JPH11274820A - 誘電体導波管線路の分岐構造 - Google Patents

誘電体導波管線路の分岐構造

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JPH11274820A
JPH11274820A JP10076283A JP7628398A JPH11274820A JP H11274820 A JPH11274820 A JP H11274820A JP 10076283 A JP10076283 A JP 10076283A JP 7628398 A JP7628398 A JP 7628398A JP H11274820 A JPH11274820 A JP H11274820A
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lines
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電体基板内に形成できる、良好な伝送特性
を有し任意の電力比で分岐の可能な誘電体導波管線路の
分岐構造を提供する。 【解決手段】 一対の導体層に挟持された誘電体基板内
に一定の幅dの2列の貫通導体群で形成された第1〜第
6の誘電体導波管線路15〜20を、第1の誘電体導波管線
路15に、補助接続用貫通導体群14n・14oで接続した外
側の間隔Aが2d≦A≦3dの第2および第3の誘電体
導波管線路16・17を第1の接続用貫通導体群14lで接続
し、さらに補助接続用貫通導体群14p・14qで接続した
外側の間隔Bが3d≦B≦4dの第4〜第6の誘電体導
波管線路18〜20を第2の接続用貫通導体群14mで接続し
た、1本の誘電体導波管線路15を3本の誘電体導波管線
路18〜20に分岐する誘電体導波管線路の分岐構造であ
る。伝送損失が小さい良好な伝送特性を有する分岐構造
となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波帯やミ
リ波帯等の高周波信号を伝達するための誘電体導波管線
路の分岐構造に関し、特に1本の誘電体導波管線路を平
行な3本の誘電体導波管線路に分岐し、しかも分岐後の
電力比を任意に設定しうる誘電体導波管線路の分岐構造
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波帯やミリ波帯等の高周波信号
を扱う高周波回路において高周波信号を伝送するための
伝送線路には小型で伝送損失が小さいことが求められて
おり、特に回路を構成する基板上または基板内に形成で
きると小型化の面で有利となることから、従来、そのよ
うな伝送線路としてストリップ線路やマイクロストリッ
プ線路・コプレーナ線路・誘電体導波管線路などが用い
られてきた。
【0003】これらのうちストリップ線路・マイクロス
トリップ線路・コプレーナ線路は誘電体基板と導体層か
ら成る信号線路とグランド導体層とで構成されており、
信号線路とグランド導体層の周囲の空間および誘電体中
を高周波信号の電磁波が伝播するものであるが、これら
の線路は30GHz帯域までの信号伝送に対しては問題な
いが、30GHz以上では伝送損失が生じやすい。
【0004】これに対して導波管型の線路は30GHz以
上のミリ波帯域においても伝送損失が小さい点で有利で
あり、このような導波管の優れた伝送特性を活かし、多
層基板内に形成可能な線路も提案されている。
【0005】例えば特開平6−53711 号公報によれば、
誘電体基板を一対の導体層で挟み、さらに導体層間を接
続する2列の複数の貫通導体、例えばビアホールによっ
て側壁を形成した導波管線路が提案されている。この導
波管線路によれば、誘電体材料の四方を導体層とビアホ
ールによる疑似的な導体壁で囲むことによって導体壁内
の領域を信号伝送用の線路としたものであり、構成がい
たって簡単となって装置全体の小型化も図り得るという
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、高周波回路を
構成する場合、特にアレイアンテナの給電線等を形成す
る場合等には伝送線路の配線回路において分岐を設ける
ことが必要となる。
【0007】しかしながら、ストリップ線路やマイクロ
ストリップ線路・コプレーナ線路は信号線路がグランド
導体層で完全に覆われていないため、伝送線路の途中に
分岐を設けるとその分岐から電磁波の放射が起こり、伝
送損失が大きくなるという問題点があった。
【0008】また、誘電体導波管線路としては、例えば
誘電体線路を2枚のグランド導体板で挟持し、グランド
導体板間の誘電体線路以外の部分に空気が満たされた構
造のNRDガイドがある。これに分岐を設けるためには
屈曲した2本の線路を結合させて方向性結合器を形成す
る方法が用いられるが、線路に屈曲部がある場合はその
形状によっては異なる伝播モードが発生して伝送損失が
大きくなることがあるため設計上の制約が大きいという
問題点があった。また、誘電体線路は通常はフッ素樹脂
等で作製されているが、特に高周波領域で使用するもの
は線路の寸法が小さくなるため、屈曲部等の加工が困難
であり量産が難しいという問題点もあった。さらに、高
周波回路の配線として誘電体基板上または基板内に形成
することが困難であるという問題点もあった。
【0009】また、通常の導波管は金属の壁で囲まれた
空間を電磁波が伝播する構造となっており、誘電体によ
る損失がないため高周波での損失が小さく、分岐があっ
ても放射損失はないが、誘電体を利用した伝送線路と比
較して寸法が大きくなるという問題点があった。これに
対し、導波管内に比誘電率がεr の誘電体を充填した誘
電体導波管は通常の1/√εr の寸法で作製できるが、
これも誘電体基板上または基板内に形成することが困難
であるという問題点があった。
【0010】さらに、特開平6−53711 号公報に提案さ
れたような誘電体導波管線路において、その一対の導体
層と2列のビアホールによる疑似的な導体壁で囲まれた
信号伝送用の線路に単純に分岐を設けた場合、電磁界に
乱れが生じることから伝送損失が大きくなるという問題
点があった。
【0011】従って、誘電体基板内にアレイアンテナの
給電線等を形成するための分岐を設けた伝送線路の配線
回路を作製して高周波回路を構成するために、誘電体基
板内に形成でき、電磁波の放射が無く伝送損失が小さい
誘電体導波管線路の分岐構造が求められていた。
【0012】本発明は上記事情に鑑みて案出されたもの
であり、その目的は、誘電体基板内に形成でき、高周波
信号の電磁波の放射・漏洩が無く、1本の線路を3本の
線路に分岐可能で、分岐後の電力比を任意に設定可能で
伝送損失が小さい良好な伝送特性を有する誘電体導波管
線路の分岐構造を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点に対して検討を重ねた結果、誘電体導波管線路につ
いて、誘電体基板中に2列の貫通導体群の上下をこれら
貫通導体群と電気的に導通した一対の導体層で完全に覆
って形成される構造の誘電体導波管線路から成る伝送線
路を設け、第1の伝送線路に対して互いに平行に配置し
た第2および第3の伝送線路を高周波信号の伝送方向が
互いに平行となるように接続し、さらに第2および第3
の伝送線路に対して互いに平行に配置した第4乃至第5
の伝送線路を高周波信号の伝送方向が互いに平行となる
ように接続した分岐において2列の貫通導体群の貫通導
体の配列を所定の配列構造とすることにより、高周波信
号の電磁波の放射・漏洩がほとんど無く、分岐後の電力
比を任意に設定可能で、しかも低伝送損失な、良好な伝
送特性を有する伝送線路の分岐構造とできることを見出
した。
【0014】本発明の誘電体導波管線路の分岐構造は、
誘電体基板を挟持する一対の導体層と、高周波信号の伝
送方向に前記高周波信号の遮断波長の2分の1以下の繰
り返し間隔で、かつ前記伝送方向と直交する方向に一定
の幅dで前記導体層間を電気的に接続するよう形成され
た2列の貫通導体群とを具備し、前記導体層および前記
貫通導体群に囲まれた領域によって高周波信号を伝送す
る第1乃至第6の誘電体導波管線路を、該第1の誘電体
導波管線路の一端側に前記第2および第3の誘電体導波
管線路を高周波信号の伝送方向が平行となるようにその
一方端側を対向させて併設するとともに、前記第2およ
び第3の誘電体導波管線路の他方端側に前記第4乃至第
6の誘電体導波管線路を第5の誘電体導波管線路の両側
に第4および第6の誘電体導波管線路を配置して高周波
信号の伝送方向が平行となるようにその一端側を対向さ
せて併設して成り、前記第2および第3の誘電体導波管
線路は一方端側および他方端側の先端を揃えて外側の前
記貫通導体群の間隔Aが前記一定の幅dに対して2d≦
A≦3dとなるように平行に配置するとともに隣り合う
列の貫通導体群の一方端側および他方端側の先端間をそ
れぞれ第1および第2の補助接続用貫通導体群で接続
し、かつその一方端側の両端と前記第1の誘電体導波管
線路の一端側の先端とを第1の接続用貫通導体群で接続
するとともに、前記第4乃至第6の誘電体導波管線路は
一端側の先端を揃えて前記第4の誘電体導波管線路およ
び前記第6の誘電体導波管線路の外側の前記貫通導体群
の間隔Bが前記一定の幅dに対して3d≦B≦4dとな
るように平行に配置するとともに前記第4および第5の
誘電体導波管線路の隣り合う貫通導体群の先端間を第3
の補助接続用貫通導体群で、前記第5および第6の誘電
体導波管線路の隣り合う貫通導体群の先端間を第4の補
助接続用貫通導体群で接続し、かつその一端側の両端と
前記第2および第3の誘電体導波管線路の他方端側の両
端との間を第2の接続用貫通導体群で接続したことを特
徴とするものである。
【0015】また、本発明の誘電体導波管線路の分岐構
造は、上記構成の本発明の誘電体導波管線路の分岐構造
において、前記第2および第3の誘電体導波管線路の少
なくとも一方の前記2列の貫通導体群の間および/また
は前記第4乃至第5の誘電体導波管線路の少なくとも1
つの前記2列の貫通導体群の間に分岐後の電力比調整用
の貫通導体を形成したことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の誘電体導波管線路
の分岐構造について図面を参照しながら説明する。
【0017】図1(a)および(b)は、それぞれ本発
明の誘電体導波管線路の分岐構造に係る誘電体導波管線
路の構成例を説明するための概略斜視図である。図1に
おいて、1は誘電体基板、2は誘電体基板1を挟持する
一対の導体層、3は一対の導体層2間を電気的に接続す
るよう形成された貫通導体であり、4は高周波信号の伝
送方向にその高周波信号の遮断波長の2分の1以下の繰
り返し間隔pで、かつその伝送方向と直交する方向に一
定の幅dで貫通導体3を配設することにより形成された
2列の貫通導体群である。
【0018】図1によれば、所定の厚みaの平板状の誘
電体基板1を挟持する位置に一対の導体層2・2が形成
されている。導体層2・2は誘電体基板1の少なくとも
伝送線路形成位置を挟む上下面に形成されている。ま
た、導体層2・2間には導体層2・2間を電気的に接続
する貫通導体3が多数設けられている。これら貫通導体
3は、図示するように、高周波信号の伝送方向すなわち
線路形成方向にこの線路により伝送される高周波信号の
遮断波長の2分の1以下の所定の繰り返し間隔pで、か
つ前記伝送方向と直交する方向に所定の一定の間隔
(幅)dをもって2列に形成されることにより、伝送線
路となる貫通導体群4を形成している。
【0019】平行に配置された一対の導体層2・2間に
はTEM波が伝播できるため、貫通導体群4の各列にお
ける貫通導体3の間隔pが遮断波長の2分の1よりも大
きいと、この線路に電磁波を給電してもここで作られる
疑似的な導波管に沿って伝播しなくなる。しかし、貫通
導体3の間隔pが遮断波長の2分の1以下であると電気
的な側壁を形成することとなって、電磁波は伝送線路に
対して垂直方向に伝播することができず、反射しながら
伝送線路方向に伝播されることとなる。その結果、この
ような構造の導体層2と貫通導体群4とにより囲まれる
断面積がa×dのサイズの領域により誘電体導波管と非
常に良く類似した良好な伝送特性が得られる。
【0020】ここで、誘電体基板1の厚みaに対する制
限は特にないが、シングルモードで用いる場合には前記
一定の幅dに対して2分の1程度または2倍程度とする
ことがよく、図1の例では誘電体導波管のH面とE面に
当たる部分が各々導体層2と貫通導体群4で形成され、
図1(a)のように幅dに対して厚みaを2分の1程度
とすれば、誘電体導波管のH面とE面に当たる部分が各
々導体層2と貫通導体群4で形成されることとなり、図
1(b)のように幅dに対して厚みaを2倍程度とすれ
ば、誘電体導波管のE面とH面に当たる部分が各々導体
層2と貫通導体群4で形成されることとなる。
【0021】なお、5は貫通導体群4の各列を形成する
貫通導体3同士を電気的に接続する補助導体層であり、
所望により適宜形成される。このような補助導体層を形
成することによって、導波管線路内部から見ると線路の
側壁は貫通導体群4と補助導体層5とによって細かな格
子状になり、線路からの電磁波の遮蔽効果をより高める
ことができる。
【0022】また、この図1の例では貫通導体群4は2
列に形成したが、この貫通導体群4を4列あるいは6列
に配設して貫通導体群4による疑似的な導体壁を2重・
3重に形成することにより、導体壁からの電磁波の漏れ
をより効果的に防止することもできる。
【0023】このような導波管線路構造によれば、誘電
体基板1の比誘電率をεr とすると導波管サイズは通常
の導波管の1/√εr の大きさになる。従って、誘電体
基板1を構成する材料を比誘電率の大きいものとするほ
ど導波管サイズを小さくすることができて高周波回路の
小型化を図ることができ、高密度に配線が形成される多
層配線基板または半導体素子収納用パッケージの伝送線
路としても利用可能な大きさとなる。
【0024】なお、貫通導体群4を構成する貫通導体3
は前述のように遮断波長の2分の1以下の繰り返し間隔
pで配設されており、この繰り返し間隔pは良好な伝送
特性を実現するためには一定の繰り返し間隔とすること
が望ましいが、遮断波長の2分の1以下の間隔であれば
適宜変化させたりいくつかの値を組み合わせたりしても
よい。
【0025】また、誘電体基板1としては、誘電体とし
て機能し高周波信号の伝送を妨げることのない特性を有
するものであればとりわけ限定するものではないが、伝
送線路を形成する際の精度および製造の容易性の点から
は、誘電体基板1はセラミックスからなることが望まし
い。
【0026】このようなセラミックスとしてはこれまで
様々な比誘電率を持つセラミックスが知られているが、
本発明に係る誘電体導波管線路によって高周波信号を伝
送するためには常誘電体であることが望ましい。これ
は、一般に強誘電体セラミックスは高周波領域では誘電
損失が大きく伝送損失が大きくなるためである。従っ
て、誘電体基板1の比誘電率εr は4〜100 程度が適当
である。
【0027】また、一般に多層配線基板や半導体素子収
納用パッケージに形成される配線層の線幅は最大でも1
mmであることから、比誘電率が100 の材料を用い、上
部がH面すなわち磁界が上側の面に平行に巻く電磁界分
布になるように用いた場合、用いることのできる最小の
周波数は15GHzと算出され、マイクロ波帯の領域でも
利用可能となる。一方、一般的に誘電体基板1として用
いられる樹脂からなる誘電体は、比誘電率εr が2程度
であるため、線幅が1mmの場合、約100 GHz以上で
ないと利用することができないものとなる。
【0028】また、このような常誘電体セラミックスの
中にはアルミナやシリカ等のように誘電正接が非常に小
さなものが多いが、全ての常誘電体セラミックスが利用
可能であるわけではない。誘電体導波管線路の場合は導
体による損失はほとんどなく、信号伝送時の損失のほと
んどは誘電体による損失であり、誘電体による損失α
(dB/m)は下記のように表わされる。 α=27.3×tanδ/〔λ/{1−(λ/λc 2
1/2 〕 式中、tanδは誘電体の誘電正接、λは誘電体中の波
長、λc は遮断波長である。規格化された矩形導波管
(WRJシリーズ)形状に準ずると、上式中の{1−
(λ/λc 2 1/2 は0.75程度である。
【0029】従って、実用に供し得る伝送損失である−
100 (dB/m)以下にするには、下記の関係が成立す
るように誘電体を選択することが必要である。 f×εr 1/2 ×tanδ≦0.8 式中、fは使用する周波数(GHz)である。
【0030】このような誘電体基板1としては、例えば
アルミナセラミックスやガラスセラミックス・窒化アル
ミニウムセラミックス等があり、例えばセラミックス原
料粉末に適当な有機溶剤や溶媒を添加混合して泥漿状に
なすとともにこれを従来周知のドクターブレード法やカ
レンダーロール法等を採用してシート状となすことによ
って複数枚のセラミックグリーンシートを得、しかる
後、これらセラミックグリーンシートの各々に適当な打
ち抜き加工を施すとともにこれらを積層し、アルミナセ
ラミックスの場合は1500〜1700℃、ガラスセラミックス
の場合は850 〜1000℃、窒化アルミニウムセラミックス
の場合は1600〜1900℃の温度で焼成することによって製
作される。
【0031】また、一対の導体層2としては、例えば誘
電体基板1がアルミナセラミックスから成る場合、タン
グステン等の金属粉末に適当なアルミナ・シリカ・マグ
ネシア等の酸化物や有機溶剤・溶媒等を添加混合してペ
ースト状にしたものを厚膜印刷法により少なくとも伝送
線路を完全に覆うようにセラミックグリーンシート上に
印刷し、しかる後、約1600℃の高温で焼成し、厚み10〜
15μm以上となるようにして形成する。
【0032】なお、金属粉末としては、ガラスセラミッ
クスの場合は銅・金・銀が、窒化アルミニウムセラミッ
クスの場合はタングステン・モリブデンが好適である。
また、導体層2の厚みは一般的に5〜50μm程度とされ
る。
【0033】また、貫通導体3としては、例えばビアホ
ール導体やスルーホール導体等により形成すればよく、
その断面形状も製作が容易な円形の他、矩形や菱形等の
多角形であってもよい。これら貫通導体3は、例えばセ
ラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して作製し
た貫通孔に前記導体層2と同様の金属ペーストを埋め込
み、しかる後、誘電体基板1と同時に焼成し形成する。
なお、貫通導体3は直径50〜300 μmが適当である。こ
のような誘電体導波管線路による本発明の誘電体導波管
線路の分岐構造の実施の形態の一例を図2に平面図で示
す。
【0034】図2において、3は誘電体基板(図示せ
ず)中に高周波信号の伝送方向に高周波信号の遮断波長
の2分の1以下の繰り返し間隔pで、かつその伝送方向
と直交する方向に一定の幅dで、誘電体基板を挟持する
一対の導体層(図示せず)間を電気的に接続するよう形
成された貫通導体、4a〜4hはそのような貫通導体3
により構成された貫通導体群である。5は一対の導体層
と貫通導体群4aとにより構成される第1の誘電体導波
管線路を、6は一対の導体層と貫通導体群4b・4cと
により構成される第2の誘電体導波管線路を、7は一対
の導体層と貫通導体群4c・4dとにより構成される第
3の誘電体導波管線路を、8は一対の導体層と貫通導体
群4e・4fとにより構成される第4の誘電体導波管線
路を、9は一対の導体層と貫通導体群4f・4gとによ
り構成される第5の誘電体導波管線路を、10は一対の導
体層と貫通導体群4g・4hとにより構成される第6の
誘電体導波管線路を示している。
【0035】第2の誘電体導波管線路6と第3の誘電体
導波管線路7とは互いに一方の列の貫通導体群4cを共
有させて配置され、第4の誘電体導波管線路8および第
6の誘電体導波管線路10は第5の誘電体導波管線路9の
両側にそれぞれ一方の列の貫通導体群4fおよび4gを
第5の誘電体導波管線路9と共有させて配置されてお
り、各誘電体導波管線路5〜10はそれぞれの高周波信号
の伝送方向が平行となるように配置されている。この例
では、第2および第3の誘電体導波管線路6・7の外側
の貫通導体群4b・4dの間隔Aが前記一定の幅dに対
して2d=Aであり、第4および第6の誘電体導波管線
路8・10の外側の貫通導体群4e・4hの間隔Bが前記
一定の幅dに対して3d=Bである場合を示している。
【0036】4iは、第1の誘電体導波管線路5の一端
側の先端と、高周波信号の伝送方向が平行となるように
その一方端側を対向させて併設された第2および第3の
誘電体導波管線路6・7の一方端側の両端との間を接続
する第1の接続用貫通導体群であり、この例では、第1
の誘電体導波管線路5の先端の貫通導体5aに対して高
周波信号の伝送方向と直角方向に配設された貫通導体群
と、貫通導体群4bおよび4cを延長するように配設さ
れた貫通導体群とにより階段状に形成した例を示してい
る。11はこの第1の接続用貫通導体群4iにより構成さ
れる第1の接続用誘電体導波管線路を示している。
【0037】また、4jは、第2および第3の誘電体導
波管線路6・7の他方端側の両端と、高周波信号の伝送
方向が平行となるようにその一端側を対向させて併設さ
れた第4〜第6の誘電体導波管線路8〜10の一端側の両
端との間を接続する第2の接続用貫通導体群であり、こ
の例では、第2および第3の誘電体導波管線路6・7の
他方端側の先端の貫通導体6a・7aに対して高周波信
号の伝送方向と直角方向に配設された貫通導体群と、貫
通導体群4eおよび4hを延長するように配設された貫
通導体群とにより階段状に形成した例を示している。12
はこの第2の接続用貫通導体群4jにより構成される第
2の接続用誘電体導波管線路を示している。
【0038】このような構成によれば、分岐前の第1の
誘電体導波管線路5の幅dを第1の接続用貫通導体群4
iを介して広げて第2の誘電体導波管線路6および第3
の誘電体導波管線路7に高周波信号の伝送方向が平行と
なるように接続し、さらに第2および第3の誘電体導波
管線路6・7の幅2dを第2の接続用貫通導体群4jを
介して広げて第4〜第6の誘電体導波管線路8〜10に高
周波信号の伝送方向が平行となるように接続して、第1
の誘電体導波管線路5から第2および第3の誘電体導波
管線路6・7を介して第4〜第6の誘電体導波管線路8
〜10のそれぞれに高周波信号を分岐することにより、小
型の構造で1本の誘電体導波管線路を3本の誘電体導波
管線路に分岐することができ、第1および第2の接続用
貫通導体群4i・4jを介してそれぞれ分岐することに
より分岐による特性インピーダンスの不整合を小さくで
き、分岐前後で同位相の電界の面の向きが変化しないた
め、各分岐部での高周波信号の反射が小さくなり、その
結果、伝送損失の小さい分岐構造となる。
【0039】なお、第1の接続用貫通導体群4iの信号
伝送方向の長さL1 および第2の接続用貫通導体群4j
の信号伝送方向の長さL2 は、0<L1 <dおよび0<
2<dに設定することが好適であり、長さL1 ,L2
を一定の幅d以上に長くしても、特性インピーダンスの
不整合を小さくして分岐部での高周波信号の反射を小さ
くする効果は小さなものとなる。
【0040】また、第1および第2の接続用貫通導体群
4i・4jにおける貫通導体3の繰り返し間隔は、各誘
電体導波管線路4a〜4hにおける繰り返し間隔pと同
様に高周波信号の遮断波長の2分の1以下とすることが
望ましく、それにより第1および第2の接続用誘電体導
波管線路11・12においても電気的な側壁が形成されるこ
ととなる。
【0041】また、第1の誘電体導波管線路5から第2
および第3の誘電体導波管線路6・7への分岐後の電力
比、ならびに第2および第3の誘電体導波管線路6・7
から第4〜第6の誘電体導波管線路8〜10への分岐後の
電力比は、それぞれ第1の誘電体導波管線路5の中心線
と第2および第3の誘電体導波管線路6・7の中心線す
なわち共有している貫通導体群4cを通る直線との位置
関係、ならびに第2および第3の誘電体導波管線路6・
7の各中心線と第4および第5の誘電体導波管線路8・
9の中心線(貫通導体群4fを通る直線)および第5お
よび第6の誘電体導波管線路9・10の中心線(貫通導体
群4gを通る直線)との位置関係により、それぞれ分岐
部での特性インピーダンスを変化させることなく任意の
電力比に設定することができる。すなわち、それぞれの
中心線を信号伝送方向に直角に距離h(0<h<d/
2)だけ移動させることにより、その距離hの大きさに
応じて分岐後の電力比を任意に設定することができる。
【0042】例えば、図2に示したように、第1の誘電
体導波管線路5の中心線と第2および第3の誘電体導波
管線路6・7の中心線とをほぼ一致させ、第2の誘電体
導波管線路6の中心線と第4および第5の誘電体導波管
線路8・9の中心線とを、ならびに第3の誘電体導波管
線路7の中心線と第5および第6の誘電体導波管線路9
・10の中心線とをほぼ一致させた場合には、第1の誘電
体導波管線路5から第2および第3の誘電体導波管線路
6・7に分岐したときの分岐後の電力比はほぼ1:1の
等分岐となり、第2および第3の誘電体導波管線路6・
7から第4〜第6の誘電体導波管線路8〜10に分岐した
ときの分岐後の電力比はほぼ1:3:1となる。この電
力比の値は信号の周波数により変化する。
【0043】次に、本発明の誘電体導波管線路の分岐構
造の実施の形態の他の例を図3に平面図で示す。
【0044】図3において、3は誘電体基板(図示せ
ず)中に高周波信号の伝送方向に高周波信号の遮断波長
の2分の1以下の繰り返し間隔pで、かつその伝送方向
と直交する方向に一定の幅dで、誘電体基板を挟持する
一対の導体層(図示せず)間を電気的に接続するよう形
成された貫通導体、14a〜14kはそのような貫通導体3
により構成された貫通導体群である。15は一対の導体層
と貫通導体群14aとにより構成される第1の誘電体導波
管線路を、16は一対の導体層と貫通導体群14b・14cと
により構成される第2の誘電体導波管線路を、17は一対
の導体層と貫通導体群14d・14eとにより構成される第
3の誘電体導波管線路を、18は一対の導体層と貫通導体
群14f・14gとにより構成される第4の誘電体導波管線
路を、19は一対の導体層と貫通導体群14h・14iとによ
り構成される第5の誘電体導波管線路を、20は一対の導
体層と貫通導体群14j・14kとにより構成される第6の
誘電体導波管線路を示している。
【0045】第2の誘電体導波管線路16と第3の誘電体
導波管線路17とは、一方端側および他方端側の先端を揃
えて外側の貫通導体群14bと14eとの間隔Aが前記一定
の幅dに対して2d≦A≦3d(この例では2d≠Aの
場合を示している)となるように平行に配置するととも
に隣り合う列の貫通導体群14cと14dとの一方端側およ
び他方端側の先端間をそれぞれ第1の補助接続用貫通導
体群14nおよび第2の補助接続貫通導体群14oで接続し
て配置されている。また、第4〜第6の誘電体導波管線
路18〜20は、それぞれ一端側の先端を揃えて第4の誘電
体導波管線路18および第6の誘電体導波管線路20の外側
の貫通導体群14fと14kとの間隔Bが前記一定の幅dに
対して3d≦B≦4d(この例では3d≠Bの場合を示
している)となるように平行に配置するとともに、第4
および第5の誘電体導波管線路18・19の隣り合う列の貫
通導体群14gと14hとの先端間を第4の補助接続用貫通
導体群14pで接続し、第5および第6の誘電体導波管線
路19・20の隣り合う列の貫通導体群14iと14jとの先端
間を第5の補助接続用貫通導体群14qで接続して配置さ
れており、各誘電体導波管線路15〜20はそれぞれの高周
波信号の伝送方向が平行となるように配置されている。
【0046】14lは、第1の誘電体導波管線路15の一端
側の先端と、高周波信号の伝送方向が平行となるように
その一方端側を対向させて併設された第2および第3の
誘電体導波管線路16・17の一方端側の両端との間を接続
する第1の接続用貫通導体群であり、この例では、第1
の誘電体導波管線路15の先端の貫通導体15aに対して高
周波信号の伝送方向と直角方向に配設された貫通導体群
と、貫通導体群14bおよび14eを延長するように配設さ
れた貫通導体群とにより階段状に形成した例を示してい
る。21はこの第1の接続用貫通導体群14lにより構成さ
れる第1の接続用誘電体導波管線路を示している。
【0047】また、14mは、第2および第3の誘電体導
波管線路16・17の他方端側の両端と、高周波信号の伝送
方向が平行となるようにその一端側を対向させて併設さ
れた第4〜第6の誘電体導波管線路18〜20の一端側の両
端との間を接続する第2の接続用貫通導体群であり、こ
の例では、第2および第3の誘電体導波管線路16・17の
他方端側の先端の貫通導体16a・17aに対して高周波信
号の伝送方向と直角方向に配設された貫通導体群と、貫
通導体群14fおよび14kを延長するように配設された貫
通導体群とにより階段状に形成した例を示している。22
はこの第2の接続用貫通導体群14mにより構成される第
2の接続用誘電体導波管線路を示している。
【0048】このような構成によれば、分岐前の第1の
誘電体導波管線路15の幅dを第1の接続用貫通導体群14
lを介して2d≦A≦3dである間隔Aに広げて、両端
の貫通導体群14b・14eの間隔がその間隔Aとなるよう
に互いに平行に併設された第2の誘電体導波管線路16お
よび第3の誘電体導波管線路17に高周波信号の伝送方向
が平行となるように接続し、さらに第2および第3の誘
電体導波管線路16・17の幅Aを第2の接続用貫通導体群
14mを介して3d≦B≦4dである間隔Bに広げて、両
端の間隔がその間隔Bとなるように互いに平行に併設さ
れた第4〜第6の誘電体導波管線路18〜20に高周波信号
の伝送方向が平行となるように接続して、第1の誘電体
導波管線路15から第2および第3の誘電体導波管線路16
・17を介して第4〜第6の誘電体導波管線路18〜20のそ
れぞれに高周波信号を分岐することにより、小型の構造
で1本の誘電体導波管線路を3本の誘電体導波管線路に
分岐することができ、第1および第2の接続用貫通導体
群14l・14mを介してそれぞれ分岐することにより分岐
による特性インピーダンスの不整合を小さくでき、分岐
前後で同位相の電界の面の向きが変化しないため、各分
岐部での高周波信号の反射が小さくなり、その結果、伝
送損失の小さい分岐構造となる。
【0049】このような構成によれば、第2の誘電体導
波管線路16と第3の誘電体導波管線路とをA−2dの間
隔で離して、また第4の誘電体導波管線路18と第5の誘
電体導波管線路19と第6の誘電体導波管線路20とをB−
3dを任意の比で分けた間隔で離してそれぞれ配置する
こととなり、各分岐部においてSパラメータのうちS11
は幾分劣化することとなるが、配線の自由度が高くな
り、アイソレーション性も向上することとなる。
【0050】なお、この場合の第1の接続用貫通導体群
14lの信号伝送方向の長さL1 および第2の接続用貫通
導体群14mの信号伝送方向の長さL2 も、0<L1 <d
および0<L2 <dに設定することが好適であり、長さ
1 ,L2 を一定の幅d以上に長くしても、特性インピ
ーダンスの不整合を小さくして分岐部での高周波信号の
反射を小さくする効果は小さなものとなる。
【0051】また、第1および第2の接続用貫通導体群
14l・14mにおける貫通導体3の繰り返し間隔も、各誘
電体導波管線路14a〜14kにおける繰り返し間隔pと同
様に高周波信号の遮断波長の2分の1以下とすることが
望ましく、それにより第1および第2の接続用誘電体導
波管線路21・22においても電気的な側壁が形成されるこ
ととなる。
【0052】また、第1〜第4の補助接続用貫通導体群
14n〜14qの長さL3 ,L4 ,L5は、それぞれ0<L
3 <d,0<L4 <d,0<L5 <dとするのが好適で
ある。各補助接続用貫通導体群14n〜14qの長さをこれ
以上長くすると反射による損失が大きくなる場合があ
る。また、第1〜第4の補助接続用貫通導体群14n〜14
qにおける貫通導体3の繰り返し間隔も、高周波信号の
遮断波長の2分の1以下とすることが望ましく、それに
より第1〜第4の補助接続用貫通導体群14n〜14qにお
いても電気的な側壁が形成されることとなる。
【0053】また、第1の誘電体導波管線路15から第2
および第3の誘電体導波管線路16・17への分岐後の電力
比、ならびに第2および第3の誘電体導波管線路16・17
から第4〜第6の誘電体導波管線路18〜20への分岐後の
電力比は、それぞれ第1の誘電体導波管線路15の中心線
と第2および第3の誘電体導波管線路16・17間の中心線
すなわち貫通導体群14c・14d間の中心線との位置関
係、ならびに第2および第3の誘電体導波管線路16・17
の各中心線と第4および第5の誘電体導波管線路18・19
間の中心線(貫通導体群14g・14h間の中心線)および
第5および第6の誘電体導波管線路19・20の中心線(貫
通導体群14i・14j間の中心線)との位置関係により、
それぞれ分岐部での特性インピーダンスを変化させるこ
となく任意の電力比に設定することができる。すなわ
ち、それぞれの中心線を信号伝送方向に直角に距離h
(0<h<d/2)だけ移動させることにより、その距
離hの大きさに応じて分岐後の電力比を任意に設定する
ことができる。
【0054】例えば、図3に示したように、第1の誘電
体導波管線路15の中心線と第2および第3の誘電体導波
管線路16・17の中心線とをほぼ一致させ、第2の誘電体
導波管線路16の中心線と第4および第5の誘電体導波管
線路18・19の中心線とを、ならびに第3の誘電体導波管
線路17の中心線と第5および第6の誘電体導波管線路19
・20の中心線とをほぼ一致させた場合には、第1の誘電
体導波管線路15から第2および第3の誘電体導波管線路
16・17に分岐したときの分岐後の電力比はほぼ1:1の
等分岐となり、第2および第3の誘電体導波管線路16・
17から第4〜第6の誘電体導波管線路18〜20に分岐した
ときの分岐後の電力比はほぼ1:3:1となる。この電
力比の値は信号の周波数により異なるものとなる。
【0055】なお、以上の図2の例ではA=2d,B=
3dの場合を、図3の例ではA≠2d,B≠3dの場合
を示したが、それぞれ2d≦A≦3dおよび3d≦B≦
4dの範囲で任意に設定して組み合わせてよいことは言
うまでもない。
【0056】次に、本発明の誘電体導波管線路の分岐構
造の実施の形態のさらに他の例を図4に平面図で示す。
【0057】図4の構成は、第2の誘電体導波管線路16
の2列の貫通導体群14b・14cの間に分岐後の電力比調
整用の貫通導体23を設けたことを除き図3と同様であ
り、図3と同様の箇所には同じ符号を付してある。
【0058】このような構成によれば、貫通導体23を設
けた第2の誘電体導波管線路16の遮断周波数が高くな
る。そのため、導波管の最低次のTE10モードについて
考えると、第2の誘電体導波管線路16の遮断周波数未満
では第3の誘電体導波管線路17のみに信号が伝播し、遮
断周波数以上では第2および第3の誘電体導波管線路16
・17の両方に信号が伝播することとなり、高次モードが
発生する周波数以下では高周波数になるほど第2の誘電
体導波管線路16に信号の伝播する比率が大きくなること
となる。従って、分岐前の第1の誘電体導波管線路15を
第2および第3の誘電体導波管線路16・17に分岐したと
き分岐後の電力比が1:1の等分岐ではなくなる。これ
により、第2の誘電体導波管線路16に設ける貫通導体23
の位置と本数を適当に選ぶことにより、分岐後の電力を
任意の電力比に調整することができる。
【0059】なお、分岐後の電力比調整用の貫通導体23
は、その他の誘電体導波管線路17〜20のいずれに設けて
も、複数の誘電体導波管線路16〜20に同時に設けてもよ
く、または接続用誘電体導波管線路21・22に設けてもよ
い。また、貫通導体群14cと14d、14gと14hおよび14
jと14kの中心線とをずらせることと組み合わせて、任
意の電力比とするようにしてもよい。
【0060】
【実施例】図2に示した構成の本発明の誘電体導波管線
路の分岐構造について、分岐を含む伝送線路の伝送特性
を有限要素法により計算した。導体層2および貫通導体
3の材料には導電率が5.8 ×107 (1/Ωm)の純銅を
用い、誘電体基板1には比誘電率εr が5で誘電正接t
anδが0.001 のホウ珪酸ガラス75重量%とアルミナ25
重量%とを焼成して作製したガラスセラミックス焼結体
を用い、誘電体基板1の厚みa=0.62mm、貫通導体3
の直径を0.1 mm、貫通導体群4の繰り返し間隔p=0.
25mm、貫通導体群4の一定の幅d=1.2 mmとし、第
1〜第6の誘電体導波管線路5〜10の線路の長さはそれ
ぞれ2.25mmとして、Sパラメータの周波数特性を算出
した。
【0061】その結果を図5に線図で示す。図5におい
て横軸は周波数(GHz)、縦軸はSパラメータのうち
11・S21・S31・S41の値(dB)を示し、図中の特
性曲線は各Sパラメータの周波数特性を表わしている。
なお、ここでS11は第1の誘電体導波管線路5から入っ
て第1の誘電体導波管線路5から出てくる成分を、S21
は第1の誘電体導波管線路5から入って第4の誘電体導
波管線路8から出てくる成分を、S31は第1の誘電体導
波管線路5から入って第5の誘電体導波管線路9から出
てくる成分を、S41は第1の誘電体導波管線路5から入
って第6の誘電体導波管線路10から出てくる成分を表わ
すものである。
【0062】この結果より、S11は66〜90GHzで−10
dB以下となり、特に第1の接続用貫通導体群4i(第
1の接続用誘電体導波管線路11)の長さL1 が誘電体導
波管線路の管内波長の1/4の長さに当たる周波数であ
る77GHz近傍で信号の反射が小さく、入力側である第
1の誘電体導波管線路5を高周波信号が良好に透過する
ことが分かる。また、出力側である3つの誘電体導波管
線路8・9・10からの出力電力の比率は、77GHzで
3:10:3となっている。
【0063】次に、第1の誘電体導波管線路5の中心線
に対して第2および第3の誘電体導波管線路6・7の中
心線を線路に垂直にd/10だけ図において左側へずらせ
て同様にSパラメータの周波数特性を求めたところ、第
4〜第6の誘電体導波管線路8〜10からの出力電力比率
は77GHzで6:10:3となり、分岐後の電力比を調整
できることが確認できた。
【0064】次に、第2の誘電体導波管線路6の先端に
貫通導体群4bから線路に垂直方向にd/10の位置に貫
通導体23を設けて、同様にSパラメータの周波数特性を
求めたところ、第4〜第6の誘電体導波管線路8〜10か
らの出力電力比率は77GHzで5:12:3となり、これ
によっても分岐後の電力比を調整できることが確認でき
た。
【0065】さらに、図3に示した構成の本発明の誘電
体導波管線路についても同様にSパラメータの周波数特
性を求めて評価したところ、いずれも同様に伝送損失が
小さい良好な伝送特性を有しており、しかも中心線の位
置関係の設定や電力比調整用の貫通導体23の配設により
分岐後の電力比を調整できることが確認できた。
【0066】以上により、本発明の誘電体導波管線路の
分岐構造によれば、誘電体基板内に形成でき、高周波信
号の電磁波の放射・漏洩が無く、1本の線路を3本の線
路に分岐可能で、分岐後の電力比を任意に設定可能で伝
送損失が小さい良好な伝送特性を有することが確認でき
た。
【0067】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。
例えば、第1〜第3の誘電体導波管線路の幅をそれぞれ
別の値としてもよい。また、第1および第2の接続用貫
通導体群は、階段状に配設するのみならず、直線状に配
設してもよく、あるいは円弧状に配設しても、その他の
任意の形状に配設してもよい。
【0068】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の誘電体導波
管線路の分岐構造によれば、第1〜第6の誘電体導波管
線路を上記の所定の構成で接続したことにより、1本の
誘電体導波管線路を3本の誘電体導波管線路に分岐する
構造として、分岐部前後の誘電体導波管線路の特性イン
ピーダンスの不整合を小さくできるため分岐部での高周
波信号の反射が小さくなり、しかも高周波信号の分岐部
における伝播モードに乱れが生じることがないため、伝
送損失の小さい良好な誘電体導波管線路の分岐構造を提
供することができた。
【0069】また、本発明の誘電体導波管線路の分岐構
造によれば、第2〜第6の誘電体導波管線路の2列の貫
通導体群の間に貫通導体を形成することにより、分岐後
の電力比を任意に調整することができる。
【0070】なお、本発明の誘電体導波管線路の分岐構
造によれば、第1〜第3の誘電体導波管線路の分岐構造
の構成を繰り返し設けることにより、1本の誘電体導波
管線路を4本以上の任意の数の誘電体導波管線路に分岐
することも可能である。
【0071】以上により、本発明によれば、誘電体基板
内に形成でき、高周波信号の電磁波の放射・漏洩が無
く、1本の線路を3本の線路に分岐可能で、分岐後の電
力比を任意に設定可能で伝送損失が小さい良好な伝送特
性を有する誘電体導波管線路の分岐構造を提供すること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)はそれぞれ本発明に係る誘
電体導波管線路の例を説明するための概略斜視図であ
る。
【図2】本発明の誘電体導波管線路の分岐構造の実施の
形態の一例を説明するための平面図である。
【図3】本発明の誘電体導波管線路の分岐構造の実施の
形態の他の例を説明するための平面図である。
【図4】本発明の誘電体導波管線路の分岐構造の実施の
形態の他の例を説明するための平面図である。
【図5】本発明の誘電体導波管線路の分岐構造における
Sパラメータの周波数特性を示す線図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・誘電体基板 2・・・・・・・・・・・・・導体層 3・・・・・・・・・・・・・貫通導体 4a〜4h、14a〜14k・・・貫通導体群 4i、4j、14l、14m・・・接続用貫通導体群 14n〜14q・・・・・・・・・補助接続用貫通導体群 5〜10、15〜20・・・・・・・第1〜第6の誘電体導波
管線路 23・・・・・・・・・・・・・電力比調整用の貫通導体 d・・・・・・・・・・・・・一定の幅(貫通導体群間
の幅)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板を挟持する一対の導体層と、
    高周波信号の伝送方向に前記高周波信号の遮断波長の2
    分の1以下の繰り返し間隔で、かつ前記伝送方向と直交
    する方向に一定の幅dで前記導体層間を電気的に接続す
    るよう形成された2列の貫通導体群とを具備し、前記導
    体層および前記貫通導体群に囲まれた領域によって高周
    波信号を伝送する第1乃至第6の誘電体導波管線路を、 該第1の誘電体導波管線路の一端側に前記第2および第
    3の誘電体導波管線路を高周波信号の伝送方向が平行と
    なるようにその一方端側を対向させて併設するととも
    に、前記第2および第3の誘電体導波管線路の他方端側
    に前記第4乃至第6の誘電体導波管線路を第5の誘電体
    導波管線路の両側に第4および第6の誘電体導波管線路
    を配置して高周波信号の伝送方向が平行となるようにそ
    の一端側を対向させて併設して成り、 前記第2および第3の誘電体導波管線路は一方端側およ
    び他方端側の先端を揃えて外側の前記貫通導体群の間隔
    Aが前記一定の幅dに対して2d≦A≦3dとなるよう
    に平行に配置するとともに隣り合う列の貫通導体群の一
    方端側および他方端側の先端間をそれぞれ第1および第
    2の補助接続用貫通導体群で接続し、かつその一方端側
    の両端と前記第1の誘電体導波管線路の一端側の先端と
    を第1の接続用貫通導体群で接続するとともに、 前記第4乃至第6の誘電体導波管線路は一端側の先端を
    揃えて前記第4の誘電体導波管線路および前記第6の誘
    電体導波管線路の外側の前記貫通導体群の間隔Bが前記
    一定の幅dに対して3d≦B≦4dとなるように平行に
    配置するとともに前記第4および第5の誘電体導波管線
    路の隣り合う貫通導体群の先端間を第3の補助接続用貫
    通導体群で、前記第5および第6の誘電体導波管線路の
    隣り合う貫通導体群の先端間を第4の補助接続用貫通導
    体群で接続し、かつその一端側の両端と前記第2および
    第3の誘電体導波管線路の他方端側の両端との間を第2
    の接続用貫通導体群で接続したことを特徴とする誘電体
    導波管線路の分岐構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の誘電体導波管線路の分岐
    構造において、前記第2および第3の誘電体導波管線路
    の少なくとも一方の前記2列の貫通導体群の間および/
    または前記第4乃至第5の誘電体導波管線路の少なくと
    も1つの前記2列の貫通導体群の間に分岐後の電力比調
    整用の貫通導体を形成したことを特徴とする誘電体導波
    管線路の分岐構造。
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