JPH11273141A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JPH11273141A
JPH11273141A JP10078917A JP7891798A JPH11273141A JP H11273141 A JPH11273141 A JP H11273141A JP 10078917 A JP10078917 A JP 10078917A JP 7891798 A JP7891798 A JP 7891798A JP H11273141 A JPH11273141 A JP H11273141A
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JP10078917A
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Kazuhiro Kaneko
和弘 金子
Tomohiko Onda
智彦 恩田
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光ビームに対する記録層の記録消去時の相対速
度が7〜20m/s で使用される光記録媒体の、C/N、消
去比、変調度、記録感度、及び繰り返し記録消去特性を
改善する。 【解決手段】 それぞれα、β、γ、及びδで表され
る、Au、In、Sb、及びTeの組成比率が、0原子%<α≦
25原子%、1原子%≦β≦17原子%、43原子%≦γ≦75
原子%、15原子%≦δ≦34原子%、ただし、99原子%≦
α+β+γ+δ≦100 原子%、であるカルコパイライト
型化合物で、光記録媒体1の記録層4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型記録材料
からなる記録層を有する光記録媒体に関し、特に、光ビ
ームに対する記録層の記録消去時の相対速度が7〜20m/
s で使用される光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高密度記録が可能で、しかも記録
情報を消去して書き換えることが可能な光記録媒体が注
目されている。書き換え可能型の光記録媒体のうち相変
化型の光記録媒体は、レーザー光を照射することにより
記録層の結晶状態を変化させ、このような状態変化に伴
う記録層の反射率変化を検出するものである。相変化型
の光記録媒体は単一の光ビームによるオーバーライトが
可能であり、また、駆動装置の光学系が光磁気記録媒体
のそれに比べて単純である点で優れている。
【0003】相変化型光記録媒体の記録層の材料として
は、結晶状態と非晶質状態とで反射率の差が大きく、非
晶質状態の安定度が比較的高い、Ge-Te 系材料が用いら
れることが多い。その代表的な材料例として、米国特許
第 3,530,441号に開示されているように、Ge-Te 、Ge-T
e-Sb-S、Ge-Te-S 、Ge-Se-S 、Ge-Se-Sb、Ge-As-Se、In
-Te 、Se-Te 、Se-As 等のいわゆるカルコゲン系合金材
料があげられる。
【0004】また、安定性、高速結晶化等の向上を目的
にGe-Te 系にAu(特開昭61-219692号公報)、Sn及びAu
(特開昭61-270190 号公報)、Pd(特開昭62-19490号公
報)等を添加した材料の提案や、記録/消去の繰り返し
性能向上を目的に Ge-Te-Se-Sbの組成比を特定した材料
(特開昭62-73438号公報)の提案等もなされている。し
かしながら、上述した組成のいずれもが相変化型書き換
え可能光記録媒体の記録層として要求される諸特性のす
べてを満足し得るものとは言えない。特に、記録感度、
消去感度の向上、オーバーライト時の消し残りによる消
去比低下の防止、並びに記録部、未記録部の繰り返し記
録消去特性の長寿命化が最も重要な課題となっている。
【0005】これに対し、最近、カルコパイライトと呼
ばれる化合物を応用することが提案されている。カルコ
パイライト型化合物は化合物半導体材料として広く研究
され、太陽電池等にも応用されている。カルコパイライ
ト型化合物は、化学周期律表を用いるとIb-IIIb-VIb2
やIIb-IVb-Vb2 で表される組成であり、ダイヤモンド構
造を2つ積み重ねた構造を有する。
【0006】これらカルコパイライト型化合物の中で特
にAgInTe2 は、SbやBiを用いて希釈することにより、光
記録媒体の記録層材料として使用できることが知られて
いる(特開平3-240590号公報、特開平3-99884 号公報、
特開平3-82593 号公報、特開平3-73384 号公報等)。こ
のようなカルコパイライト型化合物を用いた相変化型光
記録媒体の他、特開平4-267192号公報や特開平4-232779
号公報、特開平6-166268号公報には、記録層が結晶化す
る際にAgSbTe2 相が生成する相変化型光記録媒体が開示
されている。これらの記録材料を用いた光記録媒体は優
れたC/N、消去比、変調度、記録感度を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た組成のカルコパイライト型化合物の記録層は、繰り返
し記録消去の寿命が数千回程度しかなく、光磁気ディス
クの繰り返し記録消去の寿命が百万回であることと比べ
ると、必ずしも十分ではないという問題点があった。
【0008】本発明はこのような従来の問題点に鑑み、
特に、光ビームに対する記録層の記録消去時の相対速度
が7〜20m/s で使用される光記録媒体において、C/
N、消去比、変調度、記録感度が高く、更に、繰り返し
記録消去特性の優れた光記録媒体を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に係
る発明では、光ビームに対する記録層の記録消去時の相
対速度が、7〜20m/s で使用される光記録媒体におい
て、それぞれα、β、γ、及びδで表される、Au、In、
Sb、及びTeの組成比率が、0原子%<α≦25原子%、1
原子%≦β≦17原子%、43原子%≦γ≦75原子%、15原
子%≦δ≦34原子%、ただし、99原子%≦α+β+γ+
δ≦100 原子%、である記録層を有することを特徴とす
る。このうち、 2原子%≦α≦12原子%、3原子%≦β
≦11原子%、55原子%≦γ≦68原子%、25原子%≦δ≦
32原子%の組成範囲が特に好ましい。
【0010】このような構成の光記録媒体では、C/
N、消去比、変調度、及び記録感度に加え、繰り返し記
録消去特性も改善される。記録層が、Au、In、Sb、Teを
含有する可能性のある技術については、例えば、特開昭
60-177446 号公報、特開平1-307034号公報、特開平1-30
3643号公報、特開平1-251340号公報等に見ることができ
る。
【0011】しかしながら、特開昭60-177446 号公報、
特開平1-307034号公報、特開平1-303643号公報には、記
録層を構成する元素が多数羅列されているが、それらの
元素の多様な組み合わせの中で、Au、In、Sb、Teの組み
合わせも理論的には可能であることを伺わせる程度にと
どまり、本願発明のように、上記特定の元素を特定の比
率で含有する記録層についての記載や示唆は全く存在し
ない。
【0012】一方、特開平1-251340号公報には、Au、I
n、Sb、Teの4元素の構成比率を広範囲に規定した記録
層が開示されている。具体的には、Auは0〜30原子%、
Inは5〜80原子%、Sbは10〜90原子%、Teは0〜50原子
%までの範囲で可変であると思われ、本願発明に係る上
記4元素の構成比率が包含される可能性もある。しかし
ながら、特開平1-251340号公報では、AuとTeとは0原子
%でもよい(つまりAuとTeは必須構成要件ではない)と
認識されており、本願発明とは各元素の構成比率におい
て一致していない。更に、本願発明が目的とする記録層
の諸特性(C/N、消去比、変調度、記録感度、繰り返
し記録消去特性等)の改善、或いは光ビームに対する記
録層の記録消去時の最適相対速度についての記載や示唆
は全く存在しない。
【0013】本願発明の光記録媒体では、Auの組成比率
αの範囲は、0原子%<α≦25原子%が好ましく、更に
好ましくは2原子%≦α≦12原子%である。αが0原子
%になると、結晶転移速度が遅くなり、消去比が低下す
る。また、繰り返し記録消去寿命が低下する。αが上記
範囲を越えると、結晶転移速度が速くなり過ぎて、十分
な記録が難しくなる。
【0014】Inの組成比率βの範囲は、1原子%≦β≦
17原子%が好ましく、更に好ましくは3原子%≦β≦11
原子%である。βが上記範囲未満となると、結晶転移速
度が遅くなり、消去が困難になる。また、繰り返し記録
消去寿命が低下する。βが上記範囲を越えると、結晶転
移速度は速くなるが、変調度が得難くなる。Sbの組成比
率γの範囲は、43原子%≦γ≦75原子%が好ましく、更
に好ましくは55原子%≦γ≦68原子%である。γが上記
範囲未満となると、結晶転移速度が遅くなり、消去が困
難になる。γが上記範囲を越えると、結晶転移速度は速
くなり過ぎて、十分な記録が難しくなる。また、変調度
が低下する。
【0015】Teの組成比率δの範囲は、15原子%≦δ≦
34原子%が好ましく、更に好ましくは25原子%≦δ≦32
原子%である。δが上記範囲未満となると、結晶転移速
度が速くなり過ぎて、十分な記録が難しくなる。δが上
記範囲を越えると、結晶転移速度が遅くなり、消去が困
難になる。また、吸収係数が増加して誘電体層での多重
反射による光学干渉効果が減少し、C/Nが低下する。
【0016】上記記載の組成を持つ記録層は、光ビーム
に対する記録層の記録消去時の相対速度が7〜20m/s の
時、良好な記録消去特性を示す。光記録媒体の具体的な
構造としては、請求項2に係る発明のように、基板上
に、下部誘電体層、前記記録層、上部誘電体層、反射
層、及び保護層をこの順で積層した片面記録用のものが
簡便である。
【0017】また、請求項3に係る発明のように、少な
くとも下部誘電体層、前記記録層、上部誘電体層、及び
反射層を、この順で基板上にそれぞれ積層した2枚の光
記録媒体を、前記反射層側を対向させ、接着層を介して
接合した、両面記録が可能なものとしてもよい。更に、
請求項4に係る発明のように、基板上に、少なくとも下
部誘電体層、前記記録層、上部誘電体層、反射層、接着
層、及び上部基板をこの順で積層し、機械的強度を高め
た構成としてもよい。
【0018】請求項5に係る発明のように、前記下部誘
電体層が、前記基板側にZnS とSiO2の混合膜を有し、前
記記録層側にZnS とSiO2と窒素を含む混合膜を有する複
合膜であるようにするとよい。下部誘電体層を上記のよ
うに構成することにより、光記録媒体の繰り返し記録消
去特性が更に向上される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1〜図3は、本発明の光記録媒
体の好ましい構成例を示す断面図である。図1に示した
光記録媒体1は、基板2上に、下部誘電体層3、記録層
4、上部誘電体層5、反射層6、及び保護層7をこの順
で積層した構造を有する、片面記録用の光記録媒体であ
る。
【0020】また、図2に示した光記録媒体1は、基板
2上に、下部誘電体層3、記録層4、上部誘電体層5、
反射層6、保護層7、接着層8、及び上部基板9をこの
順で積層し、機械的強度を高めた片面記録用の光記録媒
体である。また、図3に示した光記録媒体1は、2枚の
基板2の上に、それぞれ下部誘電体層3、記録層4、上
部誘電体層5、反射層6、及び保護層7をこの順で積層
し、この2枚の光記録媒体を、保護層7側を対向させ
て、接着層8を介して接合した、両面記録用の光記録媒
体である。
【0021】尚、図2及び図3に示した光記録媒体1で
は、保護層7を省くこともできる。上記の構成の他に
も、C/N、消去比、変調度、記録感度、繰り返し記録
消去の寿命等の改善を目的として、図1〜図3に示した
光記録媒体1の基板2と下部誘電体層3の間、及び/又
は下部誘電体層3と記録層4の間、及び/又は記録層4
と上部誘電体層5の間、及び/又は上部誘電体層5と反
射層6の間に、1層或いは複数層の補助層を挿入した光
記録媒体も可能である。この際、補助層を構成する物質
は誘電体或いは金属等が好ましい。
【0022】基板2は、用いる光ビームに対して透明で
ある材質、例えば、樹脂やガラス等から構成することが
好ましく、特に、取り扱いが容易で安価であることか
ら、樹脂が好ましい。樹脂として具体的には例えば、ポ
リカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、A
BS樹脂等を用いることができる。基板の形状及び寸法
は特に限定されないが、通常、ディスク状であり、その
厚さは、通常、0.5 〜3mm程度、直径は40〜360 mm程度
である。また、基板の表面には、トラッキング用やアド
レス用等のために、グルーブ等の所定のパターンが必要
に応じて設けられる。
【0023】下部誘電体層3及び上部誘電体層5は、記
録層4の結晶状態の変化に伴う反射率の変化を、下部誘
電体層3と上部誘電体層5との間での多重反射によって
拡大し、変調度(結晶状態と非晶質状態との反射率の
差)を高める作用、並びに、記録時に、記録層4に残っ
た熱を熱伝導により適度な速度で放出する作用を有す
る。
【0024】下部誘電体層3及び上部誘電体層5に用い
る誘電体は、用いる光ビームに対して略透明である無機
物が好ましい。更に、その無機物の融点は記録層4を構
成する材料の融点よりも高いことが好ましい。具体的な
誘電体材料の例としては、例えば、SiO 、SiO2、ZnO 、
Al2O3 、TiO2、SnO2、In2O3 、MgO 、ZrO2等の金属酸化
物、Si3N4 、AlN 、BN、TiN 、ZrN 等の窒化物、ZnS 、
In2S3 、TaS4等の硫化物、SiC 、TaC 、WC、TiC 、ZrC
、B4C 等の炭化物やダイヤモンド状カーボン或いはそ
れらの混合物があげられる。これらの材料は単体で用い
ることもできるし、2つ以上の材料を混合して用いるこ
ともできる。また、必要に応じて不純物を含んでいても
よい。これら誘電体層はスパッタ法や真空蒸着法、プラ
ズマCVD 法、光CVD 法、電子ビーム蒸着法等の気相成長
法により形成できる。
【0025】そして、繰り返し記録消去特性の観点から
は、下部誘電体層3は、ZnS とSiO2と窒素(N)を含む混
合膜であって、その基板2側がZnS とSiO2の混合膜から
なり、その記録層4側がZnS とSiO2と窒素の混合膜から
なる複合膜にするとよい。これにより、繰り返し記録消
去の寿命を更に向上させることができる。この複合膜
は、基板2側の面の窒素濃度が略0原子%で、基板2側
から記録膜4側に向けて膜厚方向に窒素濃度が漸次増加
する複合膜であることが好ましい。尚、濃度が漸次増加
するとは、濃度が決して減少しない(一定値に留まるこ
とはあってもよい)ことを意味する。また、下部誘電体
層3中に含まれるSiO2のモル数は、ZnS のモル数の10%
〜40%であることが好ましい。SiO2比が10%未満だと結
晶粒径が大きくなり、膜の緻密性が悪くなる。一方、Si
O2比が40%を越えると混合膜の屈折率が小さくなり、光
学特性の観点から好ましくない。
【0026】上記複合膜は、例えば次のような2通りの
方法で作製することができる。第1の方法は、まず、Zn
S-SiO2ターゲットをArガス雰囲気中でスパッタし、基板
2上にZnS とSiO2の混合膜を適当な厚みに形成する。そ
の後、ArガスにN2ガスを徐々に添加して、N2ガスの分圧
を少しずつ増加させながらスパッタ(反応性スパッタ)
を継続し、ZnS-SiO2-Nの混合膜を形成する。このとき、
N2ガスの分圧を増加させるさせ方は、一定比率で単調に
増加させてもよいし、ステップ的に増加させてもよい。
下部誘電体層3中の窒素濃度分布は、N2ガス分圧の増加
のさせ方によって決定される。第2の方法は、上述の第
1の方法と同じ方法で基板2上にZnS とSiO2の混合膜を
形成した後、基板2を一定濃度のAr+N2ガス雰囲気を有
する別のチャンバーに移し、ZnS-SiO2ターゲットを用い
て反応性スパッタを行いZnS-SiO2-Nの混合膜を形成す
る。更に、必要に応じて、N2ガス濃度のより高いAr+N2
ガス雰囲気を有するチャンバーに、基板2を必要回数移
しかえながら反応性スパッタを続け、多層膜状に窒素濃
度の高いZnS-SiO2-Nの混合膜を作製する。
【0027】上記2つの方法ともに、雰囲気ガス中のN2
ガス分圧は0.01Pa以上0.7Pa 以下であることが好まし
い。これより小さいと、下部誘電体層3への窒素混合の
効果が現れない。また、これより大きいと成膜効率が低
下する。これら複合膜を形成するにはこの他にも、上述
の方法を応用しながら、真空蒸着法、プラズマCVD 法、
光CVD 法、電子ビーム蒸着法等の気相成長法により形成
してもよい。尚、下部誘電体層3中には、影響の少ない
範囲内で、酸素、水素、炭素、フッ素等の他の元素を含
めることもできる。これらの元素を添加することによ
り、更に欠陥の少ない緻密な膜が期待でき、誘電体層の
機械的強度を向上させることができる。
【0028】光学特性の点では、下部誘電体層3の厚さ
は50〜300 nm程度とし、上部誘電体層5の厚さは10〜60
nm又は100 〜250nm とすることにより、光の多重反射の
効果を有効に利用した高い変調度が得られる。また、下
部誘電体層3に、ZnS とSiO2と窒素からなる上記複合膜
を用いた場合、窒素を含まない部分の厚さは30nm以上で
あることが好ましい。
【0029】記録層4は、Au、In、Sb、及びTeの組成比
率をそれぞれα、β、γ、及びδで表すと、0原子%<
α≦25原子%、1原子%≦β≦17原子%、43原子%≦γ
≦75原子%、15原子%≦δ≦34原子%(ただし、99原子
%≦α+β+γ+δ≦100 原子%)であるカルコパイラ
イト型化合物で形成される。尚、記録層4中には、上述
したAu、In、Sb、Te各元素に加え、例えば微量不純物と
して、Cu、Ag、Ni、Zn、Fe、Ge、Se、S 、Sn、Pd、V 、
As、C 、N 、O 等の他の元素が含まれていてもよいが、
これらの元素の合計含有量は原子比で1%以下であるこ
とが好ましい。記録層4の厚さは特に限定されないが、
高反射率と高変調度(記録状態と未記録状態との反射率
の差が大きいこと)を実現するために、通常、10〜200
nm、特に15〜150 nmとすることが好ましい。また、記録
層4の形成方法は特に限定されないが、スパッタ法や真
空蒸着法、プラズマCVD 法、光CVD 法、電子ビーム蒸着
法等の気相成長法により形成することが好ましい。
【0030】形成された記録層4の組成は、X線マイク
ロアナライザーにより測定するのが簡便であり、本実施
形態でもこの方法によって組成を決定している。その他
にも蛍光X線、ラザフォード後方散乱、オージェ電子分
光、発光分析等の分析法が考えられるが、それらを用い
る場合には、X線マイクロアナライザーで得られる値と
の校正をする必要がある。
【0031】反射層6の材質は特に限定されないが、通
常、Al、Au、Ag、Pt、Cu等の単体或いはこれらの1種以
上を含む合金等の高反射率金属、或いは、Si、SiN 、Si
C 等の高反射率半導体から構成すればよい。反射層6の
厚さは、30〜300 nmとすることが好ましい。厚さが30nm
未満であると十分な反射率が得難くなるし、記録時に、
記録層4に残った熱を放出する効果が低減する。また、
300 nmを越えても反射率や熱放出効果の顕著な向上は見
られない。反射層6はスパッタ法や蒸着法等の気相成長
法により形成することが好ましい。
【0032】保護層7は、耐擦傷性や耐腐食性の向上の
ために設けられる。この保護層7は種々の有機系の物質
から構成されることが好ましいが、特に、放射線硬化型
化合物やその組成物を、電子線、紫外線等の放射線によ
り硬化させた物質から構成されることが好ましい。保護
層7の厚さは、通常、0.1 〜100 μm 程度であり、スピ
ンコート、グラビア塗布、スプレーコート等、通常の方
法により形成すればよい。
【0033】接着層8は、種々の有機系の物質から構成
されることが望ましいが、熱可塑性物質、粘着性物質、
放射線硬化型化合物やその組成物を電子線や放射線によ
り硬化させた物質から構成されることが好ましい。接着
層8の厚さは、通常、0.1 〜100μm 程度であり、接着
層8を構成する物質により選ばれる最適な方法、例え
ば、スピンコート、グラビア塗布、スプレーコート、ロ
ールコート等により形成すればよい。
【0034】また、上部基板9は、上述した基板2と同
様の樹脂で構成することができる。一般に、相変化型光
記録媒体の作製時には、記録層4は非晶質状態であり、
オーバーライト可能な光記録媒体とするためには何らか
の方法で記録層4を結晶化(初期化)する必要が生じ
る。光記録媒体1の初期化方法としては、半導体レーザ
ーによる方法、Arレーザーによる方法、フラッシュラン
プによる方法等種々の方法を用いることができる。
【0035】[実施例]次に、本発明の具体的実施例を
示し、本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例
は本発明を何ら制限するものではない。直径120 mm、厚
さ0.6 mmのランド/グルーブを有する、2枚のポリカー
ボネート基板2の上に、それぞれ下部誘電体層3、記録
層4、上部誘電体層5、反射層6、及び保護層7をこの
順で積層し、この2枚の光記録媒体を、保護層7側を対
向させて、接着層8を介して接合し、図3の構成を有す
る光記録媒体1とした。基板2のランド/グルーブは、
トラックピッチ0.74μm 、深さ70nmとした。
【0036】下部誘電体層3は、ZnS-SiO2 (SiO2:20 m
ol%)をターゲットとし、RFスパッタ法により作製し
た。下部誘電体層3の厚さは140 nmとした。記録層4
は、In-Sb-Teターゲット上にAu、In、Sb、Te、Agの各チ
ップを載せて組成を変化させ、DCスパッタ法により作
製した。記録層4の厚さは22nmとした。
【0037】記録層4の組成は、フィリップス社製ED
AX装置システムを用い、X線マイクロアナライザーに
より測定した。即ち、ポリカーボネート平板上に層厚が
約50nmの記録層4をスパッタ法により作製後、X線マイ
クロアナライザーにより試料のエネルギースペクトルを
検出した。検出されたエネルギースペクトルからポリカ
ーボネート平板等のバックグラウンドを除去し、記録層
4のみのエネルギースペクトルを導出した。このエネル
ギースペクトルから記録層4の構成元素の定量を行い、
記録層4の組成とした。
【0038】上部誘電体層5は、ZnS-SiO2(SiO2:20 m
ol%)をターゲットとし、RFスパッタ法により作製し
た。上部誘電体層5の厚さは25nmとした。反射層6は、
Alをターゲットとし、DCスパッタ法により作製した。
厚さは100 nmとした。保護層7は、紫外線硬化型樹脂を
スピンコート法により塗布した後、紫外線照射により硬
化して形成した。硬化後の保護層7の厚みは10μm であ
った。
【0039】接着層8は、紫外線硬化型樹脂をスクリー
ンコート法により塗布した後、紫外線照射により硬化し
て形成した。硬化後の接着層8の厚みは30〜50μm であ
った。光記録媒体1作製後の記録層4は非晶質であっ
た。このため、波長 810 nm の大出力半導体レーザー光
により記録層4を十分に結晶化させ初期化状態とした。
【0040】光記録媒体1の評価は、波長 635nmの半導
体レーザー光をNA=0.6 の対物レンズを通して基板2側
から照射し、記録層4の表面で直径約1μm のスポット
径に絞り込むことにより行った。記録時には、照射する
レーザーパルスを図4に示すようなマルチパルス化して
記録を行った。尚、図中、Pwは記録パワー、Peは消去パ
ワー、Pbはボトムパワーをそれぞれ示す。
【0041】ディスク特性としては、C/N、消去比、
変調度、及び繰り返し記録消去の寿命の4つを次のよう
な方法で測定した。即ち、C/Nは、線速9.0m/sで、記
録周波数 4.86MHz(8/16変調方式の3T)の信号を
記録し、それを線速9.0m/sで再生したときの再生信号の
C/Nを測定した。
【0042】消去比は、記録周波数 4.86MHz(8/16
変調方式の3T)の信号を線速9.0m/sで記録した上に、記
録周波数 1.32MHz(8/16変調方式の11T)の信号をオ
ーバーライトした時の、線速9.0m/s、周波数4.86MHz で
のキャリアレベルの差(C2−C1)から求めた。ただ
し、C1は3T 記録後の線速9.0 m/s 、周波数4.86MHz
でのキャリアレベル、C2は11T オーバーライト後の線
速9.0m/s、周波数4.86MHz での残留キャリアレベルであ
る。
【0043】変調度は、線速9.0m/sで、記録周波数 1.3
2MHz(8/16変調方式の11T)の信号を記録した時の、
再生信号から得られる未記録部と記録部の反射率レベル
の差{(R1−R2)/R1}から求めた。ただし、R
1は未記録部の再生信号レベル、R2は記録部の再生信
号レベルである。繰り返し記録消去特性は、線速9.0m/s
で8/16変調方式のランダム信号を繰り返しオーバー
ライトし、所定回数のオーバーライト毎に線速9.0m/sで
再生を行い、3T 信号のジッターを測定した。ジッター
が、基準クロック(34.27nsec)の15%を越える回数を繰
り返し記録消去の寿命とした。
【0044】(実施例1)記録層4に、Au:7.7 、In:
4.6 、Sb:59.0、Te:28.7の組成を用い、2枚のポリカ
ーボネート基板(0.6mm) 上に、それぞれ、ZnS-SiO2(140
nm)/Au-In-Sb-Te(22nm)/ZnS-SiO2(25nm)/Al(100nm)/ 紫
外線硬化樹脂 (10μm)をこの順で積層し、これらを、保
護層7側を対向させて、接着層8を介して接合して光記
録媒体を作製した。
【0045】記録パワーを変え、消去パワー 6mW、マル
チパルスのボトムパワー1mW、再生パワー1mWの条件
で、前述の方法により光記録媒体としての評価を行っ
た。この結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように、低い記録パワー
でも十分なC/N、消去比、変調度が得られた。尚、繰
り返し記録消去回数は、10,000を越えるものであった。 (実施例2〜8、比較例1〜7)2枚のポリカーボネー
ト基板(0.6mm) 上に、それぞれ、ZnS-SiO2(140nm)/Au-I
n-Sb-Te(22nm)/ZnS-SiO2(25nm)/Al(100nm)/ 紫外線硬化
樹脂 (10μm)をこの順で積層し、これらを、保護層7側
を対向させて、接着層8を介して接合し、更に、記録層
4の組成を変化させて合計14種類の光記録媒体を作製
して、前述の方法により光記録媒体としての評価を行っ
た。
【0048】記録パワーは12mW、消去パワー 6mW、マル
チパルスのボトムパワー1mW、再生パワー1mWとした。
ディスク特性として、C/N、繰り返し記録消去特性の
結果を表2に示す。尚、繰り返し記録消去特性について
は、上述した実験方法でジッターが基準クロックの15%
を越えるまでのオーバーライトの回数を、例えば「1,00
0 〜10,000」等のように一定の範囲で示した。これは、
製造条件及び評価条件により、表示した範囲内で特性が
変わり得ることを示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2から明らかなように、Auの組成比率α
が0原子%<α≦25原子%、Inの組成比率βが1原子%
≦β≦17原子%、Sbの組成比率γが43原子%≦γ≦75原
子%、Teの組成比率δが15原子%≦δ≦34原子%(ただ
し、99原子%≦α+β+γ+δ≦100 原子%)の範囲内
の組成の記録層を有する実施例2〜8の光記録媒体は、
前記範囲外の組成の記録層を有する比較例1〜7の光記
録媒体に比較して良好なディスク特性を示すことがわか
る。
【0051】特に、2原子%≦α≦12原子%、3原子%
≦β≦11原子%、55原子%≦γ≦68原子%、25原子%≦
δ≦32原子%(ただし、99原子%≦α+β+γ+δ≦10
0 原子%)の範囲内の組成の記録層を有する実施例3、
実施例5〜実施例7の光記録媒体は特性が優れている。
更に、異なる元素を含む記録層との比較のために、以下
の実験を行った。
【0052】(比較例8)記録層4にAg-In-Sb-Te を用
いた以外は、実施例2〜8と同様の層構成を有する光記
録媒体を作製し、実施例2〜8と同様の条件で、C/
N、及び繰り返し記録消去特性を評価した。結果を表3
に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3から、比較例8の繰り返し記録消去回
数は、実施例2〜8の1,000 〜10,000回以上の繰り返し
記録消去回数に比べて劣っており、実施例2〜8が、異
なる元素を含む組成の記録層を有する比較例8に比べて
優れたディスク特性を示すことは明らかである。 (実施例9)下部誘電体層を、ZnS-SiO2 (SiO2:20 mol
%)をターゲットとして用い、まず、Arガス雰囲気中で
RFスパッタ法によりZnS-SiO2膜を形成し、その厚みが
約133nm に達した時点で、ArとN2の混合ガスを雰囲気ガ
スとして注入し、RFスパッタ(RF反応性スパッタ)
を継続して、全厚み140nm の複合膜を形成した以外は、
実施例6と同様にして光記録媒体を作製した。このとき
注入した混合ガス中のArガスとN2ガスの分圧はそれぞれ
0.36Pa、0.18Paであった。実施例2〜8と同様の条件で
C/N、繰り返し記録消去特性を評価した。この結果を
表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】表4から、実施例9の光記録媒体は、実施
例6に比べてより一層繰り返し記録消去特性が向上して
いることがわかる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、光ビームに対する記録層の記録消去時の相
対速度が7〜20m/s で使用される光記録媒体において、
C/N、消去比、変調度、記録感度が高く、繰り返し記
録消去特性の向上した光記録媒体を得られるという効果
がある。
【0058】また、請求項2に係る発明によれば、簡便
な層構成で優れた特性を有する片面記録用の光記録媒体
が得られるという効果がある。また、請求項3に係る発
明によれば、優れた特性を有する両面記録用光記録媒体
が得られるという効果がある。また、請求項4に係る発
明によれば、機械的強度及び耐久性が高く、優れた特性
を有する光記録媒体が得られるという効果がある。
【0059】また、請求項5に係る発明によれば、繰り
返し記録消去特性が更に向上した光記録媒体が得られる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の層構成の一例を示す断面
【図2】本発明の光記録媒体の層構成の他の例を示す断
面図
【図3】本発明の光記録媒体の層構成の更に他の例を示
す断面図
【図4】オーバーライト時のパルス形状の一例を示す図
【符号の説明】
1 光記録媒体 2 基板 3 下部誘電体層 4 記録層 5 上部誘電体層 6 反射層 7 保護層 8 接着層 9 上部基板 Pw 記録パワー Pe 消去パワー Pb ボトムパワー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ビームに対する記録層の記録消去時の相
    対速度が、7〜20m/s で使用される光記録媒体におい
    て、それぞれα、β、γ、及びδで表される、Au、In、
    Sb、及びTeの組成比率が、 0原子%<α≦25原子%、 1原子%≦β≦17原子%、 43原子%≦γ≦75原子%、 15原子%≦δ≦34原子%、 ただし、99原子%≦α+β+γ+δ≦100 原子%、 である記録層を有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】基板上に、下部誘電体層、前記記録層、上
    部誘電体層、反射層、及び保護層をこの順で積層した請
    求項1に記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】少なくとも下部誘電体層、前記記録層、上
    部誘電体層、及び反射層を、この順で基板上にそれぞれ
    積層した2枚の光記録媒体を、前記反射層側を対向さ
    せ、接着層を介して接合した請求項1に記載の光記録媒
    体。
  4. 【請求項4】基板上に、少なくとも下部誘電体層、前記
    記録層、上部誘電体層、反射層、接着層、及び上部基板
    をこの順で積層した請求項1に記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】前記下部誘電体層が、前記基板側にZnS と
    SiO2の混合膜を有し、前記記録層側にZnS とSiO2と窒素
    を含む混合膜を有する複合膜であることを特徴とする請
    求項2〜4のいずれか1つに記載の光記録媒体。
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