JPH1126389A - ダイヤモンドの改質方法 - Google Patents

ダイヤモンドの改質方法

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JPH1126389A
JPH1126389A JP19051197A JP19051197A JPH1126389A JP H1126389 A JPH1126389 A JP H1126389A JP 19051197 A JP19051197 A JP 19051197A JP 19051197 A JP19051197 A JP 19051197A JP H1126389 A JPH1126389 A JP H1126389A
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JP
Japan
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light
diamond
wavelength
laser
lattice
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Application number
JP19051197A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Shiomi
弘 塩見
Seiji Ogino
誠司 荻野
Naoharu Fujimori
直治 藤森
Tsuneo Nakahara
恒雄 中原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイヤモンドに不純物を導入した場合、熱に
よっては活性化されない不純物を活性化しキャリヤを解
放して抵抗率の低い高品質ダイヤモンドを作製するこ
と。 【構成】 ダイヤモンドの中の炭素どうしの結合あるい
は炭素と不純物の結合よりなる光学格子振動を励起する
ようにその格子振動のエネルギーにほぼ等しいエネルギ
ーを持つ1種類または2種類の波長の赤外光を照射す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は不純物イオン注入
などによって乱れたダイヤモンドの結晶構造を秩序化し
不純物を電気的に活性化する改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体材料を使って電子装置を作製しよ
うとする場合、半導体に不純物をイオン注入して所望の
電気的性質を与える。その場合イオンエネルギーのため
に結晶格子が乱れ伝導性が低下し或いは抵抗が低下す
る。そこで半導体の結晶構造を秩序化し再結晶化して電
気的に活性化させることがしばしば必要になる。Siな
どの半導体の場合は、電気炉で加熱する事によって活性
化させることができる。これは熱によって結晶構造を秩
序化再結晶するものである。広くアニールとよぶ。結晶
改質のためにアニール法を用いるのは半導体に限らず金
属などでも広く行われる。熱のために高次の格子振動が
励起され、自由エネルギーがより低い方へと原子が移動
し易くなるので格子構造が修復される。
【0003】本発明はダイヤモンド結晶の改質を目的と
する。このダイヤモンドもイオン注入などによって結晶
に損傷を受けたものであり不純物がドープされていても
格子構造が乱れているためあるいは不純物の位置がずれ
ているために所定の電気的な特性が得られないものであ
る。ダイヤモンドは格子エネルギーが極めて高いために
1000℃以上に加熱してアニールしても十分に活性化
することができない。p型、n型の不純物を低レベルで
ドープしても十分な伝導率のものが得られない。多くの
不純物が不活性であるためである。必要以上の高レベル
ドープをすると余計に結晶構造が乱れてしまう。
【0004】そもそもあまり高温でアニールすると結晶
以外の要素に悪影響を及ぼすことがある。高温のアニー
ルをすると電極材料が溶融し変質する恐れがある。高温
でも変質しない電極材料を使わなければならないがその
ように好都合な電極材料は得難いものである。たとえ高
温に耐える材料が見つかっても電極としては使いにくく
半導体製造工程をより複雑困難にする。
【0005】もう一つの問題はダイヤモンド自体の変質
の可能性である。1000℃以上の高温のアニールをす
ると圧力が低いと相転位が起こってダイヤモンドがグラ
ファイトになってしまう。相転位を防ぐにはよほどの高
圧を掛けながらアニールしなければならない。ダイヤモ
ンドのアニールは大型の高温高圧の炉を使用しなければ
ならずコスト高になる。つまり熱処理によってダイヤモ
ンドを改質するのは難しい。しかし熱以外に損傷を受け
たダイヤモンドの結晶性を回復する手段はいまのところ
見いだせない。
【0006】熱によるのではなくて光による物質の改質
方法もいくつか提案されている。
【0007】特開平7−22311号「半導体材料お
よびその作製方法」は液晶ディスプレイにおいて薄膜ト
ランジスタを多数作る工程に於いてアモルファスSiを
活性化するためにエキシマレーザ照射を行う。液晶基板
のように大きい基板の全体に単結晶Siのトランジスタ
を作ることはもとよりできないからアモルファスSi薄
膜をRFスパッタリング法によって形成する。アモルフ
ァスであるから電子移動度が単結晶Siの場合(135
0cm2 /Vs)の1/1000〜1/100程度しか
ない。それで短距離秩序を与えて電子移動度を上げると
いう処理が行われる。
【0008】KrFレーザの強い紫外光を薄膜に照射す
る。エキシマレーザを使うのはエネルギーが高くないと
いけないからである。KrFは248nmの紫外光を発
生する。これがアモルファスシリコンを一次的に溶融し
結晶化させるように働いていた。ところが単にエキシマ
レーザ光の照射では移動度向上のばらつきが大きく品質
が一定しない。それは酸素、窒素、炭素などの不純物が
Si中にあり、これが結晶化において移動度向上を妨げ
るように作用するというのである。そこでこれは酸素、
炭素、窒素などの不純物濃度を極端に低くした高品質の
アモルファスSiを使う、ということを提案している。
波長248nmの紫外光は5eVのエネルギーをもつ光
子(ホトン)の集合である。光のエネルギーEと波長λ
の間には、λ(nm)=1240/E(eV)の関係が
ある。このようにアモルファスSiを結晶化させるには
高いエネルギーの紫外光を使う。電子遷移を引き起こし
て格子構造を改善する。これが常識であった。
【0009】特開平3−76168号「ダイヤモンド
を用いた電子装置の作製方法」はダイヤモンドに不純物
を注入すると結晶構造が乱れるのでレーザ光を照射して
構造を改良する方法を提案する。ダイヤモンドは非平衡
状態で作製されているので、単純にイオン注入をして熱
によるアニールをしても不純物が活性化しない。140
0度の高熱を加えても平衡状態を保つので格子乱れは改
善されない。
【0010】光によるアニールをするにしてもハロゲン
ランプでは1eV〜1.5eVの可視光から赤外線光で
あって効果がないとしている。それで4.8eV以上の
エネルギーの光(波長が260nm以下)を真空中ある
いは水素雰囲気で照射して格子欠陥を減少させる、とい
う方法を提案している。前記のものと同じように、Kr
Fレーザの248nmの光を照射することによって改質
をしている。こえはグラファイトのsp2 混成軌道をダ
イヤモンドのsp3 混成軌道に変換させることができる
と主張している。KrFレーザのパワーは30〜50m
J/cm2 としている。これも248nmのエネルギー
の高い紫外光によって結晶改質を行おうとするものであ
る。
【0011】特開平3−76169号「ダイヤモンド
を用いた電子装置の作製方法」もダイヤモンドの100
nm〜300nmのパルス紫外光によるレーザアニール
法を述べている。これも好ましい波長は260nm以下
(4.8eV以上)のエネルギーが望ましいとしてい
る。ダイヤモンドのバンドギャップが約5eVであるた
めこれとほぼエネルギーの等しいKrFレーザ光(24
8nm)は特に効果的であると信じている。
【0012】これらのレーザアニール法はいずれも波長
が100nm〜300nmの短波長のレーザ光を用いて
いる。これはダイヤモンドのバンドギャップと同じかそ
れよりもエネルギーが高いので価電子帯から伝導帯への
電子励起を引き起こすことができる。ダイヤモンドのレ
ーザアニールはバンドギャップ以上のエネルギーの光が
必要だと思いこまれている。それは、グラファイトのs
2 軌道をダイヤモンドのsp3 軌道に変換させるため
であり電子軌道に直接に働きかけることができる高いエ
ネルギーを持つ光が必要と考えられたものであろう。
【0013】しかしこれらにおいて提案されているアニ
ール光源は何れも紫外光であってエネルギーが高くダイ
ヤモンドの炭素間の結合の手を分断することがある。そ
のためにレーザアニールによって炭素結合が切れて新た
な欠陥を発生させる可能性がある。またバンドギャップ
より高いエネルギーの光は表面近くで全部吸収され内部
にまで浸透しない。
【0014】それにイオン注入によって生じる変化はダ
イヤモンドの一部がグラファイト化することだけではな
い。そのような結合形式の変化はむしろ僅かであって格
子の乱れ、歪みなどによって不純物が格子間にあってキ
ャリヤを放出できないために活性化されないのであろう
と考えられる。するとより直接に格子をゆり動かすよう
な手段が望まれる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤモンドは熱によ
る処理によっては電気的な活性化が難しい。ダイヤモン
ドのバンドギャップにほぼ等しい260nm以下の波長
のレーザ光によるアニールも提案されている。sp2
道をsp3 軌道に変換するにはこの程度のエネルギーの
光が必要である。しかしこれはエネルギーが高すぎて新
たな欠陥を発生する可能性がある。結合の手を分断する
可能性もある。結晶構造を回復する手段としては不十分
である。これまでに提案されているレーザアニールの欠
点を克服し、不純物注入して格子構造に乱れのあるダイ
ヤモンドを、欠陥を導入することなく結晶構造を回復し
電気的特性を改善する改質方法を提供する事が本発明の
目的である。さらに改質されたダイヤモンドを用いた電
子装置、光学装置を提供する事が本発明のさらなる目的
である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題を
解決する手段として、ダイヤモンド構成原子である炭素
の格子振動にあるいは添加不純物と構成原子間の振動に
共鳴吸収する波長のレーザ光を照射する。これによって
結晶構造を秩序化し電気的担体を活性化する。そして活
性化されたダイヤモンドを用いてダイヤモンド電子装
置、ダイヤモンド光学装置を製造する。
【0017】本発明の改質方法は熱によるアニールでは
なく光による改質である。熱によるアニールは電気炉な
どによって、材料全体を融かし或いは融ける直前の温度
まで加熱し、熱平衡状態を経て乱れた原子配列を正しく
再構成するものである。本発明は構成原子の格子振動に
共鳴する波長のレーザ光を照射して材料を溶融する事な
く格子振動を直接に励起し結晶構造を秩序化する。
【0018】光による改質であってしかも白色光(連続
スペクトル)を用いるのではなく格子振動のエネルギー
に等しいエネルギーをもつ波長の単色光を用いる。エネ
ルギーが決まっており格子振動だけを励起できるので少
ないパワーで改質の効果は極めて大きい。格子振動によ
って共鳴吸収されるような決まった波長の単色光を用い
るのが望ましい。電子遷移を引き起こさないからダイヤ
モンドがグラファイトに変質するという惧れもない。
【0019】格子振動を励起するのが目的であるので、
従来法のエキシマレーザの248nmの光によるものと
は全く違う。248nmはダイヤモンドのバンドギャッ
プ5eVにほぼ等しいので電子のバンド間遷移を引き起
こす。しかしそれは格子振動を誘起するという目的には
無効である。格子は炭素原子相互の結合によってなる秩
序である。炭素原子は電子の質量の2万倍もの質量を持
つので動きが格段に遅くエネルギーも低い。
【0020】熱の本質は格子振動であるから熱によって
格子振動を励起するというのはごくごく自然の発想なの
である。それで多くの物質の場合は熱を掛けて格子構造
を回復するようにしている。ところがダイヤモンドの場
合は熱による処理は効果がないということが分かってい
る。
【0021】熱がだめなら光というのではあまりに単純
にすぎる。イオン注入によって乱れた格子構造を再構築
するのであるから格子振動を励起すれば良い。ところが
格子振動を光によって励起することは簡単にはできな
い、と考えられている。ひとつは運動量pとエネルギー
Eの保存則が成り立たないからである。格子振動を量子
化すると音響ホノンの集合ということになる。音響ホノ
ンは波数kと振動数ωがほぼ比例する(つまり音速が一
定)。光子(ホトン)がひとつ消滅してひとつのホノン
が発生するというときエネルギーEと運動量pの両方が
一致しなければいけない。これはありえないことであ
る。光子がホノンを散乱させるという場合、散乱前のホ
ノンと散乱後のホノン、ホトンという3つの対象物の間
でエネルギー、運動量の保存が要求される。光はエネル
ギーが大きくても質量が0であるから運動量が小さくそ
のような保存則を満足できない。
【0022】もっともホノンにも2種類ある。音響ホノ
ンは熱の主体であり波数kによるエネルギーの分散があ
る。k=0でω=0であって、ω=kcs で決まる音速
sをもつ。またこれは縦波ひとつと横波ふたつを持
つ。これは運動量が大きいので光と相互作用ができな
い。
【0023】音響ホノンの上に光学ホノンがある。これ
は音響ホノンと逆の傾向を持ちk=0で最大振動数をも
つ。これも縦波と横波を持つ。光学と名前がついている
のは光と相互作用する可能性があるからである。光は横
波であるから光学ホノンの横波が光と相互作用すること
がある。光学ホノンの縦波は光と相互作用できない。横
波光学ホノンがどうして光と相互作用するか?という
と、イオン結晶であって2種類の正イオン負イオンが単
位セルにある場合、正イオンと負イオンが反対方向に変
位するとダイポールモーメントPが発生するのでこれが
光の電界Eと結合するのである。
【0024】もちろんそれだけではいけない。運動量と
エネルギーの保存則の問題がある。光は質量がないの
で、エネルギーが高い割には運動量が小さい。格子振動
は重い原子の動きであるから運動量が大きく光とはエネ
ルギー交換ができないというふうに思われる。ところが
それは音響ホノンでのみ言えることであって、光学ホノ
ンでは音速というものをそもそも定義できない。k=0
の近傍では波数kによるエネルギーωの分散が殆どな
い。つまり光学ホノンはk=0の近くで振動ωがほとん
どkによらない。このため運動量が殆ど0である光と光
学ホノンがエネルギー、運動量保存則を満足することが
でき、相互作用できるのである。
【0025】光学ホノンがどうして発生するのか?とい
うと、結晶の単位胞の中に2以上の種類の原子がある場
合にそれらの原子が相対変位できるので生ずる。単位胞
にひとつの原子しかない場合は3つのモードの音響ホノ
ンだけが生ずる。ダイヤモンドは炭素原子だけでなるの
で音響ホノンだけかとも思えるがそうではない。
【0026】ダイヤモンドの単位胞のなかに8個の炭素
原子が含まれる。質量の差はないが結合の方向が異なる
ので振動のモードが異なる。それでひとつは音響モード
を形成し、残りの7つの自由度が光学モードを形成す
る。幾つもの光学モードがダイヤモンドには存在するの
である。これらはいくつかの分枝は縮退している。その
ほかのものはエネルギーが異なるがそのうちのいくつか
はk=0の近くでωが殆ど一定である。その分枝はエネ
ルギー、運動量を保存できるので光を散乱あるいは吸収
することができる。
【0027】しかしダイヤモンドは同一原子よりなるの
で原子が相対移動してもダイポールモーメントを発生し
ない。分極ができないのでは光と相互作用をするはずが
ないとも思える。しかし赤外光をダイヤモンドに照射す
るとある範囲で顕著な吸収が現れる。図3はダイヤモン
ドに赤外光を照射した時の透過率の測定結果を示すグラ
フである。透過率グラフのうち3μm〜6μmに大きい
吸収が見える。これはエネルギーに直すと0.4eV〜
0.2eVのあたりである。これは炭素原子が変位する
ことによって生ずる格子振動のエネルギーの程度であ
る。してみればこれはダイヤモンドの光学ホノンを励起
したことによる吸収であると考えられる。
【0028】確かにダイヤモンドは炭素だけからなり共
有結合であるが炭素原子が正規の位置からずれるとそれ
に伴って結合に与る電子も動く。しかし原子の運動と電
子雲の運動が同一でないから局所的にダイポールが発生
する。そのダイポールと光が相互作用して光から原子が
エネルギーを吸収して振動が励起される。それが0.4
eV〜0.2eVの吸収なのであろう。従来ダイヤモン
ドの格子振動と光が相互作用をするというようなことは
知られておらずしたがって、格子振動のエネルギーに近
いエネルギーの赤外光と照射してアニール効果を生じさ
せるまで格子振動を励起できるというようなことは誰も
思い至らなかったのである。
【0029】それでむやみに高いエネルギー(短波長)
のレーザ光を当てて電子軌道を修正するという発想が一
般的であったのだろうと思われる。格子の乱れと電子軌
道は無関係である。格子乱れは格子振動を盛んに励起し
て原子を動き易くし、自由エネルギーが最小の方向へと
原子を推移させることによって初めて修正される。電子
を励起する必要はないし無益なことである。本発明はそ
のような電子軌道と格子振動の違いを強く意識し後者を
励起することによって格子乱れを矯正し不純物を活性化
するものである。
【0030】2μm〜6μmに現れる吸収はダイヤモン
ドの光学ホノン励起によるものであろうと本発明者は考
えている。格子振動であるから電子励起よりも大体1桁
エネルギーが小さい。電子を軌道間で励起するには紫外
光やそれに近い可視光が必要である。しかし格子振動を
励起するには赤外光が適している。2〜6μmという広
範囲の吸収が見られるのは多数の異なるモードがあるか
らである。
【0031】先述のようにダイヤモンド単位胞には8つ
の炭素原子が含まれる。単位胞にs個の原子がある場
合、3s個の音響モードと3(s−1)個の光学モード
が立つ。従って、ダイヤモンドの場合は3個の音響モー
ドと21の光学モードが存在する。21の光学モードは
エネルギーが2μm〜10μmの程度に分布しているの
であろう。21のうち7つは縦波、14は横波の光学モ
ードである。縦波は光と相互作用しないであろう。光は
横波であるからである。
【0032】ところが14個の横波光学モードは光と相
互作用をする。イオン結晶のように原子自体が電荷を帯
びている場合は格子振動によって分極ができるので光と
相互作用するということは明瞭に分かる。ダイヤモンド
のように一様な炭素原子の分布が格子振動して光と相互
作用するということは多少理解しがたい。しかし4本の
共有結合をもつ炭素原子が何れかに偏奇すると電子雲と
原子核の中心に差が生ずるはずである。その差によって
分極が発生すると考えられる。分極が生じると光の横方
向の電界と相互作用することができる。これが2μm〜
6μmあるいは10μm程度までの吸収の原因であろう
と本発明者は考える。つまりこの吸収はダイヤモンドの
光学モード格子振動を励起したので発生するものであ
る。
【0033】さらに5.8μmの吸収があるがこれは燐
をドープしたときに現れる新たな吸収であり、ドーズ量
に比例した吸収を示す。つまり燐と炭素の格子構造の振
動と考えられる。
【0034】燐の他に窒素、砒素、リチウム、ボロンな
どを不純物としてイオン注入するがそれぞれ異なる波長
に吸収線を生ずる。つまりこれら不純物と炭素の間の格
子構造よりなる振動が励起されて光を吸収していると考
える事ができる。いずれも光学ホノンの格子振動が光を
吸収しているのである。2μm〜15μmの範囲に吸収
線を持っている。不純物原子がホスト原子と格子構造を
作るというのは不思議でも何でもないがこれが固有の振
動モードを作るということは不思議に思える。が大量の
不純物を注入するから表面での不純物濃度が高くてブロ
ッホ関数で記述できるような格子構造をつくるのであろ
う。
【0035】レーザ改質の作用を述べる。気相合成法に
よって基板状に生成されたダイヤモンドにp型不純物ま
たはn型不純物をイオン注入して伝導型を変化させたと
する。燐、窒素、砒素、リチウム、ボロン等の不純物原
子である。高エネルギーの注入をするので格子構造が擾
乱を受ける。炭素原子が所定の位置からずれている。そ
れだけでなく注入された不純物原子が所定の位置にない
場合もある。ドーパント(不純物)が正しく炭素原子を
置換しないとドーパントは不活性でありp型不純物、n
型不純物としての作用を発揮できない。
【0036】本発明はこれに格子振動エネルギーEs
いは構成原子と不純物原子の格子振動エネルギーEt
等しいエネルギーを持つ光をレーザによってダイヤモン
ドに照射するのである。光のエネルギーは波数νにプラ
ンク定数hを掛けたものである。これが共鳴吸収される
のであるから、hν1 =Es 或いはhν2 =Et によっ
て波数νが決まる。波数と波長λはλ=c/νの関係が
ありここから必要なレーザ光の波長が決まる。それぞれ
をλ1 、λ2 とする。どちらの光を先に照射しても良
い。同時に照射しても差し支えない。
【0037】本発明は、連続スペクトルの光ではなく
て、波長が決まった単色光を使う。白色光をもしも用い
たとすると一部だけが格子振動を励起するために使われ
るがそのほかの光は無駄になる。効率が悪い。それだけ
でなくいたずらに結晶温度をあげてしまう。そのために
ダイヤモンドが変質しグラファイト化することもある。
格子振動だけを励起する波長の光を当てるのでそのよう
な不都合はない。白色光でなく単色光を使うので光源は
レーザでなければならない。
【0038】本発明において用いられるレーザ光はそれ
ぞれの材料に固有の波長のレーザ光でなければならな
い。ところが気体レーザや半導体レーザは発生できる光
の波長がひとつに決まっている。任意の波長の光を出す
という訳にはいかない。ところが本発明は格子振動のエ
ネルギーEs ,Et に等しいエネルギーを持つ光をダイ
ヤモンドに照射するでのそのような波長固有型のレーザ
では役に立たない。
【0039】これまでEs 、Et と言う表現を用いてい
るがその値が予め分かっているとこれを励起する光の波
長を計算できる。しかしEs 等が予め分からないことも
ある。その場合は連続的に波長を変えて共鳴吸収がおこ
る波長を探す必要がある。
【0040】色素レーザ波はある波長範囲で自在に波長
を変化させることができる。しかし色素レーザの場合は
出力が弱いし調整可能な波長幅も狭い。
【0041】そこで本発明はレーザ光源として自由電子
レーザを使う。これは任意の波長のレーザ光を発生させ
る事ができる。出力も大きいので改質のための光源とし
て最適である。しかし自由電子レーザによって格子振動
のエネルギーが一旦特定できるとその波長の光を発生で
きる半導体レーザやガスレーザをも使用できる可能性が
ある。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
図面を参照しながら説明する。n型不純物である燐
(P)を、人工合成IIa型ダイヤモンドにイオン注入
した。イオン注入は目的の元素を含むガスをイオン源に
入れマイクロ波、熱、光、高周波などによって励起して
プラズマとし電界の作用によってこれをイオンビ−ムと
して引き出し、高電圧を掛けて加速し、対象物に打ち込
む方法である。これは、ドーパントなどを物質に与える
方法として良く知られた方法であるから装置などの説明
は省略する。燐イオンの加速電圧は360keVであ
る。
【0043】ドーズ量をかえて4種類の試料を作製し
た。
【0044】試料1: 1.00×1013/cm2
【0045】試料2: 1.00×1014/cm2
【0046】試料3: 1.00×1015/cm2
【0047】試料4: 1.00×1016/cm2
【0048】これによってダイヤモンド結晶は損傷を受
けている。これを自由電子レーザの光を照射する事によ
って格子構造を回復する。自由電子レーザは、電子銃で
発生した電子ビームを加速器によって光速近くの速度に
まで加速しウイグラ磁石などからなる周期磁場の中を通
過させ、磁界と電子の相互作用で光を誘導放出させ、誘
導放出光を反射ミラー間で往復させ反復増幅し所定波長
の強い光を発生させる。磁場強度、磁石ピッチ、電子ビ
ームエネルギーなどを調整することによって赤外線領域
から紫外線、X線領域までの広い範囲に渡る波長の単色
光を発生することができる。波長可変レーザであるから
波長を変化させながらダイヤモンドにレーザ光を照射し
吸収を測定して格子振動に共鳴する波長を探すことがで
きる。
【0049】図1によってレーザ光照射装置の概略を説
明する。自由電子レーザ10は先述のように光速近くで
走行する自由電子軌道を強制的に曲げ制動輻射によって
光を発生させ、これを共振器間で往復させ誘導放出を繰
り返して位相の揃ったレーザ光とするものである。波長
は可変でありパワーは大きい。このレーザ光11をミラ
ー12で反射させZnSeレンズ13によって収束光1
4とする。これが一定振幅一定周期で揺動するガルバノ
メータミラー15によって反射され試料16の上に照射
される。試料16はステージ17の上に固定されてい
る。ビームの進路はレーザからABCDとなるが、ガル
バノミラーが軸19の周りに揺動するからビームはD
E、DF、DGのように変化し、試料16での照射領域
18は点ではなく線分EFGとなる。更にステージ17
を線分EFGに垂直方向に動かす事によって二次元広が
りを持つ領域にレーザ光を当てる事ができる。
【0050】この例に於いて、自由電子レーザ10から
出る光は、平行光でビーム径が50mmφである。Zn
Seレンズ13は焦点距離が10インチ(254mm)
である。ガルバノメータミラーによって試料16面に照
射されたビームの径は100μmφ〜200μmφであ
る。
【0051】ガルバノメータミラーは慣性が小さく高速
の揺動が可能であり速い走査を行う事ができる。ZnS
eレンズを使うのは波長の長い赤外光をも通す事ができ
る為である。初めに述べたようにあまりにエネルギーの
高い光を当てるのは実は望ましくない。格子振動のエネ
ルギー程度の長波長の光を当てる方が効果的であり損傷
を与えないのでより好ましいのである。赤外光となると
通常の酸化物ガラスは吸収が大きく使えない。石英レン
ズでも不適である。それで赤外線を良く通すZnSeを
レンズとする。
【0052】自由電子レーザの光について述べる。これ
は連続光ではない。図2に光パワーの時間的な変動を示
す。これは幅の極々短いマイクロパルスの群が間欠的に
発生するようになっている。つまりパルス発振なのであ
るが2重にパルス的なのである。マイクロパルスの幅は
数ps(ps=10-12 秒)〜10psである。これが
44.8ns(ns=10-9秒)毎に発生する。マイク
ロパルスの持続時間は15μs(μn=10-6秒)であ
る。つまりマイクロパルスの1群は335個のマイクロ
パルスの繰り返しである。この集合ひとつをマクロパル
スと呼ぶ事にする。マクロパルスの周期は0.1s(1
00ms)である。つまり10Hzである。マイクロパ
ルスのパワー密度は2〜9GW/cm2 (GW=109
W)である。
【0053】ダイヤモンド試料面での照射領域は2mm
四方の正方形(0.04cm2 )である。そこへマクロ
パルス(10Hz)を3000ショット(5分間)打ち
込んだ。試料上を走査(スキャン)しながら200μm
φのビームを3000ショット打ち込んだので、面積に
すると、0.942cm2 分を照射したことになる。で
あるから大体20パルス分程度が同じ部分に照射される
ことになる。
【0054】波長を変えながら照射し、どの波長が適当
であるかを調べる必要がある。適切な波長を決定するた
めにフーリエ変換赤外吸収測定法(FT−IR)によっ
て、その吸収度の変化をIR吸収スペクトルとして測定
した。試料4(ドーズ量1016cm-2)についての結果
を図3に示す。横軸はレーザ光の波長(μm)である。
ここでは1μm〜15μmの波長の赤外線を照射してい
る。先に述べたように従来の光による処理は紫外である
100nm〜300nm(0.1μm〜0.3μm)と
いう非常に短い波長の光によっていた。これはエネルギ
ーが高すぎて不都合であることは既に説明した。
【0055】本発明はダイヤモンドの炭素格子振動のエ
ネルギーと同じエネルギーの光を当てることにするので
初めから赤外光を当てることにする。格子振動のエネル
ギーは紫外域にはなく赤外線領域にあるはずであるから
である。それで1μm〜15μmの範囲にあるものと予
想して波長をこの範囲で変えて吸収を測った。
【0056】測定の結果から4μm〜6μmの赤外光が
強く吸収されるということが分かった。これはダイヤモ
ンドの多数の光学ホノンモードを励起することによる吸
収だと考えられる。一般に格子乱れがある場合は、C−
C格子振動を励起するために4μm〜6μmの光を照射
するのが有効であろうということがわかる。そのほかの
部分では透過率が60%〜70%であるから、30〜4
0%に吸収があるわけで、2μm〜15μmの波長の光
でも有効である。
【0057】また燐をドープしたときは5.8μmにイ
オン注入による吸収が新たに現れるということが分かっ
た。これはP−C格子振動のエネルギーに等しいと考え
られる。そこでこれと同じエネルギーの光を結晶に与え
ると格子振動が励起されるはずである。もしも光によっ
てP−C格子振動を励起できればその近くの格子乱れが
修復されるであろう。それに格子間にある燐(P)原子
もこれによって揺さぶられるから自由エネルギーの低い
所定の位置に推移することであろう。
【0058】そこで5.8μmの波長の光を照射するこ
とにする。自由電子レーザの出射光の波長を5.8μm
に固定してこれをダイヤモンド結晶に照射した。照射前
と照射後での結晶の抵抗率の変化を全試料について調
べ、試料4についてラマン散乱変化を調べた。イオン注
入による不純物が定まった位置に入れば抵抗率は下がる
はずである。ラマン分光は結晶性が向上したかどうかを
調べるためである。結晶性が良くなればダイヤモンドに
対応する1333cm-1のピークが上がるはずである。
【0059】予想の通りであって、図4に示すように、
赤外光照射前のダイヤモンドのピークが440程度であ
るのに、赤外光照射後のピークは530程度に上昇して
いる。ラマンのピークはダイヤモンド結晶を同定する場
合に用いられる。これが高いということはより高品質の
ダイヤモンドであるということである。5.8μm赤外
光照射前後でのドーズ量別にダイヤモンドの抵抗率の測
定値を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】この表によればレーザ光照射によってダイ
ヤモンドの結晶性が回復し抵抗率が著しく低下している
ことがわかる。試料1のように燐のドーズ量の少ないも
のは、当然に抵抗が高いのであるが、レーザ光照射によ
って約105 倍に導電率が上がっている。まことに著し
い効果である。試料2はドーズ量が10倍であるが照射
前は抵抗率が高くてn型半導体としては利用できない。
それがレーザ照射によって106 倍にも導電率が高揚し
ている。
【0062】試料3はさらにドーズ量が10倍である。
未処理の時は抵抗率が107 Ωcmにも達しておりなお
n型半導体としては機能しない。それがレーザ照射処理
によって105 倍以上に導電率が上がる。200Ωcm
であれば半導体素子のn型領域として十分である。試料
4はさらにドーズ量を10倍にしたものである。試料3
と試料4の違いはドーズ量にすると10倍にすぎないが
未処理における導電率の変化は大きく約106 倍にもな
る。
【0063】試料4のように高レベルに燐をドープした
ときは未処理での導電率がそもそも高いのでレーザ光に
よる効果は小さくなる。それでもレーザ処理によって約
3倍に導電性が向上している。ドープ量によってその効
果に違いがあるが、いずれのドープレベルにおいても、
格子振動に共鳴する波長の光によって効果的にイオン注
入後のダイヤモンドの結晶性を高めることができるので
ある。
【0064】さらにホール測定により電荷の種類を調べ
た。これらの試料は全てn型伝導を示した(ホール係数
が負)ので不純物としてドープした燐(P)が活性化し
て抵抗率が低下したということである。
【0065】[レーザ光波長依存性]試料3(ドーズ量
1015/cm2 )について照射するレーザ光の波長を変
えてその抵抗率変化を測定した。これは結晶性の回復の
度合いの波長依存性を調べるためである。結晶性が高揚
すると導電性が高まるので結晶性の評価尺度として導電
性を使っているのである。図5にその結果を示す。横軸
は照射したレーザ光の波長である。1μm〜20μmの
範囲でレーザ光を発振させこれを試料3に照射した。初
めの抵抗率は表1に示すように約6×107 Ωcmであ
る。レーザ波長が1μmでは効果がない事が分かる。ま
た15μm以上でも効果がない。
【0066】λ=5.8μmで最も効果的であり200
Ωcmに低下している。これがダイヤモンド中のP−C
格子振動のエネルギーを表している事が分かる。さらに
この前後の3.8μm〜6.2μmでも抵抗率低下は著
しい。3μm〜8μmのレーザ光処理によって抵抗率は
103 Ωcm以下になっている。さらに2μm〜14μ
mまでの波長のレーザ光は抵抗率低下に何らかの効果が
あることがわかる。これらはC−C間の振動モードの何
れかを励起するエネルギーなのであろう。
【0067】[ショットキーダイオードの製作]こうし
て燐ドープn型ダイヤモンドが得られたのでその上にA
l電極を形成しショットキーダイオードを製作した。こ
のダイオードに正逆に電圧を印加しダイオード特性を調
べた。整流性のあることが確認された。n型領域の抵抗
が低いので順方向抵抗が少ない。
【0068】[pn接合ダイオードの製作]燐ドープn
型ダイヤモンドとボロンドープダイヤモンドの接合を作
りTi電極をつけpn接合ダイオードを作った。ボロン
ドープダイヤモンドについても本発明の手法に従ってレ
ーザ光を照射してボロンの活性を高めることができた。
ボロンドープダイヤモンドについては活性化率を7%か
ら11%に高めることができた。pn電極間に順逆に電
圧を印加し整流性があることを確認した。順方向の導電
性は十分に高かった。さらに順方向に電流を流して接合
部から紫外光が発生していることが確認された。つまり
ダイヤモンド発光ダイオードとして機能しているのであ
る。 [素子のアイソレーション]自由電子レーザを素子形成
部のみ照射して複数の素子の間で電気的絶縁をとること
ができた。つまり平面的または空間的に限定された領域
にレーザ光を当ててダイヤモンドを局所的に改質するこ
ともできる。
【0069】
【発明の効果】この発明のダイヤモンドの改質方法は、
ダイヤモンドの構成原子の格子振動に共鳴吸収する波長
あるいは不純物原子の格子振動に共鳴吸収する波長の赤
外レーザ光を格子乱れのあるダイヤモンドに照射する。
赤外光の照射により結晶構造の秩序化を図ると共に、電
気的担体を活性化できる。ドーパントを活性化できるた
めに十分な導電性をもったp型、n型ダイヤモンドを作
製できる。これを利用してダイヤモンドの電子デバイ
ス、光デバイスを作製することができる。
【0070】不純物を含むダイヤモンドの全てに本発明
を適用することができる。イオン注入によって強制的に
不純物を導入した場合について説明したが、それに限ら
ない。不純物を含む原料ガスを使って基板の上にダイヤ
モンド膜をエピタキシャル成長させた場合においても本
発明の改質方法を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自由電子レーザからの単色光を走査してダイヤ
モンド試料に照射するようにした本発明の改質方法の原
理を示す構成図。
【図2】本発明でダイヤモンド改質のために用いた自由
電子レーザのマイクロパルス群とマクロパルスの波形
図。幅が数psで周期が44.8nmのマイクロパルス
が15μs間持続したものがひとつのマクロパルスを構
成し、マクロパルスが0.1sの周期で繰り返してい
る。
【図3】本発明において波長を1μm〜15μmの範囲
で変化させてドーズ量が1016cm-2の燐ドープダイヤ
モンドに照射したときの透過率スペクトル。横軸は波長
(μm)、縦軸は透過率(%)である。
【図4】ドーズ量が1016cm-2の燐ドープダイヤモン
ドにおいて、自由電子レーザ照射前のラマンシフトスペ
クトルと、照射後のラマンシフトスペクトル。横軸はラ
マンシフト(cm-1)、縦軸は信号強度(INTENSITY
)。1333cm-1がダイヤモンド結合からの信号の
ラマンシフトである。
【図5】燐のドーズ量が1016cm-2である試料におい
て自由電子レーザ光波長を変えて照射した時の抵抗率変
化を示すグラフ。横軸はレーザ光の波長(μm)で1μ
m〜20μmである。縦軸は抵抗率(Ωcm)である。
3μm〜8μmにおいて抵抗率の低下が著しい。
【符号の説明】
10 自由電子レーザ 11 レーザビーム 12 ミラー 13 レンズ 14 レーザビーム(収束光) 15 ガルバノメータミラー 16 試料 17 ステージ 18 照射領域 19 軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 恒雄 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号住 友電気工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンドに不純物を含む領域を形成
    する工程と、ダイヤモンドの炭素原子間光学的格子振動
    モード或いは炭素原子と不純物原子の結合の手の光学的
    格子振動モードに等しいエネルギーの波長の光を前記不
    純物を含む領域に照射する工程を含むことを特徴とする
    ダイヤモンドの改質方法。
  2. 【請求項2】 ダイヤモンドに照射する光の波長が2μ
    m〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載の
    ダイヤモンドの改質方法。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンドに照射する光の波長が3.
    8μm〜6.1μmであることを特徴とする請求項2に
    記載のダイヤモンドの改質方法。
  4. 【請求項4】 自由電子レーザによって発生した単色で
    位相の揃ったレーザ光をダイヤモンドに照射することを
    を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のダイヤモン
    ドの改質方法。
  5. 【請求項5】 イオン注入によって燐を不純物として注
    入し燐を含む領域を形成する工程と、波長が5.8μm
    の光を燐を含む領域に照射する工程とを含む事を特徴と
    するダイヤモンドの改質方法。
  6. 【請求項6】 ダイヤモンドに平面的または空間的に局
    所的に光を照射することによりダイヤモンドを局所的に
    改質することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載のダイヤモンドの改質方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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