JPH11263984A - 触媒クラッキングにおける炭化水素装入物の選択的蒸発方法および装置 - Google Patents

触媒クラッキングにおける炭化水素装入物の選択的蒸発方法および装置

Info

Publication number
JPH11263984A
JPH11263984A JP10304465A JP30446598A JPH11263984A JP H11263984 A JPH11263984 A JP H11263984A JP 10304465 A JP10304465 A JP 10304465A JP 30446598 A JP30446598 A JP 30446598A JP H11263984 A JPH11263984 A JP H11263984A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
charge
injected
catalyst
reactor
injector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10304465A
Other languages
English (en)
Inventor
Marc Fersing
マルク、フェルサン
Pozo Mariano Del
マリアノ、デル、ポゾ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Total Marketing Services SA
Original Assignee
Total Raffinage Distribution SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Total Raffinage Distribution SA filed Critical Total Raffinage Distribution SA
Publication of JPH11263984A publication Critical patent/JPH11263984A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J8/00Chemical or physical processes in general, conducted in the presence of fluids and solid particles; Apparatus for such processes
    • B01J8/18Chemical or physical processes in general, conducted in the presence of fluids and solid particles; Apparatus for such processes with fluidised particles
    • B01J8/24Chemical or physical processes in general, conducted in the presence of fluids and solid particles; Apparatus for such processes with fluidised particles according to "fluidised-bed" technique
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G11/00Catalytic cracking, in the absence of hydrogen, of hydrocarbon oils
    • C10G11/14Catalytic cracking, in the absence of hydrogen, of hydrocarbon oils with preheated moving solid catalysts
    • C10G11/18Catalytic cracking, in the absence of hydrogen, of hydrocarbon oils with preheated moving solid catalysts according to the "fluidised-bed" technique

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒クラッキングにおける炭化水素装入物の
選択的蒸発方法および装置。 【解決手段】 本発明は、被クラッキング装入物の噴射
区域を備えた管状反応器(1)の中で、流動相触媒の存
在において炭化水素を触媒クラッキングする方法に関す
るものである。本発明によれば、触媒粒子流の流れ方向
に対して向流方向に前記装入物を噴射する少なくとも1
つの手段(3)によって、クラッキングされる装入物の
本質的部分を噴射区域中に導入し、また触媒粒子流の流
れ方向に対して並流方向に前記装入物を噴射する少なく
とも1つの手段(2)によって、クラッキングされる装
入物の本質的部分を同時的に同一噴射区域中に導入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流動相の触媒の存在
において炭化水素を触媒クラッキングする方法および装
置に関するものである。特に本発明の目的は、クラッキ
ング反応器中において処理される炭化水素装入物のすぐ
れた蒸発とすぐれた転化とを可能とする方法および装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】それ自体
公知のように、石油工業は重質炭化水素装入物の転化法
において、高分子量の高沸点の炭化水素分子を、より低
温範囲で沸騰し所望の用途に適したより小分子に分割す
る方法を求めている。
【0003】この分野で現在最も普及した方法は、いわ
ゆる流動床型触媒クラッキング(英語で、"Fluid Catal
ytic Cracking" または”FCC”)である。この型の
方法においては、微細滴状に霧化された炭化水素装入物
が、希釈流動床状態で、すなわち搬送のためにガス流体
中に懸濁させられた状態で、反応器中を循環するクラッ
キング触媒粒子と高温で接触させられる。この場合、装
入物の蒸発が生じ、次に触媒の活性部位上で炭化水素分
子のクラッキングが生じる。対応の沸点低下を伴なって
所望の分子量範囲に達した後に、得られた生成物を触媒
粒子から分離する。触媒粒子は同伴炭化水素の回収のた
めにストリッピングされ、次に形成されたコークスの燃
焼によって再生され、最後にクラッキングされる装入物
と再接触させられる。
【0004】使用される反応器は一般に管型垂直反応器
であって、その中を触媒が本質的に上昇流をなして移動
し(この場合、反応器は「ライザー」と呼ばれる)また
は本質的に下降流をなして移動する(この場合、反応器
は「ドロッパー」または「ダウナー」と呼ばれる)。
【0005】触媒クラッキング法のキーファクタの1つ
は、クラッキング炭化水素装入物の噴射区域において、
熱い再生触媒粒子と接触する前記装入物の蒸発量に関す
るものである。触媒クラッキング反応はガス状で実施さ
れるので、装入物と触媒粒子との混合物の温度はこの装
入物の全体的瞬間的蒸発を可能とする温度でなければな
らない。従って、この混合物温度は、装入物中に存在す
る最重質炭化水素の蒸発温度と同等またはこれ以上でな
ければならない。
【0006】触媒クラッキングの最適反応温度に関して
言えば、この温度は装入物の化学的組成、使用される触
媒、および所望の転化生成物(ガソリンまたは軽油)の
性質に依存する。この温度は一般に450乃至550℃
の範囲内にある。従って良好な条件で転化反応が展開す
るためには、装入物全部がこの温度範囲内で蒸発しなけ
ればならない。このような制約はFCC法を比較的軽質
の装入物の転化に限定する事になる。
【0007】実際に、より重質の装入物を転化しようと
する場合に重要な問題を生じる。これらの重質装入物は
しばしば最適反応温度以上の沸点を有するからである。
これは特に残油などの装入物の場合である。これらの残
油は特にアスファルテンのように、高分子量および高金
属含有量の化合物に富んでいる。これらの装入物は特に
高温で沸騰し、従ってクラッキング反応の最適条件で難
蒸発性である。この場合、次の2つの代替法が可能であ
る。
【0008】− 反応器温度を最適反応温度に調整す
る。混合物温度が最重質の炭化水素の蒸発温度以下であ
れば、装入物は部分的にしか蒸発されず、これは、触媒
粒子が蒸発していない装入物滴と衝突する事により、触
媒表面のコークスの堆積を増大させる。その結果、軽質
生成物への装入物の転化率が低下し、液状炭化水素が転
化されず、また過度にコークス化された触媒が部分的に
不活性化される。
【0009】− 装入物全体の蒸発を保証するより高い
温度に反応器温度を調整する。この場合、反応温度が最
適値よりも高くなりすぎ、その結果、触媒クラッキング
反応を犠牲にして熱クラッキング現象が増大する。従っ
て噴射される炭化水素の過クラッキングが生じ、その結
果、所望の中間生成物の産生量の減少と平行的に、コー
クスと過度に軽質で無価値な炭化水素との産生が増大す
る。
【0010】重質石油装入物の触媒クラッキングに伴な
う技術的問題点を解決するため、すでに二、三の解決法
が提案されている。 − 米国特許第4,332,674号(モーレオン、デ
ィーンおよびファイファー)においては、触媒の二重再
生システムによって加えられる熱により混合物温度が上
昇させられる方法が提案されている。この型の方法にお
いては、装入物は効率的に正確に蒸発されるが、反応温
度が高すぎるので、従って過クラッキングと、所望生成
物の収率と選択性とについて望ましくない結果とが表わ
れる。
【0011】− 欧州特許EP第0,208,609号
において、クラッキング反応器中の温度の妥当な調整手
段を提案した。すなわちこの方法においては、高温混合
物温度における装入物の噴射と瞬間的蒸発の直後に、適
当な流量と温度の補助冷却流体の導入によって触媒の反
応温度をその最適値まで低下させる。このようにして触
媒クラッキング反応は、より穏和な、また混合物温度と
は無関係の条件で実施される。しかしこの蒸発法は、被
クラッキング装入物中に存在する炭化水素の不均一性を
考慮していないので、絶対的に選択的ではないという欠
点がある。実際に、もし混合物温度が混合物の最重質化
合物の蒸発を生じるのに最適であれば、装入物中の最軽
質化合物にとっては高すぎる。実際に、これらの最軽質
化合物は装入物の噴射と補助冷却流体の噴射の間に過ク
ラッキングされる可能性がある。
【0012】− 最後に出願人は特許EP第0,20
9,442号において、微細粒子流の形の装入物を触媒
粒子流に対して並流で噴射導入する方法を推奨してい
る。この方法は装入物の微細滴の蒸発を改善する事がで
きる。この並流導入により、装入物の微細滴は、反応器
中への導入温度に近い一定温度の再生触媒流にのみ遭遇
する事ができるからである。しかしこの場合にも、蒸発
条件は選択性に欠ける。この蒸発条件は装入物中に存在
する炭化水素の多様性を考慮していないからである。さ
らに触媒流に対する並流の装入物噴射は特に触媒クラッ
キング装置の始動に関する問題点を生じる。並流噴射を
開始しようとする特に決定的な瞬間に、触媒循環の停止
または触媒粒子流の全部または一部の循環方向の逆転
(すなわちこれらの粒子の再生器方向への転換)の可能
性がある。これは、いかなる場合にも装置の重大な機能
不全を生じる。
【0013】このようにして、先行技術は重質装入物の
触媒クラッキングの問題に対する満足な解決を与えてい
ない。この故に、出願人はこの分野における研究を続け
て、前述の問題点を解決する方法および装置を完成し
た。
【0014】従って本発明は、被クラッキング装入物の
噴射区域が混合噴射システムを含み、この噴射システム
は複数のインゼクタから成り、その一部のインゼクタが
触媒粒子流の方向に対して向流方向に、また他のインゼ
クタが並流方向に装入物を導入するように成された触媒
クラッキング装置を提案しようとする。また本発明はこ
のような装置の特に有効な利用法に関するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明の目的
は、被クラッキング装入物の噴射区域を備えた本質的に
上昇型または下降型の管状反応器の中で流動相触媒の存
在において炭化水素を触媒クラッキングする方法におい
て、触媒粒子流の流れ方向に対して向流方向に前記装入
物を噴射する少なくとも1つの手段によって、クラッキ
ングされる装入物の本質的部分を噴射区域中に導入し、
また触媒粒子流の流れ方向に対して並流方向に前記装入
物を噴射する少なくとも1つの手段によって、クラッキ
ングされる装入物の本質的部分を同時的に同一噴射区域
中に導入するように成された炭化水素装入物の触媒クラ
ッキング法を提供するにある。
【0016】本明細書および添付の特許請求の範囲の中
において、並流および向流という用語は触媒クラッキン
グ反応器にそった触媒粒子およびクラッキングされた生
成物の全体流れ方向に対して定義される。
【0017】また出願人は、向流噴射される装入物は重
質炭化水素を含有し、また並流噴射される装入物はより
軽質とする本発明の方法の望ましい実施態様を考案し
た。
【0018】このような方法においては、重質炭化水素
は触媒の流れ方向に対して向流方向に噴射され、これに
より、重質炭化水素はこの噴射方法によって蒸発条件が
改良される。軽質炭化水素については、これは蒸発容易
であってそれほど厳しくない条件で噴射され、これによ
ってこの種の軽質炭化水素の過クラッキングの危険性を
制御する事ができる。このようにして、クラッキングさ
れる装入物の2つの留分がそれぞれの性質に完全に適合
するように、その全体的蒸発を選択的に保証する最適条
件で噴射される。その結果、過クラッキング現象による
または未蒸発重質装入物の滴の存在によるコークス化が
減少する。
【0019】さらにこの方法はクラッキング反応器中の
温度の独創的な調整法である事が明らかになった。実際
に、噴射区域の上流においては、向流噴射された重質装
入物の蒸発を保証するために特に高温でなければならな
いが、他方、次のクラッキング反応は過クラッキングと
そのもたらす悪い結果を避けるために穏和な条件で実施
される。並流噴射される装入物温度を適切に調節する事
によりこの反応温度を最適値まで下げる事が可能であ
る。向流噴射される装入物よりも軽質のこの装入物は同
様に高い蒸発温度を必要としないからである。このよう
な温度調整により、米国特許第4、332、674号に
記載のような装置について見られるコークスと非常に軽
質の炭化水素の過生産の危険を減少する事ができ、また
所望の中間の生成物(ガソリン、軽油)の転化選択率を
改良する事ができる。
【0020】一般に本発明による方法は装入物転化に際
しての選択性を改良する事ができる。実際に、重質の炭
化水素は厳しい条件で蒸発および熱クラッキングの第1
段階を受けるが、他方軽質の炭化水素はこれより穏和
な、その性質に適合した蒸発およびクラッキング条件を
受ける。このようにして、触媒クラッキングに関する最
も重要な問題点の1つ、すなわち軽質分子の過クラッキ
ングを避けながら重質分子の効果的なクラッキングを実
施する課題が解決される。この故に、本発明は、例えば
「マキシ−軽油運転モード」などのように、特定の中間
留分を得るため触媒クラッキング反応の選択性を制御す
る必要のある運転モードに特に適している事が明らかに
なった。
【0021】これと並行的に、本発明の方法はクラッキ
ングされる装入物の高い転化率によって生ずる触媒の過
コークス化反応を避ける事ができる。その結果、クラッ
キングされる装入物の転化率を改良する事になる。また
転化率の改良の結果、単数または複数の再生機の中の滞
留時間を低減させ、特に触媒および触媒クラッキング装
置にとって有害な熱点の出現のリスクを低下させる事に
よって触媒の再生を容易にする。
【0022】最後に本発明による方法は、装入物が向流
噴射される触媒クラッキング装置の始動に係わる問題点
を解決する事ができる。実際に本発明の混合型噴射シス
テムにより、始動の決定的期間中に(装置中の圧力収支
が生産的な安定モードで運転する時に見られる装置の圧
力収支と著しく異なる期間)に触媒相の流れ方向に対し
て並流に装入物を噴射する事ができる。次に、触媒循環
が安定した時に、この並流噴射量を必要なら低下させな
がら、装入物の向流噴射を徐々にまたは急速に開始する
事ができる。
【0023】従って本発明の目的は、本質的に上昇流ま
たは下降流型の管状反応器の中で流動相触媒の存在にお
いて炭化水素を触媒クラッキングする装置の始動法にお
いて、この始動法は装置の始動に際して装入物をまず触
媒相の流れ方向に対して並流方向に噴射し、次にこの並
流方向噴射を保持し場合によってはその流量を徐々に減
少させながら、触媒相の流れ方向に対して向流方向に装
入物を噴射する事を特徴とする装置の始動法を提供する
にある。
【0024】従ってこのような方法は、触媒の循環をよ
り良く制御する事により、装入物の向流噴射に伴う否定
できない効果をもたらす事ができる。
【0025】また本発明は前記の方法を実施するための
装置に関するものである。そのため本発明は、被クラッ
キング装入物の噴射手段を備えた本質的に上昇型または
下降型の管状反応器の中で流動相触媒の存在において炭
化水素を触媒クラッキングする装置において、この装置
は、前記被クラッキング装入物噴射手段が、 − 触媒粒子流の流れ方向に対して炭化水素を向流方向
に噴射する少なくとも1つの手段と、 − 触媒粒子流の流れ方向に対して炭化水素を並流方向
に噴射する少なくとも1つの手段とを含み、 前記手段が触媒流の中に炭化水素を噴射し混合する同一
区域の中に配置されている事を特徴とする炭化水素触媒
クラッキング装置を提供する。
【0026】このような装置により、触媒クラッキング
工程の制御を改良する事が可能になり、特に、与えられ
た被クラッキング装入物について、簡単な分溜を実施し
た後に、その重質部分を向流でまた軽質部分を並流で順
次に噴射する事が可能になる。このようにして最初から
重質の炭化水素のみが厳しい熱クラッキングを受け、他
方軽質の生成物はこれより穏和なクラッキングを受ける
事ができる。また触媒クラッキング反応の流出物の選択
的循環を実施する事が可能になる。すなわち残油型の流
出物は向流再噴射され、他方蒸留物型の軽質残油は並流
再噴射する事ができる。これらの事によって、被クラッ
キング装入物の転化をより完全に実施し、この装入物を
完全に消費、また選択的に転化(所望の中間生成物を得
るために転化方向を誘導)する事が可能となる。
【0027】本発明のさらに他の利点は下記の説明から
明らかとなろう。本発明の方法においてはクラッキング
される装入物は触媒粒子流の流れ方向に対して同時に向
流方向および並流方向に反応器中に導入される。
【0028】このように重質装入物が触媒粒子流の流れ
方向に対して向流方向に噴射され他方、軽質装入物がこ
の触媒流の流れ方向に対して並流で噴射されるので、触
媒クラッキング反応器の中で2つの型の炭化水素装入物
が同時に転化される。
【0029】本発明の特に好ましい実施態様によれば、
向流噴射される装入物は、混合物の温度と同等またはこ
れ以上の沸点を有する相当割合の化合物を含有する。好
ましい向流噴射される装入物は、原則的に700℃に達
するまたはこれ以上の沸点を有する留分を含有し、高含
有量のアスファルテンを含有し、また4%に達するまた
はこれ以上のコンラドソン炭素含有量を示す事ができ
る。またこれらの装入物は重質蒸留物、常圧蒸留残油お
よび真空蒸留残油とする事ができる。場合によってはこ
れらの装入物は例えばコバルト/モリブデン型触媒の存
在における水添などの予備的処理を受ける事ができる。
またこれらの装入物の噴射を容易にするため、必要なら
ばこれらの装入物をより軽質の留分によって希釈する事
ができる。これらの軽質留分は触媒クラッキングから出
る中間生成物そのものを含む事ができ、またこれらの軽
質留分は例えば軽質循環油(「ライト・サイクル・オイ
ル」、LCO)または重質オイル(「ヘビー・サイクル
・オイル」、HCO)として循環される。
【0030】平行的に、並流噴射される装入物は好まし
くは向流噴射される装入物よりも軽質である。望ましく
は並流噴射される装入物は、混合物の温度と同等または
これ以下の沸点を有する相当割合の化合物を含有する事
ができる。並流噴射される装入物は特に触媒クラッキン
グの通常の装入物などの石油留分、例えば真空蒸留から
出た蒸留物および/または軽油、ビスコブレーキングの
蒸留物および/または軽油また場合によっては脱アスフ
ァルト残油を含む。またもし製油工場が大気圧蒸留から
出た軽油などのさらに軽質の留分の余剰生産があれば、
この種の留分を含む。
【0031】また並流および向流で噴射された炭化水素
量とクラッキングしようとする装入物中の重質化合物の
全含有量との比率を適用する事によって噴射される2つ
の装入物の量を適切に調整する事ができる。
【0032】並流噴射される装入物と向流噴射される装
入物は、完全に別個の起源から出る事ができ、または単
一同一の起源装入物から出る事ができる。実際に、与え
られた被クラッキング装入物について、この装入物の噴
射前に好ましくはクラッキング反応器中の混合物温度に
対応する分溜温度をもって一次分溜を受ける事が望まし
い。この場合、より重質の留分が向流噴射され、他方、
より軽質の留分が並流噴射される。従ってクラッキング
される単一の装入物しかない場合でも、本発明の目的を
成す装置はその装入物のクラッキングをより精細に最適
化する事ができ、先行技術の方法を使用する場合よりも
転化率を改良できるので本発明の目的を成す装置はきわ
めて有利である。
【0033】本発明の方法の特に望ましい実施態様は、
触媒クラッキング流出物の分溜から回収された低価値生
成物を全部または部分的に適切に循環させるにある。従
って、向流噴射される装入物はスラリ型の循環残油を単
独に含みまたは新しい装入物とのその混合物を含む。同
様に並流噴射される装入物はHCO型またはLCO型の
循環留分を単独に含みまたは新しい装入物とのその混合
物を含む事ができる。
【0034】実際に、スラリ(触媒クラッキングの流出
物の分溜から生じる残油)は非常に重質の、ポリ芳香族
化合物の豊富な生成物であって、大きな割合の触媒微粒
子(触媒粒子の侵食によって生じるダスト)を含み、こ
れは実際上利用困難な生成物である。従ってこのスラリ
を被転化重質装入物として循環させる事はきわめて都合
のよい事であり、これは微粒子を触媒粒子回路の中に再
導入して装置外部への脱出を防止する利点がある。
【0035】触媒クラッキングから出る軽油および蒸留
物、すなわちLCOとHCOも硫黄と芳香族化合物が豊
富であるので、同様に無価値の生成物であって、一般に
重質燃料の希釈剤として使用される。従ってこれらの生
成物を循環させる事は、触媒クラッキング装置のガソリ
ン産生率を向上させるので妥当な方法である。本発明に
よる装置は、望ましくは触媒粒子流の流れ方向に対して
向流に炭化水素を導入する事のできる1つまたは複数の
インゼクタと、並流に炭化水素を導入する事のできる1
つまたは複数のインゼクタとを含む。これら2つの型の
インゼクタは同型としまたは非同型とする事ができる
が、触媒クラッキング反応器の中に液状炭化水素装入物
を導入する事のできる任意公知の手段によって構成する
事ができる。
【0036】2つの噴射モード(すなわち、向流噴射と
並流噴射モード)のそれぞれにおいて、1つまたは複数
のインゼクタは反応器断面において対応の装入物を均一
に分布するように配置される。各装入モードについて、
管状反応器の同一断面の外周にそって環状に配置された
即ち規則的に離間された2乃至10のインゼクタを備え
る。望ましくは、向流インゼクタの数と並流インゼクタ
の数との比率は転化しようとする装入物の平均残油含有
量の関数として決定される事になる。
【0037】並流方向に配向されたインゼクタは触媒粒
子の流れ方向に対して0乃至90゜の範囲内の角度を成
す方向に装入物を導入する事ができ、他方、向流方向に
配向されたインゼクタは触媒粒子の流れ方向に対して9
5乃至170゜の範囲内の角度を成す方向に装入物を導
入する事ができるようにこれらのインゼクタが配向され
る。
【0038】少なくとも向流インゼクタが装入物を少な
くとも200ミクロン、好ましくは少なくとも100ミ
クロンの直径の小滴に霧化できる事が重要である。装入
物のこのような霧化は反応器の中での装入物の蒸発を容
易にし、これは特に向流噴射される装入物が重質で従っ
て蒸発させにくいのでなおさら重要である。この場合に
必要な霧化装置は業界公知の型である。例えば出願人の
名義で出願された特許EP第0,312,428号に記
載されたようなインゼクタを使用する。
【0039】本発明によれば、2つの型のインゼクタが
触媒流中に炭化水素を噴射し混合する同一区域に配置さ
れなければならない。実際上、これはインゼクタが反応
器の同一レベルに、または相異なるレベルであっても相
互に十分近くに配置される事を意味する。
【0040】2つの型のインゼクタが同一レベルにある
場合、向流配向インゼクタと並流配向インゼクタとから
成る単一同一の噴射断面が得られる。この場合、望まし
くはこれらの2つの型のインゼクタが反応器の外周にそ
って交互にクラウン状に配置される事ができる。
【0041】これに対して2つの型のインゼクタが反応
器の相異なるレベルに配置される場合、噴射する順次2
つの断面を成し、一方の断面は1つまたは複数の向流配
向インゼクタから成り、他方の断面は1つまたは複数の
並流配向インゼクタから成る。これらの断面は装入物噴
射区域における反応器の平均直径の2倍に等しい最大間
隔で相互に離間される。このような装置を製作する場
合、種々の実施態様が考慮される。特に、並流配向イン
ゼクタは向流配向インゼクタの上流または下流に配置す
る事ができる。2つの断面がそれぞれ環状に配置された
インゼクタから成る場合、これら2つのインゼクタ環は
厳格に上下に配置する事ができるが、好ましくは相互に
ずらされる。
【0042】炭化水素の噴射区域は反応器中において、
導入された触媒と装入物との間の良好な熱交換および装
入物の瞬間的蒸発を生じるようなレベルに配置される。
実際上、炭化水素噴射区域の中に入る触媒粒子流が希釈
された流動相の均質な触媒流を成すように、すなわち1
5乃至700kg/m3の密度を有する触媒流を成すよ
うに、反応器の中に前記炭化水素噴射区域が配置され
る。この触媒流の線速は望ましくは0.01乃至10m
/sの範囲内ある。
【0043】さらに、この噴射区域を混合チャンバの中
に含め、この混合チャンバの構造は、反応器が「ライザ
ー型」であれまたは「ダウナー型」であれ、触媒と噴射
された炭化水素との混合物の均質な好適な流出を保証す
るようにする事ができる。「ダウナー型」の反応器の場
合、例えば出願人によって1996年9月18日に出願
されたフランス特許出願第96 11369号に記載の
ような混合チャンバとする事ができる。
【0044】一般的に、噴射される装入物温度は、0.
7/10乃至3.5/10Paの相対圧のもとに7
0乃至450℃の範囲内とする。向流噴射される装入物
の温度は、装入物を微細滴状に霧化するように最適化さ
れるが、この霧化は装入物が重質で粘性であるほど困難
である。並流噴射される装入物の温度は、好ましくは噴
射区域の下流温度を最適値まで下げるように計算され
る。このようにして冷却された反応区域の温度は例えば
500℃のオーダであるが、使用される最重質炭化水素
の露点より高くなければならない。
【0045】触媒粒子流は被クラッキング装入物の性質
に対応して、好ましくは600乃至950℃の範囲内の
温度で反応区域の中に導入される。本発明の主旨の範囲
内において、使用される触媒の型も、触媒の流動化のた
めの流体および装置も記載する必要はないと思われる
が、これらは当業者には公知の既知の事項である。
【0046】以下、本発明を図面に示す実施例について
詳細に説明するが本発明はこれに限定されない。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施例
について詳細に説明するが本発明はこれに限定されな
い。まず図1のa乃至dについて述べれば、これらの図
において同一手段は同一の参照数字で示されている。こ
れらの図は本発明による触媒クラッキング装置中への噴
射区域の構造の種々の実施例を示す。
【0048】各装置は「ライザー」型反応器の隔壁1上
に植設された6本の装入物インゼクタを含む。そのうち
3本は並流方向に配向され(インゼクタ2)、他の3本
は向流方向に配向されている(インゼクタ3)。これら
のインゼクタは反応器ライザーの周囲に交互に配置さ
れ、並流インゼクタ2は白色で図示され、向流インゼク
タ3は黒色で図示されている。
【0049】図1のaはインゼクタの平面図であり、図
1のb、cおよびdは反応器の隔壁1上の2つの型のイ
ンゼクタの種々の可能な相対位置を示す。矢印Fは触媒
の循環方向を示す。図1のbにおいて、向流インゼクタ
3が並流インゼクタ2の少し上流に配置される。同cに
おいて、両方の型のインゼクタ2、3が同一レベルに配
置されている。同dにおいて、向流インゼクタ3が並流
インゼクタ2の少し下流に配置されている。図面の簡略
化のため2本のインゼクタ(それぞれ1つの型のインゼ
クタ)が上下に図示されているが、実際には、多数の各
型のインゼクタを環状に相互にずらせて配置し、平面図
において図1のaの配置を得るようにする事が好ましい
と思われる。
【0050】図2は本質的に上昇流型反応器を備えた装
置において本発明による触媒クラッキング法を実施する
構造を示す。この型の装置はそれ自体公知の型である。
この装置は装入物エレベータまたはライザーと呼ばれる
塔状の反応器1を含み、この反応器の下部に特定量の再
生触媒粒子がライン32から供給される。ガス、例えば
水蒸気のエレベータが塔1の下部にライン4からデフュ
ーザ5を介して導入される。
【0051】クラッキングされる装入物が噴射区域6の
レベルに導入され、この噴射区域は向流配向されたイン
ゼクタ3と並流配向されたインゼクタ2とを含む。装置
の始動時には、並流インゼクタ2のみが作動する。定常
作動状態においては、2つの型のインゼクタのいずれか
一方を使用する事ができるが、好ましくは両方の型を同
時的に使用する。向流噴射される装入物はインゼクタ3
にライン23によって送られ、他方、並流噴射される軽
質の装入物はライン24によってインゼクタ3に送られ
る。
【0052】望ましくは、被クラッキング装入物は反応
器1の中に噴射される前に、図3に図示のように分溜塔
の中で一次分溜を受ける事ができる。この装入物はライ
ン21によって塔22の中に導入され、そこで、反応器
中の噴射区域6のレベルの混合物温度に相当する分溜温
度で2つの流れに分溜される。塔22の上部において得
られた軽質留分はライン24によってインゼクタ2にむ
かって送られ、このインゼクタ2がこの留分を触媒流に
対して並流で反応器中に導入し、これに対して塔22の
下部において得られた重質留分はライン23によってイ
ンゼクタ3にむかって送られ、このインゼクタ3がこの
留分を触媒流に対して向流で反応器中に導入する。
【0053】反応塔1はその頂点においてケーシング9
の中に開き、このケーシング9は反応塔1に対して同心
であり、このケーシング9の中で被クラッキング装入物
の分離と触媒の不活性粒子のストリッピングが実施され
る。処理された装入物はケーシング9の中に配置された
サイクロン10の中に分離され、このサイクロンの頂点
にクラッキングされた装入物の排出ライン11が備えら
れ、他方、不活性化された触媒粒子は重力によってケー
シング9の底部に移動する。ライン12がストリッピン
グ流体、一般に水蒸気をケーシング9の底部に規則的に
配置された流動化ガスインゼクタまたはデフューザ13
の中に供給する。
【0054】このようにしてストリッピングされた触媒
の不活性化粒子がケーシング9の底部から導管15を通
して再生器14にむかって排出され、この導管15上に
調整弁16が配置されている。再生器14の中におい
て、触媒粒子上に堆積されたコークスがライン17によ
って再生器14中に噴射される空気によって燃焼させら
れ、このライン17は再生器の中に規則的に離間配置さ
れたインゼクタまたはデフューザ18に空気を供給す
る。燃焼ガスを同伴する処理された触媒粒子がサイクロ
ン19によって分離され、このサイクロンから燃焼ガス
はライン20によって排出され、他方、触媒粒子は再生
器14の底部にむかって再び投げられて、そこから、調
整弁33を備えた導管32によって循環させられてエレ
ベータ1に供給される。
【0055】装入物の反応流出物はライン11によって
分溜塔25に送られ、この分溜塔25はこの流出物を蒸
留によって分離して下記の成分を得る。 − ライン26から、温度と圧力の正規条件におけるガ
ス生成物(C1乃至C4炭化水素)、 − ライン27から、20℃から200−220℃の沸
騰範囲を有するガソリン留分、 − ライン28から、一般に200−220℃から約3
20−360℃の沸騰範囲を有する軽油またはLCO型
留分、 − 最後にライン29から、蒸留残油またはスラリ。こ
の残油は多量の微細粒子を含み、またその沸騰間隔は一
般に500℃以上である。
【0056】装置の定常作動状態において、ライン29
によって回収されたスラリは部分的にまたは全量、イン
ゼクタ3から向流噴射される装入物として循環させられ
る。この場合、このスラリはライン23から供給される
新しい装入物の重質部分に追加される。またスラリから
予め蒸留留分またはHCO(360℃から440℃まで
の蒸留間隔)を抽出し、これを部分的または全量、イン
ゼクタ2から並流噴射する事ができる。この留分はライ
ン24によって供給される新しい装入物の軽質留分に追
加される。
【0057】この型の装置のサイズ特性および操作特性
は通常下記の通りである。 − エレベータ1の反応部分の高さ:5乃至40メート
ル、 − エレベータ1に対する被処理装入物の全供給量:1
03乃至20・103トン/日、 − エレベータ1に対する触媒の全供給量:3乃至50
トン/分、 − 被クラッキング装入物温度:70乃至450℃、 − 噴射区域下流のエレベータ1中のクラッキング温
度:500乃至600℃、 − エレベータ1中の装入物の滞留時間:0.1乃至1
0秒、 − 触媒の再生温度:600乃至950℃、 − 再生器9中の触媒の滞留時間:5乃至20分。
【0058】図4は本質的に下降流型の反応器を備えた
FCC装置の場合に対する本発明の応用を示す。
【0059】図示の装置は下降流型管状反応器41また
は「ダウナー」を含み、このダウナーはその上部におい
て、このダウナーと同心のケーシング42から、再生さ
れた触媒粒子を弁43によって調整された流量で供給さ
れる。この弁の下方において、被クラッキング装入物が
本発明による装置によって導入される。すなわち、優先
的にライン50によって導入される重質炭化水素の噴射
用の向流配向インゼクタ44と、優先的にライン51に
よって導入される軽質炭化水素の噴射用の並流配向イン
ゼクタ45とによって装入物が導入される。この場合、
触媒粒子と炭化水素は反応器41中を上から下に流れ
る。
【0060】反応器41の底部において、消費された触
媒粒子はストリッピングケーシング46の中に排出さ
れ、このストリッピングケーシングはその底部にデフュ
ーザ47を備え、このデフューザにライン48によって
水蒸気が供給される。
【0061】またケーシング46の上方において反応器
41の底部からライン49が出て、このライン49を通
して、ストリッピングから生じたクラッキング生成物ま
たは炭化水素が排出されて分溜区域に送られる。
【0062】ストリッピングされた触媒粒子は重力によ
ってケーシング46の外部に、傾斜導管62にそって上
昇塔52にむかって排出され、この上昇塔の中で触媒粒
子は、ライン55から塔52の底部に噴射されたベクト
ルガスにより、再生器53にむかって上方に送られる。
【0063】塔52は再生器53の中にバリスティック
セパレータ56の下に開き、このセパレータは触媒粒子
とベクトルガスとの分離を成す。そこで触媒粒子はライ
ン57によってデフューザ58に送られる空気または酸
素流によって、その表面に堆積したコークスの燃焼によ
って再生される。再生器53の上部において、燃焼から
発生するガスがサイクロン63の方に排出される。同伴
された触媒粒子は導管60によって再生器に循環させら
れ、またガスはライン61によって排出される。再生さ
れた触媒粒子は、再生器53の下部において、導管59
にそって重力によりケーシング42の方に排出される。
【0064】以下、本発明を図面に示す実施例について
詳細に説明するが本発明はこれに限定されない。
【0065】
【実施例】真空蒸留物(60重量%)と常圧残油(40
重量%)との混合物から成る重質石油装入物は下記の特
性を示す。 − 15℃における密度:0.92、 − 50%蒸留温度:476℃、 − 100℃における粘度:9.3 100−62
s、 − コンラドソン炭素残油:2.10、 − 硫黄含有量:1.32重量%、 − 塩基性窒素含有量:720ppm、 − ニッケル含有量:2.1ppm、 − バナジウム含有量:1.8ppm。
【0066】「ライザー」型の反応器(図2に図示のよ
うな反応器)を含むテスト用触媒クラッキング装置の中
で、この炭化水素装入物について3回の触媒クラッキン
グテストを実施した。使用された触媒はゼオライト型の
先行技術の市販の触媒である。 − 第1テストにおいては、装入物全量を触媒の流れ方
向に対して並流で噴射する。 − 第2テストにおいては、装入物全量を触媒の流れ方
向に対して向流で噴射する。 − 最後に第3テストは本発明による方法を適用して実
施する。装入物を噴射する前に、420℃の分溜温度で
フラッシングによって2つの部分に分溜する。重質留分
を触媒流に対して向流で噴射し、他方、軽質留分を並流
で噴射する。向流インゼクタと並流インゼクタは同型で
あって、ライザー中に同一レベルに配置される。
【0067】これらの3つのテストにおいて、向流イン
ゼクタは装入物を触媒粒子の流れ方向に対して150゜
の角度を成す方向に導入する事ができ、他方、並流イン
ゼクタは装入物を触媒粒子の流れ方向に対して30゜の
角度を成す方向に導入する事ができる。これらのインゼ
クタはすべての場合と構造においてベンチュリー型であ
る。
【0068】これらのテストの操作条件および得られた
結果を下記の表に示す。 テスト テスト テスト No.1 No.2 No.3 向流インゼクタの数 0 6 3 並流インゼクタの数 6 0 3 ライザー底部への触媒導入温度 743 748 740 向流導入される装入物の噴射温度 − 320 325 並流導入される装入物の噴射温度 320 − 318 測定される混合物の温度 582 571 565 反応温度(噴射区域の下流) 522 522 522 乾燥ガス収率(重量%) 3.22 3.15 2.80 LPG収率(重量%) 13.54 16.32 14.47 ガソリン収率(重量%) 45.38 47.60 48.90 LCO収率(重量%) 18.00 17.50 18.52 スラリ収率(重量%) 15.64 10.71 8.19 コークス収率(重量%) 4.22 4.72 4.12標準転化率 66.36 71.79 73.29 この表は、本発明による噴射構造(テスト3)が通常法
による(テスト1、2)よりも重質装入物の転化につい
てすぐれた結果を与える事を示す。
【0069】実際に、テスト3において混合物温度はそ
の理想的理論値563℃にはるかに近い。これは被クラ
ッキング装入物の蒸発条件がさらに適切である事を示
す。さらに前述の結果は混合噴射が得られる生成物の収
率に関して顕著な改良をもたらす事を示す。また一般的
に、噴射が全部向流または全部並流で実施されるテスト
と比較して標準転化率の向上が見られる。
【0070】さらに、コークスの生成量の低下と、乾燥
ガスの生成量の顕著な減少が見られる。選択的蒸発条件
の故に、装入物の過クラッキング現象および触媒の過コ
ークス化現象が避けられる。従ってこれらの新しい反応
条件は転化選択性を改良する。実際に所望の中間生成
物、すなわちLPG、および特にガソリンおよびLCO
の収率の増大が見られる。これと平行的にスラリ収率の
大幅な低下が見られ、これは明かな利点を成す。この重
質残油はほとんど無価値だからである。
【0071】下記の特性を示す真空蒸留物型の従来の触
媒クラッキング装入物について、さらに同様の3つのテ
ストを実施した。 − 密度:0.911、 − 50%蒸留温度:417℃、 − 100℃における粘度:5.87 10−62
s、 − コンラドソン炭素残油:0.17 − 硫黄含有量:0.934重量%、 − 窒素含有量:390ppm、 − ニッケル含有量:1.1ppm、 − バナジウム含有量:1.02ppm。
【0072】これらのテストの操作条件および得られた
結果を下表に示す。
【0073】
【発明の効果】このテスト3においても、前記の非常に
重質の装入物について見られた有利な特徴がそれほど目
だたないが見られる。すなわち、適切な混合物温度、標
準転化率の上昇、「副生物」(乾燥ガス、コークスおよ
び特にスラリ)の全体的減少、所望の中間生成物(LP
G、ガソリンおよびLCO)の転化率の選択性の改良。
このようにして、通常の触媒クラッキング装入物の場合
にも、本発明による方法は明かな改良をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における反応器中のインゼクターの構造
を示す説明図。aは図2のI−I線にそって取られた場
合の説明図。b、c、dはインゼクタの種々の構造の態
様を示す説明図。
【図2】本質的に上昇流反応器を備えたFCC装置に本
発明の触媒クラッキング法を適用する実施態様を示す概
略図。
【図3】図5のクラッキング装置の中でクラッキングを
実施する前にクラッキング装入物を一次分溜する装置の
概略図。
【図4】本質的に下降流反応器を備えたFCC装置に本
発明の触媒クラッキング法を適用する実施態様を示す概
略図。
【符号の説明】
1 ライザー 2 並流インゼクタ 3 向流インゼクタ 6 噴射区域 9 ストリッピングケーシング 14 再生器 22 一次分溜塔 25 分溜塔 41 ダウナー 42 再生された触媒のケーシング 44 向流インゼクタ 45 並流インゼクタ 46 ストリッピングケーシング 53 再生器
フロントページの続き (72)発明者 マリアノ、デル、ポゾ フランス国ル、アーブル、リュ、ジュル、 セグフリード、43

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被クラッキング装入物の噴射区域を備えた
    本質的に上昇型(1)または下降型(41)の管状反応
    器の中で流動相触媒の存在において炭化水素を触媒クラ
    ッキングする方法において、触媒粒子流の流れ方向に対
    して向流方向に前記装入物を噴射する少なくとも1つの
    手段(3、44)によって、クラッキングされる装入物
    の本質的部分を噴射区域中に導入し、また触媒粒子流の
    流れ方向に対して並流方向に前記装入物を噴射する少な
    くとも1つの手段(2、45)によって、クラッキング
    される装入物の本質的部分を同時的に同一噴射区域中に
    導入する事を特徴とする炭化水素装入物の触媒クラッキ
    ング方法。
  2. 【請求項2】向流噴射される装入物は重質炭化水素を含
    有し、また並流噴射される装入物はより軽質である事を
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】向流噴射される装入物は、混合物温度と同
    等またはこれ以上の沸点を有する相当割合の化合物を含
    有する事を特徴とする請求項1または2のいずれかに記
    載の方法。
  4. 【請求項4】向流噴射される装入物は、原則的に700
    ℃に達するまたはこれ以上の沸点を有する留分を含有
    し、重質蒸留物、常圧蒸留残油および真空蒸留残油のよ
    うに高含有量のアスファルテンを含有しまた4%に達す
    るまたはこれ以上のコンラドソン炭素含有量を示す事が
    でき、またこれらの装入物は場合によっては例えばコバ
    ルト/モリブデン型触媒の存在における水添などの予備
    的処理を受けまたより軽質の留分によって希釈されまた
    は希釈されない事ができる事を特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】並流噴射される装入物は、混合物の温度と
    同等またはこれ以下の沸点を有する相当割合の化合物を
    含有する事を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記
    載の方法。
  6. 【請求項6】並流噴射される装入物は通常の触媒クラッ
    キングの装入物などの石油留分、例えば真空蒸留から出
    た蒸留物および/または軽油、ビスコブレーキングの蒸
    留物および/または軽油および常圧蒸留から出た脱アス
    ファルト残油または軽油を含む事を特徴とする請求項1
    乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】クラッキングされる装入物が好ましくはク
    ラッキング反応器(1、41)中の混合物温度に対応す
    る分溜温度をもって一次分溜を受け、より重質の留分が
    向流噴射され、他方においてより軽質の留分が並流噴射
    される事を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の方法。
  8. 【請求項8】向流噴射される装入物がスラリ型の循環残
    油を単独に含みまたは新しい装入物とのその混合物を含
    む事を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方
    法。
  9. 【請求項9】並流噴射される装入物がHCO型またはL
    CO型の循環留分を単独に含みまたは新しい装入物との
    その混合物を含む事を特徴とする請求項1乃至8のいず
    れかに記載の方法。
  10. 【請求項10】被クラッキング装入物の噴射手段を備え
    た本質的に上昇型または下降型の管状反応器(1、4
    1)の中で流動相触媒の存在において炭化水素を触媒ク
    ラッキングする装置において、この装置は、前記被クラ
    ッキング装入物噴射手段が、 − 触媒粒子流の流れ方向に対して炭化水素を向流方向
    に噴射する少なくとも1つの手段(3、44)と、 − 触媒粒子流の流れ方向に対して炭化水素を並流方向
    に噴射する少なくとも1つの手段(2、45)とを含
    み、 前記手段が触媒流の中に炭化水素を噴射し混合する同一
    区域の中に配置されている事を特徴とする炭化水素触媒
    クラッキング装置。
  11. 【請求項11】各噴射モードについて、管状反応器
    (1、41)の同一断面の外周にそって環状に配置され
    規則的に離間された2乃至10のインゼクタ(2、4
    5;3、44)を含む事を特徴とする請求項10に記載
    の装置。
  12. 【請求項12】並流方向に配向されたインゼクタ(2、
    45)が、触媒粒子の流れ方向に対して0乃至90゜の
    範囲内の角度の方向に装入物を導入する事ができ、他
    方、向流方向に配向されたインゼクタ(3、44)が、
    触媒粒子の流れ方向に対して95乃至170゜の範囲内
    の角度の方向に装入物を導入する事ができるようにこれ
    らのインゼクタが配向されている事を特徴とする請求項
    10または11のいずれかに記載の装置。
  13. 【請求項13】両方の型のインゼクタ(2、45;3、
    44)が反応器(1、41)の同一レベルに配置される
    事を特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の
    装置。
  14. 【請求項14】並流方向に配向されたインゼクタ(2、
    45)と向流方向に配向されたインゼクタ(3、44)
    とが反応器(1、41)の外周にそって交互に配置され
    ている事を特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 【請求項15】2つの型のインゼクタ(2、45;3、
    44)が反応器(1、41)の相異なるレベルに配置さ
    れて噴射する順次2つの断面を成し、これらの断面が装
    入物噴射区域における反応器の平均直径の2倍に等しい
    最大間隔で相互に離間されている事を特徴とする請求項
    1乃至14のいずれかに記載の装置。
  16. 【請求項16】前記の2つの断面が環状に配置された複
    数のインゼクタから成り、これらのインゼクタの2つの
    環が好ましくは相互にずらされている事を特徴とする請
    求項15に記載の装置。
  17. 【請求項17】炭化水素噴射区域の中に入る触媒粒子流
    が15乃至700kg/m3の密度と、0.01乃至1
    0m/sの範囲内の線速を有するように、反応器(1、
    41)の中に前記炭化水素噴射区域が配置される事を特
    徴とする請求項10乃至16のいずれかに記載の装置。
  18. 【請求項18】少なくとも向流インゼクタ(3、44)
    が装入物を少なくとも200ミクロン好ましくは少なく
    とも100ミクロンの直径の小滴に霧化する事ができる
    事を特徴とする請求項10乃至17のいずれかに記載の
    装置。
  19. 【請求項19】本質的に上昇流または下降流型の管状反
    応器(1、41)の中で流動相触媒の存在において炭化
    水素を触媒クラッキングする装置の始動法において、こ
    の始動法は装置の始動に際して装入物をまず触媒相の流
    れ方向に対して並流方向に噴射し、次にこの並流方向噴
    射を保持し場合によってはその流量を徐々に減少させな
    がら、触媒相の流れ方向に対して向流方向に装入物を噴
    射する事を特徴とする装置の始動法。
  20. 【請求項20】請求項1乃至9のいずれかに記載の方法
    および/または請求項10乃至18のいずれかに記載の
    装置の「マキシ−軽油運転」型の運転モードに対する利
    用。
JP10304465A 1997-10-24 1998-10-26 触媒クラッキングにおける炭化水素装入物の選択的蒸発方法および装置 Pending JPH11263984A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR9713363A FR2770225B1 (fr) 1997-10-24 1997-10-24 Procede et dispositif de vaporisation selective des charges d'hydrocarbures en craquage catalytique
FR9713363 1997-10-24

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11263984A true JPH11263984A (ja) 1999-09-28

Family

ID=9512617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10304465A Pending JPH11263984A (ja) 1997-10-24 1998-10-26 触媒クラッキングにおける炭化水素装入物の選択的蒸発方法および装置

Country Status (9)

Country Link
US (1) US6126813A (ja)
EP (1) EP0911379A1 (ja)
JP (1) JPH11263984A (ja)
KR (1) KR19990037320A (ja)
AR (1) AR015192A1 (ja)
CA (1) CA2250342A1 (ja)
FR (1) FR2770225B1 (ja)
UY (1) UY25221A1 (ja)
ZA (1) ZA989706B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525597A (ja) * 2004-12-23 2008-07-17 エービービー ルマス グローバル インコーポレイテッド 流動接触分解ユニットにおける異質流体の処理

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6613290B1 (en) 2000-07-14 2003-09-02 Exxonmobil Research And Engineering Company System for fluidized catalytic cracking of hydrocarbon molecules
CA2733097C (en) * 2008-11-04 2017-01-24 Kior, Inc. Biomass conversion process
US8267068B1 (en) * 2009-06-01 2012-09-18 David Nicholson Low Method for improved fuel-air mixing by countercurrent fuel injection in an internal combustion engine
FR3024054B1 (fr) 2014-07-28 2020-07-10 Total Raffinage Chimie Injecteur en materiau ceramique pour unite de craquage catalytique fluide
JP2024505992A (ja) * 2021-02-05 2024-02-08 シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ 接触分解反応器における混合のための装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4332674A (en) * 1980-07-15 1982-06-01 Dean Robert R Method and apparatus for cracking residual oils
FR2584732B1 (fr) * 1985-07-10 1988-08-19 Raffinage Cie Francaise Procede et dispositif pour le craquage catalytique de charges d'hydrocarbures, avec controle de la temperature de reaction
JPS624784A (ja) * 1985-07-16 1987-01-10 コンパニ−・フランセ−ズ・ド・ラフイナ−ジユ 炭化水素仕込物の接触クラツキングのための方法および装置の改良
FR2621322B3 (fr) * 1987-10-02 1989-12-29 Inst Francais Du Petrole Procede de vaporisation d'une charge liquide dans un procede de craquage catalytique en lit fluide
US5108583A (en) * 1988-08-08 1992-04-28 Mobil Oil Corporation FCC process using feed atomization nozzle
EP0382289B1 (en) * 1989-02-06 1994-03-30 Stone & Webster Engineering Corporation Process for catalytic cracking of hydrocarbons
FR2669037A1 (fr) * 1990-11-08 1992-05-15 Total France Procede et dispositif d'homogeneisation, a l'interieur d'un reacteur tubulaire de craquage d'hydrocarbures a lit de particules solides fluidisees, du melange de ces particules et des vapeurs d'hydrocarbures a traiter.
US5318691A (en) * 1993-05-13 1994-06-07 Mobil Oil Corporation FCC riser cracking with vortex catalyst/oil mixing

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525597A (ja) * 2004-12-23 2008-07-17 エービービー ルマス グローバル インコーポレイテッド 流動接触分解ユニットにおける異質流体の処理

Also Published As

Publication number Publication date
AR015192A1 (es) 2001-04-18
KR19990037320A (ko) 1999-05-25
CA2250342A1 (fr) 1999-04-24
FR2770225A1 (fr) 1999-04-30
UY25221A1 (es) 1999-05-14
EP0911379A1 (fr) 1999-04-28
FR2770225B1 (fr) 2000-01-07
ZA989706B (en) 1999-05-18
US6126813A (en) 2000-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4331533A (en) Method and apparatus for cracking residual oils
US4332674A (en) Method and apparatus for cracking residual oils
US4336160A (en) Method and apparatus for cracking residual oils
US5009769A (en) Process for catalytic cracking of hydrocarbons
US4818372A (en) Process and apparatus for the catalytic cracking of hydrocarbon feedstocks with reaction-temperature control
CN107406778B (zh) 用于加氢处理和裂化烃的方法和装置
US6113776A (en) FCC process with high temperature cracking zone
US4786400A (en) Method and apparatus for catalytically converting fractions of crude oil boiling above gasoline
US5087349A (en) Process for selectively maximizing product production in fluidized catalytic cracking of hydrocarbons
US4601814A (en) Method and apparatus for cracking residual oils
RU2091433C1 (ru) Способ переработки нефтяной масляной фракции
US20080035526A1 (en) Device for Contacting High Contaminated Feedstocks with Catalyst in an FCC Unit
US7544333B2 (en) Device for cracking of hydrocarbons using two successive reaction chambers
EP0369536B1 (en) Process for selectively maximizing product production in fluidized catalytic cracking of hydrocarbons
JPH06322377A (ja) 高および低コンカーボン成分を含むパラフィンリッチ供給原料を接触的にクラッキングする方法および装置
KR930011920B1 (ko) 탄화 수소물의 접촉 분해를 위한 과정 및 장치
JPH0633360B2 (ja) 流動床による接触クラツキングのための方法および装置
US5141625A (en) Second stage stripping and lift gas supply
US4894141A (en) Combination process for upgrading residual oils
JP2000336374A (ja) 触媒を用いた転換によるイソブタンおよびイソパラフィンの含有率が高いガソリンの製造方法
JP2002530467A (ja) ドロッパー反応器およびライザー反応器を備えた接触クラッキング方法並びに装置
JP2000500820A (ja) 改良された接触区域を使用する炭化水素装入物の流動床触媒クラッキング方法および装置
JPH11263984A (ja) 触媒クラッキングにおける炭化水素装入物の選択的蒸発方法および装置
US9725658B2 (en) Method of processing low-grade heavy oil
JPS63183991A (ja) 炭火水素装入物の流動床接触分解法およびこの方法を実施する装置