JPH11274083A - 化合物半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
化合物半導体装置およびその製造方法Info
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- JPH11274083A JPH11274083A JP7557198A JP7557198A JPH11274083A JP H11274083 A JPH11274083 A JP H11274083A JP 7557198 A JP7557198 A JP 7557198A JP 7557198 A JP7557198 A JP 7557198A JP H11274083 A JPH11274083 A JP H11274083A
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Abstract
上、受光素子の受光感度の向上、動作信頼性の向上が図
られるように改良された化合物半導体装置を提供するこ
とを主要な目的とする。 【解決手段】 GaAs基板の上に、Ga1-x Inx N
y As1-y および/またはGaNy As1-y からなる、
III−V族混晶半導体に窒素が含有された半導体層が
設けられている。半導体層中の水素濃度が、1cm3 あ
たり5×1018個以下にされている。
Description
導体装置に関するものであり、より特定的には、Ga
1-x Inx Ny As1-y およびGaNy As1-y 結晶薄
膜を素子の一部に有する化合物半導体装置に関する。こ
の発明は、またそのような化合物半導体装置の製造方法
に関する。
I−V族混晶半導体が新規半導体材料として注目されて
いる。この材料によれば、窒素と構成元素の濃度を適切
に選ぶことにより、Si、GaAs、InP、GaP基
板上にミスフィット転位を発生させることなく、エピタ
キシャル成長が可能である。
には、Si基板上にIII−V族混晶半導体をエピタキ
シ成長させ、Si電子素子とのモノリシック化を行なう
例が記載されている。特開平6−037355号公報に
は、GaAs、InP、GaP基板上に、GaInNA
s、AlGaNAs、GaNAsをエピタキシ成長させ
た例が記載されている。特開平9−283857号公報
には、GaAs基板上にGaInNAs薄膜結晶をエピ
タキシ成長させ、半導体レーザを作製した例が挙げられ
ている。
族混晶半導体、たとえばGa1-x Inx Ny As1-y 、
GaNy As1-y を用いて光学素子、電子素子を作製す
る利点として、以下の点が考えられる。従来までは、G
aAs基板に格子整合する混晶半導体は、GaAsより
もバンドギャップが大きいものがほとんどであった。た
とえば、AlGaAs、GaInPなどが挙げられる。
ここで新しい材料であるGa1-x Inx Ny As1-y 、
GaNy As1-y はGaAsよりバンドギャップを小さ
くできる利点がある。
インジウム組成x、窒素濃度yを、GaNy As1-y で
は窒素濃度を変えることで、バンドギャップを連続的に
変えることができる利点もある。この材料を他の材料と
組合せ、多層構造を作製すると、これまでは実現ができ
なかったGaAsの発光波長よりも長波長の光学素子が
作製可能である。たとえば、Gax In1-x Ny As
1-y 、GaNy As1-yを活性層に用いることにより、
光ファイバ通信に用いられる波長1.3μm、1.55
μmでレーザ発振する半導体レーザが作製可能である。
また、赤外光を検出する受光ダイオードが作製可能であ
る。
を用いた半導体レーザの例(a)と受光ダイオードの例
(b)を示す。上記の組成により、半導体レーザでは、
光ファイバを用いた光通信に使われる1.3μmでのレ
ーザ光発振が可能である。
励起される活性層に用いられている。受光ダイオード
は、キャリア濃度が高いp型、キャリア濃度が低いn
型、キャリア濃度が高いn型を積層したp−i−n構造
をGa0.85In0.15N0.05As0. 95材料により構成する
と、1.3μmまでの赤外光が検出可能である。
光ダイオードは、InP基板上に作成されてきた。レー
ザダイオードの場合、InGaAsPが、光が励起され
る活性層に用いられている。しかし、InP基板は、G
aAs基板と比較して、量産性、価格面において劣って
いるという問題があり、その基板上に作製されるレーザ
においても量産性、価格面において劣る。
しないが、レーザダイオードの活性層に用いる場合、厚
みを十分薄くすることでミスフィット転位などの結晶欠
陥を発生させずに、ダイオード構造を作製できる。同様
に、Gax In1-x Ny As 1-y でも、xとyの組成比
が適切に選ばれないと、ミスフィット転位が発生する
が、厚みを十分薄くすることで、結晶欠陥の発生が防止
できる。
は、ガス原料を用いた分子線エピタキシ(MBE)(コ
ンドウ他、JJAP35(1996)1273)、有機
金属気相成長法(OMCVD)(サトウ他、JJAP3
6(1997)2671)により成長されているが、窒
素濃度を高くすると、光学的特性が劣化することが確認
されている。
(フォトルミネッセンス)を測定する方法がある。Ga
1-x Inx Ny As1-y 、GaNy As1-y の評価に
は、アルゴンレーザが発生する波長514nmの光を照
射し、結晶から出てくる蛍光の強度を測定する方法が一
般的である。
を阻害し、強度が弱くなる。強度を測定することで、光
学特性の良否が判断できる。また、蛍光の波長に対する
広がり(一般に、ピーク半値幅と呼ばれている。)は、
結晶性の良否と相関がある。ピーク半値幅が狭い場合、
結晶性がよい。
まないGaNx As1-x の蛍光強度と窒素組成の相関関
係(測定室温)を示す。窒素濃度が高くなるに従い、急
激に蛍光の強度が弱くなり、光学特性が劣化することが
わかる。窒素濃度が高いと、全く蛍光が確認されない。
0.05Ny As1-y の蛍光強度と窒素組成yの相関関係
(測定室温)を示す。
向がGaInNAsでも確認されている。
抗と窒素組成の相関関係(測定室温)を示す。
比抵抗と窒素組成のと相関関係(測定室温)を示す。
Nx As1-x 、GaInNAsともに窒素濃度が高くな
るに従い、比抵抗が大きくなり、電気特性が劣化する。
薄膜結晶を、前述の発光素子として用いた場合、素子の
動作特性、信頼性を著しく劣化させる。受光素子の場
合、受光感度が低くなり、微弱な光の検出ができない。
また、発光素子の場合、光の発光強度が弱くなる。ま
た、特に半導体レーザでは連続的なレーザ光発振ができ
ない。発光受光素子、電子素子いずれの場合も、抵抗率
が高い層が多層膜中に存在すると、電気的に動作しない
場合がある。
分な水素不純物が少なく、高い光学特性、電気特性を有
するGa1-x Inx Ny As1-y 、GaNy As1-y 結
晶を有する化合物半導体装置を提供することにある。
場合も、窒素−水素結合を切断する熱処理、水素濃度を
低減する熱処理により、結晶の高品質化が計られ、電気
特性、光学特性が良好な光学素子を得ることができる製
造方法を提供することにある。
が少ない場合も、熱処理により窒化物結晶固有の問題を
解決し、良好な結晶を提供することができる製造方法を
提供することにある。
引続いて、熱処理を行なうことで、結晶成長の省時間と
省エネルギにも有利であり、素子の大量生産が可能とな
る製造方法を提供することにある。
従う化合物半導体装置は、GaAs半導体基板を備え
る。上記GaAs半導体基板の上に、Ga1-x Inx N
y As1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.15)お
よび/またはGaNy As1-y (0<y≦0.07)か
らなる、III−V族混晶半導体に窒素を含有させた半
導体層が設けられている。上記半導体層中の水素濃度
が、1cm3 あたり5×1018個以下にされている。
方法においては、まずGaAs半導体基板を準備する。
上記GaAs半導体基板の上に、Ga1-x Inx Ny A
s1- y (0<x≦0.35,0<y≦0.15)および
/またはGaNy As1-y (0<y≦0.15)からな
る、III−V族混晶半導体に窒素を含有させたもので
あり、1cm3 あたり5×1018個以上の水素を含む半
導体層を形成する。上記半導体層を、非酸化性雰囲気
下、ヒ素系ガス雰囲気下、リン系ガス雰囲気下、または
真空下で、800℃以上1100℃以下で熱処理し、そ
れによって、上記半導体層中の水素不純物濃度を低減さ
せる。
製造方法によれば、まず、GaAs半導体基板を準備す
る。上記GaAs半導体基板の上に、Ga1-x Inx N
y As1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.15)お
よび/またはGaNy As1- y (0<y≦0.07)か
らなる、III−V族混晶半導体に窒素を含有させたも
のであり、1cm3 あたり5×1018個以上の水素を含
む半導体層を形成する。上記半導体層を、非酸化性雰囲
気下、ヒ素系ガス雰囲気下、リン系ガス雰囲気下、また
は真空下で、500℃以上800℃未満で熱処理し、そ
れによって上記半導体層中の水素不純物と窒素の結合を
切断する。
装置の製造方法によれば、まず、GaAs半導体基板を
準備する。上記GaAs半導体基板の上に水素濃度が1
cm 3 あたり5×1018個以下にされた、Ga1-x In
x Ny As1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.1
5)および/またはGaNy As1-y (0<y≦0.0
7)からなる、III−V族混晶半導体に窒素を含有さ
せた半導体層を形成する。上記半導体層を、非酸化性ガ
ス雰囲気中、ヒ素系ガス雰囲気中、リン系ガス雰囲気
中、または真空下で、500℃以上1100℃未満で熱
処理し、それによって、結晶特性と光学特性の改善を行
なう。
示されているようにGa1-x Inx Ny As 1-y 薄膜結
晶を成長する場合、As原子が基板および薄膜の表面か
ら脱離しやすい。このため、脱離を防止するため、低温
での成長が必要である。このような低温では、ヒ素の脱
離が防止できるとともに、窒素原料が結晶の表面に吸着
しやすくなり、窒素濃度が高くできる利点があるが、半
面、不純物も吸着しやすくなり、結晶中の不純物濃度が
窒素濃度に比例して高くなる。
では、用いる有機原料ガスのガス分子が水素原子で構成
されるものが多い。そのため、薄膜結晶中に水素が混入
する問題がある。水素の混入の過程には、原料ガスその
もの、原料ガスが分解する途中の中間生成物、原料から
分解した後の水素原子が、薄膜結晶中に取込まれること
が考えられる。この水素が不純物として振る舞い、光学
的に特性と電気的特性を悪化させたと考えられる。実際
に、Ga1-x Inx Ny As1-y およびGaN y As
1-y 結晶中で、水素が上記の特性を劣化させる結果はこ
れまで報告されていないが、他のIII−V族混晶半導
体では調べられた例がある。
子と結合し、ドーピング原子が有する正あるいは負の電
荷を打消し、電気的に不活性になる例が報告されている
(J.I. Pankove, N. M. Johnson: Hydrogen in Semicon
ductors, 1996, Academic Press)。また、GaP結晶
中のN原子が水素と結合していると、光学特性を劣化さ
せる例が報告されている(Jorg Weber他: Mat. Res. So
c. Sym. Proc. vol.104, p.325)。なお、水素原子によ
り光学特性が劣化する機構については、未解明である。
As1-y ,GaNy As1-y 薄膜結晶の光学特性と水素
濃度の相関関係を比べると、図2および図3の結果が得
られた。図2は、GaNAsの場合であり、図3はGa
0.9 In0.1 Ny As1-y の場合である。それぞれの図
は、窒素濃度に対する水素濃度の関係と、それぞれの光
学特性を示している。図中の○印は実用上十分な蛍光強
度を有する試料を示し、×印は蛍光強度が低く、実用に
十分でない試料を示す。現在レーザダイオードに利用さ
れているInP基板上に成長したGa0.25In0.75As
0.54P0.46結晶の蛍光強度と比較して1/20以上の強
度を有するものを基準にした。水素と窒素の濃度は、2
次イオン質量分光法(SIMS:Secondary Ion Mass S
pectroscopy )により測定した。本明細書では、比較と
なるGaInPAsの強度を20として、それに対する
Ga1-x Inx Ny As1-y ,GaNy As1-y 薄膜結
晶の蛍光強度を示している。すなわち、蛍光強度が1以
上であれば、実用に適していると考えられる。
1、B2、C1、C2は、それぞれ530℃、550
℃、600℃で成長した場合の、窒素濃度と水素濃度の
関係を示している。窒素濃度に比例して、水素濃度が上
昇する傾向が確認できた。また、成長温度を上げるに従
い、水素濃度が下がることが確認できた。これらの図か
らわかるように、薄膜結晶から実用に十分な蛍光強度を
得るためには水素濃度が1cm3 あたり5×1018個以
下にする必要がある。
As1-y ,GaNy As1-y 薄膜結晶については、結晶
内に存在する水素の結合状態をフーリエ変換赤外分光法
(FT−IR)により測定した。以下にその一例とし
て、GaAs基板上に、GaN 0.012 As0.988 結晶を
0.5μ成長した試料の例を示す。このときの水素濃度
は、1cm3 あたり1.5×1019個であった。なお、
ここで挙げた組成のGaNAsの測定例は、いくつか実
施したものの中の一例である。
ピークが確認された。このピークは、結晶中の窒素と水
素が原子結合している場合にのみ(N−H結合がある場
合)観察される。
00、800℃で窒素雰囲気内で熱処理した場合の、吸
収ピークと蛍光強度の変化を測定した。結果を図4に示
す。
合と比較して、温度を上げるに従い、吸収ピークが小さ
くなることがわかる。700℃の熱処理により、吸収ピ
ークがなくなるとともに、十分な蛍光強度が得られるこ
とがわかる。すなわち、水素濃度は、1cm3 あたり5
×1018個より大きい場合でも、500〜800℃の温
度範囲で熱処理を施すことで、結晶中の窒素と水素の原
子結合が切断され(N−H結合が切れ)、実用に十分な
蛍光強度が得られることがわかる。ガス雰囲気は、水
素、窒素、アルゴン、ヘリウムの限られた非酸化性雰囲
気中、アルシンなどのヒ素系ガス中、フォスフィンなど
のリン系ガス中、あるいは真空中が好ましい。雰囲気ガ
スは、上記のガスを混合したものでもよい。熱処理の時
間は10秒から24時間がよい。請求項1に定義される
構造の最上層が、GaAs、AlGaAs、InGaA
sなどのヒ素を含んだ半導体である場合、熱処理による
表面からのヒ素抜けを防ぐため、アルシン、ターシャリ
ブチルアルシンなどのヒ素系ガス中で熱処理を施すこと
が望ましい。同様に、最上層が、GaInP、AlGa
InP、AlInP、InGaAsPなどのリンを含ん
だ半導体である場合、熱処理による表面からのリン抜け
を防ぐため、フォスフィン、ターシャリブチルフォスフ
ィンなどのリン系ガス中で熱処理を施すことが望まし
い。
00〜800℃の熱処理では、水素と窒素の結合を切る
ことができるが、水素濃度を低減することはできない。
そのため、結晶中の高濃度の水素が窒素と再結合し、光
学特性、電気的特性を再劣化させる。そのため、800
〜1100℃での熱処理をすることで、Ga1-x In x
Ny As1-y 、GaNy As1-y 薄膜結晶中の、水素と
窒素の結合を切断し、水素を結晶から除去できる。これ
により、信頼性が高い素子が作製され得る。ガス雰囲気
は、水素、窒素、アルゴン、ヘリウムの限られた非酸化
性雰囲気中、アルシンなどのヒ素系ガス中、フォスフィ
ンなどのリン系ガス中、あるいは真空中が好ましい。雰
囲気ガスは、上記のガスを混合したものでもよい。熱処
理の時間は10秒から24時間がよい。
に、室温まで冷却した後、再加熱する方法と成長炉内で
多層構造成長後に引続いて行なう方法とがある。成長炉
内で行なう方法により、信頼性が高い半導体装置を効率
よく安価に形成できる。
1-y 、GaNy As1-y は原子半径が大きく異なる元素
によって構成される混晶半導体であるため、均一な組成
の結晶を得ることが非常に難しい。
す。
元素と窒素では原子半径が大きく異なる。窒素とインジ
ウムでは原子半径が約2倍も異なる。原子半径が異なる
原子により混晶半導体を成長すると、部分的に歪みが発
生し、良好な結晶を得ることは難しい。これは、用いて
いる材料の組合せに起因する問題であり、この窒化物材
料固有の問題である。水素濃度が5×1018個以下の場
合でも、500〜1100℃の熱処理により、結晶性が
改善され、特性が良好な素子が作製可能である。
実用に十分な水素不純物が少なく、高い光学特性、電気
特性を有するGa1-x Inx Ny As1-y 、GaNy A
s1- y 結晶を有する光学素子、電子素子が得られる。こ
こで、実用に十分な水素不純物濃度は5×1018個以下
である。
い場合も、窒素−水素結合を切断する熱処理、水素濃度
を低減する熱処理により、結晶の高品質化が図られ、電
気特性、光学特性が良好な光学素子を得ることができ
る。
により窒化物結晶固有の問題を解決し、良好な結晶を得
ることができる。
うことで、結晶成長の省時間と省エネルギにも有利であ
り、素子の大量生産が可能である。
半絶縁性GaAs(001)基板を用いた。III族の
Ga,In原料としてトリエチルガリウム(TEG)、
トリメチルインジウム(TMIn)を、V族のN,A
s,P原料としてジメチルヒドラジン(DMHy)、タ
ーシャリブチルアルシン(TBAs)、ターシャリブチ
ルフォスフィン(TBP)を用いた。キャリアガスには
水素を用いた。成長炉内の圧力は、76Torrに設定
した、成長温度は、530℃、550℃、600℃の3
水準で変えた。
格子整合したGa0.9 In0.1 N0. 035 As0.965 結晶
を得ることができた。[TBAs]/([TEG]+
[TMI])モル供給比=1.8で固定として、成長温
度530、550、600℃では、[DMHy]/
([DMHy]+[TBAs])モル供給比を、それぞ
れ0.98,0.982,0.985とすることでGa
As(001)基板に格子整合した。また、それぞれの
成長温度で、上記のモル供給比を増減させることによっ
て窒素濃度を調整した。
れていないが、GaAs(001)基板に格子整合し
た、In濃度がより高いGa0.85In0.15N0.053 As
0.947結晶は、[TBAs]/[TEG]+[TM
I])モル供給比=2で固定として、成長温度530、
600℃では、[DMHy]/([DMHy]+[TB
As])モル供給比を、それぞれ0.984,0.98
7とすることで、GaAs(001)基板に格子整合し
たGaInNAs結晶が得られた。
とおりである。[TBAs]/[TEG]モル供給比=
5で固定とし、[DMHy]/([DMHy]+[TB
As])モル供給比を0.256−0.9の間で窒素濃
度に合わせて変化させた。成長温度は、530,55
0,600℃の3水準を用いた。
(a)は、光学特性評価用ダブルヘテロ(DH)構造を
示す図であり、(b)は電気的特性評価用単層構造を示
す図である。
体レーザの構造を簡略化したGaInNAsおよびGa
NAs薄膜結晶の、上下がGaAsで挟まったダブルヘ
テロ構造(DH構造)を用いた。これを用い、光学特性
の変化を、蛍光の強度を測定することにより調べた。簡
略化した構造を用いた理由は、図1に示すような実際の
レーザ構造を用いると、GaInNAsおよびGaNA
s結晶からの蛍光が上下の材料種が異なる層で散乱吸収
され、測定が精密に行なえないためである。
aInNAsおよびGaNAs層は500nmとした。
また、電気的特性測定用には、図5(b)に示す、受光
ダイオードを簡略化したGaInNAsおよびGaNA
s薄膜結晶単層を用いた。これは、実際の構造を用いる
と、p型とn型が接合を形成する実際の構造では、他の
層の特性の変化も計測されるためである。測定は、室温
でホール測定法と呼ばれる方法を用いた。GaInNA
s層およびGaNAs層の厚みは500nmとした。
ゴンレーザで発生する波長514nmの光を照射し、結
晶から出てくる蛍光強度をゲルマニウム製検出器により
評価した。また、SIMSによる不純物濃度の分析に
は、セシウムイオンを試料に照射し、スパッタされる水
素負イオン(H- )を検出した。絶対濃度は、同時に検
出されるAsイオンと比較校正することで算出した。測
定系の校正は、別途作製したNイオンをGaAs薄膜に
注入した校正試料を用い注意深く行なった。
て、GaNAsでは、600℃での成長の場合、窒素濃
度を1.8×1019〜1.5×1021の範囲で変化させ
たが、水素濃度は2.9×1017〜1.1×1018と低
濃度となっている。この試料の蛍光強度は、InGaA
sPの強度を20とすると、GaNAsは2.3〜26
となり、どの窒素濃度においても実用可能な蛍光強度が
得られている。
に強い相関がある。窒素濃度が1.8×1019〜1.0
×1020と低い範囲では、水素濃度は3.8×1017〜
2.7×1018であり、蛍光強度も1.8〜14となっ
た。一方、窒素濃度が1.9×1020〜5.5×1020
と高い範囲では、水素濃度が5.9×1018〜1.9×
1019となり、蛍光強度も0.09〜0.87と低くな
り、実用に十分ではない。
0.035 As0.965 の組成で成長した場合、成長温度53
0、550、600℃では、窒素濃度が7.2×1020
で水素濃度6.2×1019、8.9×1018、8.2×
1017となり、それぞれ蛍光強度は0(検出限界以
下)、0、2.4となる。したがって、水素濃度が5×
1018以下の場合のみ、実用に十分な蛍光強度が得られ
ている。
場合、Ga1-x InxNy As1-y ,GaNy As1-y
ともに結晶中の水素濃度が1cm3 あたり5×1018個
以上となる(図2と図3参照)。
を成長終了後、下記の条件で再加熱し、光学特性と電気
的特性の測定を行なった。
るのを防止するため、プラズマCVD法により、SiN
膜を100nm成長した。SiN膜は、熱処理後に5%
フッ酸で除去した。
Torrにし、熱処理した。熱処理には、石英製の加熱
炉を用いた。以下に、GaN0.012 As0.988 の試料を
熱処理した例を示す。熱処理温度が300、500、6
00、650、700、750、800、850、90
0、1100℃の10水準で行なった例を示す。室温か
ら最高到達温度までの昇温速度は1分間あたり80℃で
ある。熱処理温度に達した後、温度を10分間保持す
る。この後、室温まで1分間あたり80℃の降温速度で
室温まで冷却する。
を示す。
0℃以下までは、熱処理温度を上げるに従い、蛍光強度
が向上する。700℃より高い温度では、蛍光強度が下
がるが、未処理の場合に比較して蛍光強度が高い。
の試料中の水素−窒素結合、蛍光強度の変化を示す。7
00℃の熱処理で水素−窒素結合は完全に切断され、実
用に十分な蛍光強度が得られることがわかる。表6に示
すように、水素濃度は700℃の熱処理では低下せず、
800℃以上の熱処理が必要であることがわかる。
料を、上記の実験で蛍光強度が最高であった温度700
℃で熱処理し、熱処理時間を10秒から2時間まで変化
させた。
軸の熱処理時間は到達温度での積算時間である。用いた
装置は、急速加熱が可能なrapid thermal annealing
(RTA)装置を用いた。雰囲気は窒素中で、圧力は7
60Torrとした。
分な蛍光強度が得られる。熱処理時間を増やすに従い、
蛍光強度が上がることが確認された。
濃度の関係から、実用に十分な蛍光強度を有しない試料
について、700℃の熱処理を施した。その結果、図6
(GaNAsの場合)と図7(GaInNAsの場合)
を参照して、GaNAs,GaInNAsともに蛍光強
度か改善され、実用に十分な特性が得られた。
を示す。
0.035 As0.965 である。300℃以上800℃以下ま
では、到達温度を上げるに従い、比抵抗が低下する。8
00℃より高く、1100℃以下では、温度を上げるに
従い、比抵抗はほぼ一定である。
2に挙げた成長温度530℃で、GaN0.012 As
0.988 ,Ga0.9 In0.1 N0.035 As0.965 DH構造
を成長した。熱処理をしない状態では、十分な蛍光特性
が得られないが、DH構造を成長終了後、降温すること
なく熱処理を行なった。
合の温度プロファイルを示す。図9は、素子構造を成長
後、降温することなく熱処理する場合の熱処理の時間と
温度およびガス供給の変化を示す。DH構造成長終了時
には、最上層のGaAs層を成長するため、水素、TM
G、TBAsのガスを試料上に供給している。熱処理時
には、GaAs層からのAs抜けを防止するために、温
度を変化させる際に水素とTBAsのみを供給する。熱
処理温度は、700℃と900℃の2種類とした。熱処
理温度で10分間保持後、室温まで冷却した。冷却時、
300℃でTBAsの供給を停止した。
を表9に示す。
光強度が得られることがわかった。表9に、SIMSの
結果を合わせて示す。700℃では、水素濃度の大きな
低下は見られなかったが、蛍光強度は向上している。7
00℃では、水素−窒素結合により赤外吸収は0であっ
た。900℃では、水素濃度が1桁以上低下し、蛍光強
度も改善されている。
例1に挙げた成長方法により、成長温度600℃で、G
aN0.012 As0.988 ,Ga0.9 In0.1 N0. 035 As
0.965 DH構造を成長した。熱処理をしない状態でも、
十分な蛍光特性が得られているが、熱処理を施し、結晶
性の改善を行なった。このときの成長条件では、水素濃
度は5×1018個以下になることが、実施例1で確認さ
れている。
囲気中でDH構造の熱処理を行なった。結果を表10に
示す。
は、500、700、800、900、1100℃の5
水準とした。それぞれの温度で、蛍光強度に大きな変化
は観察されないが、温度を上げるに従い、蛍光強度の半
値幅が小さくなることが確認された。
ことなく、引続き行なった。実施例1で示した成長方法
でDH構造を成長後、実施例3に示した温度、ガス供給
方法により熱処理を施した。熱処理温度は、700℃、
900℃である。結果を表11に示す。
も、蛍光強度の半値幅が小さくなることが確認された。
これは、熱処理により結晶性の改善が進んだためである
と考えられる。これにより、より信頼性が高いレーザダ
イオードなどの作製が可能である。
ば、発光素子の発光特性の向上、動作信頼性の向上、受
光素子の受光感度の向上、動作信頼性の向上が得られる
という効果を奏する。
体レーザと受光ダイオードの断面図である。
相関関係を示す図である。
度の相関関係を示す図である。
ピークと蛍光強度の変化を測定した結果を示す図であ
る。
導体装置の断面図であり、(b)は電気的特性評価用単
層構造の半導体装置の断面図である。
と水素濃度との関係を示す図である。
濃度と水素濃度との関係を示す図である。
ファイルを示す図である。
る場合の熱処理の時間と温度およびガス供給の変化を示
す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 GaAs半導体基板と、 前記GaAs半導体基板の上に設けられ、Ga1-x In
x Ny As1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.1
5)および/またはGaNy As1-y (0<y≦0.0
7)からなる、III−V族混晶半導体に窒素を含有さ
せた半導体層と、を備え、 前記半導体層中の水素濃度が、1cm3 あたり5×10
18個以下にされている化合物半導体装置。 - 【請求項2】 GaAs半導体基板を準備する工程と、 前記GaAs半導体基板の上に、Ga1-x Inx Ny A
s1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.15)および
/またはGaNy As1-y (0<y≦0.15)からな
る、III−V族混晶半導体に窒素を含有させたもので
あり、1cm3あたり5×1018個以上の水素を含む半
導体層を形成する工程と、 前記半導体層を、非酸化性雰囲気下、ヒ素系ガス雰囲気
下、リン系ガス雰囲気下、または真空下で、800℃以
上1100℃以下で熱処理し、それによって前記半導体
層中の水素不純物濃度を低減させる工程と、を備えた化
合物半導体装置の製造方法。 - 【請求項3】 GaAs半導体基板を準備する工程と、 前記GaAs半導体基板の上に、Ga1-x Inx Ny A
s1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.15)および
/またはGaNy As1-y (0<y≦0.07)からな
る、III−V族混晶半導体に窒素を含有させたもので
あり、1cm3あたり5×1018個以上の水素を含む半
導体層を形成する工程と、 前記半導体層を非酸化性雰囲気下、ヒ素系ガス雰囲気
下、リン系ガス雰囲気下、または真空下で、500℃以
上800℃未満で熱処理し、それによって前記半導体層
中の水素不純物と窒素の結合を切断する工程と、を備え
た化合物半導体装置の製造方法。 - 【請求項4】 前記熱処理を、前記半導体層を前記基板
の上に成長後、降温することなく、直ちに行なう、請求
項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。 - 【請求項5】 前記熱処理を、前記半導体層を前記Ga
As半導体基板の上に成長後、降温することなく、直ち
に行なう、請求項3に記載の化合物半導体装置の製造方
法。 - 【請求項6】 GaAs半導体基板を準備する工程と、 前記GaAs半導体基板の上に、水素濃度が1cm3 あ
たり5×1018個以下にされた、Ga1-x Inx Ny A
s1-y (0<x≦0.35,0<y≦0.15)および
/またはGaNy As1-y (0<y≦0.07)からな
る、III−V族混晶半導体に窒素を含有させた半導体
層を形成する工程と、 前記半導体層を、非酸化性ガス雰囲気中、ヒ素系ガス雰
囲気中、リン系ガス雰囲気中、または真空下で、500
℃以上1100℃以下で熱処理し、それによって、結晶
特性と光学特性の改善を行なう工程と、を備えた化合物
半導体装置の製造方法。 - 【請求項7】 前記熱処理を、前記半導体層を前記Ga
As半導体基板の上に成長させた後、降温することな
く、直ちに行なう、請求項6に記載の化合物半導体装置
の製造方法。
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