JPH11263286A - 浮体式人工地盤 - Google Patents

浮体式人工地盤

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JPH11263286A
JPH11263286A JP8928998A JP8928998A JPH11263286A JP H11263286 A JPH11263286 A JP H11263286A JP 8928998 A JP8928998 A JP 8928998A JP 8928998 A JP8928998 A JP 8928998A JP H11263286 A JPH11263286 A JP H11263286A
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JP
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water
floating body
ground
floating
artificial ground
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JP8928998A
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Naoji Toki
直二 土岐
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡素な構造で潮位の変動に対処で
きるようにした、浮体式人工地盤を提供することを課題
とする。 【解決手段】 人工地盤1は、浮体部2と、同浮体部2
に空洞部4を介し水面上に支持された地盤部3とで構成
される。浮体部2は一端を陸岸5にフェンダー8,11な
どを介し拘束され、他端を緊張ワイヤ10により海底のシ
ンカー9に係留される。空洞部4は満潮水位7aと干潮
水位7bとの間の変動範囲で外水の出入を許容する通水
構造になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浮倉庫,浮体工
場,浮プラットフォーム,海上空港等に用いられる浮体
式人工地盤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、海上空間を土地として利用した
い場合、陸岸から離れると急激に水深が深くなるような
海域では、埋立が難しいという問題点がある。そこで図
10に示すように岸壁01の近くで海底02に浮体03を係留
しようとすると、海底02に大規模な係留構造04が必要と
なり、高コストとなる。これを避けるには、図11に示
すように浮体03の一端部を岸壁01につけて固定するのが
有効であるが、こうして浮体03が岸壁01の1辺だけで完
全に固定されると、潮位の変動に応じて浮体03に鉛直方
向の撓み変形が生じ、強度的に厳しくなることが懸念さ
れる。
【0003】また、浮体03を岸壁01に固定せず潮位に応
じて上下動を許容すると、岸壁01との間に段差が生じ、
車の通行,飛行機の滑走等に支障をきたすことになる。
図12は人工地盤03をワイヤ06が常に張力を受ける状態
で海底02のシンカー07に係留したものであるが、潮位の
変動による浮力の変化が大きく、それに耐えるようにワ
イヤ06,シンカー07等を大規模なものにする必要があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のような従来の技
術の問題点に鑑みて、本発明は、簡素な構造で潮位の変
動に対処できるようにした、浮体式人工地盤を提供する
ことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明の浮体式人工地盤は、一端を陸岸に拘束され
るとともに、他端を緊張ワイヤにより海底のシンカーに
係留されて水面下に配設された浮体部と、同浮体部上に
空洞部を介し支持されて水面上に配設された地盤部とを
そなえ、上記空洞部が潮位の変動範囲を含む高さを有す
るとともに外水の出入を許容する通水構造をそなえてい
ることを特徴としている。
【0006】上述の本発明の浮体式人工地盤では、水面
下の浮体部が、その一端を陸岸に拘束されるとともに、
他端を緊張ワイヤで係留されて、同浮体部と水面上の地
盤部との間に介在する空洞部が干潮時の水位から満潮時
の水位までの範囲を含む高さを有するとともに外水の出
入を許容する通水構造をそなえているので、上記地盤部
は潮位変動の影響をほとんど受けることなくほぼ一定の
レベルに安定よく保持されるようになり、陸岸に上記浮
体部の一端と共に拘束された上記地盤部の一端を通じ
て、同地盤部と陸岸との交通が支障なく行なわれるよう
になる。
【0007】また、上記浮体部の一端が陸岸に水平支軸
などの枢着部材を介し回動可能に拘束されていると、高
波等により人工地盤全体がやや揺動を起こすことがあっ
ても、上記枢着部材により上記揺動が円滑に吸収され
て、上記浮体部の損傷を免れることができる。
【0008】さらに、上記浮体部の一端が陸岸にフェン
ダーを介し拘束されるとともに、注排水手段をそなえた
バラストタンクと、上記のフェンダー,浮体部および地
盤部にそれぞれ設けられたロードセルと、同ロードセル
からの情報に基づき上記注排水手段を制御する制御系と
が装備されていると、上記ロードセルの設置された各部
で過荷重を生じないように、上記バラストタンクの注排
水による重量調整が適切に行なわれるようになる。
【0009】また、本発明の浮体式人工地盤は、一端を
陸岸に拘束されて水面下に配設された浮体部と、同浮体
部上に空洞部を介し支持されて水面上に配設された地盤
部とをそなえ、上記空洞部が潮位の変動範囲を含む高さ
を有するとともに外水の出入を許容する通水構造をそな
え、同空洞部よりも沖側へ長く突出するようにそれぞれ
延長した上記浮体部の長大な延長部分と上記地盤部の長
大な延長部分とが、一体に構成されて沖側自由端を有し
ていることを特徴としている。
【0010】上述の本発明の浮体式人工地盤では、陸岸
近傍で水面下の浮体部がその一端を陸岸に拘束されて、
同浮体部と水面上の地盤部とを結合する空洞部が、干潮
時から満潮時まで水位の変化する範囲で、外水の出入を
許容する通水構造をそなえているので、上記地盤部は潮
位変動の影響を受けることなく安定のよい状態で保持さ
れる。そして上述のように地盤部と浮体部とが上記空洞
部よりも沖側へ突出延長した長大な延長部分を一体に構
成されていると、同延長部分が潮位変動で上下しても、
各延長部分が非常に長大である場合、その傾斜は無視で
きるほど緩やかなものとなる。そして、陸側の一部を除
く大部分の構造体が単純な箱型に構成できるほか、沖側
自由端には特段の係留装置もないので、全体として非常
に安価に人工地盤を提供することができる。なお、上述
の沖側自由端を有する人工地盤は、静穏な水域に設ける
のに適している。
【0011】さらに本発明の浮体式人工地盤は、複数の
緊張ワイヤにより海底のシンカーに係留されて水面下に
配設された浮体部と、同浮体部上に空洞部を介し支持さ
れて水面上に配設された地盤部とをそなえ、上記空洞部
が潮位の変動範囲を含む高さを有するとともに外水の出
入を許容する通水構造をそなえていることを特徴として
いる。
【0012】上述の本発明の浮体式人工地盤では、上記
浮体部を海底へ係留するワイヤは、同浮体部の浮力を、
地盤部等を含む重量よりもやや大きく設定することによ
り緊張状態とされるが、その張力は過大にならないよう
に初期設定を行なうことが可能である。そして潮位の変
動等による喫水の変化も上記空洞部の高さの範囲内で行
なわれ、喫水変化による浮力の変化は、上記の浮体部と
地盤部との連結部材に起因する僅かなものになる。した
がって上記のワイヤやシンカーなどの係留装置は比較的
小規模のものでよく、海底の自然環境への影響も少なく
てすむようになる。また、上述の本発明の浮体式人工地
盤は、陸岸から離れた沖合に設置するのに適している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の実施の
形態について説明すると、図1は本発明の第1実施形態
としての浮体式人工地盤を示す縦断面図、図2は図1の
要部を拡大して示す断面図、図3は図1の浮体式人工地
盤の変形例を示す縦断面図であり、図4は本発明の第2
実施形態としての浮体式人工地盤を示す縦断面図、図5
は本発明の第3実施形態としての浮体式人工地盤を示す
縦断面図、図6は図5の浮体式人工地盤に用いられる演
算制御装置の一例を示す説明図、図7は本発明の第4実
施形態としての浮体式人工地盤を示す縦断面図、図8は
図7の浮体式人工地盤の変形例を示す縦断面図、図9は
本発明の第5実施形態としての浮体式人工地盤を示す縦
断面図である。
【0014】まず本発明の第1実施形態について説明す
ると、図1に示すように、この浮体式人工地盤1は、水
面下に配設された浮体部2と、同浮体部2により空洞部
4を介して支柱4aで支持された水面上の地盤部3とを
そなえている。そして、浮体部2は、一端を陸岸5にフ
ェンダー8,11を介し拘束されるとともに、沖側の他端
を海底6のシンカー9に緊張ワイヤ10を介し係留されて
いる。なお、シンカー9および緊張ワイヤ10は、浮体部
2の中間部にも鎖線図示のように適宜追加することがで
きる。
【0015】空洞部4は、潮位変動の範囲すなわち、満
潮時の水位7aと干潮時の水位7bを含む高さを有する
とともに外水の出入を許容する通水構造をそなえてい
る。地盤部3は、その上に様々な建造物や航空機の滑走
路等を構築しうるようになっており、内部には上記建造
物等の施設が必要とする様々なユーティリティ、例えば
駐車場,冷暖房機械室,発電室などが設けられている。
また支柱4a内には、地盤部3から浮体部2への通路や
通風孔などが設けられる。
【0016】この人工地盤1の陸側端部1aは、満潮時
の水位7aにおいても浮力より適度に大きい荷重でゴム
製などのフェンダー8を介し陸岸5に支持され、図2に
示すように、その端板1cはゴム製フェンダー11a, 11
bに挟持されて、同フェンダー11a, 11bの中心を貫通
する芯棒11cにより陸岸5の側壁に係止されている。さ
らに、この人工地盤1の沖側端部1bでは、干潮時の水
位7bの際にも、重力による下向きの力より上向きの浮
力が適度に大きくなるように設定されており、これによ
りワイヤ10は張力を受ける状態でシンカー9に係止され
る。
【0017】本実施形態では、中間の空洞部4に水が出
入りできなければならないとしているが、ここで問題に
している潮汐の水位変動周期は約12時間というように
非常に長いもので、こうした長周期の水位変化に応じて
水が出入りすればよく、ことさらスムーズに水を流すよ
うに設計する必要はない。また、空洞部の高さは潮汐の
水位変動範囲(最大4m程度)をカバーすればよく、ま
たことさら空洞をあけるように設計する必要はなく、単
に空洞部の上下に水密の水平隔壁を設け、その間の外側
壁に多数の開口を設けておいてもよい。
【0018】浮体式人工地盤1の設置場所が海であれば
潮汐があり、潮汐のない湖であっても大雨による増水な
どがあって、設置場所の水位は長期的にある程度変動す
るものと考えなければならない。しかし、本実施形態の
浮体式人工地盤1の陸側端部1aは満潮水位7aでも浮
力より重量が適度に大きくなるように初期設計が施され
ているので、載置するゴムフェンダー8はそれほど大規
模なものでなくてもよく、満潮時に浮上することもな
い。また、沖側端部1bも干潮水位7bの際に浮力が重
量による下向きの力より適度に大きくなるように初期設
計を施されるので、シンカー9およびワイヤ10はそれほ
ど大規模なものでなくてもよく、干潮時でも人工地盤1
の上面は同じ高さに保たれ、陸岸5との交通に支障をき
たすことはない。
【0019】また、通常の箱型浮体の喫水が変化すれ
ば、浮力が大きく変化して係留装置に過大な負荷変動を
もたらすが、予想される水面の上下動範囲を図1に示す
上限の満潮水位7aから下限の干潮水位7bの間とした
場合、この浮体式人工地盤1ではその範囲が水の出入り
を許容する空洞になっていて支柱4a等の限られた水密
区画しか設けていないので、喫水が変化しても浮力の変
化はそれほど大きなものでなく、僅かな水密区画に基づ
く浮力の増減も、それほど大規模でないゴムフェンダー
8およびワイヤ10,シンカー9によって容易に支えるこ
とができる。また、図3の変形例に示すように、陸側端
部1aをボルト19により完全に固定しても、陸岸5やボ
ルト19が破損する恐れはない。
【0020】図1の実施形態の人工地盤は、水平フェン
ダー11で水平面内の運動を拘束されるのみならず、陸側
端部1aはゴムフェンダー8で重量を支えられ、沖側端
部1bはシンカー9に繋いだワイヤ10の張力で浮力を支
えられているので、垂直方向にも堅く拘束され、人工地
盤1と陸岸5との相対変位がほとんどなく、人工地盤1
と陸岸5との間のスムーズな交通が可能である。さら
に、潮汐などによる水位変動が予想される範囲にわたっ
て、空洞部4が水の出入りを許容することで、係留装置
の負荷を著しく軽減することができる。このように本実
施形態による浮体式人工地盤は、埋立てや干拓などによ
る人工地盤と同様に本当の意味での地盤として使用する
ことができる。また、係留装置の容量が比較的小さくて
よいので、現場工期が短く、設置が簡単に済むという浮
体式人工地盤の長所は保たれており、埋立てや干拓など
による人工地盤や従来の浮体式人工地盤と比較して経済
性が格段に優れたものとなる。
【0021】次に本発明の第2実施形態について説明す
ると、図4に示すように、本実施形態の浮体式人工地盤
も、前述の第1実施形態と同様に、水面下に配設された
浮体部2と、同浮体部2により空洞部4を介して支柱4
aで支持された水面上の地盤部3とをそなえている。
【0022】そして、浮体部2と地盤部3とを連結する
部材は支柱4aまたは開口部付き壁部材で構成されてい
て、空洞部4は潮位変動の範囲すなわち、満潮時の水位
7aと干潮時の水位7bを含む高さを有するとともに外
水の出入を許容する通水構造をそなえている。
【0023】この第2実施形態では、特に浮体部2の一
端1aは陸岸5の凹部13に枢着部材としての水平支軸12
を介して回動可能に拘束されており、沖側の他端1bは
海底6のシンカー9に緊張ワイヤ10を介して係留されて
いる。すなわち、浮体部2の沖側端部では、干潮時の水
位7bでも、浮力による上向きの力が重力による下向き
の力よりも適度に大きくなっていて、これによりワイヤ
10には張力を生じるようになっている。
【0024】上述の第2実施形態の場合も、前述の第1
実施形態とほぼ同様の作用効果が得られるが、特に浮体
部2の一端が陸岸5に水平支軸12で回動可能に拘束され
ているので、高波等により人工地盤1全体がやや揺動を
起こすことがあっても、水平支軸12により上記揺動が円
滑に吸収されて、人工地盤1の損傷を免れることができ
る。
【0025】次に図5に示す本発明の第3実施形態につ
いて説明すると、この実施形態の浮体式人工地盤も、水
面下に配設された浮体部2と、同浮体部2により空洞部
4を介して支柱4aで支持された水面上の地盤部3とを
そなえている。
【0026】そして、浮体部2と地盤部3とを連結する
部材は支柱4aまたは開口部付き壁部材で構成されてい
て、空洞部4は潮位変動の範囲すなわち、満潮時の水位
7aと干潮時の水位7bを含む高さを有し外水の出入を
許容する通水構造をそなえている。
【0027】この第3実施形態では、特に浮体部2の一
端が陸岸5の凹部13にフェンダー8a,8b,11を介し
て拘束されるほか、同浮体部2には複数のバラストタン
ク14a, 14b,14cが設けられていて、各バラストタン
クには、注排水手段として、排水ポンプ18と、注水弁16
a,16b,16cおよび排水弁17a,17b, 17cを有する
配管が装備されている。なお、バラストタンクは、地盤
部3に、または空洞部4に設けるようにしてもよい。
【0028】また、浮体部2および地盤部3には、複数
のロードセル15a, 15b,15cが設置されている。すな
わち、本実施形態では、地盤部3の陸側端部で上方への
運動を拘束するゴムフェンダー8bの装着部分に、荷重
を計測するロードセル15aが設けられるほか、地盤部3
の中央部には、この部分を下げ、端部を持ち上げる方向
およびその逆方向の荷重を計測するロードセル15bが設
けられており、さらに沖側端部にはワイヤストッパー10
aと浮力部2の底面との間にロードセル15cが設けられ
ている。
【0029】そして、図6に示すような演算制御装置が
各ロードセル15a,15b,15cによる計測信号に基づ
き、浮体式人工地盤1上の重量分布を推算して、注水弁
16a〜16cを開閉し、あるいは排水弁17a〜17cを開閉
するとともに、ポンプ18をオンオフし、端部付近のバラ
ストタンク14a,14cおよび中央部のバラストタンク14
bに注排水して重量調整を行なうようになっている。
【0030】このようにして、喫水の変化による浮力変
動以外の要因に基づく荷重変化、たとえば自動車や人の
出入り、風などによる荷重によって、係留装置や人工地
盤構造に過大な負荷が加わるのを避けることができる。
【0031】次に、図7に示す本発明の第4実施形態と
しての浮体式人工地盤について説明すると、この実施形
態の場合も、陸側部1aは水面下に配設された浮体部2
と、同浮体部2により空洞部4を介して支持された水面
上の地盤部3とをそなえている。
【0032】そして、空洞部4は、潮位変動の範囲すな
わち、満潮時の水位7aと干潮時の水位7bを含む高さ
を有し外水の出入を許容する通水構造をそなえている。
また、浮体部2および地盤部3の一体となった陸側端部
は、陸岸5の凹部13に水平支軸12を介して枢着されてい
る。なお、この陸側端部は、フェンダーなどで陸岸5に
拘束されてもよい。
【0033】この第4実施形態では、特に人工地盤1の
空洞部4を有する陸側端部1aと比べて、沖側端部1b
は沖側へ著しく長く延長するように構成されている。す
なわち、空洞部4よりも沖側へ長く突出するようにそれ
ぞれ延長した浮体部2の長大な延長部分と地盤部3の長
大な延長部分とが一体の箱型に構成されて、沖側に自由
端を有している。
【0034】上述の第4実施形態の浮体式人工地盤で
は、その一端を陸岸に拘束されて、浮体部2と水面上の
地盤部3との間に介在する空洞部4が、干潮時から満潮
時まで水位7a〜7bの変化する範囲を含む高さを有す
るとともに外水の出入を許容する通水構造をそなえてい
るので、地盤部3は潮位変動の影響を受けることが少な
く安定のよい状態で保持される。そして上述のように地
盤部3と浮体部2とは空洞部4よりも沖側へ突出延長し
た長大な延長部分を一体の箱型に構成されるので、同延
長部分が沖側自由端を有し揺動可能で、やや傾斜を生じ
ることがあっても、上記の各延長部分が非常に長大であ
る場合、その傾斜は無視できるほど緩やかなものとな
る。そして、陸側の一部を除く大部分の構造体が単純な
箱型に構成できるほか、沖側自由端には特段の係留装置
もないので、全体として非常に安価に人工地盤を提供す
ることができる。なお、上述の沖側自由端を有する人工
地盤は、静穏な水域に設けるのに適している。
【0035】図8は図7の浮体式人工地盤の変形例を示
しており、人工地盤3は連絡橋として使用され、同人工
地盤3の沖側端部に、空港などに用いられる巨大人工地
盤20が常に水平を保つように接続されている。この変形
例では連絡橋としての人工地盤3の多少の傾斜は許容さ
れるので、実用上有効である。
【0036】次に、本発明の第5実施形態としての浮体
式人工地盤について説明すると、図9に示すように、本
実施形態では、陸岸から離れた水域で、人工地盤1が、
水面下に配設された浮体部2と、同浮体部2により空洞
部4を介して支柱4aで支持された水面上の地盤部3と
をそなえている。
【0037】そして、浮体部2と地盤部3とを連結する
部材は支柱4aまたは開口部付き壁部材で構成されてい
て、空洞部4は潮位変動の範囲すなわち、満潮時の水位
7aと干潮時の水位7bを含む高さを有し外水の出入を
許容する通水構造をそなえている。
【0038】この第5実施形態では、浮体部2が緊張ワ
イヤ10により海底のシンカー9に係留されている。すな
わち、地盤部3を空洞部4を介して支持する浮体部2
は、干潮時の水位7bでも、重力による下向きの力より
も浮力による上向きの力が適度に勝っていて、各ワイヤ
10には張力が生じるようになっている。
【0039】上述の第5本実施形態の浮体式人工地盤で
は、浮体部2を海底6のシンカー9へ係留するワイヤ10
は、同浮体部2の浮力を、地盤部3等を含む重量よりも
やや大きく設定することにより緊張状態とされるが、そ
の張力は過大にならないように適度に初期設定を行なう
ことが可能である。そして潮位の変動等による喫水の変
化も空洞部4の高さの範囲で行なわれ、喫水変化による
浮力の変化は、支柱4aに起因する僅かなものになる。
したがってワイヤ10やシンカー9などの係留装置は比較
的小規模のものでよく、海底の自然環境への影響も少な
くてすむようになる。また、上述の第5実施形態の浮体
式人工地盤は、陸岸から離れた沖合に設置するのに適し
ている。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の浮体式人
工地盤によれば次のような効果が得られる。 (1) 水面下の浮体部が、その一端を陸岸に拘束されると
ともに、他端を緊張ワイヤで係留されて、同浮体部と水
面上の地盤部との間に介在する空洞部が干潮時の水位か
ら満潮時の水位までの範囲を含む高さを有するとともに
外水の出入を許容する通水構造をそなえているので、上
記地盤部は潮位変動の影響をほどんど受けることなくほ
ぼ一定のレベルに安定よく保持されるようになり、陸岸
に上記浮体部の一端と共に拘束された上記地盤部の一端
を通じて、同地盤部と陸岸との交通が支障なく行なわれ
るようになる。(請求項1) (2) 上記浮体部の一端が陸岸に水平支軸などの枢着部材
を介し回動可能に拘束されていると、高波等により人工
地盤全体がやや揺動を起こすことがあっても、上記枢着
部材により上記揺動が円滑に吸収されて、上記浮体部の
損傷を免れることができる。(請求項2) (3) 上記浮体部の一端が陸岸にフェンダーを介し拘束さ
れるとともに、注排水手段をそなえたバラストタンク
と、上記のフェンダー,浮体部および地盤部にそれぞれ
設けられたロードセルからの情報に基づき上記注排水手
段を制御する制御系とが装備されていると、上記ロード
セルの設置された各部で過荷重を生じないように、上記
バラストタンクの注排水による重量調整が適切に行なわ
れるようになる。(請求項3) (4) 地盤部と浮体部とが上記空洞部よりも沖側へ突出延
長した長大な延長部分を一体の箱型に構成されている
と、同延長部分が沖側自由端を有し潮位変動で上下する
が、延長部分が非常に長大である場合、その傾斜は無視
できるほど緩やかなものとなる。そして、陸側の一部を
除く大部分の構造体が単純な箱型に構成できるほか、沖
側自由端には特段の係留装置もないので、全体として非
常に安価に人工地盤を提供することができる。(請求項
4) (5) 複数の緊張ワイヤにより海底のシンカーに係留され
て水面下に配設された浮体部と、同浮体部上に空洞部を
介し支柱等で支持されて水面上に配設された地盤部とを
そなえ、上記空洞部が潮位の変動範囲を含む高さを有す
るとともに外水の出入を許容する通水構造をそなえてい
ると、上記浮体部を海底へ係留するワイヤは、同浮体部
の浮力を、地盤部等を含む重量よりもやや大きく設定さ
れることにより緊張状態とされるが、その張力は過大に
ならないように適度に初期設定を行なうことが可能であ
る。そして潮位の変動等による喫水の変化も上記空洞部
の高さの範囲で行なわれ、喫水変化による浮力の変化
は、上記支柱等に起因する僅かなものになる。したがっ
て上記のワイヤやシンカーなどの係留装置は比較的小規
模のものでよく、海底の自然環境への影響も少なくてす
むようになる。(請求項5)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての浮体式人工地盤
を示す縦断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】図1の浮体式人工地盤の変形例を示す縦断面図
である。
【図4】本発明の第2実施形態としての浮体式人工地盤
を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態としての浮体式人工地盤
を示す縦断面図である。
【図6】図5の浮体式人工地盤に用いられる演算制御装
置の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態としての浮体式人工地盤
を示す縦断面図である。
【図8】図7の浮体式人工地盤の変形例を示す縦断面図
である。
【図9】本発明の第5実施形態としての浮体式人工地盤
を示す縦断面図である。
【図10】従来の浮体式人工地盤の一例を示す側面図で
ある。
【図11】従来の浮体式人工地盤の他の例を示す側面図
である。
【図12】従来の浮体式人工地盤のさらに他の例を示す
側面図である。
【符号の説明】
1 人工地盤 2 浮体部 3 地盤部 4 空洞部 4a 支柱 5 陸岸 6 海底 7a 満潮水位 7b 干潮水位 8 フェンダー 9 シンカー 10 ワイヤ 11 フェンダー 12 水平支軸 13 凹部 14a〜14c バラストタンク 15a〜15c ロードセル 16a〜16c 注水弁 17a〜17c 排水弁 18 排水ポンプ 19 ボルト 20 巨大人工地盤

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端を陸岸に拘束されるとともに、他端
    を緊張ワイヤにより海底のシンカーに係留されて水面下
    に配設された浮体部と、同浮体部上に空洞部を介し支持
    されて水面上に配設された地盤部とをそなえ、上記空洞
    部が潮位の変動範囲を含む高さを有するとともに外水の
    出入を許容する通水構造をそなえていることを特徴とす
    る、浮体式人工地盤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の浮体式人工地盤におい
    て、上記浮体部の一端が陸岸に枢着部材を介し回動可能
    に拘束されていることを特徴とする、浮体式人工地盤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の浮体式人工地盤におい
    て、上記浮体部の一端が陸岸にフェンダーを介し拘束さ
    れるとともに、注排水手段をそなえたバラストタンク
    と、上記のフェンダー,浮体部および地盤部にそれぞれ
    設けられたロードセルと、同ロードセルからの情報に基
    づき上記注排水手段を制御する制御系とが装備されたこ
    とを特徴とする、浮体式人工地盤。
  4. 【請求項4】 一端を陸岸に拘束されて水面下に配設さ
    れた浮体部と、同浮体部上に空洞部を介し支持されて水
    面上に配設された地盤部とをそなえ、上記空洞部が潮位
    の変動範囲を含む高さを有するとともに外水の出入を許
    容する通水構造をそなえ、同空洞部よりも沖側へ長く突
    出するようにそれぞれ延長した上記浮体部の長大な延長
    部分と上記地盤部の長大な延長部分とが、一体に構成さ
    れて沖側自由端を有していることを特徴とする、浮体式
    人工地盤。
  5. 【請求項5】 複数の緊張ワイヤにより海底のシンカー
    に係留されて水面下に配設された浮体部と、同浮体部上
    に空洞部を介し支持されて水面上に配設された地盤部と
    をそなえ、上記空洞部が潮位の変動範囲を含む高さを有
    するとともに外水の出入を許容する通水構造をそなえて
    いることを特徴とする、浮体式人工地盤。
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