JPH11273420A - 照明装置 - Google Patents

照明装置

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JPH11273420A
JPH11273420A JP10072157A JP7215798A JPH11273420A JP H11273420 A JPH11273420 A JP H11273420A JP 10072157 A JP10072157 A JP 10072157A JP 7215798 A JP7215798 A JP 7215798A JP H11273420 A JPH11273420 A JP H11273420A
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JP
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illuminance
area
luminance
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visual
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JP10072157A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Tanabe
吉徳 田辺
Shiro Otake
史郎 大竹
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高齢者の読書にとって最適な光環境を供給す
るとともに必要以上の光エネルギーを用いず省エネルギ
ー効果を有する照明装置を実現する。 【解決手段】 被照面において、視対象物を置く領域を
定めて照明する読書モードと、前記領域を定めないで照
明する通常モードとを有し、前記二つのモードを切り替
えられる構成とし、前記読書モードにおいて視対象物に
対する可視度を4.6以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高齢者のための屋
内用の照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に人間の視覚は、高齢になるほど視
力が低下する、グレアを感じやすくなる、明暗順応への
反応が遅くなるなど、その機能が低下する。したがっ
て、高齢者にはそのような視機能の低下を補えるように
工夫された照明環境が望まれる。
【0003】視覚機能のなかで最も重要と考えられる視
力低下に対しては、照度を高くすることにより改善でき
ることが知られている。すなわち、高齢者用の照明とし
て若年齢者よりも高い照度が必要であるとされてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高齢者
に必要とされる照度には諸説があり明確でなく、かつ諸
説の推奨する照度は実態と合っていない。日本工業規格
JIS Z9110(1979年)によれば、読書には
600〜1500ルクスが必要である(JISの基準照
度は300〜750ルクスであるが、これは青年を対象
にしたものであり、高齢者に対しては2倍または数倍高
くすることが望ましいと記されているので2倍した数値
である。)。
【0005】また、財団法人建材試験センターの報告書
(住宅性能標準化のための調査研究報告書、1977年
及び1978年)によれば、高齢者(60歳代)にとっ
て、高さ2ミリメートルの文字(新聞の活字より少し小
さい)が楽に読める照度は70ルクスである。
【0006】また、同報告書によれば高齢者が必要とす
る照度は文字の大きさによって異なるが、若年齢者(2
0歳代)のそれの約3.5〜10倍である。さらに社団
法人照明学会の資料(新時代における照明の調査研究報
告書、1984年)によれば、20歳の必要照度を基準
にすれば、70歳の場合は約3倍の照度が必要である。
【0007】この倍数を前記日本工業規格の推奨照度に
掛けると900〜2250ルクスの照度が必要であるこ
とになる。このように高齢者の読書に対しての必要照度
について諸説がある一方で、居間の照度の実態は150
〜300ルクスである(柏、平成8年照明学会全国大会
予稿集p182、1996年)。
【0008】この照度範囲は、前記日本工業規格社団法
人照明学会の資料に記載されている1000ルクス以上
の推奨照度は社会的なコンセンサスが得難く、かつエネ
ルギー資源の浪費につながりやすい。また、財団法人建
材試験センターの報告書に記載されている70ルクスは
実態よりも低い。
【0009】以上のように、文字の読みやすさと所要照
度に関する研究はなされているものの、実態とはかけは
なれている。すなわち、照明業界で実際に製品化につな
げることのできる高齢者の読書にとって最適な照度の値
は事実上得られていない。
【0010】本発明は、通常は実態に即した照度で照明
し、読書時は高齢者にとって最適な照度で照明すること
により省エネルギー効果を有する照明装置を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達す
るため、被照面において視対象物を置く領域を定めて照
明する読書モードと、前記領域を定めないで照明する通
常モードとを有し、前記二つのモードを使用者が切り替
えられ、前記読書モードにおいて視対象物に対する可視
度を4.6以上とすることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0013】本発明の原理図を図1に示す。屋内照明に
おいて、居住者の行為は読書のみではない。歩行移動し
たり、簡単な作業をしたり、テレビジョン受像機のよう
に自発光の表示装置を見たりしている。一般にこれらの
行為は読書に比べて低い照度レベルでよく、これが居間
の照度の実態に近い。
【0014】本実施の形態では、図1aに示すように読
書時にのみ、被照面において視対象物を置く領域を定
め、その領域を高齢者の読書にとっての必要照度で照明
し、それ以外の領域の照度は前記必要照度よりも低くす
る(以下、読書モード)。
【0015】読書以外のときは、図1bに示すように前
記領域を定めず、前記必要照度よりも低い、実態に即し
た照度で照明する(以下、通常モード)。これらのモー
ドは居住者がスイッチやリモコンで切り替えることがで
きる構成としてもよいし、センサ、撮像装置、画像認識
装置などを組み合わせて読書行為を検知するシステムか
らの信号をもとに切り替える構成としてもよい。
【0016】このように本発明は、通常は実態に即した
照度で照明し、読書時は読書にとって最適な光環境を供
給できるとともに必要以上の光エネルギーを用いないた
め省エネルギー効果を有する照明装置にできる。
【0017】「発明が解決しようとする課題」において
ふれたとおり、高齢者の読書にとって最適な照度の値は
事実上得られていない。この最適な照度のデータを得る
には膨大な作業量を要するので、それを得ることは実質
的に困難である。
【0018】そこで、発明者らは、日本工業規格JIS
Z9110のもとになった実験に対して、物の見え方
の定量的評価技術として、国際的にオーソライズされて
いる可視度の考え方を用いて再分析を行ない、高齢者が
文字を読む場合の所要照度を得た。以下、そのプロセス
を説明する。
【0019】JISの照度基準の基礎となっているの
は、印東らの研究(照明学会誌、第49巻、pp52〜
63、1965年)である。印東らは二つの実験を行な
っている。その一つは、種類、大きさ及びコントラスト
がそれぞれ異なる文字を視標として、ケント紙上の15
センチメートル平方のところに縦横それぞれ10文字ず
つ計100文字をランダムに配置した刺激表を3種類つ
くり、照度を変えて2メートル離れた位置から文字の読
みやすさを被験者に評価させた実験である。
【0020】今一つは、新聞と英和コンサイス辞典から
任意に選び出した漢字で同様な刺激表を3種類つくり、
同様に照度を変えて30センチメートル離れた位置から
被験者に評価させた実験である。
【0021】被験者は、慶応大学の心理学研究室関係者
の男性2名、女性2名である。年齢の記載はないが、文
脈と実験風景の写真から20数歳〜30数歳と考えられ
るので、以下、25歳として扱った。彼らの結論は実験
データの回帰式として、文字の読みやすさYは(1)式で
表せるというものである(河合ら、照明学会誌、第57
巻、p80〜83、1973年)。
【0022】 Y=11 logE+0.5C+9√D(A−1)+32 ・・・ (1) ただし、Yは文字の読みやすさで、Yの値に対して次の
ように対応する。
【0023】すなわち、Y=100〜90は「非常に読
みやすい」、Y=90〜70は「読みやすい」、Y=7
0〜55は「だいたい普通に読める」、Y=55〜40
は「細かいところまで完全には見えない」、Y=40〜
20は「読めるけれど努力を要する」、Y=12は「読
めると読めないとの境目」、Y=0は「見えると見えな
いとの境目」である。
【0024】Eは照度(単位ルクス)である。Cは輝度
対比(単位パーセント)であり、C=[|(背景輝度−
視対象物輝度)|/背景輝度 ]×100で定義され
る。Dは観測距離(単位センチメートル)で、Aは文字
の大きさ(単位センチメートル)である。
【0025】図2に大きさ3ミリメートルかつ輝度対比
80%の文字(一般的な新聞における本文の文字の大き
さ)について、(1)式から求めた照度Eと読みやすさ
Yとの関係を示す。図2から、住宅のように150〜3
00ルクスの場合、文字の読みやすさは「だいたい普通
に読める」の範疇にあるといえる。
【0026】物の見え方は、照明と視対象物および視作
業者の条件によって異なる。たとえば、照明の条件は照
度やグレアの有無などであり、視対象物の条件は大き
さ、反射率、形状、提示時間、提示場所(視線上あるい
は視線外)、背景の反射率などである。
【0027】視作業者の条件は、年齢、順応状態、注視
の程度(どの程度注意を集中しているか)、予知の程度
(予め視対象物の存在を知っているか否か)などであ
る。
【0028】可視度は、これらの照明条件、視対象物の
条件、視作業者(観測者)を定めて基準の条件を設定
し、基準の条件における視作業者の輝度対比弁別閾Cth
(基準視対象物の存在を知覚することができる、視対象
物輝度とその背景輝度との最小の輝度対比、図3参照)
と、見え方を評価しようとしている実際の照明施設にお
ける視対象物とその背景の輝度対比Cとの比(C/Ct
h)と定義されている。
【0029】可視度は、物の見え方のレベル(見えやす
さ)を評価しようとするものであり、照明や視対象物お
よび視作業者の実際の条件が基準条件と異なる場合は、
それぞれの条件の相違を補正する係数を与える。
【0030】なお、可視度の値が大きいほど物は見えや
すいことになるが、国際照明委員会の技術報告書(出版
物第19.1および第19.2、1981年)では、採
用すべき可視度の値はその時代の社会情勢(投資効果か
らみたコンセンサス)を踏まえて照度の水準を決定すべ
きであるとして、可視度の推奨値そのものは示していな
い。
【0031】発明者は、日本工業規格JIS Z911
0の基準照度の基になった実験条件における可視度VL
を計算によって求め、文字の読みやすさYと可視度VL
との関係を解析した。その結果、読みやすさYと可視度
VLとの間には、下記の関係があることを明らかにし
た。
【0032】 VL=0.34Y−14.1 ・・・・・ (2) 図4に年齢を25歳としたときの文字の読みやすさYと
可視度VLとの関係を示す。図4から、文字の読みやす
さとして「だいたい普通に読める」(Y>55)ために
は、VL の値として4.6以上が必要であり、「読み
やすい」(Y>70)ためには9.6以上が必要である
といえる。
【0033】以上のことから、高齢者に対して可視度V
Lが計算できれば、読みやすさYを推定することができ
る。この高齢者に対しての可視度VLを得るには、輝度
対比弁別閾Cthが加齢によってどのように変化するかを
知る必要がある。人間の視覚系は、眼球から網膜表面ま
での眼球光学系と網膜細胞から大脳までの視覚神経系と
に大別される。
【0034】これらのうち、視覚神経系における加齢の
影響は存在するが眼球光学系のそれと比べて小さい。さ
らに、眼球光学系において最も加齢の影響があるのは水
晶体である。したがって、水晶体の加齢の影響を考慮す
れば、高齢者の輝度対比弁別閾を推定することできる。
【0035】水晶体が受ける加齢の影響は、白濁化と透
過率の低下である。白濁化は光の眼球内散乱を引き起こ
し、網膜に投影される像のコントラストを減じて見え方
を低下させる。透過率の低下は網膜に達する光量を減少
させる。これらの影響を分離して解析する必要がある。
【0036】輝度対比Cは、C=[|(背景輝度−視対
象物輝度)|/背景輝度 ]で定義されている。一方、輝
度差ΔLは△L=|(背景輝度−視対象物輝度)|で与
えられる。輝度差弁別閾△Lmin は、弁別できる対象物
と背景との最小の輝度差である。従って輝度差弁別閾△
Lmin は、図3に示した輝度対比弁別閾Cthのデータか
ら△Lmin =C×(背景輝度)として変換できる。変換
したのが図5の曲線Aである。輝度差弁別閾ΔLmin
は、二つの要因で決まる。
【0037】ひとつは、周辺視野の影響を受けないで中
心窩が背景輝度に順応していることによるものである
(この順応している輝度を中心窩順応輝度Lafと呼ばれ
る)。いまひとつは、周辺視野内に輝度の高い光源があ
ると、その光源から目に入射した光が眼球内で散乱し、
その散乱光によって、中心視での物の視認性が低下する
ことによるものである。
【0038】周辺視野にある1個の光源が輝度差弁別閾
に与える影響は、その光源によって増加した輝度差弁別
閾と等しい輝度差弁別閾を生ずる光幕の輝度でされる。
この光幕の輝度は等価光幕輝度Leqと呼ばれる。周辺視
野の影響を受けない(等価光幕輝度がゼロ)条件下、つ
まり、中心窩順応輝度と輝度差弁別閾△Lafの関係を図
5の曲線Bに示す。
【0039】等価光幕輝度と輝度差弁別閾△Leqを図5
の曲線Cに示す。輝度差弁別閾に関して中心窩順応輝度
による輝度差弁別閾△Lafと等価光幕輝度による輝度差
弁別閾△Leqとは加法性が成立し、△Lmin=△Laf
+△Leqである。
【0040】等価光幕輝度Leqは周辺から目に入射する
光が眼球内で散乱することにより生ずる影響であるか
ら、高齢により水晶体が白濁化すればその影響は大きく
なる。20歳代に比べて70歳の等価光幕輝度Leqは2
倍になる(フォス、CIEジャーナル、第3巻、198
4年)。このことから、図6の曲線B(20歳代の等価
光幕輝度による輝度差弁別閾△Leq、図5の曲線Bと同
じ曲線)を70歳のデータとして補正すると、図6の曲
線B'になる。
【0041】中心窩順応輝度は、高齢による水晶体の透
過率低下の影響を受ける。水晶体は高齢に伴い茶褐色化
し透過率が低下する。図7に、波長をパラメータにと
り、年齢と水晶体の光学濃度との関係を示す(セッド
ら、ジェロントロジア、第3巻、p213〜231、1
959年)。
【0042】縦軸の光学濃度は透過率τの逆数の対数値
(log(1/τ))である。白色光源を想定して、最大視感
度555ナノメートルにほぼ等しい558ナノメートル
の波長の光学濃度を透過率に置換し、25歳の場合と7
0歳の場合の透過率を求めると70歳の透過率は25歳
の約70%に低下する。
【0043】中心窩順応輝度からすれば70歳の場合、
25歳の約1.4(1/0.7)倍の照度を与えたとき
と等価となることを示している。したがって、図6の曲
線C(中心窩順応輝度による輝度差弁別閾△Laf 、図5
の曲線Cと同じ曲線)を70歳のデータとして補正する
と図6の曲線C'になる。
【0044】高齢者の輝度差弁別閾△Lは、年齢補正し
た△Leq(図6曲線B')と△Laf(図6曲線C')との和
であり、図6の曲線A'に示す。このようにして求めた
高齢者の輝度差弁別閾ΔLから、高齢者の輝度対比弁別
閾Cthを求め直し、JIS可視度を計算した。
【0045】図8にJIS Z9110のもとになった
観測実験条件における照度Eと可視度VLとの関係を示
す。図8において曲線Aは若年齢者(25歳)につい
て、曲線Bは高齢者(70歳)についての計算結果であ
る。
【0046】図8から、照度を800ルクス以上にすれ
ば高齢者の可視度を4.6以上にすることができ、した
がって「だいたい読める」光環境を提供できる。
【0047】しかしながら、読書のためにのみ常に高照
度を維持することはエネルギーの浪費である。このた
め、図1で説明したように、読書時にのみ、被照面にお
いて視対象物を置く領域を定め、その領域を視対象物の
可視度が4.6以上とできる照度で照明し、それ以外の
領域の照度は前記必要照度よりも低くし、読書以外のと
きは、前記領域を定めず、前記必要照度よりも低い、実
態に即した照度で照明する。
【0048】等価光幕輝度が可視度に及ぼす影響を図9
に示す。図9で、横軸は照度の対数値、縦軸は可視度、
パラメータは等価光幕輝度の割合である。図9から、一
様な背景輝度の場合の等価光幕輝度を100%とした場
合に比べて、等価光幕輝度を80%の割合にすれば30
0ルクスの照度で、等価光幕輝度を60%の割合にすれ
ば150ルクスの照度で可視度を4.6にすることがで
きる。本発明の読書モードにおいて、一様な背景輝度の
場合に対する等価光幕輝度の割合と、視対象物を置く領
域の大きさとの関係を図10に示す。
【0049】図10においてパラメータは、前記視対象
物を置く領域の照度Eaと前記領域外の照度Ebとの比
r=Eb/Eaである。領域の大きさは、視対象物を見
る分解能の高い中心窩よりも大きい必要があるため視角
寸法4度以上とする。
【0050】また、図10から等価光幕輝度の割合は4
0度で飽和することから、領域の大きさを視角寸法40
度以下とする。すなわち、居住者の眼と視対象物(新聞
等)との距離を50センチメートルとすると、3.5〜
36センチメートルの領域を照明する。
【0051】対象物を置く領域の照度Eaと前記領域外
の照度Ebとの比rは、減少させる等価光幕輝度の割合
と照明する領域の大きさによって決まる。照度が低いほ
どrは小さな値である必要がある。照明レベルの実態と
して、下限は150ルクスである。この照度値で高齢者
の可視度を4.6以上にするには、等価光幕輝度の割合
を一様な背景の場合に比べて60%以下にすればよい。
【0052】また、領域が大きいほどrは小さい値であ
る必要がある。等価光幕輝度の割合を一様な背景の場合
に比べて60%以下とするとき、領域の大きさが視角寸
法4度(下限)の場合、rは0.6以下であればよい。
領域の大きさが25度以上の場合は、rをどれだけ小さ
くしても等価光幕輝度の割合を60%にすることはでき
ない。
【0053】高齢者において等価光幕輝度の割合を40
%以下にした場合、照度と視対象物の可視度との関係
は、若年齢者における一様な背景での照度と視対象物の
可視度との関係に近い。図10から、等価光幕輝度の割
合を40%以下とするには、たとえば視対象物を置く領
域の大きさを視角寸法10度とし、rを0.1以下にす
ればよい。
【0054】通常モードにおける照度Ecは、150〜
300ルクスの範囲とする。このように設定することに
より、読書以外の行為をするための照度を居住空間にお
ける照度の実態と即すことができる。
【0055】前記読書モードにおいて、視対象物を置く
領域外の照度Ebを150〜300ルクスとすることに
より、注目する視対象物以外は通常モードと同じ照度レ
ベルで照明できる。たとえば、Eb=300ルクスとし
た場合、r=0.6以下であるからEaは500ルクス
以上とする。
【0056】このような照度設定をすることにより、読
書をしている居住者以外の行為は普段とかわりなく行な
うことができるばかりか、モードの切り替わりにおける
照度変化が小さいため読書以外の行為は妨げられること
はない。
【0057】本発明による実施例の照明装置の断面図を
図11に示す。図中11は本体、12は視対象物照明用
光源、13は狭角照明用光学系、14は周辺照明用光
源、15は透光性パネル、16は点灯制御装置、21は
視対象物を置く領域、22は視対象物を置く領域外であ
る。
【0058】図11において、本体1は天井に吊り下げ
る構成であるが、埋め込みであっても、導光体で別の場
所から照明光を導く構成であってもかまわない。図11
に示すように、点灯制御装置16は、視対象物照明用光
源12および周辺照明用光源14の点灯制御をする電源
回路を設置する場所の一例を示したものであり、これ以
外の場所に設置されていてもよい。視対象物照明用光源
12と狭角照明用光学系13とを組み合わせることによ
り、視対象物を置く領域21に照明光を集光する。
【0059】周辺照明用光源14と透光性パネルとを組
み合わせることにより、視対象物を置く領域21および
視対象物を置く領域外22とを、照度勾配を急峻とせず
に照明する。
【0060】図11の照明装置によってEb=Ecを実
現した場合の照度分布の断面図を図12に示す。図12
aに読書モード、図12bに通常モードの照度分布を示
す。いずれも横軸は被照面のであり、縦軸は照度であ
る。
【0061】図12において、31は視対象物照明用光
源12からの光による照度分布、32は周辺照明用光源
14からの光による照度分布、33は読書モードにおけ
る照度分布である。視対象物を置く領域21は、視対象
物照明用光源12からの光による照度分布31および周
辺照明用光源14からの光による照度分布32の和であ
る。視対象物を置く領域外の照度分布は、周辺照明用光
源14からの光による照度分布32がそのまま反映す
る。
【0062】図12bにおいて、通常モードにおいて、
視対象物照明用光源12を消灯すれば、照度分布は周辺
照明用光源14からの光による照度分布32となる。こ
のように構成することにより、読書モードにおける視対
象物を置く領域外22の照度Ebと通常モードにおける
照度Ecとを同じにすることができ、モードの切り替わ
りにおける照度変化をなくすことができる。
【0063】また、視対象物を置く領域の照度Eaを1
50〜300ルクスとすることにより、注目する視対象
物そのものを通常モードと引き続き同じ照度レベルで照
明できる。たとえば、Ea=150ルクスとした場合、
r=0.6以下であるから、Ebは90ルクス以下とす
る。このような照度設定をすることにより、読書をする
居住者本人において中心窩順応輝度を一定とすることが
できる。このため、読書モードの切り替わり前および通
常モードへの復帰後とで、居住空間内の物の見えを維持
できる。
【0064】図11に示す構成の照明装置でEa=Ec
を実現した場合の照度分布の断面図を図13に示す。図
13aに読書モード、図13bに通常モードの照度分布
を示す。いずれも横軸は被照面であり、縦軸は照度であ
る。
【0065】図13において、41は視対象物照明用光
源12からの光による照度分布、42は読書モードにお
ける周辺照明用光源14からの光による照度分布、43
は読書モードにおける照度分布、44は通常モードにお
ける周辺照明用光源14からの光による照度分布であ
る。
【0066】視対象物を置く領域21は、視対象物照明
用光源12からの光による照度分布41および読書モー
ドにおける周辺照明用光源14からの光による照度分布
42の和である。視対象物を置く領域外の照度分布は、
読書モードにおける周辺照明用光源14からの光による
照度分布42がそのまま反映する。
【0067】図12bにおいて、通常モードにおいて、
視対象物照明用光源12を消灯すれば、通常モードにお
ける照度分布は周辺照明用光源14からの光による照度
分布32となる。被照面の任意の点において、通常モー
ドにおける周辺照明用光源14からの光による照度のほ
うを読書モードにおける周辺照明用光源14からの光に
よる照度よりも高く設定し、かつ通常モードにおける周
辺照明用光源14からの光による照度と視対象物を置く
領域の照度とが一致するように視対象物照明用光源12
を調光する。
【0068】このように構成することにより、読書モー
ドにおける視対象物を置く領域外22の照度Eaと通常
モードにおける照度Ecとを同じにすることができ、読
書モードの切り替わり前および通常モードへの復帰後と
で、居住空間内の物の見えを維持できる。
【0069】高齢者でも「読みやすい」照明条件とする
には、前記読書モードにおいて視対象物に対する可視度
を9.6以上とすればよい。この可視度を達成するに
は、図9から等価光幕輝度の割合を少なくとも60%以
下とする必要がある。
【0070】等価光幕輝度の割合が60%のとき、Ea
を10000ルクスとすれば可視度9.6となる。等価
光幕輝度の割合を60%にするには、図10からr=
0.2以下(照度Ebが200ルクス以下)かつ視対象
物を置く大きさを20度以下とすればよい。
【0071】等価光幕輝度の割合を50%のとき、Ea
を3000ルクス以上とすれば可視度9.6以上とな
る。等価光幕輝度の割合を50%にするには、r=0.
1以下(照度Ebが300ルクス以下)かつ視対象物を
置く大きさを15度以下とすればよい。この場合、通常
モードにおける照度Ec=Ebとすれば、モードの切り
替わり前後で、視対象物を置く領域外2で行なっている
視作業に影響はなく、かつ通常モードが実態(150〜
300ルクス)と合致する。
【0072】等価光幕輝度の割合を40%とすれば、視
対象物を置く領域の照度Eaを900ルクス以上とする
ことにより実現できる。等価光幕輝度の割合を40%に
するには、r=0.1の場合は領域の大きさは10度以
下とすればよい。
【0073】視対象物を置く領域の照度Eaを300ル
クスで可視度9.6以上を実現するには、等価光幕輝度
の割合を25%以下にすればよい。このとき領域の大き
さを6度とすれば、r=0.1以下とする。対象物を置
く領域の照度Eaを150ルクスで可視度9.6以上を
実現するには、等価光幕輝度の割合を15%以下にすれ
ばよい。このとき領域の大きさを4度とすれば、r=
0.1以下とする。
【0074】以上、述べたように、等価光幕輝度の割合
を減少させることにより、高い可視度も実現可能であ
る。そのための照明装置として、視対象物を置く領域2
1を照明する光源は、可視度実現に必要な狭角配光と強
度とを備えていればよい。
【0075】本発明の実施例である照明装置は、図11
にあるように視対象物を置く領域21を照明する構成要
素と視対象物を置く領域外22とを照明する構成要素と
が必ずしも一体である必要はない。
【0076】視対象物を置く領域21を照明する照明装
置と視対象物を置く領域外22を照明する照明装置とを
別々に設置し、被照面を本発明の記述にあるとおりの領
域の大きさおよび照度値で照明しても同様な効果が得ら
れる。視対象物を置く領域21を照明する照明装置を照
射方向可動とすれば、視対象物を置く領域21の位置を
変化させることができる。
【0077】また、複数の狭角配光の照明装置を天井面
に配置し、それらのうち一部を視対象物を置く領域21
に照明光を供給し、残りを視対象物を置く領域外22に
照明光を供給する構成であってもよい。
【0078】
【発明の効果】以上のように本発明は、高齢者の読書に
とって最適な光環境を供給するとともに、必要以上の光
エネルギーを用いないため、省エネルギー効果を有する
照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b) 本発明の原理を示す図
【図2】照度Eと読みやすさYとの関係を示すグラフ
【図3】背景輝度と輝度対比弁別閾との関係を示すグラ
【図4】文字の読みやすさYと可視度VLとの関係を示
すグラフ
【図5】背景輝度と輝度差弁別閾の関係を示すグラフ
【図6】加齢による補正を加えた背景輝度と輝度差弁別
閾の関係を示すグラフ
【図7】年齢と水晶体の光学濃度との関係を示すグラフ
【図8】照度Eと可視度VLとの関係を示すグラフ
【図9】等価光幕輝度が可視度に及ぼす影響を示すグラ
【図10】等価光幕輝度の割合と、視対象物を置く領域
の大きさとの関係を示すグラフ
【図11】本発明の実施例による照明装置の略断面図
【図12】(a),(b) 図11の照明装置による照度分布の
一例を示す断面図
【図13】(a),(b) 図11の照明装置による照度分布の
別の一例を示す断面図
【符号の説明】
1 視対象物を置く領域(照度Ea) 2 上記領域外(照度Eb)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被照面において視対象物を置く領域を定め
    て照明するモード(以下、読書モードという)と、前記
    領域を定めないで照明するモード(以下、通常モードと
    いう)とを有し、前記二つのモードを切り替えられる構
    成とし、前記読書モードにおいて視対象物に対する可視
    度を4.6以上としたことを特徴とする照明装置。
  2. 【請求項2】読書モードにおいて、視対象物を置く領域
    が居住者に対して視角寸法4度から40度の範囲である
    ことを特徴とした請求項1記載の照明装置。
  3. 【請求項3】視対象物を置く領域の照度Eaと前記領域
    外の照度Ebとの比r=Eb/Eaを0.6以下とした
    ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
  4. 【請求項4】通常照明モードの照度Ecが、150〜3
    00ルクスの範囲であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の照明装置。
  5. 【請求項5】読書モードにおいて、照度Ebが150〜
    300ルクス以下であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の照明装置。
  6. 【請求項6】読書モードにおいて、照度Eaが150〜
    300ルクスの範囲であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の照明装置。
  7. 【請求項7】読書モードにおいて、視対象物に対する可
    視度を9.6以上としたことを特徴とする請求項1記載
    の照明装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002352221A (ja) * 2001-03-22 2002-12-06 Matsushita Electric Works Ltd 読みやすさ評価方法及び評価システム
WO2009072430A1 (ja) 2007-12-07 2009-06-11 Sharp Kabushiki Kaisha 照明装置
JP2017098170A (ja) * 2015-11-27 2017-06-01 パナソニックIpマネジメント株式会社 照明装置

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