JPH11263924A - 複層塗膜形成用塗料、複層塗膜形成方法、およびこれらによりえられる塗装品 - Google Patents

複層塗膜形成用塗料、複層塗膜形成方法、およびこれらによりえられる塗装品

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JPH11263924A
JPH11263924A JP6851998A JP6851998A JPH11263924A JP H11263924 A JPH11263924 A JP H11263924A JP 6851998 A JP6851998 A JP 6851998A JP 6851998 A JP6851998 A JP 6851998A JP H11263924 A JPH11263924 A JP H11263924A
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melting
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Yoshiji Inaba
好次 稲葉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1回の塗装工程および加熱溶融、乾燥工程で
耐候性、撥水性、耐摩耗性の内の少なくとも1種の性質
と耐蝕性、密着性とに優れる複層塗膜を提供する複層塗
膜形成用塗料、およびそれを用いて複層塗膜を形成する
方法をうること。 【解決手段】 溶融時に相分離を起こす2種以上の粉体
状の樹脂を水に分散させてなるスラリー状の複層塗膜形
成用塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複層塗膜形成用塗
料、複層塗膜形成方法、およびこれらによりえられる塗
装品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車、電気機器、合板など
の多くの分野においては、たとえば特開昭53−393
35号公報に開示されているように、塗装する際にはベ
ースコート、下塗り、中塗りおよび上塗りなど、少なく
とも2層からなる塗膜を形成させる多層塗装仕上げが行
なわれていた。また、工業的ラインでは、多層塗装仕上
げを連続して短時間に行なうことが要求されており、前
記多層塗装仕上げをするためには、(1)塗装したのち
加熱して完全に乾燥した塗膜をえ、さらにつぎの塗装を
施す方法、または(2)塗装したのち未乾燥のままその
上につぎの塗装を施し、最後に一度に加熱乾燥を行なう
方法(すなわちツー・コート・ワン・ベーク法)などが
行なわれてきた。
【0003】しかし、方法(1)は、各塗装工程を終え
たのちに乾燥工程を必要とするため、工程数が多く、塗
装仕上げに要する時間が長くなること、必要な乾燥装置
の数が多くなることから設備投資、ユーティリティーが
増大し、コストアップとなること、および乾燥させた塗
膜上につぎの塗装を施すため、塗膜間の密着性に劣るこ
となどの欠点があった。
【0004】さらに前記方法(1)においては、各層の
密着性を向上させるために、ひとつの層を形成した後そ
の層の上につぎの層を形成する前に、研磨工程が必要で
あり、工程が複雑になるという問題もあった。
【0005】これに対し、方法(2)においては、溶剤
型塗料を使用するため、つぎのような問題があった。
【0006】すなわち、加熱乾燥時に表層から乾燥成膜
され、下層中に溶剤が残存し、ワキ、フクレおよびピン
ホールなどが発生しやすいため、下層の塗膜を形成する
塗料に乾燥の早い低沸点の溶剤を用いているところ、当
該溶剤が作業環境の汚染、火災、爆発などの問題を生じ
うる。また、前記低沸点溶剤に起因して、無公害および
省資源化の要請に反するばかりか、ラインに排気装置ま
たは溶剤回収装置を設ける必要があり、塗装コストが必
然的に高くなる。さらに、上層の塗膜を形成する塗料に
は、下層の塗膜を溶解または膨潤させないようにするた
め、使用できる溶剤が制限される。その結果、使用でき
る樹脂も制限され、耐水性、密着性および耐蝕性に優れ
た塗膜をうることができないという問題がある。
【0007】一方、特開平8−333528号公報にお
いては、電着塗装により複層塗膜を形成する方法が記載
されている。しかし、当該方法を行なうばあい、既存の
塗装設備を用いることができず、電着槽や電源の設置な
どの大きな設備投資が必要であった。また、塗膜の色を
替えるばあいには電着槽の洗浄という大がかりな作業が
必要であり、作業効率に劣るという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】叙上の事実に鑑み、本
発明の目的は、1回の塗装工程および加熱(溶融)、乾
燥工程で耐候性、撥水性、耐摩耗性の内の少なくとも1
種の性質と耐蝕性と密着性とに優れる複層塗膜を提供す
る複層塗膜形成用塗料、およびそれを用いて複層塗膜を
形成する方法をうることにある。また、複層塗膜形成用
塗料の形態をスラリー状にして環境への影響を少なく
し、既存の設備を用いて設備投資の少ない塗膜形成方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融時に相分
離を起こす2種以上の粉体状の樹脂を水に分散させてな
るスラリー状の複層塗膜形成用塗料に関する。
【0010】また、本発明は、前記複層塗膜形成用塗料
を基材上に1回で塗布し、ついで加熱溶融し、乾燥させ
る複層塗膜形成方法にも関する。
【0011】さらに、本発明は、複層塗膜形成前記方法
によりえられる塗装品に関する。
【0012】前記樹脂はアクリル系樹脂およびエポキシ
系樹脂であるのが好ましい。
【0013】また、前記樹脂はフッ素系樹脂およびエポ
キシ系樹脂であるのが好ましい。
【0014】さらにまた、前記樹脂はアクリルウレタン
系樹脂およびエポキシ系樹脂であるのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の第1の特徴は、塗料の樹
脂成分として、溶融時に相分離を起こす異なる2種以上
の樹脂を用いることにある。これにより、基材に塗装を
1回施して塗膜を形成した後、後述する特定の条件で加
熱溶融し、乾燥することによってそれぞれの樹脂が塗膜
中で分離し、その結果として、複数の層からなる塗膜を
構成する。したがって、用いる樹脂の種類によって、そ
れぞれの樹脂が有する性質をえられる複層塗膜に付与す
ることができる。
【0016】本発明の第2の特徴は、塗料をスラリー状
とするため、有機溶剤の使用量を大幅に削減することが
できることにある。これにより、作業環境の汚染、火
災、爆発などの問題を生じないという利点がある。ま
た、スプレー法、ハケ塗り法、ディッピング法などの従
来からの方法を用いることができるため、電着塗装法に
比して設備投資などのコストがかからないという利点が
ある。
【0017】まず、本発明において用いることのできる
樹脂について説明する。
【0018】本発明においては、前述したように、少な
くとも2種以上の樹脂を用いる。このばあいの樹脂の組
み合わせとしては、溶融時に相分離を起こすものであれ
ばよい。
【0019】なお、溶融時に相分離を起こすのは、塗膜
を加熱溶融させたときの樹脂の表面張力に差があるため
であると考えられる。
【0020】溶融時に相分離を起こす塗膜を形成するた
めの互いに異なる樹脂の組合せとしては、たとえばエポ
キシ系樹脂とアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂とフッ素
系樹脂、エポキシ系樹脂とアクリルウレタン系樹脂など
があげられる。
【0021】ここで、アクリル系樹脂としては、たとえ
ばアクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル
酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
などのメタクリル酸エステルの単独重合体または共重合
体などがあげられ、なかでも、アクリル酸エステルとメ
タクリル酸エステルの共重合体を用いるのが好ましい。
【0022】また、エポキシ系樹脂としては、たとえば
ビスフェノールA/エピクロルヒドリンまたは環状脂肪
族のエポキシ化合物などがあげられ、なかでもビスフェ
ノールA/エピクロルヒドリンを用いるのが好ましい。
【0023】また、フッ素系樹脂としては、たとえばテ
トラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−
エチレン共重合体(ETFE)などがあげられる。
【0024】また、アクリルウレタン系樹脂としては、
たとえばアクリルポリオールのトリレンジイソシアネー
トまたはヘキサメチレンジイソシアネート硬化タイプな
どがあげられ、なかでも、耐候性に優れるという点か
ら、ヘキサメチレンジイソシアネート硬化タイプを用い
るのが好ましい。
【0025】さらに、樹脂の組み合わせとしては、耐候
性および耐蝕性に優れる複層塗膜がえられ、耐候性には
アクリル系樹脂、耐蝕性にはエポキシ系樹脂が優れてい
るという点からは、アクリル系樹脂およびエポキシ系樹
脂であるのが好ましい。このときの加熱溶融条件は13
0℃×60分間〜150℃×20分間である。また、基
材側にエポキシ系樹脂からなる層、表面層側にアクリル
系樹脂からなる層ができる。
【0026】このときの成分比としては、双方の樹脂の
機能を最小限に発現するという点から、アクリル系樹脂
100重量部に対しエポキシ系樹脂が5〜1900重量
部であればよいが、塗料の安定性や塗膜の物性確保とい
う点から、アクリル系樹脂100重量部に対しエポキシ
系樹脂が65〜150重量部であるのが好ましい。
【0027】また、撥水性および耐蝕性に優れる複層塗
膜がえられ、撥水性にはフッ素系樹脂、耐蝕性にはエポ
キシ系樹脂が優れているという点からは、フッ素系樹脂
およびエポキシ系樹脂であるのが好ましい。このときの
加熱溶融条件は、190℃×45分間〜200℃×20
分間である。また、基材側にエポキシ系樹脂からなる
層、表面層側にフッ素系樹脂からなる層ができる。
【0028】このときの成分比としては、双方の樹脂の
機能を最小限発現するという点から、フッ素系樹脂10
0重量部に対しエポキシ系樹脂が5〜1900重量部で
あればよいが、塗料の安定性や塗膜の物性確保という点
から、フッ素系樹脂100重量部に対しエポキシ系樹脂
が65〜150重量部であるのが好ましい。
【0029】さらにまた、耐摩耗性および耐蝕性に優れ
る複層塗膜がえられ、耐摩耗性にはアクリルウレタン系
樹脂、耐蝕性にはエポキシ系樹脂が優れているという点
からは、アクリルウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂
であるのが好ましい。このときの加熱溶融条件は、19
0℃×40分間〜200℃×20分間である。また、基
材側にエポキシ系樹脂からなる層、表面層側にアクリル
ウレタン系樹脂からなる層ができる。
【0030】このときの成分比としては、双方の樹脂の
機能を最小限に発現するという点から、アクリルウレタ
ン系樹脂100重量部に対しエポキシ系樹脂が5〜19
00重量部であればよいが、塗料の安定性や塗膜の物性
確保という点から、アクリルウレタン系樹脂100重量
部に対しエポキシ系樹脂が65〜150重量部であるの
が好ましい。
【0031】本発明においては樹脂粉体を用いるが、そ
の平均粒径は、えられる塗膜の平滑性、塗装作業性およ
び塗料の保存安定性を低減させず、かつ塗膜の表面乾燥
およびダレ易さを防止するという観点から、0.5〜8
0μmであればよいが、微粒径のばあいは粉体の二次凝
集が起こり易く、大粒径のばあいは表面粗度が大きくな
り、詰まり易いという点から、5〜30μmであるのが
好ましく、さらに、薄膜で平滑な表面をうるという点か
ら、5〜15μmであるのが特に好ましい。
【0032】つぎに、本発明の複層塗膜形成用塗料は、
常法により前記樹脂粉体を水に分散させてスラリーをう
ることにより製造することができる。
【0033】このばあい、本発明の複層塗膜形成用塗料
はスラリー状であるが、その固形分は、20〜60重量
%であればよい。
【0034】さらに、本発明の複層塗膜形成用塗料に
は、従来から粉体塗料において用いられている、たとえ
ば無機系および有機系顔料、流動性付与剤、界面活性
剤、被塗面湿潤剤、増粘剤、つや消し剤、一次防錆剤な
どの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配
合することができる。
【0035】つぎに、本発明の複層塗膜形成用塗料を用
いて複層塗膜を形成する方法について説明する。従来の
方法によれば、前述のとおり、1回目の塗布および加熱
溶融、乾燥を行なったのち、層と層の密着性を向上させ
るために研磨工程を行ない、ついで2回目の塗布および
加熱乾燥を行なう必要がある。これに対し、本発明の方
法によれば、1回の塗布工程および加熱溶融、乾燥工程
で複層塗膜を形成することができる。
【0036】まず、本発明においては、塗布工程におい
て前述のようにしてえた複層塗膜形成用塗料を常法によ
り基材に1回だけ塗布する。
【0037】ここで、基材としては特に制限はないが、
たとえば鉄、非鉄金属、ガラス、木、プラスチックなど
があげられる。かかる基材の形状としても特に制限はな
く、製造する塗装品の形状に合わせてもよく、また、所
望する塗装品に加工する前の形状であってもよい。
【0038】また、本発明における塗装方法としては、
従来からのものであれば特に制限はなく、たとえばスプ
レー法、ハケ塗り法、ディッピング法などがあげられ、
なかでも従来の技術を利用してムラなく容易に一定膜厚
の塗膜をうることができるという点からスプレー法を用
いるのが好ましい。
【0039】つぎに、本発明においては、塗布後の塗膜
を加熱して溶融させたのちに乾燥させる。このばあい、
従来の手段を用いればよく、たとえば電気式、ガス燃焼
式、重油燃焼式などの加熱炉または誘導加熱、赤外線ラ
ンプなどを用いて加熱溶融、乾燥させればよい。
【0040】加熱溶融温度としては、前述のように樹脂
の組合せで適宜選定すればよい。
【0041】上述のようにしてえられる本発明の複層塗
膜の膜厚としては、樹脂粉体の平均粒径に応じて当業者
であれば適宜選択しうるが、1μm〜3mmであるのが
好ましい。特に樹脂粉体が比較的微粒径のばあいは1〜
50μmであるのが好ましく、比較的大粒径のばあいは
100μm〜3mmであるのが好ましい。樹脂粉体の平
均粒径が5〜30μmのばあいは、複層塗膜をえ、各層
の機能(たとえば耐蝕性および耐候性など)を確保する
ために10〜200μmであればよい。
【0042】また、複層塗膜の各層の厚さの比は、本発
明の効果を損なわない範囲であればよく、前記塗料中の
樹脂成分の比を調整することにより変化させることがで
きる。
【0043】すなわち本発明は、前記複層塗膜形成用塗
料を基材上に1回で塗布し、ついで加熱乾燥させる複層
塗膜形成方法にも関する。
【0044】さらに、本発明は、複層塗膜形成前記方法
によりえられる塗装品にも関する。えられた塗装品は、
たとえば送風機、電力量計、配電盤などに好適に用いる
ことができる。
【0045】以下に実施例を用いて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものでは
ない。
【0046】
【実施例】製造例1 表1に示す配合割合にしたがい、撹拌機を用いて混合分
散するという方法で本発明の複層塗膜形成用塗料1を製
造した。
【0047】製造例2 表1に示す配合割合にしたがい、製造例1と同様の方法
で本発明の複層塗膜形成用塗料2を製造した。
【0048】製造例3 表1に示す配合割合にしたがい、製造例1と同様の方法
で本発明の複層塗膜形成用塗料3を製造した。
【0049】
【表1】
【0050】実験例1〜8 製造例1においてえた複層塗膜形成用塗料1をエアース
プレーにより70mm×150mm×0.8mmの標準
試験板上に塗布し、つぎに、電気炉により表2に示す加
熱溶融温度および加熱溶融時間(以下、「溶融温度」お
よび「溶融時間」という)で溶融、乾燥させ厚さ40μ
mの塗膜をえた。
【0051】えられた塗膜が複層となっているか否か
を、実体顕微鏡を用いた目視による断面観察により確認
し、複層が形成されているばあいは、実体顕微鏡を用い
て撮影した写真により各層の厚さを測定した。さらに、
以下の試験方法にしたがって評価した。結果および複層
塗膜形成の有無、複層塗膜の各層の厚さを表2に示す。
なお、複層がえられたばあい、アクリル系樹脂からなる
層は表面側に、エポキシ系樹脂からなる層は基材側に形
成されていた。
【0052】[試験方法] 色差および光沢保持率 サンシャインウェザーメータを用い、200時間暴露し
た後に塗膜の色差(色変化:ΔE)および光沢保持率
(%)を測定した。色差が小さいほど耐候性に優れる。
また、光沢保持率が大きいほど耐候性に優れる。
【0053】耐蝕性 JIS K−5400にしたがい塩水噴霧試験によりえ
られた塗膜のスクラッチマーク片側の最大錆幅を測定
し、耐蝕性を評価した。錆幅が小さいほど耐蝕性に優れ
る。
【0054】密着性(複層塗膜の各層間の密着性) JIS K−5400にしたがい、1mm幅の基盤目カ
ット法により、えられた塗膜の層間、密着性を評価し
た。判定値が10に近いほど密着性に優れる。
【0055】
【表2】
【0056】実験例9〜14 製造例2においてえた複層塗膜形成用塗料2をエアース
プレーにより70mm×150mm×0.8mmの標準
試験板上に塗布し、表3に示す溶融温度および溶融時間
で塗膜を溶融させたほかは、実験例1と同様の方法で厚
さ40μmの塗膜を形成した。
【0057】えられた塗膜について複層塗膜形成の有
無、複層塗膜の各層の厚さを実験例1と同様に評価し、
さらに以下の試験方法にしたがって評価した。結果を表
3に示す。なお、複層がえられたばあい、フッ素系樹脂
からなる層は表面側に、エポキシ系樹脂からなる層は基
材側に形成されていた。
【0058】[試験方法] 撥水性 えられた塗膜の表面に水を滴下し、接触角計を用いて対
水接触角(度)を測定した。接触角が大きいほど撥水性
に優れる。
【0059】耐蝕性 前記実験例1のばあいと同様にして評価した。
【0060】密着性(複層塗膜の各層間の密着性) 前記実験例1のばあいと同様にして評価した。
【0061】
【表3】
【0062】実験例15〜20 製造例3においてえた複層塗膜形成用塗料3をエアース
プレーにより100mm×100mm×1mmの標準試
験板と同じ材質の基材上に塗布しつぎに、表4に示す溶
融温度および時間で塗膜を溶融させたほかは実験例1と
同様の方法で、厚さ40μmの塗膜を形成した。
【0063】えられた塗膜について複層塗膜形成の有
無、複層塗膜の各層の厚さを実験例1と同様に評価し、
さらに以下の試験方法にしたがって評価した。結果を表
4に示す。なお、複層がえられたばあい、アクリルウレ
タン系樹脂からなる層は表面側に、エポキシ系樹脂から
なる層は基材側に形成されていた。
【0064】[試験方法] 耐摩耗性 えられた塗膜の表面をテーバー摩耗試験機の摩耗輪(C
S17)を用いて、60rpm、1000回という条件
で研削し、研削前後の重量変化から摩耗量(mg)を測
定した。摩耗量が少ないほど耐摩耗性に優れる。
【0065】耐蝕性 前記実験例1のばあいと同様にして評価した。
【0066】密着性(複層塗膜の各層間の密着性) 前記実験例1のばあいと同様にして評価した。
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】本発明の複層塗膜形成方法によれば、溶
融時に相分離を起こす異なる樹脂成分を適宜選択して塗
料に用いることにより、樹脂の種類に応じて、耐候性お
よび耐蝕性、撥水性および耐蝕性、耐摩耗性および耐蝕
性などの複数の機能を有し、かつ密着性に優れた複層塗
膜を、1回の塗装および加熱乾燥によってうることがで
きる。そのため、塗装工程の簡略化、設備の小型化、加
熱、乾燥に要するエネルギーの節約およびコストの低下
を達成することができる。
【0069】また、従来の方法で多層の塗膜を形成する
ばあい、各層の密着性を充分なものにするために研磨工
程などが必要とされるが、本発明の複層塗膜形成方法に
よれば一回の塗装および加熱、乾燥によって複層を形成
させることができ、かかる研磨工程の必要がなく、工程
の簡略化が達成される。
【0070】また、本発明の複層塗膜形成用塗料はスラ
リー状であるため、既存の設備を用いて公知の方法によ
って塗布することができるという点から、設備投資を抑
制することができる。
【0071】また、本発明の複層塗膜形成用塗料はスラ
リー状であるため、多量の有機溶剤、揮発性塩基および
界面活性剤を用いる必要がなく、省資源化を達成するこ
とができ、さらに環境に優しいという利点を有する。
【0072】特に、請求項1記載の発明によれば、有機
溶剤使用量を大幅に削減できるという効果を奏する。
【0073】また、請求項2記載の発明によれば、塗装
工程を簡略化できるという効果を奏する。
【0074】また、請求項3記載の発明によれば、1回
の塗装、加熱乾燥工程により複数の機能をもった塗膜が
えられるという効果を奏する。
【0075】また、請求項4記載の発明によれば、1回
の塗装、加熱乾燥工程により耐候性と耐蝕性に優れた塗
膜をうることができるという効果を奏する。
【0076】また、請求項5記載の発明によれば、1回
の塗装、加熱乾燥工程により撥水性と耐蝕性に優れた塗
膜がえられるという効果を奏する。
【0077】また、請求項6記載の発明によれば、1回
の塗装、加熱乾燥工程により耐摩耗性と耐蝕性に優れた
塗膜がえられるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 163/00 C09D 163/00 175/04 175/04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融時に相分離を起こす2種以上の樹脂
    粉体を水に分散させてなるスラリー状の複層塗膜形成用
    塗料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の複層塗膜形成用塗料を基
    材上に1回で塗布し、ついで加熱溶融し、乾燥させる複
    層塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の複層塗膜形成方法により
    えられる塗装品。
  4. 【請求項4】 樹脂がアクリル系樹脂およびエポキシ系
    樹脂である請求項3記載の塗装品。
  5. 【請求項5】 樹脂がフッ素系樹脂およびエポキシ系樹
    脂である請求項3記載の塗装品。
  6. 【請求項6】 樹脂がアクリルウレタン系樹脂およびエ
    ポキシ系樹脂である請求項3記載の塗装品。
JP6851998A 1998-03-18 1998-03-18 複層塗膜形成用塗料、複層塗膜形成方法、およびこれらによりえられる塗装品 Pending JPH11263924A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012041383A (ja) * 2010-08-12 2012-03-01 Dainippon Toryo Co Ltd 層分離タイプの艶消し粉体塗料組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012041383A (ja) * 2010-08-12 2012-03-01 Dainippon Toryo Co Ltd 層分離タイプの艶消し粉体塗料組成物

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