JPH11270400A - 内燃機関のノッキング検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ノッキング検出精度を向上する。 【解決手段】燃焼行程中に設定されたノッキング検出用
の第１クランク角期間中にノックセンサからの振動信号
を積分し（Ｓ１，Ｓ２) 、該積分値を判定レベルと比較
してノッキング判定を行い（Ｓ３〜Ｓ５) 、非ノッキン
グ時に積分値を第１ＢＧＬとして記憶し（Ｓ６) 、同様
に非燃焼行程中に設定された第２クランク角期間中にノ
ックセンサからの振動信号を積分して第２ＢＧＬとして
記憶し、両者の差を荷重平均した値をバックグラウンド
レベルとして判定レベルを算出するようにした（Ｓ８以
降) 。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のノッキ
ング検出装置に関し、特に、ノッキング検出精度を向上
させる技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関において、所定レベル以上のノ
ッキングが発生すると、出力を低下させるのみならず、
衝撃により吸・排気バルブやピストンに悪影響を及ぼす
ため、ノッキングを検出して点火時期を補正することに
より速やかにノッキングを回避するようにした点火時期
制御装置を備えているものがある（特開昭５８−１０５
０３６号公報等参照）。

【０００３】かかるノッキング発生による点火時期補正
のためのノッキング検出は、従来例えば以下のようにし
て行っていた。即ち、圧電素子等で構成されるノックセ
ンサを機関のシリンダブロック等に取付け、ノッキング
検出用に設定された燃焼行程中のクランク角期間中に前
記ノックセンサにより検出される機関振動の信号からノ
ッキング特有の周波数成分を抽出して積分処理等を行
い、この値を判定レベルと比較して判定レベルを超えた
ときにノッキングが発生していると判定する。

【０００４】ここで、前記判定レベルは、前記ノッキン
グ検出用の設定クランク角期間中の非ノッキング発生時
に、ノックセンサからの信号を平均化処理して算出した
バックグラウンドレベルに、機関回転速度等に応じたス
ライスレベルを加算して設定していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のノッキング検出方式では、ノックセンサで検
出される信号には、燃焼に起因する信号の他、機械的な
振動（吸・排気弁の着座時の振動等) がノイズとして含
まれているため、前記バックグラウンドレベルが前記機
械的な振動を含んだレベルに設定されてしまい、燃焼に
起因する振動レベルのみの比較によってノッキングの判
定を行うことができず、ノッキング検出精度を低下させ
ていた。

【０００６】本発明は、このような従来の課題に着目し
てなされたもので、機械的な振動を除去してノッキング
の判定レベルを設定することにより、ノッキング検出精
度を高めた内燃機関のノッキング検出装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このため請求項１に係る
発明は、図１に示すように、機関振動を検出する振動検
出手段と、燃焼行程中のノッキング検出用に設定された
第１クランク角期間中に、前記振動検出手段からの振動
信号に基づいて、第１バックグラウンドレベルを算出す
る第１バックグラウンドレベル算出手段と、非燃焼行程
中に設定された第２クランク角期間中に、前記振動検出
手段からの振動信号に基づいて、第２バックグラウンド
レベルを算出する第２バックグラウンドレベル算出手段
と、前記第１バックグラウンドレベル算出手段によって
算出された第１バックグラウンドレベルから、前記第２
バックグラウンドレベル算出手段によって算出された第
２バックグラウンドレベルを減算して得られるバックグ
ラウンドレベルに基づいて、ノッキングの判定レベルを
算出する判定レベル算出手段と、前記ノッキング検出用
に設定されたクランク角期間中に、前記振動検出手段か
らの振動信号を処理した値を、前記判定レベル算出手段
により算出された判定レベルと比較してノッキングの有
無を判定するノッキング判定手段と、を含んで構成した
ことを特徴とする。

【０００８】請求項１に係る発明によると、第１バック
グラウンドレベル算出手段によって算出される第１バッ
クグラウンドレベルは、燃焼行程中に設定された第１ク
ランク角期間中に振動検出手段からの振動信号に基づい
て算出された値であるため、燃焼による振動成分以外に
機関振動成分をノイズ成分として含んでいる。

【０００９】一方、第２バックグラウンドレベル算出手
段によって算出される第２バックグラウンドレベルは、
燃焼による振動成分はなく、機関振動成分のみをノイズ
成分として有する。したがって、第１バックグラウンド
レベルから第２バックグラウンドレベルを減算した値
は、ノイズ成分が除去されたバックグラウンドレベルと
なり、判定レベル算出手段により、該ノイズ成分が除去
されたバックグラウンドレベルに基づいて算出された判
定レベルによってノッキング判定手段がノッキング判定
を行うことにより、ノッキング検出精度を高めることが
できる。

【００１０】また、請求項２に係る発明は、前記バック
グラウンドレベルは、平均化処理して算出されることを
特徴とする。請求項２に係る発明によると、バックグラ
ウンドレベルを加重平均等により平均化処理して算出す
ると、燃焼バラツキ等の影響を回避することができる。

【００１１】また、請求項３に係る発明は、第１バック
グラウンドレベル算出手段は、ノッキング非発生時に振
動検出手段で検出された信号に基づいて第１バックグラ
ウンドレベルを算出することを特徴とする。請求項３に
係る発明によると、ノッキング発生時の信号を含まない
振動信号のみに基づいて第１バックグラウンドレベルを
算出するため、ノッキング判定精度が向上する。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。一実施例を示す図２において、図示しない内燃機
関のシリンダブロックには、振動検出手段としてのノッ
クセンサ１が装着される。該ノックセンサ１は、圧電素
子を内蔵し、機関振動に応じた波形の検出（電圧）信号
を出力する。

【００１３】前記ノックセンサ１の検出信号（アナログ
信号）は、信号処理回路２に入力され、該信号処理回路
２により、出力ゲインの調整を行うと共にノッキングを
発生する周波数領域のみの信号レベルを抽出する。前記
信号処理回路２からの信号は、Ａ／Ｄ変換器３によりＡ
／Ｄ変換された後、マイクロコンピュータを内蔵したコ
ントロールユニット４に入力される。該コントロールユ
ニット４には、機関回転に同期した信号を出力するクラ
ンク角センサ５からの信号も入力される。前記コントロ
ールユニット４は、該クランク角センサ５からの信号に
基づいて検出された所定のクランク角期間において、前
記Ａ／Ｄ変換された信号を後述するように演算処理し
て、ノッキングを検出する。

【００１４】以下に、前記コントロールユニット４によ
るノッキング検出ルーチンを、図３及び図４に示したフ
ローチャートに従って説明する。ステップ（図ではＳと
記す。以下同様) １では、前記クランク角センサ５から
の信号に基づいて、各気筒の燃焼行程中に設定されたノ
ッキング検出用の第１クランク角期間中であるか否かを
判定する。

【００１５】第１クランク角期間中と判定されたとき
は、ステップ２へ進み、前記Ａ／Ｄ変換器３からの振動
信号を積分処理した後、このルーチンを終了する。ステ
ップ１で第１クランク角期間中でないと判定されたとき
は、ステップ３へ進み、前記第１クランク角期間の終了
直後であるか否かを判定する。終了直後と判定されたと
きは、ステップ４へ進み、現在ＲＡＭに記憶されている
バックグラウンドレベルＢＧＬに、前記クランク角セン
サ５からの信号に基づいて検出された現在の機関回転速
度に基づいて設定されたスライスレベルＳＬを加算した
値をノッキングの判定レベルとして算出する。

【００１６】ステップ５では、ステップ２で積分処理さ
れた値を、前記判定レベルと比較し、ノッキングの有無
を判定する。即ち、前記検出された振動信号の積分値
が、判定レベルより高いときは、ノッキング有りと判定
し、判定レベルより低いときはノッキング無しと判定す
る。ステップ５でノッキング無しと判定されたときは、
ステップ６へ進んで今回の第１クランク角期間中の振動
信号の積分値を第１バックグラウンドレベルＢＧＬ１と
して記憶すると共に点火時期を設定進角量だけ進角制御
し、ノッキング有りと判定されたときはステップ７へ進
んで設定遅角量だけ遅角制御する。ここで、設定遅角量
の絶対値は設定進角量の絶対値より大きく設定されてお
り、かかる点火時期の進遅角制御を行うことによって、
ノッキングレベルを最適値にフィードバック制御する。
なお、前記ステップ１〜ステップ６の機能が、第１バッ
クグラウンドレベル算出手段を構成する。

【００１７】前記ステップ３で第１クランク角期間の終
了直後でないと判定されたときは、ステップ８へ進み、
非燃焼行程中に設定された第２クランク角期間中である
か否かを判定する。そして、第２クランク角期間中と判
定されたときは、ステップ９へ進み、前記Ａ／Ｄ変換器
３からの信号を積分処理した後、このルーチンを終了す
る。

【００１８】ステップ８で第１クランク角期間中でない
と判定されたときは、ステップ10へ進み、前記第２クラ
ンク角期間の終了直後であるか否かを判定する。第２ク
ランク角期間の終了直後と判定されたときは、ステップ
11へ進み、今回の第２クランク角期間中の振動信号の積
分値を第２バックグラウンドレベルＢＧＬ２として記憶
する。なお、前記ステップ８〜ステップ11の機能が、第
２バックグラウンドレベル算出手段を構成する。

【００１９】次いでステップ12では、前記第１バックグ
ラウンドレベルＢＧＬ１から第２バックグラウンドレベ
ルＢＧＬ２を減算した値を、今回のバックグラウンドレ
ベルＢＧＬnew として算出する。ステップ13では、現在
ＲＡＭに記憶されているバックグラウンドレベルＢＧＬ
と、前記ステップ12で算出された今回のバックグラウン
ドレベルＢＧＬnew とを加重平均して、最終的なバック
グラウンドレベルＢＧＬとして算出し、ＲＡＭに記憶更
新する。この値が次回のノッキング判定時に、前記ステ
ップ４での判定レベルの算出に使用される。なお、前記
ステップ４と、ステップ12，ステップ13の機能が判定レ
ベル算出手段を構成する。

【００２０】このようにすれば、前記第１バックグラウ
ンドレベルＢＧＬ１は、燃焼による振動成分以外に機関
振動成分をノイズ成分として含んでおり、一方、第２バ
ックグラウンドレベルＢＧＬ２は、燃焼による振動成分
はなく、機関振動成分のみをノイズ成分として有するた
め、第１バックグラウンドレベルＢＧＬ１から第２バッ
クグラウンドレベルＢＧＬ２を減算した値は、ノイズ成
分が除去されたバックグラウンドレベルとなる。したが
って、該ノイズ成分が除去されたバックグラウンドレベ
ルに基づいて算出された判定レベルによってノッキング
判定を行うことにより、ノッキング検出精度を高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の構成，機能を示すブロック図

【図２】本発明の一実施の形態の構成を示す回路ブロッ
ク図

【図３】同上実施例のノッキング検出ルーチンの前段を
示すフローチャート

【図４】同上実施例のノッキング検出ルーチンの後段を
示すフローチャート

【符号の説明】

１ ノックセンサ ２ 信号処理回路 ３ Ａ／Ｄ変換器 ４ コントロールユニット ５ クランク角センサ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】機関振動を検出する振動検出手段と、 燃焼行程中のノッキング検出用に設定された第１クラン
   ク角期間中に、前記振動検出手段からの振動信号に基づ
   いて、第１バックグラウンドレベルを算出する第１バッ
   クグラウンドレベル算出手段と、 非燃焼行程中に設定された第２クランク角期間中に、前
   記振動検出手段からの振動信号に基づいて、第２バック
   グラウンドレベルを算出する第２バックグラウンドレベ
   ル算出手段と、 前記第１バックグラウンドレベル算出手段によって算出
   された第１バックグラウンドレベルから、前記第２バッ
   クグラウンドレベル算出手段によって算出された第２バ
   ックグラウンドレベルを減算して得られるバックグラウ
   ンドレベルに基づいて、ノッキングの判定レベルを算出
   する判定レベル算出手段と、 前記ノッキング検出用に設定されたクランク角期間中
   に、前記振動検出手段からの振動信号を処理した値を、
   前記判定レベル算出手段により算出された判定レベルと
   比較してノッキングの有無を判定するノッキング判定手
   段と、 を含んで構成したことを特徴とする内燃機関のノッキン
   グ検出装置。
2. 【請求項２】前記バックグラウンドレベルは、平均化処
   理して算出されることを特徴とする請求項１に記載の内
   燃機関のノッキング検出装置。
3. 【請求項３】第１バックグラウンドレベル算出手段は、
   ノッキング非発生時に振動検出手段で検出された信号に
   基づいて第１バックグラウンドレベルを算出することを
   特徴とする請求項１又は請求項２に記載の内燃機関のノ
   ッキング検出装置。