JPH11267418A - フィルタの製造方法 - Google Patents

フィルタの製造方法

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JPH11267418A
JPH11267418A JP9678798A JP9678798A JPH11267418A JP H11267418 A JPH11267418 A JP H11267418A JP 9678798 A JP9678798 A JP 9678798A JP 9678798 A JP9678798 A JP 9678798A JP H11267418 A JPH11267418 A JP H11267418A
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resin
filter
fiber
molded body
fine powder
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JP9678798A
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Inventor
Masaru Urushibara
勝 漆原
Satoru Yamauchi
知 山内
Atsushi Kosaka
淳 小坂
Ichihiro Kato
以千弘 加藤
Toshihiro Takahara
敏広 高原
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バインダ樹脂のマイグレーションを防止し
て,濾過効率が高く,圧力損失の少ないフィルタを製造
することができる,フィルタの製造方法を提供する。 【解決手段】 疎水性の微粉末状樹脂10を水15に分
散させた分散液を準備し,分散液を繊維2からなる繊維
成形体に含浸させ,微粉末樹脂を固化させる。微粉末状
樹脂は,粒径が0.1〜100μmであること,分散液
における微粉末状樹脂の含有量は,0.01〜20重量
%であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,流体中に含まれる粒子を濾過分
離するためのフィルタの製造方法に関し,特にフィルタ
繊維の結着方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来,フィルタ繊維用のバインダー樹脂と
しては,フェノール樹脂,エポキシ樹脂などの有機溶剤
溶液,フェノール樹脂水溶液,あるいはこれら樹脂の水
分散系エマルジョンなど,熱硬化樹脂の溶液またはエマ
ルジョン系が用いられている。かかるバインダーを繊維
成形体に含浸させて高温で処理して溶液を蒸発させる。
【0003】繊維成形体に樹脂を含浸させたフィルタと
しては,上記のほかに,所定の分子量のシリコーン変性
アクリル樹脂をバインダとして用いフィルタの撥水性,
耐水性を向上させる技術(特開平7−185235号公
報),粘着剤と界面活性剤との混合物を濾材に付着させ
てその粘着により塵埃を補集する技術(特開平7−13
6429号公報)が開示されている。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のフ
ィルタの製造方法においては,バインダ樹脂が乾燥時に
マイグレーション(移行)をおこし,繊維成形体の厚み
方向にバインダ樹脂の不均一が生じる。即ち,乾燥時
に,バインダの中の樹脂成分が溶剤とともに繊維成形体
の表面に移行する。このため,繊維成形体の表面に樹脂
膜が形成され,フィルタの目通りが悪くなるため,圧力
損失が高くなる。また,フィルタ内部では樹脂残存量が
減少するため,繊維同士の結着性も悪くなり,耐圧強度
が不足する。また,均一溶液系のバインダーの場合に
は,繊維全体をバインダがコーティングするため,繊維
のダスト捕獲能力を低下させる。
【0005】上記バインダのマイグレーションを,バイ
ンダ樹脂の形態別に説明する。バインダが水溶液の場合
には,バインダは含浸時に繊維成形体内部にまで浸透す
るが,繊維全体を被覆するため,フィルタのダスト捕獲
能力が低下する。また,含浸後の乾燥・硬化時にバイン
ダが水に溶解したまま繊維成形体表面に移動し,表面で
はじめて水が脱離しバインダが硬化する。このため,繊
維成形体表面に樹脂膜が形成されフィルタの目通りが悪
くなる。また,繊維成形体内部のバインダ量が減少し
て,繊維同士の結着性が低下する。また,バインダが繊
維全体を被覆するため,繊維のダスト捕獲能力が低くな
る。
【0006】また,分散系バインダは,バインダ粒子の
凝集物が成形体表面で目詰まりするため,繊維成形体内
部への含浸が難しい。そこで,分散系バインダに界面活
性剤を添加しエマルジョン化することにより,バインダ
粒子の凝集物を微分散させて繊維成形体内部まで含浸さ
せることが考えられる。しかし,この場合にも,水溶性
樹脂ほどではないが,バインダ粒子の凝集物の多くが繊
維成形体表面に移動し表面で初めて水を脱離する。その
ため,繊維成形体表面で目詰まりが生じ,繊維成形体内
部までの繊維結着が困難である。なお,バインダが水溶
性か分散系かについては,分子量の大小及び親水基の種
類に依存する。
【0007】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,バインダ樹脂のマイグレーションを防止
して,濾過効率が高く,圧力損失の少ないフィルタを製
造することができる,フィルタの製造方法を提供しよう
とするものである。
【0008】
【課題の解決手段】本発明は,請求項1記載のように,
疎水性の微粉末状樹脂を水に分散させた分散液を準備
し,該分散液を繊維成形体に含浸させ,上記微粉末樹脂
を固化させることを特徴とするフィルタの製造方法であ
る。
【0009】本発明は,水との親和性の低い微粉末樹脂
をバインダ樹脂として水分散させて,その分散液を繊維
成形体に含浸させている。図1(a)に示すごとく,微
粉末樹脂は,水との親和性が低いため,乾燥時にマイグ
レーションが生じにくい。そのため,乾燥時に,水が繊
維成形体表面へと移動しても,微粉末樹脂は,含浸時に
付着した繊維の一部分に留まる。そのため,微粉末樹脂
の固化により,フィルタの外部側及び内部側のいずれ
も,繊維同士が微粉末樹脂により均一に点結着される。
【0010】かかる点結着により,繊維間には広空隙が
確保される。また,フィルタの目通しが良くなり,濾過
効率の向上及び圧力損失の低減化が実現される。更に,
フィルタの耐圧強度が高くなる。
【0011】次に,本発明の詳細について説明する。請
求項2記載のように,上記微粉末状樹脂は,粒径が0.
1〜100μmであることが好ましい。0.1μm未満
の場合には,微粉末樹脂が繊維に付着しにくくなるおそ
れがある。また,100μmを超える場合には,フィル
タの目詰まりが発生するおそれがあり,また分散液の中
で微粉末樹脂が凝集し沈降して均一な分散液を得ること
が困難となるおそれがある。
【0012】ここに,「粒径」とは,微粉末樹脂の平均
一次粒子径をいう。
【0013】請求項3記載のように,上記分散液におけ
る上記微粉末状樹脂の含有量は,0.01〜20重量%
であることが好ましい。0.01重量%未満の場合に
は,微粉末樹脂が繊維に付着しにくくなるおそれがあ
る。また,20重量%を超える場合には,フィルタの目
詰まりが発生するおそれがあり,また分散液の中で微粉
末樹脂が凝集し沈降して均一な分散液を得ることが困難
となるおそれがある。
【0014】上記繊維成形体は特に限定しないが,例え
ば,請求項4記載のように,熱硬化性樹脂であり,具体
的には,フェノール樹脂,ジアリルフタレート樹脂,エ
ポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,及びキシレン樹脂のグ
ループから選ばれる1種又は2種以上を用いるとよい。
【0015】繊維成形体は,各繊維の集合体を所望形状
に成形したものである。このように成形体は繊維成形体
であるから,濾過表面積の大きいフィルタを得ることが
できる。各繊維は,マルチフィラメント,フィラメン
ト,フィブリル化繊維のいずれの形態でもよい。繊維は
細くなるにつれて表面エネルギが大きくなるため,微粉
末樹脂の付着量が多くなる傾向にある(実験例3参
照)。繊維成形体への分散液の含浸方法は,例えば,繊
維成形体を分散液の中に浸漬する方法,繊維成形体の厚
み方向に分散液を吸引する方法,繊維成形体に分散液を
圧送する方法などの方法がある。
【0016】微粉末樹脂を固化させる方法は,微粉末樹
脂の固化する性質に依存する。例えば,微粉末樹脂が熱
硬化性の場合には加熱乾燥により固化させる。また,微
粉末樹脂は溶剤の除去により加熱することなく固化する
場合には自然乾燥により固化させる。固化とは,微粉末
樹脂が硬化することだけでなく,繊維間を結着する現象
をもいう。
【0017】請求項5記載のように,上記繊維成形体
は,繊維径が5μm以上の主繊維に繊維径が5μm未満
の微細繊維が混入されて,少なくとも一端側が開口する
筒状部を有するように成形されていることが好ましい。
これにより,比較的太い主繊維のみで構成された繊維成
形体と比較して濾過効率が高くなる。主繊維の繊維径が
5μm未満の場合,または微細繊維の繊維径が5μmを
超える場合には,濾過効率が低くなるおそれがある。
【0018】具体的には,請求項6記載のように,上記
繊維成形体は,繊維径が5μm以上の主繊維と,繊維径
が5μm未満の微細繊維とを含有するスラリーを,吸引
治具を通じて吸引するとともに該吸引治具の壁面に上記
主繊維と上記微細繊維とを堆積させることにより成形す
ることが好ましい。これにより,上記繊維成形体を容易
に成形できる。
【0019】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかるフィルタの製造方法につい
て,図1〜図9を用いて説明する。本例により製造され
るフィルタ1は,図2に示すごとく,エンジンオイル8
の濾過用のフィルタ装置9に用いられる。フィルタは,
繊維成形体の内部に微粉末樹脂を含浸させ固化したもの
である。図3,図4に示すごとく,フィルタ1の形状
は,筒型であり,外壁11及び内壁12とも軸方向に凹
凸が形成されている。
【0020】次に,フィルタの製造方法について,図5
に示す工程図を用いて説明する。まず,図6(a)に示
すごとく,予めミキサ等により細かく切断・こう解され
た主繊維及び微繊維を,必要に応じてバインダ繊維(熱
融着性繊維)とともに配合して水槽32に投入し,スラ
リー30を得る(S1)。主繊維としては,繊維径5〜
20μmのパルプを用いる。微細繊維としては,繊維径
2〜5μmのアクリル繊維を用いる。
【0021】次に,攪拌機によりスラリー30を攪拌し
て繊維濃度を均一化する(S2)。次いで,図7に示す
ごとく,吸引ポンプを作動させてスラリー30を吸引治
具33に開けられた吸引孔335を通じて吸引する(S
3)。
【0022】吸引治具33は,図7,図8に示すごと
く,接続管330を備えた円形のベース部331,この
ベース部331の中央部に嵌め込まれて接続管330に
接続された吸引筒332,この吸引筒332の外周で水
平断面形状が略星型をなすように組み付けられた内型3
33(図8(b)),及び内型333に組み付けされる
外型334(図8(a))より構成されている。接続管
330の開口端には,図6(a)に示すごとく,吸引ポ
ンプを取り付けた吸引パイプ36が接続されている。ス
ラリ−30は,主繊維及び微細繊維又は,必要に応じて
バインダ繊維を補充して再利用される。
【0023】吸引ポンプの回転数をポンプ制御装置によ
り調整してスラリー流量を変化させながら吸引すること
により,吸引治具33に吸引成形される繊維成形体5の
繊維密度に変化を持たせることができる。図2,図4に
示すごとく,フィルタ1は,その外壁11側から内壁1
2側へ向かってエンジンオイル8が通過するため,同方
向に向かって繊維密度が「粗」から「密」となる密度勾
配を付与することが,濾過効率を高める点で効果的であ
る。
【0024】吸引成形が終了した後,繊維成形体5を吸
引治具33に入れたままの状態で水槽32から取り出
し,弱く吸引脱水処理を行うことにより(S4),繊維
成形体5が得られる。
【0025】次いで,図6(b)に示すごとく,繊維成
形体を入れた吸引治具33を,疎水性の微粉末状樹脂
(フェノール樹脂)を水に分散させた分散液61の水槽
62の中に浸漬して,微粉末樹脂を繊維成形体に含浸さ
せる(S5)。微粉末樹脂としては,分子量300〜2
000のフェノール樹脂を用いる。この微粉末樹脂は,
粒径約2〜20μmの粒子を用いる。分散液61の中の
微粉末樹脂の含有量は,0.01〜20重量%である。
【0026】分散液61は,ポンプにより吸引され,タ
ンク60の中に蓄えられる。そして,タンク60内にお
いて,攪拌機601を作動させながら適量の水及びフェ
ノール樹脂を加えて,所定濃度のフェノール樹脂濃度の
分散液61となし,これを再度水槽62の中に戻して再
利用される。
【0027】次いで,図6(c)に示すごとく,繊維成
形体5を乾燥器7の中に載置し,熱風73を吹付けなが
ら加熱することにより,微粉末樹脂を乾燥,硬化させる
(S6)。加熱条件は,熱風9m/s,風量260m3
/min.,190℃雰囲気とする。以上によりフィル
タを得る(S7)。
【0028】得られたフィルタの圧力損失を測定したと
ころ,40kPaであった。このように圧力損失が低い
理由は,図1(a)に示すごとく,微粉末樹脂10は,
水15との親和性が低いため,乾燥時に水の移動に伴っ
てマイグレーションが生じることは殆どない。そのた
め,乾燥時に,水15が繊維成形体内部52から繊維成
形体表面51へと移動しても,微粉末樹脂10は,含浸
時に付着した繊維2の一部分に留まる。そのため,微粉
末樹脂10の硬化により,繊維成形体の表面及び内部の
いずれも,繊維2同士が微粉末樹脂10により均一に点
結着される。従って,かかる点結着により,繊維2間に
は広空隙が確保される。また,フィルタの目通しが良く
なり,圧力損失が低くなったと考えられる。
【0029】なお,本例のフィルタ1は,図3,図4に
示すごとく,外壁11及び内壁12とも軸方向に凹凸が
形成されているが,図9に示すごとく,外壁11だけに
軸方向に凹凸が形成されていてもよいし(図9
(a)),また外壁11及び内壁12が丸味を帯びた凹
凸を有していてもよい(図9(b))。
【0030】このフィルタ1は,図2に示すごとく,エ
ンジンオイル8のフィルタ装置9に用いられる。フィル
タ装置9は,フィルタ1を内蔵するための金属製のケー
ス909が設けられている。フィルタ1の下方には,リ
インフォースプレート905が配設されている。フィル
タ1とリインフォースプレート905との間には,支持
体901が介設されている。リインフォースプレート9
05には,フィルタ1へエンジンオイル8を導入する導
入口951と,濾過されたエンジンオイル8を導出する
導出口955とを設けている。導入口951には,支持
体901との間に逆止弁931を設けている。
【0031】フィルタ1に下方から圧入されてくるエン
ジンオイル8は,図2の矢印で示すごとく,導入口95
1から逆止弁931を押し開いてケース909の中に流
入し,フィルタ1の中を,その外壁21から内壁22に
向かって通過し濾過される。濾過されたエンジンオイル
8は導出口955より内燃機関に還流される。
【0032】比較例1 本例のフィルタは,微粉末樹脂の代わりに,親水性の高
い水溶性樹脂を用いて,繊維成形体の繊維同士を結着し
た。水溶性樹脂は,分子量約200のフェノール樹脂を
用いた。このフェノール樹脂は,分子量が小さいため,
フェノール樹脂全体量の中に占める親水基の数は,上記
実施形態例1の微粉末樹脂(フェノール樹脂)よりも大
きい。このため,水溶性樹脂は親水性であり,また粘度
も低い。水溶性樹脂は分子単位で水に溶解していること
から,水の中での水溶性樹脂のの直径は数十オングスト
ロームである。
【0033】この水溶性樹脂を用いて実施形態例1と同
様の操作を行い,フィルタを製造した。図1(b)に示
すごとく,水15の乾燥に伴って水溶性樹脂19も繊維
成形体表面51へマイグレーションを起こした。得られ
たフィルタの圧力損失を,上記実施形態例1と同様の方
法で測定したところ,70kPaであった。
【0034】比較例2 本例のフィルタは,微粉末樹脂の代わりに,親水性の中
程度のエマルジョン系樹脂及び界面活性剤を用いて,繊
維成形体の繊維同士を結着した。エマルジョン系樹脂
は,分子量約300のフェノール樹脂を用いた。このフ
ェノール樹脂は,分子量が中程度であるため,フェノー
ル樹脂全体量の中に占める親水基の数は,上記比較例1
の水溶性樹脂よりも大きく,かつ上記実施形態例1の微
粉末樹脂(フェノール樹脂)よりも小さい。このため,
エマルジョン系樹脂は界面活性剤とともにエマルジョン
を形成する。また,本例で用いるフェノール樹脂は比較
例1で用いるフェノール樹脂よりも粘度が高い。エマル
ジョン系樹脂と界面活性剤とは,水の中で直径約1μm
のエマルジョン粒子を形成する。
【0035】このエマルジョン溶液を用いて実施形態例
1と同様の操作を行い,フィルタを製造した。図1
(c)に示すごとく,エマルジョン系樹脂181及び界
面活性剤182からなるエマルジョン粒子18の多く
は,水15の乾燥に伴って繊維成形体表面51へマイグ
レーションを起こした。エマルジョン粒子18の一部だ
けが繊維成形体内部52に留まった。得られたフィルタ
の圧力損失を,上記実施形態例1と同様の方法で測定し
たところ,50kPaであった。
【0036】実験例1 本例においては,微粉末樹脂の一次粒子径及び分散液中
の濃度について調査を行った。微粉末樹脂としてはフェ
ノール樹脂を用い,その平均一次粒子径を2.4μm,
7.6μm,18μmと変化させた。平均一次粒子径
は,機械的破砕で調整した。分散液中の微粉末樹脂含有
量を0.2〜1.0重量%の範囲で変化させた。
【0037】次に,上記各種分散液を,出力100W,
周波数220kHzの超音波により攪拌した。なお,超
音波の周波数は小さいほど沈降速度が遅いことが予備実
験から明らかとなっている。超音波による攪拌の後に分
散液を静置した。静置時間に沿って微粉末樹脂の沈降量
を測定した。
【0038】その結果を,図10に示した。図10
(a)には微粉末樹脂の粒子径が2.4μmの場合,図
10(b)には粒子径が7.6μmの場合,図10
(c)には粒子径が18μmの場合を示した。同図よ
り,平均一次粒子径が18μmの微粉末樹脂を0.4重
量%以下の濃度で水に分散させた場合には,静置後3分
間以上分散状態を保持することがわかる。
【0039】粒子径が小さくなると,表面エネルギ増大
に伴う粒子凝集が生じ,二次粒子が生成されるとともに
沈降が始まると考えられる。
【0040】実験例2 本例においては,繊維成形体への微粉末樹脂の付着量
と,微粉末樹脂の平均一次粒子径及び濃度との関係を調
査した。調査に当たっては,図11に示すごとく,分散
液中の微粉末樹脂の濃度が0.4重量%の場合(図11
(a)),0.2重量%の場合(図11(b))につい
て行った。各濃度における微粉末樹脂の平均一次粒子径
を2.42μm,7.55μm,18.0μmと変化さ
せた。かかる種々の分散液を,繊維成形体(9山,直径
75mm)に含浸させた。その含浸液量は,1〜2リッ
トルとした。その内,約30gは繊維成形体に残存し,
その残部は繊維成形体を通過する。繊維成形体へ分散液
を含浸するときに,水槽内の分散液を超音波(220k
Hz,100W)で均一に分散させた。
【0041】繊維成形体への分散液の含浸は,図6
(b)に示す吸引方式で行った。吸引条件は,100W
の吸引器により2〜5秒である。吸引による分散液の含
浸の後に,繊維成形体への微粉末樹脂の付着率を測定し
た。
【0042】その結果を,図11に示した。同図より,
微粉末樹脂の濃度が0.4重量%で平均一次粒子径が
7.6μm以上の場合に,実使用に耐え得る程度の微粉
末樹脂が付着することがわかった。含浸液量の増大にと
もなって,微粉末樹脂の付着量も増大した。
【0043】特に,平均一次粒子が18μmの微粉末樹
脂では,含浸液量と付着量とがほぼ比例している。この
ことは,直径20μmのダストを約30重量%捕捉する
という繊維成形体の特性(図12,従来品)から考え
て,微粉末樹脂も繊維成形体通過時に捕捉されながら付
着していることを示している。従来品は,エマルジョン
系フェノールをバインダーとして用いた,寸法の異なる
(100mm高い)成形体である。
【0044】また,図11に示すごとく,微粉末樹脂の
付着効率も,含浸液濃度0.2重量%,0.4重量%と
もに,約60重量%であり,微粉末樹脂は30μmダス
ト相当の二次粒子凝集粒を形成していることが予測され
る。例えば,0.4重量%の場合における付着率は,微
粉末樹脂の付着量4.5gを,分散液中微粉末樹脂量
(0.4重量%×2リットル=8.0g)で除すること
により得られる値,即ち,56重量%である。
【0045】一方,平均一次粒子径が2.4μmの場合
における付着効率は,含浸液濃度0.2重量%,0.4
重量%とも約20重量%(例えば,0.4重量重量%分
散液では,付着量1.4g/含浸液中微粉末樹脂量
(0.4重量%×2リットル)=18重量%)であり,
一次粒子の凝集により15μm程度の二次凝集粒を作っ
ていると予測される。
【0046】以上より,一次粒径の大小及びその結果生
じる二次粒子径の違いによって,付着効率が異なってい
ることが確認された。さらに,大通過液量の場合には,
付着効率は比例直線から下方へずれることから,通過流
量が増えるにしたがって繊維に付着しにくくなる傾向に
あることがわかる。これは,多量の分散液を含浸させる
ことにより,繊維側の微粉末樹脂の付着部位が漸次減少
していくためであると考えられる。実験例1,2を表1
にまとめて示した。
【0047】
【表1】
【0048】実験例3 本例においては,繊維成形体への微粉末樹脂の付着状態
を評価した。評価に際して,単円板の繊維成形体(直径
100mm,厚み約5mm)を準備した。繊維成形体に
用いる繊維は,繊維径5〜20μmのパルプ86重量
%,及び繊維径2〜5μmのボンネル14重量%であ
る。
【0049】また,含浸用の分散液として,平均一次粒
子径が18.0μmのフェノール樹脂からなる微粉末樹
脂の0.4重量%の水溶液を1リットル準備した。この
微粉末樹脂は,比表面積が8.6cm2 /cm3 ,標準
偏差18.7μmであり,またその粒度分布は図13に
示すごときである。そして,繊維成形体の表面に,分散
液1リットルを垂らした。これにより得られたサンプル
のSEM写真を撮影し,図14に示した。
【0050】その結果,図14に示すごとく,繊維成形
体内部に分散液が含浸し,繊維成形体表面,内部及び裏
面とも均一に微粉末樹脂が繊維に付着した。また,SE
M写真を図示した図15に示すごとく,微粉末樹脂10
の付着は,ボンネル繊維22に選択的に起こっていた。
これは,ボンネル繊維22がパルプ繊維21に比べて非
常に微細であり,表面エネルギが大きいためであると考
えられる。また,繊維2の間には,充分な空隙20が開
口していた。
【0051】次に,分散液を含浸した繊維成形体5を加
熱して微粉末樹脂10を硬化させた。これにより,硬化
前にボンネル繊維22に点結着していた微粉末樹脂10
が,ボンネル繊維22に飴状に結着していることが確認
された。この状態は繊維成形体表面の内部及び裏面とも
同様である。このことから,微粉末樹脂が繊維成形体全
体にわたって繊維を均一に点結着するため,得られたフ
ィルタの耐圧強度は十分得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1,比較例1,2における繊維成形
体内部の,乾燥時における樹脂及び水の挙動を示す説明
図。
【図2】実施形態例1における,フィルタ装置の断面説
明図。
【図3】実施形態例1のフィルタの斜視図。
【図4】実施形態例1のフィルタの平面図。
【図5】実施形態例1における,フィルタの製造工程説
明図。
【図6】実施形態例1における,フィルタの成形工程
(a),樹脂含浸工程(c),及び乾燥・硬化工程
(c)の説明図。
【図7】実施形態例1における,吸引治具の断面図。
【図8】実施形態例1における,吸引治具の上型(a)
及び下型(b)の斜視図。
【図9】実施形態例1における,他のフィルタの断面図
(a),(b)。
【図10】実験例1における,微粉末樹脂の平均一次粒
子径が2.4μmの場合(a),7.6μmの場合
(b),18μmの場合(c)における,微粉末樹脂の
濃度と攪拌後の静置時間と微粉末樹脂の沈降量との関係
を示す線図。
【図11】実験例2における,微粉末樹脂が0.4重量
%の場合(a),0.2重量%の場合(b)における,
微粉末樹脂の平均一次粒子径と分散液の含浸液量と付着
量との関係を示す線図。
【図12】実験例2における,従来品のダスト捕捉効率
を示す説明図。
【図13】実験例3における,微粉末樹脂の粒度分布の
説明図。
【図14】実験例3における,微粉末樹脂による繊維同
士の結着状態を示す組織を撮影した図面代用写真。
【図15】実験例3における,微粉末樹脂による繊維同
士の結着状態を示す説明図。
【符号の説明】
1...フィルタ, 10...微粉末樹脂, 11...外壁, 12...内壁, 15...水, 18...エマルジョン粒子, 19...水溶性樹脂, 2...繊維, 32,62...水槽, 33...吸引治具, 332...下型, 334...上型, 335...吸引孔, 61...分散液, 7...乾燥器, 73...熱風, 8...エンジンオイル, 9...フィルタ装置,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 以千弘 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 高原 敏広 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性の微粉末状樹脂を水に分散させた
    分散液を準備し,該分散液を繊維成形体に含浸させ,上
    記微粉末樹脂を固化させることを特徴とするフィルタの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記微粉末状樹脂
    は,粒径が0.1〜100μmであることを特徴とする
    フィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記分散液に
    おける上記微粉末状樹脂の含有量は,0.01〜20重
    量%であることを特徴とするフィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記繊維成形体は,熱硬化性樹脂であることを特徴とす
    るフィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記繊維成形体は,繊維径が5μm以上の主繊維に繊維
    径が5μm未満の微細繊維が混入されているとともに,
    少なくとも一端側が開口する筒状部を有するように成形
    されていることを特徴とするフィルタの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記繊維成形体は,繊維径が5μm以上の主繊維と,繊
    維径が5μm未満の微細繊維とを含有するスラリーを,
    吸引治具を通じて吸引するとともに該吸引治具の壁面に
    上記主繊維と上記微細繊維とを堆積させることにより成
    形することを特徴とするフィルタの製造方法。
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