JPH11262092A - スピーカ装置 - Google Patents

スピーカ装置

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Publication number
JPH11262092A
JPH11262092A JP5996298A JP5996298A JPH11262092A JP H11262092 A JPH11262092 A JP H11262092A JP 5996298 A JP5996298 A JP 5996298A JP 5996298 A JP5996298 A JP 5996298A JP H11262092 A JPH11262092 A JP H11262092A
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JP
Japan
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speaker
diaphragm
cap
damper
voice coil
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JP5996298A
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English (en)
Inventor
Masao Fujihira
正男 藤平
Akira Yamagishi
亮 山岸
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1つのスピーカの振動板を保持するダンパを
気密にすると共にボイスコイルを保持するボイスコイル
ボビンの上部に配したキャップに透孔を穿つことで、ス
ピーカの振動板駆動時の作用力による反作用力を相殺或
は減衰させて、小型軽量なスピーカ装置の揺動を防止す
る。 【解決手段】 スピーカ3の振動板10を保持するダン
パ17を気密に構成すると共に振動板10の内径内に保
持されるボイスコイルボビン11の上面に設けたキャッ
プ22に透孔21を穿って気密なダンパ17の下側に形
成された第1及び第2の空間部20a及び20b内に出
入する空気の圧力変動を駆動源として振動板10の作用
力に対する反作用力をキャンセルさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は小型軽量なスピーカ
装置に係わり、特に1個のスピーカを用いてスピーカ装
置の音放射の反作用力を相殺させることが出来る様にな
したスピーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からスピーカ装置の低域再生限界を
伸ばすための有効な手段として例えば、スピーカを設け
たバッフル板に開口及びダクトを設け、スピーカの振動
板の背面から出た音の位相を反転して、ダクトを介して
開口から外部に放射させて、スピーカの振動板から前面
に出る音波を強め、低音域を歪まない様にしたバスレフ
レックス型(位相反転型)のスピーカ装置は良く知られ
ている。
【0003】この様な位相反転型スピーカ装置は図9
(A)に示す様にスピーカボックス1の前面に設けたバ
ッフル板2に穿ったスピーカ放音孔2aに対向してスピ
ーカ3を固定している。
【0004】このスピーカ3は例えば、図9(A)に示
す如く、リング状マグネット4と、このリング状マグネ
ット4を挟むように取付けられた中心孔の穿たれたプレ
ート5及びヨーク6とを設け、プレート5の内周側とヨ
ーク6のセンタポール6aとの間に磁気空隙7を形成す
る。またプレート5にはスピーカ3のフレーム8が取付
けられ、フレーム8の外周部にはエッジ9が設けられ、
このエッジ9によってコーン型の振動板10の外周部が
矢紙等で保持されている。
【0005】一方、振動板10の内周部にボイスコイル
ボビン11が取付けられており、このボイスコイルボビ
ン11にはボイスコイル12が巻装され、ボイスコイル
12はプレート5及びヨーク6のセンタポール6aによ
って形成された磁気空隙7内に挿入する様になされてい
る。17はこのボイスコイル12をこの磁気空隙7内に
保持するためのダンパである。
【0006】又、スピーカボックス1の外部の所定位置
に設けられた入力端子13aよりの音響信号を接続線1
4aを介してスピーカ3の端子15に供給し、端子15
よりの音響信号を錦糸線16を介してボイスコイル12
に供給している。
【0007】又、バッフル板2のスピーカ放音孔2aと
同一面に開口18aを有するダクト18を設け、スピー
カ3の振動板10の背面から出た音の位相を反転して、
このダクト18からスピーカボックス1の外に放射し、
この振動板10の前面からでる音の低音域を広げてい
る。
【0008】上述の如き、位相反転型のスピーカ装置で
の電気的な等価回路は図9(B)の様に表すことが出来
る。
【0009】図9(A)及び図9(B)で、S0 はスピ
ーカ3の支持系のスチフネス、M0はスピーカ3の支持
系の等価質量、Rms0 はスピーカ支持系の機械抵抗、R
m0はスピーカの空気負荷の機械抵抗、R0 はスピーカの
等価機械抵抗でRm0+Rms0=R0 で表せる。SC はス
ピーカボックス1内のスチフネス、RD はダクト18部
分の空気負荷の機械抵抗、MD はダクト18部分の空気
質量である。
【0010】上述の様に位相反転型のスピーカ装置とす
ることで、密閉型に比べて低音再生限界を低くすること
が出来て、スピーカ3の最低共振周波数f0 の約80%
程度まで低域再生範囲を拡げることが出来るとされてい
る。
【0011】この様なスピーカ装置では図9(A)でス
ピーカ3の振動板10の振動による音放射力F1 はスピ
ーカ3の等価質量M0 にスピーカの振動板10に働く加
速度α0 の積、即ち、F1 =M0 α0 で表せる。同様に
ダクト18の開口18aよりの空気の放射力はダクト1
8部分の空気質量MD と開口18aよりの空気の放射力
の加速度αD の積、即ちFD =MD ・αD で表せる。こ
の様な音放射力F1 に対し、振動板10の背面側からス
ピーカボックス1内に向かう反作用力−F1 並びに−F
D =MD ・αD も、スピーカ装置が小型軽量でスピーカ
ボックス1の容積が小さくなれば顕著になり、振動板1
0の振動によってスピーカボックス1内の空気は圧縮及
び膨張を繰返し、この空気は振動板10を元の位置に戻
そうとする力となって働くためスピーカボックス1を揺
動させ、低音再生が阻害される問題があった。
【0012】この様な問題を解決するために本出願人は
先に図10に示す様なスピーカ装置を提案した、図10
で図9との対応部分には同一符号を付して示す。
【0013】図10に於いて、スピーカボックス1は合
成樹脂の箱形にバッフル板2と一体に成型される。バッ
フル板2の上側に穿設されたスピーカ放音孔2aに対向
して、図9(A)で詳記したと同様構成のスピーカ3を
固定する。バッフル板2の下側に配された第1のダクト
18及び開口18aはバッフル板2の成型時に一体に成
型される。
【0014】又、後面板1Bの上部にはバッフル板2に
穿ったスピーカ放音孔2aと対向する位置にスピーカ放
音孔2bを穿ち、第2のスピーカ3bを、好ましくはス
ピーカ3と背面同志が対向する様に、且つスピーカ放音
孔2bと対向する様に後面板1Bに固定すると共に第1
のダクト18よりダクト径の大きい第2のダクト18b
を第1のダクト18の所定長さ内でオーバラップし、且
つ同心円状断面が形成される様に後面板1Bと一体に植
立させ、第2のダクト18bの開口18cを通して第1
のダクト18の開口18aに放射する空気の等価質量M
D 及び等価抵抗RD を大きくする様に構成させている。
【0015】更に、第1及び第2のスピーカ3及び3b
には後面板1Bに配設した入力端子13a及び13b並
びに接続線14a及び14bを介して同一入力の音響信
号が供給されている。
【0016】上記した図10のスピーカ装置によれば第
1及び第2のダクト18及び18b間のダクト放射力F
D1及びFD2/2+FD2/2の反作用力−FD1及び−FD2
/2+(−FD2/2)は夫々相殺されるので、第1及び
第2のスピーカ3a及び3bの放射力F1 及びF2 の反
作用力−F1 及び−F2 はF1 ≒F2 とすれば互いに相
殺することが出来る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】然し、上記した構成で
は小型軽量なスピーカボックス1のスピーカ3の作用力
1 による反作用力−F1 を支えて揺動させない様にす
るためにスピーカボックス1内に一対の略同一構造のス
ピーカ3及び3bを必要とし、小型化の隘路と成るだけ
でなく高価になる問題があった。
【0018】更に、従来の小型スピーカでは振動板を駆
動する磁気回路のマグネットが非常に小さく、スピーカ
の音圧を高くするため口径の小さなボイスコイルボビン
にボイスコイルを巻回しているためスピーカの最低共振
周波数(以下f0 と記す)の共振鋭度(以下Q0 と記
す)がどうしても大きくなっていた。
【0019】又、この様なQ0 の大きい小型スピーカを
小さな容積のスピーカボックス内に配設した場合は低域
の再生拡大が出来ずf0 でのQ0 は更に大きくなるため
低音域での音質が著しく劣化する問題があった。
【0020】一般には非常に小型のスピーカでは振動板
の抄紙時に同時にエッジを作製するフィックスエッジが
多用されているが、この様な小型スピーカのフィックス
エッジは硬く、ボイスコイルも軽量であるためにスピー
カのf0 を下げることも難しくなる問題があった。
【0021】更に、スピーカの振動系を等しく作った2
つのスピーカではf0 の高い方がQ0 はf0 に比例して
大きくなるため低域の再生には不向きになる弊害があっ
た。
【0022】本発明は叙上の問題点を解消したスピーカ
装置を提供しようとするものであり、発明が解決しよう
とする課題は1つのスピーカユニットに簡単な加工を施
すことで小型軽量なスピーカボックスに配設したスピー
カの放射力の反作用力を相殺又は減衰させて、スピーカ
装置の揺動を防止させて、強力な低域を放射させると共
にQ0 を小さくし、スピーカのf0 を低域側に遷移させ
て低域の拡大と良質な低域放射を行なう様に成したもの
である。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のスピーカ装置は
振動板及びボイスコイルを巻回したボイスコイルボビン
を保持するダンパを気密に構成し、該ボイスコイルボビ
ン上部を塞ぐ様に接合されたキャップに開口を穿ち、該
振動板の駆動時に該ダンパから下側の磁気回路内の空間
部の変動圧力を駆動力として該キャップの開口より放射
する空気の放射力の反作用力で該振動子の放射の反作用
力を相殺或は減衰させる様に成したものである。
【0024】本発明のスピーカ装置によれば1つのスピ
ーカに簡単な加工を施すだけで、小型軽量なスピーカボ
ックスに内蔵させたスピーカ放射力による反作用を相殺
して、揺動を防止し低域増大すると共にキャップに穿っ
た透孔を通過する空気が磁気空隙を通過する際の等価質
量によってスピーカのQ0 を下げf0 を低域側に拡大可
能なものが得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の小型のスピーカを
図1乃至図8によって詳記する。尚本発明で図9及び図
10で示したスピーカとの対応部分には同一符号を付し
て示している。
【0026】図1(A)は本例のスピーカ装置に用いる
スピーカの側断面図、図1(B)は図1(A)の平面図
を示し、3は全体として本例の小型スピーカを示し、ヨ
ーク6は純鉄等の板材から成る円盤状部と、この円盤状
部の中心位置に立設された円柱状のセンタポール6a
と、このセンタポール6aと同心円状に円盤状部に形成
された段部から成るマグネットガイド部6bが一体に形
成されている。
【0027】上述のヨーク6の円盤状部上にフェライト
等の厚み方向に着磁されたリング状のマグネット4を接
着剤を介して接着させる。リング状のマグネット4の内
径はヨーク6の円盤状部に形成されたマグネットガイド
部6bの段部に嵌合されて、位置決めされる。
【0028】このマグネット4にプレート5を接合す
る。この場合はギャップガイドをセンタポール6aに差
し込んだままにして置き、マグネット4の上面に接着剤
を塗布し、プレート5の内径をギャップガイドの外径に
挿入して接着固定する。プレート5は純鉄等を円盤状と
なし、中心部に透孔が穿たれた板材で透孔の内径周縁と
センタポール6aの外径間に形成される磁気空隙7内に
ボイスコイル12が配設される。
【0029】プレート5には鋼材等で漏斗状に形成され
たフレーム8を固定することで磁気回路の金物部分が構
成され、磁気空隙7の下方にはセンタポール6aの外周
とマグネット4の内径で囲まれた第2の空間部20bが
形成される。
【0030】上述の磁気回路の磁気空隙7内には円筒状
のボイスコイルボビン11に巻回したボイスコイル12
を挿入し、上下方向に振動可能に波形のコルゲーション
を有する気密性のあるダンパ17を介してボイスコイル
ボビン11を保持する。気密性のあるダンパ17を得る
ためには薄布を2〜3枚重ねて接合させてダンパを作る
か、或はダンパ17の表面に合成樹脂性の溶液等を塗布
したものを用いる。
【0031】上述の如きダンパ17の内径はボイスコイ
ルボビン11の中間部に接着剤を介して接合され、外径
部はフレーム8の底面部の外周に接合されている。更
に、紙等から成るフリー或はフィックスエッジ9の付い
た漏斗状の振動板10の内径をボイスコイルボビン11
の上部外径部に接合し、振動板10の最大直径部をフレ
ーム8の上部開口周縁部にガスケット19を介して固定
する。
【0032】ボイスコイルボビン11の上端、或は振動
板10の傾斜部にはドーム状にアルミニウム等の気密性
の高い材料で貼り合せ部23と共に形成された、キャッ
プ22がボイスコイルボビン11の上端を気密に覆う様
に接着剤を介して接合される。このキャップ22の中心
位置には図1(B)の平面図に示す様にキャップ22の
略中央位置に透孔21が穿たれている。
【0033】又、錦糸線16はボイスコイル12に接続
され、フレーム8に取り付けられた入力端子15を介し
て音声信号がボイスコイル12に供給される。
【0034】上述の様に小型のスピーカを組立てること
で、気密なダンパ17とプレート5の上面との間の第1
の空間部20aと上述の第2の空間部20bとが形成さ
れる。
【0035】更に、センタポール6a又はヨーク6に破
線で示す様に必要に応じて透孔26a又は26bを穿つ
ことでダンパ17の下部の第1及び第2の空間部20a
及び20bに形成されるインピーダンスを下げてスピー
カ装置の低域の音圧レベルを上げる様にしてもよい。
【0036】図2は図1(A)及び図1(B)に示した
スピーカ3を図10と同一構成の位相反転型ダクト18
及び18bを有するスピーカボックス1内に配設した場
合のスピーカ装置の側断面図を示すものである。図2で
スピーカ3は図1(A)及び図1(B)で説明したもの
にセンタポール6a又は/及びヨーク6に透孔26a及
び26bを穿っていないこと及びキャップ22の形状を
指数又は双曲線型ホーン形状とした以外は略同一構成で
あるので、図1(A)及び図1(B)との重複説明は省
略する。
【0037】上述のスピーカボックス1はABS樹脂等
で容積が1〜3リットル程度の小型軽量なものであり、
スピーカ3の口径も直径8cmφ以下のものを考えた場
合に、音響信号を端子13aからボイスコイル12に供
給して、スピーカ3を駆動すれば振動板10にはF1
向の駆動力F1 =M0 α0 及び反作用力−F1 =M0α
0 が働く。
【0038】図1(A)及び図1(B)のスピーカ3及
び図2のスピーカ装置に於いて、例えば振動板10が放
射力F1 で前方に動いたとき、スピーカ3の振動板10
の有効面積をSp とし、ダンパ17の面積をSD とする
と振動板10の動きと同時に気密な面積SD のダンパ1
7も、同時にF1 方向に動き第1及び第2の空間部20
a及び20b内の空気のスチフネスが減少し、キャップ
22の透孔21を介して空気がFD で示す作用力で第1
及び第2の空間部20a及び20b内に到達する。即ち
キャップ22内とボイスコイルボビン11の内径とセン
タポール6a間の磁気空隙7と、センタポール6aの外
径とマグネット4の内径間と、ボイスコイル12とプレ
ート5の内径間の磁気空隙7と、気密なダンパ17とプ
レート上面迄の第1の空間部20a内に空気が達する。
【0039】面積SD のダンパ17が振動する際の空気
の圧力減少量はダンパ17の一端が固定されている為ス
ピーカ3の振動板10の振幅の略半分とみてよい。
【0040】従って、スピーカ3の振動板3の振幅をX
とすると、ダンパ17の振幅はX/2となる。従って、
D の面積を有するダンパ17の振幅で生ずる第1及び
第2の空気の圧力減少量はXSD /2となる。依って、
第1及び第2の空間部20a及び20b内の空気の容積
をVとすればこの容積Vに対しXSD /2の空気変動を
生ずる。
【0041】この空気変動分XSD /2がキャップ22
の透孔21から第1及び第2の空間部20a及び20b
内に流入し、この値が透孔21部分の空気の作用力FD
と成る。
【0042】この透孔21の空気の放射力FD はキャッ
プ22の透孔21の開口面積をSAとすれば、SD /S
A 倍の加速度となって、ダンパ17の等価質量MD との
積となって次の(1)式で表すことが出来る。 FD =SD /SA α0 ・M0 ・・・(1) この様な透孔21部分の空気の放射力FD に対する反作
用力として−FD を生ずる。
【0043】従って、この様なFD をFD =F1 になる
様に釣り合わせれば図10で説明した様に2個のスピー
カ3及び3bを用いて反作用力−F1 及び−F2 を相殺
すると同様に−F1 の反作用力と−FD の反作用力を相
殺することが出来る。
【0044】又、図2の場合は第1のダクト18及び第
2のダクト18bを用いて、第1のダクト18の開口1
8aのダクト放射力FD1(又は−FD1)に対し第2のダ
クト18bの開口18cのダクト放射力FD2/2+FD2
/2{又は−FD2/2+(−FD2/2)}をFD1≒FD2
/2+FD2/2とすることで互いに相殺して支え合って
いるので、スピーカボックス1を揺動させない為の条件
としては上記したF1≒FD を満足させればよいことに
なる。
【0045】更に、一般的にスピーカ3の振動系の低域
特性はf0 に於けるQ0 によって定まることはよく知ら
れている。
【0046】今、スピーカの振動系の実効質量をM0
振動支持部分のスチフネスをS0 、出力アンプの内部抵
抗をR0 、ボイスコイルの抵抗をRv、ボイスコイルの
長さをLv(cm)、振動系の機械抵抗をRm、スピー
カボックスの内容積のスチフネスをSc、スピーカボッ
クス内の抵抗をRa、磁束をBgとするとQ0 は次の
(2)式で表すことができる。
【0047】上述の(2)式からも明らかな様に振動板
10を駆動した場合にキャップ22に穿った透孔21を
介して透孔21内を通過する空気の機械抵抗Rmが増加
し、(2)式の分母は大きくなって、Q0 の値を下げる
様に働くことは明らかである。
【0048】従って、Q0 の低下に伴ってf0 の高域側
への遷移が防止出来て低域が拡大し、良質な低域放射可
能なスピーカ装置が得られる。
【0049】図1及び図2のスピーカ3では振動板10
或はボイスコイルボビン11上に1枚のキャップ22を
接合させて透孔21を穿った様に成したが、図3の側断
面図に示す様にキャップ22より曲率半径の大きい第2
のキャップ24を用意し、キャップ22と所定の間隔を
置いて貼り合せ部23を介して振動板10の傾斜部上に
接合して二重キャップ構成とすることも出来る。
【0050】この様に構成した場合には振動板10の放
射力に対する反作用を打ち消すための駆動FD を前記し
た様に気密なダンパ17より下側の磁気回路内の空間部
に出入する空気の圧力変動分に加えて、第1のキャップ
22と第2のキャップ24間の空気の容積が透孔21を
介してボイスコイルボビン11内に放射する空気の放射
力をも加味することが出来る。
【0051】図3に於いて、振動板10が振幅Xで振動
した時に振動板10の有効面積SpにX倍した空気が動
き、このXSp の圧力変化分が図1及び図2で説明した
透孔FD に加算される。この様な放射力をFD ′とし、
スピーカボックス1内の容積をVB とすれば振動板10
がVB +X・Sp だけ振幅することでスピーカボックス
1内のスチフネスは上昇する。
【0052】第1及び第2のキャップ22及び24間の
空気の容積をVC とすれば放射力FD ′によりボイスコ
イルボビン11の内径内に流入する空気の体積をVFD
すると VC −VFD=VB +X・Sp −(XSp −VFD)・・・(3) となり、平衡の圧力となった時にFD ′は零となる。こ
の様なFD ′を前記したFD に加算することで振動板1
0の反作用力−F1 を二重キャップ22及び24の下側
のキャップ22に穿った透孔21を介して放射される空
気の放射力FD の反作用力−FD と互いに支え合って小
型軽量なスピーカ装置の揺動を抑制可能となり、強力な
低音を放射出来る様に成る。
【0053】尚、図3の構成ではヨーク6の第2の空間
部20bと接する円盤状部の所定半径範囲に、例えば、
センタポール6aの中心からn等分する角度位置にn個
の透孔26bを穿つ様にすることで振動板10の駆動力
に対し、透孔26bの放射力FD4/n=SD /SA ・α
0 ・M0 を加算出来ると共にダンパ17の下側の第1及
び第2の空間部20a及び20bのインピーダンスを下
げて低域の音圧レベルを上げる様にすることも出来る。
【0054】図4は本発明のスピーカの更に他の実施形
態例を示す側断面図である。
【0055】図4で図3との相違点のみを説明する。図
4では図3の第2のキャップ24の中心位置に比較的大
きな透孔25を穿った場合である。
【0056】この場合の動作原理は図3と全く同様であ
るが図4で振動板10の駆動力によって生ずる作用力F
1 の反作用力−F1 と支え合う第1及び第2のキャップ
22及び24部分の透孔で生ずる作用力FD 及びFD6
反作用力−FD 及び−FD6はF1 =FD +FD6の関係に
選択すればよいことになる。
【0057】図5は本発明の更に他の実施形態例を示す
ものであり、図5は図3で示した第1のキャップ22だ
けに透孔21を有する2重キャップ構成で、第1及び第
2のキャップ22及び24間の空間部に対向する振動板
10の傾斜部分に、例えばn個の透孔26を振動板10
の中心位置からn等分した角度位置に穿ったものであ
る。この場合も、振動板10の傾斜部に穿った複数の透
孔26部分で生ずる空気の作用力FD3/nは振動板10
の作用力に加算されF1 +FD3/n=FD の釣合式とな
るが振動板10に穿つ透孔26の面積を大きくすれば作
用力FD3/nに比べてFD を大きくすることが出来る。
【0058】更に、センタヨークに図5で破線で示す様
に透孔26aを穿ってダクトとしての等価質量MD を付
加させると、透孔21,26,26a部分の作用力
D ,F D3/n,FD5での駆動源は振動板10が動くこ
とによる空気の圧力変化とダンパ17が動くことによる
圧力変化の和であり、上述の様にX・Sp +X・Sp
2となり、これが作用力FD ,FD3/n,FD5の駆動力
となって働くことになる。
【0059】図6は本発明のスピーカ装置の更に他の実
施形態例を示すものである。
【0060】図6の場合は図5の構成の第1のキャップ
22の中心に穿った透孔21をなくして、完全なキャッ
プ22とした場合である。この場合は振動板10に穿っ
た複数の透孔26のみの駆動力によって反作用力−F1
をFD3/nで支え合わせる様にしたもので釣合式はF1
≒FD3/nの条件に選択すればよい。尚、この構成で
は、ダンパ17に通気性のよいものを選択した方が第2
の空間部20b内の駆動力を有効に利用することが出来
る。
【0061】図7は図5のスピーカ3の二重キャップ構
成を用い、ボイスコイルボビン11を延設してダブルダ
ンパ構成とした場合であるダンパ17は通気性のあるダ
ンパ材料を選択し、第2のダンパ27を気密性の高いダ
ンパとしてボイスコイルボビン11の上部位置とフレー
ム8の中間位置の内径部間に第2のダンパ27を介在さ
せて、第2のダンパ27より下側の第1及び第2の空間
部20a及び20bの空気の容積を増大させ透孔21及
び26部分の作用力を高める様にしたものである。
【0062】この構成のスピーカでは第1及び第2のキ
ャップ22及び24間に振動板10に穿った透孔26を
介して空気が流通するので振動板10の有効面積Sp
第2のダンパ27の面積SA2の和の振動板口径を持つス
ピーカと同等の振動板面積となり、低域の放射面積が増
大すると共に感度向上とスピーカ1つで音放射力の反作
用力を相殺又は減衰可能と成る。
【0063】又、ボイスコイル12が振動する磁気空隙
7の中の薄流体抵抗の他に気密なダンパ27の効果によ
って磁気空隙7内に空気が流入出して、空気の機械抵抗
が増加し、f0 に於けるQ0 を小さくすることが出来
る。又、振動板10の作用力F1 と第2のダンパ27の
振動面積が加算され、小型スピーカの放射面積が大きく
なったと等価なものが得られる。
【0064】図8は本発明のスピーカの更に他の実施形
態例を示すもので図7の構成に於いて、第2のキャップ
24を取り去った場合である。他のダブルダンパ構成は
図7と同様である。
【0065】上述の構成のスピーカ3では振動板10が
前方方向に動いた場合の作用力F1は第2の気密ダンパ
27があるために通常の開口を有するキャップの場合よ
り一層後面方向にFD の作用力で空気の等価質量(振動
板10の有効面積Sp とダンパ27の面積SD に相当)
がボイスコイルボビン中に流入し、磁気空隙7を介して
抵抗を与える。従って、振動板10とダンパ27の作用
力F1 の反作用力−F1 は透孔21部分の作用力FD
反作用力−FD で支えることが出来る。
【0066】図7でボイスコイルボビン11の内径内に
通気性の発泡体等の抵抗材29を充填させて透孔21の
放射力をダンプさせて放射力を調整する様にしてもよ
い。
【0067】
【発明の効果】本発明のスピーカ装置によれば1つのス
ピーカユニットを用い、キャップに透孔を穿ち気密なダ
ンパを用いるだけの簡単な構造によって、振動板の駆動
時の作用力に対する反作用力を相殺又は減衰させて、小
型軽量なスピーカ装置を揺動させずに低域を拡大して放
音可能なスピーカ装置が得られる。更に、本発明のスピ
ーカによれば最低共振周波数f0 に於ける共振鋭度Q0
の値をキャップに透孔を穿つだけで小さくすることが出
来て最低共振周波数f0 を低域側に遷移可能となる。更
に、スピーカボックス内に上記したキャップに透孔を穿
ったスピーカを1つ配設するだけで、スピーカの反作用
力による揺動を防止可能なスピーカ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピーカの側断面図である。
【図2】本発明のスピーカ装置の側断面図である。
【図3】本発明の他のスピーカの側断面図である。
【図4】本発明の更に他のスピーカの側断面図(I)で
ある。
【図5】本発明の更に他のスピーカの側断面図(II) で
ある。
【図6】本発明の更に他のスピーカの側断面図(III)で
ある。
【図7】本発明の更に他のスピーカの側断面図(IV) で
ある。
【図8】本発明の更に他のスピーカの側断面図(V) で
ある。
【図9】従来のスピーカ装置の断面図及びその電気等価
回路である。
【図10】従来のスピーカ装置の構成を示す他の側断面
図である。
【符号の説明】
1‥‥スピーカボックス、3,3b‥‥スピーカ、10
‥‥振動板、17,27‥‥ダンパ、18,18b‥‥
ダクト、21,28,29‥‥透孔、22,25,26
‥‥キャップ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動板及びボイスコイルを巻回したボイ
    スコイルボビンを保持するダンパを気密に構成し、該ボ
    イスコイルボビン上部を塞ぐ様に接合されたキャップに
    開口を穿ち、該振動板の駆動時に該ダンパから下側の磁
    気回路内の空間部の変動圧力を駆動力として、該キャッ
    プの開口より放射する空気の放射力の反作用力で該振動
    子の放射の反作用力を相殺或は減衰させて成ることを特
    徴とするスピーカ装置。
  2. 【請求項2】 前記キャップの上側に所定の間隔を設け
    て第2のキャップを前記振動板に接合させて成ることを
    特徴とする請求項1記載のスピーカ装置。
  3. 【請求項3】 前記第2キャップに開口を穿って成るこ
    とを特徴とする請求項2記載のスピーカ装置。
  4. 【請求項4】 前記キャップと第2のキャップ間の振動
    板部分に開口を穿って成ることを特徴とする請求項2記
    載のスピーカ装置。
  5. 【請求項5】 前記気密ダンパの下側に第2の通気性ダ
    ンパを介在させ、前記空間部の容積を大きくさせて成る
    ことを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526333A (ja) * 2003-05-12 2006-11-16 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 音響パネルを有するスピーカユニット
JP2009218983A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Panasonic Corp スピーカ
US8351642B2 (en) 2007-12-03 2013-01-08 Panasonic Corporation Speaker
RU2737225C2 (ru) * 2018-05-21 2020-11-26 Растошинский Иван Сергеевич Динамический громкоговоритель с внутренним двухполостным резонатором

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