JPH11263780A - ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法 - Google Patents
ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法Info
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- JPH11263780A JPH11263780A JP6700998A JP6700998A JPH11263780A JP H11263780 A JPH11263780 A JP H11263780A JP 6700998 A JP6700998 A JP 6700998A JP 6700998 A JP6700998 A JP 6700998A JP H11263780 A JPH11263780 A JP H11263780A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高純度のジヒドロベンズオキサジン化合物を
製造する方法を提供すること。 【解決手段】 ヒドロキシル基のオルト位の少なくとも
片方が水素であるフェノール化合物と1級アミンとフォ
ルムアルデヒドとを反応させ、ジヒドロベンズオキサジ
ン化合物を製造するに際して、反応系に下記一般式
(I) M(X)n (I) (式中、Mは例えばZn2+であり、Xは例えばカルボキ
シレートであり、nは1または2であり、Xの価数とn
の積は2である)で示される2価の金属化合物の少なく
とも1種を、前記フェノール化合物に対して、0.01
〜10モル%存在させる方法。
製造する方法を提供すること。 【解決手段】 ヒドロキシル基のオルト位の少なくとも
片方が水素であるフェノール化合物と1級アミンとフォ
ルムアルデヒドとを反応させ、ジヒドロベンズオキサジ
ン化合物を製造するに際して、反応系に下記一般式
(I) M(X)n (I) (式中、Mは例えばZn2+であり、Xは例えばカルボキ
シレートであり、nは1または2であり、Xの価数とn
の積は2である)で示される2価の金属化合物の少なく
とも1種を、前記フェノール化合物に対して、0.01
〜10モル%存在させる方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開環重合に際して
揮発性ガスがなく、非収縮性を示すとして、近年注目さ
れているジヒドロベンズオキサジン化合物の改良された
製造方法に関する。
揮発性ガスがなく、非収縮性を示すとして、近年注目さ
れているジヒドロベンズオキサジン化合物の改良された
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】既に多くの熱硬化性樹脂が知られ、各々
の樹脂特性を生かして多くの産業分野で使用されてい
る。しかしながら例えばフェノール樹脂、メラミン樹
脂、尿素樹脂は硬化時に好ましくない揮発物を副生す
る;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂は難燃性に
乏しい;ビスマレイミド樹脂は高価である;等の欠点を
有しており、これらの欠点を克服する樹脂の出現が望ま
れていた。
の樹脂特性を生かして多くの産業分野で使用されてい
る。しかしながら例えばフェノール樹脂、メラミン樹
脂、尿素樹脂は硬化時に好ましくない揮発物を副生す
る;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂は難燃性に
乏しい;ビスマレイミド樹脂は高価である;等の欠点を
有しており、これらの欠点を克服する樹脂の出現が望ま
れていた。
【0003】フェノール化合物と1級アミンとフォルム
アルデヒドとを反応させて得られるジヒドロベンズオキ
サジン化合物は、古くからその存在が知られており(例
えば、W.J.Burke et al.,J.Am.
Chem.Soc., 71,609(1949)、
W.J.Burke,ibid,74,602(195
2)等)、またフェノール化合物または1級アミンを多
官能化して得られるポリジヒドロベンズオキサジン化合
物の製造方法およびこれらを熱硬化性樹脂として使用す
る多数の方法も提案されている(例えば、独国特許第2
217099号(1973)、同第2613339号
(1976)等)。またフェノール化合物と1級アミン
とフォルムアルデヒドを特定モル比の範囲で反応させ、
ジヒドロベンズオキサジン環とフェノール性ヒドロキシ
ル基とを分子内に共有する化合物を製造する方法も提案
されている(例えば特開平7−188364号公報
等)。さらに押出機中で脱水された原料を反応させるこ
とによるポリジヒドロベンズオキサジン化合物の簡便な
製造方法も提案されている(H.Ishidaら、WO
31447号(1995)。
アルデヒドとを反応させて得られるジヒドロベンズオキ
サジン化合物は、古くからその存在が知られており(例
えば、W.J.Burke et al.,J.Am.
Chem.Soc., 71,609(1949)、
W.J.Burke,ibid,74,602(195
2)等)、またフェノール化合物または1級アミンを多
官能化して得られるポリジヒドロベンズオキサジン化合
物の製造方法およびこれらを熱硬化性樹脂として使用す
る多数の方法も提案されている(例えば、独国特許第2
217099号(1973)、同第2613339号
(1976)等)。またフェノール化合物と1級アミン
とフォルムアルデヒドを特定モル比の範囲で反応させ、
ジヒドロベンズオキサジン環とフェノール性ヒドロキシ
ル基とを分子内に共有する化合物を製造する方法も提案
されている(例えば特開平7−188364号公報
等)。さらに押出機中で脱水された原料を反応させるこ
とによるポリジヒドロベンズオキサジン化合物の簡便な
製造方法も提案されている(H.Ishidaら、WO
31447号(1995)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フェノ
ール化合物と1級アミンとフォルムアルデヒドとを化学
量論量で反応させる従来の製造方法では、目的とするジ
ヒドロベンズオキサジン環以外に、ジヒドロベンズオキ
サジン環の開環反応物と推定されるメチレン−アミン−
メチレン結合で介したフェノール性ヒドロキシル基を有
する構造も副生する。反応生成物をアルカリで洗浄する
ことにより、このフェノール性ヒドロキシル基を含む副
生物の大部分は除去されるが、多価フェノール化合物を
原料とする場合、もはやこの副生物の完全除去は困難で
あり、工業的にも得策な方法とは言えない。またこの副
生物中の残存フェノール性ヒドロキシル基の存在は、樹
脂の硬化温度、硬化時間の低減に寄与する一方、ジヒド
ロベンズオキサジン環の開環反応の自己触媒となると同
時に、樹脂の保存安定性も低下させることが知られてい
る(G.Riess et al.,Polm.Sc
i.Tech.31,27(1985)、H.Ishi
da et al.,J.Appl.Polym.Sc
i.,58,1751(1995)等)。従って、ジヒ
ドロベンズオキサジン化合物の保存安定性を向上させる
ためには、高純度ジヒドロベンズオキサジン化合物の製
造が極めて重要であり、本発明はこの要求を満たすジヒ
ドロベンズオキサジン化合物の製造方法を提供すること
を目的とする。
ール化合物と1級アミンとフォルムアルデヒドとを化学
量論量で反応させる従来の製造方法では、目的とするジ
ヒドロベンズオキサジン環以外に、ジヒドロベンズオキ
サジン環の開環反応物と推定されるメチレン−アミン−
メチレン結合で介したフェノール性ヒドロキシル基を有
する構造も副生する。反応生成物をアルカリで洗浄する
ことにより、このフェノール性ヒドロキシル基を含む副
生物の大部分は除去されるが、多価フェノール化合物を
原料とする場合、もはやこの副生物の完全除去は困難で
あり、工業的にも得策な方法とは言えない。またこの副
生物中の残存フェノール性ヒドロキシル基の存在は、樹
脂の硬化温度、硬化時間の低減に寄与する一方、ジヒド
ロベンズオキサジン環の開環反応の自己触媒となると同
時に、樹脂の保存安定性も低下させることが知られてい
る(G.Riess et al.,Polm.Sc
i.Tech.31,27(1985)、H.Ishi
da et al.,J.Appl.Polym.Sc
i.,58,1751(1995)等)。従って、ジヒ
ドロベンズオキサジン化合物の保存安定性を向上させる
ためには、高純度ジヒドロベンズオキサジン化合物の製
造が極めて重要であり、本発明はこの要求を満たすジヒ
ドロベンズオキサジン化合物の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、フェノー
ル化合物と1級アミンとフォルムアルデヒドとからジヒ
ドロベンズオキサジン化合物を製造するに際して、反応
系にハイオルトノボラック樹脂合成用触媒として有用な
金属化合物を存在させることにより、ジヒドロベンズオ
キサジン化合物が高純度で得られることを見いだし、本
発明を完成することができた。すなわち本発明は、ヒド
ロキシル基のオルト位の少なくとも片方が水素であるフ
ェノール化合物と1級アミンとフォルムアルデヒドとを
反応させ、ジヒドロベンズオキサジン化合物を製造する
に際して、反応系に下記一般式(I) M(X)n (I) (式中、MはZn2+、Co2+、Mn2+、Mg2+、C
a2+、Cd2+、Pb2+およびBa2+からなる群から選ば
れる金属カチオンを示し、Xはハイドロオキサイド、カ
ーボナート、フォルメート、炭素数1〜20の炭化水素
基を有するカルボキシレート、オキサイド、サルファイ
ドから選ばれるアニオンであり、nは1または2であ
り、Xの価数とnの積は2である)で示される2価の金
属化合物の少なくとも1種を、前記フェノール化合物に
対して、0.01〜10モル%存在させることを特徴と
するジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法を提供
するものである。また本発明は、フェノール化合物と1
級アミンとフォルムアルデヒドとのモル比がフェノール
化合物のヒドロキシル基1モルに対して、1級アミンが
1〜2モル、フォルムアルデヒドが2〜4モルである前
記の製造方法を提供するものである。さらに本発明は、
ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造に際して、実質
的に水に不溶な有機溶媒の少なくとも1種を使用する前
記の製造方法を提供するものである。さらにまた本発明
は、下記一般式(I) M(X)n (I) (式中、MはZn2+、Co2+、Mn2+、Mg2+、C
a2+、Cd2+、Pb2+およびBa2+からなる群から選ば
れる金属カチオンを示し、Xはハイドロオキサイド、カ
ーボナート、フォルメート、炭素数1〜20の炭化水素
基を有するカルボキシレート、オキサイド、サルファイ
ドから選ばれるアニオンであり、nは1または2であ
り、Xの価数とnの積は2である)で示される2価の金
属化合物からなる、ヒドロキシル基のオルト位の少なく
とも片方が水素であるフェノール化合物と1級アミンと
フォルムアルデヒドとを反応させてジヒドロベンズオキ
サジン化合物を製造するための触媒を提供するものであ
る。
ル化合物と1級アミンとフォルムアルデヒドとからジヒ
ドロベンズオキサジン化合物を製造するに際して、反応
系にハイオルトノボラック樹脂合成用触媒として有用な
金属化合物を存在させることにより、ジヒドロベンズオ
キサジン化合物が高純度で得られることを見いだし、本
発明を完成することができた。すなわち本発明は、ヒド
ロキシル基のオルト位の少なくとも片方が水素であるフ
ェノール化合物と1級アミンとフォルムアルデヒドとを
反応させ、ジヒドロベンズオキサジン化合物を製造する
に際して、反応系に下記一般式(I) M(X)n (I) (式中、MはZn2+、Co2+、Mn2+、Mg2+、C
a2+、Cd2+、Pb2+およびBa2+からなる群から選ば
れる金属カチオンを示し、Xはハイドロオキサイド、カ
ーボナート、フォルメート、炭素数1〜20の炭化水素
基を有するカルボキシレート、オキサイド、サルファイ
ドから選ばれるアニオンであり、nは1または2であ
り、Xの価数とnの積は2である)で示される2価の金
属化合物の少なくとも1種を、前記フェノール化合物に
対して、0.01〜10モル%存在させることを特徴と
するジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法を提供
するものである。また本発明は、フェノール化合物と1
級アミンとフォルムアルデヒドとのモル比がフェノール
化合物のヒドロキシル基1モルに対して、1級アミンが
1〜2モル、フォルムアルデヒドが2〜4モルである前
記の製造方法を提供するものである。さらに本発明は、
ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造に際して、実質
的に水に不溶な有機溶媒の少なくとも1種を使用する前
記の製造方法を提供するものである。さらにまた本発明
は、下記一般式(I) M(X)n (I) (式中、MはZn2+、Co2+、Mn2+、Mg2+、C
a2+、Cd2+、Pb2+およびBa2+からなる群から選ば
れる金属カチオンを示し、Xはハイドロオキサイド、カ
ーボナート、フォルメート、炭素数1〜20の炭化水素
基を有するカルボキシレート、オキサイド、サルファイ
ドから選ばれるアニオンであり、nは1または2であ
り、Xの価数とnの積は2である)で示される2価の金
属化合物からなる、ヒドロキシル基のオルト位の少なく
とも片方が水素であるフェノール化合物と1級アミンと
フォルムアルデヒドとを反応させてジヒドロベンズオキ
サジン化合物を製造するための触媒を提供するものであ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるヒドロキシル
基のオルト位の少なくとも片方が水素であるフェノール
化合物としては、1価のフェノール化合物ではフェノー
ル、m−またはp−ハロフェノール、m−またはp−ア
ルキルフェノール、m−またはp−アルケニルフェノー
ル、m−またはp−フェニルフェノール、m−またはp
−アルコキシフェノール、1−ナフトール、2−ナフト
ール、p−ヒドロキシ安息香酸およびそのアルキルエス
テル等が挙げられる。また2価フェノールとしては、レ
ゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4,4’−ビ
フェノール、2,4’−ビフェノール、2,2’−ジヒ
ドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ
ーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアミン、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジフェン酸、
4,4’−ジヒドロキシスチルベン、1,4−ジヒドロ
キシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、
2,3−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。また
多価フェノール化合物としては、トリフェニロールメタ
ン、1,1,1−トリフェニロールメタン、1,1,
2,2−テトラフェニロールメタン、ノボラック樹脂、
クレゾールノボラック樹脂、フェノール変性キシレン樹
脂、ポリエンで変性されたフェノール樹脂(例えば、日
本石油化学社製のDPP−またはPP−シリーズ)等が
挙げられる。これらのフェノール化合物は単独でも2種
以上で混合使用してもよい。
基のオルト位の少なくとも片方が水素であるフェノール
化合物としては、1価のフェノール化合物ではフェノー
ル、m−またはp−ハロフェノール、m−またはp−ア
ルキルフェノール、m−またはp−アルケニルフェノー
ル、m−またはp−フェニルフェノール、m−またはp
−アルコキシフェノール、1−ナフトール、2−ナフト
ール、p−ヒドロキシ安息香酸およびそのアルキルエス
テル等が挙げられる。また2価フェノールとしては、レ
ゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4,4’−ビ
フェノール、2,4’−ビフェノール、2,2’−ジヒ
ドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ
ーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアミン、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジフェン酸、
4,4’−ジヒドロキシスチルベン、1,4−ジヒドロ
キシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、
2,3−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。また
多価フェノール化合物としては、トリフェニロールメタ
ン、1,1,1−トリフェニロールメタン、1,1,
2,2−テトラフェニロールメタン、ノボラック樹脂、
クレゾールノボラック樹脂、フェノール変性キシレン樹
脂、ポリエンで変性されたフェノール樹脂(例えば、日
本石油化学社製のDPP−またはPP−シリーズ)等が
挙げられる。これらのフェノール化合物は単独でも2種
以上で混合使用してもよい。
【0007】1級アミンとしては、メチルアミン、エチ
ルアミン、アリルアミン、モノエタノールアミン等の脂
肪族モノアミンの他、アニリン、トルイジン、アニシジ
ン、クロロアニリン、アミノ安息香酸およびそのアルキ
ルエステル等の芳香族アミンが挙げられる。これらの1
級アミンは単独でも混合使用してもよい。1価フェノー
ルを用いる場合には、1級アミンとしては、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、1,4−ジアミノブタン
等の脂肪族ジアミンの他、4,4’ージアミノジフェニ
ルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイ
ド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’
ージアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ジアミン等
を用いることができる。その他、各種の1級ポリアミン
も使用することができる。これらの1級アミン化合物と
しては、単独でも混合使用してもよい。
ルアミン、アリルアミン、モノエタノールアミン等の脂
肪族モノアミンの他、アニリン、トルイジン、アニシジ
ン、クロロアニリン、アミノ安息香酸およびそのアルキ
ルエステル等の芳香族アミンが挙げられる。これらの1
級アミンは単独でも混合使用してもよい。1価フェノー
ルを用いる場合には、1級アミンとしては、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、1,4−ジアミノブタン
等の脂肪族ジアミンの他、4,4’ージアミノジフェニ
ルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイ
ド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’
ージアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ジアミン等
を用いることができる。その他、各種の1級ポリアミン
も使用することができる。これらの1級アミン化合物と
しては、単独でも混合使用してもよい。
【0008】フォルムアルデヒドとしては、フォルムア
ルデヒド、フォルマリン、パラフォルムアルデヒド等が
挙げられる。特にフォルマリンは廉価かつ取扱いの容易
さから好ましく用いられる。
ルデヒド、フォルマリン、パラフォルムアルデヒド等が
挙げられる。特にフォルマリンは廉価かつ取扱いの容易
さから好ましく用いられる。
【0009】フェノール化合物と1級アミンとフォルム
アルデヒドとの好ましいモル比は、フェノール化合物の
ヒドロキシル基1モルに対して、1級アミンが1〜2モ
ル、フォルムアルデヒドが2〜4モルである。1級アミ
ンおよびフォルムアルデヒドのモル比が上記量未満で
は、高純度のジヒドロベンズオキサジン化合物は得られ
難い一方、上記量を超える範囲で使用した場合には、フ
ェノール化合物によってはゲル化等が起こり易くなり好
ましくない。
アルデヒドとの好ましいモル比は、フェノール化合物の
ヒドロキシル基1モルに対して、1級アミンが1〜2モ
ル、フォルムアルデヒドが2〜4モルである。1級アミ
ンおよびフォルムアルデヒドのモル比が上記量未満で
は、高純度のジヒドロベンズオキサジン化合物は得られ
難い一方、上記量を超える範囲で使用した場合には、フ
ェノール化合物によってはゲル化等が起こり易くなり好
ましくない。
【0010】本発明で使用される金属化合物としては、
上記一般式(I)で表される2価の金属化合物であり、
いわゆるハイオルトノボラック樹脂合成用触媒として公
知(例えばD.A.Fraser et.al.,J.
Appl.Chem.,7,689(1957)等)で
あって、具体的には酢酸亜鉛、酸化亜鉛、ギ酸亜鉛、水
酸化亜鉛、硫化亜鉛、水酸化マグネシウム、炭酸マグネ
シウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、酸化鉛、酢酸
鉛、酢酸コバルト、水酸化コバルト、水酸化カルシウ
ム、水酸化カドミウム等が挙げられる。これらの金属化
合物は水和物であっても構わない。金属化合物の使用量
としては、フェノール化合物1モルに対して、0.01
〜10モル%、好ましくは0.05〜5モル%である。
金属化合物の使用量が0.01モル%未満では、実質的
な触媒効果が期待できない一方、10モル%を超える量
を使用しても純度向上の効果は上がらず、反応生成物の
後処理に多大の労力を要することとなり好ましくない。
上記一般式(I)で表される2価の金属化合物であり、
いわゆるハイオルトノボラック樹脂合成用触媒として公
知(例えばD.A.Fraser et.al.,J.
Appl.Chem.,7,689(1957)等)で
あって、具体的には酢酸亜鉛、酸化亜鉛、ギ酸亜鉛、水
酸化亜鉛、硫化亜鉛、水酸化マグネシウム、炭酸マグネ
シウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、酸化鉛、酢酸
鉛、酢酸コバルト、水酸化コバルト、水酸化カルシウ
ム、水酸化カドミウム等が挙げられる。これらの金属化
合物は水和物であっても構わない。金属化合物の使用量
としては、フェノール化合物1モルに対して、0.01
〜10モル%、好ましくは0.05〜5モル%である。
金属化合物の使用量が0.01モル%未満では、実質的
な触媒効果が期待できない一方、10モル%を超える量
を使用しても純度向上の効果は上がらず、反応生成物の
後処理に多大の労力を要することとなり好ましくない。
【0011】本発明で使用される有機溶媒としては、常
温では実質的に水と相溶しない溶媒がよく、具体的に
は、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン、メチルイソ
ブチルケトン、ジイソピロピルケトン等の溶媒が好適に
使用される。使用される溶媒の量は、ジヒドロベンズオ
キサジン化合物の使用する溶媒への溶解性によっても異
なるため、一概に規定できないが、得られるジヒドロベ
ンズオキサジン化合物/溶媒の重量比は1/9〜2/
1、好ましくは3/7〜1/1がよい。溶媒量がこれ以
外の範囲では、溶媒除去に多量の熱量を要するか、副反
応等が起こり易くなり好ましくない。
温では実質的に水と相溶しない溶媒がよく、具体的に
は、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン、メチルイソ
ブチルケトン、ジイソピロピルケトン等の溶媒が好適に
使用される。使用される溶媒の量は、ジヒドロベンズオ
キサジン化合物の使用する溶媒への溶解性によっても異
なるため、一概に規定できないが、得られるジヒドロベ
ンズオキサジン化合物/溶媒の重量比は1/9〜2/
1、好ましくは3/7〜1/1がよい。溶媒量がこれ以
外の範囲では、溶媒除去に多量の熱量を要するか、副反
応等が起こり易くなり好ましくない。
【0012】本発明で使用される反応温度は、使用する
溶媒の沸点、フォルムアルデヒドの種類等によって異な
るため、一概に規定できないが常温〜反応系の沸点、好
ましくは50〜100℃である。常温以下でも反応は進
行するが、反応速度は遅く、工業的でない。一方、10
0℃を超える反応温度では、副反応が起こり易くなり好
ましくない。
溶媒の沸点、フォルムアルデヒドの種類等によって異な
るため、一概に規定できないが常温〜反応系の沸点、好
ましくは50〜100℃である。常温以下でも反応は進
行するが、反応速度は遅く、工業的でない。一方、10
0℃を超える反応温度では、副反応が起こり易くなり好
ましくない。
【0013】本発明で得られるジヒドロベンズオキサジ
ン化合物は、常法に従い、水層の分離、触媒除去、脱水
を行った後、溶媒を常圧または減圧下で除去することに
よって容易に回収される。
ン化合物は、常法に従い、水層の分離、触媒除去、脱水
を行った後、溶媒を常圧または減圧下で除去することに
よって容易に回収される。
【0014】
【実施例】以下実施例および比較例により、本発明を具
体的に説明する。ジヒドロベンズオキサジン化合物の純
度(BOZ純度)は、重水素化クロロフォルムまたは重
水素化ジメチルスルフォキシド中、テトラメチルシラン
を内部標準物質として、得られた1H−NMRスペクト
ルの5.3〜5.5ppmのO−CH2−Nに帰属され
るジヒドロベンズオキサジン環のシグナル強度を100
%純度のメチレンプロトン数とした場合の6.5〜7.
7ppmの全芳香環のプロトン数を算出し、これを基に
以下のようにして算出した。即ち、 純度(%)=[(100%純度の全芳香環のプロトン
数)/(ジヒドロベンズオキサジン環のメチレンプロト
ン数を基に算出した実測の全芳香環のプロトン数)]×
100(%)
体的に説明する。ジヒドロベンズオキサジン化合物の純
度(BOZ純度)は、重水素化クロロフォルムまたは重
水素化ジメチルスルフォキシド中、テトラメチルシラン
を内部標準物質として、得られた1H−NMRスペクト
ルの5.3〜5.5ppmのO−CH2−Nに帰属され
るジヒドロベンズオキサジン環のシグナル強度を100
%純度のメチレンプロトン数とした場合の6.5〜7.
7ppmの全芳香環のプロトン数を算出し、これを基に
以下のようにして算出した。即ち、 純度(%)=[(100%純度の全芳香環のプロトン
数)/(ジヒドロベンズオキサジン環のメチレンプロト
ン数を基に算出した実測の全芳香環のプロトン数)]×
100(%)
【0015】(実施例1)撹拌機、還流冷却器、温度調
節器を付した1リットルの4つ口フラスコに、37%フ
ォルマリンを130g(1.6モル)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
A)91.2g(0.4モル)、アニリン74.4g
(0.8モル)、酢酸亜鉛・2水和物1.76g(8ミ
リモル)、トルエン250ミリリットルを仕込み、撹拌
しながら86℃で5時間反応させた。反応生成物を静置
し、水相を分離した後、有機相を2リットルの水で2回
洗浄した。その後水相を分離してからトルエンを減圧で
留去して、181gの黄色固体を得た(反応収率97.
9%)。反応生成物の1H−NMRによるジヒドロベン
ズオキサジン化合物の純度は88.9%であった。
節器を付した1リットルの4つ口フラスコに、37%フ
ォルマリンを130g(1.6モル)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
A)91.2g(0.4モル)、アニリン74.4g
(0.8モル)、酢酸亜鉛・2水和物1.76g(8ミ
リモル)、トルエン250ミリリットルを仕込み、撹拌
しながら86℃で5時間反応させた。反応生成物を静置
し、水相を分離した後、有機相を2リットルの水で2回
洗浄した。その後水相を分離してからトルエンを減圧で
留去して、181gの黄色固体を得た(反応収率97.
9%)。反応生成物の1H−NMRによるジヒドロベン
ズオキサジン化合物の純度は88.9%であった。
【0016】(実施例2〜18)実施例1と同様にし
て、各種のフェノール化合物、金属化合物、1級アミ
ン、溶媒を代えて反応を行い、反応生成物のジヒドロベ
ンズオキサジン化合物の1H−NMRによる純度を測定
した。その結果を実施例1と併せて表1に示した。
て、各種のフェノール化合物、金属化合物、1級アミ
ン、溶媒を代えて反応を行い、反応生成物のジヒドロベ
ンズオキサジン化合物の1H−NMRによる純度を測定
した。その結果を実施例1と併せて表1に示した。
【0017】(比較例1)金属化合物を使用しなかった
他は、実施例1と同一条件で反応を行った。反応生成物
の1H−NMRによるジヒドロベンズオキサジン化合物
の純度は85.4%であった。
他は、実施例1と同一条件で反応を行った。反応生成物
の1H−NMRによるジヒドロベンズオキサジン化合物
の純度は85.4%であった。
【0018】(比較例2)溶媒としてジオキサンを使用
した他は、比較例1を繰り返した。ジヒドロベンズオキ
サジン化合物の純度は80.6%であった。結果を比較
例1と併せて、表2に示した。
した他は、比較例1を繰り返した。ジヒドロベンズオキ
サジン化合物の純度は80.6%であった。結果を比較
例1と併せて、表2に示した。
【0019】(比較例3〜11)比較例1と同様に、金
属化合物を使用しない場合の実験を行った。比較例3、
4、5、6、7、8、9、10および11は、実施例
6、7、8、9、10、12、13、17および18に
それぞれ対応している。その結果を表2に示した。
属化合物を使用しない場合の実験を行った。比較例3、
4、5、6、7、8、9、10および11は、実施例
6、7、8、9、10、12、13、17および18に
それぞれ対応している。その結果を表2に示した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】本発明により、従来の製造方法では達し
得ない高純度のジヒドロベンズオキサジン化合物が容易
に得られる。
得ない高純度のジヒドロベンズオキサジン化合物が容易
に得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 23/75 B01J 23/74 311X
Claims (4)
- 【請求項1】 ヒドロキシル基のオルト位の少なくとも
片方が水素であるフェノール化合物と1級アミンとフォ
ルムアルデヒドとを反応させ、ジヒドロベンズオキサジ
ン化合物を製造するに際して、反応系に下記一般式
(I) M(X)n (I) (式中、MはZn2+、Co2+、Mn2+、Mg2+、C
a2+、Cd2+、Pb2+およびBa2+からなる群から選ば
れる金属カチオンを示し、Xはハイドロオキサイド、カ
ーボナート、フォルメート、炭素数1〜20の炭化水素
基を有するカルボキシレート、オキサイド、サルファイ
ドから選ばれるアニオンであり、nは1または2であ
り、Xの価数とnの積は2である)で示される2価の金
属化合物の少なくとも1種を、前記フェノール化合物に
対して、0.01〜10モル%存在させることを特徴と
するジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法。 - 【請求項2】 フェノール化合物と1級アミンとフォル
ムアルデヒドとのモル比がフェノール化合物のヒドロキ
シル基1モルに対して、1級アミンが1〜2モル、フォ
ルムアルデヒドが2〜4モルである請求項1に記載の製
造方法。 - 【請求項3】 ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造
に際して、実質的に水に不溶な有機溶媒の少なくとも1
種を使用する請求項1または2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 下記一般式(I) M(X)n (I) (式中、MはZn2+、Co2+、Mn2+、Mg2+、C
a2+、Cd2+、Pb2+およびBa2+からなる群から選ば
れる金属カチオンを示し、Xはハイドロオキサイド、カ
ーボナート、フォルメート、炭素数1〜20の炭化水素
基を有するカルボキシレート、オキサイド、サルファイ
ドから選ばれるアニオンであり、nは1または2であ
り、Xの価数とnの積は2である)で示される2価の金
属化合物からなる、ヒドロキシル基のオルト位の少なく
とも片方が水素であるフェノール化合物と1級アミンと
フォルムアルデヒドとを反応させてジヒドロベンズオキ
サジン化合物を製造するための触媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6700998A JPH11263780A (ja) | 1998-03-17 | 1998-03-17 | ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6700998A JPH11263780A (ja) | 1998-03-17 | 1998-03-17 | ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11263780A true JPH11263780A (ja) | 1999-09-28 |
Family
ID=13332506
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6700998A Pending JPH11263780A (ja) | 1998-03-17 | 1998-03-17 | ジヒドロベンズオキサジン化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11263780A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1328357C (zh) * | 2002-03-11 | 2007-07-25 | 水泽化学工业株式会社 | 生产生物燃料的方法 |
-
1998
- 1998-03-17 JP JP6700998A patent/JPH11263780A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1328357C (zh) * | 2002-03-11 | 2007-07-25 | 水泽化学工业株式会社 | 生产生物燃料的方法 |
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