JPH11276401A - 使い捨て掃除用積層シート - Google Patents

使い捨て掃除用積層シート

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JPH11276401A
JPH11276401A JP10100694A JP10069498A JPH11276401A JP H11276401 A JPH11276401 A JP H11276401A JP 10100694 A JP10100694 A JP 10100694A JP 10069498 A JP10069498 A JP 10069498A JP H11276401 A JPH11276401 A JP H11276401A
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JP
Japan
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nonwoven fabric
laminated sheet
fineness
dust
short fibers
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JP10100694A
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English (en)
Inventor
Kunio Kaneko
邦夫 金子
Satoshi Akutsu
里志 圷
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FUKUYOO IBARAKI KK
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FUKUYOO IBARAKI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電気による塵埃や毛髪等の吸着性と嵩高に
よるこれらの保持性とを保有する製造容易な使い捨て掃
除用積層シートの提供。 【解決手段】 ポリエチレンフイルム1の両面に繊度が
0.9〜2.5drのポリエステル短繊維で絡合した不
織布2を熱融着して積層シートに構成する。この積層シ
ートを構成する不織布の次式で示す嵩高値Fを7〜20
とする。 F=ρf(t−tF)×104/Wf F :積層シートを構成する不織布の嵩高値[−] ρf :短繊維の平均密度[g/cm3] t :積層シートの厚さ[cm] tF :積層ポリオレフィンフィルムの厚さ[cm] Wf :不織布の坪量[g/m2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は家庭用や業務用の使
い捨て掃除用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より掃除用シート又はこれに関連す
る用具としては、繊維素材の布屑で作った雑巾やモップ
類、シート状織布あるいは不織布などをそのまま利用し
たもの、又はこれらに含水させたもの、あるいは油状物
質を含浸させたもの等が広く用いられている。
【0003】一方、使い捨て掃除用シートとしては、長
方形の金属基板の表面に操作棒を取り付け、下面にスポ
ンジなどの弾性体を取り付けた床面掃除用具の付属品と
して用いるものがある。この使い捨て掃除用シートは、
上記金属基板の弾性体の下面を掛け布のようにして覆
い、覆った面を床面に当接させた上で、前記操作棒を操
作して床面を拭い、前後左右に移動する際に床面のダス
トや塵埃を拭き取る如く使用するものである。
【0004】また、上記のような使い捨て掃除用シート
は、床面を擦ることによってその表面にある程度以上床
面の汚れが付着すれば取り外して、必要に応じて裏面を
使用し、裏面にもある程度以上に汚れが付着すればそれ
自体をごみとして処分し、新しいものと交換して使用す
るものである。
【0005】このような床面掃除用シートとしては、熱
収縮性の網状シートに繊維ウエブを積層した後、該繊維
ウエブの構成繊維と網状シート若しくは該繊維ウエブの
構成繊維同士を絡合させ、該繊維ウエブが不織布状の繊
維集合体となるのと同時に網状シートとの一体化がなさ
れた後、加熱して該網状シートを熱収縮させ不織布状の
繊維集合体部分全体に旦って凹凸形状を付与し、これに
薬剤を含浸させてダストの吸着能や保持能を改良したも
の(特開平5−192285号公報)や、網状シートに
繊維ウエブの繊維絡合で形成された不織布状の繊維集合
体が、その構成繊維間の絡合と共に該網状シートに対し
ても絡合状態で一体化されたシートとし破断強度と伸度
及び交絡係数とを特定して、強度とダストの捕集性能を
改良したもの(特開平7−184815号公報)及び熱
捲縮性疎水性繊維と非熱捲縮性親水性繊維からなるウエ
ブを積層して水流絡合により繊維の密度分布にむらのあ
る不織布を形成し、これを加熱処理して熱捲縮性繊維を
捲縮し凹凸を付与した柔軟で汚れを掻きとる作用を保持
したワイパーとする(特開平8−60509号公報)も
の等がある。
【0006】なお使い捨て掃除用シートではないが、床
用掃除機の中には静電気を利用したものがある。この種
の床用掃除機としては、コロナ放電を生起する導電性ブ
ラシを床面で回転させ、塵埃に帯電させて集塵するよう
にしたもの(特開平3−45229号公報)や、絶縁壁
の内面に可動ブラシ材を回転摺動させ絶縁壁の外面に静
電気を発生させその外壁が集塵効果を発揮するもの(特
開平7−16193号公報)等が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】現在、市販され又は提
案されている掃除用シートには、不織布の特性である雑
巾のようなワイプ性の布に油状物質や水などを含浸又は
担持させて使用するものが多い。例えば、前記特開平5
−192285号公報に示したように、油状物質を含浸
させたものでは、手で触れるとべとつき感があり、被清
掃面が畳である場合には畳に油状物質が付着して、しみ
や色変わりを起こして好ましくなかったり、また被清掃
面が床である場合には滑り易くなる等の問題が生じてい
る。また、水を含浸させたものでは、旧来の雑巾掛けと
同じように乾いた床に好ましくなかったり、塵埃を付着
した水が汚れてくるとその汚れが床面に移行して、新た
な汚れとなる等の問題が生じている。
【0008】また、前記特開平7−184815号公報
や特開平8−60509号公報に示されているように、
塵埃やダスト等の捕集性や吸着性の検討は種々なされて
いるが、捕集したものの保持性についての検討は十分に
なされていない。
【0009】一方、静電気については、既述のように、
床用掃除機の本体に応用したものは提案されているが、
掃除用シートに応用したものは認められない。
【0010】本発明は、以上の従来例の不都合を解消
し、静電気による塵埃や毛髪の吸着性と嵩高によるこれ
らの保持性とを保有するポリオレフインフイルムと不織
布から構成する製造が容易な使い捨て掃除用積層シート
を提供することを解決の課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1(請求項
1対応)に、使い捨て掃除用積層シートを、ポリオレフ
インフイルムの両面又は片面に繊度が0.9〜2.5d
rである帯電性の短繊維で絡合してなる不織布を熱融着
した積層シートであって、熱融着した上記不織布の嵩高
値が7〜20である積層シートに構成したこと、第2
(請求項2対応)に、使い捨て掃除用積層シートを、ポ
リオレフインフイルムの両面又は片面に繊度が0.9〜
2.5drである帯電性の短繊維を95〜70重量%、
繊度が2.5〜6drである帯電性の短繊維を5〜30
重量%の比率で絡合した不織布を熱融着してなる積層シ
ートであって、熱融着した上記不織布の嵩高値が7〜2
0である積層シートに構成したこと、第3(請求項3対
応)に、使い捨て掃除用積層シートを、ポリオレフイン
フイルムの両面又は片面に繊度が0.9〜2.5drで
ある帯電性の短繊維を95〜70重量%、繊度が0.5
〜0.9drである帯電性の短繊維を5〜30重量%の
比率で絡合した不織布を熱融着してなる積層シートであ
って、熱融着した上記不織布の嵩高値が7〜20である
積層シートに構成したことを要旨とするものである。
【0012】前記第1の発明によれば、ポリオレフイン
フイルムに帯電性の短繊維を絡合した不織布を熱融着し
たものであるので、まず不織布それ自体の摩擦帯電圧
(測定方法は後述する、織物及び編み物の帯電性試験方
法(JIS L 1094)の摩擦帯電圧測定法(B
法))が、例えば、4000V以上となり、そのため被
清掃面に対してふき取り動作をすると、その動作でそれ
自体が帯電し、これにより、該不織布は極めて良好に塵
埃や毛髪を吸引付着させる捕集性に優れたものとなる。
また、積層シートの構成に、拭き取り作業時に接触する
ことのある背後の物品又は人体等との電気絶縁性を確保
するポリオレフインフイルムを採用したので、電気伝導
度の高い部材からなる床面掃除用具等の器具を利用して
被清掃面の拭き取り作業を行った場合等であっても、そ
の際に、床面等との摩擦によって帯電した静電気を該器
具を通じて逃がして捕集能力を失うような問題はない。
更に、積層シートは、これを構成する不織布を前記のよ
うな適切な嵩高値としたので捕集した塵埃や毛髪等を保
持するのに充分な広さの空間であって、毛髪等が繊維に
絡むためのチャンスを失わない程度の広さの空間を有す
ることとなり、それ故、毛髪等の保持性に優れたものと
なる。また片面のみに不織布を積層した積層シートの場
合には裏面をポリオレフインフイルムによって遮蔽した
ので、塵埃などの汚れが裏面にセットした器具等に移行
せず衛生的となる。
【0013】前記第2の発明によれば、掃除用積層シー
トに於ける不織布を構成する短繊維の一部を、繊度に於
いて前記第1の発明(請求項1)のそれより太いものに
置き換えて絡合したので、一層、嵩高となってサイズの
大きい塵埃や毛髪の捕集性とこれらの保持性に優れたも
のとなる。また、床面との滑り性も良くなる。
【0014】前記第3の発明によれば、掃除用積層シー
トに於ける不織布を構成する短繊維の一部を、繊度に於
いて前記第1の発明(請求項1)のそれより細いものに
置き換えて絡合したので、サイズの小さい塵埃や毛髪の
捕集性とこれらの保持性に優れたものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を詳細に
説明する。図1は本発明の使い捨て掃除用積層シートの
1実施形態の縦断側面図、図2は市販の床面掃除用具の
金属基板に装着したスポンジ部に使い捨て掃除用積層シ
ートを掛け布として掛けた状態の概略斜視図、図3は図
2のA−A線切断部断面図である。
【0016】前記第1の発明(請求項1に対応する発
明)の実施の形態について説明すると、これは、図1に
示すように、基材とするポリオレフインフイルム1の両
面又は片面に繊度が0.9〜2.5drである帯電性の
短繊維を絡合した不織布2を熱融着してなる積層シート
であって、熱融着した上記不織布2の嵩高値が7〜20
を保持し得る積層シートに構成した使い捨て掃除用積層
シートである。
【0017】この使い捨て掃除用積層シートは不織布2
側の面が掃除面として使用されるものであり、これが床
面と接する面である。従ってポリオレフインフイルム1
の片面のみに不織布2を熱融着したものでは、当然、不
織布2面が一面にしかないので、その一面のみが掃除面
として使用されるものである。この使い捨て掃除用積層
シートは、種々の使用の仕方が可能であり、例えば、手
作業で被清掃対象を拭く場合に使用するのも不都合では
ないが、図2に示すような市販の床面掃除用具3を使用
して床面清掃用に使用するのに好適である。この場合
は、床面掃除用具3の金属基板5に装着したスポンジ部
6に該積層シートを掛け布7として取り付け、該基板5
の掛け布7を掛けた下面側を床面に当接させ、操作棒4
を掴んで、床面上を往復させて清掃するものである。
【0018】この使い捨て掃除用積層シートは、前記の
ように、不織布2にポリオレフインフィルム1を熱融着
したものであるので、掃除の際にこの積層シートの不織
布面と被清掃対象面との摩擦で生起した静電気は、該ポ
リオレフィンフィルムによりその背後に接していること
のある前記床面掃除用具3の金属基板5等から絶縁され
ることとなり、これが無用に除電されることはないし、
掃除の際に吸着した塵埃や汚れも該ポリオレフィンフィ
ルムにより遮断され、不織布から裏面に浸透するのが防
止できて、衛生的である。例えば、ポリオレフインフイ
ルム1を積層せずに不織布2を単体で使用した場合に
は、一旦、摩擦によって静電気が発生しても前記のよう
な床面掃除用具3を構成する金属基板5その他の導電性
部材によって直ちにこれが除去されてしまい不都合であ
る。
【0019】ポリオレフインフイルム1には体積固有抵
抗率が1013Ωcm以上のポリエチレン、ポリプロピレン
などの単独又は共重合体乃至混合物(積層物を含む)か
らなる厚さ0.05mm以下、好ましくは0.03〜0.
015mm程度の孔などの空いていない連続したフイルム
を用いるものとする。なお、共重合体とはポリオレフイ
ンを主成分とし、これと、例えば、酢酸ビニル又はアク
リル酸エステル等とで共重合したものをいう。
【0020】ポリオレフインフイルム1として好ましい
ものは、積層シートとする際の加工適性や経済性から選
定すると低密度ポリエチレンフイルムが最適である。ま
た、ポリオレフインフイルム1の他にも体積固有抵抗率
が大きいフイルムとしてはポリエステルフイルムやフッ
素系フイルム等もあるが、熱融着加工性や経済性に於い
てポリオレフインフイルム1より劣るので好ましくな
い。
【0021】更に、ポリオレフインフイルム1には添加
剤として帯電防止剤や電気的良導体を含むものがある
が、これらは本発明の目的とする作用効果とは逆の働き
をするものであって好ましくない。
【0022】一方、短繊維を絡合した不織布2は、帯電
性の素材で構成することが重要であって、摩擦帯電圧が
約4000V以上を有するものを用いるのが適当であ
る。ここで摩擦帯電圧とは織物及び編み物の帯電性試験
方法(JIS L 1094)の摩擦帯電圧測定法(B
法)により試料を木綿摩擦布によって摩擦し、発生した
摩擦帯電圧の摩擦開始から1分後の帯電圧を指すもので
ある。摩擦帯電圧の値は、同一測定対象であっても、環
境や測定条件によってばらつきが出ることが多いが、塵
埃や毛髪等に対する吸着能力が充分であるか否かの観点
から、これに優れたということができる約4000V以
上であれば帯電性が良好であり、約1000V以下であ
れば帯電性が不良であるという考え方でとらえた。
【0023】従って不織布2を構成する短繊維の素材と
しては、帯電性の良好なナイロン、ポリエステル、アク
リル等の単体又はこれらの併用が好適である。これに対
してレーヨン、パルプなど親水性の高いもの、あるいは
静電気が発生しないように加工されたポリエステル等は
少量でも使用すると、摩擦帯電圧が2000V以下の値
を示すようになって好ましくない。また、短繊維には酸
化チタンや油剤あるいはその他の添加剤等が含まれてい
ることがあり、これらは摩擦帯電圧の低下をきたすこと
があるので短繊維の選択には注意を要する。
【0024】また、短繊維の繊度は0.9〜2.5dr
の範囲にあることが好ましく、この範囲とすることによ
って、不織布とした時に普通サイズの塵埃や毛髪等との
絡み合いやこれらの抱き込み等の捕集性が良好になる。
加えて表面が適切な粗さとなって床面との滑り性も良く
なる。これに対して短繊維の繊度が0.9dr未満の短
繊維だけで絡合した不織布では、繊度が細いために嵩高
値が小さくなって、普通サイズの塵埃や毛髪等との絡み
合いやこれらの抱き込み等の捕集性が劣り、かつ表面の
必要な粗さが減少して床面との滑り性も悪くなる。逆
に、2.5drを越える短繊維だけで絡合した不織布で
も、繊度が大きいために普通サイズの塵埃や毛髪等との
絡み合いやこれらの抱き込み等の捕集性が劣るようにな
る。しかし、この場合は不織布の表面が粗になって床面
との滑り性は一層良くなる傾向がある。
【0025】従ってサイズの小さ目の塵埃や毛髪等を処
理する時に用いる使い捨て掃除用積層シートには、繊度
が0.9〜2.5drの短繊維の一部を0.5〜0.9
drの短繊維に置き換えてこれを作成することで、普通
サイズの塵埃や毛髪等に加えて、これらより小さなサイ
ズのそれをも併せて確実に捕集しかつ保持することがで
きるようになる。逆にサイズの大き目の塵埃や毛髪等を
処理する時に用いる使い捨て掃除用積層シートには、繊
度が0.9〜2.5drの短繊維の一部を2.5〜6d
rの短繊維に置き換えてこれを作成することで、普通サ
イズの塵埃や毛髪等に加えて、これらより大きなサイズ
のそれをも併せて確実に捕集しかつ保持することができ
るようになる。したがって捕集対象の塵埃等のサイズに
応じて一部の短繊維を繊度の異なる短繊維で置き換える
ことが望ましい。なお置き換える一部の短繊維の割合
は、全体の5〜30重量%が適当である。
【0026】更に、短繊維の長さとしては、10〜10
0mm程度のものが好適で、特に30〜70mmのものが好
ましい。繊維ウエブを形成するカード機の生産効率の点
からこれが好ましい。
【0027】次に短繊維を絡合した不織布2を得る方法
を説明すると、帯電性の繊維としてナイロン、ポリエス
テル、アクリル等の短繊維を主要構成材料として用い、
これに必要に応じて熱融着繊維としてポリエチレンとポ
リプロピレン、ポリエチレンとポリエステル等の芯鞘型
又はサイドバイサイド型短繊維等を混合してカード法又
はエアレイ法等により繊維ウエブを形成し、小孔からの
水圧流やニードルパンチ等によって短繊維同士を絡ま
せ、絡合一体化し、必要により熱処理を行うことで、高
帯電性の短繊維を絡合した不織布2が得られる。
【0028】更にポリオレフインフイルム1と不織布2
とを熱融着して積層シートとするには、ポリオレフイン
フイルム1の押し出し成形時に該ポリオレフインフイル
ム1の成形面に不織布2を押しつけ、該フイルム製造時
の熱を利用して熱融着する押し出しラミネート法や、ポ
リオレフインフイルム1と不織布2とを重ね合わせて加
熱溶融するインパルスシール法等が採用できる。
【0029】なお前記押し出しラミネート法は、生産工
程は単純であるが、押し出し成形のために熱溶融したポ
リオレフイン樹脂と不織布2とを接触させて同時に冷却
ロールで押圧処理するため、不織布2が冷却ロールに押
さえつけられ、積層シートとした時の嵩高性が低下する
傾向がある。一方インパルスシール法はポリオレフイン
フイルム1と不織布2の熱融着面をシートの全面でな
く、千鳥状あるいは散点状等に部分に対して行うことが
容易にできるので、積層シートの嵩高性を保持できる長
所がある。しかして積層シートの製造には、これらを考
慮して、場合に応じて、その製法を選択すべきである。
【0030】次に積層シートを構成する不織布の嵩高性
について説明する。掃除用積層シートは、その能力とし
て、塵埃や毛髪等を静電気の吸着力や短繊維の絡み合い
性で捕集する捕集性能だけでなく、捕集した塵埃や毛髪
を保持する保持性能が必要であり、この能力はこれを構
成する不織布が担当しているものである。この保持性能
は、発明者の経験上、捕集性能と密接に関係しているも
のと推定されるが、特に、保持性能には、捕集した塵埃
や毛髪等を受け入れ保持するための空間の有無及びその
大小が関与していると推定される。それ故、掃除用積層
シートの保持性能を左右すると推定される空間の割合を
示す尺度として、不織布の一つの特性として使用されて
いる嵩高値に着目して塵埃や毛髪等の保持性能を検討
し、後述する結論を得た。なお保持性能は対象の掃除用
積層シートで床面を繰り返し擦って最大捕集量を目安と
して検討したものである。
【0031】一般的に、不織布の嵩高値Ffは、不織布
の見かけ密度をρt、不織布を構成する繊維の密度を
ρf、不織布の坪量をWf、不織布の厚さをttとすれば
次式で示される。 Ff=ρf/ρt=ρf×tt×104/Wff :不織布の嵩高値[−] ρf :繊維の平均密度[g/cm3] ρt :不織布の見かけ密度[g/cm3] tt :不織布の厚さ[cm] Wf :不織布の坪量[g/m2] しかして一定体積の不織布中に空間が半分を占めている
とすれば、ρt=1/2ρfとなり、不織布の嵩高値Ff
=2である。一般に嵩高値Ffが2以上であれば嵩高な
不織布であると言われている。
【0032】本発明の使い捨て掃除用積層シートに於い
ても、これを構成する不織布の嵩高値Fを、上記と全く
同様に示すことができるが、本発明の使い捨て掃除用積
層シートは、不織布単体ではなく、これにポリオレフィ
ンフィルムを積層したものであるから、これを考慮し
て、次のように表すこともできる。 F=ρf(t−tF)×104/Wf F :積層シートを構成する不織布の嵩高値[−] ρf :短繊維の平均密度[g/cm3] t :積層シートの厚さ[cm] tF :積層ポリオレフィンフィルムの厚さ[cm] Wf :不織布の坪量[g/m2
【0033】条件をいろいろ変えて種々の積層シートを
試作し、これを構成する不織布の嵩高値Fと関連づけて
性能を評価した結果、それらの不織布の嵩高値Fには、
塵埃や毛髪等の保持性能を最適にする範囲があることを
見出し、その値の範囲が7〜20であることを確認し
た。このような結果から、積層シートを構成する不織布
の嵩高値Fは、その値が7以上となった場合に初めて塵
埃や毛髪等を保持する充分な空間を備えたこととなり、
それ故、充分な保持性能を有し得、他方、その値が20
を越える程に大きくなった場合にはその有する空間が大
きくなり過ぎ、塵埃や毛髪等が繊維に絡むチャンスを低
下させることとなるため、保持性能が不充分になると推
定される。即ち、嵩高値Fが7〜20の間の場合に、不
織布は、初めて塵埃や毛髪等を保持する充分な空間であ
って、それらの毛髪等が繊維に絡む充分なチャンスを有
する空間を備えたこととなるため、充分な保持性能を有
することとなるものである。
【0034】なおニードルパンチ法で絡合一体化した不
織布は嵩高値Fが20以上となりがちであり、このよう
に嵩高値Fが20を越えた場合は、不織布の機械的強度
が低下して短繊維が抜け易くなる等の不都合が生じるこ
とも併せて確認された。
【0035】このようにして得られた本発明の使い捨て
掃除用積層シートは、そのままでは帯電していないが、
摩擦すると4000V以上の摩擦帯電圧に容易に帯電
し、一旦帯電すると、アースする等の特別の処理を加え
なければ、これはなかなか失われない。従ってこの積層
シートを乾いた木製の床面等を拭くようにして擦れば、
この動作のみで容易に摩擦帯電し、この静電気の吸着力
によって塵埃や毛髪等を吸着し、かつこれらを確実に保
持することができる。それ故、前記したような床面掃除
用具の掛け布として好適である。
【0036】次に前記第2の発明(請求項2に対応する
発明)の実施の形態について説明すると、これはポリオ
レフインフイルム1の両面又は片面に繊度が0.9〜
2.5drである帯電性の短繊維を95〜70重量%、
繊度が2.5〜6drである帯電性の短繊維を5〜30
重量%の比率で絡合した不織布を熱融着してなる積層シ
ートであって、熱融着した上記不織布の嵩高値Fが7〜
20である積層シートに構成したものである。即ち、不
織布の短繊維の一部を前記第1の発明(請求項1の発
明)のそれより太い2.5〜6drの短繊維に置き換え
て絡合したので、構成される不織布がより嵩高となり易
く、それ故、サイズの大きい塵埃や毛髪等の絡み合いに
よる捕集性や捕集した毛髪等の保持性が著しく改善され
たものとなる。また不織布の表面が一層粗になり、床面
との滑り性も改善されたものとなる。
【0037】なお繊度が2.5〜6drの短繊維の混合
割合を30重量%を越える程に増やすと繊度の粗さの影
響が強くなって、細かな塵埃や毛髪等の絡み合い等の捕
集性が低下する傾向が強く現れ、5重量%未満では混合
した効果、即ち、嵩高性の確保し易さや、サイズの大き
な塵埃や毛髪等の捕集性の向上が認められない。従って
繊度が2.5〜6drの短繊維の混合割合は5〜30重
量%の範囲であるのが目的に対応する塵埃や毛髪の絡み
合い性や保持性の向上のために好ましく、特に10〜2
5重量%の範囲であるのがその点の一層の向上のために
適当である。
【0038】具体例で示すと、短繊維がポリエステル1
00%の不織布であって、繊度が1.2drの短繊維と
5drの短繊維とを、前者が80重量%、後者が20重
量%の混合割合で混合して作成した不織布を積層してな
る積層シートは、通常サイズの塵埃や毛髪等に加えて、
若干サイズの大きなそれらを捕集し又は保持する捕集性
や保持性に優れたものとなる。また、繊度が2.1dr
のポリエステル短繊維を60重量%、繊度が5drのア
クリル短繊維を20重量%、繊度が2.5drのポリエ
チレン樹脂を鞘にしたポリエステル繊維を20重量%の
混合割合で混合して不織布を製造し、これをポリオレフ
ィンフィルム1に積層すると、通常サイズから若干大き
な塵埃や毛髪等までの捕集性や保持性に優れたものとな
るとともに、帯電性に優れた積層シートが得られる。ま
たこのような熱融着性繊維を混合することによって、不
織布の一つの欠点である短繊維の絡み強度が低く繊維が
脱落し易く、それ故、機械的強度が低い等の欠点を解消
することができる。
【0039】次に前記第3の発明(請求項3に対応する
発明)の実施の形態について説明すると、これはポリオ
レフインフイルム1の両面又は片面に繊度が0.9〜
2.5drである帯電性の短繊維を95〜70重量%、
繊度が0.5〜0.9drである帯電性の短繊維を5〜
30重量%の比率で絡合した不織布を熱融着した積層シ
ートであって、熱融着した上記不織布の嵩高値Fが7〜
20である積層シートに構成したものである。即ち、不
織布の短繊維の一部を前記第1の発明(請求項1に対応
する発明)のそれより細かい0.5〜0.9drの短繊
維に置き換えて絡合したものであり、特にサイズの小さ
い塵埃や毛髪等の絡み合い性や保持性が改善されたもの
となる。
【0040】なお繊度が0.5〜0.9drの短繊維の
混合割合を30重量%以上に増やすと繊度の細かさの影
響が強くなって、積層シートの嵩高性はより小さくな
り、塵埃や毛髪等の絡み合い性や保持性が劣るようにな
り、加えて不織布の表面の粗さが減少するため床面との
滑り性も悪くなる。また5重量%以下では混合した効
果、即ち、特にサイズの小さい塵埃や毛髪等の絡み合い
性や保持性の改善効果が認められない。従ってこの場合
も繊度が0.5〜0.9drの短繊維の混合割合は5〜
30重量%が好ましく、特に10〜25重量%の範囲で
あるのが目的に対応した塵埃や毛髪等の絡み合い性や保
持性の向上に役立ち、好都合である。
【0041】
【実施例】次に実施例によって本発明を具体的に説明す
るが、これは本発明の効果を説明するためのもので、こ
れによって本発明が限定されるものではない。
【0042】<実施例1>ポリエステル短繊維(繊度
2.1dr、長さ51mm)のみを使用して2台のカード
機にて坪量10g/m2のウエブ4層を作成し、これらを積
層して水流絡合処理し、次いで乾燥して坪量40g/m2
不織布を作成してロール状に巻き取った。一方で押出機
を用いて、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)をT−
ダイから0.015mmの厚さの溶融ポリエチレンフイル
ムに押出成形し、このポリエチレンフィルムを平滑な面
を持った冷却ロールで前記坪量40g/m2の一枚の不織布
と積層した。このとき冷却ロールの反対側はニップロー
ルで押さえて押出しラミネートしたものである。この一
連の操作によってポリエチレンフイルムの片面に不織布
を積層した実施例1の使い捨て掃除用積層シートを得
た。
【0043】<実施例2>実施例1と同様な操作によっ
てポリエチレンフイルムの両面に不織布を積層して実施
例2の使い捨て掃除用積層シートを得た。
【0044】<実施例3>ポリエステル短繊維(繊度
2.1dr、長さ51mm)、アクリル短繊維(繊度5d
r、長さ64mm)及びポリエステル繊維を芯にポリエチ
レンを鞘としたバインダー短繊維(繊度2.5dr、長
さ51mm)を6:2:2の重量比率で混合し、2台カー
ド機を用いて坪量15g/m2のウエブ4層を作成し、これ
らを積層して、順次、水流絡合処理、乾燥処理、熱処理
を行い、坪量60g/m2の不織布を作成してロール状に巻
き取った。この不織布を、これと同じ幅のポリプロピレ
ンフイルムに直鎖状低密度ポリエチレンフイルム(L−
LDPE)をラミネートしたフイルム(厚さ20μ)に
重ね合わせた後に、インパルスシール装置を用いて、上
記ラミネートしたフィルムの直鎖状低密度ポリエチレン
フイルム側の面と上記不織布とを部分的に熱融着した。
熱融着接合パターンは20mmピッチの格子状に行い実施
例3の使い捨て掃除用積層シートを得た。
【0045】<実施例4>ポリエステル短繊維(繊度
1.2dr、長さ51mm)、アクリル短繊維(繊度0.
7dr、長さ31mm)及びポリエステル繊維を芯にポリ
エチレンを鞘としたバインダー短繊維(繊度2.5d
r、長さ51mm)をそれぞれ6:2:2の重量比率で混
合し、坪量60g/m2の不織布を作成し、その他は実施例
3と同様にして実施例4の使い捨て掃除用積層シートを
得た。
【0046】<比較例1>ポリエステル短繊維(繊度
2.1dr、長さ51mm)のみを使用して2台のカード
機にて坪量10g/m2のウエブ4層を作成し、これらを積
層して水流絡合処理し、次いで乾燥して得た坪量40g/
m2の不織布、即ち、実施例1でポリエチレンフイルムを
積層する前のポリエステル不織布を比較例1の使い捨て
掃除用シートとした。
【0047】<比較例2>ポリエステル短繊維(繊度
2.1dr、長さ51mm)とレーヨン短繊維(繊度1.
5dr、長さ41mm)とを7:3の重量比率で混合し、
2台のカード機を用いて坪量10g/m2の繊維ウエブ4層
を作成し、これらを積層して水流絡合処理し、次いで乾
燥して40g/m2の不織布を作成してロール状に巻き取っ
た。この後は、実施例1と同様の処理を経て比較例2の
使い捨て掃除用積層シートを得た。
【0048】<比較例3>ポリエステル短繊維(繊度
5.1dr、長さ51mm)とポリエステル短繊維(繊度
2.1dr、長さ51mm)とを4:6の重量比率で混合
し、2台のカード機を用いて坪量10g/m2のウエブ4層
を作成し、これを積層して水流絡合処理し、次いで乾燥
し、坪量40g/m2のポリエステル不織布を作成してロー
ル状に巻き取った。この後は、実施例1と同様の処理を
経て比較例3の使い捨て掃除用積層シートを得た。
【0049】<比較例4>ポリエステル短繊維(繊度
1.2dr、長さ51mm)、アクリル短繊維(繊度0.
7dr、長さ31mm)及びポリエステル繊維を芯にポリ
エチレンを鞘としたバインダー短繊維(繊度2.5d
r、長さ51mm)を用い、その混合比率を、4:4:2
の重量比率にした以外は、実施例3と同様にして比較例
4の使い捨て掃除用積層シートを得た。
【0050】<比較例5>ニードルパンチで製造した坪
量80g/m2の他社製のポリプロピレン/ポリエステル不
織布と実施例3で使用したポリプロピレンフイルムに直
鎖状低密度ポリエチレンフイルム(L−LDPE)をラ
ミネートしたフイルム(厚さ20μm)とを重ね合わせ
た後に、インパルスシール装置を用いて、該ラミネート
したフィルムの直鎖状低密度ポリエチレンフイルム側の
面と不織布とを部分的に熱融着した。熱融着の接合パタ
ーンは20mmピッチ格子状に行い比較例5の使い捨て掃
除用積層シートを得た。
【0051】実施例1〜4及び比較例1〜5で得た各シ
ートを試験試料として、各々につき、次に示す各測定項
目を対応して示した測定方法によって測定し、その結果
を表1〜表3にまとめた。
【0052】<測定項目及び測定方法> 摩擦帯電圧:JIS L 1094 B法に準ずる。摩擦
布を綿布とし、温度20℃、相対湿度40%で、摩擦開
始から60秒後の帯電圧(V)を測定した。これにより
帯電性が良好な不織布又は積層シートであるかどうかが
判定できる。 静電電位:市販の静電気測定器(春日電機製電位測定器
KSD−102型)を用いて帯電物体との水平距離を1
0cmにした時の静電電位を読み取る。これは塵埃や毛髪
の静電気による吸着性能を計る目安とした。この測定は
測定精度に若干ばらつきがあるが、簡便に測定できるも
のである。
【0053】不織布の嵩高値:F=ρf(t−tF)×1
4/Wfに於いて、 積層シートの厚さt:当該試料を10枚重ねて積層した
ものをダイアルゲージを用いて表面より3g/m2の荷重を
かけて厚さを測定し、その1/10の値を厚さ(mm)と
した。 不織布の坪量Wf:当該試料の面積当たりの重量で、一
定面積の試料を10枚重ねて重さを測定し、単位をg/m2
に換算して坪量とした。
【0054】塵埃の捕集性:塵埃として関東ローム細粒
からなる試験用ダスト7種(粉体工業技術協会)を用い
て、該試験用ダスト1gを試験用フローリング(幅3
0.5cm、長さ92cmの平滑な合板、以下同じ)床面に
散布し、市販の床面掃除用具の金属基板に装着したスポ
ンジ部(25×20cm)に各試料(30×20cmに断
裁)を掛け布として取り付け、該基板を一定速度一定荷
重でダストを散布した床面上を2往復させて、掛け布に
付着したダストの重さを測定した。各試料のダストの捕
捉割合より次の基準で評価した。 (基準) ○:60%以上捕捉 △:59〜40%捕捉
×:39%以下捕捉
【0055】毛髪の捕集性:人間の頭毛髪を長さ10cm
に切ったもの10本を試験用フローリング床面に散布
し、市販の床面掃除用具の金属基板に装着したスポンジ
部(25×20cm)に各試料(30×20cmに断裁)を
掛け布として掛け、その基板を一定速度一定荷重で毛髪
を散布した床面上を2往復させて、掛け布に捕集された
毛髪数を数えた。各試料の毛髪の捕捉数より次の基準で
評価した。 (基準) ○:8本以上捕捉 △:7〜5本捕捉
×:4本以下捕捉
【0056】塵埃の保持性:塵埃の捕捉可能限界量を調
べるために、塵埃として関東ローム細粒からなる試験用
ダスト7種(粉体工業技術協会)を用い、該試験用ダス
ト2gを試験用フローリング床面に散布し、市販の床面
掃除用具の金属基板に装着したスポンジ部(25×20
cm)に各試料(30×20cmに断裁)を掛け布として掛
け、その基板を一定速度一定荷重でダストを散布した床
面上を5往復させ、これによって掛け布に付着したダス
トの重さを測定した。各試料のダストの捕捉割合より次
の基準で評価した。 (基準) ○:60%以上捕捉 △:59〜40%捕捉
×:39%以下捕捉
【0057】滑り性:市販の床面掃除用具の金属基板に
装着したスポンジ部(25×20cm)に各試料(30×
20cmに断裁)を掛け布として掛け、基板上の操作棒を
持って床面を擦る感触で操作して床面の滑り性を評価し
た。各試料の床面の滑り性は次の基準で評価した。 (基準) ○:滑らかに滑る ×:明らかに抵抗を感じ
る △:その中間
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】表3に示したように、実施例1〜4の試料
の測定結果と評価はいずれの項目に於ても良好なそれを
提示するものである。積層シートを構成する不織布の嵩
高値の観点から見ると、その値が8.0〜15.8であ
る実施例1〜4では塵埃及び毛髪の捕集性並びに塵埃の
保持性に於て良好な結果を得ており、それを下回る5.
8の値を示す比較例4では塵埃の捕集性及び保持性のい
ずれも不充分である。またその値が20を越える21.
2を示す比較例3及びその値が32.4を示す比較例5
も塵埃の捕集性及び保持性のいずれでも充分ではない。
比較例3は更に毛髪の捕集性も不充分である。なお不織
布の嵩高値の小さな比較例4と極めて大きな比較例5と
が毛髪の捕集性では良好な結果を得ているが、これは、
観察の結果から見て、嵩高値の作用というより、良好な
摩擦帯電性の結果であり、帯電した静電気の吸着力よる
ものと考えられる。しかして積層シートを構成する不織
布の嵩高値の観点から見て、その値が7〜20の範囲で
あって初めて、サイズの大小を問わず、塵埃及び毛髪の
捕集性並びに塵埃の保持性に於て良好な結果を得ること
ができるものである。
【0062】ポリオレフィンフィルムの有無の観点から
見ると、実施例1と比較例1とを比較すると、その違い
が良く理解できる。実施例1は、既述のように、ポリエ
チレンフイルムの片面にポリエステル不織布を積層した
ものであるのに対し、比較例1は、該実施例1に於て構
成要素となっているポリエステル不織布のみからなる
(ポリエチレンフイルムを積層する前のポリエステル不
織布)ものである。
【0063】表1に示すように、実施例1の積層シート
の摩擦帯電圧は5500Vであり、比較例1の不織布の
摩擦帯電圧は5000Vである。その差の500Vは実
施例1が不織布にポリエチレンフィルムを積層したもの
であるためであると理解できる。そこで、塵埃及び毛髪
の捕集性を比較してみると、表3に示すように、実施例
1は優れた結果を示しているが、比較例1は不充分な結
果しか示していない。比較例1も静電気の吸着力の観点
からは、充分な塵埃や毛髪の捕集性を有する筈であるに
もかかわらず、このような結果になっているのは、不織
布にポリオレフィンフィルムが積層していないためと理
解できる。即ち、測定のために行った清掃作業中に、不
織布に帯電していた静電気が、床面掃除用具を通じて除
電されてしまったため塵埃や毛髪に対する吸着力を失っ
たと理解できる。
【0064】不織布を構成する短繊維の繊度の観点から
見ると、表2及び表3に示すように、繊度が2.1dr
のポリエステル短繊維のみで構成した実施例1の積層シ
ートに於ける不織布の嵩高値が12.1であるのに対し
て、ポリエステル短繊維(繊度2.1dr)、ポリエス
テル繊維を芯にポリエチレンを鞘としたバインダー短繊
維(繊度2.5dr)及びアクリル短繊維(繊度5d
r)を6:2:2の重量比率で混合して構成した実施例
3の積層シートに於ける不織布の嵩高値は15.8であ
る。即ち、実施例3の不織布は繊度2.1drの短繊維
及び繊度2.5drの短繊維に、繊度5drの短繊維を
20%加えることで、不織布に容易に高い嵩高値を得て
いるものである。
【0065】また、表2及び表3に示すように、ポリエ
ステル短繊維(繊度5.1dr)とポリエステル短繊維
(繊度2.1dr)とを4:6の重量比率で混合して構
成した比較例3の積層シートに於ける不織布の嵩高値は
21.2である。この比較例3では、繊度の太い(5.
1dr)のポリエステル短繊維の割合が大き過ぎる(4
0%)ために得られた不織布の嵩高値が20を越えたも
のと思われ、かつそのために、表3に示すように、塵埃
及び毛髪の捕集性並びに塵埃の保持性が不充分となった
ものと思われる。
【0066】しかして以上の結果から、繊度0.9dr
〜2.5drの短繊維に2.5〜6drの短繊維を5〜
30重量%の範囲で混合することにより、容易に7〜2
0の範囲内の高い嵩高値の不織布を得ることができるよ
うになる。そしてこれによって、既述のように、塵埃等
の高い捕集性及び塵埃の高い保持性等を得ることができ
るものである。
【0067】他方、表2及び表3に示すように、ポリエ
ステル短繊維(繊度1.2dr)、ポリエステル繊維を
芯にポリエチレンを鞘としたバインダー短繊維(繊度
2.5dr)及びアクリル短繊維(繊度0.7dr)を
6:2:2の重量比率で混合して構成した実施例4の積
層シートに於ける不織布の嵩高値は8.0であり、これ
に対してポリエステル短繊維(繊度1.2dr)、ポリ
エステル繊維を芯にポリエチレンを鞘としたバインダー
短繊維(繊度2.5dr)及びアクリル短繊維(繊度
0.7dr)を4:2:4の重量比率で混合して構成し
た比較例4の積層シートに於ける不織布の嵩高値は5.
8である。繊度の細かい短繊維を混合することは、細か
な塵埃等の捕集及び保持に良い結果をもたらすものでは
あるが、その割合が多過ぎると、嵩高値が下がり過ぎ所
望の結果が得られなくなる。
【0068】以上のように、実施例4では繊度0.7d
rのアクリル短繊維を20%混合して嵩高値が8.0の
積層シートに於ける不織布を得ているのに対して、比較
例4では繊度0.7drのアクリル短繊維を40%混合
して嵩高値が5.8の積層シートに於ける不織布を得て
いる。この実施例4及び比較例4の比較から、繊度が
0.5〜0.9drの短繊維は5〜30重量%の範囲で
混合することにより、嵩高値が7以上の不織布が得られ
ることが分かる。
【0069】なお実施例3及び実施例4の積層シート
は、これを前記掃除用具にセットしてテストを繰り返し
ても繊維の脱落等は殆ど生じなかった。これは、表2に
示すように、該積層シートを構成する不織布にポリエス
テル繊維を芯にポリエチレンを鞘とした熱融着性のバイ
ンダー短繊維を含ませ、得られた不織布に充分な機械的
強度を確保させたからである。この点では、熱融着性の
バインダー短繊維を含む不織布を積層してなる比較例4
の積層シートでも同様である。
【0070】不織布を構成する短繊維の材質の観点から
見ると、表2に示すように、ポリエステル短繊維とレー
ヨン短繊維とからなる不織布をフィルムに積層して構成
した比較例2の積層シートは、表1に示すように、その
摩擦帯電圧として270Vしか得られない。そのため静
電気による吸引力の面が全く不適であり、表3に示すよ
うに、結果として、塵埃及び毛髪の捕集性は不充分とな
らざるを得ない。即ち、不織布は帯電性良好な短繊維を
用いて構成することが絶対的な条件であって、レーヨン
短繊維等のような帯電性の不充分な素材は少しでも用い
てはならないことが理解できる。
【0071】
【発明の効果】以上に述べたように、請求項1記載の発
明はポリオレフインフイルムに帯電性の短繊維を絡合し
た不織布を熱融着したものであるので、不織布それ自体
の摩擦帯電圧(測定方法は既述の通り)が容易に400
0V以上となり、そのため乾燥した絶縁性の被清掃面に
対してふき取り動作をすると、その動作でそれ自体が帯
電し、これにより、該不織布は極めて良好に塵埃や毛髪
を吸引付着させることのできる捕集性に優れたものとな
る。
【0072】またこの使い捨て掃除用積層シートの構成
に、上記のように、拭き取り作業時に接触することのあ
る背後の物品等との電気絶縁性を確保するポリオレフイ
ンフイルムを採用したので、電気伝導度の高い部材から
なる器具、例えば、前記床面掃除用具を利用して被清掃
面の拭き取り作業を行った場合等であっても、その際
に、床面等との摩擦によって帯電した静電気を該器具を
通じて逃がして捕集能力を失うような問題もない。
【0073】更にこの使い捨て掃除用積層シートを構成
する不織布は、これを適切な嵩高値としたので、捕集し
た塵埃や毛髪等を保持するのに充分な広さの空間であっ
て、毛髪等が短繊維に絡むためのチャンスを失わない程
度の広さの空間を有することとなり、それ故、塵埃や毛
髪等の保持性に極めて優れたものともなる。また片面の
みに不織布を積層した使い捨て掃除用積層シートの場合
には裏面をポリオレフインフイルムによって遮蔽したの
で、塵埃などの汚れが背後の器具類に付着せず衛生的と
なる面もある。
【0074】前記したように、請求項2の発明は、使い
捨て掃除用積層シートを構成する不織布の短繊維の一部
を、前記の割合の範囲で、繊度に於いて請求項1のもの
より太いものに置き換えて絡合したので、一層、嵩高と
なり易く、サイズの大きい塵埃や毛髪等の捕集性とこれ
らの保持性とにより優れたものとなる。また不織布面が
適度に粗くなるので床面との滑り性も一層良好になる。
【0075】前記したように、請求項3の発明は、使い
捨て掃除用積層シートを構成する不織布の繊維の一部
を、前記の割合の範囲で、繊度に於いて請求項1のもの
より細いものに置き換えて絡合したので、サイズの小さ
い塵埃や毛髪等の捕集性とこれらの保持性に優れたもの
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の使い捨て掃除用積層シートの1実施形
態を示す縦断側面図。
【図2】市販の床面掃除用具の金属基板に装着したスポ
ンジ部に使い捨て掃除用積層シートを掛け布として掛け
た状態の概略斜視図。
【図3】図2のA−A線切断部断面図。
【符号の説明】
1 ポリオレフインフイルム 2 不織布 3 床面掃除用具 4 操作棒 5 金属基板 6 スポンジ部 7 掛け布

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフインフイルムの両面又は片面
    に繊度が0.9〜2.5drである帯電性の短繊維で絡
    合した不織布を熱融着してなる積層シートであって、熱
    融着した上記不織布の嵩高値が7〜20である積層シー
    トに構成した使い捨て掃除用積層シート。
  2. 【請求項2】 ポリオレフインフイルムの両面又は片面
    に繊度が0.9〜2.5drである帯電性の短繊維を9
    5〜70重量%、繊度が2.5〜6drである帯電性の
    短繊維を5〜30重量%の比率で絡合した不織布を熱融
    着した積層シートであって、熱融着した上記不織布の嵩
    高値が7〜20である積層シートに構成した使い捨て掃
    除用積層シート。
  3. 【請求項3】 ポリオレフインフイルムの両面又は片面
    に繊度が0.9〜2.5drである帯電性の短繊維を9
    5〜70重量%、繊度が0.5〜0.9drである帯電
    性の短繊維を5〜30重量%の比率で絡合した不織布を
    熱融着した積層シートであって、熱融着した上記不織布
    の嵩高値が7〜20である積層シートに構成した使い捨
    て掃除用積層シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001022858A1 (en) * 1999-09-27 2001-04-05 S. C. Johnson & Son, Inc. Layered cleaning sheets
US8893347B2 (en) 2007-02-06 2014-11-25 S.C. Johnson & Son, Inc. Cleaning or dusting pad with attachment member holder

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001022858A1 (en) * 1999-09-27 2001-04-05 S. C. Johnson & Son, Inc. Layered cleaning sheets
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