JPH11257863A - 雰囲気焼成用ローラハースキルン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来よりも炉高を低くすることができ、しかも
焼成品質のバラツキがない雰囲気焼成用ローラハースキ
ルンを提供する。 【解決手段】ローラハースキルンの炉床の上部または炉
内上部に、ガス流路８を設ける。ガス流路８は熱伝導性
に優れた耐火物により構成することが好ましい。このガ
ス流路８の端部から供給された打ち込みガスは、ガス流
路８内を流れる間に雰囲気ガスとの熱交換により加熱し
たうえ、ガス流路８の他端の吹き出し口１０から炉内に
供給される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、炉内の特定部分で
雰囲気を変えて焼成を行う雰囲気焼成用ローラハースキ
ルンの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記のような雰囲気焼成用ローラハース
キルンにおいては、炉内に打ち込みガスを打ち込んで炉
内の特定部分で雰囲気を変える必要がある。図４は典型
的な従来の雰囲気焼成用ローラハースキルンの断面図で
あり、１は炉体、２は被焼成物である製品Ｗを搬送する
ためのローラ、３はローラ２の上部に配置されたヒー
タ、４はローラ２の下部に配置されたヒータ、５は炉内
へのガス打ち込み用ノズルである。

【０００３】ガス打ち込み用ノズル５は炉体１の下部両
側に設けられており、例えば窒素ガスのような打ち込み
ガスを炉内に打ち込んでいる。この打ち込みガスは図示
のように炉内側壁に沿って流れる。しかも一般に打ち込
みガスは炉内の雰囲気ガスよりも低温である。このた
め、低温の打ち込みガスと接触し易い側壁側の製品Ｗ
と、打ち込みガスと接触しにくい炉内中央部の製品Ｗと
では、焼成品質にバラツキが生じやすいという問題があ
る。また製品Ｗに直接打ち込みガスを供給する場合に
は、雰囲気温度に近くなっている製品Ｗに冷たいガスを
当てることとなり、望ましくなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、場所による焼成品質のバラツキがな
い雰囲気焼成用ローラハースキルンを提供するためにな
されたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の雰囲気焼成用ローラハースキルン
は、炉内に耐火物により囲まれたガス流路を設け、この
ガス流路に供給された雰囲気形成用の打ち込みガスをガ
ス流路を通過する間に雰囲気温度との熱交換により加熱
し、吹き出し口から製品に向けて炉内に供給するように
したことを特徴とするものである。

【０００６】製品の雰囲気焼成が製品の内部拡散が支配
的な場合には、請求項３に記載したようにガス流路を炉
床に設け、吹き出し口を上向きにすることが好ましい。
また、製品の雰囲気焼成が表面拡散が支配的な場合に
は、請求項４に記載したようにガス流路を炉内上部に設
け、吹き出し口を下向きにして打ち込みガスを直接製品
に吹き付けるようにすることが好ましい。

【０００７】本発明の雰囲気焼成用ローラハースキルン
は、炉内に設けられたガス流路を利用して打ち込みガス
を加熱したうえ、吹き出し口から製品に向けて炉内に供
給するようにしたので、打ち込みガスと雰囲気及び製品
との温度差に伴う焼成品質のバラツキが生じるおそれは
ない。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を示す。図１は、請求項３の雰囲気焼成用ローラハー
スキルンの炉幅方向の断面図、図２は炉幅方向の断面図
である。これらの図中、１はローラハースキルンの炉
体、２は製品Ｗを搬送するためのローラ、４はローラ２
の下部に配置されたヒータである。

【０００９】この炉体１の炉床上部には、ガス流路８が
形成されている。図２に示すように、このガス流路８は
炉体１の長手方向に設けられたもので、その長さは炉の
規模や雰囲気温度によっても異なるが、１〜３ｍ程度と
すればよい。またその幅は特に限定されるものではない
が、図は炉体幅全体の場合を示す。

【００１０】このガス流路８の端部にはガス供給管９が
設けられており、打ち込みガスを供給している。またガ
ス流路８の他端には多数の吹き出し口１０が上向きに設
けられている。ガス供給管９から常温で供給された打ち
込みガスは、ガス流路８を通過する間に炉内の雰囲気ガ
スとの熱交換により加熱され、吹き出し口１０から炉幅
方向に均一に供給される。このような熱交換を効果的に
行わせるためには、ガス流路８を構成する断熱材１１は
熱伝導性に優れた材質であることが好ましく、図示の例
ではガス流路８の天井材としてSi-SiCの薄板が用いられ
ている。ガス流路８への熱の供給は、ヒータ４によって
行われる。吹き出し口１０から炉内に供給された打ち込
みガスはヒータ４により更に加熱され、製品焼成用の雰
囲気を形成する。

【００１１】このように構成された本発明の雰囲気焼成
用ローラハースキルンは、台板１２に載せた製品Ｗをロ
ーラ２により炉内を搬送しながら、打ち込みガスによる
特定雰囲気下で雰囲気焼成を行うことは従来と同様であ
る。しかし本発明では、打ち込みガスをガス流路８内に
流して雰囲気ガスとの熱交換により加熱させたうえで、
ガス流路８の他端の多数の吹き出し口１０から炉内に均
一に供給する。このため、常温の打ち込みガスを用いた
場合にも打ち込みガスの温度差に伴う焼成品質のバラツ
キが生じるおそれはない。

【００１２】しかも請求項３の場合にはガス流路８を炉
体１の長手方向に設けたので、その長さをある程度自由
に設定することができ、十分に打ち込みガスを加熱する
ことができる。またガス流路８を炉床部分に設け、ロー
ラ２の下部に配置されたヒータ４によって更に加熱され
るようにしたので、ローラ２の上部にはほとんど空間が
不要となり、炉高を小さくすることができる。この構造
は、製品の雰囲気焼成が製品の内部拡散が支配的な場合
に有効である。

【００１３】図３は請求項４の雰囲気焼成用ローラハー
スキルンの炉幅方向の断面図である。この場合には、炉
体１の天井部にガス流路８が形成されている。このガス
流路８は炉体１の断面方向に設けられたもので、その高
さ及び設置数は炉の規模や雰囲気温度によっても異なる
が、高さ500mm 程度で１〜３個を設置すればよい。

【００１４】ガス流路８は伝熱性に優れた耐火物、例え
ばSi-SiC等で構成することが好ましい。ガス流路８の下
面に多数の吹き出し口１０が設けられており、ガス流路
８を通過する間に雰囲気温度との熱交換により加熱され
た打ち込みガスは、これらの吹き出し口１０から直接製
品Ｗに向けて吹き付けられる。この構造は製品の雰囲気
焼成が表面拡散が支配的な場合に有効である。

【００１５】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明の雰囲気
焼成用ローラハースキルンによれば打ち込みガスの温度
差に起因する製品の品質のバラツキをなくすることがで
き、また製品に冷たいガスを当てずに焼成ができ、焼成
特性の向上ができる利点がある。更に請求項３の場合に
は、炉高を低くできる利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項３に記載の雰囲気焼成用ローラハースキ
ルンの炉幅方向の断面図である。

【図２】請求項３に記載の雰囲気焼成用ローラハースキ
ルンの炉の長手方向の断面図である。

【図３】請求項４に記載の雰囲気焼成用ローラハースキ
ルンの炉幅方向の断面図である。

【図４】従来例の雰囲気焼成用ローラハースキルンの炉
幅方向の断面図である。

【符号の説明】

１ 炉体、２ 製品搬送用のローラ、３ ヒータ、４
ヒータ、５ ガス打ち込み用ノズル、８ ガス流路、９
ガス供給管、１０ 吹き出し口、１１ ガス流路を構
成する断熱材、１２ 台板

フロントページの続き (72)発明者 谷川 友由喜 東京都中央区日本橋一丁目13番１号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 佐々木 伸一 秋田県由利郡仁賀保町平沢字前田151番地 ティーディーケイ・エムシシ株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉内に耐火物により囲まれたガス流路を
   設け、このガス流路に供給された雰囲気形成用の打ち込
   みガスをガス流路を通過する間に雰囲気温度との熱交換
   により加熱し、吹き出し口から製品に向けて炉内に供給
   するようにしたことを特徴とする雰囲気焼成用ローラハ
   ースキルン。
2. 【請求項２】 ガス流路を熱伝導性に優れた耐火物によ
   り構成した請求項１に記載の雰囲気焼成用ローラハース
   キルン。
3. 【請求項３】 ガス流路を炉床に設け、吹き出し口を上
   向きにした請求項１に記載の雰囲気焼成用ローラハース
   キルン。
4. 【請求項４】 ガス流路を炉内上部に設け、吹き出し口
   を下向きにして打ち込みガスを直接製品に吹き付けるよ
   うにした請求項１に記載の雰囲気焼成用ローラハースキ
   ルン。