JPH11264212A - ヤシ繊維板およびその製造方法 - Google Patents

ヤシ繊維板およびその製造方法

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JPH11264212A
JPH11264212A JP10070054A JP7005498A JPH11264212A JP H11264212 A JPH11264212 A JP H11264212A JP 10070054 A JP10070054 A JP 10070054A JP 7005498 A JP7005498 A JP 7005498A JP H11264212 A JPH11264212 A JP H11264212A
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fibers
palm
fiber board
coconut
fiber
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JP10070054A
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Masashi Hiraishi
将史 平石
Kenji Kurimoto
健二 栗本
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な透湿性と高い強度を併せ持ったヤシ繊
維板において、保管中及び施工後の吸湿や水濡れによる
反りや変形の発生しないヤシ繊維板を提供する。 【解決手段】 ヤシ繊維マットに必要により植物繊維編
織物を積層し、これらに硬化性樹脂を付着させ圧縮成形
してなるヤシ繊維板であって、該繊維板の含水率を3〜
15%としたヤシ繊維板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木質系繊維板類
似の繊維板で、ヤシ繊維を主成分とするヤシ繊維板及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】断熱木造住宅での壁内結露を防止するた
め特に寒冷地で採用されている通気構法に於いて、通気
層と断熱層を区画する防風層に使用される材料には、断
熱材を保持する機能と壁中に漏出した水蒸気を壁外へ容
易に排出する透湿性が必要である。更に近年、防風層自
体に構造用面材として強度付与機能も要求されるように
なってきた。このような中、高い強度と良好な透湿性を
併せ持ち、通気構法の防風層として好適なヤシ繊維板に
関する技術が開示(WO96/32251)されている。このヤシ
繊維板は天然繊維からなり、このような天然繊維からな
る繊維板は湿気や水濡れによる影響を受けやすい傾向に
あるため、繊維板施工後の水濡れによる凹凸波打ち等の
変形のほか、気象条件等によっては、平積み保管中に反
りや波打ち等が発生することがあった。ヤシ繊維を含ん
だ繊維板等に関する特許出願(特許第2529168号、特開
平8-108509、特開平7-124915)の中で、バインダーの縮
合物中にワックスを混合して耐水性を向上させるという
技術が開示されているが、この技術によっても前記課題
を解決するには未だ不十分でその改良が望まれていた。
【0003】MDFやハードボード等の一般的な木質繊
維板やパーテイクルボードでは、加熱圧縮成形後に調湿
してボード含水率を調整することが行われているが、繊
維形態や、硬化性樹脂の種類や量等の製造方法の差異が
存在するため、これら技術をヤシ繊維板、特にアブラヤ
シ繊維板に適用出来るか否か、又出来るとしてもどのよ
うに適用するのかの解明は未だ全くなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、保管中及び施工後の吸湿や水濡れ等による
反りや波打ちの発生しないヤシ繊維板を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、加熱圧縮成
形後のヤシ繊維板に吸湿させて含水率を周囲環境におけ
る平衡含水率程度にすることにより、吸湿や水濡れによ
る反りや波打ちのないヤシ繊維板が得られることを見い
だし、以下の発明に至った。即ち本発明は、ヤシ繊維を
主成分とした繊維に硬化性樹脂を付着させ、必要により
ヤシ繊維層の少なくとも1表面及び/又は内部に有機又
は無機繊維からなるシート状物を積層し、圧縮成形して
なるヤシ繊維板であって、含水率を3〜15%としたこと
を特徴とするヤシ繊維板、および該繊維板の製造方法に
関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細について具体
的に説明する。本発明で用いるヤシ繊維とは、ココヤ
シ、アブラヤシ、サゴヤシ、ナツメヤシ、オウギヤシ、
ニッパヤシ、サトウヤシ、クジャクヤシ、シュロ、トウ
ジュロ、クロツグ等のヤシ科の植物から採取される繊維
状樹皮、葉柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維をいい、こ
れにはアブラヤシの空果房を解繊して得る繊維が含まれ
る。また、複数種類のヤシ繊維を混合したものを含む。
ここではアブラヤシ繊維が好ましい。ヤシ繊維の内ココ
ヤシ繊維は、一般に単位断面径が約50〜550μm、
繊維長約4〜25cmである。
【0007】アブラヤシ繊維は他の種類のヤシ繊維に比
較して解繊等に要する労力が少なく、安価に入手するこ
とができる。また、アブラヤシ繊維は、一般に単位断面
径が約150〜650μm、繊維長が約5〜30cmと
長めであり、ココヤシ繊維より繊維の屈曲の度合いが大
きいため、繊維同士の絡まり合いが大きく、繊維マット
を形成したときに解れにくく、マットの取り扱いが容易
である。また、繊維の絡まり合いが大きいため釘を打ち
付けたときの釘保持力が強くなるほか、繊維径もココヤ
シ繊維より太いこともあり、アブラヤシ繊維の繊維板
は、繊維間隙間が約100μm〜5mm、好ましくは約
200μm〜3mmと大きくなり易く、透湿性に優れ且
つ強度が高い繊維となり好ましい。
【0008】また、必要によりヤシ繊維に他の有機又は
無機繊維を混合しても良い。有機繊維としては天然植物
性繊維や合成繊維が挙げられる。ここで、天然植物性繊
維は、麻を解繊した麻繊維、若竹を解繊した竹繊維、サ
トウキビ繊維、へちま繊維、パイナップル繊維、バナナ
繊維、コウリャン繊維、イナワラより得られる繊維、木
質繊維等が例示され、天然植物より得られる繊維質であ
れば特に限定はない。合成繊維としてはポリエステル繊
維、脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、
アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維
等のポリオレフィン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビ
ニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キ
ュプラ、アセテート等の繊維が例示される。無機繊維と
しては、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊
維、窒化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維、チラノ繊維など
が例示される。またこれらは、単独でも二種以上を混合
しても良い。
【0009】ヤシ繊維に混合する他の繊維の混合率は50
wt%未満、好ましくは40wt%未満、更に好ましくは30wt%
未満である。本発明では必要により有機又は無機繊維か
らなるシート状物を積層する。シート状物として使用で
きる有機繊維としては天然繊維や合成繊維が挙げられ
る。ここで、天然繊維は、綿、麻繊維、竹繊維、サトウ
キビ繊維、へちま繊維、パイナップル繊維、バナナ繊
維、コウリャン繊維、イナワラより得られる繊維、木質
繊維等が例示される。合成繊維としてはポリエステル繊
維、脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、
アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維
等のポリオレフィン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビ
ニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キ
ュプラ、アセテート等の繊維が例示される。また無機繊
維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、窒化
ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維などが例示される。またこ
れらは、単独の繊維でも良く、二種以上を混合した繊維
でも良い。シート状物としては編織物、不織布などがあ
るが、編織物が好ましく、織物が更に好ましい。
【0010】シート状物として上記に例示した中でも、
麻繊維織物が好ましい。ここで麻繊維とは麻から得られ
る繊維をいい、ジュート、アマ、ケナフ及びアンバリア
サ等のじん皮繊維をとるものと、マニラアサ、サイザル
アサ、ニュージランドアサ、及びモーリシアスアサ等の
組織繊維をとるものとが含まれる。織組織の一例として
は、平織、綾織、朱子織、ナナコ織(正則、不規則を含
む)等から選ぶのが好ましく、この中でも平織、綾織が
特に好ましい。これら麻織物の中でもジュートクロスが
特に好ましい。
【0011】シート状物の目付は100〜1200g/m2程度が
好ましい。さらに100〜1000g/m2が好ましく、最も好ま
しくは100〜600g/m2である。また、ヤシ繊維マットに積
層するシート状物の量は、繊維板を使用する部位が必要
とする強度等の物性によりその目付けと積層数を組み合
わせ選定できるが、積層位置はヤシ繊維層の表面でも内
部でもよく、表面の場合は片面でも両面でもよい。ま
た、多数枚のヤシ繊維マットとシート状物を交互に積層
してもよい。
【0012】本発明で用いる硬化性樹脂は、熱硬化型樹
脂及び反応硬化型樹脂(常温硬化型樹脂)を含む。ま
た、上記圧縮成形の際には、必要に応じて加熱も行う。
まず熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹
脂、及びジアリルフタレート樹脂(DAP樹脂)などが
ある。フェノール樹脂には、ノボラック樹脂(酸触媒、
フェノール過剰)、レゾール樹脂(塩基性触媒、ホルム
アルデヒド過剰)、フェノール−メラミン共重合樹脂、
フェノール−メラミン−ユリア共重合樹脂、アルキルフ
ェノール変成フェノール樹脂、ゴム変成フェノール樹脂
等の変成フェノール樹脂があり、アミノ樹脂にはユリア
樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、ユリア−メラミン共
重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びアセトグアナミ
ン樹脂がある。次に、反応硬化型樹脂(常温硬化型樹
脂)としては、フラン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性
(変成)シリコーン樹脂、及びシリコーン樹脂などがあ
る。さらに、繊維マットの集束剤又はバインダーとして
は、これら硬化性樹脂が寸法精度、耐久性、強度等の点
から好ましい。しかしながら、物性上少し劣りはする
が、バインダー効果を持つアクリル系、スチレン系等の
熱可塑型樹脂(特に水性分散液)及び天然あるいはSB
Rなどの合成ゴムラテックスも一部使用することがで
き、本発明の硬化性樹脂とは、これらを含めた概念であ
る。上記の硬化性樹脂の内、熱硬化性樹脂が硬化時間、
生産性の観点から好ましく、その内でもフェノール樹
脂、アミノ樹脂が好ましく、特に好ましくはアミノ樹
脂、つまりユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリアメラミン
共重合樹脂、及びこれらの混合樹脂がよい。本発明の硬
化性樹脂には、必要に応じてワックスやサイズ材等の耐
水性付与剤、可塑剤、充填剤、補強材、垂れ防止剤、着
色剤、老化防止剤、接着促進剤、硬化触媒、物性調整剤
などを配合し得る。尚、接着付与剤として、コンニャ
ク、小麦粉、デンプン等を添加し得る。
【0013】硬化性樹脂の使用量は、ヤシ及び植物繊維
100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは5〜30重
量部、更に好ましくは10〜30重量部が例示される。本発
明で言う含水率は全乾法による含水率で、次式により算
出される値であり、ここでWは含水率測定時のヤシ繊維
板試験片重量、W0はこの試験片を105℃で恒量まで乾燥
させた後の重量である。
【0014】
【数1】
【0015】加熱プレス成形した直後の繊維板は非常に
乾燥した状態であり、含水率は0〜2%程度である。乾
燥したヤシ繊維板が吸湿すると含水率上昇に従いヤシ繊
維板は伸長する。ヤシ繊維板に吸湿させて、周囲環境に
おける平衡含水率程度に含水率を調節しておけば、吸湿
による伸長が低減し、保管中や施工後の吸湿による変形
を抑制することが可能である。従って、本発明のヤシ繊
維板の含水率は3〜15%が好ましく、4〜12%が更に好
ましく、5〜10%が特に好ましい。含水率が15%を越え
ると、ヤシ繊維板の諸物性が低下やカビ発生が起こる傾
向があるので好ましくない。
【0016】本発明の実施形態の1例を説明する。ヤシ
繊維を展開して繊維マットを形成し、この繊維マットの
両表面にジュートクロスを積層し、これらに硬化性樹脂
を付着させ、加熱圧縮成形してヤシ繊維板を成形後、該
繊維板を相対湿度40〜95%RHの条件下で吸湿養生させて
含水率を3〜15%に調整することにより、本発明のヤシ
繊維板が得られる。
【0017】ヤシ繊維板を吸湿させる条件は、相対湿度
40〜100%RHが好ましく、50〜95%RHが更に好ましく、6
0〜85%RHが特に好ましい。40%RH未満では必要な含水率
までヤシ繊維板を吸湿させるまで長期間を要するほか、
条件によっては必要な含水率に到達しないことがある。
更に吸湿時の温度条件は、0〜70℃が好ましく、10〜60
℃が更に好ましく、20〜45℃が特に好ましい。0℃未満
の低温では飽和水蒸気圧が低く、必要な含水率までヤシ
繊維板に吸湿させるのに長時間を要する傾向にある。ま
た70℃を越える高温下で吸湿養生させると、ヤシ繊維板
の物性が低下する傾向がある。
【0018】上記のような温湿度条件下で吸湿養生する
時間は、温湿度条件や空気の流通状態等によりヤシ繊維
板が必要含水率に達する時間が異なるので、それぞれの
条件により設定すれば良く、特に限定しない。吸湿養生
時間を短縮するため、空気の流通を改善する措置を講ず
ることができる。例えば、ヤシ繊維板1〜10枚毎にスペ
ーサーなどを挿入して繊維板間に通気のための隙間を設
けても良い。この隙間は広い方が空気の流通がよく、吸
湿の要する期間を短期間することが出来るが、吸湿養生
に必要なスペースが広くなるので好ましくない。従って
繊維板に挿入する隙間は9〜90mmが好ましく、18〜90mm
が更に好ましく、36〜60mmが特に好ましい。隙間を挿入
する頻度は高い方が直接外気に触れるヤシ繊維板の割合
が増え、吸湿養生期間短縮に効果的であるが、作業量と
必要な養生スペースが多くなる。従って、隙間を挿入す
る頻度は、1〜10枚毎が好ましく、1〜6枚毎が更に好
ましく、2〜4枚毎が特に好ましい。また、養生室内に
送風機等を設置して、室内及び繊維板の隙間の空気を強
制的に循環させると更に好ましい。
【0019】ここまで所定温湿度条件で吸湿養生させる
方法について述べてきたが、ヤシ繊維板に直接水を噴霧
して吸湿させることもできる。ヤシ繊維板に水を噴霧し
た後は平積みして養生し、表面の水をヤシ繊維板内部ま
で十分に浸透、吸湿させる。噴霧する水量はヤシ繊維板
100重量部に対して3〜15重量部が好ましく、3〜10重
量部が更に好ましく、3〜7重量部が特に好ましい。15
重量部を越えて水噴霧するとヤシ繊維板の含水率が15%
を越え、繊維板物性が低下やカビ発生の恐れがあるため
好ましくない。また3重量部未満では必要含水率に達し
ない。水噴霧はスプレー等で行えるが、ヤシ繊維板表面
に一様に水を付着させることが出来れば良く、方法は特
に限定しない。また片面だけに水を噴霧しても、上記水
量を両面に分けて噴霧しても良い。
【0020】以上の実施形態では、正面視が矩形で一定
厚さの繊維板についてのみ説明したが、圧縮硬化成形時
に種々形状の型により所望の形状に成形した成形体とし
てもよく、その場合においても上記繊維板と同様の作用
及び効果を得ることができる。
【0021】
【実施例】次に本発明を実施例と比較例により具体的に
説明する。ヤシ繊維板の評価は以下の方法で行った。含
水率は、切り出した試料(100mm×200mm)で全乾法により
測定した。保管時の変形評価は、所定条件で吸湿させた
910×2850mmのヤシ繊維板30枚をパレットに平積みして
屋内(20℃/50%RH)に放置し、波打ち変形発生の有無を
評価した。施工後の変形は、実寸の木造家屋軸組壁モデ
ルに910mm×2730mmのヤシ繊維板をN65釘、釘ピッチ100m
mで打ち付け、1時間シャワーで散水した後、凹凸波打
ち変形発生の有無を評価した。
【0022】(実施例1)解繊したアブラヤシ繊維をマ
ット状に展開し、ニードルパンチにより繊維を交絡さ
せ、目付1.7kg/m2の繊維マットを作製した。ユリア樹脂
(三井化学製ユーロイドU-756)及び硬化触媒としてNH4
Clを混合し、水で希釈した樹脂溶液を上記アブラヤシマ
ット及び目付0.3g/m2のジュートクロスに噴霧塗布し、
ヤシ及びジュート繊維100重量部に対して樹脂固形分で1
5重量部のユリア樹脂を付着させた。樹脂を付着させた
アブラヤシ繊維マット2枚、その両面にジュートクロス
1枚ずつを積層し、165℃−8分の条件で加熱プレスし
て厚さ9.0mm、密度0.5g/cm3のヤシ繊維板を作製した。
【0023】プレス成形したヤシ繊維板(910mm×2850m
m、48枚)を、角材をヤシ繊維板4枚毎に挿入して36mmの
隙間を空けてパレット(1m×3m)に積み、30℃/80%RHに
調節した部屋に入れて1週間養生し、吸湿させたヤシ繊
維板を得た。得られたヤシ繊維板の評価結果は表1に示
す。 (実施例2)実施例1と同様にプレス成形したヤシ繊維
板(910mm×2850mm、48枚)を、角材をヤシ繊維板4枚毎に
挿入して36mmの隙間を空けてパレット(1m×3m)に積み、
屋内(平均15℃/平均50%RH)で2週間養生し、吸湿させ
たヤシ繊維板を得た。得られたヤシ繊維板の評価結果は
表1に示す。
【0024】(実施例3)実施例1と同様にプレス成形
したヤシ繊維板(910mm×2850mm、48枚)を、角材をヤシ
繊維板2枚毎に挿入して18mmの隙間を空けてパレット(1
m×3m)に積み、屋内(平均22℃/平均53%RH)で2週間養
生し、吸湿させたヤシ繊維板を得た。得られたヤシ繊維
板の評価結果は表1に示す。
【0025】(実施例4)実施例1と同様にプレス成形
したヤシ繊維板(910mm×2850mm、48枚)を、角材をヤシ
繊維板4枚毎に挿入して18mmの隙間を空けてパレット(1m
×3m)に積み、屋内(平均15℃/平均50%RH)で2週間養生
し、吸湿させたヤシ繊維板を得た。得られたヤシ繊維板
の評価結果は表1に示す。
【0026】(実施例5)実施例1と同様にプレス成形
したヤシ繊維板(910mm×2850mm、50枚)に、片面2.5重量
部ずつ両面にエアスプレーで水を噴霧してパレットに平
積みし、1週間養生した。得られたヤシ繊維板の評価結
果は表1に示す。 (比較例1)実施例1と同様にしてヤシ繊維板をプレス
成形して作製した後、調湿することなくパレットに平積
みした。得られたヤシ繊維板の評価結果は表1に示す。
【0027】(比較例2)実施例1と同様にプレス成形
したヤシ繊維板(910mm×2850mm、50枚)に、片面9重量部
ずつ両面にエアスプレーで水を噴霧してパレットに平積
みし、1週間養生した。得られたヤシ繊維板の評価結果
は表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示したように、調湿せずにプレス成
形後直ぐ平積みした場合は保管時、施工後とも変形が発
生したのに対して、含水率3〜15%に吸湿させたものは
いずれも保管時、施工後とも変形が発生しなかった。ま
た含水率が15%を越えた場合は保管時にカビが発生し
た。このように含水率を3〜15%にすることで、カビ発
生や物性低下なしに保管時及び施工後の変形を抑制する
ことが可能となった。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、ヤシ繊維マットに
必要により植物繊維編織物を積層し、これらに硬化性樹
脂を付着し圧縮成形してなる繊維板であって、該繊維板
に吸湿させて含水率3〜15%とすることで、保管中や輸
送中及び施工後の吸湿や水濡れ等による変形のないヤシ
繊維板及びその製造法を提供することができた。
【0031】本発明の繊維板は透湿性を有し、強度に優
れるので、この繊維板により防風層を形成すれば、室内
の水蒸気を通気層へスムーズに透過させることができる
と共に、断熱層を安定して保持できるのは勿論のこと、
本発明の製造法により製造したヤシ繊維板は吸湿等によ
る反り、波打ちなどの変形が起こらないので建材として
好ましい。
【0032】また、本発明の繊維板の用途としては、防
風層に限定されるものではなく、強度、透湿性、防水性
が優れるので、例えば外壁下地材、床材、床下地材、畳
材、畳床、屋根下地材、天井材、住宅内装材、内装下地
材、建築用断熱材、胴縁材、遮音材、吸音材、緩衝材、
衝撃吸収材、コンクリート型枠材、積載用パレット、自
動車等車両内装材、自動車等車両内装下地材、家具材等
としても使用することが出来る。また、排水暗渠、地盤
安定材、農芸園芸用材、ジオテキスタイル、包装材とし
ても使用できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤシ繊維を主成分とした繊維に硬化性樹
    脂を付着させて圧縮成形してなるヤシ繊維板であって、
    該繊維板の含水率を3〜15%としたことを特徴とするヤ
    シ繊維板。
  2. 【請求項2】 ヤシ繊維を主成分とした繊維層の少なく
    とも1表面及び/又は内部に有機又は無機繊維からなる
    シート状物を積層し、これらに硬化性樹脂を付着させて
    圧縮成形してなるヤシ繊維板であって、該繊維板の含水
    率を3〜15%としたことを特徴とするヤシ繊維板。
  3. 【請求項3】 ヤシ繊維がアブラヤシ繊維である請求項
    1又は2記載のヤシ繊維板。
  4. 【請求項4】 シート状物がジュートクロスである請求
    項1〜3の1記載のヤシ繊維板。
  5. 【請求項5】 硬化性樹脂がアミノ樹脂である請求項1
    〜4の1記載のヤシ繊維板。
  6. 【請求項6】 ヤシ繊維を主成分とした繊維に硬化性樹
    脂を付着させて圧縮成形した後、含水率が3〜15%とな
    るように吸湿させたことを特徴とするヤシ繊維板の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 ヤシ繊維を主成分とした繊維層の少なく
    とも1表面及び/又は内部に有機又は無機繊維からなる
    シート状物を積層し、これらに硬化性樹脂を付着させて
    圧縮成形した後、含水率が3〜15%となるように吸湿さ
    せたことを特徴とする請求項2〜5記載のヤシ繊維板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 圧縮成形したヤシ繊維板を相対湿度40〜
    100%RHの雰囲気中で吸湿させることを特徴とする請求項
    6又は7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 吸湿させる雰囲気温度が0〜70℃である
    請求項6〜8の1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 圧縮成形したヤシ繊維板表面に水を噴
    霧して吸湿させることを特徴とする請求項6〜9の1記
    載の製造方法。
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JP10070054A Pending JPH11264212A (ja) 1998-03-19 1998-03-19 ヤシ繊維板およびその製造方法

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JP (1) JPH11264212A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011100804A1 (en) * 2010-02-19 2011-08-25 Arctic Sunrise Pty Ltd A composition with adjustable characteristics
JP2014128919A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Panasonic Corp 繊維板の製造方法

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