JPH11262959A - プラスチック成形による歯付き回転伝動部材 - Google Patents

プラスチック成形による歯付き回転伝動部材

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JPH11262959A
JPH11262959A JP6686298A JP6686298A JPH11262959A JP H11262959 A JPH11262959 A JP H11262959A JP 6686298 A JP6686298 A JP 6686298A JP 6686298 A JP6686298 A JP 6686298A JP H11262959 A JPH11262959 A JP H11262959A
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JP
Japan
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shaft hole
hole
transmission member
rotary transmission
oval
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JP6686298A
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Kazutoshi Mochizuki
千登志 望月
Kenji Yanagida
健志 柳田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸孔形状をD形状又は小判形状にしても、歯
車精度が低下することのない成形プラスチック歯車を提
供する。 【解決手段】 成形プラスチック歯車10の外周には、
インボリュート曲線をなした複数の歯からなる歯部11
が設けられている。また、成形プラスチック歯車10の
中央部には軸孔12が設けられている。軸孔12は歯車
本体を一端面10A側から他端面10B側まで貫通して
おり、その軸孔12内の一端面10A側にはD形状の孔
12Aが、他の部分には円形状の孔12Bがそれぞれ形
成されている。D形状の孔12Aが形成された部分では
軸孔内面の一部は平坦部をなしており、その平坦部の軸
方向に沿った長さaは軸孔12の全長bの1/3以下に
設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック成形に
よる歯付き回転伝動部材に係り、特に成形プラスチック
歯車や成形歯付きプラスチックプーリ等の歯付き回転伝
動部材の軸孔形状の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、成形プラスチック歯車や成形歯
付きプラスチックプーリの中央部には軸孔が設けられ、
この軸孔に軸が嵌合される。この軸を軸孔に強固に固定
するためには、通常、軸と軸孔との間にはキーが挿入さ
れる。
【0003】しかし、このように軸と軸孔との間にキー
を挿入するには、軸孔の内面と軸の外面にキー溝を加工
しなければならず、しかも成形プラスチック歯車や成形
歯付きプラスチックプーリは精密部品であるために、キ
ー溝加工のコストが高くなるという欠点がある。
【0004】そこで、最近では、キーに代わって、中央
部にD形状又は小判形状の軸孔を有し、この軸孔にD形
状又は小判形状に形成された軸を嵌合させるようにした
成形プラスチック歯車や成形歯付きプラスチックプーリ
が提案されている。このような構成の成形プラスチック
歯車や成形歯付きプラスチックプーリでは、D形状又は
小判形状の直線部分で軸孔と軸との互いのすべりが阻止
され、動力を確実で伝達することが可能となっている。
また、D形状や小判形状にして軸孔に軸を嵌合させる方
法は簡単でコストも安くなるために広く利用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術では、成形プラスチック歯車や成形歯付きプラ
スチックプーリの歯幅方向全体に亘って、軸孔がD形状
又は小判形状に形成されているので、肉厚の厚い部分が
多く存在することになり、成形後に樹脂が収縮する際
に、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分との間で収縮差が
発生し、歯車精度が低下してしまうという問題がある。
特に、歯数が少なく小径である場合には、肉逃げの個所
を設けることが不可能であるために、上記収縮差は顕著
に現れる。
【0006】本発明の目的は、軸孔形状をD形状又は小
判形状にしても、歯車精度が低下することのないプラス
チック成形による歯付き回転伝動部材を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、プラスチック成形品から
なり、外周に複数の歯が設けられ、中央部に一端面から
他端面に貫通した軸孔が設けられ、回転駆動されて動力
伝達を行うプラスチック成形による歯付き回転伝動部材
において、前記軸孔の形状を、一部はD形状に、他の部
分は円形状に形成したことを特徴としている。
【0008】上記構成によれば、D形状の部分が軸孔の
一部に形成されているので、肉厚の厚い部分が少なくな
り、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分との間の収縮差を
小さくすることができる。その結果、歯車精度の低下を
回避することができる。
【0009】D形状の部分は、請求項2のように軸孔の
端部に形成してもよいし、請求項3のように軸孔の中間
部に形成してもよい。
【0010】D形状の部分は軸孔の軸方向に沿った長さ
が、請求項4のように軸孔の全長の1/3以下に設定さ
れている。また、D形状の部分以外では軸孔内面から歯
底円までの厚さは、請求項5のように、一様でかつ軸孔
の軸方向に沿ったD形状の長さに等しくなっている。
【0011】また、請求項6に記載の発明は、プラスチ
ック成形品からなり、外周に複数の歯が設けられ、中央
部に一端面から他端面に貫通した軸孔が設けられ、回転
駆動されて動力伝達を行うプラスチック成形による歯付
き回転伝動部材において、前記軸孔の形状を、一部は小
判形状に、他の部分は円形状に形成したことを特徴とし
ている。
【0012】上記構成によれば、小判形状の部分が軸孔
の一部に形成されているので、請求項1の場合と同様に
肉厚の厚い部分が少なくなり、肉厚の厚い部分と通常の
肉厚部分との間の収縮差が小さくすることができる。
【0013】小判形状の部分は、請求項7のように軸孔
の端部に形成してもよいし、請求項8のように軸孔の中
間部に形成してもよい。
【0014】小判形状の部分は軸孔の軸方向に沿った長
さが、請求項9のように軸孔の全長の1/3以下に設定
されている。また、小判形状の部分以外では軸孔内面か
ら歯底円までの厚さは、請求項10のように、一様で軸
孔の軸方向に沿った小判形状の長さに等しくなってい
る。
【0015】さらに、請求項11に記載の発明は、プラ
スチック成形品からなり、外周に複数の歯が設けられ、
中央部に一端面から他端面に貫通した軸孔が設けられ、
回転駆動されて動力伝達を行うプラスチック成形による
歯付き回転伝動部材において、前記軸孔内に段付き部を
形成したことを特徴としている。
【0016】上記構成によれば、軸孔内に段付き部が形
成されているので、請求項1及び請求項6の場合と同様
に肉厚の厚い部分が少なくなり、肉厚の厚い部分と通常
の肉厚部分との間の収縮差が小さくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って説明する。 (実施の形態1)本実施の形態は、歯付き回転伝動部材
が成形プラスチック歯車の場合である。図1は成形プラ
スチック歯車の正面図、図2は図1のA−A線に沿った
断面図である。図に示すように、成形プラスチック歯車
10の外周には、インボリュート曲線をなした複数の歯
からなる歯部11が設けられている。なお、この成形プ
ラスチック歯車10は、平歯車でもよいし、はすば歯車
でもよい。
【0018】また、成形プラスチック歯車10にはその
中央部に軸孔12が設けられている。軸孔12は歯車本
体を一端面10A側から他端面10B側まで貫通してお
り、その軸孔12内の一端面10A側にはD形状の孔1
2Aが、他の部分には円形状の孔12Bがそれぞれ形成
されている。円形状の孔12Bの直径はD形状の孔12
Aの最大直径に等しくなっている。
【0019】D形状の孔12Aが形成された部分では軸
孔内面の一部は平坦部をなしており、その平坦部の軸方
向に沿った長さaは軸孔12の全長bの1/3以下に設
定されている。また、D形状の孔12Aが形成された部
分以外(つまり、円形状の孔12Bが形成された部分)
では、孔内面から歯底円11Aまでの厚さcが一様に形
成され、その厚さcは、D形状の孔12Aが形成された
部分の前記長さaに等しくなっている。
【0020】上記構成によれば、D形状の孔12Aの部
分が軸孔12の全長bの1/3以下であるから、孔12
Aの部分と孔12Bの部分との間の収縮差を小さくでき
る。すなわち、孔12Aの部分は肉厚が厚く成形後の収
縮量が大きいが、孔12Bの部分は肉厚が薄く収縮量が
小さい。そのため、孔12Aの部分が軸孔12の全長b
の1/3以下であると、孔12Aの部分と孔12Bの部
分との間の収縮差を小さくすることができる。そして、
収縮差を小さくすることができれば、歯車精度の低下を
回避することが可能となる。
【0021】なお、平坦部の上記長さaは軸孔12の全
長bの1/3以下でなくともよい。例えば、軸孔12の
全長bの1/2でも、孔12Aの部分と孔12Bの部分
との間の収縮差を多少小さくすることは可能である。
【0022】図3及び図4は本実施の形態の変形例を示
しており、図3は成形プラスチック歯車の正面図、図4
は図3のB−B線に沿った断面図である。この変形例で
は、D形状の孔12Aが形成された部分が、歯車本体の
一端面10A側ではなく、軸孔12の中間部となってい
る。他の構成は図1及び図2の場合と同じである。な
お、D形状の孔12Aが形成された部分は、歯車本体の
他端面10B側にあってもよい。
【0023】上記変形例のようにD形状の孔12Aを軸
孔12の中間部又は他端面10B側に設けても、孔12
Aの部分と孔12Bの部分との間の収縮差を小さくでき
るので、図1及び図2の場合と同様の作用効果を得るこ
とができる。
【0024】(実施の形態2)本実施の形態も成形プラ
スチック歯車の例であるが、この成形プラスチック歯車
には、軸孔にD形状の孔の代わりに小判形状の孔が形成
されている。図5は本実施の形態の成形プラスチック歯
車の正面図、図6は図5のC−C線に沿った断面図であ
る。図に示すように、成形プラスチック歯車10には軸
孔12が設けられ、この軸孔12内には、歯車本体の一
端面10A側に小判形状の孔12Cが、他の部分には円
形状の孔12Bがそれぞれ形成されている。円形状の孔
12Bの直径は小判形状の孔12Cの最大直径に等しく
なっている。
【0025】小判形状の孔12Cが形成された部分では
軸孔内面の2個所の対向面が平坦部をなしており、それ
らの平坦部の軸方向に沿った長さdは軸孔12の全長b
の1/3以下に設定されている。また、小判形状の孔1
2Cが形成された部分以外(つまり、円形状の孔12B
が形成された部分)では、孔内面から歯底円11Aまで
の厚さcが一様に形成され、その厚さcは、小判形状の
孔12Cが形成された部分の前記長さdに等しくなって
いる。
【0026】上記構成によれば、小判形状の孔12Cの
部分が軸孔12の全長bの1/3以下であるので、孔1
2Cの部分と孔12Bの部分との間の収縮差を小さくす
ることができ、歯車精度の低下を回避できる。
【0027】なお、小判形状の孔12Cが形成された部
分は、図3及び図4の場合と同様に軸孔12の中間部に
設けることもできる。また、歯車本体の他端面10B側
に設けることもできる。
【0028】また、平坦部の上記長さdは軸孔12の全
長bの1/3以下でなくともよい。例えば、軸孔12の
全長bの1/2でも、孔12Cの部分と孔12Bの部分
との間の収縮差を多少小さくすることは可能である。
【0029】(実施の形態3)本実施の形態は、歯付き
回転伝動部材が成形歯付きプラスチックプーリの場合で
ある。図7は成形歯付きプラスチックプーリの正面図、
図8は図7のD−D線に沿った断面図である。図に示す
ように、成形歯付きプラスチックプーリ20の外周に
は、インボリュート曲線をなした複数の歯からなる歯部
21が設けられている。なお、歯部21は、平歯車でも
よいし、はすば歯車でもよい。
【0030】成形歯付きプラスチックプーリ20の中央
部には軸孔22が設けられている。軸孔22はプーリ本
体を一端面20A側から他端面20B側まで貫通してお
り、その軸孔22のうち一端面20A側にはD形状の孔
22Aが、他の部分には円形状の孔22Bがそれぞれ形
成されている。円形状の孔22Bの直径はD形状の孔2
2Aの最大直径に等しくなっている。
【0031】D形状の孔22Aが形成された部分では孔
内面の一部は平坦部をなしており、その平坦部の軸方向
に沿った長さeは軸孔22の全長fの1/3以下に設定
されている。また、D形状の孔22Aが形成された部分
以外(つまり、円形状の孔22Bが形成された部分)で
は、孔内面から歯底円21Aまでの厚さgが一様に形成
され、その厚さgは、D形状の孔22Aが形成された部
分の前記長さeに等しくなっている。
【0032】また、プーリ本体の他端面20B側には鍔
部23が設けられている。その様子を図9に示す。図9
は図8のE−E線に沿った断面図である。図に示すよう
に、鍔部23の周縁は歯部21の歯先円21Bよりも大
きな半径を有しており、図示してない歯付きベルトを歯
部21に噛み合わせたとき、その歯付きベルトがプーリ
本体からは外れないようになっている。
【0033】上記構成によれば、D形状の孔22Aの部
分が軸孔22の全長fの1/3以下であるので、孔22
Aの部分と孔22Bの部分との間の収縮差を小さくでき
る。すなわち、孔22Aの部分は肉厚が厚く成形後の収
縮量が大きいが、孔22Bの部分は肉厚が薄く収縮量が
小さい。そのため、孔22Aの部分が軸孔22の全長f
の1/3以下であると、孔22Aの部分と孔22Bの部
分との間の収縮差を小さくすることができる。そして、
収縮差を小さくすることができれば、歯部21の精度の
低下を回避することが可能となる。
【0034】なお、平坦部の上記長さeは軸孔22の全
長fの1/3以下でなくともよい。例えば、軸孔22の
全長fの1/2でも、孔22Aの部分と孔22Bの部分
との間の収縮差を多少小さくすることは可能である。
【0035】図10及び図11は本実施の形態の変形例
を示しており、図10は成形歯付きプラスチックプーリ
の正面図、図11は図10のF−F線に沿った断面図で
ある。この変形例では、D形状の孔22Aが形成された
部分が、プーリ本体の端面20A側ではなく、軸孔22
の中間部となっている。他の構成は図7及び図8の場合
と同じである。なお、D形状の孔22Aが形成された部
分は、図12のようにプーリ本体の端面20B側にあっ
てもよい。
【0036】上記変形例のようにD形状の孔22Aを軸
孔22の中間部又は端面20B側に設けても、孔22A
の部分と孔22Bの部分との間の収縮差を小さくできる
ので、図7及び図8の場合と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0037】(実施の形態4)本実施の形態も成形歯付
きプラスチックプーリの例であるが、この成形歯付きプ
ラスチックプーリには、軸孔にD形状の孔の代わりに小
判形状の孔が形成されている。図13は本実施の形態の
成形プラスチック歯車の正面図、図14は図13のG−
G線に沿った断面図である。図に示すように、成形プラ
スチック歯車20には軸孔22が設けられ、この軸孔2
2内には、プーリ本体の一端面20A側に小判形状の孔
22Cが、他の部分には円形状の孔22Bがそれぞれ形
成されている。円形状の孔22Bの直径は小判形状の孔
22Cの最大直径に等しくなっている。
【0038】小判形状の孔22Cが形成された部分では
軸孔内面の2個所の対向面が平坦部をなしており、それ
らの平坦部の軸方向に沿った長さhは軸孔22の全長i
の1/3以下に設定されている。また、小判形状の孔2
2Cが形成された部分以外(つまり、円形状の孔22B
が形成された部分)では、孔内面から歯底円21Aまで
の厚さjが一様に形成され、その厚さjは、小判形状の
孔22Cが形成された部分の前記長さhに等しくなって
いる。
【0039】上記構成によれば、小判形状の孔22Cの
部分が軸孔22の全長いの1/3以下であるので、孔2
2Cの部分と孔22Bの部分との間の収縮差を小さくす
ることができ、歯部21の精度の低下を回避できる。
【0040】なお、小判形状の孔22Cが形成された部
分は、図10及び図11の場合と同様に軸孔22の中間
部に設けることもできる。また、プーリ本体の他端面2
0B側に設けることもできる。
【0041】また、平坦部の上記長さhは軸孔22の全
長iの1/3以下でなくともよい。例えば、軸孔22の
全長iの1/2でも、孔22Cの部分と孔22Bの部分
との間の収縮差を多少小さくすることは可能である。
【0042】
【実施例】次に、図1及び図2で示した本発明による成
形プラスチック歯車を実際に製作し、その精度について
検討を行った。以下、その検討結果について説明する。
製作した成形プラスチック歯車ははすば歯車で、その各
部の寸法を図15(a)及び(b)に示す。また、製作
した成形プラスチック歯車の主な諸元は、モジュールM
=0.8、圧力角α=20°、歯数Z=14、ねじれ角
β=15°として、歯幅(=軸孔の全長)は6mmとし
た。D形状の孔12Aが形成された部分の平坦部長さa
は、軸孔12の全長の1/3である2mmとした。
【0043】なお、比較のために、従来の成形プラスチ
ック歯車も製作した。この従来の成型プラスチック歯車
はD形状の孔12Aが軸孔12の全長に亘って形成され
ており、上記平坦部長さaは6mmである。従来の成形
プラスチック歯車の各部の寸法は図15(c)に示す通
りであり、また、その主な諸元は本発明による成形プラ
スチック歯車と同じである。
【0044】そして、平坦部長さaが2mmの場合(本
発明によるもの)と6mmの場合(従来技術によるも
の)について、その精度を測定した。測定項目として
は、単一ピッチ誤差、隣接ピッチ誤差、累積ピッチ誤
差、歯溝の振れ、歯形誤差、及び歯筋誤差を選んで行っ
た。なお、歯筋誤差の評価では、歯車本体の両端を各1
mm除き4mmで行った。表1はその測定結果である。
表1において、右は右歯面での測定を、左は左歯面での
測定をそれぞれ意味している。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示した測定値の一つの具体例を図1
6及び図17に示す。図16及び17は右歯面の単一ピ
ッチ誤差を測定したときの結果であり、図16は平坦部
長さが6mmの場合、図17は平坦部長さが2mmの場
合である。本実施例では歯数Zは14であり、両図にお
ける1〜14まで数字は歯の番号に対応している。
【0047】図16及び図17から判るように、右歯面
においては単一ピッチ誤差は、平坦部長さが6mmの場
合はJIS4級、2mmの場合はJIS0級となってい
る。特に、6mmの場合はD形状の孔の部分では肉厚の
厚い個所に位置している番号2〜6の5つの歯の誤差が
大きくなっている。このときの最大誤差は10μmであ
る。そして、単一ピッチ誤差が大きいので、隣接ピッチ
誤差や累積ピッチ誤差も悪くなっている。
【0048】これに対して、平坦部長さを2mmにする
と、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分との間の収縮差が
小さくなるため、単一ピッチ誤差については最大誤差が
3μmと小さく、これによって、隣接ピッチ誤差や累積
ピッチ誤差も小さくなっている。
【0049】また、歯形誤差及び歯筋誤差については、
平坦部長さが6mmの場合はJIS6級であるが、2m
mの場合はJIS4級とその精度が良くなっている。歯
形誤差及び歯筋誤差とも全ての歯の精度が悪い訳ではな
く部分的に悪くなっている。これに関しても、D形状の
孔による肉厚の厚い部分と通常の肉厚部との収縮差によ
るものであると判断できる。
【0050】歯筋誤差については左歯面と右歯面では、
右歯面の方が相対的にその精度は悪くなっている。その
理由は、右歯面は成形時の突き出し抵抗を受ける面であ
るからである。
【0051】以上の測定結果に基づいて総合等級を求め
ると、従来の成形プラスチック歯車ではJIS6級であ
るのに対し、本発明による成形プラスチック歯車ではJ
IS4級となる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、D形状の部分が軸孔の一部に形成されているの
で、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分との間の収縮差を
小さくすることができ、プラスチック成形による歯車精
度の低下を回避できる。
【0053】請求項2の発明によれば、D形状の部分が
軸孔の端部に形成されているので、歯付き回転伝動部材
をプラスチック成形で容易に製造することができる。
【0054】請求項3の発明によれば、D形状の部分が
軸孔の中間部に形成されているので、左右対称な歯付き
回転伝動部材となり、方向性にとらわれない汎用性に優
れた歯付き回転伝動部材を得ることができる。
【0055】請求項4の発明によれば、D形状の部分が
軸孔の全長の1/3以下であるので、肉厚の厚い部分が
確実に少なくなり、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分と
の間の収縮差をより一層小さくできる。
【0056】請求項5の発明によれば、D形状の部分以
外では軸孔内面から歯底円までの厚さが一様で、しかも
その厚さがD形状の部分の長さに等しいので、各部の収
縮量を略一定とすることができる。
【0057】請求項6の発明によれば、小判形状の部分
が軸孔の一部に形成されているので、請求項1の場合と
同様に、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分との間の収縮
差を小さくすることができ、プラスチック成形による歯
車精度の低下を回避できる。
【0058】請求項7の発明によれば、小判形状の部分
が軸孔の端部に形成されているので、歯付き回転伝動部
材をプラスチック成形で容易に製造することができる。
【0059】請求項8の発明によれば、小判形状の部分
が軸孔の中間部に形成されているので、左右対称な歯付
き回転伝動部材となり、方向性にとらわれない汎用性に
優れた歯付き回転伝動部材を得ることができる。
【0060】請求項9の発明によれば、小判形状の部分
が軸孔の全長の1/3以下であるので、肉厚の厚い部分
が確実に少なくなり、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分
との間の収縮差をより一層小さくできる。
【0061】請求項10の発明によれば、小判形状の部
分以外では軸孔内面から歯底円までの厚さが一様で、し
かもその厚さが小判形状の部分の長さに等しいので、各
部の収縮量を略一定とすることができる。
【0062】請求項11の発明によれば、軸孔内に段付
き部が形成されているので、請求項1及び請求項6の場
合と同様に、肉厚の厚い部分と通常の肉厚部分との間の
収縮差が小さくすることができ、プラスチック成形によ
る歯車精度の低下を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による成形プラスチック歯車の正
面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】実施の形態1の変形例による成形プラスチック
歯車の正面図である。
【図4】図3のB−B線に沿った断面図である。
【図5】実施の形態2による成形プラスチック歯車の正
面図である。
【図6】図5のC−C線に沿った断面図である。
【図7】実施の形態3による成形歯付きプラスチックプ
ーリの正面図である。
【図8】図7のD−D線に沿った断面図である。
【図9】図8のE−E線に沿った断面図である。
【図10】実施の形態3の変形例による成形歯付きプラ
スチックプーリの正面図である。
【図11】図10のF−F線に沿った断面図である。
【図12】実施の形態3の他の変形例による成形歯付き
プラスチックプーリの断面図である。
【図13】実施の形態4による成形歯付きプラスチック
プーリの正面図である。
【図14】図13のG−G線に沿った断面図である。
【図15】試作品の寸法を示しており、(a)は本発明
の成型プラスチック歯車の正面図、(b)はその断面
図、(c)は従来の成型プラスチック歯車の断面図であ
る。
【図16】従来の成型プラスチック歯車についての単一
ピッチ誤差の測定結果を示した図である。
【図17】本発明の成型プラスチック歯車についての単
一ピッチ誤差の測定結果を示した図である。
【符号の説明】
10 成型プラスチック歯車 11 歯部 12 軸孔 12A D形状の孔 12B 円形状の孔 12C 小判形状の孔 20 成形歯付きプラスチックプーリ 21 歯部 22 軸孔 22A D形状の孔 22B 円形状の孔 22C 小判形状の孔 23 鍔部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック成形品からなり、外周に複
    数の歯が設けられ、中央部に一端面から他端面に貫通し
    た軸孔が設けられ、回転駆動されて動力伝達を行うプラ
    スチック成形による歯付き回転伝動部材において、前記
    軸孔の形状を、一部はD形状に、他の部分は円形状に形
    成したことを特徴とするプラスチック成形による歯付き
    回転伝動部材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のプラスチック成形によ
    る歯付き回転伝動部材において、前記D形状の部分を前
    記軸孔の端部に形成したことを特徴とするプラスチック
    成形による歯付き回転伝動部材。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のプラスチック成形によ
    る歯付き回転伝動部材において、前記D形状の部分を前
    記軸孔の中間部に形成したことを特徴とするプラスチッ
    ク成形による歯付き回転伝動部材。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3に記載のプラスチッ
    ク成形による歯付き回転伝動部材において、前記D形状
    の部分は、前記軸孔の軸方向に沿った長さが軸孔の全長
    の1/3以下に設定されていることを特徴とするプラス
    チック成形による歯付き回転伝動部材。
  5. 【請求項5】 請求項1,2又は3に記載のプラスチッ
    ク成形による歯付き回転伝動部材において、前記D形状
    の部分以外では前記軸孔内面から歯底円までの厚さが一
    様で、かつその厚さは、前記軸孔の軸方向に沿った前記
    D形状の長さに等しいことを特徴とするプラスチック成
    形による歯付き回転伝動部材。
  6. 【請求項6】 プラスチック成形品からなり、外周に複
    数の歯が設けられ、中央部に一端面から他端面に貫通し
    た軸孔が設けられ、回転駆動されて動力伝達を行うプラ
    スチック成形による歯付き回転伝動部材において、前記
    軸孔の形状を、一部は小判形状に、他の部分は円形状に
    形成したことを特徴とするプラスチック成形による歯付
    き回転伝動部材。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のプラスチック成形によ
    る歯付き回転伝動部材において、前記小判形状の部分を
    前記軸孔の端部に形成したことを特徴とするプラスチッ
    ク成形による歯付き回転伝動部材。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のプラスチック成形によ
    る歯付き回転伝動部材において、前記小判形状の部分を
    前記軸孔の中間部に形成したことを特徴とするプラスチ
    ック成形による歯付き回転伝動部材。
  9. 【請求項9】 請求項6,7又は8に記載のプラスチッ
    ク成形による歯付き回転伝動部材において、前記小判形
    状の部分は、前記軸孔の軸方向に沿った長さが軸孔の全
    長の1/3以下に設定されていることを特徴とするプラ
    スチック成形による歯付き回転伝動部材。
  10. 【請求項10】 請求項6,7又は8に記載のプラスチ
    ック成形による歯付き回転伝動部材において、前記小判
    形状の部分以外では前記軸孔内面から歯底円までの厚さ
    が一様で、かつその厚さは、前記軸孔の軸方向に沿った
    前記小判形状の長さに等しいことを特徴とするプラスチ
    ック成形による歯付き回転伝動部材。
  11. 【請求項11】 プラスチック成形品からなり、外周に
    複数の歯が設けられ、中央部に一端面から他端面に貫通
    した軸孔が設けられ、回転駆動されて動力伝達を行うプ
    ラスチック成形による歯付き回転伝動部材において、前
    記軸孔内に段付き部を形成したことを特徴とするプラス
    チック成形による歯付き回転伝動部材。
JP6686298A 1998-03-17 1998-03-17 プラスチック成形による歯付き回転伝動部材 Pending JPH11262959A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7354212B2 (en) 2004-07-27 2008-04-08 Funai Electric Co., Ltd. Image forming apparatus
US8185018B2 (en) * 2003-08-05 2012-05-22 Ricoh Company, Ltd. Method and apparatus for image forming capable of effectively eliminating color displacement by recognizing a rotational position of a rotating member with a mechanism using detection marks

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8385778B2 (en) 2003-08-05 2013-02-26 Ricoh Company, Ltd. Method and apparatus for image forming capable of effectively eliminating color displacement by recognizing a rotational position of a rotating member with a mechanism using detection marks
US7354212B2 (en) 2004-07-27 2008-04-08 Funai Electric Co., Ltd. Image forming apparatus

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