に伴う発熱で混合灰12
3から気化した微量なアルコール、及び電子線照射によ
り発生したオゾンは、ブロアー114を用いて回収され
フィルター115を経て大気中に排出される。さらに、
上記乾燥機113から排出される気化したアルコールは
回収され、上記アルコールタンク107に導かれて再利
用される。
【0016】この第2の実施形態においても、第1の実
施形態の場合と同様に、処理対象となる焼却灰101
は、アルカリ性アルコールと混合されて膜状に形成され
たのち、電子線照射装置110で1〔MeV〕以下の低
エネルギー電子線220を照射することにより、灰中に
含まれる有害塩素化合物であるダイオキシン類の脱塩素
反応が促進される。つまり、上記電子線照射によりダイ
オキシン類の塩素数は3以下となり、有害であったダイ
オキシン類は完全に無害化される。また、脱塩素反応に
より生じた塩素はNaと結合しNaClとなり、ダイオ
キシン類への再結合を阻止する。従来用いていた加熱脱
塩素法では、脱塩素化した塩素が再結合する可能性があ
るが、本実施形態による処理方法では、Naと結合した
塩素は再結合に寄与しないという特徴も第1実施形態と
同様である。なお、本実施の形態によれば、アルカリ性
アルコールの混合量の割合が増加することにより、脱塩
素性能が向上する。また、アルカリ性アルコールの混合
量の割合が増加することにより、電子線により生成され
た脱塩素反応に必要な活性基の拡散効果により脱塩素性
能が向上する。
施形態の場合と同様に、処理対象となる焼却灰101
は、アルカリ性アルコールと混合されて膜状に形成され
たのち、電子線照射装置110で1〔MeV〕以下の低
エネルギー電子線220を照射することにより、灰中に
含まれる有害塩素化合物であるダイオキシン類の脱塩素
反応が促進される。つまり、上記電子線照射によりダイ
オキシン類の塩素数は3以下となり、有害であったダイ
オキシン類は完全に無害化される。また、脱塩素反応に
より生じた塩素はNaと結合しNaClとなり、ダイオ
キシン類への再結合を阻止する。従来用いていた加熱脱
塩素法では、脱塩素化した塩素が再結合する可能性があ
るが、本実施形態による処理方法では、Naと結合した
塩素は再結合に寄与しないという特徴も第1実施形態と
同様である。なお、本実施の形態によれば、アルカリ性
アルコールの混合量の割合が増加することにより、脱塩
素性能が向上する。また、アルカリ性アルコールの混合
量の割合が増加することにより、電子線により生成され
た脱塩素反応に必要な活性基の拡散効果により脱塩素性
能が向上する。
【0017】以下に具体的な処理結果の一例を説明す
る。灰中のダイオキシン類の毒性等価濃度が10〔ng
/g〕であるゴミ焼却灰をアルカリ性アルコールに混合
し、電子線照射を施した。その結果、電子線の吸収線量
が44〔kGy〕でダイオキシン類を99%以上脱塩素
化でき、ダイオキシン類の毒性等価濃度が減少すること
を確認できた。
る。灰中のダイオキシン類の毒性等価濃度が10〔ng
/g〕であるゴミ焼却灰をアルカリ性アルコールに混合
し、電子線照射を施した。その結果、電子線の吸収線量
が44〔kGy〕でダイオキシン類を99%以上脱塩素
化でき、ダイオキシン類の毒性等価濃度が減少すること
を確認できた。
【0018】
【発明の効果】本発明に係る灰中の有害塩素化合物の処
理方法及びその処理装置によれば、以下に示す効果を得
ることができる。 (1) 電子線照射によるダイオキシン類の脱塩素化に要す
る電力量が、従来の加熱脱塩素法と比べて約1/4 に減少
できるため、処理コストが大幅に低減する。 (2) 常温・常圧処理が可能で、ほとんど加熱をしないた
め、有害ガス発生のおそれがなく、安全性が高い。 (3) 本発明の処理装置の大きさは、従来の加熱脱塩素法
に用いる装置に比較して約1/2 に低減することができ、
コスト削減になり、狭いスペースにでも設置することが
可能である。
理方法及びその処理装置によれば、以下に示す効果を得
ることができる。 (1) 電子線照射によるダイオキシン類の脱塩素化に要す
る電力量が、従来の加熱脱塩素法と比べて約1/4 に減少
できるため、処理コストが大幅に低減する。 (2) 常温・常圧処理が可能で、ほとんど加熱をしないた
め、有害ガス発生のおそれがなく、安全性が高い。 (3) 本発明の処理装置の大きさは、従来の加熱脱塩素法
に用いる装置に比較して約1/2 に低減することができ、
コスト削減になり、狭いスペースにでも設置することが
可能である。
【図1】第1の実施形態に係る有害塩素化合物の処理装
置を示す概略図である。
置を示す概略図である。
【図2】第2の実施形態に係る有害塩素化合物の処理装
置を示す概略図である。
置を示す概略図である。
【図3】従来の大規模焼却施設を示す概略図である。
【図4】従来の中小規模焼却施設を示す概略図である。
100,200 有害塩素化合物の処理装置 101 焼却灰 102 灰ホッパー 103 払出しダンパー 104 混合機 105 NaOHホッパー 106 供給弁 107 アルコールタンク 108 ローラ 109 ベルトコンベア 110 低エネルギー電子線照射装置 111 スクラバー 112 灰回収ホッパー 113 乾燥機 114 ブロアー 115 フィルター 120 出口 121 筒部 122 電子線照射室 123 混合灰 124 処理灰 125,220 電子線 208 ロータリー弁 209 灰処理容器 210 処理ローラー 211 膜厚均一化用スクレーパ
Claims (9)
- 【請求項1】 有害塩素化合物を含む灰をアルコールと
混合したのち、電子線を照射することによって、上記有
害塩素化合物を無害化することを特徴とする灰中の有害
塩素化合物の処理方法。 - 【請求項2】 上記アルコールとしてアルカリ性アルコ
ールを用いることを特徴とする請求項1に記載の灰中の
有害塩素化合物の処理方法。 - 【請求項3】 上記電子線として1〔MeV〕以下の低
エネルギー電子線を用いることを特徴とする請求項1又
は2に記載の灰中の有害塩素化合物の処理方法。 - 【請求項4】 上記アルコールと混合した灰を薄い膜状
に形成したのち、この灰に上記電子線を照射することを
特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の灰中の有害
塩素化合物の処理方法。 - 【請求項5】 上記灰の膜厚を、上記電子線の加速エネ
ルギーに対応した厚さとしたことを特徴とする請求項4
に記載の灰中の有害塩素化合物の処理方法。 - 【請求項6】 灰供給装置から供給される灰及びアルコ
ール供給装置から供給されるアルコールを混合する混合
機と、該混合機でアルコールと混合された灰を膜状に形
成して送り出す送出手段と、該送出手段から送り出され
る灰を搬送する搬送手段と、該搬送手段の灰に電子線を
照射する電子線照射装置と、電子線を照射した処理灰を
回収する灰回収手段とを備えたことを特徴とする灰中の
有害塩素化合物の処理装置。 - 【請求項7】 灰供給装置から供給される灰及びアルコ
ール供給装置から供給されるアルコールを混合する混合
機と、該混合機でアルコールと混合した灰を受け入れる
灰処理容器と、該灰処理容器内に回転可能に配設され、
その表面に灰を膜状に付着させて回転搬送するローラ
と、該ローラと対向して配設され、ローラ表面に付着し
た灰に電子線を照射する電子線照射装置と、このローラ
により回転搬送される処理灰を回収する灰回収手段とを
備えたことを特徴とする灰中の有害塩素化合物の処理装
置。 - 【請求項8】 請求項6に記載の搬送手段の端部、又は
請求項7に記載のローラの回転搬送端部に灰かきとり用
スクラバーを設けたことを特徴とする灰中の有害塩素化
合物の処理装置。 - 【請求項9】 上記ローラの側部に膜厚均一化用スクレ
ーパを設けることにより、該ローラの表面に付着させた
灰の膜厚を均一化したのち、この灰に電子線を照射する
ように構成したことを特徴とする請求項7に記載の灰中
の有害塩素化合物の処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10088527A JPH11277028A (ja) | 1998-04-01 | 1998-04-01 | 灰中の有害塩素化合物の処理方法及びその処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10088527A JPH11277028A (ja) | 1998-04-01 | 1998-04-01 | 灰中の有害塩素化合物の処理方法及びその処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11277028A true JPH11277028A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13945322
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10088527A Withdrawn JPH11277028A (ja) | 1998-04-01 | 1998-04-01 | 灰中の有害塩素化合物の処理方法及びその処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11277028A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011083773A (ja) * | 2010-12-08 | 2011-04-28 | Nippon Steel Engineering Co Ltd | 廃棄物ガス化溶融処理設備の集じん灰加熱装置 |
JP2017119254A (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 株式会社アーステクニカ | 焼却灰処理システムおよび方法 |
-
1998
- 1998-04-01 JP JP10088527A patent/JPH11277028A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011083773A (ja) * | 2010-12-08 | 2011-04-28 | Nippon Steel Engineering Co Ltd | 廃棄物ガス化溶融処理設備の集じん灰加熱装置 |
JP2017119254A (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 株式会社アーステクニカ | 焼却灰処理システムおよび方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050607 |